土曜日, 4月 4, 2026

つくば市春日消防本部跡に患者宿泊施設や市児童発達支援センター 筑波大がPFIで検討

【鈴木宏子】筑波大学附属病院南側に隣接する、つくば市春日消防本部跡地(同市春日)約8200平方メートルを、同大がつくば市から賃借して、PFI(民間資金活用による社会資本整備)により医療複合施設の建設を検討している。3日開かれた市議会全員協議会で報告された。 同大によると、患者や家族のための宿泊施設や、つくば市による児童発達支援センター、民間の保健施設のほか収益施設の開設が検討されている。規模などは現時点で未定だが、おおむね2022年夏ごろまでの完成を目指しているという。 春日消防本部跡地は、市消防本部が2015年3月、研究学園の市役所隣りに移転した後、使われなくなった。一部が今年5月まで、水素ステーションや職員駐車場などとして利用されてきた。現在、敷地内には2階建ての旧中央消防署と、3階建ての旧筑南消防本部の建物が残っているが、解体し、さら地にして、同大がPFIにより施設を新設する。 宿泊施設は、同大附属病院の患者に限定せず、主に患者と患者家族が利用できるようにする。 つくば市が新施設内に入居して開設予定の児童発達支援センターは、発達の遅れや障害のある子供たちが通所して、日常生活の基本動作などの指導を受けたりする施設で、家族を支援したり、保育所などを訪問して支援する。同大附属病院と隣接することから、連携して事業を実施していく。切れ目のない支援体制を整備するため保健センターの母子部門や教育局相談部門の併設も検討する。 同跡地の利活用については、2017年11月に筑波大から市に利用計画が出され、市は18年から有識者や障害者団体関係者による「児童発達支援センターの在り方検討会」を設置して在り方や開設場所などを検討してきた。今年7月に提言が出され、市は賛成が最も多かった春日消防本部跡地に設置する方針だ。 今後は、12月中に市と筑波大が協定を締結、来年1月に市が住民説明会を開催する。3月には同大が実施方針を公表、4月に同大はPFI事業者の選定手続きを開始する予定。

種子条例を議員提案へ 県議会 対象作物にソバも

【山崎実】4日に開会する県議会第4回定例会に県主要農作物種子条例案が議員提案される。採択されれば全国で13県目の種子条例として来年4月1日から施行される。 稲(コメ)、麦、大豆3品目の種子を、国、都道府県が生産、普及する種子法が、民間活力の導入を理由に2018年4月に廃止されて以来、種子価格や安定的供給に対する危機感が農業関係団体などに広がった。県執行部は「茨城県稲、麦類及び4大豆種子の生産と供給に関する要綱」を定め、従来通り種子生産に取り組む方針を打ち出したが、県議会いばらき自民党政調会(伊沢勝徳会長)を中心に条例化の動きが加速し、パブリックコメントなどを実施してきた。 議員提案される県主要農作物種子条例案は、①県と関係者の連携協力による農業者の所得向上を図る礎となる種子生産②農業大県、茨城として種子生産に取り組むべき作物の位置づけと、優良な品種の育成③高品質種子の安定生産と必要な予算の確保―の3つの視点から施策を推進する。 県独自の取り組みとして、種子生産者など関係機関による種子生産、供給の連携協力、需要が見込まれる安全な主要農作物等を対象とした種子の生産、供給、施策推進のための財政上の措置―などが盛り込まれている。 特に注目されるのは、対象作物に稲、大麦、裸麦、小麦及び大豆に加え、ソバ、その他別に定める作物を位置付け、将来の奨励品種を目指した優良な品種の育成に取り組むことを明文化していることで、幅広い優良種子の生産、供給、確保の構築体制の確立を見据えている。 条例案は全15条から成り、目的、理念、県・種子生産者の役割、奨励品種の指定などのほか、種子法で規定されていた採種計画の策定、原種等の確保、指定種子生産ほ場の指定なども盛り込まれている。 ➡種子法関連の過去記事はこちら

