土曜日, 4月 20, 2024
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災害ボランティアのトレセン来春開所 日本財団つくば研究所跡地

国内初、技術系エキスパートを育成 つくば市南原、日本財団つくば研究所跡地の一部に、日本財団ボランティアセンター(東京都港区、山脇康会長)が「災害ボランティアトレーニングセンター」を開設する。重機の操縦など専門知識をもった技術系ボランティアを育成したり、災害復旧に必要な重機やダンプ、資機材を配備して災害現場に貸し出すなどする。来年3月か4月に開所する予定だ。技術系の専門知識をもつ災害ボランティアを育成するトレーニング施設は国内初という。 研究所跡地約5万7000平方メートルのうち約5000平方メートルに整備する。現在、芝生の広場になっている敷地北側の運動場を重機操作などのトレーニング場とする。さらに来春までに研修室などの建物と、重機を駐車する車庫などを整備する。建物の規模や重機の配備台数、スタッフが常駐するかどうかなどの詳細は今後検討するという。 地震や土砂崩れなどが発生した場合、災害現場という特殊な環境で重機を操縦し、がれきや土砂を撤去したり、屋根の上など高所で作業したりなど、技術があり経験を積んだ人材が必要になることから、重機、ダンプ、資機材を配備して、操縦方法の講習会を開催し人材を育成する。 日本財団(東京都港区、笹川陽平会長)から敷地の一部を借りて、同財団ボランティアセンターが整備し、運営する。 開所に先だって23日同跡地で、消防士を対象に、重機の操縦方法を学ぶ「技術系災害ボランティア 重機操縦エキスパート講習会」が初めて開かれた。消防士の普段の仕事とは別に、休日にボランティアで災害現場に駆け付け、災害ボランティア活動をしている東北や関東の消防士らが参加し、災害現場を想定した重機の操縦方法のほか、段差の超え方、坂道の上り方や下り方などの方法を学んだ。25日まで3日間開催し、県内のほか山形、福島、埼玉、千葉などの消防士が各日約10人ずつ講習を受ける。 23日、休日を利用して講習会に参加した茨城西南広域消防本部(古河市)総和消防署当直隊長の小倉尚敏さん(47)は「災害現場で実際に重機を動かしボランティア活動をしている人から教わる機会はなかなかないので、貴重な経験になる。災害時にボランティアチームの一員としてお手伝いできたら」と話す。 講習会の講師を務める山形県の置賜広域行政事務組合消防本部消防司令補の我妻清和さん(40)は「参加者は人助けをしたいという気持ちで参加している。重機は危険を伴う作業なので、操縦方法を覚えるだけでなく、これをやったら危険だということを理解してもらえたら」と話す。来春開所するトレーニングセンターについては「重機がない消防署も多いと思うので、訓練施設ができるとボランティア活動のスキルをもった人が増える。とても重要な活動拠点になると思う」と話す。 技術系講習会は、今年秋から毎月1回程度開催し、重機の操縦方法のほか、倒木を除去するためのチェーンソーの使い方など資機材の操作方法の講習会なども実施する予定という。 同研究所跡地をめぐっては、新型コロナの感染拡大が始まった2020年4月、感染拡大による医療崩壊を防ぐ目的で日本財団が同跡地に約9000床の軽症者向け病床を整備すると発表し(2020年4月5日)、地元の五十嵐立青つくば市長が受け入れに難色を示した経緯がある(同4月6日)。一方、同年5月から8月に、研究所内にあった角水槽棟や回流水槽棟などの研究施設が解体、撤去され更地になった(同5月22日付)。 今年1月から2月末までは、日本財団から無償で土地の貸与を受け、県が200床規模の臨時の医療施設と、自家用車に乗ったまま1日300人がPCR検査を受けることができる発熱外来を開設した(22年12月2日付、27日付)。県の医療施設と発熱外来施設はその後撤去され、現在、つくば研究所跡地は更地になっている。(鈴木宏子)

日本財団つくば研跡地に新年5日開所 新型コロナ 県の臨時医療施設

新型コロナ第8波の感染拡大に備えた茨城県による臨時の医療施設(12月2日付)が来年1月5日、つくば市南原、日本財団つくば研究所跡地に開所する。併設の発熱外来は来年1月10日開始予定。開所を前に27日、報道関係者に施設が公開された。 約5.7ヘクタールの敷地に、木造移動式住宅の病棟15棟(計200床)とナースステーション、事務局棟などを備える。24時間、医師2人が常駐するほか、日中は看護師、介護士、事務職員などが計70~80人、夜間は50~60人が常駐し、酸素投与や点滴治療が必要なコロナ患者や、介護が必要な高齢のコロナ患者に医療や介護を提供する。 医療従事者は27日までに全員確保でき、主に県外の首都圏から通勤してくるという。 各病棟は1棟当たり面積145平方メートルで、14床のベットが設置され、看護師が各棟に常駐する。ナースコール、バイタルモニターのほか、監視カメラなども設置され、入院患者の症状を見守る。 病棟の移動式住宅はホテルなどとしても使用されている建物で、車いすでも利用できるようすべてバリアフリーになっている。各棟にはトイレ、シャワー室、洗面所が2つずつ設置されている。県感染症対策課の山口雅樹課長は「体育館などに設ける臨時の医療施設とは異なり、快適な療養環境になっている」と強調する。 各保健所や県の入院調整本部を通して、入院する。来院方法は、家族が送迎したり、民間の搬送車を利用する方法があるという。入院期間は発症から10日間で、各1週間程度になると見られる。入院中は食事が3食提供される。入院中、症状が悪化した場合は、コロナ対応病院に転送される場合もある。食事も含め入院に必要な費用はすべて無料。 発熱外来は10日から 一方、発熱外来は、自家用車に乗ったままドライブスルー方式で新型コロナとインフルエンザの両方のPCR検査ができる。県の特設サイトから予約すれば県民だれでも検査を受けることができ、1日300件程度を想定している。 第8波は、新型コロナとインフルエンザの同時流行により、第7波の2倍以上の1日最大1万9000人の新規感染者が県内で出ることが予想されていることから、年末年始の感染拡大を見据えて開所する。 開所期間は3月までの2カ月間程度。閉所後は施設を解体、撤去する。事業費は開所期間によって異なるが20~30億円程度と見込まれているという。(鈴木宏子)

日本財団つくば研究所跡地に来年1月開所 県が臨時の医療施設

新型コロナ第8波に備え 新型コロナの第8波に備えた対策の一つとして県が11月に設置を発表していた臨時の医療施設について、大井川和彦知事は1日の定例記者会見で、つくば市南原に臨時の医療施設を設置すると発表した。日本財団つくば研究所跡地で、同財団から無償で土地の貸与を受ける。 入院規模は200床程度、酸素投与や点滴が必要な人、医療対応と介護が必要な人などが対象になる。併せて1日当たり約300人の新型コロナとインフルエンザの同時検査ができる発熱外来を併設する。年末年始の感染拡大を見据え、来年1月上旬の開所を目指す。トレーラーハウスを連結させた平屋建ての施設で、車いす利用者も対応できるようバリアフリーになる。 医療施設には医師、看護師、介護士を配置する。医師や看護師は主に県外から募集している最中という。現在のコロナ入院患者は大半が高齢者。例えば、のどの痛みで食事がとれないため、酸素投与や点滴が必要だったり、介護が必要な中等症の高齢者などを想定しているという。 第8波は、第7波の2倍以上の新規感染者が出ると予想され、インフルエンザとの同時流行により1日最大1万9000人の感染者が想定されている。県内では第7波の際、病床がひっ迫したことから、臨時の医療施設を新たに設置して備える。 同つくば研究所跡地は、2020年4月、日本財団が9000床の軽症者向け病床を整備すると発表し、地元の五十嵐立青市長が受け入れに難色を示した経緯がある。今回、県が設置する約200床の臨時の医療施設について県感染症対策課は、すでにつくば市や地元関係者には伝えてあるとしている。

