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光と音で土浦の花火を投影 キララまつり
【谷島英里子】「土浦キララまつり2018」が開かれたJR土浦駅前のアルカス土浦で4日夜、花火をモチーフにしたプロジェクションマッピングが初めて行われた。同市のイメージキャラクター「つちまる」が自転車に乗って市内を散策する様子や、花火が次々と打ち上がる映像が投影され、訪れた人たちは次々と変化する映像を楽しんだ。
キララまつりの熱気が残る中、プロジェクションマッピングを見ようと、アルカス土浦前の広場やペデストリアンデッキには、家族連れや浴衣姿の中高生などが集まった。
映像は、アルカス土浦の外階段(ステップガーデン)と図書館3階空中ラウンジのガラス部分に6分間投影された。
自転車に乗ったつちまるが土浦駅前を出発し、中心市街地の観光施設、まちかど蔵「大徳」や桜が満開の桜川の土手、亀城公園、帆引き船などを紹介していった。さらに日本三大花火といわれる秋田県大曲、新潟県長岡と、土浦の花火が次々に打ち上がった。
つちまるの映像が現われると、見ていた子ども達から「あ、つちまるだ」という声が上がった。
市内に住む20代男性は「花火の映像が色鮮やかできれいだった」と感想を話していた。
土浦キララまつり2日目の5日は同会場で午後7時30分、8時、8時30分、9時の計4回投影を行う。
一人暮らしする障害者、高齢者を応援 福祉アパート「あんしん荘」
【鈴木宏子】一人暮らしをする障害者や高齢者を応援する福祉アパート「あんしん荘」が土浦市真鍋と阿見町岡崎にある。大家で、土浦市の会社員、鈴木一也さん(35)が夫婦で運営する。
保証人がいなくても入居でき、敷金、礼金は不要。冷蔵庫、洗濯機、IH(電磁加熱)調理器、エアコン、照明などの家電付きだ。バリアフリーではないが、玄関やトイレなどに、入居者に合った高さに無料で手すりを付けてくれる。
入居時に、行政や民間の福祉・介護関係者、大家の鈴木さんと3者で面談する。介護や家事、緊急時の対応、経済面など、その人に合った在宅支援体制を3者で考え、週3、4日だれかが部屋を訪ねてくる体制をつくる。
土浦と阿見に1棟ずつある福祉アパートはいずれも2階建てで、各部屋の間取りは1DK、家賃は月3万4000円から3万7000円。2カ所とも車がなくても歩いて行ける場所にスーパーやコンビニがあり、バス停が近い。
土浦は築30年、阿見は築25年。日本政策金融公庫から事業用融資を受けて鈴木さんが購入し、改修して2016年から福祉アパートとして運営を始めた。現在、健常者も含め40歳代から70歳代が入居している。購入時、いずれも半分以上が空き室だったが、10室ある阿見は満室、8室の土浦は7室が埋まり2月中に満室になる。
■150カ所訪ね構想話す
不動産会社も大家も、高齢者や障害者の入居に消極的であることに疑問をもったことがきっかけになった。
九州地方で高齢者を積極的に受け入れていた大家から福祉アパートの経営を勉強。人口減少社会となり、地域によってはアパートに空室が目立っていること、一方でこれまで不動産業界があまり目を向けていなかった高齢者や障害者がアパートで自立生活を送りたいと望んでいることなどを知った。
福祉アパートの運営構想を自分なりに作り、2015年6月から、仕事が休みの土日曜などに、土浦、つくば周辺の福祉施設などを1カ所ずつ訪ねて回り、自身の構想を話し、需要があるかを探った。訪ねた施設は1年間で150カ所以上になる。
■リスクを一つひとつ除去
不動産賃貸業界では高齢者や障害者の入居に対して、室内での転倒によるけが、火災、犯罪被害、家賃滞納、孤独死などのリスクが懸念されている。
鈴木さんはリスクを一つひとつ検討し対応策を考えた。
