火曜日, 8月 25, 2026
ホームコラムキャッチフレーズの怖さ《続・気軽にSOS》134

キャッチフレーズの怖さ《続・気軽にSOS》134

【コラム・浅井和幸】キャッチフレーズとは、時に人が悲しみから抜け出すきっかけになり、時に勇気をもって立ち向かうようになる素晴らしいものです。

・夢は必ずかなう
・人間生きているだけでもうけもの
・明けない夜はない
・親が変われば子が変わる

これらは前を向くときに、説得力のある大きな力になります。少ない文字数で端的に表せる素晴らしいものですね。しかし、「端的に表せる」表現は危険をはらんでいます。時に、一方的に決めつけて責め立てる言葉となることもあるので、注意が必要です。

例えば、優勝を逃した選手に向かって「大丈夫、夢は必ずかなうよ」と言えるでしょうか? 大切な人が交通事故で重体となり、虫の息のときに「人間生きているだけで儲けもの」と声をかけられますか?

苦しみのさなか、泣き叫んでいる状況で、そのようなキラキラした言葉をかけることはマイナスになることはあっても、決してプラスにはなりません。端的に言い切る言葉は、時と場合、その人との関係性で、言って良いか悪いか決まってきます。

自分が良いと思う言葉だからといって、いつも良い言葉として受け取られないことは肝に銘じておくべきです。また、キャッチフレーズに縛られて、その言葉が示すことは逆の言動をしてしまうこともあります。

「8050問題」というキャッチフレーズ

人に共感をすることが大切だと伝えたいがために、共感が出来ない相手を責め立てる。「あなたは共感力が足りない。なんで人に共感できないのだ」と。相手がいかに共感できずに周りを傷つけているかを説教して、ケンカになったり、相手を悲しませたりする場面はまあまあ見られます。

このとき、共感が苦手な人の気持ちに共感を出来ずに、共感を押し付けている状況で、自分自身が相手に共感する気持ちから離れていることに気づきにくいものです。

ちなみに、ひきこもり問題で「8050問題」というキャッチフレーズがあります。親が80歳で、ひきこもった子どもが50歳。親の年金だけの収入で苦しい生活を送っているという問題を世間に広く伝え、しかも若者だけの問題ではないのだと認識してもらうためには、とてもよいものだと考えます。

しかし、80歳と50歳。人口が多い団塊の世代と団塊ジュニアがその世代になってくると考えると…。止めておきましょう。ひきこもり問題が若者だけの問題ではなく、中高年、高齢者も含む問題には変わりないのですから。

キャッチフレーズにとらわれずに、うまく使う方法を試行錯誤していけると、より人とのコミュニケーションや自分が成し遂げたいことに利用できるかもしれませんね。(精神保健福祉士)

