生活保護業務などを担当するつくば市社会福祉課で昨年5月、市職員の残業代(時間外勤務手当て)などの未払いが明るみに出た問題で(24年5月9日付)、未払いだった残業時間は、請求権がある2021年1月から24年3月分まで3年3カ月間で、職員24人に対し計3851時間あり、未払い金額は計860万6522円だったことが分かった。5月9日までにすでに支払われたという。
3年3カ月間の平均は一人当たり160時間だった。24人についてはいずれも申請額と同額が支払われたが、昨年5月の発表から支払いを終えるまでちょうど1年かかった。
同市は長時間労働是正のため、残業時間の上限を月45時間、年360時間と定めている。未払いがあった職員24人のうち、最も多かった未払い残業時間について市人事課は、個人情報なので答えられないとし、市が定める上限を超えて残業を実施した職員がいたかどうかについては、規定通り支払われた残業代もあり、未払い分と足し合わせてないので分からないとしている。
残業代の未払いが発生した理由について市は昨年5月、できるだけ申請しないよう管理職が不適切な指導を行っていたため、職員が申請しにくい状況になっていたと説明し、不適切な指導をした管理職に対しては今後、処分を実施するとしていた。市によると2021年1月から24年3月まで社会福祉課の課長を務めた管理職は3人。
未払いに対しては監督責任を重く受け止めるとして昨年、五十嵐立青市長が給料を2カ月間10%減給し、飯野哲雄(当時)、松本玲子副市長2人が1カ月間10%の減給を実施した。一方、管理職の処分の検討はこれからになる。
社会福祉課以外の5課でも残業代の未払いがあることが分かったことから(25年3月12日付)、市は今後、5課の職員に対しても未払い分を支払う予定だ。
一方、昨年5月に明るみに出た市社会福祉課の残業代などの未払い問題は、同市の生活保護行政における一連の不適正業務が表面化する始まりになり、生活保護費の過払い(24年7月20日付)や不適正な不納欠損処理(同8月21日付)、県の監査に対する虚偽報告(25年3月13日付)などが次々に明らかになった。市福祉部は、一連の不適正業務がなぜ発生したのかなどを検証した報告書を6月中にまとめ発表するとしている。(鈴木宏子)