不存在の議事録 「後から発見された」 日本財団軽症者施設問題でつくば市

日本財団(東京都港区、笹川陽平会長)がつくば市南原のつくば研究所跡地に計画している新型コロナウイルス感染者の軽症者滞在施設について、つくば市は、資料が不存在だとしていたが(6月25日付)、「存在していない」はずの議事録が「発見された」として不開示決定を取り下げ開示した。市によれば、存在していた資料が後から発見され開示されるケースは初めてという。 5月末、NEWSつくばはつくば市に同施設の運営に関わる検討資料の情報公開請求を行った。しかし、6月9日、市は検討資料が「全く存在していない」として不開示決定を下した。ところが、6月30日、市は「存在していない」はずの議事録が「発見された」として不開示決定を取り下げ開示した。 開示されたのは同財団の尾形武寿理事長が4月30日につくば市役所に来庁し五十嵐立青市長と直接やりとりした際の議事録だ。 なぜ存在してないはずの文書が発見されたのか。市の担当者によれば、4月30日、日本財団尾形理事長の来庁当日に、市長公室内にある秘書課が議事録を作成した。 5月末、情報公開窓口である総務課の担当者は、NEWSつくばの開示請求を受け、市長公室に検討資料の有無を確認した。 このとき市長公室は、秘書課に議事録が既に在ったにも関わらず「資料は全く存在していない」と総務課に回答したという。 同時に、新型コロナウイルス関連の主たる担当部署である健康増進課も資料はないと総務課に回答した。 これにもとづき総務課は不開示決定を行ったという。 しかし、公開された議事録によれば、会議には市長や日本財団関係者のほか、市長公室秘書課の職員及び健康増進課のある保健福祉部の部長が参加している。開示請求の時点で市長公室秘書課において既に議事録が作成されていたのである。 市の担当者は、恣意的に議事録を開示しなかったのではないと隠蔽の可能性を否定し、あくまでも「連絡ミス」という説明をしている。 若い職員の連絡ミス? 連絡ミスの原因は、総務課の問い合わせに対し資料は存在しないと回答した市長公室の担当者が、若い職員であったこと、議事録が機密性の高い資料であるために「下までは共有されていなかった」ことにあると市は釈明する。 なおこの会議については、重要な案件として、市のホームぺージや五十嵐市長のツィッターなどで会議の内容の一部について広報が複数回なされていた。 市の説明について、筑波大学人文社会系教授で弁護士の根本信義氏はNEWSつくばの取材に対し「私も役所に勤めたことがなく分からない部分が大きいが、あくまで一般論としては、担当課といえども下の者が知らない会議はありうるだろう。総務課から問い合わせを受けた職員が会議の存在を知っていたとすれば、上司に確認を取れば議事録の存在は分かったことであるから、確認を取らなかったのが問題ということにはなる。ただ、問い合わせを受けた職員が会議の存在そのものを知らされていない場合には、会議があったかどうかまで確認する義務があったかどうかが問題となる」としている。

つくば市長と日本財団理事長の議事録なし 新型コロナ軽症者施設問題で

日本財団(東京都港区、笹川陽平会長)がつくば市南原のつくば研究所跡地に計画している新型コロナウイルス感染者の軽症者滞在施設について、同財団の尾武寿理事長が4月30日につくば市役所に来庁し、五十嵐立青市長と直接やりとりしたが、つくば市には同施設に関わる資料が一切ないことが分かった。NEWSつくばが情報開示請求して分かった。 市担当職員の説明によれば「日本財団と市長の間で直接やりとりが行われた」が「日本財団からは資料の提供が全くなかった」。「それ以降もない」という。五十嵐市長と日本財団尾形理事長とのやりとりの議事録や音声データなどの関連する資料も存在しないため開示できないという。 日本財団は4月3日、同研究所跡地に9000人規模の新型コロナウイルス感染症の軽症者滞在施設を作る計画を発表した。当初は7月末をめどに施設を設けるとしていた。これに対しつくば市の五十嵐市長は同日夜、「寝耳に水」「住民の合意を得るのは難しい」とコメントを発表した。4月6日の市長定例会見では「日本財団の構想について現在、日本財団に資料請求をしている」と表明していた。 その後、4月30日に日本財団の尾形理事長が来庁し計画を説明した。5月1日に五十嵐市長は「県外からも多くの患者を受け入れる現在の計画は受け入れることはできない旨を伝えた」とするコメントを発表した。 一方、日本財団の笹川会長は5月1日の記者会見で「昨日、尾形理事長がつくば市長と会談し詳細を話し、原則了解をたまわったと認識している」と発言した。これについて五十嵐市長は5月8日の定例記者会見で「現在の計画は受け入れることができないと(尾形理事長に)話した。日本財団からは勝手に進むことはないという話だった」と笹川会長の発言を否定した。 その後日本財団は5月18日からつくば研究所の解体工事を開始した。8月上旬までにさら地にする計画だ。今後について同財団は、第2波、第3波の感染状況を見て開設時期や運営主体などを決めていくが、準備は進めるとしている(5月22日付)。 NEWSつくばは、こうした一連の動きに関し、五十嵐市長と理事長の議事録を含め、つくば市に対して「施設運営の実施主体の検討にかかる一切の文書」の開示を請求したところ、文書が「不存在のため」不開示という決定だった。市担当職員は、存在していれば開示される音声データなどの関連する資料についても「不存在だ」と説明した。 茨城県にも同様の開示請求を行ったが、当該資料の「不存在のため」不開示だった。県は同施設に関し「日本財団から運営主体の検討に係る連絡のほか、当該施設に関する資料提供を一切受けていない」としている。 五十嵐市長は4月30日に「日本財団が勝手に進めることはない。行政の意見をしっかりと聞いた上で進めると明確な返事をいただいた」とコメントを発表した。しかし、日本財団からのつくば市や県への説明は4月30日の尾形理事長の来庁以外にはなく、日本財団は市にも県にも「意見をしっかり」聞くということは行っていない。現在は、つくば研究所跡地の解体作業のみが進行している状況だ。

解体工事始まる 日本財団 軽症者病床計画のつくば研究所跡地

【鈴木宏子】日本財団(東京都港区、笹川陽平会長)は、つくば市南原、つくば研究所跡地(約5万7000平方メートル)で、研究施設などの解体・撤去工事を開始した。8月上旬まで工事を実施し、さら地にする。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、同財団は同跡地に9000床の軽症者向け病床を整備すると発表している。 同財団広報チームによると、解体工事は5月15日から準備を開始し、18日から具体的な作業に入った。敷地内には角水槽棟、回流水槽棟、重油タンク、管理棟などがあるが、すべて解体し、8月上旬までにさら地にする。工事は毎日、午前8時から午後6時まで予定し、日曜日は近隣への配慮のため、極力、音を出さない作業をするという。 当初計画(4月5日付)では、つくばで7月末から受け入れを開始するとしていた。同財団は、軽症者向け9000床の施設を整備する計画に変更はないが、整備時期などについては「茨城県は緊急事態宣言が解除されているため、開設時期については感染状況を勘案し、運営主体も含めて見極めていく」とし、今後の第2波、第3波の感染拡大状況を見て開設時期や運営主体などを決めていくが、準備は進めるという立場を示した。 一方、地元の五十嵐立青つくば市長は「市民から多くの不安の声が寄せられている」などとし「現在の計画は受け入れることはできない」と受け入れに難色を示している。これについて同財団は「つくば市長には直接、話を伺い、懸念については承知している」とし「地元への説明等については、今後の感染状況などを勘案し方針を見極めてから検討したい」とする。 船の科学館は病床設置始まる 軽症向け施設は東京都品川区の船の科学館に、先行して1200床を整備する計画。同科学館ではすでに工事が始まっており、5月中旬にパラアリーナに100床、下旬に駐車場に大型テント1張(60床)を整備し、6月末には敷地内に個室型のプレハブハウスを140室完成させる計画だ。同財団が全費用を負担して整備し、同科学館は東京都が運営主体となる。今後の都内の感染状況や病床の使用状況によって同科学館の増床を積極的に検討するという。

