水曜日, 4月 8, 2026

「イラストで学ぶ過去の災害と地形」を公開 国土地理院

高校「地理総合」必修化、活用を 国土地理院(つくば市北郷)は27日、「イラストで学ぶ過去の災害と地形」をウエブサイトで公開した。全国85カ所について水害と地形の関係を直感的に把握できるよう工夫した図をそろえ、できるだけ専門用語を使わずに解説した。 来年度から高校で必修化する地理総合では、地理情報システム(GIS)やハザードマップ、地形図の読み取り方をはじめ、防災教育を柱にしている。国土地理院の小野康・地理情報処理課長は、教育現場での活用や、地域の防災担当者がリスクを判断する際に役立ててほしいとしている。 常総市周辺の鬼怒川も紹介 全国85カ所の中に、2015年9月に大きな災害をもたらした常総市周辺の鬼怒川が取り上げられている。 同サイトから入ると、「山地なし」「平地の中を流れる川」「台地に接する平地」のカテゴリーで紹介されている。 水害が発生した区域を示した区域図と、土地の高低を色分けした色別標高図が示され、低いところに水がたまることが直感的にわかるようになっている。さらに水害と土地の成り立ちとの関係を解説している。 さまざまな地図情報の入り口に 国土地理院はさまざまな情報を地図に整理していて、今回のツールはその入り口としても機能している。「地理院地図で見る」をクリックすると参照した元のデータ図(区域図と色別標高図)のページに飛ぶ。色別標高図の右上にある「地図」をクリックし、さらに「土地のなりたち・土地利用」「地形分類(ベクトルタイル提供実験)」「地形分類(自然地形)」をクリックすると下図のようになる。 ここで左側にあるバーの「+」を押してある程度拡大すると、下図のように明確に色分けされた図になる。色の違いは地形区分を示しており、見たい色のところにカーソルを合わせてクリックすると、地形区分名・土地の成り立ち・災害リスクの解説を読むことができる。 自分が住んでいる所を見たければ、このまま地図をドラッグする。下記は産業技術総合研究所(つくば市東)の敷地までドラッグした例だ。大部分がオレンジ色の台地で地震の揺れや液状化のリスクは低いが、一部分、揺れや液状化のリスクが大きい、緑色で示された後背低地・湿地だったことが分かる。 今回の取り組みは、2019年に同院の測量行政懇談会がまとめた地理教育支援検討部会報告書で、国土地理院が有する防災地理情報の教材化支援が求められたことから始まった。 国土地理院では今後、地震や土砂災害についても同様のサイトを作りたいとしている。またこれまでに国土地理院が作成した地理教育ツールは「地理教育の道具箱」でまとめて紹介されており、小野課長は、住民の自助意識を高めたり、防災教育に活用してほしいとしている。(如月啓)

会話のきっかけづくりに コロナ禍、1人暮らし高齢者宅に「ふれあい通信」配布

コロナ禍、外出しなくなった一人暮らしの高齢者が会話をするきっかけになればと、つくば市茎崎地区のボランティア団体「通学路の安全を守る会」(稲川誠一代表)が昨年9月から月2回、同地区の一人暮らし高齢者宅に、地域の情報をつづった手作りのかわら版「ふれあい通信」を配っている。 代表の稲川さん(76)によると、昨年春の緊急事態宣言以降、極端に外出しなくなった高齢者が増えた。1週間や10日、人と会わずに過ごしていると、声が出なくなるという話を耳にした。 稲川さんは12年間、民生委員を務めた経験がある。コロナ禍、民生委員すら高齢者宅を訪問することが難しい状況にある中、何か工夫できないかと考えた。 パソコンやスマートフォンがなく、人と会わないため、地域の情報が手に入らない一人暮らし高齢者も多いことから、地域の出来事や健康づくりの情報などをつづった「ふれあい通信」を作って、1人暮らし高齢者宅約70件に配った。 稲川さんの電話番号を記載し、郵便受けに入っていた通信を手に取ったことをきっかけに、電話で会話し、一人暮らし高齢者が声を出すきっかけになればと考えた。 通信はA4判数ページつづり。近隣の介護施設がどのようなコロナ対策をとっているかを施設長にインタビューしたり、茎崎地区で開催された筑波大生との地域づくり意見交換会の様子を載せたり、元開業医の室生勝さんによるコロナ禍の健康づくりのアドバイスを掲載するなどしている。近隣の知人から聞いたコロナ禍での親の介護体験談や、PCR検査の体験談なども載せたりしている。現在は30軒ほどにポスティングしているという。 稲川さんは「ふれあい通信をきっかけに気軽に電話してもらって、話をして、声が出るようになれば、目的が達せられたことになる」と語っている。(鈴木宏子)

