火曜日, 10月 6, 2026
ホームスポーツ人のために頑張る、目に見えない力がチーム支えている 土浦日大・小菅勲監督【高校野球展望'26】㊦

人のために頑張る、目に見えない力がチーム支えている 土浦日大・小菅勲監督【高校野球展望’26】㊦

高校野球強豪校の名監督インタビュー2人目は土浦日大。春の茨城大会を制し、春季関東大会では1勝を挙げ、続く準々決勝では強豪の関東一を相手に互角の戦い(3対4)を演じた。この夏、第1シードとして茨城の頂点を目指す小菅勲監督に、チームの現状、投手陣の陣容、そして甲子園という舞台へ向かう姿勢について、率直な思いをうかがった。

春からさらにワンランクアップ

―まず、今年のチームの仕上がり具合については、現時点でどのように評価されていますか。

小菅 非常に自信となった春でした。その春からもさらにワンランクアップしようということで、この6月を過ごしてきました。力強さは間違いなく増しています。夏は体力勝負ですので、かなりハードなトレーニング、特にフィジカル面の強化を重点的に行ってきました。選手もそれに一生懸命ついてきてくれましたので、必ずこの夏、その成果が出るだろうと期待しています。

何よりも、ピッチャー陣が安定してきたことが最大の強みです。打線は調子の波があるため読めない部分も多いのですが、投手が安定していることは勝利のベースとして非常に大きいです。

―県内の高校野球ファンの間でも、プロ注目の小池陽斗投手をはじめとした土浦日大の今年の投手陣は盤石だと評判です。具体的な顔ぶれを教えてください。

小菅 右の本格派である小池と島悠希、そして左の板橋悠希。あとは、2年生左腕の園山祐平も台頭してくるでしょう。この陣容には信頼を置いています。

6月は課題に徹底的に向き合った

―春の大会を振り返って、課題や収穫はどんな点にありましたか?

小菅 まず優勝を目標に掲げて、それを達成できたことが最大の収穫です。やはり目標は言葉に出して掲げることに意味があります。選手たちが持てる力を存分に発揮できたということが、何よりの結果でした。

一方で課題は、走攻守全てにおいて細かいミスがまだ見られる点です。特に関東大会を経て、それを痛感しました。効率的な連打が出ない中でも、いかに得点力を上げていくか。6月はこの課題と徹底的に向き合ってきました。ランナーを動かす作戦や、右打ち、バントを確実に決めること。これらは野球の土台です。ただ打つだけではなく、どうやって得点力を高めるかという戦略を磨いてきました。

―春の試合を拝見して、簡単にバントをしない印象を受けました。

小菅 それは私の中で、場面ありきというより、人ありきだからです。できる者に、できることをやらせる。それを重要視しているだけで、無理にセオリーに縛られる必要はないと考えています。

甲子園4強の代と、実力遜色ない

―チームの戦力層についてはいかがでしょうか。

小菅 チームの成熟度に関しては、3年前の甲子園4強入りした代と比べても、持っている実力そのものは遜色ないレベルにあると感じています。大舞台を経験した代と同様に、今のチームにも大会を通じて急激に成長していく素養は十分に備わっています。

―選手の役割分担や、控えの存在について教えてください。

小菅 うちはベンチウォーマー(控え)ではなく「ベンチスターター」と呼んでいます。試合の中盤以降に出て、流れを変えたり、勝利を確実なものにしたりする存在です。6月はレギュラー争いも活発で、春よりも戦力層が確実に厚くなっています。彼らがケースバイケースで役割を果たすことで、夏を通じてさらなる成長を見せてくれると確信しています。

井上記録員を甲子園のベンチに

―チーム全体の士気や雰囲気はいかがでしょうか?

小菅 士気は非常に高まっています。「春の優勝は過去のもの。夏は夏で、このメンバーで初めて目指す優勝なんだ」と選手たちには言い聞かせています。第1シードだからといって守りに入るのではなく、チャレンジャー精神で意気揚々と臨む雰囲気です。

―チームの強みや武器はどこにありますか?

