土曜日, 11月 8, 2025
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つくば物産品セット申込開始 帰省自粛学生4000人に先着順

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つくば物産品セットの一例(つくば市提供)

【鈴木宏子】新型コロナウイルス感染防止対策の一つとしてつくば市が、帰省を自粛している学生にプレゼントする「つくばの物産品セット」の申し込みが22日始まった。先着4000人に3000円相当の物産品を無料で贈る。

加工食品など38種類の物産品の中から、ご飯のお供、酒とおつまみ、洋菓子、和菓子、つくばコレクションなどテーマ別に、4~6種類を組み合わせた詰め合わせセット7種類から、好きなセットを選ぶことができる。

筑波山麓の北条米、常陸牛焼肉丼の具、手作りフランクフルト、ヤーコン入りうどん、福来みかん果汁入りぽん酢、干しシイタケ、クッキー、せんべいなどが入っている。

帰省を自粛し、さらにアルバイト収入の減少などに見舞われた学生を応援し、併せて市内の加工食品生産事業者を応援するのが目的。

つくばを代表する物産品として市が認定した「つくばコレクション」の認定品や、つくば市物産会がつくば駅改札口前の物産館などで販売するお薦めの物産の中から選定した。

コメや調味料など生活必需品のほかに、洋菓子や和菓子などもあり、担当の経済支援室は「つくばの良さを改めて知ってもらえれば」と話す。

物産品セットのプレゼントは学生4000人のほか、経済的に苦しい就学援助世帯1000世帯に、計5000個を贈る。就学援助世帯への発送は20日から始まっているという。事業費は梱包や送料を含め計約2400万円。

学生の対象は、県外出身で市内に在住し市内の大学に通学しているか、市内出身(保護者が市内在住)で県外に住み県外に通学している大学生、大学院生、専門学校生など。

申込期間は22日から8月2日。市の専用フォームから申し込む。学生証や住民票の写しなどが必要になる。

霞ケ浦の風を待つ白い帆 土浦で観光帆引き船運航始まる

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風を待つ帆引き船=霞ケ浦の土浦市沖

【伊藤悦子】ワカサギ漁解禁の21日、土浦市沖の霞ケ浦で観光帆引き船の運航が始まった。この日は風が弱く、通常の半分しか帆が上がらなかったものの、同市所有の2隻の帆引き船「七福神丸」と「水郷丸Ⅱ」の白い帆が霞ケ浦に夏の訪れを告げていた。

霞ケ浦の帆引き船は、新治郡佐賀村(現かすみがうら市)の漁師、折本良平が1880年に考案したもので、もともとワカサギやシラウオ漁などに使われていた。帆は高さ9メートル、幅16メートルと90畳分もの大きさがあり、風を受けて船が動くしくみになっている。風がないと進むことができず、網も引けない。強風では転覆の恐れがあり、風速3メートル程度がちょうどいいという。霞ケ浦の自然とともに操業する船だ。

トロール船の普及で、1960年代半ばにはいっとき姿を消したが、現在は観光帆引き船として運航している。2018年3月には、「霞ケ浦の帆引き網漁の技術」が国の無形民俗文化財に選択されている。

観光帆引き船は、霞ケ浦総合公園からも見えるが、伴走の遊覧船に乗ると間近で見学することができる。市観光協会の大里雅司専務理事は、「遊覧船は新型コロナウイルス感染対策をしっかり行っている。例えばラクスマリーナ(土浦市川口)のホワイトアイリス号は、定員86名のところ40名に制限して密を避けている」そうだ。便ごとに毎回、船内のアルコール消毒を行っているほか、乗船、下船時も一人ひとりに手の消毒を求めている。

「晴れた日は、青空と筑波山を背景に帆引き船の白い帆が映える。霞ケ浦の自然のめぐみを体感してほしい」とアピールしている。

◆帆引き船の操業は、10月18日までの毎週土・日、祝日。遊覧船の運航日時や料金などの問い合わせは土浦市観光協会(電話029-824-2810)まで。

《県南の食生活》15 梅干し

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【コラム・古家晴美】例年だとそろそろ梅雨明けの時期だが、今年はどうなるだろうか。梅雨が明けると、今回取り上げる「梅干し」には不可欠の「土用干し」が待っている。保存食と言うよりも、要冷蔵の半生ものとして減塩あるいは蜂蜜漬けされた梅干しを購入される方も多いかもしれないが、自家用に手作りしている友人知人も結構いる。

しかし、そういう筆者は、オンライン授業の準備に振り回されたことを言い訳に、今年は作りそびれてしまった。作る年には、青梅を新聞紙の上に並べて完熟させてから作業に取りかかる。この時に部屋中に溢(あふ)れる甘い香りは、毎回、ささやかな喜びをもたらしてくれると言えば、手作りしている方の多くは頷(うなず)かれるだろう。

「梅干し」が文献に初出するのは、鎌倉時代中期の『世俗立要集(せぞくりつようしゅう)』だが、稲作技術と共に日本に伝わってきたのではないか、最古の料理書『斉民要術(せいみんようじゅつ)』に記述があり奈良時代後期には日本でも確実に作られていたのではないか、と諸説ある。(有岡利幸著『梅干』、法政大学出版局 )

安価で保存性が高く、庶民の日常食と思われがちの「梅干し」であるが、室町時代、禁裏(きんり)への献上品ともなり、16世紀後半には粥(かゆ)と共に天皇の朝食膳に上っていた。また、梅干しは僧の祝賀膳にご馳走として、あるいは禅僧や社家の人たちの贈答品として重宝されていた。

土用干し

『本朝食鑑(ほんちょうしょっかん)』(1697年)によれば、江戸時代になると、庶民も元旦には茶に梅干しを入れた「大福茶(おおぶくちゃ)」で新年を祝った。うどんを食べる時に、梅干しと胡椒(こしょう)が薬味として用いられる一方、醤油が普及する以前の調理料である「煎(い)り酒」にも、梅干しは削りかつお、古酒、たまりと共に欠かすことができない存在となった。

梅干しの作り方については、江戸後期になって『漬物早指南(つけものはやしなん)』(1836年)でようやく紹介される。完熟した梅の実を2時間ほど水に浸けて洗い、梅1斗に塩3升(30%)、紫蘇(しそ)を少々入れ、重石を載せ、14~15日置く。天気の良い日にカゴにあけて天日干しする。長く保存したい場合は、干してから夜は壺の梅酢に戻し、これを3日繰り返す。

今日の作り方と比べると、塩漬けした後に三日三晩、雨に当てないように天日干しし夜露に当てる「土用干し」、低塩分濃度(10~20%、長期常温保存は18%以上)、紫蘇(しそ)を入れるタイミングなど、少々相違点はあるものの、概ね共通している。

滝沢馬琴(たきざわ ばきん)は自ら沢庵(たくあん)と梅干しを大量に漬けていた。『馬琴日記』に、板張りの雨戸2枚に塩漬けした梅の実を広げて干したが、にわか雨が降り出して、取り込むのが間に合わなかったと悔しそうに記している。今年、梅を漬けていらっしゃる方々、くれぐれもにわか雨にご注意ください。(筑波学院大学教授)

ぐずつき気味の操業初日 霞ケ浦のワカサギ漁解禁

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初水揚げのワカサギは大漁とはいかなかった=土浦・沖宿漁港で古仁所さん

【相澤冬樹】霞ケ浦に夏本番を告げるワカサギ漁が21日解禁となり、霞ケ浦北浦周辺の漁港、船溜まりは未明の出港、早朝の初水揚げでにぎわった。しかし、土浦・沖宿漁港に戻った霞ケ浦漁協の元組合長、古仁所登さん(79)は開口一番、「去年の3分の1もねえや」とさえない表情。今季の滑り出しはお天気同様、ぐずつき気味となった。

濁る湖水、エサ不足?

