日曜日, 6月 14, 2026
ホーム土浦伊東葎花さん公募童話賞で2冠 NEWSつくばに執筆の作家

伊東葎花さん公募童話賞で2冠 NEWSつくばに執筆の作家

NEWSつくば朝のコラムに「短いおはなし」を連載中の伊東葎花さん(筆名)=美浦村在住=が、ことし公募の童話賞で相次いで大賞を獲得した。30日発表の第34回新見南吉童話賞(半田市教育委員会主催)で最優秀賞(文部科学大臣賞)に選ばれ、第37回家の光童話賞(家の光協会主催)の受賞作は12月1日発売の雑誌「家の光」1月号に掲載される。コロナ禍以降、各公募コンテストはリモートによる投稿数を増やし気味というなかで、注目の2冠達成となった。

新美南吉童話賞には、自由創作部門一般の部766編、中学生の部604編、小学生高学年の部43編、小学生低学年の部59編、新美南吉オマージュ部門369編の合計1841編の作品が全国から寄せられた。審査の結果、オマージュ部門に「きつねの母さん」で応募した伊東さんが同部門大賞に選ばれると共に最優秀賞も獲得した。

小学生の兄弟がお祭りから帰ると家のかまどの影に1匹のきつねがいた。兄にきつねにとりつかれる話を吹き込まれていた弟は、きつねを母だと思いこみ世話を焼いたり、心配して泣き出したりしてしまうのだが…。新見南吉の「狐」に材をとった原稿用紙7枚の作品で、伊東さんによれば過去の受賞作から傾向を読み取り、父と子の物語を母と子の人物配置などに変えるなど工夫したという。

最優秀賞は賞金50万円、ダブル受賞は初めての快挙というが、規定からオマージュ部門の賞金を重複して受け取ることはできないそうだ。

家の光童話賞は副賞30万円、今回は全国から680編の応募があった。JAグループの出版文化団体が主催することから、農作物や農作業にちなむ作品を募集している。受賞の報は9月半ばに届いた。

受賞作は「手ぬぐいそうせんきょ」。おばあちゃんは毎日違う柄の手ぬぐいを姉さんかぶりに畑仕事に出る。気になって仕方がない孫娘は、夜ごと選挙で次の日かぶる手ぬぐいが選ばれるシーンを目撃する。ほのぼのとするお話だが「異議あり」とか「静粛に」とか、少しきつめの言葉がアクセントをつけている。

伊東さんによれば「お話はプロットを作らず、いきなりストーリーから書き始める。仕事の空き時間を見つけては数時間で書きあげてしまう。その後、寝かせるのが大切で、締め切り前に応募要領を読み直してみたりする」。今回の文字制限は原稿用紙5枚だったが、小学校2年生までに覚える漢字しか使えないことを知り、書き直すと文字数オーバー。その推敲(すいこう)に時間を費やした。

対面で出来そうな表彰式が楽しみ

伊東さんは、子供への読み聞かせをアレンジしているうちオリジナル作品を書くようになった。ネットで発表し、公募コンテストに応募するようになった。グリムの里いしばし(栃木県下野市)主催の第19回グリム童話賞で大賞に選ばれた(19年2月3日付)のが2019年、以来第32回新見南吉童話賞特別賞(2020年)、第33回日本動物児童文学優秀賞(2021年)と受賞歴を重ねた。

「文章教室に通ったこともなく、サークルに属しているわけでもなく、過去の受賞作から傾向と対策を自分なりに分析し、応募している」そうで、公募文学の世界で自分がどんなポジションにいるのかは分からない。「だから入賞して表彰式に出るのが楽しみ。有名な作家さんとか先生に会って話をしたいのだけど、コロナ禍で対面の表彰式がなくて残念だった」

次の目標としているのは、「坊っちゃん文学賞」(松山市主催)。自分を童話作家というよりショートショートの作家と見定めているから、是が非でも狙いたい賞だそうだ。「取れたら、もう一つの目標である本の出版にも近づけるかもしれない」、いたずらっぽく微笑んだ。(相澤冬樹)