つくば市長、受け入れに難色 日本財団9000床整備計画

【鈴木宏子】新型コロナウイルスの感染拡大による医療崩壊を防ぐため、日本財団がつくば市南原、つくば研究所跡地に軽症者向け病床約9000床を7月末までに整備すると発表した問題で、地元の五十嵐立青市長は6日の定例記者会見で、「住民理解が不可欠だが、プロセス構築が極めて困難」だなどとして、受け入れに難色を示した。 五十嵐市長は「すでに医療崩壊が起き始めており7月末では間に合わない。筑波大附属病院は800床、9000床は全国どこにもない規模。移送体制や医療従事者はどう確保されるかなどさまざまな課題をクリアしなくてはならない」などと話した。 課題として①研究所跡地に残っている建物を取り壊すので7月末までという時間が掛かってしまう②施設に他地域の患者や医療従事者を移送することに課題がある③大規模施設は住民理解が不可欠だが、市役所職員は市内の感染拡大防止に集中しており、住民理解を得るためのプロセス構築は極めて困難ーと指摘した。 これに対し日本財団経営企画広報部は「ご理解いただいた上で、つくば市や茨城県と協議しながら進めていきたい」としている。 ゆかりの森が軽症者施設に 一方、五十嵐市長は、医療崩壊を防ぐための軽症者などの受け入れ施設として、市の自然体験施設「ゆかりの森」(同市遠東)を県に提供すると表明し、公共施設は風評被害によって倒産する心配が不要なので、全国の自治体が公共施設を提供するというモデルを推進したいと強調した。 「各自治体が50床提供すれば県内だけで2000床以上になる」なるとし、日本財団には公共施設提供モデルを支援してもらえるよう協議したいとした。 軽症者向け病床となるのは、ゆかりの森内の宿泊棟、あかまつ森のセンター(36床)。今回は第1弾でさらに提供施設を増やす予定という。 県内4カ所に160室確保 現在、新型コロナウイルスの感染者は、軽症だったり症状がなくても入院することになっている。一方、感染者が増加すると医療崩壊する危機が指摘されていることから、 軽症者は宿泊施設や自宅など別の施設に移り、病院は重症者に重点を移した治療をすることが求められている。 軽症者について厚労省は2日、宿泊施設の療養環境マニュアルを出した。これを受けて大井川和彦知事は6日、軽症者向けの隔離施設となる宿泊施設を同日までに、県内に4施設160床を確保したと発表した。県の施設やつくば市の施設という。県は4カ所の施設名を公表しなかったが、そのうち1カ所がつくば市のゆかりの森となる。 軽症者向け施設については、県が入所先の施設を割り当てる。大井川知事は「神栖を中心に差し迫った状況のところがあるので、今週中のなるべく早い段階から(施設の運営を)スタートしたい」とした。現在病院に入院している軽症者や無症状者が退院して、軽症者向け施設に移ることも今後あり得るという。 県によると、軽症者向け隔離施設については、国のマニュアルに基づいて公共施設を優先して確保の調整をしていく。施設には、保健師または看護師が日中常駐する。医師は呼ばれればいつでも対応できるようにし、ICTツールも活用して毎日の健康状態を把握できる療養環境を整える。食事の提供や清掃など、施設をどのような形で運営していくかは県と施設設置者の間で今後、個々に協議し調整していく。療養にかかる経費をだれが負担するかについては国がまだ方針を示しておらず現時点で未定という。 ➡日本財団のつくば市9000床整備計画の過去記事はこちら https://newstsukuba.jp/23175/

「市の理解得ながら進める」日本財団 つくばに軽症者病床9000床整備 新型コロナ

【鈴木宏子】新型コロナウイルスの感染拡大による医療崩壊を防ぐため、日本財団(東京都港区、笹川陽平会長)は3日、つくば市南原2番地、つくば研究所跡地に軽症者向け病床約9000床を整備すると発表した。 発表に対し、つくば市の五十嵐立青市長は3日夜「市には事前連絡や調整は一切なかった。市にとって極めて大きな影響のある発表内容で、情報収集を進める」などのコメントを市ホームぺージで発表した。これに対し同財団経営企画広報部は「ご理解をいただけるよう説明していきたい。つくば市を始め、厚労省や関係機関の理解を得ながら進めていきたい」としている。 東京・船の科学館は4月末開設 軽症者向け病床は、東京都品川区の船の科学館とつくば市の2カ所に計約1万200床整備する。船の科学館は約1200床で4月末から受け入れを開始する。つくばは7月末に開設する予定。 同財団によると東京の船の科学館には、約1万2200平方メートルの敷地内に大型テント9張とコンテナハウスなどを整備する。ほかに、2020東京パラリンピックに向け日本代表選手がトレーニングするために18年に建設された体育館「パラアリーナ」約2000平方メートルにも病床を整備する。4月末から受け入れ開始できるようすぐに整備に着手し、テントは順次、建設していく。 つくば研究所跡地約5万7000平方メートルには、現在、角水槽棟や回流水槽棟などの研究施設などがある。まず現在ある建物を解体などして、7月末から軽症者の受け入れが開始できるようにする。今後の具体的な解体や整備のスケジュールは今後検討するという。 2カ所にはそれぞれ病床のほか、医師や看護師の休憩場所、食事場所、宿泊場所も整備する。家族4~5人が過ごせる場所なども検討している。施設は冷暖房を完備し、換気をよくする。 船の科学館では主に東京都などの軽症者、つくばでは、東京ばかりでなく茨城県内を含む関東地方の患者を受け入れる方針だ。 日本財団は施設を整備し、整備費用と運営費用全額を負担する。同財団は熊本地震の復興支援で120億円を超える支援を行った。今回は両施設の整備等を合わせても、熊本地震支援を下回るのではないかと見ている。 施設の運営に同財団は携わらない方針だ。運営主体は厚労省や東京都などと今後協議し決める方針だが現時点では未定。ただし協議の結果によっては変更になる場合もあるとしている。医療スタッフの確保も現時点で未定だが、軽症者の場合、1人の看護師で40~50人対応できる見通しだという。 笹川会長は3日の記者会見で「患者のためのあらゆる施設、医師、看護師の給料、多くの方の食事、必要とされるあらゆる経費は日本財団が全額負担する。使われないで終わるのが最大の願い。備えをつくっていくことが重要だと決断した」と表明している。 病院は重症者に重点へ 新型コロナウイルスに感染しても8割は軽症といわれる。感染症法では、感染が判明したら軽症だったり、症状がなくても入院することになっている。一方、東京都などで感染者が増加し、医療崩壊の危機が指摘されているなどから、 国の対策本部は3月28日、病院での治療は重症者に重点を移し、軽症者は自宅療養しながら医師が遠隔診療したり、宿泊施設など別の施設に滞在する体制を整備するという基本方針を出している。