小菅 練習の量と質への自信、そして何よりチームワークです。今年の3年生は特に仲が良い。試合後にベンチ入りメンバーとスタンド応援組が一緒になって喜び合う姿を見ても、今まで見たことがないほどです。

そして、記録員の井上という生徒の存在が大きいです。彼は昨年、悪性リンパ腫という大きな病気と闘い、1年間の療養生活を経て今年戻ってきました。4月にベンチ入りしてから、チームの中で「井上を甲子園のベンチに座らせてやろう」というスローガンが自然と生まれました。人のために頑張れる、そんな目に見えない力がチームを支えています。

キーマンは投の小池と打の吉田

―注目すべき選手、あるいはキーマンを教えてください。

小菅 あえて言うなら、投の小池と打の吉田惺南です。特にエースの小池が先発であれ抑えであれ、相手打線をしっかり抑えることが勝ちへの最大のポイントです。4番を打つ吉田も当然警戒されますが、その前後を打つ打者がどうつなぐか。彼らが中心となって機能することが鍵です。

―キャプテンとしての吉田選手はいかがですか?

小菅 声が出ますし、クレバーな部分もある。何よりチーム愛が強く、甲子園に出るのにふさわしいキャプテンです。過去の代と比較するのではなく、「自分たちで指標を決める」という姿勢を自ら持てる点は大変素晴らしい。

甲子園を見て入ってきた世代

―「甲子園を見て入ってきた世代」と言われますが、彼らへの思いは?

小菅 周囲からはそう言われますが、青春時代のチャンスをつかみ取ろうとする思いは毎年同じです。ただ、春に成果を出してくれたことで、「甲子園に行くのにふさわしいメンバーだ」という確信はより強まりました。「甲子園に出場する」ことにこだわりすぎるのではなく、「仲間と最後までやりきる」こと、その延長線上に結果があると伝えています。

7回制は議論のすり替え

―DH(指名打者)制導入の影響についてどうお考えですか?

小菅 現場では大歓迎です。打線の切れ目がなくなり、守備に不安があっても打撃でアピールできるチャンスが生まれる。相手ピッチャーによって左右のDHを準備しておき、試合展開によっては走塁とバントのスペシャリストも必要になってくる。その分、選手の出場機会が増えるので、選手のやる気を引き出す好影響しかありません。

―一方で7回制については?

小菅 個人的には反対です。野球の妙味が損なわれます。試合時間短縮の議論が「7回制」にすり替わっていると感じます。本来の問題は炎天下にあるはずなので、ナイター設備や開催時期の見直しなど、他に解決策はあるはずです。

応援に応え感動を与える

―最後に、応援してくださっている皆様へ一言お願いします。

小菅 最近は球場に足を運んでくださる方が増えていると感じます。高校野球は若者が青春を賭けて挑む舞台です。温かい目で見守っていただければ幸いです。また、OB会をはじめ関係者の皆様の支えには感謝しかありません。選手たちには「皆さんからの応援に応えること、感動を与えることが大事な要素だ」と伝えています。皆様と共に、この夏、甲子園を目指して努力を続けていきます。

【取材後記】小菅監督の言葉から強く感じられたのは、このチームが持つ「温かい結束力」だ。特に、闘病生活を経て復帰した記録員を「甲子園のベンチへ」という全員の共通目標が、技術以上の強い一体感を生んでいる。技術や戦術の緻密さだけでなく、こうした「人のために」という純粋な思いが、土浦日大の底力となっていると感じた。第一シードとして迎えるこの夏、彼らがどのようなドラマを見せてくれるのか、今から期待で胸が高まる。(伊達康)

終わり

※毎年、高校野球3強監督インタビューを掲載していますが、本年は諸般の事情により霞ケ浦高校 髙橋祐二監督のインタビューを見送らせていただきました。

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