◆「きつねの母さん」は新見南吉童話賞特設サイトで読める。「手ぬぐいそうせんきょ」掲載の「家の光」23年1月号は最寄りのJAで購読申し込みができる。

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

1コメント

1 Comment
フィードバック
すべてのコメントを見る
スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

名門バレエダンサーが直接指導 子供たちが基本動作に挑戦 つくば

アジアを代表する名門「香港バレエ団」所属のバレエダンサーが直接指導する「セキショウこどもバレエ教室」が13日、つくば市天久保、筑波大学中央体育館で催され、つくば市などに住む4歳から12歳の子供たち46人が初心者クラスと経験者クラスに分かれてバレエのレッスンを受けた。 バレエを通じて体を動かす楽しさを体感してもらおうと、関彰商事(本社 筑西市・つくば市、関正樹社長)が主催した。同社とつくば市が締結している「SDGsの推進に係る包括連携協定」に基づく事業として初めて開催し、同市が後援した。 同バレエ団に所属する香港出身のへネス・ユンさん(29)と、つくば市出身の関剛多さん(25)が来日し、優雅な演技を子供たちの間近で披露したり、基本動作を手ほどきしたり、音楽に合わせて一緒に踊るなどした。 初心者クラスには30人が参加。子供たちは、両足のかかとを付けてつま先を左右に開いてまっすぐ立つ「一番ポーズ」と呼ばれる基本姿勢に挑戦したり、つま先で立って小幅で足踏みしながら回ったり、ひざとつま先を伸ばして片足を上げるなど、バレエの基本動作に挑み、最後に、基本動作を組み合わせて音楽に合わせて踊るなどした。 友達3人で参加した市立竹園西小6年の筒井英(はな)さん(12)は「Kポップのダンスをやっているので、柔軟体操に生かしたいと参加した。つま先立ちが難しかったが、やってみたら興味がもてた」などと話していた。 子どもたちとの質問の時間も設けられ「きれいな姿勢を保つこつはありますか」との子供たちの質問に、へネスさんは「毎日毎日練習していると、きれいな姿勢になってくる。きれいな姿勢をしてないと体が痛くなることもある」などと答えていた。 指導した関さんは「バレエを通して、体を動かすことが楽しいと子供たちに伝えることができたら」と語り、へネスさんは「何かに興味をもつということは、楽しみだけでなく、自分の性格を知ったり、大人になった時の自分の芯をつくるものでもあると思う」と話していた。(鈴木宏子)

2026年初夏の裏磐梯《鳥撮り三昧》10

【コラム・海老原信一】4月下旬~5月中旬の3度の裏磐梯通いが、今シーズンの高原探鳥の始まりになりました。昨冬は雪が少なめでしたが、今冬はそれ以上に少なめでした。例年なら、残雪が低木を地面に押し付け、暖かくなった陽射しで雪が緩み、木々が軽くなった雪を跳ね上げる。その「バサッ」という音で季節の変わり目を感じたものです。 ところが、今年は大分勝手が違っていました。森に残雪はなく、木々は早くも薄緑の葉を茂らせ、森の見通しは効かない―すでに初夏そのものです。そうなると、不安が頭をもたげます。これじゃ~鳥が見えない、少し距離をとっての観察ができない、葉の茂る中からひょいと現れたらレンズを向ける暇もない、と。 その上、「今シーズンの夏鳥の飛来が少ない気がするなあ」との鳥見仲間の声も聞こえてきて、不安が一層募ります。森の入り口に立つとキビタキのさえずりが響いてくるはずなのにそれもなかったし、コサメビタキなどの姿も見ない、アオジがやぶ中を歩き回る姿もなかったし、と。 肩にした機材を重く感じながら、両側の緑が濃くなりつつある森の中の野鳥を探して、定められた散策路をいつもの観察場所へと向かいます。そこは森の高台に近く、視界が開けて木々の中腹が視線の高さに近いので、野鳥たちを見上げないで観察できる「よい場所」なのです。 14年ぶりに会えたノジコ さて、3度通った結果ですが、3度とも不安がそのままの結果となりました。今回ほど鳥たちの観察数が少なかった裏磐梯通いは、初体験です。さえずり声が聞こえないのは、「飛来数が少ないから縄張り争いが必要ないのだろうか」なんて考えました。 それでも、オオルリ、クロツグミ、コムクドリと、それぞれ一度だけですが会えました。それに、キビタキ、コサメビタキ、サンショウクイ、ゴジュウカラ、アカゲラ、オオアカゲラ、アオゲラ、ニュウナイスズメなども、数は少ないなりに観察できました。一方、ウグイスの元気さは別格です。あの「ホウー、ホケキョ」を聞くと元気が出ます。身を絞るようにしてさえずる様子は、生きるための必死さを感じます。 今回の裏磐梯行で最もうれしかったのは、14年ぶりに観察・撮影できた種に会えたことです。それはノジコ。アオジによく似た種で、降雪の比較的多い平地や山地の林に生息する種で、裏磐梯以外では奥日光で観察した記憶があります。「もう会えないだろう」と思っていただけに、うれしさは格別でした。(写真家)