室内で転んでけがをしないように必要な場所に手すりをつける▽段差がある場所に蛍光シールを張る▽ガラスが割れてけがをしないように飛散防止フィルムを張る▽火災が起きないようガスコンロや石油ストーブでなくIH調理器やエアコンをあらかじめ設置する▽玄関の閉め忘れがないよう鍵はオートロックとする―などだ。
さらに3者面談で支援体制をつくるにあたっては、鈴木さんが独自に考案した用紙に健康状態や介護サービスの利用状況、経済状況、緊急時の連絡先などを記入してもらう。「仮に孤独死が発生したとしても保証会社の保険を活用できる」と鈴木さん。「リスクが誇張され過ぎている。介護・福祉事業者の支援や保険でかなり軽減できることを大家さん自身がもっと知るべき」と話す。一方で「不動産業界と無縁だったからこそ挑戦できた」ともいう。
鈴木さんは「支援者と連携することで障害者や高齢者が一人暮らしできるまちをつくることは、住みやすいまちをつくることになり、まちおこしにもなっていくと思う。空き家に悩んでいる大家さんはたくさんいる。福祉アパート運営のノウハウをつくって、必要な人に必要な情報を届けられたら」と話す。
問い合わせは鈴木一也さん(電話090・8330・4545、Eメール;ea10679@gmail.com)
子育て、福祉―「きめ細かい市民ニーズに応えた」 つくば市新年度予算案
【鈴木宏子】つくば市の五十嵐立青市長は7日、2018年度当初予算案を発表した。一般会計は前年度当初と比べ2.3%減の856億1700万円となる。過去最大だった前年度に次いで2番目の規模。五十嵐市長は「子育て、教育、出産、中心市街地(の問題)など、やらなければいけながったがこれまで手が付けられなかったきめ細かい市民ニーズに応えた」とし「子供の貧困対策に力を入れた」と強調している。
特別会計などを合わせた総額は1391億6700万円で同比1.6%減。つくばエクスプレス(TX)沿線の二つの義務教育学校の建設が終了したことからマイナスとなる。
歳入は、人口増加などから市税が同比2.7%増えると見込む。借金に当たる市債は二つの義務教育学校の建設終了により同比22・5%減少する。ただし市債と、将来発生する支払い見込額である債務負担行為を合わせた残高は前年度より増えて708億円になる見込み。旧茎崎町との合併算定替えの特例期間が終了し18年度から不交付団体となるという。
新年度の主な事業は、子どもの貧困対策として、ひとり親家庭の児童などに支給する福祉金を児童1人当たり年3万円増額し1億2700万円を計上する。子どもの学習支援として、新たにNPOや社会福祉協議会などが取り組む無料学習塾4カ所に計850万円を補助する。
子育て支援は新規事業として、産婦人科を新たに開設したり、病床を増やしたり、医療機器を購入する産婦人科施設に費用の半額を助成する(5000万円)。出産後、体調不良や育児不安がある母親が、赤ちゃんと一緒に診療所や助産院に宿泊しながら育児相談を受けたり心身のケアを受ける産後ケア(525万円)にも新たに取り組む。
教育は、統廃合により4月に開校する秀峰義務教育学校のスクールバス運行に1億8400万円を計上。小学校に続き市立中学校11校の普通教室すべてにエアコンを設置する(4億1800万円)。
つくば駅前の商業施設クレオから西武筑波店に続いてイオンつくば駅前店が撤退するなど空洞化が課題の中心市街地対策は、クレオ跡地の利活用を調査する委託費などに648万円を計上。中央公園(吾妻)の池の水をきれいにして子どもたちが水遊びできるようにするなど、たまり場や遊び場をつくる実証実験をする中心市街地プレイスメイキング事業に1000万円を計上する。
ほかに、高齢者や障害者の外出を自家用車で移送支援しているNPOなどの福祉有償運送事業に計160万円を補助する▽市役所(研究学園)敷地内に、市民が交流スペースとしても利用可能な分庁舎を建設するため、9億4600万円(15年間)の債務負担行為を設定する▽産業振興センター(吾妻)を1億2300万円で再整備し1階に共有オフィスとなるコワーキングスペースなどをつくる▽中央図書館は、土日曜の開館時間を2時間延長し、無料駐車時間を1時間延長する(計915万円)。
