木曜日, 11月 13, 2025
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ベンチャーのつくば×ものづくりの大田区 25日企業交流イベント

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(左)立ち上がりに配慮した車いす=Qolo社、(中央上)まぶしくない近赤外線カラー眼底カメラ=ナノルクス社、(右)嚥下を測るウェアラブルデバイスGOKURI=PLIMES社(写真提供:つくば研究支援センター)

つくばのベンチャー企業と東京・大田区のものづくり企業が交流する「ミートアップ」が25日、つくば研究支援センター(つくば市千現、箕輪浩徳社長)で開かれる。両地域から医療・ヘルスケア機器開発に携わる計10社が参加し、対面とオンラインでプレゼンテーションを行う。Zoom(ズーム)配信で500人規模の聴講参加を見込んでおり、参加無料で事前登録を受け付けている。

オンラインで商機拡大

支援センターが今年度新設した事業企画「多地域との連携イベント」による第2弾。ものづくり「オンリーワン」の中小企業が集積する町として知られる大田区産業振興協会(川野正博理事長)との共催となる。傾斜のある道でも軽い力で直進できる車いす「COLORS(カラーズ)」を開発したカラーズ社の田尻久美子社長らが発表する。

つくば市側からは、▽車いす利用者(下肢機能障害者)の日常や訓練に「立ち上がる」力を提供する製品を開発、ことし筑波大学発ベンチャーに認定されたQolo(コロ)社の江口洋丞社長▽嚥下(えんげ、飲み込み)障害に対処するシステム開発を行っているPLIMES(プライムス)社の下柿元智也副社長▽人工知能による簡便・高速・高精度の睡眠計測を取り入れ睡眠医療の変革をめざすS’UIMIN(スイミン)社の藤原正明社長▽まぶしくない近赤外線カラー眼底カメラに生活習慣病の早期発見を可能にしたナノルクス社の祖父江基史社長▽外科用マイクロ手術支援ロボット開発にリニアモーター技術の応用を図るクロノファング社の渡邊浩司社長-の発表が予定されている。

支援センターには産総研や筑波大学などと培った異業種交流やビジネスマッチングのイベント実績があるが、ベンチャー支援部の石塚万里部長によれば、「つくばに増えてきたベンチャー企業は、扱う分野が多面的で、特定テーマだと少数企業でしか集まれなかった」という。共同研究や開発につながる協業関係を築くために、多地域連携が模索された。

6月に開催の第1弾では、「ライフサイエンス」をテーマに、川崎市(神奈川)の国際戦略拠点キングスカイフロント企業との交流が行われた。創薬・医療系のスタートアップ企業が機器や技術の「シーズ」をプレゼンした。「ミートアップ」は興味を持った企業が、名刺交換や懇親会など対面で距離を縮めるのが基本だが、コロナ禍からオンラインでの開催を余儀なくされた。

しかし結果的に、交流の範囲は広くなった。特に「ニーズ」を持つ企業の関心を引きやすくなったそう。石塚部長は「名前は明かせないが大手創薬メーカーやベンチャーキャピタルからの聴講もあり、手応えを感じた」という。多地域交流イベントは、今年度もう1回程度の開催を検討している。(相澤冬樹)

◆つくば×大田区 医療・ヘルスケア機器~ベンチャー企業とものづくり企業の挑戦~Meetup 25日(月)午後2時からつくば研究支援センター(リアル50人)、オンラインZoom配信(500人定員)。参加費無料。オンライン参加はこちらから。問い合わせは電話029-858-6000(つくば研究支援センター)

自立生活とは自分らしい生活 《電動車いすから見た景色》23

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【コラム・川端舞】普段、障害者運動に関わっていると、「自立生活」という言葉をよく使う。最近、改めて「自立生活」とは何かを考え直す機会があった。

障害者運動における「自立生活」とは、必ずしも食事やトイレなどを自分1人ですることではなく、自分の生活を誰にどのように手伝ってもらうか、どこで誰と住むかを自分で決めながら、自分らしく生活することだ。自分1人で決めるのが難しい場合は、周囲の人と一緒に考えながら決めることもあるだろう。大切なのは、どんな生活がその人らしいのかということだ。

一方、「自立生活」は、障害者が介助者など必要な公的支援を受けながら、一人暮らしをするという意味で使われることがほとんどだ。家族と生活していると、どうしても家族の生活に合わせる必要が出てきて、障害者自身が心地よいリズムで生活するのが難しくなることが多いからだろう。私も「自立生活=1暮らし」と今まで思っていた。しかし、最近、家族と生活していても自立生活はできるのではないかという意見を聞いた。

家族と暮らしても自立生活はできるのか

私は大学進学を機に1人暮らしを始めるまで、家族と一緒に暮らしていた。当時は介助者を使っておらず、家の中ではほとんど母親から介助を受けていたため、入浴するのも外出するのも母親の生活リズムに合わせる必要があった。冷蔵庫から飲み物を出すのも家族にやってもらう必要があるため、喉が渇いたら、家族の誰かが台所にいるタイミングを見計らって、「お茶を取って」と言う必要があった。

家族はリビングで座っているときでも、私が頼むとお茶を持ってきてくれるのだが、家族には1人1人自分の生活があるため、私が何か家族に頼むことで、家族自身の生活を中断させるのが申し訳なかった。実家にいる間、私は常に家族の顔色を見ながら生活していたのだ。

一方、介助者は障害者の介助をするために障害者の家に来る。介助者に介助を頼むのに遠慮する必要はない。確かに、家族と暮らしていても、必要な時間は介助者のサポートを受け、家族に気を遣わなくても、自分のやりたいことができるなら、自分らしい生活はできるのかもしれない。

しかし、11年間介助者の介助を受けて1人暮らしをし、自分の心地よい生活リズムが分かってきた私でも、実家に帰ると無意識に、家族の生活リズムに合わせてしまう。ずっと家族から介助を受けてきた障害者は、なおさらどんな生活が自分らしいのか分からないだろう。家族と暮らしながら、自分らしい生活である自立生活をするのは本当に実現可能なのだろうか。(障害当事者)

コロナ禍の農家を応援 JA直売所キャンペーン

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秋の味覚が並ぶJA水郷つくばの直売所

3000円分のレシートで5000円の常陸牛当たる

新型コロナの感染拡大で生産や販売に影響を受けている農家を応援しようと、全国共済農協連合会県本部と全国農協連合会県本部の共済による初の「農家応援!JA直売所キャンペーン」が10月からスタートした。来年1月31日まで実施される。

県内農産物をPRし、採れたて野菜いっぱいのJA直売所の魅力を発信して消費拡大を図るのが狙い。

キャンペーン対象店舗は県内64カ所のJA農産物直売所。購入金額3000円分のレシートで応募すると5000円相当の常陸牛(各月200人、計800人)、1500円分のレシートの場合はトマトジュース(各月200人、計800円)または県内特産物農産加工品セット(毎月400人、計1600人)が抽選でプレゼントされる。

