日曜日, 4月 20, 2025
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最上位のBプレミア参入決定 茨城ロボッツ

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ライセンス交付を受けて(左から)岡田会長、高橋市長、川崎社長、落GM

プロバスケットボールのBリーグが2026-27シーズンから創設する最上位リーグ「Bプレミア」のライセンス交付クラブが19日発表され、茨城ロボッツにライセンスが与えられた。これでリーグ初年度にBプレミアでプレーするクラブは24になった。最終的な顔ぶれは26日のBリーグ理事会を経て決まる。

Bプレミアは現在のB1・B2リーグが採用している競技成績による昇降格制ではなく、①平均入場者数4000人以上 ②年間売上12億円以上 ③Bプレミア基準のアリーナ要件ーの3つの条件を満たしたクラブが参入できる。初年度の2026-27シーズンについては今年10月までの1~3次審査で22クラブが決まっており、今回の4次審査で茨城ロボッツと京都ハンナリーズが加わった。翌年度以降は継続審査により資格を問われることになる。

発表の瞬間、手を取り合って喜ぶ川崎社長(左から3人目)、と高橋市長(同2人目)ら

ライセンス交付直後、水戸市中央の水戸市役所4階会議室で記者会見が開かれ、茨城ロボッツスポーツエンターテインメントの川崎篤之社長、落慶久ゼネラルマネージャー(GM)と、高橋靖水戸市長、県バスケットボール協会の岡田裕昭会長が出席した。

川崎社長は「この地域にロボッツが必要だと思ってくださる大勢の方々の頑張りに支えられた。ホームタウンの人口規模や経済規模も小さい中、大都市圏のクラブと同じ条件で戦うのは、針の穴を通すような至難の道だった。経営破綻からスタートして10周年、ようやくスタートラインに立った思い。ロボッツをあきらめないという思いやストーリーを20、30年先へつなぐため努力を重ねていく」などと思いを語った。

落GMは、2031年に日本一になるというクラブの長期目標に向け、Bプレミアを戦っていけるチームづくりとして「常に成長できる組織にする。応援してくれる方々に誇りに思ってもらえる、魅力あるチームを披露できるよう一丸となって準備していく」と話した。

このほか大井川和彦知事が「さまざまなハードルを見事クリアされライセンスを獲得されたのは、チーム関係者とブースターの皆様の努力の賜物。今後のますますの活躍を期待します」との談話を寄せた。(池田充雄)

筑波山に初雪 山頂付近がうっすら雪化粧

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筑波山山頂の女体山付近にうっすら積もった雪=19日午前8時、山麓のつくば市臼井から撮影

19日朝、筑波山(標高877メートル)に今シーズン初めて雪が降り、標高500メートルを超える山頂付近がうっすらと雪化粧した。

強い寒気が大陸から流れ込み、気圧の谷と寒気の影響を受けて雪が降った。気象庁の発表によると、つくば市館野の19日の最低気温はマイナス1.1度で、12月中旬並み。

記者は15年ほど前から毎年、筑波山の初雪を観察しSNSに投稿している。記録によると、平年の筑波山の初冠雪は12月中旬頃で、ほぼ平年並みの初雪となる。昨シーズンの初雪は今年1月13日だった。

山頂付近がうっすら雪化粧する筑波山=同

筑波山でロープウェイとケーブルカーを運行する筑波山観光鉄道(つくば市筑波)運転員で、標高840メートルの女体山山頂近くのロープウェイ女体山駅に勤務する北澤保明さん(37)によると、19日午前10時20分時点の同駅の外気温は0度で、女体山駅展望台には3センチほど雪が積もっている。午前10時過ぎ時点で、登山客は少なめで、雪の装備をした登山客が数人見られる程度だという。北澤さんは「最近は年内に雪が降ることは少なく、今年は秋も暖かかったので、こんなに早く雪が降ったことに驚いた」と話していた。

同鉄道によると、ロープウェイは19日、時刻表通り運行している。ケーブルカーは年に1度の定期点検のため16日から20日まで運休しており、21日から運転を再開する。(榎田智司)

◆筑波山の気象状況はライブカメラで確認することが出来る。

土浦学園線沿いの「お食事処 花むろ」《ご飯は世界を救う》65

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イラストは筆者

【コラム・川浪せつ子】今回は、土浦学園線の花室交差点から土浦方面に少し行ったところにある「お食事処 花むろ」さん(つくば市花室)。開店してから20年ほどらしいのですが、何度もお店の前を通っていたにもかかわらず、車が駐車場にほぼ止まっていないから、やっていないのかな~と思っていました。たまたまインスタグラムを見ていて、気が付きました。

「なんだぁ~、盛況じゃないの!」。お店横の駐車場は土浦学園線から見えるのですが、裏には大きな駐車場があり、ほとんどの方はそこに止めていたのです。正直にいいますと、私はずっと「なんだか変なお店だなぁ~」と思っていました。ごめんなさい。

実は、我が家から徒歩で行ける居酒屋のランチが、大のお気に入りでした。お店の方とも仲良くなり、土日も開いていることも。でも、コロナが収まったころ閉店し、かなりショックでした。庶民的で、安くて、おいしいお店って、案外ないのです。

焼き鳥定食、アジフライ定食

10年近く前になりますが、我が家から車で少し行ったところに、定食+宴会のお店がありました。私が疲れ果て、晩ご飯を作れないとき、3人の息子たちの胃袋をイッパイにするには、もってこいでした。

「ボク、今日は行かない」という子にはテイクアウト。何度も助けてもらいました。ところが、高齢化で後継ぎがいないということで閉店。このお店、本当に大好きでした。働いていた方々、「お元気かなぁ~」と時々思い出します。

最近見つけたのが、この「花むろ」さんです。 焼き鳥定食、アジフライ定食、たまんないわ~。庶民の味方の定食屋さん、頑張ってね! でも、もう少し近かったらなぁ~なのです。(イラストレーター)

もったいない(3)《デザインを考える》15

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イラストは筆者

【コラム・三橋俊雄】今回は、台湾新竹県で客家(ハッカ)民族のお母さんから伺った「大鍋菜(ダーゴゥーサイ)」という、一つの火と一つの大鍋を用いて次々と調理をしていく「もったいない」につながるお話しです。

「大鍋菜」は、藁(わら)・籾殻(もみがら)・薪(まき)を燃料とし、その調理方法は、竈(かまど)に火をくべ、火力促進期に「煮飯」「撈飯(ラオパン)」「おもゆ」「粥(かゆ)」、火力旺盛期に「野菜炒め」「油汁」、少し下火になって「蒸し物」、弱火で「残り総菜」「茶湯」「猪菜・潘(バン、豚の餌)」を作り、火の消えたころ「洗浄湯」を沸かすという一連の作業です。

大鍋菜の調理プロセス

(1)まず、火がちょろちょろしている火力促進期に、鍋に水を入れて米を煮ます。

(2)7分くらいで、まだご飯に芯のある状態を笊(ざる)ですくい、「飯桶」に入れて蓋(ふた)をします。すると中で蒸されて撈飯になります。鍋に残った「おもゆ」は、豚のエサや衣類用の糊(のり)として利用し、さらに残った米粒は、干したサツマイモやカボチャなどと煮てお粥(かゆ)にします。