沖宿漁港からはこの日午前3時ごろからトロール漁の小型船3隻が出港、日の出の午前4時40分ごろまで操業して、同5時過ぎには漁港に戻ってきた。古仁所さんの船は土浦入り対岸の美浦村木原沖に向けて網を入れ、操業してきた。帆引き船の時代から約60年続けているワカサギ漁師だ。

満杯なら約10キロ入るコンテナ6箱にワカサギを積んで戻ったが、「去年は箱にいっぱい15箱ほど獲ったから3分の1にもなんねえ」と嘆き節。魚体も全体に小さく、網にかかっていた大量のアメリカナマズまで小さめのサイズだった。

県水産試験場内水面支場(行方市)による事前の調査操業から、今季はエサとなるプランクトンの量が少なく、漁獲量への影響が懸念されていた。古仁所さんは「プランクトン以前に水が悪い。原因は分からないが雨が続いたせいか濁った状態になっている」という。

ワカサギが水にさらされる=土浦市沖宿

ワカサギは漁師の自宅庭先に持ち込まれ、水流で洗われて、サイズごとに選別、問屋に引き取られる。市場へは鮮魚のまま、あるいは煮干しなどに加工されて出荷される。

獲れたてをオンライン販売で

霞ケ浦(北浦含む)のワカサギ漁は例年21日解禁で、12月31日までを操業期間と定めている。全国の主要産地で夏場に漁を行うのは霞ケ浦だけ。今の時期のワカサギは脂がのり、不飽和脂肪酸のEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)を多く含むことから、県霞ケ浦北浦水産事務所(土浦市)や漁協などは「ナツワカ」として売り込みを図ってきた。

17年、18年と100トンを下回る漁獲にとどまり、昨季は119トン(茨城県全体)に戻したものの、北浦が「極度の不漁」を記録して、今季の動向が注目されていた。操業初日の成績が漁期全体を占う試金石となる。

県霞ケ浦北浦水産事務所の調べだと、この日操業した漁船は霞ケ浦(西浦)99 隻(前年136 隻)、北浦19隻(同29 隻)だった。聞き取りによる1隻当たりの漁獲量平均は霞ケ浦で45.6キロ(前年143キロ)にとどまった。北浦はさらに落ち込み、平均10.5キロ(前年19.4キロ)で、漁獲ゼロの船もあった。

ワカサギ漁解禁日の操業風景=県霞ケ浦北浦水産事務所提供

解禁日には例年、漁師らでつくる霞ケ浦水産研究会が行方市の観光物産館でイベント『ワカサギ解禁市』を開催し、天ぷらに揚げて振る舞ったり、生ワカサギの販売などを行ってきたが、今年は新型コロナの影響で中止となった。

このため、代替でオンラインによる『ワカサギ解禁市』を初開催する。操業日に生ワカサギを500グラム1000円(税込み、送料別)で販売するもので、出荷できる日は21日・27日・28日・30日・31日の5日間の期間限定。クール便による配送で販売地域も限定となる。

詳しくは「ポケットマルシェ」霞ヶ浦漁協のページ。電話0299-55-0057

伝統文化団体に出演依頼を 県がリスト作成

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「茨城の伝統文化団体リスト」

【山崎実】茨城県は、県内各地で活動している伝統文化団体を紹介するパンフレット「茨城の伝統文化団体リスト」(A4判カラー、44ページ)を作成し、イベントや催事の主催者などに出演を検討してもらうなど活用を呼び掛けている。

伝統文化の担い手不足が懸念される中、各団体が日頃の活動の成果を発表する場をつくり、県民に伝統文化に触れる機会を提供して、担い手の確保と育成に努めるのが狙い。

パンフレットは、県内などで開催される各種イベントや催事への出演を希望している「お囃子(はやし)」「踊り」「太鼓」など95団体を掲載している。

お囃子、踊り、太鼓、琴・三味線など11分野に分け、各団体ごとに歴史や概要、活動内容を紹介しているほか、発表場所(施設)や発表可能時期、発表対象、謝礼など、出演する場合の希望条件も紹介している。

つくば市からは、お囃子の「吉瀬三日月囃子保存会」と「六斗ばやし保存会」、太鼓の「常陸乃国ふるさと太鼓会」と「琉球國祭り太鼓茨城支部」、三味線の「津軽三味線福静会」、琴の「ふたつ葉会」、茶道の「筑波学院大学表千家茶道部」「筑波大学茶道部和敬静寂社」、華道の「筑波学院大学華道部」、大道芸の「筑波山ガマ口上保存会」の10団体が紹介。

土浦市からは、踊りの「久美浦会日舞子供体験教室」「櫻川流江戸芸かっぽれ后希会」「穂踊会」「美重の会」、太鼓の「亀城太鼓」、琴・尺八の「土浦三曲会」、民謡の「民謡天心会」、市指定無形民俗文化財、木遣(きやり)の「土浦鳶職組合」の8団体を紹介している。

イベントや催事などの主催者が、パンフレットに掲載されている伝統文化団体に出演を依頼したい場合、県が仲介を行うが、具体的な発表内容や謝礼などについては当事者間で行う。

パンフレットは、市町村、観光協会、旅行会社などに配布されており、県は「伝統文化をイベント、催事だけでなく、おもてなしにも生かしてほしい」と利活用に期待している。

◆問い合わせは県生活文化課(電話029-301-2824)

《法律かけこみ寺》20 大量の雨が―おお!おお!おお!

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土浦市文京町の神龍寺山門(写真は本文と関係ありません)

【コラム・浦本弘海】「大量の雨が―おお!おお!おお!」「ちょっと、伯父さん落ち着いて」。伯父からの突然の電話。しかもなにやら大慌てです。

「落ち着いてもなにも、隣地から雨水が流れ込んできて困っているんだ! お隣さんの雨水浸透桝(うすいしんとうます)が詰まったようで」「薄い新トーマス? 『きかんしゃトーマス』の親戚じゃありませんよね」

どうやら事故や災害ではないようで安心しましたが、耳慣れない言葉が。

「なんだ弘海くん、弁護士なのにそんなことも知らないの? 雨水浸透桝というのは―」

伯父によれば、雨水浸透桝とはその名のとおり雨水を地中へ浸透させる設備で、雨水を直接、排水路や側溝に流せない場合に役立つことはもちろん、地下水の涵養(かんよう)や冠水などの水害軽減にも寄与するようです。きかんしゃトーマスとは無関係でした。

一方で、定期的に清掃をしないと目詰まりを起して十分な浸透効果が得られず、桝から雨水が溢れることがあるとのこと。伯父の話によると、隣地の所有者は不在地主で地所の管理に熱心ではないようです。

そこで、隣地の所有者にまずは清掃をお願いするにしても、法的にどうなっているのか確認したくて連絡したとのことでした。

水流に関する工作物の修繕

ところで、本コラム9(2019年8月20日付)では隣家から木の枝や根が自分の敷地に入ってきた事例を取り上げました。そこで出てきたのが民法の相隣関係(隣りあった土地の間の法律関係を定めるルール)、今回も相隣関係のお話です。

ここでさっそく、今回のトラブルに役立ちそうな民法の条文をみてみましょう。

<水流に関する工作物の修繕等>
216条 他の土地に貯水、排水又は引水のために設けられた工作物の破壊又は閉塞により、自己の土地に損害が及び、又は及ぶおそれがある場合には、その土地の所有者は、当該他の土地の所有者に、工作物の修繕若しくは障害の除去をさせ、又は必要があるときは予防工事をさせることができる。

簡単に言えば、他人の土地にある貯水や排水、取水のための設備が壊れたり詰まったりしたせいで自分の土地に損害が出たり出そうなときは、設備を修理したり障害を除いたりしてもらえるということです。今回のケースで言えば、民法216条により伯父は隣地の所有者に対し、雨水浸透桝の清掃を請求できることになります。