買い物をしたレシート(利用金額3000円分または1500円分)を専用の応募はがきか郵便はがきに貼り付け、郵便番号、住所、氏名、電話番号、年齢、性別、希望のコースなど必要事項を記入して、〒311-3199 日本郵便茨城郵便局留「農家応援!JA直売所キャンペーン」係宛て申し込む。レシートの有効期間と応募期間は▽第1回=10月1日~31日▽第2回=11月1日~30日▽第3回=12月1日~31日▽第4回2022年1月1日~31日の計4回。(山崎実)

キャンペーンの対象となる土浦、つくば市の店舗は以下の通り。

【JA水郷つくば】
▽サンフレッシュ土浦店 土浦市小岩田西1-1-11
▽サンフレッシュ新治店 土浦市藤沢514-1
▽サンフレッシュはすの里 土浦市木田余3140
▽サンフレッシュつくば店 つくば市研究学園C50街区1(イーアスつくば内)

【JAつくば市】
▽桜農産物直売所 つくば市古来1608-1
▽筑波農産物直売所 つくば市北条5211-2
▽農産物直売所「四季の郷」 つくば市上郷1213-3

【JAつくば市谷田部】
▽農産物直売所「野っ食べ」 つくば市谷田部2074-1

政治の影響から自由な人はいない 《ハチドリ暮らし》6

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大根の葉についたテントウムシ

【コラム・山口京子】母とのおしゃべりで選挙の話になりました。「選挙なんか行ったことがない」と母。「ちゃんと投票しないと政治はよくならないよ」と私。母は「政治な んて知ったことじゃない。誰がやったって変わらないだろ」と言うのです。私は心のなかで、「政治に無関心でもその影響から自由な人は1人もいないよ。社会で起こることは人が判断を下しているのだよ」とつぶやいていました。

そう思いつつ、自分も分からないことだらけです。ただ、この30年を振り返ると、格差を広げる法律が各国でつくられてきました。それによって日本では、2008年末、派遣で働く人たちの「派遣切り」が起きました。その背景には2つのことがありました。

1つは、世界規模の金融危機のきっかけになった投資銀行リーマンブラザーズの破綻です。2000年以降、アメリカは住宅バブルでしたが、2007年ごろから住宅価格が下落、住宅ローン債権が不良債権化しました。それが、証券化されて組み込まれていた金融商品に波及、金融危機が起きました。背景として、金融緩和や「グラス・スティーガル法」(銀行と証券会社の兼業禁止)の改定が指摘されています。

2つ目は、労働者派遣法の改正です。1986年施行された時は専門業務に限定されていた派遣業務が改定で拡大。原則自由化され、製造業の派遣も認められていきました。これらのことが、構造的な格差を生む一因になったと思います。コロナ禍の下でも、解雇や派遣切りが深刻です。

勉強になる宮本太郎氏の本

もうすぐ、総選挙があります。大事なのは、①自分はどういった暮らしや社会を望むのか②現在の暮らしや社会はどうなっているのか③どういうやり方で望ましい社会に向かうことができるのか―などを、自分なりに考えることです。

手掛かりになるのが、宮本太郎氏の「貧困・介護・育児の政治」(朝日新聞出版)です。福祉政策の変遷と政治力学の関わりを「例外状況の社会民主主義」「磁力としての新自由主義」「日常的現実としての保守主義」という3つの表現を使って丁寧に分析されています。そして、「新しい生活困難層」の出現に向け、ベーシックアセットの福祉国家を提案しています。

9月にまいたダイコン、ハクサイ、ニンジンの芽が出てきました。夏に比べ、草取りは楽になりました。「雑草という草はない」と言いますが、種をまかなくても生え、人間の役に立たないと思われているのが雑草。人が種を植えて、手間をかけないと育たないのが野菜かなと…。(消費生活アドバイザー)

1階アイアイモール解体・改修工事、18日着工 つくばセンタービル

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18日から解体工事が始まるつくばセンタービル1階アイアイモール

まちづくり会社が貸しオフィスに

つくばセンタービルのリニューアルの一環で、1階アイアイモールの解体と改修工事が18日着工する。つくば市が出資する第3セクター「つくばまちなかデザイン」(同市吾妻、内山博文社長)が貸しオフィスなどに改修する。

解体と改修工事が実施されるのは1階アイアイモールの約2000平方メートル。1983年のつくばセンタービルオープン当初からあったレストラン街(飲食店は2018年6月に撤退)と廊下の一部は解体される。

まちなかデザインの小林遼平専務によると、改修後は、コワーキングスペース(共同オフィス)、カフェ、貸しオフィスなどとする。コワーキングスペースは個室、テレビ会議ブース、子連れで働ける場、会議室、イベントスペースなどを設け、登録会員のほか一時利用もできるようにする。カフェは朝から夜まで営業し、新規で飲食店を始めたい人のチャレンジショップやアンテナショップとしても利用できるシェアキッチンを設ける。オフィスのほぼ半分の約750平方メートルは9~10区画に区切り、地域の事業者やベンチャー企業などに賃貸する。オフィスは24時間利用できるようにし、運営については一部を業務委託することも検討している。

廊下の幅は、現在のレストラン街と比べオフィス面積を広げるため、狭くなる。現在と同様だれでも行き来でき、廊下の壁沿いに縁側のような長椅子を設置する予定だという。

一方、働き方を支援する場の整備計画約2500平方メートルのうち、残りの4階吾妻交流センター約500平方メートルの工事については、交流センターが1階に移転した後となる。

改修後のつくばセンタービル1階配置イメージ図。掲示物を撮影

今回の工事期間は今月18日から来年4月中旬まで。12月ごろまで解体工事を実施し、その後来年4月まで引き続き改修工事をする。工事期間中の18日から来年3月までは1階の一部が通行できなくなる。オープンは来年4月の予定。当初、設備の現況調査をするため夏にも解体工事を開始する予定だったが、解体しなくても調査ができたため、10月の工事着工となったとしている。

一方、第3セクターは経営が悪化した場合、自治体の財政に大きな影響を与えることから、総務省は2014年に出した3セクの経営健全化指針で、議会への説明と住民への情報公開を求めている。小林専務は、議会に対してはすでに説明を実施したが、議員全員の理解を得られたかどうかについては議決案件ではない、などとしている。

改修内容についての市民説明会の開催などは予定しておらず、まちなかデザインのホームページで公表しているとする。改修工事の事業費や資金繰りなどについては11日時点で公表しないとしている。(鈴木宏子)

光る言葉-初めて詩集を買った 《続・平熱日記》95

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【コラム・斉藤裕之】益子(ましこ)の古道具屋で本を買ってしまった。ミニマルアートの作品のごとく、棚にぽつんと置いてあった分厚い白い本。開くと、オフホワイトのマットな質のページが柔らかいカーブを描く。活版印刷の印字が版画作品のようでもある。表紙に記された著者を見て、もう本は買うまいと決めていたのだが、初めて詩集を買った。