(3)火が強くなったところで、月に一度の豚肉購入時に、その脂身を切り取り、鍋の中で油脂を抽出します。鍋に付いた「油鐤(ユディアン、おこげ)」は、温かいご飯にのせて醤油(しょうゆ)をかけて食します。月に一度のことでもあり、一番幸せを感じるときだそうです。

(4)鴨(カモ)や鶏(ニワトリ)を茹(ゆ)で、油脂の味が付いたところに保存野菜の酸菜(シャンツァイ)や干しキャベツなどを入れてスープにします。

(5)火が下火になったところで、豚の角煮や白菜にキノコや桜エビ、魚や膨皮(ポンプエイ、豚の皮を揚げたもの)などを入れて雑炊を作ります。この大鍋で温め直して何日も食べます。蒸し物として粽(ちまき)や粄(パン、米粉の料理)を作ることもあります。

(6)弱火(炭は赤いが炎は見えない)で、前回の料理の煮直しや茶湯を作り、お風呂用の湯(そのままで足湯としてちょうど良い温度)としても使うそうです。また、(2)の「おもゆ」にサツマイモの葉や大根、キャベツの古い葉を混ぜた「猪菜」、残飯の「潘」を温めて、豚の餌をつくります。

(7)火は消えていますが、鍋に水を入れて温め、洗浄用の湯を沸かします。竈の熱い灰の中に、サツマイモやサトイモ、トウモロコシなどを入れておきます。灰の中から焼けたそれらを探すのが、子どもたちの楽しみでもあったようです。

燃料も食材も大切に

日本統治時代から1950年代まで、台湾農村における客家の家族人数は7〜10人ほどであり、「大鍋菜」は豚の飼育と切り離せないものでした。

当時の豚の飼育は、政府と軍隊の管理下にあり、飼育にはお金がかけられず、サツマイモの葉や山菜の葉、アワ・ヒエなど雑穀のクズを餌として利用し、調理(1)から(7)まで、燃料も食材も大切に合理的に使い尽くす、「もったいない」のデザインがなされていたということです。(ソーシャルデザイナー)

アーム伸ばしたまま走行 クレーン車が民家の光回線ケーブル切断 つくば市

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つくば市役所

市発注の学校樹木伐採業者

つくば市は17日、同市竹園の市立学校近くの市道で15日午後5時ごろ、市が発注した学校の樹木伐採工事を請け負った業者が、クレーン車のアームを伸ばしたまま走行し、電柱に敷設してあった個人宅の光回線ケーブルの引き込み線を切断したほか、引き込み線接続部分の家屋の外壁を一部はがす事故を起こしたと発表した。

市教育局教育施設課によると、業者は15日学校で、伐採した樹木を積み込む片付け作業を実施し、作業が終了したため一旦学校を出た。その後、現場にはしごを忘れたことに気付き、午後5時ごろ、市内の事業所から別の作業をしたクレーン車がはしごを取りに来て、アームを伸ばしたまま走行したことから光回線ケーブルの引き込み線を切断したという。

翌16日朝、校長が光回線ケーブルが切断されているのに気づき、市に連絡した。クレーン車の運転手は事故時、気付かなかったという。

市から連絡を受け、業者はNTT東日本に復旧対応を依頼、さらに個人宅に対し謝罪し状況を説明した。個人宅では現在インターネットサービスが利用できない状態となっており、復旧は21日になる予定。業者はその後、外壁の補修も行う。

再発防止策として市は、受注業者に対し、周辺状況を把握し細心の注意を払って作業するよう指導すると共に、現在市の工事を受注しているすべての業者に対して注意喚起を徹底するとしている。

10年ぶり「科学の甲子園」ジュニア大会で全国制覇 並木中等と日立一付属中チーム

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優勝した茨城県代表チーム。並木中等の生徒は前列右の西端奏子さん、後列中央の村井秀次郎さん、同右の則包陽光さん=科学技術振興機構提供

科学技術振興機構(JST、橋本和仁理事長)は16日、第12回「科学の甲子園ジュニア全国大会」で茨城県代表チームが優勝したと発表した。13日から15日まで、兵庫県姫路市の「アクリエひめじ」に各都道府県から選出された47チーム、282人の中学生が参加し開催されていた。県代表チームは並木中等教育学校(つくば市並木)と日立一高付属中(日立市若葉町)から選抜された混成チームで、並木中等の3人は全員が1年生(中学1年)だった。

「科学の甲子園」は高校生対象に2011年に始まり、中学生対象のジュニア大会は13年に創設された。全国の中学生が科学と実生活・実社会との関連に気付き、科学を学ぶことの意義や楽しさを実感できる場の提供を目的としている。

全国大会では、各都道府県から選出された6人が1チームとなり、理科や数学などの複数分野に関する知識とその活用能力を駆使してさまざまな課題に挑戦した。筆記競技、実技競技2種目の得点を合計した総合成績により、茨城県代表が優勝、2位に千葉県代表、3位に東京都代表が入った。県代表の優勝は、並木中等が単独参加した2014年の第2回大会以来10年ぶりだった。

今回のチームは並木中等の則包(のりかね)陽光さん(1年)、西端奏子さん(同)、村井秀次郎さん(同)と、日立一高付属中の古川美心さん(2年)、内藤美希さん(同)、桑原侑史さん(1年)とで編成。筆記試験は高校レベルの問題で、物理、化学、生物、地学、数学、情報の6分野に分かれるため、それぞれが得意科目を集中的に学んで大会に備えた。筆記競技の得点は明らかにされていないが、2位の成績だったという。

2課題で争われた実技競技では、食塩水と真水を入れた水槽に食紅を入れ、波立てて波長などを調べる第1課題で最高得点をたたき出し第1位を獲得。県代表はまた、女子3人以上を含むチームのうち、総合成績最上位のチームに与えられる女子生徒応援賞も獲得した。

チームを引率した並木中等の前田邦明教諭は「ここ数年並木中等は県代表にも入れないでいたが、いきなりの全国優勝。日立さんには何度かつくばに来てもらい事前対策を一緒にした。筆記試験の後、子供たちは自信満々になり手応えを感じていたようだ」と語る。

朗報に同校は沸き立っており、23日にも全校集会を開いて全国優勝を報告し、改めて表彰を受ける。(相澤冬樹)


江崎賞受賞研究者を前に成果発表 つくば市内3校の高校生

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生徒間の質疑応答による交流も展開された=つくば国際会議場

日ごろ探究活動や課題研究に取り組む高校生が第一線研究者を前に発表を行い、考え方や進め方について指導を受ける「科学交流会」が16日、つくば市竹園のつくば国際会議場で開かれた。今回はつくば市内3校の高校生6個人・グループが発表を行い、2022年度の江崎玲於奈賞受賞者、磯貝明東京大学特別教授から質問や助言を受けた。