なお、費用は原則として他の土地の所有者(今回のケースでは隣地の所有者)ですが、民法217条によれば「費用の負担について別段の慣習があるときは、その慣習に従う」とされておりますので、場合によっては土地の所有者(今回のケースでは伯父)が負担することもありえます。

記録的な長雨が続いており、各地で災害も発生しております。みなさま安全には十分ご注意ください。(弁護士)

《吾妻カガミ》86 紙爆弾戦開始 つくば市長選

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つくば市役所正面玄関サイド

【コラム・坂本栄】コロナ禍下の選挙は従来とは少し違った形になりそうです。前回コラム「つくば市長選 2つの風景」(7月6日掲載)で触れましたように、今秋のつくば市長選に意欲を示していた保守系現県議は、コロナ下では現職市長に比べ市民との接触面が少ない挑戦者に不利になると、出馬を断念しました。再選を目指す現職も含め、市長選では「密」が避けられない集会は抑えられ、印刷物で市民に訴える「紙爆弾」が多用されそうです。

反市長の「つくば市民の声新聞」

「コロナ・ハンディキャップ」を抱える反現市長グループは6月下旬、「つくば市民の声新聞」第1号を新聞への折り込みで配布、紙爆弾作戦を開始しました。この無料紙が推そうとしている候補が誰なのかは分かりませんが、同紙は五十嵐市長の2大失政(総合運動公園問題後処理の不手際、つくば駅前ビル「クレオ」再生計画の失敗)などのリポートを掲載、現市長にマイナス点を付けました。

また、五十嵐市長の退職金辞退については、①市長退職金は市の財政から直接支払われるわけではない②市が県市町村総合事務組合に払い込んだ積立金から支払われる③したがって市長が退職金を辞退しても市財政の節約にはならない―と解説、「子どものお遊びか?」と指摘しています。

現市長陣営の「Activity Report

同じ日、すでに出馬を表明している五十嵐市長の陣営も、活動報告「Activity Report」第5号を新聞折り込みで配布。こちらは現職の強みを生かし、つくば市の「新型コロナウイルス感染症対策」を特集しました。たまたまなのか、どちらかが相手の動きを察知したのか、よく分かりませんが、紙爆弾が同時投下されたわけです。

報告の内容は、計上した予算(経済対策5億円+市民生活6億円)を掲げ、「児童生徒の感染者を1人も出すことなく休校期間を終え、学校を再開」「70歳以上の高齢者の皆さまに5,000円分の商品券」「大規模医療機関に優先的に約14万枚のマスクを配布」「(事業者支援のため)応援チケットによる資金調達支援」など、コロナ対応を自賛しました。

印刷物はどちらに有利に働くか?

最近、選挙でもネット活用が話題になりますが、ネットの場合、スマホなどの利用者が情報を「読みに行く」必要があります。それに対し、印刷物は目の前に置かれますから、「読ませられる」メディアです。有権者が適度な数の市長選、しかもコロナで活動が制約されている環境下では、紙爆弾が持つ「破壊力」を見直す必要があるでしょう。

印刷物の配り方は、新聞折り込みだけではありません。郵便受けに入れるポスティング、自由に持ち帰ってもらうラック置き、駅前などで配る手渡し―など、多様な方法があります。活字の説得力を考えると、紙爆弾は、実績PRに終始する現職よりも、現職の問題点を突く挑戦者に有利に働くでしょう。反現職側に「ペーパー・アドバンテージ」?(経済ジャーナリスト)

【夏の高校野球県大会】常総、霞ケ浦 ようやく始動

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【常総学院―取手二】5回裏、得点に沸く常総学院ベンチ=J:COMスタジアム土浦

2020年夏季県高校野球大会は4日目の19日、4球場で2回戦11試合が行われた。J:COMスタジアム土浦では常総学院が取手二を6-0で2安打完封、霞ケ浦が土浦二を6-0で6回コールド勝ちと、いずれも優勝候補にふさわしい勝ち方。夏のエンジンがようやくかかり始めた。

3年生に配慮の起用も

【崎山勝功】常総学院は5回裏、吉成隼の左翼線への二塁打を皮切りに打線に火が付いた。続く陶山歩夢の適時二塁打などで2点を先制。6回裏には中山琉唯らが単打4本を重ね2点を獲得。7回裏にも飯田徹の二塁打などでダメ押しの2点を加え、6-0と大幅にリードした。

投手陣は、一條力真が7回途中まで1安打9奪三振と好投した後は、4投手に1アウトずつ取らせるなど「3年生の実績作り」も考慮した采配を展開。最後は菊地竜雅が自己最速を更新する152キロを出して締め、取手二に一切の得点を許さず完封勝ちを収めた。

主将の中山琉唯は「やっぱり5回からじゃなく、初回から打線がガンガン行かなくちゃいけない。今日の反省を生かして、次の試合ではしっかり準備して臨みたい」と振り返った。

先発の一條は最速148キロの直球のほか、「今日はカーブやスライダー、スプリットも決め球に使った」と多彩な球種を使い分け、「直球が抜けていたのでそこは修正したい」と次戦への改善点をあげた。

7回を好投した先発の一條と5回裏2死二塁、先制の適時二塁打を放った陶山

佐々木力監督は「コロナの影響でゲームから離れていたため、バッティングの仕上がりが今一つだった。相手投手の変化球が良く、なかなか得点が生まれなかった」と厳しい見方。その上で「大会をやらせていただける感謝でいっぱい。何もないまま卒業では、今後野球を続けたくても続けられない。1打席でも代走でも実績としてカウントされれば、推薦を受けられる子たちもいる」と3年生への配慮を明かした。

土浦二の松浦、好救援も

【崎山勝功】霞ケ浦は1回裏、先頭打者から4人が連続出塁し1点を先取。さらに伊澤誠の左中間三塁打が決定打となり、試合の流れをつかんだ。

1回裏1死満塁、伊澤誠が左中間へ適時三塁打を放つ

その後は霞ケ浦の先発・米島健斗と、1回途中からリリーフした土浦二の松浦快大が共に好投し、両者無得点が続く。だが6回裏に霞ケ浦が土浦二の3人目・堀越岳の乱調に付け込み、米島ら4人の単打などで6点を追加。結果10-0で6回コールド勝ちを収めた。

霞ケ浦の高橋祐二監督は「ゲーム展開として、4-0のままでいくのは危うい。1点動いたら野球は分からなくなる。勢いに乗って10点取ってしまうような、そういう点の取り方をしてほしい」と不満を示した。

小田倉啓介主将は「5回まで全然バッティングになっていなかった。最初の4点は相手にもらったようなものだし、最後の6点も決して自分たちで取ったとは言えない。今日は自分たちで上手く野球をすることができていなかった」と、反省点を示した。

土浦二の坂本武司監督は「霞ケ浦は県トップレベルのチーム。胸を借りるつもりで試合に臨んだ」と話す。スタメンには1・2年生も積極的に起用し、「力の差がある中で自分のプレーができたことは、今後に向けて大きな財産になったと思う」と語った。

試合は途中から投手戦の様相。土浦二の2番手・松浦㊧と霞ケ浦の先発・米島

2番手投手の松浦も2年生ながら、霞ケ浦打線17人を3安打無失点に抑え、「球速が上がらず、少しでも甘いと持っていかれるので、コントロールを意識して投げた。打たれなかったのはキャッチャーがタイミングを外してくれたから」と捕手・堀越のリードを讃えた。

《沃野一望》17 伊東甲子太郎の1 新選組加盟

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かすみがうら市志筑方面から望む筑波山

【ノベル・広田文世】

灯火(ともしび)のもとに夜な夜な来たれ鬼
我(わが)ひめ歌の限りきかせむ  とて

天保六年(1835)、関八州を鎮(しず)める名峰筑波山の東麓、常陸国志筑(しづく)村(現かすみがうら市)に、旗本本堂家家臣鈴木専衛門の二男として、鈴木大蔵という風雲児が、呱々(ここ)の声をあげた。