例えば宇宙のことを考えていると、やがて数学や物理学が、哲学や神、そして芸術というものにさえ接近する瞬間があるという。少なくとも、宇宙の始まりから気の遠くなるような時間を経て生まれた目で宇宙をのぞくということは、十分に芸術的な命題になりうる。詩人はそのことに気づいているかのごとく、言葉で宇宙に触れようとする。画家は時々、偶然できた絵具のシミや完璧な五角形の花びらに宇宙の兆しを感じる。

帰宅後、やや慇懃(いんぎん)に本を開く。中学の国語の先生は「詩は『光る言葉』で書いてある」とのたまわれた。まさに「考えるな!感じろ!」か。ハイブローな比喩表現はスルーしながら、でも時折自分が考えていたことや絵を描いていて感じることがズバリ光る言葉で書かれている部分に出会うと、ちょっとドキドキする。

ある日、20歳を超えた娘が哲学の本を読んでいたのを思い出した。およそ似ても似つかない姿に、なぜそんな本を読んでいるのかと問うと、「だって私の考えていることが書いてあるんだもん!」と答えた。この詩集は、もしかすると、私にとってそういう本なのかもしれない。

「面と空間の詩学」

かつてひとりだけ詩人と友になったことがある。ある時、薄っぺらい本を渡され、「これは私の詩集です」と言われた。残念ながら、それはスウェーデン語で書かれていた。だから、いまだにその内容は解らないままだが(スウェーデン語の辞書を手に入れて解読を試みたが挫折した)、当時、まだ若かった彼は十分すぎるほど詩人らしく見えた。

実は彼のパートナー(結婚していたのか否かはわからない)は絵描きで、パリの国際芸術都市にいた折に、お互いに小さな子供がいたのをきっかけに、彼より前に知り合いになった。数年後、彼女は腕白(わんぱく)な息子とともに、50号ほどの絵を持って日本を訪れた。その絵は今も階段を上がったところに架けてある。

あれから20年余り。彼女は今もスウェーデンで高い評価を得ているとのことだが、白いキャンバスに生々しい絵具で一息に描かれた絵を見て、これは彼女の詩だと考えるとまた新鮮なものに見えてきた。

秋の夜長、高級なお菓子をちょっとずつ食べるように、もったいぶって詩集を開く。ふと思い出した。大学の恩師が退官の記念展にまとめられた作品集。そのタイトルこそ「面と空間の詩学」。晩年、静謐(せいひつ)な抽象画面にたどり着かれた先生。いまさらながら、お会いして詩と絵画についてお伺いしたいと思った。(画家)

筑波大・佐藤隼輔投手 西武が2位指名 プロ野球ドラフト

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筑波大野球部グラウンドで部員の祝福をうける佐藤投手(中央)

左の本格派「目標は新人王」

プロ野球のドラフト会議が11日、東京都内のホテルで開かれ、筑波大の佐藤隼輔投手(21)が西武ライオンズから2位で指名された。指名を受けると佐藤投手は、緊張した表情をわずかに崩し「プロ野球選手としてのスタートラインに立つことができてほっとしている。家族に感謝したい」と話し「新人王を取れるよう頑張りたい」と意欲を燃やした。

宮城県仙台市出身の佐藤は最速152キロを誇る左の本格派。切れのあるスライダー、チェンジアップを武器に、2年秋には大学日本代表に選出された。

会見で佐藤は「先発・中継ぎ問わず、1年目から年間通して活躍し、新人王を取れるよう頑張りたい。将来は侍ジャパンに選ばれるような、日本を代表する投手になりたい」と目標を語った。目指す選手は、高校時代から憧れていたという楽天・早川隆久投手。対戦してみたい打者として、球界屈指の強打者、ソフトバンク・柳田悠岐選手をあげた。

筑波大では体の仕組みを学び、自身の投球フォーム分析をテーマに卒論に取り組む。つくばでの4年間を「仲間との充実した時間を過ごすことができた」と振り返り、「大学で学んだ『考えながらプレーすること』を今後も貫いていきたい」と話した。

西武から指名を受けた佐藤投手(右)と、筑波大野球部の川村監督

西武からの指名を佐藤の隣で聞いた筑波大野球部・川村卓監督は「指導者としては、1位で送り出したかった。それでもけがもあった中で、指名を受けることができよかったと思う」と佐藤の気持ちをおもんばかった。

川村監督は同大で動作解析などの研究をする研究者でもある。入学当時から佐藤のデータを収集・分析してきた。「本人が望むなら、今後も継続してデータを収集できれば」とし、「これまでのデータは、プロ野球の方にも渡したい」と話した。

県内チーム、3名が指名

茨城県内のチームからは佐藤のほか、3人が指名された。

日立製作所の豊田寛(24)選手は、阪神からドラフト6位指名を受けた。豊田は東海大相模3年時に右の強打者として4番を務め、現在中日でプレーする小笠原慎之介投手とともに夏の甲子園で全国制覇を果たしている。

またBCリーグ・茨城アストロプラネッツからは、山中尭之外野手(22)が育成1位でオリックスに、大橋武尊外野手(20)が育成3位で横浜DeNAにそれぞれ指名を受けた。(柴田大輔)

茨城アストロプラネッツから2選手

笑顔でポーズをとる山中選手、大橋選手(左から)

茨城アストロプラネッツは笠間市役所前芝生広場で、ドラフト候補選手が出席しパブリックビューイングを開いた。

オリックスから育成1位の指名を受けた山中は「NPB(日本野球機構)に行くという目標のスタートラインに立てた。これからはそこで活躍するという次の目標に向かって頑張る」と第一声。横浜DeNAに育成3位で指名された大橋は「これからもっと成長していかなくてはいけないが、今日だけは素直に喜びたい」と心境を語った。

指名を受けた球団の印象について山中は「バファローズには今季、プラネッツからセサル・バルガス投手が入団している。自分がそれに続いたということは、いい流れなのかなと思う」。大橋は「ベイスターズは主体性を掲げ、最新のものを取り入れている球団。プラネッツは日本と米国の野球の良いところを取り入れ、また自分も米国の野球を現地で学んできた。それらがうまくつながるのでは」と話した。

山中外野手は結城市出身、つくば秀英高校と共栄大学で4番打者を務め、トライアウトを経てアストロプラネッツに入団。スイングスピードと飛距離、弾道を武器とするホームランバッターで、逆方向への長打に磨きをかけ、体重増加とパワーアップに務めたことが今季後半の好調につながった。松坂賢ヘッドコーチは「たくましい体格による日本人離れした長打力が魅力。今後は再現性を高め、テクニックを増やしていくことが課題。日本では右の強打者が少ない中、夢を見させてくれる選手」と評価する。

