【コラム・先﨑千尋】6月、茨城県営業戦略部は、昨年度の県産の農産物・加工食品の輸出実績が前年比127%増え、120億円を突破したと発表した。内訳は、農産物が48億円(青果物など33%増、米24%増、畜産物43%増)、加工食品が73億円で、いずれも過去最高。中でも甘藷(かんしょ)のアジア向けが堅調に増加し、常陸牛は3倍以上に伸びた。
私は、同月に「農業協同組合新聞」が水戸市で行った輸出関係者の座談会を傍聴し、苦労話などを聞く機会を得たので、そのエキス部分をお伝えする。出席者は、なめがたしおさい農協の金田富夫組合長(甘藷)、北つくば農協の川津修組合長(米)、県常陸牛振興協会の谷口勇事務局長、進行は県農協中央会農業政策アドバイザーの萩谷茂さん。
金田組合長は、なめがた農協職員の時、甘藷の需要を伸ばすためにスーパーの店頭で焼き芋販売を始めた。その苦労が実り、今では4000を超えるスーパーの店舗で通年販売している。海外進出を本格的に始めたのは2016年。東南アジアやカナダなどへ年間1000トン、約3億円を輸出している。2017年に農林水産祭での大賞、天皇杯を受賞したので、日本の食文化を海外に発信しようと考えた。
国内販売用の「焼き芋の話」というマニュアルを英語に翻訳し、品種の特性や焼き方、貯蔵の仕方などを現地の人に説明している。国際基準に対応した品質管理が求められるため、アジアGAP(農業生産の各工程の実施、記録、点検、評価を行い、食品の安全性向上、環境の保全などに役立てるためのガイドライン)を取得。生産者はその基準に沿った作付けをしている。
「国内では売れないから海外へという考えではなく、産地として日本の代表というプライドと自信を持って輸出することが大事」と金田組合長は強調した。
北つくば農協は、いち早く農家からの米の全量買い取りを始めたことで知られている。2014年に卸業者から米輸出の話があり、14トン輸出したのが始まりで、海外の日本食ブームにより和食の店が増えてきたことから輸出に力を入れてきた。農協では、生産者が継続し、責任を持って取り組むグループとして米輸出協議会を組織し、出荷者は200人を超え、2025年には2200トンを輸出した。
人気ある日本のお米
「海外ではジャパンライスはおいしいという評価が定着している。インバウンドで日本に来ておいしいおにぎりを食べ、回転寿司も人気がある。日本に来て、和食のおいしさが分かった人にはジャパン産の米を食べたい需要がある。またその土地、その地域、国民性に合った食べ方も含めて一緒に輸出することが必要だ」と話した。
常陸牛は牛肉の世界では後発のブランドだ。15年前の生産頭数は5000頭くらいだったが、昨年度は1万2000頭を超え、和牛に占めるシェアも上がってきている。牛肉の輸出は2014年にベトナムへの400キロがスタート。ベトナム、タイ、シンガポールを中心に輸出を始め、現在ではイスラム圏やアメリカ、カナダへと販路を拡大している。
谷口事務局長は「国内での必要な生産量を確保し、海外へは付加価値を付けて、生産者の経営が安定するような輸出をする。現在でも海外輸出の価格は国内の流通価格よりも高くしている」と今後の方向を示した。(元瓜連町長)






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