久しぶりのベトナムで思ったこと 《文京町便り》21

【コラム・原田博夫】9月中旬、ハノイ市のベトナム社会科学院(VASS、国家機関)を訪れた。日越関係樹立50周年記念の会議・シンポジウムへの参加が主目的だった。この会議の主催は、ベトナム社会科学院、国際交流機構(JICA)、日本財団(JF)、専修大学だったが、駐ベトナム日本大使の山田滝雄氏や専修大の理事長・学長から祝辞が披露された。 40周年記念会議の際にも、当時私が主宰していた研究プロジェクト・専修大社会関係資本<ソーシャル・キャピタル>研究センター(2009年度~13年度)とVASSが研究交流協定を結んでいた関係で来訪しているので、10年越しの訪問になる。 会議以外にも現地事情の視察が組まれ、その一環でイオンモールを訪ねた。訪問先はハノイ中心部から南に車で15分程度の郊外で、周辺は田園地帯である。ここの基本的なレイアウトは日本各地のそれと同様で、横長3階建て・1階左右の一方に大型スーパーを配置し、中間部に衣料品などの各種テナント、2階にはレストラン・飲食店、3階にはエンタメ系店舗が入居している。 来店客はこの横長のモールを周回移動し、購買意欲のおもむくままに消費する仕掛けである。対象客層としては、この10年間で30%から70%に急増している同国の中間層、とりわけファミリー・若者・カップルに焦点を当てているようだ。 増えるイオンモール郊外店舗 店長(ベトナム人)・副店長(日本人)の話しによると、地元コミュニティとの連携・意識改革を重視していて、ゴミは出し・捨てるもの(ベトナム人一般のこれまでの意識・行動)ではなく回収・処分の対象にし、清潔さを旨としたトイレなどに加えて、モール全体のグリーン化を促進する観点から、駐車・駐輪(バイク)場からモールへのルートには植栽を配置し、今後はEV設備も設置予定(充電時間がかかっても、その間、モール内に誘導できる)、屋上にはソーラーパネルも設置予定、とのこと。 同国でのイオンモールは、2013年1月にホーチミン市でスタートし現時点では6カ所だが、25年までには16に拡大する予定(30年までには30カ所も)とのこと。意欲的な取り組みに感心した上での私の懸念は、東南アジア各国での混雑した道路際に立ち並んでいる個人商店・飲食店と、こうしたイオンモールの集客力は両立するのか後者に席巻されるのか、という点だ。 かつての日本の中小都市でも、大型シッピングセンターが登場する前の地元商店街はそれなりににぎわいを見せていたが、規制を主眼にしていた大規模小売店舗法(1973年10月公布、74年3月施行)が廃止され、「まちづくり3法」の一環としての大規模小売店舗立地法(98年6月公布、2000年6月施行)以降は、さらなる来訪者の減少からシャッター街となり、さらには店舗それ自体が立ち退き・コインパーキングに変貌している。 今や日本の地方圏では、旧市街地内の伝統的な生活産業の店舗はほとんど姿を消し、代わって、郊外に大規模な駐車スペースを確保したショッピングセンター(イオンモールはその代表例)が立地して、人々の日常生活を支えている。 東南アジアの街の魅力は小規模な商店・飲食店の多様性と活力にあると私は感じるのだが、その馴染(なじ)みやすさ・逞(たくま)しさ・したたかさは、イオンモールの新規性・清潔さ・魅力を跳ね返すのだろうか、それに屈してしまうのだろうか。(専修大学名誉教授)

久しぶりのベトナムで思ったこと《文京町便り》21

【コラム・原田博夫】9月中旬、ハノイ市のベトナム社会科学院(VASS、国家機関)を訪れた。日越関係樹立50周年記念の会議・シンポジウムへの参加が主目的だった。この会議の主催は、ベトナム社会科学院、国際交流機構(JICA)、日本財団(JF)、専修大学だったが、駐ベトナム日本大使の山田滝雄氏や専修大の理事長・学長から祝辞が披露された。 40周年記念会議の際にも、当時私が主宰していた研究プロジェクト・専修大社会関係資本<ソーシャル・キャピタル>研究センター(2009年度~13年度)とVASSが研究交流協定を結んでいた関係で来訪しているので、10年越しの訪問になる。 会議以外にも現地事情の視察が組まれ、その一環でイオンモールを訪ねた。訪問先はハノイ中心部から南に車で15分程度の郊外で、周辺は田園地帯である。ここの基本的なレイアウトは日本各地のそれと同様で、横長3階建て・1階左右の一方に大型スーパーを配置し、中間部に衣料品などの各種テナント、2階にはレストラン・飲食店、3階にはエンタメ系店舗が入居している。 来店客はこの横長のモールを周回移動し、購買意欲のおもむくままに消費する仕掛けである。対象客層としては、この10年間で30%から70%に急増している同国の中間層、とりわけファミリー・若者・カップルに焦点を当てているようだ。 増えるイオンモール郊外店舗 店長(ベトナム人)・副店長(日本人)の話によると、地元コミュニティとの連携・意識改革を重視していて、ゴミは出し・捨てるもの(ベトナム人一般のこれまでの意識・行動)ではなく回収・処分の対象にし、清潔さを旨としたトイレなどに加えて、モール全体のグリーン化を促進する観点から、駐車・駐輪(バイク)場からモールへのルートには植栽を配置し、今後はEV設備も設置予定(充電時間がかかっても、その間、モール内に誘導できる)、屋上にはソーラーパネルも設置予定、とのこと。 同国でのイオンモールは、2013年1月にホーチミン市でスタートし現時点では6カ所だが、25年までには16に拡大する予定(30年までには30カ所も)とのこと。意欲的な取り組みに感心した上での私の懸念は、東南アジア各国での混雑した道路際に立ち並んでいる個人商店・飲食店と、こうしたイオンモールの集客力は両立するのか後者に席巻されるのか、という点だ。 かつての日本の中小都市でも、大型シッピングセンターが登場する前の地元商店街はそれなりににぎわいを見せていたが、規制を主眼にしていた大規模小売店舗法(1973年10月公布、74年3月施行)が廃止され、「まちづくり3法」の一環としての大規模小売店舗立地法(98年6月公布、2000年6月施行)以降は、さらなる来訪者の減少からシャッター街となり、さらには店舗それ自体が立ち退き・コインパーキングに変貌している。 今や日本の地方圏では、旧市街地内の伝統的な生活産業の店舗はほとんど姿を消し、代わって、郊外に大規模な駐車スペースを確保したショッピングセンター(イオンモールはその代表例)が立地して、人々の日常生活を支えている。 東南アジアの街の魅力は小規模な商店・飲食店の多様性と活力にあると私は感じるのだが、その馴染(なじ)みやすさ・逞(たくま)しさ・したたかさは、イオンモールの新規性・清潔さ・魅力を跳ね返すのだろうか、それに屈してしまうのだろうか。(専修大学名誉教授)