大橋外野手は東京都出身、中学を卒業後単身渡米し、世界的に有名なスポーツ留学校IMGアカデミーで学び、野球で守備力ナンバーワンの選手に贈られるゴールドグラブアワードを受賞した。今春帰国しアストロプラネッツに入団。50メートル走5.8秒、遠投110mの俊足強肩が武器。松坂HCは「シェイプされた体で抜群の身体能力。バッティングの強度や出力も高く、打球の速さも素晴らしい。守備範囲などもまだまだ伸びしろがある」と期待を寄せる。(池田充雄)

幻の織物「倭文織」でWEB交流会 《邑から日本を見る》97

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【コラム・先﨑千尋】この頃は聞かなくなった言葉に「衣食足りて礼節を知る」がある。また、人間の暮らしに最も大事なものは「衣食住」だ。どちらも衣が最初だ。その衣。人が衣をまとうようになったのは約1万年前と言われている。最初は獣や魚の皮、樹皮などだったようだが、わが国では藤、葛(かずら)、麻、榀(しな)、苧麻(からむし)、楮(こうぞ)、芭蕉(ばしょう)などの表皮を糸にし、それで衣類を織った。自然布と呼ばれている。

そうした自然布の一つに楮があり、那珂市静地区で織られていた倭文織(しづおり)もその一つだ。その存在は常陸国風土記、万葉集、日本書紀、延喜式などに記されている。しかし、これが倭文織だという現物が見つかっていないので、今日では「幻の織物」だ。

それを再現しようと、1988年に兵庫県緑町(現南あわじ市)倭文(しとおり)小学校で、子どもたちが手探りで織り始めた。当時瓜連町長だった私はそのことを知り、ゆかりのあるこの地区でも倭文織を復活しようと、町の仕事として取り組んだ。それが今度は岡山県倭文の郷(津山市)に伝播(でんぱ)し、現在は3地区で織られている。

私は「それなら3地区で交流しよう」と長いこと考えてきたが、やっと、この8月に「倭文織WEB交流会」を開くことができた。コロナ禍のため1カ所での交流はかなわず、オンラインを仕掛けたのは那珂市シティプロモーション推進室だ。

交流会では、最初に先﨑光那珂市長が挨拶し、那珂市からは、瓜連小学校教諭の羽金瑛美子さんと市の継承グループ「手しごと」のメンバーが、取組事例を発表した。次いで南あわじ市からは、倭文小学校の服部和幸教頭が、これまでの経過と授業の一環として倭文織体験を実施していること、イベントなどで販売していることを報告された。

津山市からは、倭文織にゆかりのある史跡や歴史の研究についても報告され、子どもたちが倭文織の体験を通して同市の歴史を継承していくことが大事だと強調していた。

さらに私が瓜連町での取り組みの経過を報告した後、織物や衣文化の研究者で倭文織の復元に取り組んでいる帝塚山大学名誉教授の植村和代さんが、これまでの研究成果を報告した。

研究の継続と技術の確立が課題

倭文織が織られていたのは5、6世紀から10世紀頃までとされているが、倭文織に関わってきたと考えられる倭文(読み方はしとり、しずりなど)神社が全国に10数社あり、倭文、志鳥、志土呂、静など、倭文織に由来すると思われる地名や姓も各地に散在している。この織物は神事に使われていたとみられ、神秘的な色合いが濃い。わが国ではこれまでに織物はいろいろ存在したが、倭文織に由来する神社や地名、姓名などが残っていることから、倭文織は特殊なものというのが私の考えだ。

今回の交流会を契機に倭文織の素材や用途などの研究が深まり、ルーツをあきらかにすることや「これが倭文織だ」という技術を確立すること、さらに“織姫”の育成も期待される。(元瓜連町長)

宇宙で髪を切る 《食う寝る宇宙》95

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【コラム・玉置晋】前回のコラム「宇宙天気キャスター」で僕は痛恨のミスを犯しました。宇宙人クラブ代表の福海由加里さんの名前の漢字を間違えてしまい、NEWSつくば編集室に修正依頼を出すという御迷惑をかけてしまいました。謹んでお詫び申し上げます。現在、責任をとって頭を丸めるという企画が進行しております。坊主頭は幼稚園生のころ以来なので、ドキドキワクワクです。

頭を丸めるに当たり、宇宙飛行士の方は宇宙での散髪をどうしているのだろうと疑問に思いました。だって無重力環境だと、切った髪がそこら中に散らばってしまいます(まさに散髪!)。万が一、宇宙飛行士の皆さんが誤って吸い込んでしまったら、大変なことになります。機械類に紛れ込んで、ショートでも起こしたらと考えると、散髪なんてしている場合ではないのではと思います。

調べてみたら、普通にバリカンで散髪している動画がたくさん出てきて動揺しました。どうやらバリカンが特別な構造で、掃除機のようなものが付いていて、髪の毛は吸引される仕組みのようです。

動画の多くは同僚の宇宙飛行士に刈ってもらっているものでしたが、中には自分で刈っている強者も(日本のベテラン宇宙飛行士の方)。想像するに、無重力環境で自らバリカンを入れて、散った髪を確実に吸引するのは、難易度が高いと思います。散髪の訓練もされているのでしょう。

宇宙で洗髪もしたい

国際宇宙ステーションにはお風呂もシャワーもありません。無重力環境で水を扱うのは非常に危険です。水が機械に付着して故障の原因になるだけでなく、顔面にへばりついて窒息する危険性もあります。でも日本人としては風呂に入りたいし、それが無理ならシャワーを浴びたい。散髪の後ならシャンプーもしたい。

1970年代~1980年代、宇宙を飛行したスカイラブ宇宙船にはシャワーがあって、宇宙飛行士の方は水泳用ゴーグルをつけ、鼻をクリップでつまみ、シャワーを浴びていました。溺れそうになった方もいたとか。宇宙でのシャワーは命がけであるようです。

現在、国際宇宙ステーションでは、タオルに石鹸を含ませた「衛生タオル」に、給湯器からのお湯を含ませて、頭や体を拭いているとのこと。宇宙でシャワーを浴びたいという欲求を満たすのは、大変なことのようです。(宇宙天気防災研究者)

キティちゃんとコラボ中 つくば – 水戸結ぶTMライナー

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ハローキティのラッピングをして運行するTMライナー=つくば駅

茨城県は12月26日まで、水戸とつくばを結ぶ都市間高速バス「TMライナー」と「ハローキティ」をコラボしたラッピングバスを運行している。

2019年10月から実施している増便実証運行が今年10月1日で開始から2周年を迎え、7月には利用者が10万人に達したことを記念して企画された。

キャンペーンのイベントは▽乗車証明書提示によるコラボ記念グッズプレゼント(先着900人)▽乗車で聞けるハローキティ社内放送(土日祝日限定)▽抽選でコラボ記念グッズプレゼント企画(ツイッターで応募・ホームページクイズで応募)など。