江崎賞の歴代受賞者を会員とする「受賞者の会」(榊裕之会長)を発足させた茨城県科学技術振興財団(江崎玲於奈理事長)が主催して行う初めての事業で、関彰商事(関正樹社長)が協賛した。高校生が取り組んだ内容や成果を発表し、研究者からアドバイスを受けて、科学に対する学習意欲、探究心をさらに高めてもらおうとするのが目的。並木中等教育学校、つくばサイエンス高、茗渓学園高の3校から6個人・グループが発表を行った。

生長阻害物質の証拠探す

茗渓学園高2年の中山奏楽さん、片岡愛奈さんは別個に植物のアレロパシーの研究に取り組んだ。アレロパシーは植物が放出する化学物質によって他の生物の生長を阻害するなど、何らかの作用を起こす現象。植物が分泌する化学物質を「アレロケミカル」といい、生物農薬や環境対策に使えないか、関心が寄せられた。

中山さんはキノコのタモギタケ、片岡さんはアジサイの花から浸出させた物質からアレロパシーが活性化する証拠を見出そうと実験と観察を繰り返した。タモギタケでは軸より傘の部分が多くのアレロケミカルを持ち、アジサイでは植物の生長を阻害する働きがあると判定できる試料を見つけることができたとした。

講師の磯貝さんは「実験ではメタノールなど有機溶剤を安易に使わない方がいい」など技術的なアドバイスをしながら、「身近な関心に基づいた研究は自立の原点。大人社会では目的に対して研究開発を行う目的達成型が評価されるが、関心に基づいた実直な研究のスピリットには感銘を受けた。この先も大切にしてほしい」と励ました。

江崎玲於奈賞受賞につながったセルロースナノファイバーを手に解説する磯貝明東京大学特別教授

究極の黒、出来上がった

並木中等5年生(高校2年)の松田菜央さんは、ヨウ素の偏光板を作って偏光について研究しようとしたが、真っ黒なものしかできず一旦は挫折した。そこで黒さをそのまま生かした材料開発に取り組んだ。ヨウ素を用いたシート状の「黒体材料」を作製し、その吸収率を測った。

合成高分子のPVA(ポリビニルアルコール)にヨウ素の染色液を塗って作ったフィルムは最初96%の吸収率を計測した。PVAとヨウ素の包接化合物が形成されるが、らせん構造がヨウ素分子を引き込むと考察できた。そこでPVAのらせんの長さを違えると吸収波長が多様化し、ヨウ素は可視光全域の光を吸収できると考えた。フィルム表面に微細な凹凸を施して反射を防ぐ改良をすると吸収率は99.4%、「プロにも負けない自分なりの究極の黒」が出来上がったとした。

磯貝さんは「実験に失敗はない。失敗しても、その結果を次の実験に生かすチャレンジを続けてほしい」と評価した。

先輩が残した実験装置で

つくばサイエンス高は全員1年生の7人グループで「微小重力環境におけるがん細胞の影響について」をテーマに取り組んだ。同校には先輩の残したクリノスタットという実験装置があり、2つの軸を回転させ360度方向に重力を分散することによって微小重力環境を再現するものだそう。

これに白血病に由来するヒト単球細胞株から培養した細胞を計測板に置き動作させ、静置したものとの比較で細胞数の増減を見た。結果、微小重力下では通常重力下に比較し、細胞の増殖速度が約半分に落ちたという。微小重力環境ががん治療に新たな可能性を開くかもしれないとした。

メンバーの一人、末永円さんは「学校にはいろいろ実験設備があって毎日の勉強が楽しい。私たちはがん細胞を取り上げたけど、他校はアレロパシーとか身近な植物の力を追求していて、一緒に研究出来たらもっと楽しいだろうなと思った」と感想を語った。(相澤冬樹)

研究発表後、磯貝教授を中心に記念撮影.

昭和100年、時代は雨情の唄を求めている《映画探偵団》83

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イラストは筆者

【コラム・冠木新市】2025年1月25日に開催する、雨情からのメッセージⅢ・詩劇コンサ一ト『空の真上のお天道さまへの旅』を準備中である。野口雨情没後80年、筑波節・筑波小唄誕生95周年記念のイベントなので、『80年』と『95年』を意識してきたのだが、来年は昭和100年の年でもあった。

雨情の新民謡などの多くは昭和初期に作られている。昭和5年(1930)に『筑波節』(映画探偵団22)、昭和9年(1934)に『水戸歩兵第二連隊歌』(同79)、昭和10年(1935)に『土浦小学校校歌』(同28)。いつの間にか、昭和初期の出来事に詳しくなった。

2023年にタモリが現代を『新しい戦前』と命名し、マスコミでも盛んにこのフレ一ズを使うようになった。私も時代の空気を言い当てていると思う。

国産レコード第1号と言われる『波浮の港』は、昭和3年(1928)に作られ大ヒット。雨情は、伊豆大島の現地に行かないで作詞した。後で地元の関係者からいつ大島にいらっしゃったのですかと聞かれ、慌てたとのエピソードが残されている。雨情は、『波浮の港』の詞を故郷磯原の海辺をイメージして書いた。

つまり、記念すべき国産レコード第1号の景色は、茨城県を歌ったものなのである。そう思うと曲の印象が変わってこないか。

市川崑監督の『ビルマの竪琴』

映画監督・市川崑が、『ビルマの竪琴』(1956)を作っていた時のことだ。現地ロケのためにビルマの実情を聞こうと、原作者の竹山道雄を訪ねた。すると、竹山から「ビルマには行ったことがない。すべて頭の中でこしらえた世界だ」と言われ、大変驚いたという。

『ビルマの竪琴』は学生時代、名画座で見て深く感動した。日本兵の水島は、戦死した日本兵の遺骨を慰霊する外国人の姿に衝撃を受ける。戦友たちは日本に帰国することになるが、水島は1人ビルマに留まり、戦友たちの慰霊を続けるという作り話だ。

白黒の画面と戦争経験者の役者の演技が相まって、非常にリアリティが感じられた。実話を基にした話と信じた人も多かったのではなかろうか。後からファンタジー物語だと知り、私も大変驚いた。

『枯れすすき』『磯原節』『磯原小唄』

今回、雨情の詩集『枯草』を始め、童謡、新民謡、連隊歌、校歌などを取り上げる。謎めいた詞が多く、出演者から質問され答えに窮したことが幾つもあった。もっともらしく解釈した話もあるのだが、そう限定すると雨情の世界が極めて狹くなってしまう。

今回イベントの第1部は講演で本当の話だが、第2部は作り話が入る。雨情を尊敬する、詩人志望で水戸歩兵第二連隊の生き残りだった男が生前にコンサ一トを企画するが、亡くなってしまう。孫の3姉妹は、祖父の遺志を継いで詩劇コンサ一トを開催する。

そこに、筑波節、水戸歩兵第二連隊、土浦小学校の関係者が集まるという観客参加劇の設定となる。

語られる作り話に何が出てくるかは秘密である。だが、きっと実話だと思うのではなかろうか。また雨情の真実が感じられると信じている。『枯れすすき(船頭小唄・完全版)』『磯原節(完全版)』『磯原小唄』は、めったに聞けない企画である。また、『筑波節』のお囃子(はやし)、「サイコドン ハ トコヤンサノセ」の意味も語るつもりでいる。(脚本家)