博物館の手話通訳ガイド3人が誕生 筑波技術大が育成支援

【鈴木宏子】聴覚障害者や視覚障害者が学ぶ筑波技術大学(つくば市天久保)が今年度取り組んだ「博物館の手話ガイド育成支援プロジェクト」で、手話通訳ガイド3人が新たに誕生した。2日、同大でプロジェクトの報告会が開かれ、同大と共にガイドの育成に取り組んだ博物館など3館と、ガイドを目指して研修に励んだ3人が成果を報告した。 誰もが分かりやすい展示と案内によって情報のバリアフリー化を進め、みんなが楽しめる博物館を実現していこうと、同大産業情報学科の生田目美紀教授(感性科学)の研究室がクラウドファンディング(資金調達)を実施し、約150万円を集めて6月から約半年かけて取り組んだ(7月24日付)。 ガイドになった3人はいずれも聴覚障害者で、上野の国立科学博物館などで約2カ月間、研修を受け、同館スクールプログラムの手話通訳ガイドになったつくば市に住む同大4年の西野弘二さん▽千葉市科学館で研修を受け同館のガイドになった千葉市に住む宮崎有佐さん▽アクアワールド県大洗水族館で研修を受け、同館のガイドになった那珂市の小林裕美さん。3人は今後、利用者から要望があれば、それぞれの博物館などで手話通訳ボランティアとして活動する予定だ。 「子供たちの視野広げるきっかけになる」 2日の報告会では、ガイドになった西野さんと宮崎さんらが、3館の担当者と共に研修内容や課題などを報告した。 このうち国立科学博物館で研修した同大4年の西野さん(22)は、同館が小中高校や特別支援学校の児童・生徒向けにもともと用意している体験学習プログラムの一つを活用して手話通訳に挑戦した。ばらばらになった骨で人体模型を組み立てるという体験プログラムで、西野さんは、同館に通って実際にプログラムを体験したり、自分で骨について調べ専門用語をあまり使わずに説明する方法を考えた。同大は、手話だけでなくタブレット端末を見せながら説明する画像などを新たに用意した。約2カ月間の研修後、聾(ろう)学校の生徒を対象に同博物館で手話通訳ガイドを実践した。 福井県出身の西野さんは子供の頃、親に連れられてよく県立恐竜博物館に足を運んだという。しかし視覚的情報しか得られず「見て『すごいなー』と感じて終わりだった」。親はその後、何度も、西野さんを恐竜博物館に連れて行ってくれたが、西野さん自身は毎回「すごい」と感じただけで終わりで、そのうち疲れてしまったと振り返った。 一方、今回、手話通訳ガイドとして国立科学博物館で体験プログラムの案内をしたことで、人の骨について学んだ聾学校の生徒が、動物の骨格と人の骨格を比べたり、なぜキリンの首は長くなったのか興味をもつようになったなど「すごいと感じて終わりでなく視野を広げられるようになった」と感じた。西野さんは「聴覚に障害のある子供たちが、自分で調べる姿勢を育むきっかけをつくることができれば」と話す。 同大は来年度、手話ガイド導入を検討している博物館や水族館、動物園などと、手話を生かして活動したい個人をつなぐ活動を続ける予定だ。生田目教授は「両者をつなぐお手伝いをして、施設がより親しみやすいものになれば」と話す。

小さな芸術品「蔵書票」を展示 再開したつくばの古書店

【橋立多美】つくば市の古書店、ブックセンター・キャンパス(同市吾妻)で、「紙の宝石」と言われ収集の対象になっている蔵書票を紹介する「日本の蔵書票展」が1日から始まった。 蔵書票は本の見返し部分(表紙の内側)に貼って、その本の所有者を記す小紙片のこと。木版や銅板、石版などが用いられ、著名な芸術家が制作を手掛けている。単なる紙片ではなく、版画技法で制作された趣のある小さな芸術品だ。 日本に蔵書票が広がったのは1900年ごろ。当時の文芸雑誌「明星」が西洋の蔵書票を紹介したのがきっかけ。それまでは本の持ち主を示すものとして朱肉による蔵書印が用いられていた。現在では書物に貼るという本来の目的よりも、小版画としてコレクターの間で交換による交流が行われている。 店主の岡田富朗さん(83)は「蔵書票は本の所有者が作家の得意な絵柄に任せて依頼し、数百枚単位で作成されていたと思う。一色刷りからカラフルな多色刷りまであるが、いずれも趣のある作品ぞろい」と話す。当初の大きさは、切手大からシガレットケースほどだったが、人気が出てからは大きなサイズの蔵書票が見られるという。 同店は会津の木版画家斎藤清(1907ー1999)、版画や彫刻など多彩に活躍した池田満寿夫(1934ー1997)など、高名な作家45人による382点の蔵書票を所蔵している。今展では12人の作家の木版と銅版18点を見ることができる。 前身は古書店街の1軒 岡田さんは、筑波研究学園都市の形がほぼ整った1990年代初め、同市天久保にあった古書街の1店舗を経営していた。5店の古書店が軒を並べ、文系、理系、美術系の古書がそろい、学生と多くの市民でにぎわった。 その後、岡田さんの店は閉店。4店舗のうち残った1店舗が昨年3月に閉店して、つくばから古書店街は姿を消した。 家族の勧めもあり、岡田さんは「つくばに古書店を再び」と思い定めた。今年、新刊本を売っていたブックセンター・キャンパスで20年ぶりに店舗営業を再開した。広さ約160平方メートルの店舗に江戸や明治、大正、昭和期の古書数万冊が顔をそろえている。 ◆「日本の蔵書票展」の会期は12月30日(月)まで。営業は午前10時~午後4時、火曜日定休。同店はつくば市吾妻3-10-12(北大通り沿い)。店舗の裏に駐車場有り。電話は029-851-8100。