最弱の戦国大名は超生命力家 《ひょうたんの眼》37

【コラム・高橋恵一】来年のNHK大河ドラマのタイトルは「鎌倉殿の13人」。鎌倉幕府の2代目執権・北条義時が主人公で、源頼朝の急死後に合議制を敷いて2代将軍・頼家の施政を担った13人の物語のようだ。 合議制と言っても、すさまじい権力争いが生じ、将軍頼家も3代将軍・実朝も周囲に翻弄(ほんろう)され、結局、正統の源氏将軍は3代で断絶してしまい、以降は執権北条氏の政権になるわけだが、13人の実力者が相克を繰り返し、結局、北条義時が権力を獲得する。 この時代を、地元土浦・つくばから眺めると、源頼朝が鎌倉に政権を確立した時に、現在の茨城県南地方に領地を得て登場したのが、八田知家(はった・ともいえ)。常陸守護の大名・小田氏の開祖である。「鎌倉殿の13人」の1人で、頼朝と同年代。13人の中では、長老格になる。 大河ドラマでは、どのように展開するのかわからないが、歴史ファンにはおなじみの、悪役・梶原景時(かじわら・かげとき)をはじめ、比企能員(ひき・よしかず)、畠山重忠(はたけやま・しげただ)、和田義盛(わだ・よしもり)などが滅ぼされ、大江広元(おおえの・ひろもと)のように老齢死去したものもあって、3代執権・北条泰時の時代には、親族でもある三浦泰村(みうら・やすむら)一族も滅ぼされて、有力武将はほぼ打倒されてしまう。 北条氏と一心同体のように幕府で権勢を維持してきた安達盛長(あだち・もりなが)の一族も元寇の後、安達泰盛(やすもり)の時代に滅ぼされてしまう。「霜月騒動(しもつきそうどう)」と言って、有力武士よりも内務官僚が実権を持ってしまった結果であり、政権が長期化するといつの時代にも起こる老化現象である。 地元の名士は郷土自慢の種 そのような情勢の中、若干の盛衰はあったものの、常陸の守護職小田家は、鎌倉時代を生き抜き、南北朝時代は、負け組の南朝に組みしながらも存続し、室町時代、そして戦国時代も常陸南部の有力大名として、存続し続けた。 戦国最末期に、小田城、土浦城を奪われてしまうが、戦国最弱の大名と評される当主小田氏治(おだ・うじはる)は、生き延びている。武田氏や朝倉氏、小田原北条氏のように、当主までが命を取られることなく生き延びたのだ。 2021年のNHK大河ドラマに便乗して、水戸市では一橋慶喜や水戸斉昭で盛り上がろうとしているようだ。歴史では、高萩市が長久保赤水(ながくぼ・せきすい)を押し上げている。地元の名士は、名所や特産品と共に、嫌みのない郷土自慢の種である。筑波山と霞ケ浦の抱える壮大な物語を、大いに売り込もうではないか。(地図好きの土浦人)

