国税庁が7月1日に公表した路線価(1月1日時点)で、TXつくば駅前広場線の地価が平方メートル当たり40万円になった。広さのイメージが湧きやすい坪当たりでは132万円。1年前に比べると11%もアップした。県内では断トツの上昇率だ。つくばエリアで起きている「地価バブル」の実態と対応策は? つくば駅と研究学園駅の間に本社を構える桂不動産(つくば市研究学園7丁目)の渡邉宗明社長(51)に聞いた。
実勢価は坪180~190万
ー背景と実勢価は?
渡邉 路線価は実勢価の7割ぐらい。つくば駅前の路線価を実勢価に計算し直すと、坪180~190万円になる。これはTX終点駅そばの価格だが、1駅前の研究学園駅近くでは2年前、坪160万円で売買されていた。今、TX駅の周辺では、売り物が少なく買い手が多い。土地の需給面から地価が上がるのは当然といえる。
ー値上がりは続く?
渡邉 収益目的でビルを建てるとき、用地だけでなく建設費も上昇している。一方で賃貸料はそう上げられないから、「これ以上地価が上昇すると何を造っても採算が合わない」という状況。TX沿線では売地が枯渇しており、地価はまだ上昇しているが、建築費や金利の上昇に伴い、地価上昇は止まってくると思う。
ー業界側の対応は?
渡邉 上昇だけでなく、横ばいエリア、弱含みのエリアもある。そちらでの仕事をやりながら成り立っている。TX沿線の宅地を探しに来られ、相対的に地価が安い常磐線沿線に流れる顧客もいる。牛久、荒川沖、土浦の南部エリアとか。
ーTX沿線で何か?
渡邉 数カ月前、つくば市が土地対策を打ち出し、研究学園駅近くの区画整理地域の周辺エリアを区域指定し、住宅などを建てられるようにした(3月17日付)。これにより、土地供給は少し増えると思う。まだ取引相場が読めないが、地主さんが売りに出れば需給は少し緩むのではないか。

3代にわたり無借金経営
こうした土地の価格や需給に桂不動産はどう対応していくのか? 同社の経営哲学や経営手法についても話してもらった。
▽どんな相談も支店に
渡邉 うちは、県南エリア、水戸市、千葉県に、16の支店を配置している。各店には、賃貸仲介・管理、売買仲介、土地活用、新築相談などに応じる社員が控えており、「どんなことにも支店で相談に乗れる」体制だ。経営効率はよくないが、お客の利便性を考え、各店が独立した会社のように動いている。
▽無借金の経営を貫く
渡邉 不動産会社は、地主が建てたアパートなどの管理を任してもらう仕事が多い。農家などの大事な資産を扱うので、うちを信用してもらうために無借金を貫いている。これは、祖父が経営していた落花生や食用油の製造販売会社(農家から作物などを買い付け)、父・桂一郎が起業した現不動産会社(農家などの土地を活用)の経営哲学だ。こういった考え方が評価され、管理を委任されている戸数+部屋数は現在2万6300件に上る。
▽高齢者の相続を支援
渡邉 団塊世代の高齢化に伴い、これから資産相続が増える。そこで、社内に相続サポートセンターを立ち上げた。相続に関する一連の相談に応じる。また少子化の中、大家が嫌う住宅確保要配慮者(高齢者や外国人)の居住ニーズが増えてきており、「安心して貸せる、借りられる」サービスの構築と環境整備をしていきたい。
【わたなべ・むねあき】1997年、日本大学法学部経営法学科卒、三井不動産リアルティ入社。3年後に退職し、父が経営する桂不動産(当時の本社は土浦市)に入社。龍ケ崎支店、阿見荒川沖支店、ひたちの牛久支店、つくば本店などの開設に携わり、2015年、社長に就任。現社員は286人、今9月期の売上高は80億円を越す見込み。全国賃貸管理ビジネス協会理事、全国賃貸住宅経営者協会連合会・県南支部長など。土浦市出身、
【インタビュー後記】東京圏発の土地・住宅価格上昇は外国勢の不動産投資が活発化しているのが主因。超金融緩和で銀行が融資に狂奔しバブルが発生した40年前とは背景が違う。渡邉さんの話でも施工者の採算重視対応は至ってクール。それにしても桂不動産が無借金経営とは驚いた。支店展開・運用でも住宅要配慮者対応でも堅実かつ賢明といえる。(経済ジャーナリスト、坂本栄)






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