民間保育所の保育士の給与に月額3万円を上乗せする保育士処遇改善助成金は、17年度に引き続き実施し2億2100万円を計上する。事業を凍結した竹園3丁目地区の地域拠点再構築事業は18年度も凍結のままという。
マスコットで地域を盛り上げよう つくばFCがプロジェクト開始 学院大でワークショップ
つくば市を拠点に活動しているサッカークラブ、つくばFC(同市稲岡)が、同市やその近隣地域を盛り上げるために、地域の人々がアイデアを出し合ってマスコットをつくろうというプロジェクトを立ち上げた。30日に筑波学院大学(つくば市吾妻)で開かれた第1回ワークショップには、地元企業関係者や学生ら約30人が参加。自由に意見を出し合った。
プロジェクトは「うちのクラブだけでなく、応援してくれる地域や企業、ファンの魅力度を共に上げていくことが狙い」と、つくばFC代表の石川慎之助さん(38)。誕生したマスコットは、地域の企業が自社をPRしたりするなど、公序良俗に反しなければ誰もが使えて親しまれるものにしたいという。そのためにも「地域ぐるみでマスコットを育てていくことを大切にしたい」と石川さん。
この日、ファシリテーター(会議で発言を促し、議論をスムーズに進める人)を務めたつくば市在住のイラストレーター、ふるやまなつみさん(29)は、マスコットについて、性格、似合う色など9つの項目を上げて「思いついたことをどんどん発言してください」と呼びかけた。参加者は「宇宙に住んでいる」「SNS映えする色」など、自由な発想でアイデアを出し合い、それを元にグループごとにマスコットのストーリーを考え、発表した。
「5年間魅力度ランキング最下位の茨城県の魅力度をUPさせるために助けに来た宇宙人が、ハス田に落下、県内で出合った魅力をSNSで発信して成長する」というユニークなストーリーをグループ代表で発表した筑波学院大2年の石嶌紅葉さん(20)は「いろんな人と話し合い、マスコットについて企業側から見た意見も知ることができて、よい経験になった」と述べた。
マスコット制作のワークショップは来年1月11日まで一般向けのヒアリングを含めて計3回開催。そこで出た案を元にふるやまさんがデザイン案を作成、一般に投票を募った後、来年3月21日にマスコットが誕生する予定。(大志万容子)
「みんなの夢」後押し25年、100件超す カスミの地域支援事業
「つくば音万博~音もだちになろう~」「英語を楽しむ1日~English Festival in Tsukuba~」。こんな2つの手作りイベントが、2017年のカスミグループの地域支援事業「『わたしの企画』応援します!」で採用された。カスミファンの夢の実現を後押ししたいという思いで1993年にスタートし、続けること25年。今回の2つを加え、これまでの採用企画は計101件となった。
10月8日、「つくば音万博」(企画者・河原井みつるさん、東京・杉並区)のイベントが披露された。会場は、つくば市西大橋にあるカスミつくばセンター。「いまできることで楽しめる音楽をつくりたい」と、誰でも参加できる4つのパビリオンが用意され、約50人が午後1時から同5時過ぎまで楽しく交流した。
パビリオンの内容は、①レコーディング体験(未来の自分を応援する『ことば』を本格的機材で録音)②歌声ビュッフェ(昭和歌謡曲を中心に600曲からリクエスト、生演奏に合わせてみんなで歌う)③音の出る紙芝居(火や水の音、動物の鳴き声などいろんな効果音と語りを楽しむ)④ライブ&むちゃぶりセッション(プロと一緒にバンド体験)。開催時間をずらしながら、みんながお気に入りのパビリオンで過ごせるようにした。
「わたしの企画」を担当するカスミ環境社会貢献部の高野真由美マネジャーは当日を振り返る。