皆既月食見たさの天文ファン 土浦・霞ケ浦総合公園で肩すかし

満月が地球の影に入って暗くなる皆既月食を見ようと26日夜、土浦市の観察スポット、霞ケ浦総合公園(同市大岩田)に100人を超す人出が繰り出した。午後6時半過ぎの月の出こそ見られたものの、欠け始めから皆既月食の間じゅう、月は分厚い雲にさえぎられ、天体ショーは肩すかしとなった。 日本での皆既月食は2018年7月以来、約3年ぶり。地球と月との距離が近づく分、通常より大きく見えるスーパームーンのタイミングも重なった。 月の出直後に食が始まることから、見物場所を探してお出掛けするイベントとなった。茨城県南では、東南の方向に展望の開けた霞ケ浦のある同公園が格好の見物スポットとなった。 午後6時を回ると、オランダ風車の前庭を中心に、同市内外から人が集まりだした。長距離の望遠レンズを装着したカメラを三脚に据えた天文愛好家から、スマホを構えて撮影ポジションを探すにわかファン、家族連れたちの姿があった。 月の出直後の午後7時前後には雲間から深紅に染まる月が一瞬姿を現し、カメラマンらが活気づいた。しかし、月の出番はそれっきり。事前の情報では午後6時45分ごろから欠け始めるとされたが、スーパームーンはずっと雲に隠れたまま。 皆既月食の時間帯は午後8時時過ぎからの約20分間とされたが、この間も姿を現す気配すらなく、待ち続けた見物客を残念がらせた。 撮影用に構えたスマホを、YouTubeや放送局などのチャンネルが行うライブ配信に切り替えて見入る姿もあった。午後9時ごろになって、雲のベールの向こうににじむような月影が見えたが、月食の様子までは分からず仕舞い。 つくば市の宮本さん夫妻はお弁当持参で見物。「月よりお弁当になってしまったけど、今度こそという気になりました。次のチャンスを待ちます」と空を見上げた。次回日本で皆既月食が起きるのは22年11月8日という。(相澤冬樹)

洞峰公園で動物愛護呼び掛け つくばインターナショナルスクールの子どもたち

「捨てられたワンちゃん、ネコちゃんを助けよう」「新しい家族を探そう」。つくばインターナショナルスクール(TIS、つくば市上郷)に通う4歳の子どもたち14人が25日、手作りのポスターを手に保護者や教員らと洞峰公園内を約1キロ歩き、市民らに捨て犬、捨て猫の保護を呼び掛けた。 ポスターは、A3サイズの色画用紙に、つくば市の動物愛護団体、CAPIN(キャピン、動物愛護を考える茨城県民ネットワーク、鶴田真子美理事長)で保護されている犬の写真と絵を貼ったもの。子どもたちはそれぞれ自分の好きな犬の写真を選んだ。 子供たちの呼び掛けに、公園でジョギングや犬の散歩をしていた人たちは、立ち止まってポスターを見たり、子どもたちに話し掛けたりしていた。 付き添った母親は「このような動物愛護活動は日本ではあまりなく、有意義。子どもにも良い影響を与えると思う」と語った。活動に参加した男の子は「犬が好き。(活動ができて)うれしかった」と笑顔で話した。 変えたいと思ったら行動を起こす 同スクールとCAPINの交流が始まったのは今年3月。土浦市内にあるCAPINの保護施設で、捨て犬・捨て猫の世話をしているカナダ出身のイングリッド・ロフグレンさんが、同校の教員であることが縁だ。 趣旨に賛同したシェイニー・クロフォード校長は、同スクールで動物愛護活動に取り組むにあたって、保護者には、CAPINの活動内容や譲渡活動の応援、寄付を呼び掛ける手紙を配布した。 校内には捨て犬や捨て猫の支援物資を入れる「ドロップボックス」を2つ設置。子どもたちは、各家庭からタオルや皿などの不用品や、ペットシーツ、鉛筆などを持ってきてドロップボックスに入れるという。週末には5年生が、保護施設の犬猫の世話を手伝うボランティア活動を行っている。 今回の活動は4歳児クラスの教員が「自分たちのクラスでもシェルターにいる犬猫のために、何かやりたい」と企画したことがきっかけだという。 クロフォード校長は「単に犬や猫がかわいそうだと思うだけではなく、世の中を変えたいことがあったら、解決に向け、自分で行動を起こすことの大切さを子どもたちに伝えたい」と語った。(伊藤悦子)