雨情からのメッセージⅢのチラシ

ハム工房に直売所オープン つくば市唯一の養豚農家が直営

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直売スペースやイートインコーナーが新設されリニューアルオープンした「ハム工房HISAMITSU」(左)とオーナーの久松茂樹さん、貴子さん夫妻

イートインコーナーや切り売りも

つくば市で唯一の養豚農家が直営する加工場「ハム工房HISAMATSU」(ひさまつ、久松茂樹代表、つくば市酒丸)がリニューアルされ、16日直売スペースがオープンした。家族3代で飼育する豚で手作りしたハム、ソーセージ、ベーコンなどを直売するほか、イートインコーナーも設ける。ハム、サラミなどの切り売りもする。

ハム工房ではこれまで販売しておらず、TX研究学園駅前の商業施設イーアスつくばアウトモール内のJA水郷「サンフレッシュつくば店」などの店舗でしか購入できなかった。

住み込みで12カ月修行

養豚は茂樹さん(49)の祖父が1960年頃に始めた。現在は父親の隆夫さん(72)が中心になって繁殖から肥育までを一貫して行う。母豚を100~120頭ほど飼育し、食用として年間約2000頭を出荷、約100頭をハム工房で加工している。

27年前、加工技術を習得しようと、茂樹さんは群馬県内の手作りハム工房に住み込んで12カ月修行し、ハムやソーセージ、ベーコンの作り方を学んだ。2000年に敷地内に工房を開設した。

ハム工房内

加工する豚は、いも類を主成分とする飼料で飼育するブランド豚「いも豚」を使用している。トウモロコシが主成分の飼料で育てた豚と比べ飼育期間が長いが、脂身が甘く赤身が柔らかいのが特徴のブランド豚だ。加工は、防腐剤、保存料、増量剤などは使わず、鮮度の良い豚肉を使用する。「日常の食事として食べてもらいたい」とお手頃価格に抑えているという。

加工品は3年に一度開催されるドイツの権威ある食肉加工品評会「IIFA国際食肉コンテスト」で金賞などを受賞している。テレビや雑誌などでも紹介され、今年10月にはつくば市の地産地消認定店になった。

商品の一例のハム(ハム工房 HISAMATSU提供)

来年、創業25周年を迎えるのを機に、作り手と地域とのつながりを大事にしたいと、工房に直売スペースを設けた。

茂樹さんは「ハム工房で作られたフレッシュなハム・ソーセージを、その場でお楽しみいただける空間なので、ぜひ足を運んでいただきたい。夫婦2人で対応しており何かとご迷惑をお掛けしてしまうかもしれないが温かく見守っていただけるとうれしい」とし、茂樹さんの長男、勇斗さん(26)は「現代は、機械やAIによる食品製造の自動化が進み、効率的に大量生産することが進んでいる。そんな中で、職人の手で一つひとつ丁寧に、温もりや心を込めて作ったハムやソーセージをお届けしたい」と話す。

直売スペースは面積約20平方メートル(うち厨房は5平方メートル)。フランクグリル(700円)、つくばドッグ(870円)、ドイツつまみセット(1090円)のほか、コーヒー(350円)、ドイツビール・ヴァイツェン(950円)などを販売する。価格はいずれも消費税込。(榎田智司)

メニュー

◆ハム工房HISAMATSUは、つくば市酒丸767-111、営業時間は午前10時~午後5時、日曜定休。問い合わせは電話029-848-2072、Eメールinfo@ham-hisamatsu.com。公式オンラインサイトはこちら、X(旧Twitter)はこちら

「土浦の花火」に欠けていたリスク管理《吾妻カガミ》198

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こんな花火が見たかった。今年の「絵で伝えよう 私の町の宝物 絵画展」で土浦市観光協会長賞に輝いた柴山裕貴君の作品

【コラム・坂本栄】11月2日に予定されていた「土浦の花火」が降雨予報で中止されたことには驚かなかったが、延期日に設定されていた3日と9日の開催も中止すると同時に発表されたことには驚いた。その理由が両日の警備体制が整わなかったからと聞いて、もっと驚いた。延期日をセットしておきながら、両日の警備体制が確保されていなかったからだ。

曖昧だった延期日の警備手配

土浦の花火(土浦全国花火競技大会、実行委員会会長=安藤真理子市長)中止の速報は「開催を中止…」(11月1日掲載)、その後の市長会見は「…中止を改めてお詫び」(11月5日掲載)、中止に伴う予算措置は「…減収2億3千万円…」(11月21日掲載)を読んでほしい。

予備日の花火も中止されたことに、花火ファンだけでなく関係業者もショックだったようで、不満の声が市に多く寄せられた。市議会も機敏に動き、全員協議会(11月11日)では市執行部を問い詰め、12月議会の一般質問初日(12月9日)には奥谷崇議員(郁政会)が中止に至る経緯などについて質問した。

一般質問に立つ奥谷崇議員

答弁の中で、塚本隆行産業経済部長は延期日の警備体制について、①実行委と警備会社の契約では「相互に協議」することになっていた、②しかし、警備に必要な人数と手当て可能な人数についてお互いの「認識に差違」があった―と弁明した。

要するに、2日の警備体制(470人動員)ついてはきちんと契約していたものの、延期日(3日と9日)の体制については、曖昧になっていたということだ。昨今の人手不足(タイトな労働需給)が視野に入っていなかった市のミスと言える。

無駄だった花火興業中止保険

全日程中止により、収入の大宗を占める有料観覧席代を払い戻さねばならず、市は敷桟席整備費などの支出をまかなうために、2億3000万円の補助金を追加した。その結果、8500万円の当初補助金と合わせ、今年度の花火予算は3億1500万円に膨らんだ。

第2段落目のリンク先記事に寄せられたコメントの中には、想定外の花火大会中止に備えて、市はイベント損害保険を掛けていなかったのか、といった指摘もあった。

奥谷議員がこの点を突いたところ、塚本部長は、①来場者のケガなどに対応する賠償責任保険、花火事故による観覧者の損害に対応する同保険、悪天候などによる花火興業中止保険には入っていた、②このうち興業中止保険には「延期日有り」という条件が付いていた、③ところが今回は「延期日に延期せず中止」したことから、支払いの対象外になってしまった―と説明した。

要するに、予備日(3日と9日)に延期し、それでも中止に追い込まれたのであれば保険金が支払われていたが、全日程中止にしたために保険金が出なかったということだ。警備に必要な数の要員派遣が無理という想定外の事態はあったものの、こういった内容の契約をしていたのも市のミスと言える。

実行委に呼ばれなかった議長

花火大会は雨が降るとイベントそのものが成り立たない。以前、土浦の花火は10月第1土曜日に開かれていた。それが11月第1土曜日に変更されたのは、10月よりも降雨リスクが低いと判断したからだ。今回のバタバタ経験から、延期日の警備体制も契約書に明記する必要があるだろう。