「音楽は聴くだけじゃなくて、参加することが大事なんだなと感じました。聴きながら、笑う。代表の河原井さんはトークも巧みで、お笑いもできるんじゃないかって思うぐらいでした。歌声ビュッフェでは、みなさんがそれぞれ思い入れのある曲を選んで歌っていて、盛り上がったり、しっとりしたり、踊りだしたり。とてもいい時間でした」
カスミつくばセンターは92年11月11日に完成したグループの本社ビルの建物。「市民活動の交流や文化発信の場に使ってほしい」という社員の願いが込められ、それが結実したのが翌年に始めた「わたしの企画」だった。会場提供だけでなく、採用企画にはイベント開催に必要な費用の全額か一部も提供、そして社員のサポートもある。営利目的でなければテーマは自由、年齢、職業、住所にも制限はないというおおらかさが特徴だ。
もうひとつ選ばれた企画「英語を楽しむ1日」(企画者・筑西イングリッシュアイランド代表、篠崎賢さん)のイベントは11月12日に披露される。会場はやはりカスミつくばセンターで、午前10時~午後4時半。参加は無料、申し込みも必要ない。スピーチ、ライブ、ダンス、読み聞かせ、展示など誰でも楽しめる「英語のお祭り」で、英語をベースにした企画は25年間で初めてだそうだ。
カスミつくばセンターはアメリカの建築家マイケル・グレイブス氏(1934~2015)の設計。ギャラリー、エントランスホール、研修室などがあり、採用企画に合わせて会場が選ばれる。(米内隆)
問い合わせはカスミ環境社会貢献部(029-850-1824)まで。
A4の写真にピタリ俳句添え 神立で15日まで「写・句展示会」
写真と俳句を組み合わせた「写・句展示会」が、15日まで土浦市神立町の神立地区コミュニティセンター1階で開かれている。一般募集した作品11点が展示され、訪れた人を楽しませている。入場無料。
A4サイズの写真に手書きの俳句が添えられ、四季折々の風景を中心に魚や犬などさまざまな力作がそろった。今年も応募した同市の農業、小宮威彌(たけや)さん(74)は裏山に見えた雲と稲刈り後の風景に「裏山に 雲二つ三つ 秋収め」と句をつけた。
主催は神立商工振興会の神立地区楽しい街づくり推進協議会で、展示会は毎年恒例。開館は午前8時~午後6時。
(谷島英里子)
この迫力、ライブペインティング 現代美術家ロブレスさん発信
つくば市吾妻の県つくば美術館で9日、フィリピン出身の現代美術家、エリザベス・ロブレスさん(62)のライブペインティングがあった。3日からこの日まで開催されたロブレスさん主宰のアートスクール展覧会e展5のクロージングイベントで、音楽、ダンスとコラボしての迫力あるあふれるパフォーマンスに、会場は熱気に包まれた。
会場に設けた高さ2㍍ほどの白い板でつくった正方形のオブジェを中心に、ロブレスさんは2人のダンサーと、マイケル・ジャクソンの「スリラー」をアレンジした曲にあわせてパフォーマンスを繰り広げた。黒いアクリル絵の具を白い板にバシッと叩きつけたり、リズミカルに指で優しく塗ったり、ダンサーにもつけたりしながら次第に熱を帯びていく表現に、観客らは息をのんで見入っていた。
鑑賞した五十嵐立青市長は「このようなパフォーマンスは我々の日々の暮らしで固まった心の襞(ひだ)をふるい落とし、前に進む力を与えてくれる」とたたえ、「人間性の回復につながる」と、アート活動の意義を強調した。
ロブレスさんは「つくばセンター地区は昔に比べて活気がなくなってきたように見えるが、アートの発信でそれを変え、この地区を元気にしていきたい」と熱を込めた。
ロブレスさんは1991年に筑波大学に留学。フィリピン大学で教べんを執るなどした後、2010年から、つくば市二の宮でアートスクールを開いている。今展には5歳から70代まで年齢、国籍もさまざまな25人が、クレヨン画や鉛筆画など100点以上を出展した。(大志万容子)
土浦の夜空を彩る花火競演 土浦花火大会
日本三大花火の一つ、第86回土浦全国花火競技大会は7日午後6時から、土浦市、学園大橋付近の桜川湖畔で開催された。
