【崎山勝功】新型コロナウイルスの影響が厳しさを増している観光業界。遊覧船やキャンプ場などを運営するラクスマリーナ(土浦市川口)も例外ではなく、感染防止のため各施設を運休・閉鎖して、本来ならば書き入れ時の大型連休を迎えようとしている。苦境を乗りこえるための手立てを模索しているが、打てる手は限られている。
癒しにテイクアウトの温泉水
同社は霞ケ浦を遊覧する遊覧船「ホワイトアイリス号」を運航しているが、ウイルス感染が拡大して以降「利用者はほとんどいない」(坪田哲也船長)と厳しい状況だ。所有する船舶計13隻の維持費は、保険料も含めて年間数百万円以上に上るという。
遊覧船では「三密(密集、密閉、密接)」を避けるために、客席の間隔を空けたり、随時アルコール消毒を実施したりなどの対策を講じてきた。
しかし連休期間中のイベントは相次いて中止が決まり、観光需要は激減。毎年5月下旬に開かれる「潮来あやめ祭り」も中止となり、土浦ー潮来間を結ぶ「あやめ祭りクルーズ」も欠航した。「お客は欲しいけど感染拡大が怖い」(担当者)と、苦悩を垣間見せる。
事業として唯一動いているのは、自宅で温泉を楽しめるよう温泉水を汲みだして持ち帰れる「温泉スタンド」だけ。地下700メートルの岩盤層から湧き出る天然温泉がテイクアウトできる。「ステイホーム週間」の巣ごもり生活からの利用拡大に期待をかけている。
弱アルカリ、ナトリウム・カルシウ塩化物泉で、神経痛や筋肉痛、慢性婦人病、疲労回復などに効能あるそうだ。利用は20リットル100円(税込み)、持ち帰り容器の用意が必要だが、同社事務所でも温泉専用ポリ容器(税込み900円)を販売している。
「コロナに勝つ!」缶バッジ
そんな同社では、「コロナに勝つ!頑張ろう!」と呼び掛ける缶バッジを製作し、約200個を土浦市観光課などを通じ関係各団体に配布した。マスコットキャラクター「まりりんちゃん」が両手を上げてコロナ対策を呼び掛ける直径約6センチの缶バッジ。
市販はしておらず、同社では病院職員など現場で働くエッセンシャルワーカーを念頭に「缶バッジを通じて感謝の気持ちを表すきっかけになれば」としている。
問い合わせ先はラクスマリーナ(電話029-822-2437)