野生イノシシに豚熱ワクチン散布 13市町で

茨城県畜産課は、野生イノシシに免疫をつけることで豚熱(CSF)感染を防止するため、今月19日から6月10日まで、国や市町村、猟友会などと連携し、野生イノシシに対する経口(餌)ワクチンの野外散布を実施している。 散布市町村は、栃木県境寄りにあり野生イノシシが生息している大子町、常陸大宮市、城里町、笠間市、桜川市、石岡市の6市町と、渡良瀬遊水地から利根川沿い河川敷の古河市、境町、五霞町、坂東市の4市町。 さらに豚熱感染個体が確認された守谷市、取手市、常陸太田市の3市など、県下全域に及ぶ。 経口ワクチンはイノシシが生息する山林等の土中に埋める。トウモロコシなどを材料としたビスケット状の餌の中にワクチンを封印したもので、国の食品安全委員会で安全評価された成分や食品でできているという。 既に県内では野生イノシシに豚熱感染個体が確認されている。このため県は、豚飼育施設に入る予定があり、山林に入った場合は、山林から出る際、消毒液などで靴底等に付着した土を洗い流すなどの防止策を講じてほしいと呼び掛けている。(山崎実) 経口ワクチン散布市町と作業スケジュールは以下の通り。▽守谷市=5月19日(餌付)、27日(散布)▽常陸太田市=5月25日と27日(餌付)、6月1日と3日(散布)▽大子町、常陸大宮市、城里町、笠間市、石岡市、取手市、桜川市、古河市、境町、五霞町、坂東市=6月1日、3日、8日、10日(いずれも散布) 【豚熱】豚やイノシシが感染する病気で、伝染力が強く、致死率が高い。人には感染しない。国内では2018年9月、岐阜県の養豚農場で26年ぶりに感染が確認された。現在、国内で感染が拡大しており、県内では昨年6月、取手市内で感染した野生イノシシが初めて確認された。その後、守谷、常陸太田、常陸大宮市、大子町で12例の野生イノシシの感染が確認されている。一方、県内の養豚場では現在まで感染は確認されていない。

江戸時代の梅酒 《県南の食生活》25

【コラム・古家晴美】この時期、店頭にはチラホラと青梅が姿を見せ始めている。昨夏は梅の土用干しについて記したので(20年7月22日付)、今回は梅酒について見てきたい。現在、水割りや炭酸割梅酒が手軽に飲めるサイズで販売されているが、それでも自家製のものをお作りになる方もいらっしゃるだろう。 以下は「梅酒」の作り方についてしばしば引用される、江戸時代前期に著された『本朝食鑑(ほんちょうしょっかん)』の一節である。著者は、庶民の日常生活に用いる食に関して記したと述べている。 「痰(たん)を消し、渇きを止め、食を進め、毒を解し、咽痛を止める。半熟の生梅の大ならず小ならず中くらいのを、早稲草の灰汁(あく)に一晩浸し、取り出して紙で拭き浄め、再び酒で洗ったものを2升用意する。これに好い古酒5升・白砂糖7斤を合わせ拌勺ぜ(かきまぜ)、甕(かめ)に収蔵める。20日余を過ぎて梅を取り出し、酒を飲む。あるいは、梅を取り出さずに用いる場合もある。年を経たものが最も佳い。梅を取り、酒を取りして、互いにどちらも用いる」(人見必大著・島田勇雄訳注『本朝食鑑2』 平凡社東洋文庫 1977年) 現代との違いは、いわゆる薬酒として用いられているが、焼酎ではなく、3年物の古酒の使用を勧め、あく抜きに藁(わら)の灰汁を使用している。慶安期の引き札によると、薩摩焼酎が1升500文なのに対し、酒が40~60文(古酒はこれよりは高いだろうが)で、焼酎は高価だ。庶民にとって、手頃な価格で火入れの技術が発達していなかった当時、3年間腐敗を免れた古酒は、果実酒作りにふさわしかったとの指摘もある。 かなり甘く濃厚 酒というより薬 では、現在の梅酒の分量と比べるとどうなるだろうか。青梅2升=(中粒の青梅で計量したところ1.2リットルが1キロなので)3キロ砂糖7斤=4.2キロ古酒5升=9リットル―に換算できる。 これを現在の一般的な梅酒レシピの分量である、青梅1キロ、氷砂糖600~1000グラム、焼酎1.8リットルと比較すると、梅:砂糖:酒の割合が、前者は1:1.4:3であるのに対し、後者は1:1:1.8となる。江戸時代の梅酒は、梅の量1に対して、砂糖と酒の割合がかなり高い。江戸前期の砂糖はまだ量産されておらず、高価であったろうが、気前よく使用している。 ただし、前者は氷砂糖を、後者は白砂糖を使用している。糖度の違いが99.95Z°と97.69Z°で多少の違いがあるが、残念ながら、糖度と甘味度の相関性の説明は専門外で難しい。古酒は当時も上等なものだろうが、醸造学の小泉武夫氏によれば、江戸時代の原酒はアルコール度数が17~22度で、アミノ酸度や酸味が高く、糖度に至っては4~5倍で味の濃いものだったので、希釈して飲んでいたと言う。 これらのことから大胆不敵に想像の翼を広げると、『本朝食鑑』の梅酒は、希釈せよ、とも書かれていないので、かなり甘めで濃厚な、「酒」というよりも風邪気味の時に飲む「薬」のイメージだろうか。 現在、いくつかの酒蔵で、江戸時代の日本酒を再現したものや、古酒を醸造している。これを機に、それらの酒で梅酒を作ってみようか。(筑波学院大学教授)