会場では、約2万発の花火が打ち上げられ、観客らは花火を堪能した。このうち約6分間にわたって約2100発を打ち上げるワイドスターマイン「土浦花火づくし」の打ち上げでは、多数の花火が夜空を覆い尽くし、観客席からは拍手が沸き起こった。(写真=坂本栄、崎山勝功)
「作陶で脳が元気に」 味わいある作品500点 「つくばね焼陶芸教室」グループ展
筑波山中腹の窯元で作陶する「つくばね焼陶芸教室」のグループ展が、つくば市吾妻のつくば市民ギャラリーで開かれている。手の温もりが伝わるような作品約500点が一堂に並ぶ。出展メンバーの一人で、フランス出身の筑波大学助教ジャクタ・ブルノさん(50)は、作陶の喜びを「脳が元気になる」と話す。
同教室は、筑波山中腹の約8千坪の敷地内に登り窯を設け、きれいに焼き色が出るという筑波山の土を陶土につくる「つくばね焼」窯元の梅田八主守さん(85)が指導する作陶グループ。展覧会は、生徒の発表の場として年1回開いているもので、9回目。「使われてこそ器」が梅田さんのモットーで、今展でもコーヒーカップや皿、花器など、身の回りに置いて使いたくなるような、温かみのある作品が並ぶ。「ものづくりは面白い。生徒には自由に作陶を楽しんでもらっている」と梅田さん。
日本の陶芸に魅せられ、1年半前から教室に通うジャクタさんは「日本の陶器は、工場で作るように均一な西洋のものに比べて、形がいびつで完璧ではない。だからこそ人がつくっている味わいがある」と話す。月2~3回の作陶は、デスクワークで疲れた頭を休めてリラックスできる時間といい、「陶芸で手の筋肉を使うと脳が元気になる」と喜びを語っていた。
同展は9日まで。入場無料。(大志万容子)
使い易そうな、温かみのある作品が並ぶ「つくばね焼陶芸教室」グループ展=つくば市吾妻のつくば市民ギャラリー
いばらき腎臓財団に第一生命保険「保健文化賞」 賞金200万円
臓器移植の普及や啓発に取り組んでいる公益財団法人いばらき腎臓財団(つくば市、理事長・山縣邦弘筑波大学腎臓内科学教授)が、第一生命保険主催の「第69回保健文化賞」を受賞した。腎臓財団が2008年度から続けている子どもたちへの「いのちの学習会」活動が高く評価された。贈呈式は10月12日、東京・帝国ホテルであり、賞金200万円が贈られる。年間の事業費規模が約900万円の財団にとって、大きな支えとなる。
第一生命保険によると、保健文化賞は1950年創設と歴史があり、近年は、生活習慣病対策、高齢者・障害者への福祉、海外医療や疾病対策などに継続的に取り組んできた個人・団体を顕彰している。今年度は個人6人、団体はいばらき腎臓財団を含む9件が受賞した。厚労省、朝日新聞厚生文化事業団、NHK厚生文化事業団が後援している。
評価された「いのちの学習会」は、小中学校や高校に出向いて開いてきた。臓器移植への理解を深め、自分や他人の命を尊重する心を育んでもらうのがねらい。筑波大などの医師や看護師、腎臓財団職員らが移植医療の現状を伝えるため、臓器移植の仕組みを学ぶDVDを見せたり、さまざまな移植の事例を紹介したりする。移植する側、される側双方の家族らが直接話すこともあった。
児童・生徒には、生後間もない赤ちゃんの実物大の人形を抱っこしてもらい、人形と自分を比べて成長を感じることで「生きること」や「命のつながり」について考えたり、感じたりしてもらっている。
学習会は08年度から15年度までに県内の33小学校、19中学校、27高校で開催された。16年度には15年度の1.5倍近い延べ32回に増えたという。腎臓財団のスタッフは「一人でも多くの方々に臓器移植医療に関心を持ってもらえるよう、今後も地道な活動を続けていきます」とコメントしている。(米内隆)
腎臓財団事務局は電話029・858・3775、「いのちの学習会」の申し込みはinfoiba@iba-jinzou.com
ごみ出しは命がけ 横断歩道なし、渋滞県道向こうの集積所へ
