日曜日, 12月 28, 2025
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野良犬猫の保護は自治体の課題《晴狗雨dogせいこううどく》9

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写真は筆者

【コラム・鶴田真子美】2023年度の茨城県動物指導センターへの市町村別犬猫収容頭数が発表されました(一覧表はこちら)。 犬は茨城町の239頭が群を抜いて多く、鉾田市の100頭、小美玉市の92頭、笠間市の53頭、神栖市の47頭、境町の44頭、行方市の41頭…と続きます。

その大半が子犬です。母犬を捕まえないと半年後にまた出産し、一腹(ひとはら)から5頭から10頭が産まれ、繁殖を繰り返していくでしょう。子犬を捕まえる時が成犬捕獲のチャンスになります。根本解決を目指し、母犬と一緒に保護できるよう、動物指導センターの指導のもと、市町村の職員は技術を磨いてもらいたいと思います。

野良犬が減らないのは、捕獲の行程がうまくいかないからです。捕獲機を設置して捕まえるには餌でおびき寄せるため、まず犬を空腹状態にしなくてはなりません。

しかし畜産農家の多い茨城町や小美玉市では、養鶏場の柵を壊し、あるいは土を掘り簡単に侵入できてしまうため、養鶏場や養豚場が餌場になっており、犬を飢えさせることができません。野犬対策には、畜産関連団体や農業協働組合を巻き込み、対策を講じる必要があります。

 猫の収容数は、神栖市が101頭、鉾田市が67頭、日立市が44頭、龍ケ崎市が42頭、城里町が37頭…でした。猫の収容数が多い自治体が早急に行うべき施策は、TNR(Trap=捕獲、Neuter=不妊・去勢手術、Return=元の場所に戻す)です。TNR活動を地域全体に広めていくことが求められます。

幸い茨城県には避妊去勢手術の助成制度があります。また県獣医師会や一部の市町村も費用助成をしており、動物保護団体の施設や動物病院でも保護犬猫を対象に避妊去勢を行っています。

犬猫問題は私たちの身近な問題

収容頭数を減らすために各市町村に求めたいのは以下のようなことです。

⑴ 飼い犬猫への避妊去勢の徹底、猫の室内飼育

⑵ 里親会の開催:これにより、保護犬猫の里親探しができます。市内に保護団体があれば、役場などの駐車場を会場として貸し出すなど、市町村も協力すべきです。保護団体がない場合、自治体主導の方が早いでしょう。

⑶ ボランティアの育成:活動を担うボランティアを育成し、場合によってはその活動を助成することが必要でしょう。

⑷ 子どもの教育:人と動物の共生は、幼少期から学校や課外活動で学ぶべき課題であり、教育委員会が積極的に取り組むべきです。シェルターでのボランティア体験を通し、子どもたちは奉仕活動を学びます。

野良猫が増え、道路でひかれている光景や、犬猫が虐待を受けているのに放置されているのを見るのは、子どもたちに精神的ダメージを与えます。野犬が繁殖し畑を荒らしたりすれば、住民は安全が脅かれます。

行政は、犬猫問題を市町村の問題、つまり身近な問題として捉え、自治体で取り組むべき課題であると認識すべきでしょう。(犬猫保護活動家)

元イスラエル兵ネフセタイさん つくばで平和への思い講演へ

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つくば市の尾崎さん宅を訪れたネフセタイさん(手前左)と妻の吉川かほるさん(同右)。後列左が尾崎さん、同右が韓国民話の語り手 金基英(キム・キヨン)さん(尾崎さん提供)

7月7日 尾崎秀子さん企画

イスラエル出身で埼玉県在住のダニー・ネフセタイさんが平和への思いを語る講演会「争いの絶えない国から来た私が今、日本で言えること」が7月7日、つくば市高野、市民ホールとよさとで開かれる。つくばの市民団体「平和を願う市民の集い」(尾崎秀子代表)が主催する。

3年間空軍に所属

ネフセタイさんは1957年生まれの木製家具作家。高校を卒業後、徴兵制でイスラエル空軍に入り、3年間兵役を務めた。退役後、バックパッカーとしてアジア諸国を放浪し79年に日本を訪れた。以来45年間日本で生活している。88年に都内から埼玉県に引っ越し、家具を製造する木工房ナガリ家を立ち上げ、注文家具や遊具、小物などの創作に従事している。平和のための講演活動も行い、2016年にはイスラエルの社会通念を批判した「国のために死ぬのはすばらしい?」(高文研)を出版、昨年12月には「イスラエル軍元兵士が語る非戦論 」(集英社新書)を出している。

講演に感銘

講演会を主催する「市民の集い」代表の尾崎さん(75)は、平和を願う思いから、市内で22年よりウクライナ出身のカテリーナさんによる民族楽器バンドゥーラのコンサートを開催してきた(23年7月11日付)。昨年7月にはノバホール(同市吾妻)でコンサートを開き約570人が来場した。今年3月、尾崎さんは前橋市で開かれたネフセタイさんの講演会を訪れて感銘を受け、つくばでも講演会を実施したいと企画。ネフセタイさん宅を訪れて依頼し、実現した。

「戦争が起こるとしたら絶対に反対しよう」

尾崎さんは1948年大阪生まれ。大阪府立大学を卒業後、塗料会社の研究所に勤務した。84年につくば市に移り住み、2000年まで市内の研究所に勤務。その後秋田県に住み、15年に再びつくばに戻った。つくば市では中央図書館協議会委員を12年務めるほか、「絵と歌と語りの集い」開催や「つくば自然農を学ぶ会」を立ち上げるなど市民活動にまい進する。