「TMライナー」の運行は、単なる交流人口の拡大だけでなく、都市間連携による経済、文化、スポーツなどの交流促進も重要な目的だ。県では「コロナ禍にあっても日々の運行にあたっては安心して利用してもらえるよう、感染防止対策を徹底している」と強調し、今回のコラボキャンペーンを契機に利用者のさらなる拡大を期待している。(山崎実)

市長、磯崎さんに面会熱望「改修着手前に意向の確認を」 つくばセンタービル

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つくばセンタービルのセンター広場

つくば市によるつくばセンタービルのリニューアル計画について、五十嵐立青市長が「私どもは(設計者の)磯崎先生と直接お話している」「磯崎先生の意向は今後も大切にしながら計画を進めていきたい」と9月議会で答弁する一方、市担当課が答弁と同じ日に磯崎新事務所関係者に「市としてもつくば市のシンボルともいえるつくばセンタービルの改修工事に直接着手する前には、是非(磯崎)先生にお会いし、ご意向の確認をと、市長は熱望しております」とメールを送っていたことが情報開示請求で分かった。

市長が磯崎さんに面会を申し入れたメールは、今年8月と9月に計4回、担当課が送っている。磯崎事務所関係者からは現在までに「コロナの状況がますますひどくなっています」「ご報告に関しましては引き続きメール等で」などとする返信がきている。

つくばセンタービルは、プリツカー賞を受賞した磯崎新さんのポストモダン建築の代表作として世界的に評価されている。つくば市のリニューアル計画をめぐっては、建築意匠に詳しい筑波大学の鵜沢隆名誉教授の見解をもとに、市民団体「つくばセンター研究会」(冠木新市代表)が、エスカレーター設置の見直しなど市のリニューアル計画の見直しを求め、建物や広場の輪郭は保持すべきだなどとする要望書を出している。

情報開示資料によると、市のリニューアル案に対し磯崎さんの意向が示されたのは、2020年12月の事務所からの「改修案への磯崎の意見は特にございません。最初に屋根を架ける案を聞いたときはぎょっとしましたが、見送りになって安心いたしました」とするメールのやりとりだけだった。

その際、市担当者が事務所関係者に示したメールの内容は「基本的に外観については既存のままとし、建物内部をリニューアルする予定ですが、1階と2階の動線を改善するために、センター広場にエスカレーターを2基設置するとともに、一部階段を拡幅したいと考えています。以前懸念をいただいていおりました屋根については、今回、見送ることといたしました」などリニューアルの方向性の資料で、リニューアルによって建物や広場の輪郭のどの部分を改変するかは、当時、磯崎さんに具体的に説明してなかった。

つくば市職員が磯崎さんと直接面会したのは2019年3月の1回のみだった。(鈴木宏子)

「伊能図」完成200年で企画展 19日から地図と測量の科学館 つくば

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国土地理院所蔵の伊能中図=写真提供:国土地理院

北海道から九州までの実測による初めての日本地図「大日本沿海輿地全図(だいにほんえんかいよちぜんず)」(通称「伊能図」)が完成(1821年)して200年になることを記念し、国土地理院(つくば市北郷)は19日から「地図と測量の科学館」で企画展「“伊能図”近代地図の原点」を開催する。12月19日まで。

伊能忠敬は55歳の時(1800年)に蝦夷地(現在の北海道)の測量を開始し、1816年の第10次測量まで実施して、北海道から九州までの実測による日本地図を作成した。忠敬は1818年に亡くなったが地図作成は弟子たちによって引き継がれ、1821年に「伊能図」が完成し、幕府に献上された。

彎窠羅鍼(わんからしん)のレプリカ。国土地理院所蔵。方位を測定する器具で、杖先方位盤、小方位盤とも言う。測線の曲がり角で各地点の方位を測るのに使われた。杖の先に羅針盤を取り付けたもので、杖が傾いても羅針盤自体は常に水平が保てるようになっている。これは忠敬が改良したもので、伊能測量隊で最も役立った器具とされている=同

今回の企画展では、忠敬が行った測量の方法や功績、完成した伊能図、明治に入って伊能図がその後の地図作成にどのように影響したのかを、地理院収蔵の資料などを通して紹介する。当時の測量機器のレプリカ、伊能大図、中図、小図等の展示、伊能図から作成された明治時代の地図などだ。

国土地理院広報広聴室の會田美智雄さんは「今回は今年新たに存在が認められた伊能小図の副本とみられる実測輿地図(じっそくよちず)のレプリカを特別展示します。デジタル機材がない時代、長い歳月をかけ、徒歩で全国を測量した伊能忠敬の情熱に想いを馳せつつ、ご覧いただければ」と話している。(如月啓)

◆企画展「“伊能図”近代地図の原点~大日本沿海輿地全図完成二百年記念~」 19日(火)から12月19日(日)、つくば市北郷、国土地理院「地図と測量の科学館」2階特別展示室。開館時間や休館日、アクセスなどはウエブサイトに案内されている。

我が家の名物 栗の渋皮煮 《くずかごの唄》95

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イラストは筆者

【コラム・奥井登美子】

「栗の渋皮煮、今年はまだかしら。崩れたのでいいから、送ってね」

娘から催促の電話。

「宍倉の栗が今日届いたの。でも『全自動栗むき機』がうまく作動するかどうか?心配なのよ」

「『全自動栗むき機』なんてあだ名付けられて、パパもかわいそうに。元気なんでしょう」

「元気よ。栗を見せたらむきたくなって、むいてしまうけれど。パパ、血液凝固防止剤を飲んでいるでしょう。刃物でけがした時の出血が心配なのよ」

つやつやした栗を見たトタンに、亭主の目の色が変わった。

「僕は栗むきのような単純作業が大好きだ」

筋取りから1週間

彼は学生時代に植物成分の研究の手伝いをさせられ、その時の思い出がよみがえってくるらしい。早速、丁寧に包丁を砥石(といし)で研いでいる。私は急いで止血剤のアドレナリン液を用意して、彼の手元に置いた。

アドレナリンの発見者は高峰譲吉先生。1900年にこの薬を発見した。私の10歳年上の兄の婚約者、明子さんが高峰譲吉の姪(めい)であった。小学生の時、安房大原の明子さんの家へ、夏休みによく遊びに行ったのを覚えている。

アドレナリン0.1パーセントの液。亭主がけがをすると、止血剤としていつも利用している。我が家にとってアドレナリンはありがたい救急薬なのだ。

栗の堅い皮をむき終わっても、渋皮の筋取りが根気仕事だ。私は重曹を少し入れて、2~3分煮沸する。中にいる虫を殺して、筋も柔らかくなる。一晩そのまま放置すると、液が真っ赤になる。そこで、竹串を使って渋皮の太い筋を丹念に取る。