「住民はごみを出すのに命がけなんだ」
そう語るのは、つくば市茎崎地区の小茎区会を束ねる小泉茂区長(68)だ。
小茎は、つくば市に編入する前の旧茎崎町役場が置かれた集落で、純農村地帯の中心だった。集落を横切る県道46号(片側1車線)はかつて生活道路だったが、周辺都市や都心へと向かう車が激増し、朝夕の通勤時間は慢性的に渋滞が発生している。
一方で、赤信号に捕まらなければ車はスピードを上げて通り過ぎていく。
こうした渋滞は、「朝8時まで」と決められたごみ出しの時間と重なる。それはまさに、小泉区長がいう命がけのごみ出しとなる。
小茎区会のごみ集積所は県道沿いの小茎農村集落センター脇にある。約150世帯の区会中、50世帯は集積所側にあるが、100世帯は国道を挟んだ反対側に位置する。安全に国道を横断するには約100m離れた茎崎農協前の信号まで行き、横断歩道を渡って集積所まで戻るしかない。
実際には車が途切れたときか、渋滞している車の間を縫うようにして県道を横断している住民が多い。集落の大半が2世帯同居世帯で、人数が多い分だけごみの量も多く、ごみ袋が重たいので回り道をしたくないという意識が働くからだ。特に足腰の弱った高齢者にとって遠回りは負担が大きい。
「先日は、左手にごみ袋を下げ、右手を上げて渋滞している車の前を横切った住民が、左からスピードを出して走って来た車と接触しそうになったことがありましたよ」と小泉さんは話す。
朝7時には渋滞するため、6時前にごみを出す人もいる。小泉さんは横断歩道があれば、とも考えた。だが、横断歩道の新設は、警察庁の交通規制基準に基づいて概ね200m以上の間隔が必要となる。現在は茎崎農協前に横断歩道があるため、集落前への設置は諦めたという。
通学路の安全対策で使う横断旗のように、せめて「ごみ出し横断中」の旗を作れないかどうかなど、小茎の住民が安全に暮らせるように思案している。
「区長を引き受けたからには諦めずに改善策を見つけたい。死傷者が出てからでは遅いし、一生後悔する」。小泉さんは語気を強めた。 (橋立多美)
「乗せて」ヒッチハイクおばあちゃん あなたなら?
記者は後期高齢者の女性から2度ヒッチハイクされた経験がある。1度目は7年ほど前。牛久愛和総合病院(牛久市猪子町)に入院中の友人を見舞った時のことだった。
病院の駐車場に停めた車に乗ろうとしたら、70歳代後半と思われる女性が近づいてきて「悪いが、家まで乗っけてってくれないか」と話しかけてきた。
えっ、おばあちゃんのヒッチハイク? とビックリしたが、具合が悪くて困っているわけではなさそうなので、通院の帰りだと解釈した。
自宅の場所を聞くと、病院と国道6号に挟まれた猪子町の住宅で、車で5分ほどの距離だった。木枯らしが吹く季節で車内は冷え込んでいたが、助手席に座るとほっとした様子で表情がやわらいで見えた。
「ここで」と言われて住宅地の一角に停車した。「お世話になりました」と言いながら小さなビニール袋を座席に置いてドアを閉めた。手のひらに乗る袋の中には煎餅やチョコレートなどが入っていた。
この出来事はいつしか忘れていた。今年8月25日までは。
25日は強い日差しが容赦なく降り注ぎ、つくば市の気温は32度で高温注意報が出ていた。近親者が入院していた筑波学園病院(つくば市上横場)から中心部の自宅に帰る途中で2度目のヒッチハイクに遭った。
午後1時半頃、病院前の道路を北に進んでつくば野田線(県道3号)と交わるT字交差点で信号待ちをしていた。交差点手前に関東鉄道谷田部車庫がある。不意に高齢の女性が助手席のガラス窓をノックしてきた。何事かと窓を下ろすと「谷田部老人福祉センターまで乗っけて」と頼みこんできた。
ここから福祉センターまで3㎞はある。炎天下、高齢者を見放すことはできないとロックを解除すると、日傘を畳んで助手席に乗り込んできた。方向指示器を急ぎ右折から左折に切り替えた。