だれもが利用できるUDタクシーに 障害者が運転手に通達手渡す つくば駅前

【山口和紀】車いすのまま乗車できるユニバーサルデザイン(UD)タクシーの普及が進む一方、車いす利用者に対する不当な乗車拒否が全国で相次いでいる問題で、つくば市の障害者支援団体「つくば自立生活センター ほにゃら」メンバーの障害者らが11月30日、つくば駅前で、タクシー運転手一人ひとりに「不当な乗車拒否は道路運送法に違反する」などの国交省通達が書かれたチラシを直接手渡した。 UDタクシーは、車いすの障害者や足腰の弱い高齢者、ベビーカーを使う親子連れなどが乗りやすいよう設計された新しいタクシー車両で、運賃も通常のタクシーと変わらない。国が認定制度を設け普及を推進している。 一方で、車いす利用者の乗車拒否が全国各地で相次ぎ、障害者の当事者団体「DPI日本会議」が10月に行った全国調査では、調査に参加したおよそ4分の1の32人が乗車を断られた。 こうした事態を受けて国交省は11月19日、全国ハイヤー・タクシー連合会に対し通達を出し、電動車いす利用者であることや、乗降に時間がかかることを理由として乗車を拒否することなどが、道路運送法に違反するとはっきり示した。 通達を広く知ってもらおうと、タクシー運転手にちらしを手渡す活動に参加したのは、いずれも車いす利用者で、つくば市在住の川端舞さん(27)、川島映利奈さん(37)、鶴岡信也さん(23)。つくばエクスプレス(TX)つくば駅ロータリーで客待ちをしているタクシー運転手に話し掛け「このような通知が出ていますので、お時間のある時にお読みください」と約1時間半にわたって計15社の運転手にチラシを配った。 参加者した川端さんは自らの体験を振り返り「スロープを使って車いすで乗り込むのは、慣れてない運転手だと時間がかかる。乗り込むまでの時間を運賃に上乗せされた経験がある。それはやっぱりおかしい」と話す。 川島さんはUDタクシーに乗ろうとして断られた経験がある。つくば市内のタクシー会社に予約の電話をしたところ「UDタクシーを扱える運転手が一人しかいない。その日は出勤していないので無理」と言われたという。同じく川端さんも「前に乗ったことのある会社だったのに、電話をしたら『UDタクシーはない』と言われ断られた。おかしな言い訳だ」と語った。つくば市でも正当な理由なく乗車拒否が起きているのが現状だという。 川端さんは、運転手の研修が十分に行われていないことも問題だと指摘する。「障害をもった私たち当事者を研修に呼んでほしい。例えば関東鉄道バスは、当事者を交えた研修を行うようになってから対応がとても良くなった。声を掛けてもらいたい」と呼び掛ける。 川島さんによると、UDタクシーは「車いすのまま乗れる、介護タクシーと違ってタクシー会社がやっているから24時間いつでも利用できる、料金も通常のタクシー運賃と同じ」なのが利点だという。鶴岡さんも「駅に着いてすぐに(UDタクシーに)乗らせてもらえるのが一番いい。営業所などにわざわざ連絡しなくてはいけないはおかしい。普通にタクシーに乗りたい」とだれもが利用できるUDタクシーの在り方を訴えた。