全員協議会と12月議会を傍聴していて、「?」の場面もあった。大会中止を決めた実行委(10月31日夕方)に市議会の議長が呼ばれなかったというのだ。事務局が島岡宏明議長に声を掛けるのを忘れてしまったらしい。メンツをつぶされた議会は面白くなかったようだから、議長対応もリスク管理マニュアルに入れておいた方がよいだろう。(経済ジャーナリスト)

「光のランタン」へ進化 つくばセンター広場周辺で6000個点灯

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大勢の来場者が集まった吾妻小の光のランタン

つくばの冬の風物詩「ランタンアート2024」がTXつくば駅周辺のつくばセンター地区で14、15日の2日間開催されている。今年は市内各校の小中学生が約6000個のランタンを制作し、そのうち約3000個が「光のランタン」にリニューアルした。ランタンアート自体は2日間だが、光のランタンは約1カ月間、長期展示を予定している。

ランタンアートはつくば駅前のつくばセンター広場を中心に、隣接の商業施設トナリエつくばスクエアなど、同市吾妻の科学館つくばエキスポセンターから、同市竹園の商業施設デイズタウンまで約1.4キロのペデストリアンデッキで開催されている。

竹園東小1~4年が作った光のランタン迷路を歩く人たち

このうちセンター広場2階周辺に展示してあるのが新しい「光のランタン」だ。プラスチック製の透明な箱の中にLEDライトを仕込んであり、子どもたちは箱の表面にきれいな色のセロハンを貼ったり、ペンで絵を描いたり、箱の中にいろいろなものを入れたりして、思い思いに創造性や個性を発揮した。

吾妻小学校は、光のランタンづくりをSDGs(持続可能な開発目標)と関連付けた。ペットボトルや卵パック、ストローなど、家庭で出た廃材のうち光を通しやすいものを持ち寄り、ランタンの飾り付けとしてリユースした。「ロケットみたいに作ろうと思った。去年のランタンより面白くできた」と話すのは3年の守屋櫂さん。同じく3年の伊藤佳乃子さんは「みんなが作ったランタンがいっぱい集まってすごくきれい。光ったらこんなにきれいになるんだと思った」との感想。

吾妻小の光のランタン

従来の「火のランタン」は、ろうそくを使うことから展示期間が2日間に限られ、また雨や風に弱いため、中止を余儀なくされることもあったという。

「光のランタンは、もっと長く飾ってほしいという子どもたちの要望に応えられ、家族や友達と一緒に作品を見に来る機会も増えて、地域への愛着を高めてもらえる。子どもたちがつくばをふるさととして感じるきっかけをつくり、市民が楽しめる地域参画型のイベントに育てていきたい」と、ランタンアートを主催するつくばセンター地区活性化協議会事務局長でまちづくり会社「つくばまちなかデザイン」専務の小林遼平さんは話している。(池田充雄)

火のランタンも多数展示。研究学園中の作品は切り絵のランタンカバーが楽しい

◆ランタンアート2024は12月14日(土)、15日(日)の2日間、TXつくば駅前のつくばセンター広場周辺で開催。点灯時間は午後4時30分~7時30分(光のランタンとイルミネーションは午後10時まで)。15日(日)は午後3~6時までワークショップ、同3~8時までマルシェなども開催される。光のランタンのみ約1カ月間展示する。

「土浦の花火」中止に思う(2)《見上げてごらん!》35

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第11回土浦の花火フォトコンテスト入賞作品の一部(土浦市提供写真を筆者が加工)

【コラム・小泉裕司】12月7日(土)午後7時、牛久沼畔で、山﨑煙火製造所のミュージック・スターマインが、初冬の澄んだ夜空に鮮やかなきらめきを見せた。オープニングは青と紅が交互に変化する牡丹(ぼたん)花火。パステルカラーや錦色の柳や千輪が荘厳なチェロ曲「Dark Academia」にシンクロし、間の取り方や時差変化に引き込まれた2分30秒。土浦仕様のスターマインに違いない。

打ち上げ現場近くでの山﨑智弘社長との会話は、おのずと土浦花火中止の話題に。「いろいろあるのでしょうが、前を向くしかないです」と、土浦花火を支える主要な1人である社長。複雑な思いをにじませながらも、潔い花火師魂に触れ、逆に励まされた思い。

市民と一体感のある大会

折しも2日後の9日(月)、2024年第4回土浦市議会定例会において、第93回土浦全国花火競技大会中止に関し、再々質問まで加えて14項目にわたる一般質問が行われ、塚本隆行産業経済部長が答弁した。質問は執行部の考えを問う形で進んだが、経緯および現状報告を除いては、具体的対応を示す答弁はなく、今後の検討課題とするにとどまった。

年明けに本番を迎える新年度政策予算査定の中で、次回開催に向けた検討がなされるのだろうか? いずれにしても来年は「土浦の花火100周年」。従来の行政主導による運営方法への信頼が揺らいだこの機に、透明性を醸成しながら、大曲や長岡の花火の例を挙げるまでもなく、「市民と一体感のある花火大会」への新たな歴史を生み出すスタートの年にしたいものだ。

花火カレンダー2025

いつまで待っても、大会ホームページに花火カレンダー販売のお知らせが掲載されない。そりゃそうだ。「中止のお詫び」や「払い戻し」と並行して表示するには、まだ違和感があるのだろう。印刷会社の「いなもと印刷」や「まちかど蔵大徳」で計10本を買い求め、友人知人に送り届けた。

ちなみに、カレンダーを制作した稲本修一社長は、来年の写真をどうしようかと悩んでいる。

長野で土浦花火ファンから元気をもらう

11月23日(土)、 長野えびす講煙火大会(長野市)に参戦したところ、宿泊先のホテルロビーで奇跡的な出会いがあった。

男性「土浦の小泉さんですか?」

小泉「そうです」

男性「声を聞いて、そうかなと思い、声かけさせてもらいました」

小泉「どちらかで?」

男性「小泉さんの出演動画やネットの記事を見ていました」

小泉「恐縮です。ありがとうございます」

男性「青森の亀田と言います。昨年の土浦花火フォトコンテストで、まぐれで入賞しました」

小泉「厳正な審査で選考されるので、まぐれはないですよ」

小泉「今年も来場される予定でしたか?」

亀田さん「はい。中止は残念でした」

小泉「大変申し訳ありませんでした」

亀田さん「だいじょうぶです」

小泉「来年は100周年大会を開催しますので、今回に懲りずに、来場してください」

亀田さん「必ず行きます。土浦の花火が好きなんです」

花火の魅力をお伝えするのがミッションの花火鑑賞士。これぞ本望なり。長野で、青森県人から元気をもらった。

この後、大会HPを確認したら、なんと「優秀賞」を受賞した方。「花火師紹介」と桜川の川面に映る虎の尾花火は、土浦ならではの構図。土浦の花火カレンダー2025のトップ「1月・2月」に採用されていた。

今年はこの辺で年越しぃー。「ドーン ドーン ドーン!」。(花火鑑賞士、元土浦市副市長)

<土浦の花火カレンダー販売情報>土浦市観光協会観光情報物産センターきらら館まちかど蔵大徳いなもと印刷へ。

研究者ら「理系のリアル」語る 中高生の理工系選択を応援

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理工系進路選択応援シンポジウムの基調講演=県南生涯学習センター