多世代交流「子ども第三の居場所」 つくば市内でカフェ事業スタート

つくば市内で低所得・ひとり親家庭向けの無料塾や障害者のグループホームを運営するNPO法人、居場所サポートクラブロベ(つくば市島名、森美智子理事長)が、同市緑が丘に「子どもの第三の居場所」事業による「みんなのカフェ・ロベ」を開設、29日には開所式が行われた。カフェは週に3日(月・水・金)、午後2時から8時の間、食事の提供や勉強のサポートなどを通じて子どもたちに居場所を提供するとともに、地域住民も利用できる。多世代の交流を通じて「誰一人取り残されない地域子育てコミュニティー」作りを目指す。 「子ども第三の居場所」は、日本財団(東京都港区)が2016年から始めた事業で、困難な状況にある子どもたちに、家庭や学校以外に、放課後に安心して過ごせる居場所を提供し、バランスの取れた食事や学習支援などを通じて、子ども自身の力を育むことを目的としている。同事業による「居場所」は、準備中も含めて全国で179カ所あり、県内では笠間市にある「ともだちの家」に続く2例目となる。 同法人は、2011年3月につくば市内で始めた学童保育を皮切りに、2016年には同市初となる、貧困世帯向けの学習支援無料塾「Robeつくば学習会」を開設した。その後、無料塾に通う発達障害など困難を抱える子どもの親から、「自分が亡き後、果たして我が子は自立できるのか」という相談を受けて障害事業を開設した。現在は、無料塾の他に障害者グループホーム、放課後デイサービス、児童クラブなどを運営している。 今回のカフェ開設について、森美智子理事長は「地域のシニアや子どもたちなど、多世代が交流できる場所を作るチャレンジ。今までの経験をブラッシュアップしながら、地域に喜ばれる事業をしていきたい」と思いを語る。 「ただいま、おかえり」言い合える 施設は2階建て、「ただいま、おかえり」と言い合う家庭的な雰囲気を意識したという。室内には4部屋があり、1階には子どもや保護者のリラクゼーションにつなげるためのヒノキを用いた大きな机が用意され、特注したという鍵付きの大きなロッカーにはランドセルや手提げ袋を収納できる。2階にはボルダリングなどの遊具も準備されている。カフェの目印にもなる赤い螺旋(らせん)階段を登ると、緑の人工芝が敷かれた屋上に出られる。森理事長は「屋上を作りたかった。コロナ禍で引きこもるなど、心を病んだ子どもが増えた。夜眠れない子どもも、太陽に当たることでぐっすり眠ることができる。重要性を感じている」と思いを語る。 「カフェ・ロベ」は、おやつや夕食を低額で提供する食堂のほかに、宿題をサポートする学習塾や、外国にルーツのある保護者などに日本語を教えたり、習字やアート教室などの習い事教室を開催する。(柴田大輔) ■問い合わせ NPO法人居場所サポートクラブロベ 電話:029-886-9318

ウクライナ避難学生50人受け入れへ 筑波大

447人が申請 筑波大学(つくば市天王台、永田恭介学長)は23日の定例会見で、ウクライナからの避難学生を50人程度受け入れると発表した。国立大学としては全国で最大規模の受け入れになるという。第1期として20人を選考し、7月中旬以降、来日する予定だ。 ロシアの侵攻により、学ぶ場や研究する場を失ったウクライナの学生や大学院生、卒業生などを対象に、4月中旬から、筑波大のホームページなどで募集した。6月22日までに計447人の申請があったという。 第1期として、5月6日までに申請者があった83人を対象にオンライン面接などを実施し、勉強したい内容が筑波大が実施する授業や研究と一致するかや、英語や日本語の語学力があるかなどを選考し、20人の受け入れを決めた。 20人はウクライナの11の大学の学生で、現在、ウクライナ国内のほか、国外に避難している学生もいるという。 筑波大では受け入れ学生に、渡航費用上限15万円を支給するほか、学生宿舎を無償貸与し、月額5万円の生活費を支援する。入学金や授業料は免除し、日本語学習プログラムを提供したり、心のケアなどカウンセリングも実施する。 受け入れ期間は来年3月末までだが、ウクライナの情勢によっては延長も検討している。 ただし特別聴講学生として受け入れるため、筑波大での学位の取得は難しいという。 7月に来日する20人はこれからビザの取得手続きなどをする。ウクライナ政府は18歳から60歳の男性の出国を原則認めていないことから、太田圭副学長は、男子学生8人のうち出国できない学生もあるかもしれないとしている。 残り30人程度の受け入れについてもなるべく早く選考し、秋学期が始まる10月までには授業を受けられるようにしたいとしている。 筑波大には現在、ウクライナの留学生が5人在籍している。留学生には、避難学生を支援するスタッフとして協力を依頼したいとしている。 日本財団が実施している「ウクライナ避難民支援」に、渡航費や生活費の支援申請をするほか、学生宿舎がいっぱいになってしまった場合は、県やつくば市とも住まいの支援について連携したいとしている。さらに避難学生支援のための基金を設置し、学内、学外から寄付を募りたいとしている。(鈴木宏子)

コロナ医療崩壊 つくば市の誤判断 《吾妻カガミ》114

【コラム・坂本栄】コロナ感染者が急激に増え、首都圏で医療崩壊が起きています。陽性者を含む医療が必要な人の数と、これらの人を受け入れる病床数の需給が崩れ、コロナ患者が医療システムの外に置かれるという非常事態です。昨春、日本財団が打診してきた軽症者収容施設をつくば市が受け入れていたら、こういった惨状はかなり緩和されたのではないかと、残念でなりません。 「戦争ができない国」になった日本 本欄ではコロナ禍を有事と捉え、何回か、国や自治体が実施すべき(あるいはやってはいけない)対コロナ策(作戦)を取り上げました。初回「…つくば市のコロナ対応」(昨年4月6日掲載)では、ワクチン(武器)入手や接種所(前線)への配送(後方支援)はもちろん、対コロナ(敵)の基本は国境・県境で阻止する、それに失敗したら密空間(戦域)での拡散(戦闘行動)を抑える―ことが大事と指摘しました。 こういった枠組みで考えると、県境を越えるGO・TOトラベル、国境を越える東京五輪は間違った対応でした。ワクチンの自国開発不調は後日検証するとしても、河野太郎氏をワクチン担当相(兵站司令官)に就けたのは人事ミスでした。目立ちたがりの彼は、次々と場当たり策を打ち出し、ワクチン配送と接種所を混乱させたからです。米国では軍の兵站(へいたん)部門が配送を担当したと聞きます。 また、政府が私権制限を可能にする法整備を怠ったのは失態でした。これでは、国民が密になる場所に集まることを放置、コロナの犠牲になる(効果的な機銃掃射の標的になる)のを許すようなものです。菅首相は有事と平時の違いを理解できないのでしょうか。誤解を恐れずに言えば、日本は「戦争ができない国」になってしまいました。 残念だった「コロナ野戦病院」拒否 小粒ですが、つくば市にも似たような対応がありました。コラム「…コロナ対応を点検」(昨年5月4日掲載)で、2つの事例(小中学校の密状態容認、人の市境越え誘導)を挙げておきましたので、詳しくはリンク先をご覧ください。それよりも、9000もの病床を備える軽症者施設の市内設置を断ったことは、大局観に欠ける失態でした。 競艇の収益で公益活動をしている日本財団が、つくば市にある1万7300坪の同財団研究所跡に、軽症コロナ患者(戦傷者)を収容する大テント病棟群を設置したいと、市に同意を求めてきたところ、五十嵐市長は市民の同意を得るのが難しいとの理由で拒否した、というのがその経緯です。秋の市長選を前にして、「迷惑施設」は政治的にマズイと判断したようです。詳しくはコラム「『大型コロナ病床の是非』の是非」(昨年4月20日掲載)に出ています。 このテント病棟(野戦病院)が実現していれば、首都圏の重症者(治療は集中治療室)、中症者(同病院か在宅)、軽症者(同原則在宅)のうち、軽症者と中症者の相当数を収容でき、首都圏の病床需給は劇的に改善されたでしょう。コロナ禍を有事と考え、施設を受け入れていれば、五十嵐さんはその見識が評価され、将来の首相候補になっていたしょう。残念。 (経済ジャーナリスト)