幼いころに父が脱藩、村をでた大蔵は、水戸で文武の修練にはげむ。剣に冴(さ)え、文にすぐれ、眉目秀麗(びもくしゅうれい)、弁舌さわやかな才は、幕末という激動の時代のなかで、いつか激流の先頭を疾駆(しっく)する人物と嘱目された。

水戸での伝手(つて)をたよりに江戸へでると、水戸藩士金子健太郎の道場で北辰一刀流をきわめ、同時に、尊王攘夷を標榜(ひょうぼう)する水戸学に心酔してゆく。

北辰一刀流の技の極意は、いつか市中の評判となり、やがて、深川佐賀町に町道場をひらく伊東精一郎に見こまれ門弟となる。道場では、またたくまに師範代にまでのぼりつめる。さらに、道場の後継者として婿養子にむかえられ、はじめて、伊東性を名乗る。伊東大蔵。

これだけでも、ひとかどの立身出世のはずだったが、これに満足できず、満足させない時代の奔流が、江戸にも京にも渦巻いていた。

土方歳三と同格の参謀に

ある日、北辰一刀流の千葉道場で相弟子だった藤堂平助が、伊東道場を訪ねてきた。藤堂は京にあって、今をときめく新選組副長。

「近藤局長が人材をもとめ東下してきている。たっての願いを受けてほしい。新選組は、これからの世を切り開く隊だ。だが、現存隊員の力量は、とても満足できるものではない。剣の技量においても、隊をまとめる統率力においても、今の要員では、まったく不十分だ。ぜひとも貴殿の力を新選組で開花させてもらいたい。貴殿のもとで、多くの同志が語りあっていると聞く。その者たちともども加盟してもらえれば、重ね重ね歓迎だ。組内の処遇については、悪いようにはしない」

伊東大蔵にとって、願ってもない誘いだった。ここはひとつ、当座の主義主張はとにかく、いや、近藤勇や土方歳三などを論破し、彼らに尊攘思想を注入し、組織としての新選組を利用すればよいだけのかけひきだ。誘いに乗らぬ手はない。

元治元年(1864)、伊東大蔵は、道場で語りあった同志七人とともに、新選組に入隊すべく江戸深川佐賀町の伊東道場を去る。この年の干支(えと)は甲子(きのえね)。伊東は、新天地、京での飛躍を期し、甲子太郎(かしたろう)と名乗りあげた。

約束通り新選組では、新参八人のうち伊東甲子太郎を副長土方歳三と同格あつかいの参謀、篠原泰之進を諸士取調役監察、三人を伍長と、異例の厚遇でむかえいれた。伊東甲子太郎は、新選組という、飛躍の活動拠点を仲間とともに得た。(作家)

【夏の高校野球県大会】土浦湖北が猛攻、5回コールド勝ち

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1回表無死二・三塁、主将・田中の先制の一打=18日、ひたちなか市民球場

2020年夏季県高校野球大会は3日目の18日、雨のため延期となった土浦と水戸を除く3球場で2回戦9試合が行われた。ひたちなか市民球場では土浦湖北が13-1で牛久栄進に5回コールド勝ちを収めた。延期となったJ:COMスタジアム土浦の常総学院-取手二、霞ケ浦-土浦二の試合は19日に行われる。

1回、打者12人で大量7得点

【高橋浩一】土浦湖北は1回表、打者12人で7安打を放ち、大量7点を奪う猛攻で試合の大勢を決めた。先頭打者の立原望が右前打を放ち、2番・大熊聖蓮が四球で出塁すると、捕逸で無死二・三塁とし、主将の3番・田中海斗が左前打で先制。その後も単打でつないで、牛久栄進のエース古田部智也をノックアウトした。

1回表1死満塁、佐藤の2点タイムリーで谷島巧望がホームイン、仲間とハイタッチを交わす

4回にもビッグイニングを作り、1死満塁の場面から8番・佐藤武流が中堅へ走者一掃の適時三塁打を放つなど4点を追加。佐藤は5回にも適時二塁打で2点を加えた。

先発の大坪誠之助も「今日は全体的に良くなかったが、気を抜かずに初回から思いきり行った」と、3回を無安打に抑える好投を見せた。

土浦湖北の先発、大坪

小川幸男監督は「初回に田中が打ってくれて楽になった。3年生19人全員を出せる展開になってくれればと思っていたが、思い通りになって良かった」と順調なすべり出しに安堵の表情。主将の田中は「初回に7点を取って緊張感が消えかけたが、もう一度気を引き締めた。普段通りの試合ができたし、声も出ていてまとまりがあった」と振り返った。

この日3安打7打点の大活躍となった佐藤は「監督から思いきり振っていけと言われ、それを意識した。このような結果になってうれしい」と喜びの声。「張りつめた雰囲気の中で練習をしてきたので、気持ちはつくれていた。練習試合では自分たちよりレベルの高いチームとも互角にやってきたので、勝敗に関係なく自信がついて大会に挑めた」と勝因を語り、「次も自分の力を発揮できるように頑張りたい」と結んだ。

4回表1死満塁、佐藤がタイムリー3ベースを放つ

【高校野球代替大会】霞ケ浦 高橋監督インタビュー㊦ メカニズム理解して練習を

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インタビューに応じる霞ケ浦高校の髙橋監督。隣にはOBが活躍する広島東洋カープのマスコット「スラィリー」が座る

【伊達康】県高校野球代替大会が11日から始まった。霞ケ浦高校の髙橋祐二監督インタビュー3回目は捕手に求めることなどについて聞いた。

配球指示 全球ベンチでは勝てない

—霞ケ浦からは毎年好投手が輩出され投手育成が注目されますが、捕手も毎年のように良い選手が育っている印象です。投手を伸ばす捕手のあり方など、捕手に求めるポイント、配球は捕手任せなのか、捕手によって違うのかなどを教えていただけないでしょうか。

高橋 捕手は扇の要といわれるだけあって、捕手には口うるさくいろんな話をしていますね。まだまだいろいろな意味で物足りませんが。配球については3年くらい前までは全球ベンチから出していましたが、それでは勝てないのかなというところがありました。

綾部翔がエースの時はクレバーな齋藤智徳という捕手がいましたので彼に任せましたね。今の瀬川悠人も困ったらこちらを見るという程度で、ほとんど任せています。その前の鈴木春樹の時は接戦になった藤代戦や石岡一戦は出していましたね。甲子園では任せました。

—内野守備についてはどのようにすれば上達するでしょうか。

高橋 キャッチボールが重要です。それに手投げのゴロ捕りをどのタイミングでグローブを下ろしてどのタイミングで足を出して捕球するか、しっかりメカニズムを理解してから練習すると良いでしょう。ゴロ捕りのメカニズムを分かっている指導者は少ないと思います。

ノックはこのボールをアウトにするためにどうやって捕るのか、打球によってベストの処理の仕方を選択できているか、捕り方やボールへの入り方が間違えていないかを確認する作業です。股を割って捕ったから、シングルハンドで前に伸ばして捕ったからと、理屈を説明できる指導者に教えてもらうと上達できるのではないでしょうか。

技術論の交換盛んな県も

—最後の質問です。高校野球の指導者同士で技術指導論、野球論などの意見交換をすることはありますか。

高橋 野球界はないですが高校バレーボール界ではよくありましたね。強豪校同士で合宿をやっても、例えばブロックシステムのステップの話とか、本当に細かい話を指導者同士で意見交換して技術を磨き合っていました。野球ではそういう話はしませんね。

横浜隼人の水谷監督とは技術論の意見交換をします。神奈川県は指導者同士の技術的意見交換とかそういう交流が盛んに行われていると聞きますが、茨城県はあまりないですね。

—野球の監督に就任する前、霞ケ浦高校バレーボール部を指導し春高バレーに導いた髙橋監督ならではの比較ですね。貴重なお話をありがとうございました。

昨夏の準決勝を制し喜ぶ霞ケ浦内野陣=ノーブルスタジアム水戸

監督 三者三様 「やるからには優勝」

【取材後記】茨城県では2015年から19年までの5年間、直線距離でわずか5キロ以内にある常総学院、土浦日大、霞ケ浦の3校が優勝を独占している。代替大会出場を目前に控え、3校全ての監督から話を聞くことができた。