土浦で進路シンポジウム

文系と理系の選択や将来の進路に迷う中高生を対象に、理工系への「進路選択」を促すシンポジウムが14日、土浦市大和町の県南生涯学習センターで開かれた。昨年までのオンラインから対面での開催に切り替わり、講演やトークセッションで、研究者やエンジニアらが学業や研究、職場での「理系のリアル」を語った。

科学技術分野における次世代のグローバルリーダー育成を目指して県科学技術振興課が主催する「理工系進路選択応援シンポジウム」。2017年に理工系女子向けに開いたのが1回目で、コロナ禍の間に門戸を拡大してオンライン開催を続けていた。

土浦開催は今回が初めて。高校の多くで2年進級時に文理選択が行われているため、選択に悩む高校1年生をメーンに参加者を募った。保護者を含め、延べ120人が集まった。

基調講演で宇宙航空研究開発機構(JAXA)地球観測研究センターの大木真人主任研究開発員が語ったのは「理学」と「工学」がクロスする職場のリアルだった。

「わからなかったことがわかようになる」のが理学、「できなかったことができるようになる」のが工学、とした上で、自らが関わる「だいち2号(陸域観測技術衛星2号、ALOS-2)」の地表を観測するレーダーになぞらえて話を展開した。

「合成開口レーダーは電波の反射で雲の下の地形や建物まで撮影できる装置だが、理工系の論理だけ主張しても予算は取れない。雲の下をみることで災害状況を把握でき、避難誘導につなげられる。アウトプットにアウトカムの説明までして初めて予算がとれる」と人工衛星開発という仕事のリアルを語った。

少年時代は宇宙飛行士を夢見たが、物理学を選んだ進路では数学につまづくなどして、コースは一本道ではなかった。最終的に学位をとったのはJAXA職員となってから。「回り道をして複数の分野を学ぶのは意味のあること。チャンスは数多くある」と結んだ。

「選択は1回限りじゃない」

午後からのトークセッション=同

文系と理系、さらに理系に進んだ後の選択のありようも多様にあることが、午後からのトークセッションのメーンテーマになった。4つのセッションで進路選択の経験談が語られた。

理化学研究所の山田郁子技師は心理学のカウンセラーになりたくで大学で哲学を専攻しながら在学中の実習授業で実験の楽しさに目覚め、生理・薬理心理学へ進路変更した。国際農林水産業研究センター(JIRCAS)の藤田泰成ディレクターは高校では現代社会(公民)の授業が好きだったが大学では教養学部で法学や経済学の授業についていけず単位取得に苦労したという。

大学卒業後の就職が内々定していた山田さんも、教職課程を履修していた藤田さんも結局、大学院に進んだ。「研究を続けていると選択肢が見えてくる。研究は1つの答えを求めるが、応用の選択肢は実はたくさんあった」と会場の中高生らを諭した。

聴講していた水戸市の谷古都(やこう)雄大さん(水戸一高2年)は「自分は将来やりたいことがあって理系を選んだ。工学、理学の選択の後に職業の選択もあって、これからもよく考えていきたい」と語った。(相澤冬樹)

筑波大生とさまざまな工作に挑戦 冬のキッズアート体験 関彰商事

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筑波大生とアートに挑戦する小学生たち

スタジオ’Sでクリスマス展開幕 

筑波大学で芸術を専攻する学生に教わりながら、子供たちがさまざまなアート技法を体験するイベント「冬のキッズアート体験2024」が14日、つくば市二の宮、関彰商事(関正樹社長)つくば本社で開催された。会場には、卵型の発砲スチロールに和紙を貼ってオリジナルのクリスマスツリー飾りを作るブース、野菜の皮を使った染料でハンカチを染めるブースなど8つのブーズが設けられ、子供たちが楽しみながら積極的にアートに挑戦する様子が見られた。

併せて同本社のギャラリー、スタジオ’Sでは同日から、筑波大大学院日本画領域の大学院生と卒業生8人によるグループ展「クリスマス展」が始まった。25日までの12日間、クリスマスにちなんだ新作が展示される。

キッズアート体験の様子

キッズアート体験は、関彰商事と筑波大学との芸術分野における連携「スタジオ’S with T」による小学生向けのイベントで、2016年から年2回開催している。参加者に好評でリピーターが多いのが特徴だ。

14日は午前、午後合わせて小学生ら計67人が参加した。筑波大生18人が直接指導にあたり、子供たちは保護者が見守る中、楽しそうに自分だけの作品を作っていた。

同市みどりのから参加した羽鳥眞白さん(10)は「参加したのは2回目。丁寧に教えてくれ、話をちゃんと聞いてくれて良かった。自分の思うような作品作りが出来てとても楽しい」と話していた。指導にあたった同大大学院の中津端樹さんは「子供たちは積極的に作業をしてくれて、素直でとてもかわいい」と感想を述べた。

「イブ」という作品を展示した中津端樹さん

中津さんは14日から始まった「クリスマス展」にも「イブ」というタイトルの絵画を展示している。「実家で過ごしたクリスマスイブに姉に手紙を書いてもらった幼少期のことを思い出して描いた」という。同展では会期中、出展者が在廊する日に、会場でポストカードやハンドメイド作品、絵画の小作品などを販売する。(榎田智司)

◆クリスマス展の開館時間は午前11時~午後6時。入場無料。

世界最大の木造犬「モックン」がリニューアル つくばわんわんランド

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リニューアルされた、世界最大の木造犬モニュメントの5代目モックン

胸に展望台

筑波山麓にある日本最大級の犬のテーマパーク「つくばわんわんランド」(つくば市沼田、東郷治久代表)のシンボルで、世界最大の木造犬モニュメント「モックン」がリニューアルされ、 13日お披露目された。高さ11メートル、黄色い毛色の5代目モックンで、胸に展望台が新たに設置された。来園者が上り、展望台バルコニーで記念撮影などができる。

モックンは1996年の開園当初から同園のシンボルとして、柴犬をモデルに造られた。これまで色を変えたり、表情を作り替えたりとリニューアルを進めてきた。今回は2020年以来のリニューアルになる。11月8日に放送されたフジテレビの「日本全国!逆お国自慢 グランプリ」では、茨城県の巨大建造物ランキング第4位になった。

横から見た5代目モックン

つくばわんわんランドは1996年4月に開園し、今年開園28年となる。今年4月には、40種70匹の猫が暮らす日本最大級の猫触れ合い施設「ねこハウス」 をリニューアルオープンさせるなど(3月29日付)進化を続けている。

隣接するつくば国際ペット専門学校の林潤総務課長は「オーナーが中東を旅していた時『トロイの木馬』の話を聞いて、このモニュメントを造ったと聞いている。これからも筑波山麓全体の活性化に寄与していきたい」と語る。

同園を訪れた千葉県の男性(46)は「今回観光で筑波山に来たので立ち寄った、犬好きには大変素晴らしい施設。モニュメントの大きさに驚いている。犬好きの知人に教えてあげたい」と話した。(榎田智司)