コロナ医療崩壊 つくば市の誤判断 《吾妻カガミ》114

【コラム・坂本栄】コロナ感染者が急激に増え、首都圏で医療崩壊が起きています。陽性者を含む医療が必要な人の数と、これらの人を受け入れる病床数の需給が崩れ、コロナ患者が医療システムの外に置かれるという非常事態です。昨春、日本財団が打診してきた軽症者収容施設をつくば市が受け入れていたら、こういった惨状はかなり緩和されたのではないかと、残念でなりません。 「戦争ができない国」になった日本 本欄ではコロナ禍を有事と捉え、何回か、国や自治体が実施すべき(あるいはやってはいけない)対コロナ策(作戦)を取り上げました。初回「…つくば市のコロナ対応」(昨年4月6日掲載)では、ワクチン(武器)入手や接種所(前線)への配送(後方支援)はもちろん、対コロナ(敵)の基本は国境・県境で阻止する、それに失敗したら密空間(戦域)での拡散(戦闘行動)を抑える―ことが大事と指摘しました。 こういった枠組みで考えると、県境を越えるGO・TOトラベル、国境を越える東京五輪は間違った対応でした。ワクチンの自国開発不調は後日検証するとしても、河野太郎氏をワクチン担当相(兵站司令官)に就けたのは人事ミスでした。目立ちたがりの彼は、次々と場当たり策を打ち出し、ワクチン配送と接種所を混乱させたからです。米国では軍の兵站(へいたん)部門が配送を担当したと聞きます。 また、政府が私権制限を可能にする法整備を怠ったのは失態でした。これでは、国民が密になる場所に集まることを放置、コロナの犠牲になる(効果的な機銃掃射の標的になる)のを許すようなものです。菅首相は有事と平時の違いを理解できないのでしょうか。誤解を恐れずに言えば、日本は「戦争ができない国」になってしまいました。 残念だった「コロナ野戦病院」拒否 小粒ですが、つくば市にも似たような対応がありました。コラム「…コロナ対応を点検」(昨年5月4日掲載)で、2つの事例(小中学校の密状態容認、人の市境越え誘導)を挙げておきましたので、詳しくはリンク先をご覧ください。それよりも、9000もの病床を備える軽症者施設の市内設置を断ったことは、大局観に欠ける失態でした。 競艇の収益で公益活動をしている日本財団が、つくば市にある1万7300坪の同財団研究所跡に、軽症コロナ患者(戦傷者)を収容する大テント病棟群を設置したいと、市に同意を求めてきたところ、五十嵐市長は市民の同意を得るのが難しいとの理由で拒否した、というのがその経緯です。秋の市長選を前にして、「迷惑施設」は政治的にマズイと判断したようです。詳しくはコラム「『大型コロナ病床の是非』の是非」(昨年4月20日掲載)に出ています。 このテント病棟(野戦病院)が実現していれば、首都圏の重症者(治療は集中治療室)、中症者(同病院か在宅)、軽症者(同原則在宅)のうち、軽症者と中症者の相当数を収容でき、首都圏の病床需給は劇的に改善されたでしょう。コロナ禍を有事と考え、施設を受け入れていれば、五十嵐さんはその見識が評価され、将来の首相候補になっていたしょう。残念。 (経済ジャーナリスト)

「子ども第三の居場所」に採択 つくばで交流カフェ開設へ

生活困窮世帯の子どもに学習支援を行う「無料塾」を運営するNPO法人「居場所サポートクラブロベ」(つくば市島名、森美智子理事長)が、新たに地域の子どもたちや高齢者も気軽に立ち寄れる居場所の開設を準備している。日本財団(東京都港区)の「子ども第三の居場所」事業に採択され、4772万円の助成が決まったためだ。今年11月頃の事業開始を目標にしている。 「第三の居場所」事業は、子どもたちが放課後、安心して過ごせる居場所を提供し、生き抜く力を育むことを目的とした事業で、ロべは施設の建設費や当面の運営費に充てようと応募していた。7月に全国で57拠点の採択が決まり、茨城県内では唯一選ばれた。コミュニティーモデルとして採択されており、現時点での名称は「カフェ・ロベ」。「カフェのように、地域の誰もが立ち寄れて、様々な人と交流できる場所になれば」と理事長の森さん(54)は話す。 地域とつながる教室に 現在、同会が運営している「無料塾」は、利用世帯のプライバシー保護のため、一般の地域住民からは様子が見えない形になっている。しかし、年に数回実施している保護者との面談の様子から、生活困窮世帯の保護者は社会的に孤立した状況にいることが多く、保護者同士や地域住民とつながることができる場所も必要なのではと感じていた。 そこで、生活困窮世帯だけでなく一般家庭の親子や、地域住民も気軽に立ち寄れて交流できる場所を作ろうと思い立った。助成金を受けられたことで準備を始めている。同会が借用しているつくば市緑が丘の一軒家を改修し、多様な人が集まれるよう、リビングや台所を広げ、屋上には子どもたちが遊べるテントやプールを設置する。和室は子どもたちが宿題などをするスペースにし、学習塾や習い事教室を開催する部屋も増設する。 全員が一緒に夕食 新しい居場所「カフェ・ロベ」は、週3回、午後から開所する予定。学習塾のほか、外国人保護者のための日本語教室、保護者の就職等にも役立つパソコン教室、子どもも大人も学べる中国語教室など、利用者の希望に沿った教室を開設し、各自が受けたい教室を選べるようにする。基本的に各教室の受講料は徴収するが、生活困窮世帯は無料または低額にする。読み書き等が苦手な発達障害の子どもも各教室に参加できるよう、タブレット端末等の設備も整える。 各教室の終了後、全員がリビングに集まり、一緒に夕食をとる。夕食は子ども食堂のように、低額で提供する。「生活困窮世帯の保護者は複数の仕事を掛け持ちしていることも多く、その上、家事もこなそうと思うと、子どもと関わる余裕がなくなってしまう。低額で夕食を提供することで、親子が十分にコミュニケーションをとれる時間的余裕を作れれば」と、森さんは話す。 教室には参加せず、教室が開かれている時間帯にリビングで談笑したり、屋上で遊んでいてもいい。夕食を食べに来るだけの親子がいてもいい。「緑が丘地区には高齢者世帯や子育て世帯など、幅広い世代が暮らす。ロベが運営する、知的障害や精神障害を持つ人のグループホームも近くにある。夕食の準備など、高齢者や障害者にも手伝ってもらったりしながら、いつでも誰でも立ち寄れる場にしたい」と、森さんは意気込む。(川端舞) ◆同会では「カフェ・ロベ」開設に向けて、夕食の調理や発達障害の子どもたちへの学習指導、子どもたちの送迎等、運営を手伝ってくれるボランティアを募集している。問い合わせはロベ(電話029-886-9318、メールinfo@robe-npo.org)へ。