重曹で真っ赤になった液を捨てて、今度は1時間煮沸。栗に火を通す。一晩おいて、まだ赤身の残っている液を捨ててよく洗い、また筋取りをし、今度は砂糖を5%だけ入れて1時間煮沸する。

この時の砂糖の入れ方が難しい。濃いと、栗がしまって堅くなってしまう。少し甘くなった栗を2~3日放置し、最後の仕上げにかかる。ザラメ糖35%の液を煮沸し、そこへ、よく洗った渋皮の栗を入れて30分煮沸、液を栗にしみこませて、出来上がりとなる。筋取りをはじめてから、1週間かかってしまう。

亭主と私の根気。どちらが欠けても我が家の名物・渋皮煮はできない。(随筆家、薬剤師)

センタービル改修 公金差し止め住民訴訟始まる つくば市「違法ない」答弁書

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水戸地方裁判所=水戸市大町

つくば市が進めるつくばセンタービルのリニューアル事業に対し、大規模事業評価を実施しないのは違法だなどとして元大学教授の酒井泉さん(72)ら6人が、五十嵐立青市長を相手取って、同事業に対する公金支出の差し止めを求めた住民訴訟の第1回口頭弁論が7日、水戸地裁(廣澤諭裁判長)で開かれ、つくば市側は、公金の支出に違法は存在しないなどとして、請求の棄却を求める答弁書を出した。

酒井さんらは、まちづくり会社に対する市の出資金6000万円を含め事業は総額約10億3800万円であり、10億円以上の事業は大規模事業評価を行うと市が要綱で定めているのだから、評価を実施しないのは要綱に違反し、必要な手続きを踏んでいないのから公金支出は違法だ、まちづくり会社を設置した際、総務省の第3セクターの経営健全化指針に基づく手続きを欠いたのは違法だ―などと主張し、市がすでに支出した約7000万円の返還と、新たな公金支出の差し止めを求めている。

これに対しつくば市側は答弁書で、大規模事業の進め方の評価対象となる事業は施設の整備事業であり、出資金は株式取得を内容とするものであって施設の整備を内容とするものではないから、金額の多寡にかかわらず、評価対象事業に当たる余地はない、市が作成した事業整備費用10億3800万円とした資料は、市民に対する説明のために作成したものであり、支出予定の全体を分かりやすさの観点から、支出の性質による区別をせずに全体像として示したものであって、大規模事業の評価対象事業に当たるか否かの観点から記載したものではない、などとして要綱に関する手続き違反は存在しないなどと主張した。

総務省の第3セクターの経営健全化指針に違反するとの酒井さんらの主張に対しても、出資に先立ち、2019年度策定のエリアマネジメント検討業務でエリアマネジメント団体の法人形態の比較検討を行っていること、学識経験者を委員とする検討委員会を開催し、委員会を通じて外部の専門家の意見聴取を行っていることなど、指針に基づく検討を行っている、と主張している。

原告の酒井さんは「(リニューアル計画では)公共スペースの半分をまちづくり会社に貸し出すこと、まちづくり会社が自ら、貸しオフィスの運営という商売をやること、出資会社が不透明であることの問題がある」として、裁判を通して明らかにしたいとしている。

地域で芽生えたつながりを表現 つくばで写真展「ほにゃら」

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写真展と映画会のチラシを持つ柴田大輔さん

障害者団体「つくば自立生活センターほにゃら」(つくば市天久保、川島映利奈代表)の設立20周年を記念し、牛久市在住の写真家、柴田大輔さん(41)が19日から、つくば市民ギャラリー(同市吾妻)で写真展を開く。テーマは「ほにゃら―地域の中にある、それぞれの暮らし」。「障害者が地域で生活することで、様々な人のつながりができることを感じてもらえれば」と語る柴田さんに話を聞いた。

障害者のいることが当たり前

柴田さんが、ほにゃらの活動に出会ったのは3年前。最初は、障害のある人もない人も楽しめるイベントの写真撮影を頼まれた。何回かイベントに参加するうちに、「雰囲気がおもしろく、つながり続けたい」と思った。「土浦で育ったが、同じ地域で生活する障害者の存在は全く知らなかった。地元のことをもっと知りたい」という思いもあり、今年1月から同団体で定期的に障害者の介助もしている。

障害者と関わりをもったきっかけは、以前住んでいた都内のシェアハウス。重度知的障害を持つ同居人が介助者から支援を受けながら生活していて、写真家活動の合間に、知的障害者の外出支援をするようになった。またシェアハウスの1階では、「バリアフリー社会人サークルcolors(カラーズ)」(石川明代代表)が、毎月10回ほど、障害の有無に関係なく、様々な人が集うイベントを開催していて、柴田さんも顔を出すようになった。

そこでは、障害者を特別扱いはしないが、必要な配慮は自然にされていたという。「シェアハウスに住むまでは、障害者は別の世界の人だと思っていたが、自分よりも知的障害者の方が片付けまでするなど、きちんと生活している面があって、価値観が変わった」と柴田さん。

シェアハウスで3年過ごし、茨城へ移住するときにほにゃらを紹介された。「特に障害者と関わりたいとは意識していなかったが、東京にいたころから障害者と周囲の人との関係性を身近に見てきた。障害者が自分の生活のことを主体的に決めながら、地域の中で当たり前に暮らす自立生活に興味があった」

今回のテーマはほにゃらだが、障害者の写真展ではない。ほにゃらで活動する障害者が普段立ち寄る店など、自立生活をする障害者と何らかの形で関わる人たちを撮影した。「ほにゃら周辺には、障害者がいることが当たり前の地域ができている。障害者の地域生活を支援するほにゃらがあることで、障害の有無に関係なく人と人とのつながりができていることを表現したかった」。そのために展示する写真には、障害のある人もない人も同じ大きさで映っている。

柴田さんは「何気なく生活している地域には障害者を含めた多様な人が暮らしている。写真の中の誰にどのような障害があるかは説明しないが、一人一人の背景を想像してもらい、関心を持つきっかけになれば」と写真展に思いを込めている。

写真展に先立ち、「colors」に集う人々を追ったドキュメンタリー映画「ラプソディ オブ colors」(佐藤隆之監督)も上映される。柴田さんは「映画には障害者も多く登場するが、障害がテーマではなく、イベントで多様な人たちが交差する人間模様を描いている。障害の有無に関係なく、様々な人のつながりを表現している点は写真展とも重なってくるだろう」と話している。(川端舞)

●写真展「ほにゃら―地域の中にある、それぞれの暮らし」 19日(火)から25日(月)、つくば市民ギャラリー(つくば市吾妻)。開館時間午前9時から午後5時(最終日は3時閉館)。入場無料。
●映画上映会は16日、17日の午後2時30分から。会場はHappy Plus親子工房(つくば市竹園)。上映後に佐藤監督のトークライブも開催。参加費1000円。定員25人。申し込みは15日までに柴田さんにメール(daisuke.pp@gmail.com)で。