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

1コメント

1 Comment
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho





spot_img

最新記事

終わらない情熱の舞台 魂を焦がす宿命の物語《マンガサプリ》10

【コラム・瀬尾梨絵】連載開始以来、日本の漫画史に燦然(さんぜん)と輝き続ける美内すずえ先生の「ガラスの仮面」(白泉社、初版1976年、現在49巻)。幾世代もの読者の心を激しく揺さぶり続けてきた本作を語る時、どうしても避けて通ることができない最大のテーマが、この作品が「まだ最終回を迎えていない、現在進行形の伝説である」ということである。 物語の主人公、北島マヤが平凡な少女から奇跡の天才女優へと覚せいしていく過程は、まさに魂を削るような壮絶な旅路だった。普段はうだつが上がらず、芝居のこと以外には取り柄がないように見える彼女がひとたび舞台に立ち、役の仮面をかぶった瞬間、常人離れした恐るべき才能と憑依(ひょうい)的な演技力を爆発させる。 その原動力にあるのは、計算でも技術でもなく、芝居に対する純粋すぎるほどの情熱と魂を削るような執念。彼女のライバルである姫川亜紀子との宿命の対決、幻の名作「紅天女」をめぐる過酷な試練、そして彼女を見守り続ける速水真澄(紫のバラのひと)とのじれったくも深い関係性。 数々の名シーンや名ゼリフを残しながら、物語は最高潮の熱量を保ったまま、長く深い休眠と再開の時を経て、現在もその歩みを止めていない。 「いつ完結するのだろう?」と、長年この作品を追い続ける読者なら誰もが一度は抱く問いだが、不思議なことに、この「結末がまだ見えない」という事実こそが、「ガラスの仮面」という作品を特別な存在にしている最大のスパイスなのだ。 「生きた神話」をリアルタイムで目撃 一般的な物語であれば、最終回を迎えることで一つの美談として完結し、本棚のなかに思い出としてしまわれてしまう。しかし、作中の登場人物たちと同じように、私たち読者もまた、「紅天女の行方は?」「マヤと真澄の恋の結末は?」という途方もない熱狂のただ中に、今なお取り残され続けているのだ。 物語が完結していないからこそ、作中のキャラクターたちは今この瞬間も、どこかの世界の舞台裏で息づき、セリフを覚え、芸を磨き、運命の幕が上がるのを待っているような気配をまとう。それは一種の「生きた神話」をリアルタイムで目撃しているような、圧倒的なライブ感に他ならない。 効率やスピード、あるいはあらかじめ結末の保証されたコンテンツがあふれる現代。その真逆をいくように、何十年もの時間をかけて一つの芸道、一つの恋の成就を追い求めるこの作品のあり方は、むしろ現代において異彩を放ち、強烈な輝きを放っている。結末が分からないからこそ、何度でも読み返し、新たな解釈を見出し、次の展開に想いをはせることができる。 未完であることそのものが読者にとっての一つの大きなエンターテインメントであり、いとおしい時間なのだ。 カーテンコールは、まだ鳴り止まない。北島マヤという天才が駆け抜ける終わらない舞台の幕が、今日もどこかで開き続けていることの奇跡をかみしめながら、私たちはこれからもその行く末を見守り続ける。(牛肉惣菜店経営)

上下水道料金6177世帯分7300万円をクレジット会社に誤請求 つくば市がデータ送信誤り

つくば市は24日、上下水道料金をクレジットカード払いで支払っている世帯のうち、7月に検針を実施した6177世帯分、計約7331万円について、21日、クレジットカード決済会社に誤って請求してしまったと発表した。24日、誤りに気付き、取り消したため、誤請求分が利用者の口座から引き落とされることはないとしている。 市上下水道業務課によると、本来、8月に検針を実施した5015世帯分、計約5305万円をクレジット会社に請求すべきところ、7月検針の6177世帯分を請求してしまった。同市では、市内を二つに分けて、2カ月に一度、上下水道料金2カ月分を請求している。クレジットカード支払いの場合、カード決済会社がつくば市に請求額を立て替え払いし、その後、各利用者の口座から引き落とすなどする。今回、つくば市がード決済会社に請求した7月検針の6177世帯分はすでに、市が前月にカード決済会社に請求しており、利用者の口座から引き落とされるなどしている。 24日、クレジット会社から通知を受け取った市民10人ほどから市に連絡があり、誤請求が分かった。 同課は、担当者が8月検針分のデータをクレジット会社に送信する際、本来は削除されているはずの前月のデータが送信用端末に残っていて、そのデータを誤って送信したのが原因としている。 同課は今後、カード決済会社に誤った請求をしてしまった7月の検針世帯6177世帯に対し、お詫びの手紙を出し説明するとしている。 再発防止策として同課は、請求データを作成した後は、送信件数及び金額を出力し、内容や過去のデータと重複がないことを複数人で確認する等、請求データ送信前のチェック体制をさらに強化するとしている。

