つくば市内で低所得・ひとり親家庭向けの無料塾や障害者のグループホームを運営するNPO法人、居場所サポートクラブロベ(つくば市島名、森美智子理事長)が、同市緑が丘に「子どもの第三の居場所」事業による「みんなのカフェ・ロベ」を開設、29日には開所式が行われた。カフェは週に3日(月・水・金)、午後2時から8時の間、食事の提供や勉強のサポートなどを通じて子どもたちに居場所を提供するとともに、地域住民も利用できる。多世代の交流を通じて「誰一人取り残されない地域子育てコミュニティー」作りを目指す。
「子ども第三の居場所」は、日本財団(東京都港区)が2016年から始めた事業で、困難な状況にある子どもたちに、家庭や学校以外に、放課後に安心して過ごせる居場所を提供し、バランスの取れた食事や学習支援などを通じて、子ども自身の力を育むことを目的としている。同事業による「居場所」は、準備中も含めて全国で179カ所あり、県内では笠間市にある「ともだちの家」に続く2例目となる。
同法人は、2011年3月につくば市内で始めた学童保育を皮切りに、2016年には同市初となる、貧困世帯向けの学習支援無料塾「Robeつくば学習会」を開設した。その後、無料塾に通う発達障害など困難を抱える子どもの親から、「自分が亡き後、果たして我が子は自立できるのか」という相談を受けて障害事業を開設した。現在は、無料塾の他に障害者グループホーム、放課後デイサービス、児童クラブなどを運営している。
今回のカフェ開設について、森美智子理事長は「地域のシニアや子どもたちなど、多世代が交流できる場所を作るチャレンジ。今までの経験をブラッシュアップしながら、地域に喜ばれる事業をしていきたい」と思いを語る。
「ただいま、おかえり」言い合える
施設は2階建て、「ただいま、おかえり」と言い合う家庭的な雰囲気を意識したという。室内には4部屋があり、1階には子どもや保護者のリラクゼーションにつなげるためのヒノキを用いた大きな机が用意され、特注したという鍵付きの大きなロッカーにはランドセルや手提げ袋を収納できる。2階にはボルダリングなどの遊具も準備されている。カフェの目印にもなる赤い螺旋(らせん)階段を登ると、緑の人工芝が敷かれた屋上に出られる。森理事長は「屋上を作りたかった。コロナ禍で引きこもるなど、心を病んだ子どもが増えた。夜眠れない子どもも、太陽に当たることでぐっすり眠ることができる。重要性を感じている」と思いを語る。
「カフェ・ロベ」は、おやつや夕食を低額で提供する食堂のほかに、宿題をサポートする学習塾や、外国にルーツのある保護者などに日本語を教えたり、習字やアート教室などの習い事教室を開催する。(柴田大輔)
■問い合わせ NPO法人居場所サポートクラブロベ 電話:029-886-9318