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月曜日, 3月 1, 2021
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《くずかごの唄》79 老人性うつ病

【コラム・奥井登美子】「立派な老人性うつ病です。危険防止のため、両手は縛らせていただきました」。医者からそう診断された舅(しゅうと)が家に帰ってきた。さあ大変。嫁さんが手を縛るわけにいかない。ご近所や親戚から何を言われるかわからない。

死にたくなると、ひも状のものを見つけては首に巻いてしまう。ネクタイ、寝間着のひも、カーテンのひも。幸い、腕力がなかったので目を白黒している間に発見して、事なきを得たが、庭の中にたくさんのひも類があるのを知ってびっくりした。

長男に死なれ、次に妻に死なれて、症状がひどくなってしまった。妻が「生きている日」と「死んでいる日」がある。生きていると思い込んでいるとき、「おばあちゃんは、2年前に亡くなったじゃありませんか。ほら、お葬式のときに、おじいちゃん、皆の前でご挨拶したでしょ」なんて、言ってしまった。

「おばあちゃんは僕を残して死なないと言っていた。死ぬわけないだろ。どこに隠した」などと叫んで、大暴れする。疲れてウトウトとするまで、2時間以上付き合うしかない。3人の子供たちも協力して、「今日はおばあちゃんが生きている日」と私が合図すると、皆で「おばあちゃんは今買い物に行っているよ」とかなんとか、話を合わせてくれるようになった。

事故とすれすれの生活

ひもより危険なのがマッチ。親戚の「仏壇掃除評論家」たちが帰った後が大変だ。マッチが落ちている。昔タバコを吸っていた舅は、マッチを見ると擦りたくなるらしい。枕元の布団を何回焦がしたことか。ボヤ一歩手前の事故が何回もあった。

その時代の紙おむつは粗悪品で、引っ張ると切れてしまう。主人は朝3時に起きて父親の布おむつの洗濯。5本のさおに干して6時の電車で東京通勤。私は薬局の仕事と、3人の子供の子育てに、介護が加わる。2人とも若かったので5年間続けられたが、もうヘトヘトと、体力の限界だった。

コンビニのない時代、奥さんに死なれて食事の用意ができないで困っていた近所のオジサンに、3食を舅と一緒に食べてもらい、枕元にいて、火とひもの見張り番を頼んだりした。昼間は誰か見張りをつけることができたが、夜は誰もいない。私も疲れてウトウト。お隣さんから、「叫び声が聞こえますよ」と何回も注意されてしまった。

新聞の、老人一人暮らしの家の火事の記事を見ると、今でもぞっとする。老人性うつ病。事故とすれすれの生活。それを体験させてくれた舅に今では感謝している。(随筆家、薬剤師)

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