《吾妻カガミ》98 新年会で話題にしたかったこと

【コラム・坂本栄】コロナ禍で新年会が吹き飛び、このコラムもネタ不足です。というのは、1年前の「土浦とつくばの新年パーティー風景」(昨年1月20日掲載)同様、今回も両市の賀詞交歓会の様子を取り上げようと思っていたのですが、どちらも中止になりました。 そこで今回は、ビール片手の立ち話で話題にしたかったことアレコレです。 安倍~菅政権は対コロナ作戦で失敗 年末から年始にかけてコロナ禍が深刻になり、菅首相は緊急事態宣言の再発出に追い込まれました。安倍~菅政権の失政のひとつは、コロナの小康に油断し、落ち込んだ経済に活を入れようと、コロナの拡散を助長するGO TOトラベル・イート策を導入したことです。第1次非常事態を解除したあと、特別措置法の追加改定(私権制限や収入減補償などの仕組みづくり)を怠ったことも、いただけません。 私は、「善政? つくば市のコロナ対応」(昨年4月6日掲載)の中で、(1)コロナ禍という「戦争事態」には非常事態法の体系で対処せよ(2)それには「人の移動を抑え」「人を群れさせない」ことが大事(3)その結果生ずる経営や家計のマイナスは財政で回してやるべき(4)その資金は「戦時国債」(100~200兆円)で確保したらよい―と述べました。 GO TO策は(2)と真逆であり、今ごろ特措法をいじっているようでは(1)の有事に対する認識に欠けています。コロナ阻止と経済刺激の二兎(2匹のうさぎ)を追ってはいけません。コロナ抑制こそ経済対策ですから、しばらくはコロナ阻止>経済刺激でいくべきです。新年会に顔を出す衆参議員さんとは、両政権の政策センスについて議論しようと思っていたのですが、残念でした。 土浦のサプライズ花火には強い違和感 土浦市は「人を群れさせない」ために、昨秋の全国花火競技大会を取り止めました。常識的な判断だとは思いますが、その埋め合わせとして、打ち上げの日時と場所を事前に予告しない「サプライズ花火」を実施しました。市長の安藤さんは「市民に楽しみを…」と思ったのでしょうが、この代替策には違和感を覚えています。 私にとって、土浦の花火は「大相撲や歌舞伎と同じように桟敷席で重箱のご馳走をつつき飲みながら鑑賞する行事」だからです。サプライズ花火は由緒正しい花火の姿ではありません。それに、市内の商工振興には何の役にも立ちません。仕事がキャンセルされた煙火会社や花火師を支援したいということであれば、収入減を直接補償する方がスマートです。 市長さん、市議さん、県議さんと、サプライズ花火の是非について話せなかったので、ここで持論を述べました。 つくばのコロナ病床施設は再考したら つくば市の新年会では、昨春、日本財団が市内の研究所跡に設けたいと言ってきた「軽症コロナ患者の病床施設」を話題にしようと思っていました。市長の五十嵐さんが受け入れを事実上拒否したあの案件です。東京が医療崩壊状態に陥っている今、1万7000坪の敷地に複数の大型テントを設置して、9000の病床を用意するというこの壮大な計画、首都(国家)機能維持のために必要性は強まっているのではないでしょうか。 日本財団の打診と市長の対応については、「『大型コロナ病床をつくばに』の是非」(昨年4月20日掲載)をご覧ください。私はこの中で、「つくば市は国との関係で特殊な位置にある自治体」と指摘、コロナ病床を迷惑施設だと断るのではなく、広い視野に立って、協力したらどうかと述べました。国や都に大きな「貸し」をつくれますし、施設の建設と維持に伴う経済効果も大きいと思ったからです。 市長さん、市議さん、県議さん、改めてOKを出したらどうか(もう遅い?)、と提案するつもりでした。(経済ジャーナリスト)

《吾妻カガミ》98 新年会で話題にしたかったこと

【コラム・坂本栄】コロナ禍で新年会が吹き飛び、このコラムもネタ不足です。というのは、1年前の「土浦とつくばの新年パーティー風景」(昨年1月20日掲載)同様、今回も両市の賀詞交歓会の様子を取り上げようと思っていたのですが、どちらも中止になりました。 そこで今回は、ビール片手の立ち話で話題にしたかったことアレコレです。 安倍~菅政権は対コロナ作戦で失敗 年末から年始にかけてコロナ禍が深刻になり、菅首相は緊急事態宣言の再発出に追い込まれました。安倍~菅政権の失政のひとつは、コロナの小康に油断し、落ち込んだ経済に活を入れようと、コロナの拡散を助長するGO TOトラベル・イート策を導入したことです。第1次非常事態を解除したあと、特別措置法の追加改定(私権制限や収入減補償などの仕組みづくり)を怠ったことも、いただけません。 私は、「善政? つくば市のコロナ対応」(昨年4月6日掲載)の中で、(1)コロナ禍という「戦争事態」には非常事態法の体系で対処せよ(2)それには「人の移動を抑え」「人を群れさせない」ことが大事(3)その結果生ずる経営や家計のマイナスは財政で回してやるべき(4)その資金は「戦時国債」(100~200兆円)で確保したらよい―と述べました。 GO TO策は(2)と真逆であり、今ごろ特措法をいじっているようでは(1)の有事に対する認識に欠けています。コロナ阻止と経済刺激の二兎(2匹のうさぎ)を追ってはいけません。コロナ抑制こそ経済対策ですから、しばらくはコロナ阻止>経済刺激でいくべきです。新年会に顔を出す衆参議員さんとは、両政権の政策センスについて議論しようと思っていたのですが、残念でした。 土浦のサプライズ花火には強い違和感 土浦市は「人を群れさせない」ために、昨秋の全国花火競技大会を取り止めました。常識的な判断だとは思いますが、その埋め合わせとして、打ち上げの日時と場所を事前に予告しない「サプライズ花火」を実施しました。市長の安藤さんは「市民に楽しみを…」と思ったのでしょうが、この代替策には違和感を覚えています。 私にとって、土浦の花火は「大相撲や歌舞伎と同じように桟敷席で重箱のご馳走をつつき飲みながら鑑賞する行事」だからです。サプライズ花火は由緒正しい花火の姿ではありません。それに、市内の商工振興には何の役にも立ちません。仕事がキャンセルされた煙火会社や花火師を支援したいということであれば、収入減を直接補償する方がスマートです。 市長さん、市議さん、県議さんと、サプライズ花火の是非について話せなかったので、ここで持論を述べました。 つくばのコロナ病床施設は再考したら つくば市の新年会では、昨春、日本財団が市内の研究所跡に設けたいと言ってきた「軽症コロナ患者の病床施設」を話題にしようと思っていました。市長の五十嵐さんが受け入れを事実上拒否したあの案件です。東京が医療崩壊状態に陥っている今、1万7000坪の敷地に複数の大型テントを設置して、9000の病床を用意するというこの壮大な計画、首都(国家)機能維持のために必要性は強まっているのではないでしょうか。 日本財団の打診と市長の対応については、「『大型コロナ病床をつくばに』の是非」(昨年4月20日掲載)をご覧ください。私はこの中で、「つくば市は国との関係で特殊な位置にある自治体」と指摘、コロナ病床を迷惑施設だと断るのではなく、広い視野に立って、協力したらどうかと述べました。国や都に大きな「貸し」をつくれますし、施設の建設と維持に伴う経済効果も大きいと思ったからです。 市長さん、市議さん、県議さん、改めてOKを出したらどうか(もう遅い?)、と提案するつもりでした。(経済ジャーナリスト)

