日曜日, 4月 18, 2021
ホーム 土浦 一人暮らしする障害者、高齢者を応援 福祉アパート「あんしん荘」

一人暮らしする障害者、高齢者を応援 福祉アパート「あんしん荘」

【鈴木宏子】一人暮らしをする障害者や高齢者を応援する福祉アパート「あんしん荘」が土浦市真鍋と阿見町岡崎にある。大家で、土浦市の会社員、鈴木一也さん(35)が夫婦で運営する。

保証人がいなくても入居でき、敷金、礼金は不要。冷蔵庫、洗濯機、IH(電磁加熱)調理器、エアコン、照明などの家電付きだ。バリアフリーではないが、玄関やトイレなどに、入居者に合った高さに無料で手すりを付けてくれる。

入居時に、行政や民間の福祉・介護関係者、大家の鈴木さんと3者で面談する。介護や家事、緊急時の対応、経済面など、その人に合った在宅支援体制を3者で考え、週3、4日だれかが部屋を訪ねてくる体制をつくる。

土浦と阿見に1棟ずつある福祉アパートはいずれも2階建てで、各部屋の間取りは1DK、家賃は月3万4000円から3万7000円。2カ所とも車がなくても歩いて行ける場所にスーパーやコンビニがあり、バス停が近い。

土浦は築30年、阿見は築25年。日本政策金融公庫から事業用融資を受けて鈴木さんが購入し、改修して2016年から福祉アパートとして運営を始めた。現在、健常者も含め40歳代から70歳代が入居している。購入時、いずれも半分以上が空き室だったが、10室ある阿見は満室、8室の土浦は7室が埋まり2月中に満室になる。

■150カ所訪ね構想話す

不動産会社も大家も、高齢者や障害者の入居に消極的であることに疑問をもったことがきっかけになった。

九州地方で高齢者を積極的に受け入れていた大家から福祉アパートの経営を勉強。人口減少社会となり、地域によってはアパートに空室が目立っていること、一方でこれまで不動産業界があまり目を向けていなかった高齢者や障害者がアパートで自立生活を送りたいと望んでいることなどを知った。

福祉アパートの運営構想を自分なりに作り、2015年6月から、仕事が休みの土日曜などに、土浦、つくば周辺の福祉施設などを1カ所ずつ訪ねて回り、自身の構想を話し、需要があるかを探った。訪ねた施設は1年間で150カ所以上になる。

■リスクを一つひとつ除去

不動産賃貸業界では高齢者や障害者の入居に対して、室内での転倒によるけが、火災、犯罪被害、家賃滞納、孤独死などのリスクが懸念されている。

鈴木さんはリスクを一つひとつ検討し対応策を考えた。

室内で転んでけがをしないように必要な場所に手すりをつける▽段差がある場所に蛍光シールを張る▽ガラスが割れてけがをしないように飛散防止フィルムを張る▽火災が起きないようガスコンロや石油ストーブでなくIH調理器やエアコンをあらかじめ設置する▽玄関の閉め忘れがないよう鍵はオートロックとする―などだ。

さらに3者面談で支援体制をつくるにあたっては、鈴木さんが独自に考案した用紙に健康状態や介護サービスの利用状況、経済状況、緊急時の連絡先などを記入してもらう。「仮に孤独死が発生したとしても保証会社の保険を活用できる」と鈴木さん。「リスクが誇張され過ぎている。介護・福祉事業者の支援や保険でかなり軽減できることを大家さん自身がもっと知るべき」と話す。一方で「不動産業界と無縁だったからこそ挑戦できた」ともいう。

鈴木さんは「支援者と連携することで障害者や高齢者が一人暮らしできるまちをつくることは、住みやすいまちをつくることになり、まちおこしにもなっていくと思う。空き家に悩んでいる大家さんはたくさんいる。福祉アパート運営のノウハウをつくって、必要な人に必要な情報を届けられたら」と話す。

問い合わせは鈴木一也さん(電話090・8330・4545、Eメール;ea10679@gmail.com)

土浦市真鍋の福祉アパート「あんしん荘」

会員募集中

NEWSつくばでは、私たちの理念に賛同し、一緒に活動していただける正会員、活動会員、ボランティア会員、および資金面で活動を支援していただける賛助会員(クレジットカード払い可)を募集しています。私たちと一緒に新しいメディアをつくりませんか。

スポンサー

注目の記事

人手不足に建設DX つくば国総研に実験フィールド開所

インフラ分野のDX(デジタル・トランスフォーメーション)を推進している国土交通省の研究機関、国土技術政策総合研究所(国総研、つくば市旭)で14日、建設DX実験フィールドの開所式が行われた。 実験フィールドは、土木・建設分野で無人化施工、自動施工などの技術開発を促進するため整備された。点検データを収集する橋梁の実物大模型などが設置されている。国交省発注工事・業務の3次元データを一元管理・分析するためのDXデータセンターと合わせて開設された。