地価が上昇 ウィズ・コロナ時代の郊外 《遊民通信》26

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ひたち野うしくに出た虹

【コラム・田口哲郎】

前略

先日、郵便受けに不動産仲介業者のチラシが入っていました。近所の土地が売りに出されていたのですが、見て驚きました。地価がコロナ禍前の4〜5倍になっていたのです。新様式の生活でテレワークが進み、東京郊外や地方都市に移住する人が増えているとは聞きますが、まさか「ひたち野うしく」にもその波が押し寄せているとは…。

でも、よく考えてみると、確かに最寄りのひたち野うしく駅周辺は、スーパーマーケットは西友、ヨークベニマル、ドラッグストアはツルハやセイムズ、ホームセンターはホーマック、書店はワンダーグー、それに市役所の出張所を兼ねた郵便局があり、さらにスターバックスもあり、便利です。

例えば、県南の常磐線沿線を思い浮かべても、駅近で商業施設が徒歩圏内に一通りそろっていて、しかも郊外的な住宅地も駅の近くにある駅というのはひたち野うしくくらいかもしれません。土浦駅周辺は都会で住宅地はあまりないし、取手駅や藤代駅、佐貫駅を見ても、生活便利施設と住宅地のセット開発は見当たりません。牛久駅東口は便利そうですが、生活便利施設同士が少し離れています。

鉄道駅が中心の生活はもう主流ではなくなるから、駅近はパワーワードではないかもしれませんが、テレワークといっても月に何度か出社しなくてはならないから、ギリギリ東京に通えるところと考えると、ひたち野うしく駅が北限なのかなと思います。東京ほど密集していない郊外で、便利な駅近というのが不動産では今はやりなのでしょう。

世の中は想像以上に変わるもの

親戚が横浜市青葉区あざみ野に住んでいます。開発初期に住み始めたので、駅近です。地価は随分高いようです。コロナ禍前にひたち野うしくを散歩しながら、この辺りの地価があざみ野みたいに高くなることはないだろうな、大きな社会変革があれば、ここが都心になる日が来るかも…などと考えていました。

あざみ野ほどにはならなくても、地価が上がって、これから多くの人が移住してくる可能性があるだけでも、世の中は変わるものだなと思います。

新型コロナ専用病院を野戦病院と言ったり、飲食業が大打撃を受けてテナントが続々退去する歌舞伎町を焼け野原と言ったりする人がいるということは、コロナ禍は戦争に例えられるような一大事です。戦後は東京一極集中が加速しましたが、今度は分散開発をするらしい。コロナ禍前には、倦怠(けんたい)感と閉塞(へいそく)感でしか語られなかった郊外が見直されて、本来の価値を与えられるのは自然なことですし、よいことだと思います。

あるハウスメーカーの宣伝文句が気になります。「生きるための家」というフレーズです。今までは寝に帰る家が、生活の大半を過ごす空間に変わりました。人間的生活の到来を予感させるよい兆候ですね。ごきげんよう。

草々(散歩好きの文明批評家)

シャッター通りに飾り付け 7日から土浦「名店街DEハロウィン気分」

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ハロウィンの飾りが並ぶ土浦名店街=土浦市川口

土浦の戦後のにぎわいを代表するアーケード街だった土浦名店街(土浦市川口)が、7日からハロウィン仕様になる。ハロウィンの31日まで開催の「名店街DEハロウィン気分」。企画を考えたNPO法人まちづくり活性化(横山恭教理事長)や商工会議所のメンバーらが6日、飾り付けを行った。

同法人は毎年、ハロウィンの時期に「つちうらハロウィン」を開催していた。子どもたちが仮装して土浦の町を散策して商店街でお菓子をもらうイベントだが、昨年も今年も、コロナ感染拡大のため中止になった。

これまでイベントを先導してきた事務局長の小林まゆみさんは「このまま何もやらないのはよくない。せめてハロウィンの飾りを見て明るい気持ちになってもらいたい」と発案した。「この機会に土浦名店街に足を運んでもらいたい」という思いもあったという。ファッション専門店などが軒を並べたアーケード街は平成になると客足が遠のき、ほぼシャッター通りとなっていたが、ちょっと怪しい雰囲気がハロウィンムードにマッチする。

今回は、全長約80メートルのアーケードの天井に、ひも状の飾り付け「ガーランド」を約30本取り付けた。ガーランドそれぞれに、画用紙に描いたかわいいお化けやちょうちんなどを飾っている。飾りの材料はほとんど100円ショップで買いそろえたものだという。

大きな白いお化けは、長さ約100センチメートル。100円ショップの雨合羽に頭を付けてアレンジした。オレンジのお化けも、100円の手提げ袋に顔のパーツを取り付けたものだ。そのほか、お化けの運転手と客が乗ったキララちゃんバスのイラストなどユーモラスな飾りが並ぶ。これらは小林さんらが、仕事のかたわら1カ月かけて制作したという。

さっそく飾りを見に来たチビっ子も

アーケードの脇には、直径30~50センチのハロウィン用特大カボチャも6つ並んでいる。小林さんの知人が育てたものを、譲ってもらったそうだ。壁に飾られた社会福祉法人尚恵学園(土浦市神立)の入所者らが描いたイラスト15枚も、彩りを添える。

仮装写真コンテストも実施

横山理事長は、「名店街は屋根があるので雨が降っても飾りが濡れないのがいい。市民の皆さんにはハロウィンを見て楽しんで欲しい。ハロウィン仮装写真コンテストも実施しているので、大人も子ども仮装して申し込んでもらえたら」と語った。

ハロウィン仮装写真コンテスト「#つちハロ写真コンテスト」の募集は31日まで。11月1日に審査を行う。応募方法などの詳細はこちら。(伊藤悦子)

サイクルトレイン運行記念の筑波山ヒルクライム 16日にワンウェイツアー

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いばらきサイクルトレイン車内イメージ=JR東日本提供

アトレ(本社・東京都渋谷区、一ノ瀬俊郎社長)が運営する「プレイアトレ土浦」(JR土浦駅ビル)は、JR東日本水戸支社が16日に運行するJR常磐線団体臨時列車「いばらきサイクルトレイン」の運行を記念し、筑波山ヒルクライムなどが楽しめるサイクリングイベント「石岡~土浦ワンウェイツアー」を開催する。

同トレインは16日と11月27日、上野駅から常磐線の友部駅を通り、水戸線の岩瀬駅まで運行する団体臨時列車。輪行袋なしで、自転車のまま乗車できる。

16日のワンウェイツアーは、JR石岡駅発プレイアトレ土浦着のサイクリングイベント。コースは、石岡駅から石岡フラワーパークを通り、筑波山の不動峠ヒルクライムを体験、平沢官衙(かんが)遺跡に立ち寄り、土浦駅まで約50キロのコースとなる。サポートライダーの案内により、ヒルクライム初心者でも安心して参加できるそう。