コロナ禍の過ごし方や夏の甲子園と地方大会の中止、代替大会に向けた取り組みについて、それぞれに同じ質問を投げかけてみたのだが、三者三様の素の答えが返ってきたことは大変興味深かった。

夏の甲子園と地方大会中止の知らせには、いまだ気持ちの整理がつかず甲子園での何かしらの代替大会の開催を今でも熱望する常総の佐々木力監督。甲子園を奪われても野球が好きで懸命に練習する選手の姿に思わず涙する日大の小菅勲監督。選手だけでなく小学生のときから子どもと一緒に甲子園を夢見てきた親の気持ちにも寄り添う霞ケ浦の高橋祐二監督。

また、甲子園につながらない代替大会には、3年生全員を公式戦の舞台に立たせてから主力組を投入する考えの常総学院。3年生は全員登録しつつ力のある2年生を積極的に起用する考えの土浦日大。2年生のレギュラークラスが多い中で、3年生だけで挑む考えの霞ヶ浦。本当に3年生だけで挑んでいいのかという高橋監督の葛藤は大会中も続くだろう。

昨年秋の県大会は常総学院が優勝、霞ケ浦が準優勝している。土浦日大は準々決勝で延長13回タイブレークの大接戦の末、優勝した常総に敗れた。もし例年通りに地方大会が開催されていれば、この3校が優勝に関わってきたことは間違いない。「複雑」な心境の中、「やるからには優勝を目指す」とは3校共通の答えである。甲子園を本気で目指してきた3校がいよいよ代替大会を迎える。

(高校野球代替大会有力校監督インタビュー 終わり)

《続・気軽にSOS》65 いろいろな人の支えがあるから

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【コラム・浅井和幸】「浅井さんさぁ、何とかなんないかなぁ」。電話から、Aさんの声が聞こえたのは、2011年3月11日から1週間ぐらい経った日だったろうか。そう、あの東日本大震災の少し後。以前からの知り合いAさんは、福島に送る支援物資の調達活動に関わっていた。その中で、数トンの米を寄付いただけることになったが、それを福島まで送る手段を探しているとのことだった。

とても立派な活動で、お手伝いしたいのは山々だけれど、当時の私には(今もだけれど)、それに対応できる方法が想像もつかない。「え~っ、ちょっとどうしてよいか分からないけど、とりあえず考えてみるので期待しないで待っていてください」。そう回答するのが精いっぱいだった。

さて、何人かの知り合いに声をかけてみる。もちろん、よいアイデアは無い。知り合いもみな被災しているし、ガソリンも不足しているし…。そこで、当時始めたばかりだったツイッターで呼びかけてみた。電話がつながりにくい当時、ボランティア同士のやり取りや情報収集に役に立っていたけれど、今ひとつ使い方が分からず、わらをもつかむダメ元ってやつ。

そうしたら、所有しているトラックで運転して持って行けますという声が返ってきた。まったく見ず知らずの人だ。急いで電話で連絡を取ると、ガソリン代も交通費もいらない、すべて無償のボランティアで協力してくれるとのことだった。

こんなこともあるものなのかと、最初は半信半疑で話をすると、とても誠実そうな声で、丁寧に話をしてくれた。Aさんの連絡先を教えるので、直接話してもらってもよいかと尋ねると、その方は何の躊躇(ちゅうちょ)もなく連絡すると答えてくれた。

後日、Aさんから連絡があり、うまく、ことが運んだそうである。さすがと、Aさんは私をほめてくれたが、どう考えても、素晴らしいのはAさんとそのトラックドライバーの方。本当にこんなことがあるんだなぁと、このような素敵な人たちと話ができたことをうれしく思っていた。

感謝、感謝 元気の源

その後も、ネット上で呼びかけたら、見ず知らずの他県の方から、乳幼児用の服や離乳食の詰め合わせが送られてきたこともあった。それは、ある貧困の若夫婦にお届けした。その時に添えられていた、温かい文章が書いてあるかわいらしいメモは、今でも宝物のように事務所の机にしまってある。たまに思い出して読むと、自分も負けてられないよなと、力が湧いてくる。

そのような印象的なこともたくさんあるし、日常的にタオルが欲しいとか、冷蔵庫が欲しい―など、私のおねだりに応えてくれるネットワークのおかげで、私の様々な活動が成り立っている。おねだりをする前から、まだ使えるどころか、浅井家で使っている品物よりもキレイで高価なものを、必要ないかと声をかけてくれる方たちもいる。

感謝、感謝なのです。私の元気の源と言ってよいでしょう。(精神保健福祉士)

土浦駅前整備事業が国交相まちづくり表彰を授与

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土浦市役所

【伊藤悦子】魅力あるまちづくりの推進に努めたとして、土浦市が実施した土浦駅西口駅前地区整備事業が、2020年度まちづくり功労者国土交通大臣賞の表彰を受けた。

撤退した駅前商業施設跡の民間ビルを大規模改修し市庁舎を再配置したこと、さらに市立図書館や市民ギャラリーが入る複合施設「アルカス土浦」を整備して駅前に都市機能の集積を図り、質の高いコンパクトなまちづくりを行ってまちのにぎわい創出に貢献したことが高く評価された。

6月のまちづくり月間に合わせて表彰された。同功労者表彰を受けた全国29の団体・個人の一つ。表彰式は新型コロナウイルス感染拡大防止のため中止となった。

屋根があるロの字型のペデストリアンデッキとアルカス土浦=昨年7月撮影

担当の市都市計画課、中島賢市さんは「市役所の機能や図書館などを駅前に集約した。また駅前広場やバス乗り場も整備し、バスと、一般車、タクシーを分けて安全性を高めた」とし「総合的に西口駅前のコンパクトなまちづくりが評価されたと思う」と話す。

さらに「(再整備前は)ペデストリアンデッキは駅から真っすぐ市庁舎につながるだけだったが、図書館があるアルカス土浦などにも行けるようロの字にして屋根も付けた。公共施設や利便施設が集約されたこと、駅前広場や交通環境、歩行者環境が向上したことなどが評価されたのでは」と話す。

同課の村山良さんは「土日には、市役所の大屋根広場やアルカス土浦の駅前広場でコンサートやマルシェなどのイベントができる。大屋根広場は新庁舎の整備と合わせて屋根をかけたので、天候を気にせずイベントができるようにした」と語った。

再整備の効果で市中心市街地の歩行者数は徐々に増えている。駅前商業施設、イトーヨーカドー土浦店が撤退する前の2012年は平日の中心市街地の歩行者数は2万5143人だったが、アルカス土浦がオープンした後の18年には3万621人と1.2倍に増加した。

中島さんは波及効果としてさらに「アルカス土浦近くに新しく民間業者によるマンション建設や建設予定がある」とし「居住人口が増えれば、利便施設などの利用もさらに増えていくのでは」と期待している。

同駅ビルには、つくば霞ケ浦りんりんロードのサイクリング拠点施設「りんりんスクエア土浦」がある。同市は「自転車のまち」であることから、中島さんは「市外からの観光客がサイクリングで土浦をめぐり、土浦のものを食べ、買い物をすることで、お店も発展する。民間と協力して、イベントなどソフト面も充実させたい。サイクリングは人が密にもならないということもあり、浸透していってほしい」と話した。

【高校野球代替大会】霞ケ浦 高橋監督インタビュー㊥ ここにきて迷い

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甲子園出場を決めた昨夏の閉会式の様子=ノーブルスタジアム水戸

