木曜日, 7月 9, 2026
ホームつくば不登校生徒のフリースクール「ライズ学園」岐路に つくばで19年

不登校生徒のフリースクール「ライズ学園」岐路に つくばで19年

【橋立多美】不登校の子どもたちが学ぶフリースクール「ライズ学園」(つくば市谷田部)が岐路に立っている。経営が苦しく、3月末で一旦閉園して運営を検討しようとしたが、保護者の声に押されて教室を移転し、週に1日開級している。同園の礎を築いた小野村哲さん(59)は「これで終わりではない」と奮起する。

公立中学の英語教師だった小野村さんは、小さなつまずきから勉強に追い付けなくなり、「どうせ自分なんか…」と思ってしまっている生徒を見ていた。その一方で、落ちこぼれていく子どもに対応できない学校の限界を感じていた。保護者の「勉強が分からない子どもを見てくれる場所がない」に背中を押され、1999年に教職を離れた。

登園者延べ2万2585人

2000年7月にリヴォルヴ学校教育研究所(01年にNPO法人化)を設立し、不登校の児童・生徒が学力を身に付けることのできる「ライズ学園」の運営に乗り出す。定員15人の少人数制。週4日の時間割で、教員免許を持つ教科担当者が指導するほか、スポーツや絵画造形、農作業など体験型の学習を取り入れた。教室は谷田部内町の洋品店の2階(約132平方メートル)を借りた。

同園のモットーは「みんなちがって、みんないい」。不登校の背景にはいじめや学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)などが潜むケースがある。また勉強のつまずきは千差万別。子ども一人ひとりがどこに困難を感じているか理解した上で学習支援を行っている。

「ダメな子」とレッテルを貼られていた子どもが丁寧な指導で分かるようになると、意欲を出して変わっていくという。高校、大学への進学や、社会に適応できないと思われていた子どもが数年して独立していく。開園から今年3月末までの延べ登園者数は2万2585人に上る。

個に応じた学習支援を行うことで得た発達障害などへの対処法や成果を教材としてまとめ、その販売収益と月謝=メモ参照=、助成金、寄付金を活動経費に充ててきた。しかし、次第に負債が膨らみ始める。

4月に学園を巣立つ生徒が数人いても、それに代わる人数の入園生を迎えることはしない。春を待たずに「学校に戻る」ことを選択した子どもが「やっぱりライズに…」となった経験から、卒園生の居場所を確保しておこうという配慮だ。

ライズ学園のスタッフたち。左から事務局長兼国語担当の北村直子さん、英語担当の小野村哲さん、学園長で数学担当の本山裕子さん=つくば市千現のリヴォルヴ学校教育研究所事務局

こうした配慮が月謝収入を不安定にさせ、指導にあたるスタッフが転勤などで退いても経営難から新たなスタッフを採用できなくなった。スタッフ不足は定員に満たない運営につながり、数年前から新たな入園希望に応じられない状況に陥った。

「せめて週に1日でも」

リヴォルヴ学校教育研究所の理事やスタッフが話し合いを重ね、19年度は難局を乗り切り発展するために一時休園という結論に傾いた。ところが保護者から「活動をゼロにしないで欲しい」「せめて週に1日でも」の要望が相次いだ。

教室を近くの公共施設、市民ホールやたべの一室に移し、4月から毎週水曜日に開級している。現在、市内外の中学生2人と高校生4人(通信制2人)が通う。スタッフは数学担当で学園長の本山裕子さん、英語担当の小野村さんら計8人。

書類などを保管する棚がないためスタッフは毎回、教科書や辞書、実験器具、画材を運び込んでの活動だ。教室が変わったことで動揺する通園生はいなかった。授業時間外はスタッフとフレンドリーに言葉を交わし、学校でも家庭でもないライズ学園を子どもたちは心地よく思っていることが伝わってきた。

小野村さんは「今はライズが果たすべき役割を考えて基盤強化を図りたい。ライズ学園はこれで終わりではない」と言い切った。学ぶ意欲を育み、不登校の心に寄り添う挑戦が続く。

※メモ

【フリースクールの月謝】義務教育の教育費は無償だがフリースクールには公的な支援がなく、親が学費を負担する。文科省の調査によれば月会費の平均は3.3万円で親の金銭的な負担は大きい。その一方でフリースクールは月謝だけでは立ち行かず、職員が待遇面で我慢したり寄付金を集めるなど経営に苦しんでいる。