ラムサール登録へ 千葉県との共同歩調に期待 利根川下流と霞ケ浦

茨城県生物多様性センター(県環境政策課内)は、国の特別天然記念物であるつがいのコウノトリが生息する利根川下流域と霞ケ浦のラムサール条約登録に向けた取り組みを、県境を越え、千葉県と協議を重ねるなど、涸沼に次ぐ県内2カ所目の登録実現を目指している。 同センターによると、涸沼(茨城町、大洗町、鉾田市)がラムサール条約の湿地登録がされた当時も、コウノトリがすむ利根川下流域は、環境庁の潜在候補地に上っていた。 しかし豊かな湿地にもかかわらず鳥獣保護区にも指定されてないなど、多彩な水鳥の保護・保全活動に疑問符がついたことから見送り、涸沼1カ所の登録を働き掛けてきた経緯がある。 その後、生物多様性に対する県民の関心も高まり、2013年、水郷筑波国定公園内の筑波山に生息するサンショウウオが新種であることが判明。「ツクバハコネサンショウウオ」と命名され、2015年には「種の保存法」に基づき環境省から国内希少野生動植物種に指定された。 つがいのコウノトリがすむのは、神栖市の川尻地区で、対岸の千葉県側ともども、水鳥の飛来が多い湿地帯。従来の潜在候補地から何とかラムサール条約の登録候補地にしたいと意気込む県は、千葉県側との共同歩調に期待を寄せている。 内閣府の調査によると、「生物多様性」の認知度は、まだ50%強にとどまる。5月22日の「国際生物多様性の日」をはさみ、県庁(水戸市)では25日まで、啓発活動の一環として、生物多様性にかかわる展示会が開催された。 「生物多様性の保全と、生態系の持続可能な利用を推進するためには、県民の理解、意識の向上を進め、日常の中で豊かな生物多様性に支えられていることを意識し、必要な行動につなげていくことが重要」ー知事の議会答弁(今年3月定例会)だが、言葉通り、県は2カ所目のラムサール条約登録に向け、具体的な行動を促進、加速させている。(山崎実) 【ラムサール条約】特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地を保全する条約。環境省は2010年、ラムサール条約の登録を推進するため、国際基準を満たす全国172カ所の湿地を潜在候補地として選定している。潜在候補地の中から、地元自治体の賛意が得られ、湿地を保護するための法整備などが整った候補地から登録が進められる。 霞ケ浦・北浦と利根川下流はいずれも潜在候補地に選定され、このうち霞ケ浦・北浦は、ガン・カモ類などの水鳥が2万羽以上飛来し、ヨシガモの全個体数の1%以上が越冬するほか、希少な淡水魚の種の多様性が高いとされる。利根川下流は、サケ、太平洋型イトヨ、カワヤツメなど産卵のため河川に遡上する遡河性魚類の南限であり、神栖市高浜にチュウシャクシギの全個体数の1%以上が渡ってくるとされている。