最新記事

新入生ら「筑波大に入ってよかった」 つくばの食料無料配布に240人

「筑波大に入ってよかった」。無料配布の食料を受け取った筑波大の新1年生たちから歓喜の声が上がった。つくば市天久保の松見公園で18日、食料の無料提供会(学生応援プロジェクト@つくばーPEACE(ピース)主催)が開かれ、入学したばかりの筑波大学1年生をはじめ、大学生や家族連れなど約240人が食料を求めて集まった。 無料配布会の情報をツイッターで入手した新入生らは、入学後に新しくできた友人らと一緒に並び、米(1袋2キロ)やカップラーメン、レトルト食品などの保存食、ネギなどの生鮮野菜、日用品などを受け取った。新入生らは仲間内で「こんなにたくさんもらえた」「筑波大に入って良かった」など喜びあった。 食料無料配布会を告知する主催団体の公式ツイッターは在学生や新入生の間では広く共有されており、多くの大学生らが「ツイッターで(無料配布を)知った」と口をそろえた。会場では、生理用品への出費が負担となる「生理の貧困」に悩む女子学生に向けた無料配布も行われた。 食料の無料配布を求めて並ぶ大学生たち=同 特に他県からつくばに転入した新入生の間では、食料無料配布は非常に喜ばれた。栃木県出身の筑波大1年生男子(18)は「主食から何までもらえた」と感謝した。「来たばっかりなのでお金も大変。引っ越しにあたって家具も揃えないと」と、つくばでの新生活を始める際の経済的な負担を訴えた。 愛知県出身の筑波大1年生男子(18)は「入学したばかりなのでうれしい。愛知県だと(食料無料配布会が)中々ない。お米もいただけたので助かった」と語った。「こんなに(食料を)もらえるとは思ってなかった」という群馬県出身の筑波大1年生男子(18)はと驚きを隠せない様子。「もう少し生活が安定してゴールデンウイーク過ぎからアルバイトを始めようと思っていた」という。

越冬ヒメトビウンカの防除を 田植え控える県西・県南に警告

田植えシーズンを控え、茨城県病害虫防除所(笠間市、農業総合センター病害虫防除部)は、県西、県南の一部地域で水稲被害のイネ縞葉枯病(いねしまはがれびょう)の多発傾向がみられると警告している。同病は発病してから治療方法がないため、田植え前のイネの苗に薬剤施用を行うことが重要だとしている。 イネ縞葉枯病は、ヒメトビウンカという体長約3~4ミリの害虫により媒介されるウイルス病。イネはこのウイルス(RSV)をもった保毒虫に吸汁されると同病に感染し、葉の緑色がかすり状に黄化したり、生育不良となったり、出穂期には穂が奇形となり実らなくなるなどから減収を余儀なくされる。 発病の警戒には、ウイルスを保有するヒメトビウンカの割合(保毒虫率)が大きく影響する。県では、ヒメトビウンカ越冬世代幼虫のRSV保毒虫率(ウイルスを持った虫の割合)5%以上を、葉剤の育苗箱施用による防除を推奨する目安にしているが、今年の調査では県西地域11地点中10地点、県南地域ではつくば市などを含む4地点中2地点で、5%以上の高い保毒率を示している。 ヒメトビウンカはRSVに感染したイネを吸汁すると保毒虫となり、死ぬまでウイルスを媒介し続け、また保毒虫が産卵した卵から生まれた幼虫はウイルスを保毒している。幼虫はイネ科の雑草などに生息して越冬するため、翌年も発生する可能性が高くなるという。 同防除所は、田植え期前のイネの薬剤施用に加え、6月中・下旬に水田に薬剤散布を行うと防除効果が期待できるとしている。

正岡子規『水戸紀行』追歩(6) 《沃野一望》26

【コラム・広田文世】灯火(ともしび)のもとに夜な夜な来たれ鬼我(わが)ひめ歌の限りきかせむ とて 明治22年(1889)、東京から水戸へ友人を訪ねて歩き出した正岡子規は、土浦市内をぬけ真鍋の急な石段を上がる。高台より霞ケ浦を俯瞰(ふかん)する。令和の時代の土浦市民としては、霞ケ浦を眺望していただいたことが、悪印象を残してしまった土浦の、せめてもの救いになる。 「この断崖に立ちて南の方を見れば果して広き湖あり。向ひの岸などは雨にて見えず。されど霞浦とは問わでも知られたり」 真鍋あたりの旧水戸街道は真鍋の町なかから急坂をあがり、土浦一高の手前で旧6号国道に合流する。子規は、石段を上がったとあり、善応寺の裏手あたりの道かとも推察されるが、判然としない。現在残されている旧水戸街道とは、いくぶん異なっているようだ。 土浦一高は、旧制土浦中学校。本館は明治37年竣工の重厚な建物で、重要文化財に指定されているが、子規が真鍋へ来訪した時点では、この本館はまだ建設されていない。子規が『水戸紀行』を歩いた時代は、それほど古い過去の出来事。 ところで文化財の旧本館、われわれの年代は卒業年度に実際に校舎として使用させてもらった。夏になると高い天井からダニが降ってきたり、冬は床板の隙間から寒風が吹きあげたりしたが、やはり味わいのある校舎だった。

土浦市消防団に「通訳隊」発足 県内初

大規模災害時、外国人に対応 大規模災害が発生した際、日本語が話せない被災者に通訳をする機能別消防団「通訳隊」の発足式が17日、同市田中の土浦市消防本部で開かれ、日本人5人、中国人2人の計7人が団員の辞令を受けた。 安藤真理子市長は「通訳隊は茨城県初であり、全国的にも数少ない。市内には約4400人もの外国人が住んでいる。皆様の通訳で土浦市の安心安全が守られる」とあいさつした。 辞令を受け、川﨑団長(左)に宣誓をするリ・ヨウさん 通訳隊は避難所で通訳をしたり、り災証明書などの申請の際、窓口などで通訳を行う。英語、中国語、スペイン語、タイ語の4カ国語に対応できる。