【伊達康】県高校野球代替大会が11日から始まった。霞ケ浦高校の髙橋祐二監督インタビュー2回目は代替大会に向けての取り組みについて聞いた。

全員で戦う姿勢になってない

—甲子園が中止となりましたが、茨城県は独自の大会を開催する運びとなりました。代替大会が決まってからは大会に向けてどのように取り組まれているでしょうか。

高橋 3年生26人とマネジャー3人の29人で戦うかどうするかを3年生に聞いたところ、それで行きたいという返答があったものですから、3年生だけで代替大会に参加する形でスタートしました。背番号は30番までつくりました。

ちょうど練習試合を始めて1カ月くらいになるのですが、いろいろなことが見えてきまして、このままでこの大会をやって良いのかということをつくづく感じています。本来であれば6月中旬にベンチに入れない者が発表されてその子たちがサポートに回る。ベンチ入りメンバーはサポートメンバーの気持ちも背負って最後はチーム一丸となって大会に臨みます。

しかし今年は26人がみんな試合に出られる。チャンスがなかった者までが出られる雰囲気になっている。だからといって練習を頑張っているかといったら頑張ってない。練習試合では3年生の試合を午前午後の1試合ずつやるわけですが、1試合目はガチンコでやって、2試合目はそれ以外の3年生で組むんです。控えているメンバーは1試合目は途中出場の準備をしないのに、2試合目は試合中に自らバットを振って代打の準備をするんですね。なぜ1試合目にそれをやらないのかと考えると、2試合目に順番に出場しているからかなと。

控えメンバーが思い出づくりのつもりでいるように感じます。全員で戦う姿勢になっていないし上に食い込んでいくという気概がない。26人全員を出場させてあげたいと思っていましたが、この状態のままやって良いのかどうか、本当は下級生を入れてガチンコで戦った方が良いのではないかという迷いがここにきて生じています。

—もう出場も今週になり実戦練習を重ねられていると思います。言える範囲で、最近どのチームと練習試合を組んで結果はどうだったかを教えていただけないでしょうか。

高橋 7月7日に取手二に9対8で辛勝(しんしょう)です。8回まで5対8で負けていましたが最終回に連打で4点を取って逆転しました。7月5日は聖光学院(福島県)に1対0で勝ち。右アンダーの米島健斗が4回、山本雄大が5回を投げて完封リレーでした。

7月2日は帝京高校(東京都)に0対1で完封負け。山本が6回無失点、米島、三浦彰浩とつないで最後に1点取られて負けました。6月29日に作新学院(栃木県)と5対3で勝ち。6月に常総学院と0対2で負け。山本が点を取られたのは常総学院だけです。初回にエラー絡みで1点を取られて6回1失点でした。

投打の中心を担う山本雄大投手。髙橋監督いわく「野球勘は歴代でもピカイチの選手」。昨秋の県大会にて=J:COMスタジアム土浦

ロースコアでも慌てず勝ち切れる野球目指す

—2番手格のピッチャーは誰になりますか。

高橋 基本的には右アンダーの米島と左の高松康平を合わせた3人で回そうかと思います。

—現在打撃で一番状態が良い選手を教えてください。

高橋 4番を打たせている伊沢誠が3試合連続ホームランを放っています。すごいパンチ力を持っているのですが、ここのところめっきり打てなくなって、この前は4打数4三振でした。波がありますね。

ショートの小田倉啓介、山本、捕手の瀬川悠人など、秋のメンバー陣がコンスタントに結果を出しています。

2年生からショートを守る小田倉啓介選手。鉄壁の守備を誇る

—去年のチームと比較して今年のチームカラーはどのような感じになっていますか。

高橋 山本を中心とした守りのチームですが、去年と比べたら全然守れないし、攻撃も去年より落ちますね。山本がいるのでロースコアのゲームにはなると思います。

去年の石岡一戦や藤代戦のようなロースコアのゲーム展開でも慌てないで勝ち切れるのがうちの目指している野球です。身体能力の高い選手がいない中で合宿をやったりいろいろなことを経験して、うちの強みである組織としてまとまっていくということを今回はできなかったので、底上げができていません。

3年生の中でも温度差があるし今回は難しい大会ですね。優勝目指して頑張りますが、例年の夏とはほど遠い状態なのでどうしたら良いのか手探りです。

—先日常総学院と練習試合で対戦され0対2で敗れました。菊地竜雅、一條力真のWエースの印象を教えてください。

高橋 2人ともボールが速いですね。球速が注目されますが変化球も素晴らしい。一條君の変化球は特に良かったです。そのほかの投手も出てきましたがみんな良かったです。

(続く)

《電動車いすから見た景色》8 インクルーシブ教育って何だろう

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統合教育とインクルーシブ教育の違い

【コラム・川端舞】日本が2014年に批准した国連の障害者権利条約では、国は障害児が一般的な教育制度から排除されないようにするとされている。日本には障害児が通う特別支援学校があるが、障害者権利条約では特別支援学校は一般的な教育制度の中には含まれない。障害のある子どもとない子どもが同じ場所で学ぶことを基本としている。

障害者権利条約が目指している教育を「インクルーシブ教育」と呼ぶ。私は障害を持ちながら、小学校から高校まで普通学校に通っていたが、インクルーシブ教育を受けたとは思っていない。特に小中学校の頃は、学校で周りに迷惑をかけないために、友達に手伝ってもらってはいけないと言われていたし、言語障害のある私の言葉を聞いてくれない先生もいた。誰かに直接言われたことは無いが、学校の雰囲気から「私は障害があるから、勉強だけはできないと普通学校に通えなくなるんだ」と思っていた。

障害者権利条約が目指すインクルーシブ教育は、障害の程度やどのくらい能力があるかを、障害児が普通学校に通える条件にしてはならないとされる。「授業についていけるなら」「一人でトイレに行けるなら」など、何かができるかどうかで、障害児が普通学校に通えるかどうかが変わる教育は、インクルーシブ教育に対して統合教育と呼ばれる。

一定の条件をクリアできないと、障害児は普通学校に通えないという考えが学校現場に広まってしまうと、障害のない子どもたちも、「周りと違うのは悪いこと」「できないことを手伝ってもらうのは悪いこと」というような息苦しい考え方になってしまうだろう。

すべての子どもが尊重される教育

反対に、障害のある子どもとない子どもが同じ教室で学び、できないことは友達同士で助け合う環境だったら、障害のない子どもも「できないことは周りに助けを求めていいのだ」と思えるようになるだろう。

そのような環境は障害のある子どもだけでなく、障害のない子どもも安心して必要なサポートを受けられ、自分の意見を表現でき、主体的に学校生活を送ることができる。インクルーシブ教育は、障害のある子どものためだけでなく、すべての子どもが互いに尊重し、価値を認め合うことが目的とされなくてはならないと、国連も述べている。

国連の考えでは、単に障害のある子どもを普通学校に通わせるだけで、現状の普通学校で行われているカリキュラムや指導方法を障害のある子どもでも参加しやすいように変更しなければインクルーシブ教育とはならない。学校のカリキュラムなどを変更するには長い時間がかかるだろう。しかし、普通学校が障害のある子どもにとって過ごしやすい環境になったら、障害のない子どもにとっても過ごしやすい場になるだろう。

子どもたちに関わる様々な立場の人が知恵を出し合って、障害の有無にかかわらず、全ての子どもが安心して過ごせる学校を少しずつつくっていければと思う。(つくば自立生活センターほにゃらメンバー)

リスペクトとフェアプレーでけが予防 整骨院院長がフットサル大会企画

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あらかわ本郷整骨院院長の伊藤昌弘さん。手に持っているチラシを当日会場に貼る=阿見町の同整骨院

【伊藤悦子】スポーツによるけがの予防に取り組んでいる阿見町の整骨院院長が19日、小学生のフットサルチームなどに呼び掛けて、ルールを守って安全にプレーすることを実践する大会を土浦市内で開催する。