ワクチンなど4つの取組が成果 殺処分 最新集計を検証する㊦

【コラム《晴狗雨dogせいこううどく》特別編・鶴田真子美】かつて全国最多だった茨城県動物指導センターの殺処分数はなぜ大幅に減少したでしょうか? 理由の第1は、パルボワクチン接種です。 2015年6月以降、常総市の野犬保護の取り組み時に、センターに収容された野犬が感染症のパルボウイルスに罹患したのを契機に、センターのパルボ撲滅を強く要望しました。このときセンターは、パルボを抑え込んだ千葉県のセンター等に視察に行かれ、全頭接種が鍵であることを聞かれたそうです。間もなく茨城県動物指導センターでも、パルボワクチンがすべての収容犬に接種されるようになりました。 それまでセンターに蔓延していたパルボウイルスにより、健康な犬たちも収容されてすぐに罹患し、血便と嘔吐で弱り、ガス室に入る前にはすでに衰弱していたというのがセンターの状況でした。殺処分前提で収容が行われていたからです。 しかし2015年夏から現在、ワクチンにより、ウイルスから個体を守ることができるようになったため、ボランティアが安心してセンターから犬を引き出せるようになりました。犬の殺処分を減らせた大きな契機はワクチン接種の実現でした。 残念ながら子猫にはまだ充分にワクチン接種がなされておらず、センターでも猫パルボが発生しております。パルボさえ抑え込めたら子猫の収容中死亡率も下がり譲渡が進みます。 これを防止するのは、幼齢の子猫への仮ワクチンの接種です。小さいからワクチンは打てないのでは、パルボウイルスにより命を落としてしまいます。パルボウイルスの体内増殖と競うように1日も早く抗体をあげるには収容時点での速やかなワクチン接種が必要です。 さらに、センターでは環境整備が課題となるかと思われます。子猫は一カ所に集めず、センター内外に小さなスペースを用意し、きょうだいごとに隔離収容することができたら、罹患したひと腹の兄弟猫と、健康体であるひと腹の兄弟猫とを一緒にせずに、より安全に助けられると思います。 また、センターに入れる前に、子猫を預けられるミルクボランティアさんの登録と養成も、猫の延命率を上げるのに有効でしょう。 条例制定で財源確保 なぜ殺処分が大幅に減少したのか? 理由の第2は、茨城県犬猫殺処分ゼロ条例の制定による財源確保です。 2018年12月、茨城県で犬猫殺処分ゼロ条例が施行され、これにより、収容犬猫へのワクチン接種や避妊去勢手術、地域猫活動に予算が下りることになりました。 2015年に常総市で野犬保護問題に取り組んで四苦八苦していたとき「待ってろよ、いまに犬猫を生かすための条例を作ってやるからな」と県議に言われました。保護犬の公示期間も2週間に延長されました。 2019年にはプレハブ猫舎が2棟建設され、古墳ドッグランが出来ました。 また、2020年にはドッグトレーナーが採用され、9月には雑居房にエアコンが入りました。 センターが直接、一般譲渡 なぜ殺処分が大幅に減少したのか? 理由の第3は、センターが直接、一般譲渡に踏み出したからです。 2019年3月までセンターは、犬猫が欲しい県民を門前で断っていました。必ず登録ボランティア団体を通して譲渡を受けることが義務付けられており、県民は犬猫がほしくてもセンター登録団体をみつけて交渉するか、ペットショップに走るしかありませんでした。 2019年度からはセンターから一般の方に直接譲渡ができるようになりました。 保護団体が毎週引き出し なぜ殺処分が大幅に減少したのか? 理由の第4は、当会CAPINが、殺処分平均数である週4匹を毎週、センターから引き出す活動を続けているからです。これは県内外のボランティアさんの頑張りによります。 当会CAPINでは、センターから毎週4頭ずつ、野犬、老犬、怖がり犬を中心に引き出してきました。2019年1月から21年5月までの合計で犬398匹となります。 飼い主に返還は少ないまま センターに収容された後、飼い主に無事返還された数はどうなっているでしょうか。 犬は2016年から20年まで、順に152匹、122匹、128匹、149匹、133匹が返還数です。収容数そのものの減少を考慮しても、相変わらずの返還率の低さです。収容頭数と比べると2016年は7%、20年は12%です。 猫の16年から20年までの返還数は、1匹、6匹、2匹、2匹、9匹という少なさです。負傷していない限り成猫は原則引き取らないセンターに、居なくなった猫を探して足を運ぶ方も少ないようです。 返還率の低さは、個々の猫の飼い主さんに、終生飼養や逸走防止の心得、完全室内飼育が当たり前という意識が育っていないこともあるでしょうが、行政側からの畜犬登録指導や鑑札迷子札の装着徹底の啓発が進んでいないことが背景にあります。 狂犬病予防法に基づく人命救助の観点からも、飼い主不明の犬がこれほどたくさん徘徊していること自体が深刻な問題です。狂犬病予防接種と畜犬登録は市町村の業務であり、市町村も飼い犬の迷子札装着や逸走時の予防線として犬の情報をつかむことが必要と思われます。 迷子や遺棄は後をたたず、収容犬猫は県内外の譲渡ボランティア団体の努力で何とか殺処分を減らしているような現状では、真の解決は遠いと思われます。 水戸市の動物行政は独立  なお2020年度から、水戸市は中核市として動物行政を独立させ、水戸市動物愛護センターを開設しました。水戸市独自で収容と譲渡を行っているので、こちらの統計は水戸市を除いた数となっています。 水戸市では現在まで殺処分は行われていません。(犬猫保護活動団体CAPIN代表)

