【コラム・坂本栄】つくば市はクレオ再生計画の推進を断念しました。市と民間会社が出資して「まちづくり会社」を設立する、リフォーム床には商業・公共施設を入れる、出資金に改修費を加えると71億円かかる―こういった内容でしたが、2日、関連予算案を議会に出すのを諦めました。

市のプランは力が入ったものであり、市長も意気込んでこのプロジェクトに臨みました。それなのに、どうして断念したのでしょう。一言でいえば、関連予算案を出しても否決されると読んだからです。さらに言えば、プランそのものが合理性に欠け、議会の説得が下手だったからです。

施(政)策の合理性と政治家の説得力の必要性については、このコラム「五十嵐市政 決断モードに」(10月1日)でも触れました。その意味では心配が的中したことになり、市にとってはとても残念なことです。

また同じコラムで、市のアンケート調査の問題点も指摘しました。市長はこのリサーチを踏まえ、回答者の8割以上が市のプランを支持していると胸を張りました。しかし、計画の断念によって、結果、彼ら彼女たちは裏切られました。

「クレオ祭り」はこれで終わったのでしょうか? まだ続くでしょう。というのは、市は時間軸を曖昧にしたまま、つくば駅周辺にマンションを建てさせない用途制限措置を導入しようとしているからです。これでは、駆け込み建設を誘導しているようなものです。

記事と論評で情報を提供

当サイトは「クレオ再生問題」について豊富な情報を提供しました。というのは、地域のNPOメディアとして「行政の監視」を編集の方針に掲げているからです。

市の計画発表(6月12日9月4日同28日10月18日同25日11月2日)、アンケート調査(8月1日9月4日10月18日)、市民説明会(10月10日同12日同14日同15日)など、新聞などに比べると、記事量は圧倒的に多く、速かったと思います。紙面の制約がない、24時間発信できる「ネット新聞」の強みです。

また、一般記事だけでは、市のプランやアクションの意味がよく分からないと考え、コラム欄を使った論評にも力を注ぎました。「クレオ再生調査 市は方向性を誘導」(9月13日)、「クレオ再生計画 サスペンス映画の手法」(10月11日)、「クレオ改修案に強い違和感」(10月15日)、「クレオ再生計画に異議ありⅠ」(10月29日)、「クレオ再生計画に異議ありⅡ」(10月30日)などです。

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