台風に負けない新そばデビュー 土浦・小町ふれあいまつり

【相澤冬樹】茨城県南きってのソバ産地である土浦市新治地区で30日、令和初の新そばを振る舞う「小町ふれあいまつり」が開かれた。台風19号で県北地方を中心に収穫直前のソバ畑が浸水し、壊滅的な被害が出た県産ブランドの「常陸秋そば」だが、新治地区では大事に至らず収穫出来たそう。会場の同市小野、小町の館にはもみじ狩りの行楽客も駆けつけて、地元のそば愛好会による手打ちそばなどに舌鼓を打った。 11回目を迎えたふれあいまつりのメーン行事が「そばまつり」。同市農業公社が新治地区で契約栽培する「常陸秋そば」を初めてお披露目する機会にしている。この日は好天に恵まれ、地元JAの農産物や加工品販売もあって、朝10時の開会を待ちきれないように車列が会場周辺を埋めた。 新治地区の下坂田、大畑の両そば愛好会が新そばを持ち込み、茹であげ、天ぷらそばなどにして販売するほか、そば打ち体験イベントや「小町の水車」の石臼挽きデモンストレーションなどが行われた。そば店には仕込み作業中から行列ができ、各店300~400食のそばを早々に売り切った。 同公社は新治地区で15軒の生産者と契約し、加工したそば粉を販売している。その作付面積は73ヘクタールに及ぶ。矢口勉事務局長は「昨年一昨年と台風被害で契約数量が調達できない不作をこうむっていただけに、今年の台風19号には心配させられた。しかし花の時期が終わっていたため何とか被害を免れて、実のしっかり入った出来のいいソバの収穫ができた」という。 そば打ち体験イベントを催した下坂田そば愛好会のメンバーは「新そばは香りが大事。今年は打っていても香りが違うし、ややグリーンがかった色合いもいい。いいそばが打てそうだ」と評価する。体験イベントには毎年のように参加する常連が少なくない様子だが、「新そばは水加減が難しい」と言いながら手でこね、のし棒に巻き付けて延ばす作業に励んでいた。

新たに9品をブランド認定 筑波山地域ジオパーク

【鈴木宏子】筑波山や霞ケ浦、関東平野などで構成される「筑波山地域ジオパーク」をPRする同ジオブランド認定商品として29日、ワインやクッキー、しょうゆなど7事業者の9商品が新たに認定された。 いずれも同ジオパーク地域内で採れた食材を使ったり、地域内で製造された食品で、食を通じて同ジオパークを発信することが期待されている。認定は昨年度に続き2回目。昨年度の認定商品11事業者13商品と併せ、認定商品は計22商品となった。 今年4月から6月まで公募し、応募があった8事業者10商品の中から選ばれた。29日、つくば市役所で認定証授与式が催され、同ジオパーク推進協議会会長の五十嵐立青つくば市長から7事業者に認定証が手渡された。 同ジオブランド審査委員会の田中牧子委員長は「各ゾーンのお土産がだいたいそろった。今後はグルメツアーを考えたり、販売方法を検討したい」と語り、五十嵐市長は「おいしいものがジオパークにつながっていることを知っていただく機会になる。各地で商品を宣伝していきたい」と述べた。 今回認定を受けたジャムファクトリー代表の大類由美子さんは「梅畑の隅に受粉木として植えられている小梅を使ってジャムを作った。認定をきっかけに、さらにいろいろな人に知ってもらえたら」と話していた。 認定商品は、筑波山ジオパークの公式ロゴマークを商品に付けて販売できる。各店の店頭やジオパーク関連イベントなどで購入できるが、現在、認定商品を一堂に展示・販売している店舗はないという。 新たに認定された7事業者の9商品は、▽筑波山麓のワイン畑、ビーズニーズヴィンヤーズ(つくば市)の赤ワイン「オーバードライブ」(750ミリリットル、4000円~4200円)と白ワイン「スパイラル」(同、3800円)▽久月総本舗(土浦市)の帆引き船をイメージした洋菓子アーモンドチュイル「帆引れんこん物語」(10枚入り、1425円)と、県産食材を使ったケーキ「常陸のスフレ」(8個入り、1857円)▽茨城産大豆を2年発酵熟成させた鈴木醸造(桜川市)の丸大豆しょうゆ「筑波山」(150ミリリットル、356円)▽霞ケ浦産のワカサギとエビの佃煮を使用した高月堂(土浦市)のクッキー「霞浦の恵み」(10本入り、2480円)▽小梅を使ったジャムファクトリー(つくば市)のフルーツソース「筑波山麓果実 小梅のフルーツソース」(140グラム、800円)▽北条米と筑波山地域で収獲された野菜と肉を使用した吉屋(つくば市)のつくば道弁当(1000円)▽石岡産甘柿の上品な味を凝縮させた三宝園(石岡市)のドライフルーツ(5袋入り、1500円)。価格はいずれも消費税込み。