ジュニアフットサル交流大会「あらかわ本郷整骨院杯U-12」で、荒川沖東のフットサル場「DO Football Park(ドゥフットボールパーク)荒川沖」で開催する。リスペクト(敬意)とフェアプレーの精神を啓蒙することが目的だ。小学6年生の選手が所属するフットサル8チームが出場する。

大会を企画したのは、あらかわ本郷整骨院(稲敷郡阿見町)院長、伊藤昌弘さん。伊藤さんは、スポーツによるけが予防に日頃から取り組み、サッカー選手にけが予防講習会や、ストレッチ教室、けが予兆のチェックを行っている。

しかし、けがの予防はこれだけでは十分でないと思った。きっかけは、FIFA(国際サッカー連盟)による「プロのエリート選手の大部分の傷害は他選手との接触によって発生し、全傷害の約50%はファールプレーが原因である」という調査結果だったという。

伊藤さんは「ラフプレーやファールプレーをみんなが意識して行わないようにすることで、けがの予防が可能になるのではないか」と考え、この大会を開催しようと思い付いた。

参加選手を小学6年生にしたのは、乱暴なプレーがなく純粋にサッカーを楽しんでいる世代だからこそ、リスペクトとフェアプレーを実践することが大事だと考えたという。

リスペクト・フェアプレーとは、ルールを守り、安全にプレーすること、審判や相手チーム選手に敬意を払うプレーだ。日本サッカー協会(JFA)でも、2008年よりサッカー界におけるリスペクトプロジェクトを開始している。

観客もヤジ禁止

19日の大会でも、相手チームの選手をリスペクトして、安全にプレーをすることを実践する。またチームメートがミスをしても、責めないで励まし合う。

実践するのは選手だけではない。監督、コーチ、観客である保護者やサポーターも、選手に対して厳しい言葉やヤジは飛ばさず、ほめたり励ましたり声援を送ることになっている。

さらに各チームの監督、コーチがフェアプレーに徹した選手をMVPとして1人ずつ選出する。伊藤さんは「表彰する際はMVPに選んだ理由も発表する。そうすることで表彰された子もうれしいし、参加者もリスペクト・フェアプレーについて考えるきっかけになれば」と話す。この試みによって、監督やコーチも「ミスではなく、選手の良い行いに注目する効果もあるのでは」という。

伊藤さんは「今回の大会がきっかけになりリスペクト・フェアプレーについて皆さんが考え、各地でリスペクト・フェアプレーに徹したサッカー大会が増えてほしい」と話す。

◆大会は19日(日)午前10時から午後1時までDO Football Park荒川沖(土浦市荒川沖東)で。誰でも観戦できる。問い合わせは、あらかわ本郷整骨院 伊藤昌弘さん 090-4723-8282。

【高校野球代替大会】霞ケ浦 高橋監督インタビュー㊤ 下級生も大きな期間失った

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霞ケ浦の髙橋祐二監督。期末試験の合間を縫って取材に応じてくれた=霞ケ浦野球グラウンド

【伊達康】高校野球代替大会出場を控えた有力校の監督インタビュー。第3編は昨年夏、茨城を制した霞ケ浦高校の髙橋祐二監督に話を聞いた。

課題と向き合う春が中止に

—3月11日にセンバツ甲子園の中止が決まり、3月30日に県の春季大会の中止が決まりました。中止を聞かされた時のお気持ちはいかがだったでしょうか。

高橋 うちは春の大会を経験して課題が見えて、その課題と向き合いながら5月、6月を過ごして夏の大会を迎えるという一連の流れがあります。春の大会はチームを強化していく上で大切な意味を持つものですので、中止は非常に残念でした。

—4月16日には全国が緊急事態宣言の対象地となりました。緊急事態宣言が出されてから宣言が開けるまでの期間、チームとしてどのようにモチベーションを維持し、練習をされていたでしょうか。

高橋 夏の大会はあると信じてやるしかないと子どもたちには伝えてありました。寮生以外はグラウンドでの練習をしないようにして、通いの子は、トレーナーからのLINEを使った課題動画などを見て自宅で自主練習を行いました。50人の寮生は解散しないでそのまま残して、2時間から3時間程度の自主練習を行っていました。

—新しく1年生が入寮したと思いますが、入寮のタイミングが遅れたりしましたか。

高橋 本来であれば3月25日の練習解禁に合わせて3月23日のクラス編成テストのタイミングで入寮します。しかし今年はクラス編成テストが中止になりましたので、3月29日の新入生ガイダンスのタイミングで前日の28日に入寮しました。本当にぎりぎりのタイミングだったと思います。

ずっと閉じこもりきり

—5月20日には夏の甲子園大会の79年ぶりの中止が決まりました。中止が決まった日、髙橋監督は選手にどのような言葉を掛けたでしょうか。

高橋 他の部活動の各大会が全て中止になっていて、いくら高校野球が別組織であるとはいえ、今年ばかりはちょっとできないだろうなとは考えていました。5月15日にリーク記事のようなものが出ましたが、子どもたちにもこの日から徐々に中止になりそうだということを伝えていました。

中止の発表があった5月20日には寮生50人しかいなかったので、けじめを付けるという意味で翌日に通い組も含めて全部員を集め、「中止が決定した」「残念だ」という話をしました。

寮生も本来は1カ月に1回は自宅に帰したいところだったのですが、移動を制限されていてそれもできずにずっと閉じこもっていましたし、この間ずっと自主練をしてきて疲弊していました。選手本人も相当ショックだったと思いますが、保護者の方も相当ショックだったと思うし、心の整理がつかないと思います。

分散登校が始まってある程度落ち着いてきたタイミングでしたし、学校が始まってから次の登校までの間、寮生を1回帰宅させ3日から4日の間、親と心の切り替えをしてきなさいということで、練習を休ませました。その時点では代替大会があるかどうかは決まってなかったのですが、必ず代替大会はあるからと伝えて、気持ちを切り替えてやろうということで全体での活動をスタートしました。

昨夏準々決勝石岡一戦の戦況を見守る髙橋監督(右)=ノーブルスタジアム水戸

先輩の戦いっぷり感じて学習する

—御自身のお気持ちはいかがだったでしょうか。

高橋 3年生にとっても残念だし私自身も残念ですけど、1年生や2年生の下級生にとっても、4月から6月は3年生の先輩が甲子園に向かう戦いをするまでの合宿や練習、メンバーに入れるかどうかといった追い込まれる状態や、生き様というか、戦いっぷりみたいなものを下級生が感じて夏の開幕を迎えます。

ベンチの中やスタンドを下級生は見ながら、こうやって戦っていくんだということを学習する。下級生にとってもそういう大きな意味を持つ夏までの期間や大会そのものを失ったので、この先も大変だなという気持ちになりました。

指導者としては来年も再来年もあるかもしれませんが、在学生は3年間のチャンスしかないうちの、センバツと夏がなくなったわけですからね。そこに関しては誰も責めることはできないので、もう切り替えるしかないかなと思います。

—髙橋監督の言葉に選手からどのような反応がありましたか。

高橋 うちは前もっていろいろなことを伝えていましたので、がっかりはしていたでしょうけど、取り乱すようなことありませんでした。昨年優勝していたというのもあり、中止決定の日は報道陣が来ていて中止を伝える様子を撮影されていたからかもしれませんが、子どもたちは淡々と聞いていました。

(続く)

《くずかごの唄》65 市民の環境教育の難しさ

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【コラム・奧井登美子】「明日からプラバッグが有料ですから、気を付けてください」。主婦の友達に注意されたけれど、どういう変化が起こるのかよく理解できないでいた。

7月1日から、今までサービスでくれていたレジ袋が有料になった。私みたいに「もったいない精神旺盛な人」「時間のない人」は、布の大袋をいつも持って歩いていて、買った物は何でも放り込んでしまう。プラスチックのヘタヘタした袋よりも、布袋の方が能率よく短時間に物が入れられるのだ。食物の時は竹糸籠が2個。冷凍製品とそうでないものとを分けて放りこんでしまう。