モックンの胸に設置された展望台から眺める筑波山

◆つくばわんわんランドは、つくば市沼田579。入園受付時間は午前10時~午後4時(11月~2月)。問い合わせは電話029-866-1001、ホームページはこちら。年末年始は30(月)、31(火)、1月1日(水)が休園日となる。1月2日(木)からは2025年新年イベントとして干支(えと)の巳年(みどし)にちなみ、蛇の衣装を着た犬が何着でゴールするかを予想する着順当てレースショー「2025年新春干支レースショー」や、おしるこ無料配布など多数の企画が予定されている。

鉾田市の昭和観光イルミネーション《日本一の湖のほとりにある街の話》30

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イラストは筆者

【コラム・若田部哲】千葉県千葉市と茨城県水戸市を南北に結ぶ国道51号線。鉾田市内に入ると、メロンのビニールハウスや様々な畑が続き、夜間にはひっそりと静まります。そんな街道沿いの冬の闇の中に突如として現れるのが、今では鉾田市の名物となった「昭和観光のイルミネーション」。

この一大風物詩を始めたのは、株式会社昭和観光会長の根本昭さんです。きっかけは、2014年に鉾田市主催の「花いっぱいコンクール」の取り組みとして、社屋の周りを花で飾ったことでした。

花が地域に笑顔をもたらす様子を見た根本さんは「夜になるとひっそり暗くなってしまうこの道を、あたたかく彩れないか」と考え始めます。そうして2016年より、数本の明かりを社屋入口にともしたのが、イルミネーションの始まりでした。

始めてみると楽しみにしてくれる人が現れ、その期待に応えようと、年ごとにスケールは拡大。今では電球数15万個にも及ぶほどになったそうです。毎年、社員総出で1カ月以上かけて準備をなさるとのことで、取材に伺った日も3~4人の方が和やかに作業をされていました。

街に光の輪をつないでいきたい

活動を続けていく中で一番の転機は、2020年に端を発した新型コロナウイルスの感染拡大です。様々な産業が深刻な打撃を受ける中、最も影響の大きかったものの一つが観光業でした。バス需要が大幅に減少する中、多額の費用を要するこのイベントを継続するかどうか、根本さんは悩みます。

葛藤しつつも、イルミネーションが見たい、という多くの人たちの声に背中を押され、コロナ禍の中、明かりをともします。すると、遠出が自粛される中、市内の方々がぬくもりを求めて集まりました。

感激して涙を流す人、感謝のメッセージを残す人…。大勢の人の思いに触れ、根本さんはイルミネーションの継続を決意。その後、年を追うごとにその規模は拡大し、今では遠く長野の方からも問い合わせがあるそうです。

一大観光スポットとなったイルミネーションですが、本業である観光業の業績アップにつなげようとは思っていない、と根本さん。今後、周辺道路の拡幅が予定されている中、「これからも、少しでも街に光の輪をつないでいきたい」と穏やかに語ります。一個人の思いから始まった取り組みは、今年も寒い冬の夜、多くの人の心にあたたかな灯をともします。(土浦市職員)

<注>本コラムは「周長」日本一の湖、霞ヶ浦と筑波山周辺の様々な魅力を伝えるものです。

2024年度のイルミネーション:12月1日~2025年2月28日(日没~午後10時ごろ)

➡これまで紹介した場所はこちら

圏央道つくば西スマートIC 来春、島名に開通

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来春、つくば西スマートインターチェンジが開通する、つくば市島名の圏央道(左側)

圏央道(首都圏中央連絡自動車道)の新たなインターチェンジ(IC)「つくば西スマートIC」が来春、つくば中央IC―常総IC間のつくば市島名に開通する。ETC車載器を搭載した車両のみが利用できる。つくばエクスプレス(TX)沿線開発地区の上河原崎・中西地区(県施行)内に、NEXCO東日本(東日本高速道路)関東支社とつくば市が整備を進めてきた。

つくば中央ICから約4キロ西、常総ICから約7キロ東に位置する。つくば中央IC―常総IC間11キロは、圏央道の中で2番目に長い区間となっている。つくば市内の圏央道のICは3カ所目、スマートICは初めてとなる。成田方面から埼玉方面に向かう内回りは、主要地方道つくば真岡バイパスに接続し、埼玉方面から成田方面に向かう外回りは、県道土浦坂東線に接続する。

2017年7月に国の新規事業化箇所に選定され、7年前から事業が進められてきた。用地買収が長引いたほか、地盤が想定より弱く工法を変更したなどから当初予定より3年ほど遅れて開通する。事業費は総額約34億円で、うちつくば市が約6億2000万円を負担した。関連工事として同市はほかに、近くの交差点改良工事やIC設置により影響が出る一般道の工事などを約8億3000万円で実施しており、同市の負担は計約14億5000万円になる。

NEXCO関東支社は、開通により、TX沿線開発地区から圏央道へのアクセスが向上し、さらなる企業誘致や商業施設誘致が進み、雇用の創出による人口のさらなる定着など、地域活性化が期待されるほか、筑波山など観光地へのアクセス向上、鬼怒川や小貝川で浸水被害などが発生した場合の救援活動や緊急物資輸送の迅速化など防災機能強化に寄与することが期待されるなどとしている。

同スマートICの開通により、ICに10分で到着する圏域の人口は約1万人増加するという。

つくば駅前をもっとにぎやかに T.S BUILでイルミネーション 

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つくば駅前、T.S BUIL2階のペデストリアンデッキに面したイルミネーション

若い社員がデザイン

つくば駅前のオフィスビル「T.S BUIL」(同市吾妻、旧ライトオンビル)が、11月22日からイルミネーションで彩られ、道行く人たちの目を楽しませている。同ビルのオーナーで不動産業の都市開発(塚田純夫社長)が、駅前をもっとにぎやかにしたいと飾り付けた。装飾は若い社員が自主的にデザインし作った。

同ビル1階ショーケース内と、ペデストリアンデッキに面する2階エントランスのガラス張りの壁面いっぱいがLEDのイルミネーションライトで装飾され、さらに自動ドアの中にはサンタクロースや雪だるま、モミの木のクリスマスツリーなど、昨年と違ったデザインの飾りが展示されている。通り掛かった人たちは華やかな飾りに足を止めて見入ったり、撮影したりしていた。クリスマスシーズンが過ぎた後は正月用のディスプレイに変更し、来年1月13日まで点灯する。

若手社員が飾り付けたクリスマスツリーなど

家族で訪れ、装飾に見入っていた市内に住む会社員は「以前は駅前なのに少し寂しい感じがしたけれど、明るくなってとてもうれしい。駅前は少しずつだけれど良い方向に向かっているのではないか」と話した。

同社の霞部長は「つくばセンタービルも徐々によくなってきている。今年は市民活動の新拠点コリドイオが出来たり、大和ハウスの複合施設も来年完成予定と聞く。つくば駅周辺のにぎわいも回復していくのではないか」と期待を述べる。