「エリザベスって何?」 土浦市展に高校生が新風

【相澤冬樹】第72回土浦市展(同市美術展委員会など主催)が28日から、市民ギャラリー(同市大和町アルカス土浦1階)で始まった。日本画、洋画、書など7部門に作品375点が出展されるなか、高校生の参加が増え、異色作も飛び出して、新風を吹き込んでいる。 市展事務局によれば、今回は写真と書道の両部門を中心に学生層の出展が増えた。特に高校生の参加が目立ち、書道部門では応募が前回の9点から19点に増え、前回ゼロだった写真部門では一気に21点も集まった。県立土浦二高、常総学院高、霞ヶ浦高を中心に出品があった。 1947年にスタートした同市展は、県内で最も歴史がある公募型の展覧会だが、近年は顔ぶれの固定化と老齢化が顕著になっていた。一昨年、会場を土浦駅前の市民ギャラリーに変更したのを機に、若い才能の発掘を意図して、高校生の出品料を無料にするなどテコ入れを図ってきた。 事務局の市教委文化生涯学習課によれば、今回は各校に直接連絡を取るなどして、出展を促す一方、市内の高校10校が参加した「学祭TSUCHIURA2019」の開催などにより、高校生の参加機運も盛り上がったという。 審査で優秀作に与えられる奨励賞にも写真で2人、洋画と彫刻で各1人の高校生が選出された。写真部門の審査では「奨励賞に選んだ内海優菜さんの作品に付けられた『エリザベス』って何なのか審査員の誰一人分からなかった。後でアニメのキャラクターだと分かってあ然とした」そうだ。 2年連続で奨励賞を受賞し、鑑賞に来ていた高橋政男さんは「写真は毎回似た顔ぶれで狭いスペースに押し込められていたのに、今年は広くなった上に2列で展示している。若い人の参加で活気が伝わってくる」と話していた。 土浦市展は12月8日まで。30日、12月1日、7日、8日の土日には、出品作の前で美術展委員らが解説するギャラリートーク企画もある。入場無料。問い合わせは同ギャラリー(電話029-846-2950)

サンタになって子どもたちに笑顔を届けたい つくばのボランティア活動

【山口和紀】クリスマスイブの12月24日、サンタクロースにふんして家庭を訪問し子どもたちにプレゼントを手渡す活動がある。クリスマスの楽しい体験を通じて「子供たちに笑顔を」届けるのが狙いだ。サンタにふんして訪問するだけでなく、活動を通して得られた寄付金で貧困家庭や被災地を支援するチャリティー活動も行う。 この活動はNPO法人チャリティーサンタが取り組んでいる。同つくば支部(岸野史男代表)では、今年のクリスマスイブにサンタクロースに訪問して欲しい家庭と、サンタにふんして家庭を訪問し子どもたちにプレゼントを手渡すボランティアを募集中だ。 同法人は「世界中の子どもたちに笑顔を」というコンセプトのもと、幅広い活動を行う。現在26都道府県で活動しており、これまで1万5000人以上の大人たちがサンタとなって3万人を超える子どもたちにプレゼントを届けた。 同つくば支部は、つくばみらい市内在住の会社員、工藤咲希さん(25)が、つくば市にチャリティーサンタがないことを知り「子どもたちに、とっておきのクリスマスを届けたい」と2017年に立ち上げた。工藤さんは、大学時代からチャリティーサンタの活動に興味があり、いつか参加したいと考えていた。秋田県立大学を卒業後、つくば市に勤務することになり、そこで「つくばにチャリティーサンタがないのはもったいない。ないなら作ればいい」と思いたち、立ち上げを決めた。 子どもの頃、テレビで貧困の中にある世界の子どもたちのことを見た工藤さんは、クリスマスを前に「私のプレゼントはいらないので、世界の困っているこどもたちにプレゼントをあげてください」と手紙を書いて、家の窓際近くの、手紙が入る大きな靴下に入れたという。結局、その年は、英語で書かれた手紙と共にプレゼントが置いてあった。今思えば「お父さんが慣れない筆記体で書いた手紙だった」が、当時は「本当にサンタさんが来た」と、とてもうれしかったことを覚えているそうだ。 現代表の岸野史男さん(41)はフリーランスのライターでつくば市内に住む。つくば駅などで清掃活動を行う団体「グリーンバード」で活動をしている際に工藤さんからチャリティーサンタに誘われた。初年度からともに活動している。工藤さんは「(岸野さんなら)広い視野で、子どもたちのために何ができるか、どういう大人であるべきかを考えられる」と代表を引き継いでもらったという。 チャリティーサンタの主な活動のひとつが「サンタ活動」だ。申し込みがあった子育て家庭の自宅に、サンタの服装をしたボランティアが訪問し、各家庭が用意したプレゼントを届ける。単に手渡すだけではなく、家庭と事前に打ち合わせをし、一人ひとりの名前を呼びつつ、「頑張ったこと」「応援してほしいこと」などのメッセージを届ける。「(サンタ活動は)むしろ、やっているこちらが感動させてもらえる」と岸野さん。「子どもたちに特別な思い出を届けることができたら」と語る。訪問した家庭の子どもたちから、折り紙の裏に絵が書かれた手紙をもらい、「今でも大切にしている」とうれしそうに話す。 同団体では併せて、経済的な問題を抱える家庭を支援する活動「ルドルフ基金」も行う。訪問した各家庭から寄付金3000円を募り、集まった寄付金をもとに貧困家庭の子供たちにプレゼントを届けるなどの事業に活用している。市内で貧困家庭の子供たちを支援するNPOなどとも協力して活動しており、昨年12月にサンタを招いた団体のスタッフは「子どもたち一人ひとりに絵本を下さった。それも、一人ひとりに合った絵本を選んでくれた。とてもいい経験になったと思う」と感謝を述べる。 岸野さんは「活動には実際にやってみないと分からない魅力がある。少しでも興味があったら気軽に参加をして欲しい」と話す。今年度の「サンタ活動」のボランティアや訪問する家庭は募集中だ。 また他の地域のチャリティーサンタは学生が中心となりサークルのような形で行っていることが多いが、最初に始めた工藤さんが社会人だったこともあり、同団体を運営するスタッフは社会人を中心に5人。「筑波大学や筑波学院大学の学生など、若い力を貸して欲しい」と、学生の運営スタッフも同時に募集する。夏には被災地の子どもたちと自然体験ツアーを行うなど、クリスマスだけでなく1年を通じてチャリティーサンタの普及活動をしている。 サンタになりたい人、サンタを呼びたい家庭の申し込みはNPOチャリティーサンタHPへ。