名前を考える 《続・平熱日記》86

【コラム・斉藤裕之】いよいよ出産を控えた長女が戻ってきた。「ところで名前は決まったの?」。長く学校に携わっているので、子供の名前の流行や変遷はリアルタイムで実感してきた。あまりハイカラなのはどうかと思っていたところ、どうやら割と古風な名前が旦那の好みらしい。 孫の名前は? しかし、日本ほど多種多様な名前をつける、つけられる国も珍しい。西洋をはじめ多くの国では聖人などの先例から選ぶほかないようだし、ある国ではカレンダーに聖人の名前が書いてあって、生まれた日の名前をそのまま命名するなんて聞いたこともある。 そこへいくと、漢字、カタカナ、ひらがな…と、好き放題に、無限に考えられる日本の名前。名前は時代を反映しているというが、音のイメージに当て字というのが今風。でも親が一所懸命考えて付けてくれた名前も、大人になるにつれてあまり呼ばれなくなるのは少し残念。 愛犬の名前は? さて白い犬が来て3か月が経った。名前は「千と千尋の神隠し」に出てくる「ハク」に似ているという次女の案が採用された。私としては「もののけ姫」の「サン」の方がぴったりだと思ったのだが…。ちなみにもらわれてくる前は、里親の方が8番目に預かった犬ということで、「やえこ」と呼んでいた。これはこれでいい名前だと思った。 このハクだが、水戸あたりでノラをやっているところを保護されたという経験からか、非常に憶病で人見知りが激しい。私とカミさんにはなんとか馴れてきたが、全面的にウェルカムな犬特有の表情は見せない。 呼んでも全く反応がなく、なしのつぶてなので「ツブテ」という名前はどうかとか、散歩のときだけは楽しさ全開なのだが、帰ってくるといつもの階段下の壁際にのノ字に丸まって寝てしまって、うんともすんとも言わないので「ルンバ」というのもいいとか。 極めつけは、雨の日の散歩。マンホールのふたにたまった雨水をなぜか好んで飲むという奇妙な習性を発見。次から次とペロペロする姿がはしご酒をしているようなので、「ハシゴ」というのもありだな。つまり、そう慌てずとも、生まれた後で顔やなりを見てから名前を考えるという手もある。ちなみに、昨年飼われたペットの名前1位は犬猫ともに「ムギ」だそうだ。 私はどう呼ばれる? 長女がやって来てから、しばらくソーシャルいやパーソナルディスタンスを取っていたハク。だがその距離も少しずつ縮まり、この前はやっといっしょに散歩に出かけることができた。ハクは多分、おなかの中のもう1人のこともちゃんとわかっているのだろう。ハクと生まれてくる子の対面も楽しみだ。ハクの正式名は「ニギハヤミコハクヌシ」なんだと。 それはそうと、私自身は「おじいちゃん」と呼ばれるのだろうか。今こそ名前でと思ったが、あちらのお父さんと名前が似ている。なにかよい呼び名を考えよう。(画家)

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