高校進学を考える集いの可能性《竹林亭日乗》41

【コラム・片岡英明】つくば市の高校進学を考える第7回市民の集い(つくば市の小中学生の高校進学を考える会主催)が5月24日、つくば市役所コミュニテイー棟で行われた(5月18日付)。 第1部で、筑波、サイエンス、茎崎、牛久栄進、竹園の各県立高の校長先生から、各高校の魅力などについて説明してもらった。つくば市の副市長、市議の方々、市が選挙区の県議をはじめ、約90人の参加者が熱心に聞き入る様子を見て、市内高校不足問題から始まった小さな会の運動が、新しい段階に入ったと感じた。 夏休み前に各地で高校説明会を 各校長先生による学校の魅力説明は昨年から始まった(25年6月6日付)。それは、「つくばの県立高不足の解明だけで受験生の応援になるのか」という世話人会での問いから生まれた。 2回目の今回は、5校の校長先生の説明は生徒の学びが有機的につながり、ひとつのストーリーとなっていた。そして、参加した受験生の学習スイッチも入った。話を聞きながら、生徒の学びのために、このような高校の魅力説明会を各地で開いてほしいと感じた。 以前は、中学で高校説明会を行っていた。それが夏休みに生徒個人が学校説明会に参加する形になった。そのため受験校が定まらず、説明会に参加しない高校を受験する生徒も多い。これからは、夏休み前に各地域で公私連携して高校説明会を開いてほしい。説明会を通して、学校と地域の連携が強まれば、高校も魅力アップに力が入り、生徒の学びの応援にもなる。 高校不足と定員割れの混在 5月30日公表された2025年国勢調査で、つくば市の人口が水戸市を抜いて県内1位となった。それによると、つくば市の人口は5年前の調査よりも2万7000人(約11%)増えた。TX沿線の人口増に伴い、つくば市の中学卒業者数は2023年に水戸市を超えた。今年3月の県全体の中卒者数は2万4555人だったが、つくば市はその10.4%を占め、2562人に達した。 この生徒増に見合う県立高が、つくば市に配置されているだろうか? 現在、全日制県立高は県内に84校と1分校がある。生徒割だと、つくば市には8校が必要となる。しかし、1989年の市合併時には6校41学級あったのに、現在は3校17学級と大幅に減ってしまった。この数字は、水戸市の7校50学級の約3分の1であり、大問題なのは明らかといえる。そのため、多くの中卒者が市外の高校に入学しており、通学上の問題も深刻である。 一方、市内3校のうち筑波高校とサイエンス高校の2校が定員を満たしていない。つまり、つくば市は生徒が増えているのに高校が不足している、現在ある県立高の魅力をアップさせる必要がある―という2つの課題を抱えている。「地域にとって必要な学校とは何か」を探求している街とも言える。 つくばの課題、その解決策 今回の集いでは、各校の魅力は十分に光っていた。自信を持って、もっと前に出てほしい。これからの課題は、各校の魅力をどのように地域の人たちに届けるかだ。 今回の集いでは、①TX沿線の人口増に見合う高校学級増~学級増と高校審議会資料の疑問解消②県立高の魅力アップ~地域との連携強化③スクールバスへの県の支援~全額個人負担から県の通学支援を―の必要を提案した。(元高校教師、つくば市の小中学生の高校進学を考える会代表)

