野球・ソフトボール室内練習施設完成機に
最先端のスポーツ科学を生かした運動分析とコーチングを提供する筑波大学(つくば市天王台)の野球・ソフトボール室内練習施設「インヴィクタス・アスリート・パフォーマンス・センター(IPC)」(関彰商事が整備・運営)が1日、大学構内の南地区(同市天久保)に完成し仮オープンしたのを機に、今後、同施設などを利用する運動部学生らと、関彰商事の同大出身アスリート社員との「筑波大学・関彰商事 部活動生交流会」が9日、つくば駅前のホテル日航つくばで催された。関彰商事の関正樹社長は「スポーツを通じて地域に貢献することを一緒にしていただきたい」などと呼び掛けた。同室内練習施設は22日、正式オープンする。
交流会に参加したのは、同室内練習施設のほか人工芝のサッカー場「セキショウフィールド」を利用する同大の女子ソフトボール部(関東学生女子ソフトボールリーグ2部所属)、硬式野球部(首都大学リーグ1部)、蹴球部(関東大学サッカーリーグ1部)、アメリカンフットボール部(関東学生アメリカンフットボールリーグ2部)、男子ラクロス部(関東学生ラクロスリーグ2部)、女子ラクロス部(同リーグ3部)の主将、選手、監督や顧問ら。関彰商事からは同大卒のアスリート社員らが出席し、交流を深めた。

あいさつした関彰商事の関社長は「20~30年前から筑波大学との交流が始まり、2016年に(土のグラウンドの)第2サッカー場を(人工芝の)セキショウフィールドにして寄贈させていただいたことが大きな節目になった。始めの1、2年は大学との距離が近くなったが、その後、距離を置いてしまった。今日新たに室内練習施設を寄付し、関係者の皆さんにお集まりいただいた。新しい一歩として、一緒に地域貢献に取り組んでいただければ」などと話した。
同大体育スポーツ局の高木英樹局長、体育専門学群の木塚朝博学群長らも参加し、高木局長は「新しい室内練習場はPPP(官民連携)方式で進め、両者の長所を生かした。筑波大学が培った先端のスポーツ科学の知見を社会に貢献していく中核となる施設で、世界的に注目される施設になるに違いない。世界中のトップアスリートも運動分析を受けて、パフォーマンスを上げていく施設になると確信している。この施設を利用して最大のパフォーマンスを発揮し人間的にも成長することが(関彰商事に対する)最大の恩返しになる」などと話した。

続いて同大出身の関彰商事アスリート社員で、パリ五輪陸上男子100メートルに出場した東田旺洋選手と、東京パラリンピックで銅メダルを獲ったゴールボール日本代表の高橋利恵子選手がそれぞれ、大学や大学院で何を考え、どのように過ごし、成長できたかなどを講演。参加した運動部員から「試合前にテンションが上がって眠れなくなる。メンタルをどうセットして大会に臨むのか」などの質問が出て、高橋選手は「私も緊張して上がってしまう。東京パラリンピックに出て緊張していた時、後輩から『高橋さんらしくない』とLINEが来て、はっとした」と経験談を話し「日頃のルーティーンを変えないことも一つ。寝る前に、これをして、あれをして、寝るということを体に染み込ませるなど、ルーティーンをつくることも一つ」などと答えていた。

同室内練習施設は関彰商事が費用を負担して施設を整備し、完成後は同大に引き渡された。完成後15年間は関彰商事が施設を管理運営し、事業収入を得て、整備費用などを回収する。投球や打撃の動作や弾道などを測定し分析する最新の機器を備え、スポーツの動作分析とコーチングを研究する同大の研究成果や知見を生かして、様々な選手に最新のスポーツ科学を基にした運動分析やコーチングを提供する。平日昼間は大学の授業や部活動で使用し、平日夜間と休日は、一般向けにスクールや運動分析プログラムの提供などをする(24年10月18日付、25年5月16日付)。=鈴木宏子