聞けば、女性は87歳で谷田部地区の高野台で一人暮らし。福祉センターで、気の合う仲間とレクリエーションしたり風呂に入ったりするのが唯一の楽しみだと語った。そのために高野台停留所からつくバスに乗車して関東鉄道谷田部車庫で下車。車庫からつくばエクスプレス(TX)みどりの駅方面の路線バスに乗り換えて目的地の支援センターに向かうのだという。
だが、みどりの駅方面行きのバスの本数が少なく、谷田部車庫で1時間待つしかない。車庫には冷暖房の利いた待合室はなく、雨ざらしのベンチが2基あるだけだ。ただ待つだけなら時間の無駄と、歩くかヒッチハイクするかの方法をとっているらしい。
「(車に)乗せてと頼むのは女の人が運転しているとき。男の人はノックしても素知らぬふりをして行ってしまう」とも話した。福祉センターの玄関に到着すると、何度も頭を下げながら建物の中に消えていった。
2度の体験を周囲に話した。男女を問わず多かった反応が「高齢者でも事件を起こす時代だから乗せない」。確かに、車内は密室で危険がないとは言い切れない。「話だけは聞くけど、同乗は断る」という声も。「男性が知らんぷりを決め込むのは、会社組織などの規範中心に生きているからでは」という女性の意見もあった。
一方、高齢女性たちの間でヒッチハイクがひそかに「移動手段」となっているのでは、と思ってしまう。そうだとしたら、したたかに「車に乗せて」と言えるのは超高齢社会を生き抜く知恵かもしれない。
さて、あなたが街中で声を掛けられたらどうしますか。(橋立多美)
あなただけの「地域新聞」作ろう 筑波学院大で1月~3月公開講座
自分が暮らしている地域を題材に、あなただけの「地域新聞」を作る。そんな公開講座が筑波学院大学(つくば市吾妻)のコミュニティカレッジ講座の一つとして2018年1月~3月に開かれる。自分で「ネタ」を決め、取材し、執筆、校正、編集作業までこなしてオリジナルの紙面を完成させる。定員は10人、受講申し込み締め切りは12月8日。受講料の振り込みが終わった順に受け付けし、定員になり次第、締め切られる。
足元の話題や課題を拾い上げ、独自の視点でわかりやすく伝えることを目標にし、PTA会報や自治会新聞、家族新聞作りなどのヒントにしてもらう。取材から編集まで一連の作業を通して体験することで、発想力や企画・構成力、コミュニケーションの力、聞く・書く・伝える力も養える。
講師はNPO法人NEWSつくばの坂本栄理事長(元時事通信社経済部長、元常陽新聞新社社長)、米内隆副理事長(元朝日新聞東京編集センター次長、元常陽新聞編集委員)、鈴木宏子理事・事務局長(元常陽新聞記者)らが務める。新聞を身近に感じてもらおうと、あまり知られていない「新聞の裏話」も披露される。
講座は計10回で、いずれも午前10時40分~午後零時10分。日程は①1月9日(火)「新聞を知ろう、楽しもう」②1月16日(火)「取材って? 原稿はどう書く? 編集こそ中核」③1月23日(火)「ネタを決め、アポをとり、取材しよう」④1月30日(火)「同」⑤2月6日(火)「同」⑥2月15日(木)「原稿を書こう、書いたら点検しよう」⑦2月22日(木)「同」⑧2月27日(火)「同」⑨3月6日(火)「紙面を編集しよう」⑩3月15日(木)「同」。テキストは講師側が用意する。
受講料は1万2000円、60歳以上はシニア料金で1万800円。問い合わせ、申し込みは筑波学院大学コミュニティカレッジ係まで。以下の6項目(①講座番号112・講座名「自分だけの『地域新聞』を作る」②氏名、ふりがな必須③郵便番号、住所④電話番号、メールアドレス=緊急時に連絡がつくもの⑤年齢⑥性別)を明記して、はがき(〒305-0031 つくば市吾妻3-1)、FAX029-858-7388、TEL029-858-6341、Eメールkouza@tsukuba-g.ac.jpで。
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音楽家たちに発表の場を つくばのカフェで演奏会