「地域」を撮ったコレクション つくば「夢工房」所蔵品展

【池田充雄】つくば市豊里の杜のギャラリー「夢工房」で、所蔵品展が開かれている。12月1日まで。ギャラリー主宰の塚田幸子さんがコレクションした写真・陶芸・彫刻や、賛助作家によるミニ写真展、塚田さんと仲間による「東京を撮る」の特設展示など、幅広い作品を見ることができる。 最終日にはトークショーも 壁面構成の大部分を占めるのは写真の展示だ。柳下征史さんの「ひだまりの茅葺(かやぶ)き民家」6点は、大子町など県内の古民家を、地域の風土や生活とともに捉えたもの。柳下さんはこのテーマを20年ほど撮り続けており、ほかに金砂郷(常陸太田市)の磯出大祭礼の記録集などでも知られる。 篠崎隆さんは「黎明(れいめい)の筑波嶺」「追憶ふるさと点描」の計6点。「追憶―」シリーズは、桜川市の神事や民俗行事を収めたもの。テレビ局などを活動の場としてきた映像作家で、「映画を作る合間に撮った」というが、作品性とともに記録的価値も高い。 写真ではほかに清水雅之さん「足尾探求」、英伸三さん「里の農の記憶」、金瀬胖さん「日本橋」など。それらの間に市村緑郎さん、井上壽博さん、一色邦彦さんらの彫刻や陶器が、要所を押さえるかのように配されている。これらは塚田さんが「そのときどきに出会い、惹かれたもの」であり、やはり県内作家の作品が多い。 いままで個展を中心としてきた同ギャラリーとしては、新たな試みとなった。「これだけのスペースでも、1つのタイトルだけで展示をまとめるのは大変な作業。年に一度くらいはこのように、さまざまな人に参加していただければ、それも一つのやり方かな」と塚田さん。次の展開としては、筑波山麓の自然と暮らしが息づく写真展などを考えているという。 開廊は午前10時30分~午後4時、入場無料。12月1日午後1時30分からは、篠崎隆さんの映像作品「常陸国風土記」上映会とトークショー(コーヒー付き2000円)がある。 ◆Cafe&Gallary夢工房(つくば市豊里の杜2丁目2-5、電話090-4676-9623)

Most Read