当日はゲストに、いばらきサイクルナビゲーターのもえさんを迎える。もえさんは、自転車を活用し、徒歩以上、車未満の視点で、町や地域の魅力を探求し、見知らぬ土地を訪れ「だれもが真似できるサイクルツーリズム」を広げる活動を実践している。

ツアーにはサイクルトレインを利用せずとも申し込め、参加費は3000円(税込み)。特設サイトからの申し込みとなる。定員50人。

いばらきサイクルトレインの運行区間と時間は10月16日、11月27日いずれも▽往路=上野駅8時13分発~土浦駅9時21分着~石岡駅9時39分着~友部駅10時着~岩瀬駅10時32分着▽復路=友部駅15時59分発~石岡駅16時29分発~土浦駅16時51分発~上野駅17時56分着。旅行代金は大人4300円、子ども3200円(いずれも税込み)専用ページからの申し込みとなる。

BEBほしいもフェス=アトレ提供

土浦駅ビル内のホテル「星野リゾート BEB5土浦」では11月21日まで、宿泊者を対象に茨城県の名産品、干し芋をテーマにした「BEBほしいもフェス」を開催している。イベント期間中、パブリックスペースには「ほしいも神社」(ひたちなか市)の分社も設けられる。

ほかに干し芋セットを購入してさまざまなトッピングと組み見合わせて食を楽しむなど、ユニークなイベントが企画されている。(山崎実)

東北本線・古河駅が面白い 《茨城鉄道物語》16

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古河駅の電光掲示板

【コラム・塚本一也】前回述べた通り、茨城県内で乗車できる鉄道は11路線ありますが、これまでのコラムで、そのうち9路線を制覇しました。残りわずかとなりましたが、今回は東北本線の古河駅へ行ってきました。

古河駅は1885年に茨城県で最初に開業した駅であり、130年以上の歴史があります。建設当時は、利根川に橋を架ける技術が確立されておらず、水戸~東京間は水戸線経由で小山から東北線を利用していたそうです。古河駅を訪れたのは初めてでしたが、3つの点に驚きました。

1つは、古河駅の形態です。鉄道の駅舎は、地下駅、地平駅、橋上駅、高架駅―と、基本この4パターンに分類できますが、古河駅は、茨城県内ではTX(つくばエクスプレス)以外ではあまり例のない、高架駅という形態になります。

これは、例えば武蔵野線の駅舎のように、元々高架橋に線路があって、あとからホームを造る場合などに採用されます。しかし古河駅の場合は、駅舎だけを高架駅にして、その前後は線路が地平に降りてしまうという、ある意味、無駄な造りをしていることが不思議に思いました。

自由通路を優先して造る場合は橋上駅が基本であり、山手線の五反田駅のように、幹線道路が駅近辺を横断する場合には、高架駅が採用されます。しかし、あえて古河駅だけを高架にした理由について、元鉄道建築技術者の私は大変興味を覚えました。

古河駅のホーム

東京駅・新宿駅まで乗り換えなし

さらに、改札を抜けてホームへ上がると、始発駅でもないのに2面4線というぜいたくな設備にも驚きましたが、時刻表と行先の電光掲示板を見て一層驚きました。なんと、東京駅にも新宿駅にも乗り換えなしで行けるではないですか。千葉駅でさえ、新宿へ行くには錦糸町で乗り換えなければならないのに、古河駅はどちらへ行くにも乗り換えなしで、およそ75分の乗車時間です。

そして、最後の驚きは、なんと日中の湘南新宿ラインは快速の停車駅になっているではないですか。快速を利用すると、新宿までは約1時間であり、東海道線の駅に例えるならば平塚駅と条件的に等しくなると思われます。また、1日の乗降客数は約26,000人で、常磐線ならば勝田駅とほぼ同じぐらいです。

このように、いつの間にか底知れぬポテンシャルを備えてしまった古河駅ではありますが、駅前のビルは空室が目立ち、駅ビル以外にこれといった商業施設はありません。先月は古河駅に入構している20台ぐらいのタクシー会社が、事業から撤退してしまいました。

古河近辺では、圏央道を利用できる工業団地や企業の誘致に取り組んでいると聞きます。鉄道による都心へのアクセスも非常に便利ですので、2次交通などの整備に取り組めばさらに発展が見込めるのではないでしょうか。(一級建築士)

第6波に備え 20日からつくば市独自のPCR検査

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20日から市民を対象に市独自のPCR検査が実施されるつくば市役所

つくば市の五十嵐立青市長は5日の定例会見で、新型コロナウイルス感染拡大の第6波に備え、無症状の市民や在勤・在学者を対象にPCR検査を20日から市独自で実施すると発表した。一般に数千円から数万円の検査費用がかかるが、市民は1000円の自己負担で検査できる。

市民の自己負担は1000円

県内では、住民や職場などが自主的に行うPCR検査費用を一部または全額補助してきた自治体が9月時点で17市町村あるが、五十嵐市長は、市がPCR検査を実施するのは全国でも初めて、としている。感染者の早期発見や日常の不安解消が目的という。陽性が分かった場合は保健所に知らせ、保健所が対応する。

だ液を採取して検査する。検査費用そのものは1検体3000円。そのうち市民が1000円を自己負担し、残り2000円は市が負担する。市内在勤・在学者の場合は2000円を自己負担する。検査期間は20日から来年3月まで。対象は小学生以上。

18日からインターネットで予約受け付けを開始する。だ液の採取は平日の午前9時から11時に、市役所の敷地内に検査場所を設け採取する。現時点で場所は未定という。午前11時に検体を回収し、当日の午後3時までにインターネットで個別に検査結果を通知する。陰性証明書などは発行しない。

検査人数は1日60人を想定し、希望者が多ければ順次、増やしていく。来年3月までに延べ1万800人の検査を想定している。市が負担する今年度の検査費用は約2200万円で、10月中に臨時議会を開き補正予算の追加を提案する。

検査は、NPO法人つくば臨床検査教育・研究センター(つくば市天久保、小松京子理事長)の検査センター「つくばアイ-ラボラトリー有限責任事業組合」(同市天久保)が実施する。自動化、電子化された全自動検査機器により、複数の検体を混ぜて同時に検査する「プール検査法」という方法で検査する。陽性反応が出た全検体は、それぞれの検体から再検査する。

同検査センターは、筑波大学とLSIメディエンス(東京都千代田区、渡部晴夫社長)が共同運用する。県内のクラスター対策の検査部門で中心的役割を担った実績があり、2021年は約4万件のPCR検査に対応したという。

併せて、10月1日付で、筑波大学付属病院感染症科長で、つくば臨床検査教育・研究センター理事の鈴木広道・筑波大医学医療系教授が、市の顧問に就任したと発表した。五十嵐市長は、保健所と連携をとり、鈴木教授のアドバイスを受けながら、早めの対応をしたいとしている。