カフェやレストランなどを使って音楽家が発表する場をつくりたいと、つくば市内で飲食店を経営する飯泉智弥さん(49)が音頭をとり、同市竹園の商業施設、ヨークベニマルタウン内のエヌズ カフェ(N's Café)で20日、家族連れや関係者を招いたミニコンサートが開かれた。
飯泉さんは2017年に、小学1年生から大学生までの「筑波ジュニアオーケストラ」の立ち上げに尽力した(2017年10月27日)。21年にはつくば駅前の商業施設トナリエつくばスクエア・クレオに地元の音楽愛好家たちのためストリートピアノ「つくぴあ」を設置した。
その後、ストリートピアノの利用者たちの間から、定期的な音楽会をやってみようという声が上がったという。
飯泉さんは、どんな形で開催できるか、まずは試しにやってみようと、自らがオーナーとなっているカフェをプレ・イベントの開催会場とした。
店内のどの場所で演奏するか探りながら、当日はカフェの中央にステージを作った。来店客は、テーブルに座って食事をしながら音楽を聞く形になった。
3回目の桜《短いおはなし》13
【ノベル・伊東葎花】
早春の公園。青空に映える満開の桜。
私は公園のベンチに座って、砂遊びをする息子を見ていた。
「見事に咲きましたなあ」
隣に座る老人が話しかけてきた。
老人は、息子を見ながら言った。
数センチの隆起や沈下を面で可視化 「地殻変動の地図」公開
国土地理院 人工衛星データを解析
国土地理院(つくば市北郷)は28日、日本全国の大地の動きを可視化する「地殻変動の地図」を公開した。宇宙航空研究開発機構(JAXA)が運用する陸域観測技術衛星2号「だいち2号」の観測データ8年分を用いて作成された変動分布図で、地形のわずかな隆起や沈下を彩色によって分かりやすくとらえられるようにした。
公開された全国地殻変動分布図は「地理院地図/GSI Maps」により一般にも簡単にアクセスし閲覧できる。
地殻変動分布は「だいち2号」の合成開口レーダー、SAR(Synthetic Aperture Radar)技術によって得られた。人工衛星から地表に向けて電波を照射し、戻ってきた電波を受信し、往復にかかる時間により地表までの距離を面的に観測するセンサーの一種。人工衛星では、地球を周回しながら同一地点に異なる方向から電波を2回、照射し観測することで、大きな開口を持ったアンテナと同様な解像度を得る。
微小な地形の変化を正確に読み取るには、統計的処理のために大量のデータが求められた。2014年8月から8年以上の観測データを得て、時系列解析を行った。国土地理院宇宙測地課、佐藤雄大課長によれば、衛星からの撮影は約1500回に及び、画像枚数にして6400枚のデータを得たという。
仕様書不備で落札決定取り消し つくば市
つくば市が3日に開札を実施した同市佐地区と上菅間地区2カ所にある生活排水路浄化施設の維持管理業務の一般競争入札で、同市は28日、業務委託の仕様書の中で、汚泥の処分方法を「産業廃棄物として処分する」など明記すべきところを明記していなかったとして、落札者の決定を取り消し、入札を不調にしたと発表した。
市環境保全課によると業務委託の内容は、2カ所の浄化施設を今年4月から来年3月までの1年間、維持管理点検し、汚泥を清掃し処理するなどの業務で、2月10日に一般競争入札が告示された。予定価格は約276万円で、3者が入札に参加。今月3日に開札が行われ、落札業者が決定していたが、28日までに仕様書の記載内容に不備が確認されたとして、落札者の決定を取り消す。
今後の対応について同課は、入札業者に事情を説明すると共に、4月以降の業務について、数カ月間は随意契約とし、その間に入札の準備を進めて、改めて入札を実施するとしている。
再発防止策として、仕様書を作成する際は複数名により記載内容の確認を徹底し、適正な仕様書を作成することで再発防止に努めますとしている。