➡NPO法人リヴォルヴ学校教育研究所のホームページはこちら

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

元日本代表の佐藤陽太郎選手 母校のつくば市柳橋小で水泳指導

アーティスティックスイミング元日本代表で筑波大4年の佐藤陽太郎選手(21)=ジョイフルアスレティッククラブ所属=が8日、母校のつくば市立柳橋(やぎはし)小学校を訪れ、授業の中で水泳指導を行った。 対象となったのは同校の5、6年の23人。初級、中級、上級の3つのコースに分かれ、各コースの児童を10分ずつ指導した。泳ぎが苦手な児童には、少しでも泳げるようになるための助言をしたり、泳ぎが得意な児童には、さらに技術を向上させるようなアドバイスをした。 この日は、担任教員の水泳指導を補佐するような形で、佐藤選手もプールの中に入った。佐藤選手が少しでも泳ぐと、児童たちからは「早い」「すごい」などと感嘆の声が上がる。 佐藤選手は児童たちに囲まれながら、基本的な泳ぎを教えたり、時折、水を掛け合ったりした。児童たちは「とても楽しかった」「水泳が好きになるかもしれない」など感想を話していた。 佐藤選手は、姉の佐藤友花選手と共に、2022年の世界水泳ハンガリー大会でアーティスティックスイミング・ミックスデュエット部門の日本代表として初の銀メダルを獲得するなど、世界で活躍する日本のトップアスリートの一人。 小学生の頃から姉を追い掛けるように、ジョイフルアスレティッククラブの水泳教室に通ったのがきっかけという。柳橋小から市立谷田部中を経て、常総学院に進み、現在、筑波大学4年。 柳橋小の坂本敬持校長は「世界的に活躍する卒業生に来てもらってとても感謝している。小学校教員は全教科を教えるのが基本なので、専門的な指導が深く出来ず、技術的なことは教えづらいところがある。今回日本のトップ選手が来てくれたことで、子供たちのモチベーションも上がり、技能的な面も上がってくるという効果もあるので非常にうれしく思っている」と話した。 佐藤選手は「9年ぶりに母校を訪れ、とてもなつかしくうれしい」と述べ「今は全国大会とインカレの優勝を目指して頑張っているところ。今できることを今精一杯やっていく、というやり方でやってきているので、それを続けたい」と語った。(榎田智司)

「TX沿線では売地が枯渇」つくばエリアの地価事情に精通 桂不動産の渡邉社長【キーパーソン】

国税庁が7月1日に公表した路線価(1月1日時点)で、TXつくば駅前広場線の地価が平方メートル当たり40万円になった。広さのイメージが湧きやすい坪当たりでは132万円。1年前に比べると11%もアップした。県内では断トツの上昇率だ。つくばエリアで起きている「地価バブル」の実態と対応策は? つくば駅と研究学園駅の間に本社を構える桂不動産(つくば市研究学園7丁目)の渡邉宗明社長(51)に聞いた。 実勢価は坪180~190万 ー背景と実勢価は? 渡邉 路線価は実勢価の7割ぐらい。つくば駅前の路線価を実勢価に計算し直すと、坪180~190万円になる。これはTX終点駅そばの価格だが、1駅前の研究学園駅近くでは2年前、坪160万円で売買されていた。今、TX駅の周辺では、売り物が少なく買い手が多い。土地の需給面から地価が上がるのは当然といえる。 ー値上がりは続く? 渡邉 収益目的でビルを建てるとき、用地だけでなく建設費も上昇している。一方で賃貸料はそう上げられないから、「これ以上地価が上昇すると何を造っても採算が合わない」という状況。TX沿線では売地が枯渇しており、地価はまだ上昇しているが、建築費や金利の上昇に伴い、地価上昇は止まってくると思う。 ー業界側の対応は? 渡邉 上昇だけでなく、横ばいエリア、弱含みのエリアもある。そちらでの仕事をやりながら成り立っている。TX沿線の宅地を探しに来られ、相対的に地価が安い常磐線沿線に流れる顧客もいる。牛久、荒川沖、土浦の南部エリアとか。 ーTX沿線で何か? 渡邉 数カ月前、つくば市が土地対策を打ち出し、研究学園駅近くの区画整理地域の周辺エリアを区域指定し、住宅などを建てられるようにした(3月17日付)。これにより、土地供給は少し増えると思う。まだ取引相場が読めないが、地主さんが売りに出れば需給は少し緩むのではないか。 3代にわたり無借金経営 こうした土地の価格や需給に桂不動産はどう対応していくのか? 同社の経営哲学や経営手法についても話してもらった。 ▽どんな相談も支店に 渡邉 うちは、県南エリア、水戸市、千葉県に、16の支店を配置している。各店には、賃貸仲介・管理、売買仲介、土地活用、新築相談などに応じる社員が控えており、「どんなことにも支店で相談に乗れる」体制だ。経営効率はよくないが、お客の利便性を考え、各店が独立した会社のように動いている。 ▽無借金の経営を貫く 渡邉 不動産会社は、地主が建てたアパートなどの管理を任してもらう仕事が多い。農家などの大事な資産を扱うので、うちを信用してもらうために無借金を貫いている。これは、祖父が経営していた落花生や食用油の製造販売会社(農家から作物などを買い付け)、父・桂一郎が起業した現不動産会社(農家などの土地を活用)の経営哲学だ。こういった考え方が評価され、管理を委任されている戸数+部屋数は現在2万6300件に上る。 ▽高齢者の相続を支援 渡邉 団塊世代の高齢化に伴い、これから資産相続が増える。そこで、社内に相続サポートセンターを立ち上げた。相続に関する一連の相談に応じる。また少子化の中、大家が嫌う住宅確保要配慮者(高齢者や外国人)の居住ニーズが増えてきており、「安心して貸せる、借りられる」サービスの構築と環境整備をしていきたい。 【わたなべ・むねあき】1997年、日本大学法学部経営法学科卒、三井不動産リアルティ入社。3年後に退職し、父が経営する桂不動産(当時の本社は土浦市)に入社。龍ケ崎支店、阿見荒川沖支店、ひたちの牛久支店、つくば本店などの開設に携わり、2015年、社長に就任。現社員は286人、今9月期の売上高は80億円を越す見込み。全国賃貸管理ビジネス協会理事、全国賃貸住宅経営者協会連合会・県南支部長など。土浦市出身、 【インタビュー後記】東京圏発の土地・住宅価格上昇は外国勢の不動産投資が活発化しているのが主因。超金融緩和で銀行が融資に狂奔しバブルが発生した40年前とは背景が違う。渡邉さんの話でも施工者の採算重視対応は至ってクール。それにしても桂不動産が無借金経営とは驚いた。支店展開・運用でも住宅要配慮者対応でも堅実かつ賢明といえる。(経済ジャーナリスト、坂本栄)