籠も布バッグも、20年くらい前、友達から旅行のお土産にいただいた代物だ。今までは、店頭で籠やマイバックを差し出すと、けげんな顔をされたこともあったが、7月からは、店員さんも当然な顔をして入れてくれるようになって少し安心した。

海の中、サンゴに絡まったプラスチックの破片などをテレビで見せられて、皆、素直にそれに従うように、店頭教育をされたらしい。

プラスチックがゴミになった時のこと考えて

お歳暮やお中元、バレンタインのチョコレートの包装の豪華さは過剰なものが多い。「Aちゃんからのプレゼントよ、何が入っているのだろう」。ケーキやチョコレートなど、胸をドキドキさせながら、包装を解いていく時の心の高まりは、誰でも感激の時である。

しかし、最近のプレゼント用の商品は豪華すぎて、包装があれでもかこれでもか。解説書と小箱もゴチャゴチャと、ややこしい。途中で、開ける時の感激が覚めてしまうものも多い。

つくる人も、消費する人も、両方が地球市民である。地球の水温が1度上がっただけで、九州に考えられないほどの大雨が降った。プラスチックは便利だけれど、つくる人、使う人、両方とも分解する時のこと、ゴミになった時のことを考えて行動してほしい。

今回は、ほんの思い付きみたいな有料で、どうやら難なく町の中に定着したようであるが、もっと、もっと、地球全体の資源を根本的に見直してほしいと思う。(随筆家、薬剤師)

【高校野球代替大会】日大 小菅監督に聞く㊦ 交流し技術論語り合えれば

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インタビューに身振りを交えて熱く答えてくれる土浦日大、小菅勲監督

【伊達康】県高校野球代替大会が始まった。土浦日大、小菅勲監督のインタビュー3回目は、選手一人ひとりの力量を上達させるためどのような練習に取り組んでいるかを聞いた。

捕球動作を反復

—ここからは代替大会とは直接関係のない質問です。内野守備を上達させるためにどのように取り組んでいますか。

小菅 ノックとは形やリズムや基本を作るものです。私は内野手出身なのでは選手に優しい打球を打って捕らせるノッカーに徹しています。スリーバウンドくらいしてから捕らせる打球が理想です。

しかしノックは非常に非効率的な練習です。ノックで守備を鍛えようという考えは私にはありません。一人が守っていたら後の10人くらいは待っている。こんな非効率的なものはありません。守備を上手くするためには、班分けして手転がし等でそれぞれ違う趣旨で捕球動作の反復をするドリルが効果的です。

ボールのラインに正対するのが正面ではありません。横を向いていても逆シングルでも、捕球する者のおへその前にボールがある状態が正面です。正面にはバリエーションがあって、どの正面を判断し選択するかという練習をしなくてはなりません。

足を引いて捕って、体勢を立て直してから送球する練習も必要です。正面に入れないのに無理に体を入れてボールとぶつかるケースをよく見ますよね。これはグラブのハンドリングを無視した捕り方です。小さい頃からハンドリングを練習してほしいと思います。よく「正面に入れ、前に出ろ」と声を出しているノッカーがいますよね。正論ですが、ミスの中身をよく吟味するべきです。

バッティングは個人の感覚が大事

—バッティングについてはどう指導されていますか。

小菅 バッティングこそ個人の感覚が最も大事です。私が指導してバッターを育てたということはありません。個性を認め、自分で工夫してやっていくことが大事です。中学校で習ってきた理論は忘れるように言っています。反面、基礎的な部分や体の使い方として正しいものについては指導します。

股関節、足首、体の軸、トップとフォローの形、ワレ(割れ)など、そこから外れたときだけ言います。メジャーリーガーを見ると、個性を生かす大切さを学べます。

—たとえば育成年代の小学生を指導する時、ポイントはどこでしょうか。

小菅 小学生は体ができていない、力がない分、使えるところを使ってしまっています。

スクリーン(ピッチャー方向を画面とした考え)がありますよね。スクリーンが上下左右にぶれてはいけない。簡単に言えば前の肩を入れ過ぎちゃうとスクリーンが動いてしまう。目線と目付ができていないとスクリーンがぶれます。振り出す時にスクリーンが動かないことが大事です。

子どもには「足の上に体」がある状態(パワーポジション)にしなさいよと言うのが良いです。子どもは股関節が使いにくいから膝を使ってしまいがちです。サイドステップをしながら打つ、ジャンプしながら着地して打つ。そうすることにより股関節で受けた力を爆発させる感覚を養えます。

うちでは「足首の上に膝が突き刺さっている状態」と表現しています。拇指球(ぼしきゅう)に膝を突き刺す。こういうことは選手に言います。

マウンドに集まる土浦日大の内野陣。昨年秋の大会=JCOMスタジアム土浦

茨城がもっと強くなるには

—他県などから選手を集める野球留学について雑感をお聞かせください。

小菅 今は前ほど「野球留学」のことをとやかく言われなくなったと感じています。強い学校に集まり過ぎるようなミスマッチがなく「自分が輝ける場所」に行けばいいんじゃないかと思います。

-4年前まで監督を務めていた下妻二と昨秋の県大会で対戦しました。特別な感情はありませんでしたか。

小菅 特別に意識することはないですね。さすがに移籍して4年も経っているので。靏見和輝さん(小菅監督の下で下妻二の部長を経験し下妻二前監督。現在は下妻一監督)も異動しましたしね。でも良い野球をしているなと思いました。あの辺の軟式の子と少し硬式の子も入っていますよね。試合は本当に紙一重でしたからね。

—最後に、野球の指導者ライセンスなど、野球界について思うことがありましたら教えてください。

小菅 残念ながら野球界は世代間でつながってないですからね。技術論を各年代の指導者同士で共有しづらい。また高校野球の指導者間でもこういう技術論って共有する機会がないんですよね。

他県では高校野球の指導者がよく交流しているところもありますが、茨城県はライバル校同士の指導者は交流しない。腹の内を見せ合わないんです。本当は指導者同士が交流して技術論を語り合えた方が選手のレベルが上がるし、茨城県がもっと強くなるでしょうね。

(土浦日大 小菅監督インタビュー編 終わり)

《ご飯は世界を救う》25 カフェ「Blackboard」 年代物家具屋が経営

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【コラム・川浪せつ子】まるで地球が怒っているような気象。自然災害が広がっている地域の方々にお見舞い申し上げます。コロナと長雨で外出もままならず、ウツウツとする日々ですね。そんな気持ちを少し気分転換。我が家から歩いて行けるカフェにお散歩がてら。

「Blackboard(ブラックボード)」さん(つくば市手代木)の建物は、おぼろげな記憶ですが、20年近く前に建てられたもの。初めは和食バイキングの食べ放題、次は中華料理店、そして今はカフェです。和食も中華も結構イケてる感じだったのに、集客がもうひとつだったような。

こちらのお店の経営者、実はビンテージ家具屋さんなのです。本社は都内某所にあったような気がしたのですが、今回、いろいろ調べてもよく分かりませんでした。HPによると、カフェや家具販売(通信販売も含む)のほか、インテリアデザイン、住宅施工もなさっているようです。

ソーシャル・ディスタンスもバッチリ

それで、カフェ空間もオシャレで居心地よいことが分かりました。このお店が長く続いているのは、ステキな店舗というだけではなく、別のお仕事があるからかも。

店内は家具やインテリア雑貨などの展示はもちろん、配置も抜群です。そしてカフェで使用されているのは、もちろんビンテージ家具です。広い空間にポツポツと配置されているので、昨今のソーシャル・ディスタンスもバッチリ。

ランチもよく考えられていて、これまたオシャレ。平日は女性客が多く、広々空間で団らんしています。わたしも友人と何度か行きました。今回はお1人様でコーヒーとスイーツでオヤツタイム。持って行った画集などを眺めて命の洗濯。よい時間を過ごすことができました。(イラストレーター)