つくば市初の介護医療院 9月1日開所 長期療養と看取り担う

いちはら病院に併設 医療と介護を一体的に提供し、長期療養や看取りを担う新しい介護保険施設「介護医療院」が9月1日、同市大曽根、いちはら病院に併設して開所する。つくば市で初、県内では16番目になる。いちはら病院を運営する医療法人健佑会(市原琢己理事長)が新設した。名称は「つくばメディケアセンター」。 身体機能が低下して自宅での生活が難しい一方、医療ケアが必要になり施設に入所できない高齢者など、退院後の行き先が決まらず、病院で過ごさざるを得なかった高齢者の受け皿となる。病院とは異なり生活の場でもあることから、施設では、リハビリを行ったり、日中は体を起こして日常生活に近い時間を過ごす。看取りにも対応する。 施設は鉄骨平屋建て、面積約1400平方メートル、定員48人で、4人部屋が11室、個室が4室ある。ほかに機能訓練室、言語聴覚室、機械浴室、食堂などのほか、診療室があり医師1人が常駐する。 入所対象は、要介護1~5の認定を受けた人、長期的な医療管理が必要な人、病状は比較的安定しているが医療と介護の両方が必要な人、たんの吸引や胃ろうなど医療処置が必要な人など。 23日、竣工式典が催され、地元選出の国光あやの衆院議員、上月良祐参院議員、つくば市医師会の成島浄会長らが参加してテープカットが行われた。 いちはらメディカルグループの市原健一会長は「(グループでは)病院や老健施設、特養などを運営しているが、看取りを同時に提供するのが難しいなど課題があった。これからは医療と介護を一貫して提供することが求められており、任務をしっかり果たすため、スタッフ、職員一丸となって取り組みたい」などとあいさつし、いちはら病院の池田耕太郎病院長は「つくば市のパイオニアとして我々がモデルを確立していければ」などと話した。(鈴木宏子)

高円宮妃久子殿下「根付コレクションと写真展」《文京町便り》55

【コラム・原田博夫】8月上中旬、「高円宮妃久子殿下 根付(ねつけ)コレクションと写真展:『旅する根付』-『茶の本』120年目の夏に」が、茨城県天心記念五浦美術館で開催されました。通例では展覧会前に開催される特別内覧会が写真展の中日(10日)に設定され、妃殿下ご来臨でのレセプションも水戸市内で開催されました。私も参列する機会を得、根付芸術の魅力を堪能しました。 根付は、着物が衣装だった時代、印籠(いんろう)・煙草(タバコ)入れ・巾着(きんちゃく)などを腰につるすときの紐(ひも)の先端に付ける小さな細工物でしたが、「江戸の粋」を象徴する洒落(しゃれ)具としてはやり、文化文政年間(1804~30年)に最盛期を迎え、遊び心あふれる実用品として身分を問わず広く愛用されたようです。 しかし、明治になり洋風化が進むと、日本社会では根付の役割は急速に失われました。対して海外では、世界的にも類を見ない「小宇宙の芸術」として評価されました。とりわけボストン美術館が収集した根付コレクションには、日本人好みの小ぶりな根付が多く所蔵されています。同美術館の中国・日本美術部長だった岡倉天心の鑑識眼や見識が反映していると推察されます。 根付は、現代では着物の装身具としては役割を終えるも、家財のアクセントとして新たな意義が見いだされ、「掌(てのひら)におさまる美術品」として洋の東西を問わず評価されているようです。 収集した古根付などは約500点 内覧会とレセプションで妃殿下は、「高円宮コレクションは、故高円宮殿下の発議で始まったと言われるけれど、そうではなく、妃殿下が最初に関心を持ち、それを故高円宮殿下もお認めくださったことから収集が始まった」と、懐かしいエピソードとして紹介されました。内覧会での妃殿下ご自身のご説明も、事前の準備や段取りを超えた熱のこもったもので、周りの関係者は進行にハラハラドキドキでした。 妃殿下ご自身が、博士論文「根付コレクションの研究-高円宮コレクションを中心に」で、2011年度に大阪芸術大学から博士号を取得されているだけのことはある、と得心した次第です。 妃殿下のお話では、収集した古根付・現代根付・印籠など約500点は、2011年より数次にわたって東京国立博物館に「根付:高円宮コレクション」として寄贈しているそうです。今回の天心記念五浦美術館の展示では、そのうちから現代根付を中心に約200点が選定されていました。いずれ機会を見て、東京国立博物館でじっくりと再拝見したいものだ、と思った次第です。(専修大学名誉教授)