《吾妻カガミ》95 つくば市長の「上から目線」

【コラム・坂本栄】民間会社の場合、株主や顧客に業績や商品について理解してもらう仕事を広報と呼び、企業活動にとっては大事な分野です。公の市政の場合、その対象は市民になりますが、10月に再選された市長の五十嵐さんは、選挙活動の中で市政への理解不足を痛感したらしく、2期目では広報に力を入れるそうです。 その意気込みについては、11月の会見記事「発信の在り方 根本から検討」(11月5日掲載)をご覧ください。理解不足の例として、①市のかなりの取り組みを知らない市民が多かった②対抗候補も市の基本的な取り組みすら知らなかった③市政について相当いい加減なことを書く人もいた―などを挙げ、「市民が必要としている情報をどうやって届けられるか、あらゆる手段を考えたい」と述べました。 広報の充実はメディアも大歓迎です。でも、市民の理解不足を嘆き(平均的な市民が市政の詳細を知るのは無理)、対抗候補を見下す(彼らは無投票を避けようと急な準備で出馬を決断)ような、「上から目線」はいただけません。また、観察者(開示情報を基に市当局とは違った視点でチェック)を煙たがるようでは、度量が狭すぎます。 施策を立案・実施する市長がその内容に精通しているのは当たり前ですから、自分との比較で、①②③の方々の理解度にブツブツ言うのはいかがなものでしょうか。 広報は「自然体で」「虚偽はダメ」 経済記者が長かった私は、上場会社の広報責任者から広報の在り方についてよく相談されました。旧財閥系企業の広報コンサルタントが主催するセミナーでも、よく講演させられました。そういった際には、「自然体で対応する」「ウソをつかない」ことが大事とアドバイスしたものです。別の言い方をすれば、装飾や虚偽はいずればれる、そのとき会社は信用を失い、経営が危機に至るケースも―ということです。 行政広報と企業広報は同じではありませんが、「自然体で対応する」「ウソをつかない」は受け手が誰であろうと同じです。そして大事なのは、「広報の方法」ではなく、「広報の中身」であることは言うまでもありません。テクニックにこだわると宣伝臭くなり、信用されなくなります。 「NEWSつくば」は5月、市長と日本財団理事長の面談録(新型コロナ軽症者施設を市内の同財団敷地に設置する件)を開示するよう市に請求しました。6月9日付の回答は「存在しない」でしたが、25日にその旨を記事にしたところ、30日になって「発見された」と修正してきました。虚偽がばれると思ったのでしょうか? その詳細は本サイトの記事(7月29日掲載)をご覧ください。 五十嵐さんは市長選の討議資料で、1期目を「9割以上の公約が達成もしくは順調」と自己採点しています。これに対し、本コラム(10月19日掲載)では「総合点は60点以下」と判定しました。選挙向けとはいえ装飾はいけません。市報でも、市HPでも、SNS発信でも、報道対応でも、広報は虚偽と装飾を排し、自然体でお願いします。(経済ジャーナリスト)

《吾妻カガミ》95 つくば市長の「上から目線」

【コラム・坂本栄】民間会社の場合、株主や顧客に業績や商品について理解してもらう仕事を広報と呼び、企業活動にとっては大事な分野です。公の市政の場合、その対象は市民になりますが、10月に再選された市長の五十嵐さんは、選挙活動の中で市政への理解不足を痛感したらしく、2期目では広報に力を入れるそうです。 その意気込みについては、11月の会見記事「発信の在り方 根本から検討」(11月5日掲載)をご覧ください。理解不足の例として、①市のかなりの取り組みを知らない市民が多かった②対抗候補も市の基本的な取り組みすら知らなかった③市政について相当いい加減なことを書く人もいた―などを挙げ、「市民が必要としている情報をどうやって届けられるか、あらゆる手段を考えたい」と述べました。 広報の充実はメディアも大歓迎です。でも、市民の理解不足を嘆き(平均的な市民が市政の詳細を知るのは無理)、対抗候補を見下す(彼らは無投票を避けようと急な準備で出馬を決断)ような、「上から目線」はいただけません。また、観察者(開示情報を基に市当局とは違った視点でチェック)を煙たがるようでは、度量が狭すぎます。 施策を立案・実施する市長がその内容に精通しているのは当たり前ですから、自分との比較で、①②③の方々の理解度にブツブツ言うのはいかがなものでしょうか。 広報は「自然体で」「虚偽はダメ」 経済記者が長かった私は、上場会社の広報責任者から広報の在り方についてよく相談されました。旧財閥系企業の広報コンサルタントが主催するセミナーでも、よく講演させられました。そういった際には、「自然体で対応する」「ウソをつかない」ことが大事とアドバイスしたものです。別の言い方をすれば、装飾や虚偽はいずればれる、そのとき会社は信用を失い、経営が危機に至るケースも―ということです。 行政広報と企業広報は同じではありませんが、「自然体で対応する」「ウソをつかない」は受け手が誰であろうと同じです。そして大事なのは、「広報の方法」ではなく、「広報の中身」であることは言うまでもありません。テクニックにこだわると宣伝臭くなり、信用されなくなります。 「NEWSつくば」は5月、市長と日本財団理事長の面談録(新型コロナ軽症者施設を市内の同財団敷地に設置する件)を開示するよう市に請求しました。6月9日付の回答は「存在しない」でしたが、25日にその旨を記事にしたところ、30日になって「発見された」と修正してきました。虚偽がばれると思ったのでしょうか? その詳細は本サイトの記事(7月29日掲載)をご覧ください。 五十嵐さんは市長選の討議資料で、1期目を「9割以上の公約が達成もしくは順調」と自己採点しています。これに対し、本コラム(10月19日掲載)では「総合点は60点以下」と判定しました。選挙向けとはいえ装飾はいけません。市報でも、市HPでも、SNS発信でも、報道対応でも、広報は虚偽と装飾を排し、自然体でお願いします。(経済ジャーナリスト)

《食とエトセトラ》7 子ども時代に本物に触れる

【コラム・吉田礼子】つくば市にあるノバホールで、劇団四季のミュージカル「王様の耳はロバの耳」を観たのは、娘が小学1年のころでした。舞台上の子どもたちの熱気、歌詞、メロディーは今でも鮮やかによみがえります。 当時、劇団四季は、日本中の子どもに本物の舞台芸術を伝えたい、とりわけ地方の子どもたちに届けたい―と、高い理想を掲げていました。日本財団の賛同もあり、格安のチケットを入手でき、プロのミュージカルを観ることができました。 娘のピアノ発表会も同じステージでできたことは、貴重な思い出 です。子ども時代に「本物」に触れることは、美しいものを感じる心、真贋(しんがん)を見極める目を育てます。幼い時のことを覚えていなくても、豊かな心の財産になります。 親としても、豊かな経験が一緒にできるのはありがたいことです。また、子どもと共通の趣味の持てるようになったのはうれしいことです。大人は種をまく人、子どもは自ら育つ力を持つ存在と言えるでしょう。 なぜ『百本しんにゅう』を書くのか 私は30年ぐらい、子ども書道教室を主宰していました。小学1~2年生にとって、毛筆は初めての経験。筆の持ち方、道具の扱い方、筆の入れ方、横画、縦画、丸、点、はね、はらいなどを、一生懸命覚えます。 毎回お手本を書くことは大変です。まずお手本を見て学んでもらいますが、お手本通りに書けることは到着点ではありません。ある技術を習得するための一つの目安に過ぎません。はるか遠くの高みにある、美しいものを美しいと感じる感性の世界を目指します。いわば同門の志のようなものです。 書道も技術だけではなく、「道」が付くものは修養が肝心です。子どもだからと手加減してはいけません。小学6年の子が「低学年のとき、百本ノックのように『百本しんにゅう』をなぜ書くのか意味が分からなかった。でもこのごろ分かってきた」と漏らしたことがあります。成長の姿には心を打たれました。(料理教室主宰)

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