かすみがうら市 土浦市に合併要望へ

2005年以来の激震 平成の大合併によるかすみがうら市誕生以来、地域に戸惑いが生じている。かすみがうら市議会が16日に、土浦市との合併を前提とした市政の転換と、合併相手となる土浦市と同市議会への要望を進める議案を議員提案することが明らかとなったためだ。 合併はかつて土浦市、旧霞ケ浦町、旧千代田町、旧新治村の4自治体間で協議されたが合意に至らず、2005年3月に旧千代田町と旧霞ケ浦町の2町がかすみがうら市に新設合併、翌年に旧新治村が土浦市に編入される形で現在に至る。 かすみがうら市の宮嶋謙市長は今年7月の任期満了で引退を表明している。市議会発の今回の合併要望は、宮嶋市長続投無しという状況により、7月に行われる市長選を見据え、新市長への最大の継承となる。 広域連携の基本姿勢を重点課題に かすみがうら市でこの課題の矢面に立つ経営企画課は「トップレベルの対話があったようだがまだ何の指示も降りてきていない。冷静に対処しなくてはならない」と語る。 折しも2026年度は、市政の根幹政策である第2次総合計画・後期5カ年計画の総仕上げの年度でもある。同課では市民アンケートをとり、今後ワークショップなどを通じて、2027年度スタートの第3次総合計画策定作業に入っている。合併協議が現実のものとなれば、この一大事業は大きく影響を受ける。 「総人口、財政規模から、当市が土浦市に編入される形を変えることはできないだろう。しかし、かすみがうら市のまちづくり理念は次期総合計画内でも重要なテーマ。当市だけでは乗りきれない、解決しなくてはならない課題というものがあり、広域連携を掲げて市民生活の支えにしようとしている」(経営企画課) この広域連携というテーマを土浦市に提案する合併要望の柱とすることで、「まさかの寝耳に水」に同市職員は取り組もうとしている。 「市の総人口は緩やかに自然減をたどっているが、産業支援やまちづくり政策を通した社会増もある。合併によって将来の居住地受け皿や豊かさを誇れる自然環境といった地域資源を、どのように生かしていくかも考えていくことになるだろう」 市民は冷静に事態を受け止めているようだが、「約20年、かすみがうら市という名称に慣れ親しんできた。これが消えていくと寂しさを禁じ得ない」といった声が聞かれた。 商都のカンフルになるのか かすみがうら市議会で議案が可決されれば、同市の要望を受け取る形となる土浦市政の現場は、困惑の表情だ。土浦市は9日「現時点ではかすみがうら市議会の動向を注視している段階であり、コメントを差し控える」と発表した。同市政策企画課は「上層部からの指示通達は何もない。今は動向を見守るだけ」と述べる。 2006年に旧新治村を編入し、市域の拡大と工業団地など産業誘致基盤を得た土浦市は、半面、歴史を積み重ねてきた中心市街地の地盤沈下という課題を抱えている。市政策企画課は「(合併のメリットや効果を)今は語る時ではない。中心市街地の活性化と、将来延伸してくるつくばエクスプレスの受け皿づくりといった課題に向き合わなくてはならない。合併の先にある可能性を、どこに見出していくべきかはこれからのテーマと認識している」「(両市とも)互いに人口減の問題がクローズアップされているが、土浦市における人口の社会増も地道な取り組みの持続によるもの。合併のための議論が始まれば、真剣に受け止めていかねばならない」とする。 かすみがうら市でも「社会増減は年度によって異なるが、2024年度に民間の人口戦略会議で分析された『消滅可能性自治体』には名を連ねなかった。条件付きで持続可能な分類という可能性は、かすみがうら市が守り継承すべき財産」と未来を見つめる。持続性という問題は、茨城県内では大半の基礎自治体が内包している。(鴨志田隆之)