世捨て人のような、この半年《ハチドリ暮らし》63

【コラム・山口京子】主治医から、もう一回、抗がん剤治療をしましょうと言われました。そして、CT、MRI、PET、血液検査の結果を踏まえ、手術を見極めたいようです。がん治療を始めて半年がたちました。この間、世捨て人のような状態だったと思います。ニュースを見ていても上の空…。 がん関連や死に関する本を読みましたが、生きている間は生きていることに向き合おう―なんとなく、いろんなことが気になっています。 自民一強、あまりにも自分勝手 テレビのニュース番組で、行列のできるお店は放映するのに、各地で行われている様々なデモについては放映しない。あれこれ検索していた時、デモカレンダーというものを知ったからです。デモは市民の大切な意思表示であり、市民の声を伝えることは報道にとって大事なことではないのかと。 デモを裏で扇動している組織があるといった声がありますが、私たちの行為はさまざまな情報に扇動、洗脳、誘導されていると気づいた方が、自分の身を守るには役立つと思うようになりました。 また、サッカーフィーバーの陰で、国会でどんな法案が通り、その意味することはなんなのか―適切な解説がないことも気になります。あるのかもしれませんが、自分は適切な情報にアクセスできていません。 選挙で自民党が一強状態になり、あまりにも自分勝手に見えてしまいます。選挙で勝ったといっても、実際の投票数はどうなのか? 公職選挙法や政治資金規正法をどうにかしないと、まともな選挙はできない、国民を代表する議員を選べないのでは、と。議員定数減よりも、そっちの方をどうにかしてほしい、と。 国庫に帰属した土地はどうなる 相続土地国庫帰属法を利用して、田と畑の処分を検討した自分としては、法律のその後が最近新聞記事になったのを読み、考えさせられました。国庫に帰属した土地がその後どうなるのか? 簡単にいうと、二束三文で民間に売り出されるようです。 戦後の農地改革から80年。農地から農民を追い出すような政策が、連綿と続いてきた日本農業の歴史。昔、農家は甘やかされているという声が随分ありましたが、結局、農業収入では生活できませんでした。相続人が手放した農地が国庫から民間へ…。はやりの投資ファンドが利用するようになるのでしょうか? (消費生活アドバイザー)

「つちまるを引き上げて」土浦駅前に第3弾のトリックアート

土浦駅西口前のうらら大屋根広場の床面に、同市のイメージキャラクター「つちまる」のトリックアートが出現した。地面に空いた穴に落ちそうな「つちまる」を描いた作品で、同市が2024年度から取り組む市役所本庁舎のシャッターや壁面を活用したトリックアートの第3弾になる。 作品の大きさは縦約2メートル、横約3メートル。トリックアートの制作で知られる栃木県那須町の企画制作会社エス・デーのアーティストが、6月22日から24日まで、3日間かけて制作した。制作費は55万円。 シャッターや壁面に描いた第1弾と第2弾の作品は見て楽しむことが中心だが、今回の床面のトリックアートは、作品の上に立ったり、ポーズをとりながら写真を撮ったりすることで「作品の世界に入り込んだような体験ができる」と市商工観光課はPRする。 安藤真理子市長は「土浦市、頑張ろうよ、という気持ちを込めた。高校生が写真を撮っている様子も見られ、壁面の作品より受けている感じがする。ぜひみんなに、つちまるを引き上げてほしい」と話している。 街中に彩りをつくろうと同市は2016年から、高校生が中心市街地の空き店舗のシャッターに絵を描くなどしてきた。24年からはトリックアート制作専門会社が市役所1階のシャッターに、つちまるがシャッターを持ち上げているようなトリックアートを描き、昨年は市役所1階の壁に、つちまるが壁を突き破って飛び出してくる作品を描いた(25年9月1日)。