塚田純夫社長

来年4月、200インチのディスプレイ

塚田社長は「一昨年からイルミネーションを飾り、地域にも浸透して評判が良い。来年4月にはビルの2階部分の壁に200インチ(縦2.5×横4.4メートル)のディスプレイを付け、映像を流す予定だ。映像は筑波山の風景などを流し、地域の活性化に取り組んでいきたい」と語る。(榎田智司)

つくば高エネ研などでかや刈り 応援ボランティア募集 石岡の保存会

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やさと茅葺き屋根保存会事務局の新田さん=石岡市真家の自宅

かやぶきの営みを次世代に

石岡市八郷地区で、かやぶき民家と里山の営みを後世に伝える「やさと茅葺き(かやぶき)屋根保存会」(萩原寿盈代表)が、屋根に使うかやの刈り取りを手伝う応援ボランティアを募集している。かや刈りは12月21日からつくば市の高エネルギー加速器研究機構(高エネ研)、葛城の森、石岡市の県畜産センターなどで実施する。同会事務局の新田穂高さん(61)は「かやぶきを維持する『営み』自体に価値がある。昔から続く営みを新しい形で次の世代に引き継いでいきたい」と思いを語る。

同会ができたのは1998年。住民が協力し作業する習慣や、管理されたかや場が減るなどし、当時かや集めに苦労していた。そんな中、つくば市大穂の高エネ研敷地内にかやぶきに用いるススキが相当量、生い茂っていると知った八郷町(当時)の関係者らが、高エネ研敷地内のかや刈りをしようと設立したのが同保存会だ。現在、かやぶき家屋の持ち主や、石岡市内外のボランティア70人ほどが参加し、毎年かや刈りに取り組んでいる。

刈ったススキを束にする。6束で馬1頭が背負うことができる量を表す単位「1駄」になる

人が集うのが価値

新田さんが暮らすのは、石岡市真家地区にある江戸時代後期に建てられた築170年以上のかやぶき家屋。地域は献上柿の産地として知られる。かつては養蚕や葉タバコ栽培が盛んだった場所だ。

「田舎暮らしがしたかった」という新田さんは、地元の農家からかやぶき家屋を譲り受け、1998年、妻と幼い2人の子どもと出身地の神奈川県から移住してきた。今年は9月から12月初旬にかけて、移住後4度目となる屋根のふき替えを行っている。作業には地元の2人のかやぶき職人と、延べ100人余りのボランティアが参加した。「人の輪が広がる楽しみがかやぶきの面白さ」だと新田さんは言う。

移住した当時、石岡市内に90棟以上あったかやぶき家屋は、神社なども含めて現在は40棟以下にまで減っている。民家に限れば現存するのは15棟余り。「70、80代の方が家を維持してきたが、次の世代にとってかやぶきが『負の遺産』になるという考え方が一般的になった」と言う。

新田さんは「(かやぶきは)職人だけではできない。家人らは『かや刈り』『かやごしらえ』などの下準備、かやぶきが始まれば職人を補助する『地走り(じばしり)』、『手元(てもと)』と呼ばれる仕事をした。生活スタイルが変化し、集落内の協力で成り立つ『結(ゆい)』的な下地がなくなり、暮らしと密着したかやぶきもなくなりつつある」。

ふき替えたばかりの屋根が、西日に照らされ黄金色に輝く

時代の変化を前に新田さんは「かやぶきは、職人と仕事を支える様々な人たちが必要になる。文化財を保存する時、屋根や建物など『もの』の保存だけではなく、そこにまつわる『こと』を保存するのが保存会のテーマ。皆が集まり、力を結集して維持することが、かやぶき本来の営み。かやぶきの文化的価値はそこにある」と言う。

もう一つ、同会が取り組むのが「物質の循環」だ。地域には「屋根を直すと田畑が良くなる」という言葉があるように、取り替えられた屋根から出た大量のかやは、堆肥や野菜や果樹の「敷きわら」として使われた。現在は、多くが廃棄物として処理される。古い茅の再利用を地域の農家と取り組んでいる。

12月から1月、つくばなど各所で

12月から翌年1月にかけて同会は、高エネ研を始めつくば市内各所や、石岡市、桜川市などからかやぶき家屋5、6軒で使われるススキを刈り取る予定だ。15年以上参加する常連のボランティアらに支えられる一方で、将来を見据えて新しい世代の「茅刈り隊」への参加を呼び掛ける。

新田さんは「ボランティアの方には、刈り倒したススキを集めて束にする作業をしていただきたい。午前9時に集合して午後4時ごろまで。お茶にお昼、茶菓子も用意します。割と気持ちよくできる作業だと思う。マイペースで、気持ちよく体を動かし、かやぶきの維持保存にも貢献できる」と話す。

かや刈りの日程は▽12月21日(土)、22日(日)=つくば市大穂1-1、高エネ研▽25日(水)、26日(木)=石岡市根小屋1234、県畜産センター▽来年1月以降はつくば市葛城の森、桜川市上曽トンネル用地、栃木県益子町の濱田窯長屋門茅場などで予定している。(柴田大輔)

◆かや刈りボランティア「茅葺き応援団茅刈り隊」への応募は専用のウェブサイトか、メール(kayayaneitonami@gmail.com)にて受け付け。活動の詳細は「やさと茅葺き屋根保存会」のブログへ。

TX3駅の駐輪場有料化へ 来年4月から つくば市内

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来年4月からの有料化が検討されているTX研究学園駅近くの高架下駐輪場

現在利用料が無料となっている、つくば市内のつくばエクスプレス(TX)研究学園駅、万博記念公園駅、みどりの駅3駅近くのTX高架下駐輪場(自転車駐車場)が、来年4月から有料化される方向で検討されている。つくば市が5日開会の12月定例会議に関連議案を提案している。

市によると新たな利用料金は、近隣のみらい平駅(1日150円、1カ月定期一般1880円~、学生940円~)や守谷駅(1日110円、定期1カ月一般1670円、学生1150円)などと同程度になる見通しだという。市議会最終日の26日に可決されれば、市が来年3月末に3駅の駐輪場用地を、TXを運行する首都圏新都市鉄道に返還し、来年4月から同鉄道が有料化して運営する予定だ。

3駅の駐輪場は2005年のTX開業以来、市が高架下用地を同鉄道から無償で借り受け、同鉄道に対する駐輪場用地の固定資産税を減免して、市が利用料無料で運営してきた。2023年度は3駅合わせて1日平均1710台が利用している。

利用状況は、最も利用率が高い研究学園駅東が収容台数216台に対し、2023年度の1日平均利用台数は362.1台で利用率は167.6%、同駅西が収容492台に対し利用482.5台、利用率は98.1%と、新たな駐輪場スペースの確保が課題となっている。これまでもみどりの駅は収容台数を2020年度に325台から624台に拡張、万博記念公園駅は22年度に189台から315台に拡張している。

同市公園・施設課によると、市が同鉄道に駐輪場用地の拡張について相談、つくば駅を含めTXの他17駅の駐輪場は有料となっていることなどから、市が駐輪場を有料化して運営する方法も選択肢の一つと打診したところ、有料化して同鉄道が運営する方向になった。駐車スペースの不足に対しては、同鉄道が2段式サイクルラックの設置を検討するなどしているという。