直接戦争を知らないが、両親や兄、姉から、大阪大空襲や学童疎開での苦労についてよく聞かされていたと話す尾崎さん。「小さい頃から『そんなに大変な思いをしたのになぜ戦争を止められなかったのか』と親に聞くと、親は苦い顔で『仕方なかったんや、止められなかったんや』と。父は町内会の会長で出征兵士を見送っていた側。辛い思いがあったと思う。自分は戦争が起こるとしたら絶対に反対しようと思って生きてきた」と語る。

「戦争で人を傷つける時、相手は自分と同じ人間だという意識がかき消されている。それが戦争というもので、ダニーさんは、誰の命も大切で、尊重される人権があると教える教育が必要だと訴えている。お金や権力より、人の命が一番大切なもの。生きていく上で何を一番大事にして暮らしていくか、考えるきっかけになれば」と話し、来場を呼びかける。(田中めぐみ)

◆ダニー・ネフセタイさん講演会「子ども達へ残そう 悲しみのない未来を~争いの絶えない国から来た私が今、日本で言えること」は7月7日(日)午後1時30分開場、午後2時開演。会場はつくば市高野1197-20 市民ホールとよさと。入場無料。定員250人。当日は寄付を募り、集まった寄付金を国境なき医師団と日本ユニセフ協会に送る。申し込みは専用フォーム、または同会のEメール、電話080-1118-0289(尾崎さん)へ。申し込みの際は①参加者(代表者)氏名➁連絡先電話番号➂参加人数④駐車場利用の場合は車の台数を明記する。

吉井・元水俣市長が死去 水俣病患者に謝罪《邑から日本を見る》161

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谷津田の水田

【コラム・先﨑千尋】古くからの友人・知人が相次いで亡くなっている。今度の訃報は水俣市長だった吉井正澄さん。5月31日に92歳で亡くなった。5月1日、水俣病犠牲者慰霊式の後の伊藤信太郎環境大臣と水俣病患者らの懇談で、被害者側の発言時間が予定時間を超えたとして環境省の担当者がマイクの音を切り、SNSで大炎上しているときに重なった。

吉井さんは、水俣市では山間部に住み、自民党の政治家として市議会議長などを歴任した後の1994年に市長に就任した。

そして、同年5月の水俣病慰霊式で「いわれなき中傷、偏見、差別を受けた犠牲者に対し、市当局が十分な対策を取り得なかったことを申し訳なく思う」と述べ、水俣市長として初めて患者と被害者に公式に謝罪した。その後も水俣病問題に真正面から取り組み、村山富市首相らと会談を重ね、政治解決に奔走した。

元気だったころの吉井さん(左)

吉井さんからは、水俣病を発生させたチッソや被害者たちと離れた所に住み、直接関わりがなかったのでできた仕事だった、と後で聞いた。

また、経済と環境の調和のとれたまちづくりを目指す「環境モデル都市づくり」、「新しい水俣づくり」に全力を傾注し、水俣病のために疲弊、分断された市民の融和を図り、絆を取り戻す「もやい直し」運動を始めた。

2000年5月には同市で環境自治体会議の「水俣会議」が開かれ、全国から集まった自治体関係者や市民、研究者、学生などが、同市の「ごみ高度化分別収集」、市役所、学校、家庭の「環境ISO」、エコショップや環境マイスター制度、環境水俣賞などの取り組みを学んだ。茨城県からも村上達也東海村長(当時)などが参加した。

私はこの会議の分科会の一つ「環境自治体づくりの先進事例に学ぶ」で司会を務めたが、報告者の一人である柳川義郎・岐阜県御嵩町長が町内の産廃処理場を巡って暴力団に襲われ、瀕死の重傷を負った後だったので、岐阜・熊本県警のものものしい警備の中で分科会が開かれたことが今も記憶に鮮明に残っている。

行政のトップが代われば街も変わる

私は、この会議以前から水俣病患者が生産した甘夏などを購入していたので水俣には度々訪れているが、吉井さんが市長になってからは、行くたびに、同市は変化している、進化しているという印象を受けた。行政のトップが代われば、その地域の住民も街も変わるのだ。

吉井さんが2017年に出された『じゃなかしゃば 新しい水俣』(藤原書店)の出版記念会には村上達也さんと一緒に参加したが、この会には多くの水俣病患者たちも出席していて、吉井さんとの絆の強さを知った。

一昨年5月、私は家族旅行の際に吉井さんの自宅に寄り、思い出話に花を咲かせることができたが、その時も、まだトラクターに乗り、田畑を耕していると聞いて驚いた。

吉井さんは文を書くのも達者。『離礁:水俣病対策に取り組んで』、『奈落の舞台回し』、『気がついたらトップランナー』などの著作がある。米寿を過ぎてからも『小さな蛮勇』と題するエッセイを書きつづり、私たちに送ってきてくれていた。最後は今年の正月。その軽妙洒脱(しゃだつ)な文を読みながら、吉井さんとの出逢いを振り返っている。

ありがとう、そしてさようなら吉井さん。(元瓜連町長)

桜川の特定外来魚活用にアイデア出し合う 第2回川守養成プログラム

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漢字クイズを出しながら桜川の在来魚について説明する鈴木清次組合長(奥)ら

つくば市などを流れる桜川の環境を見守る人を養成する「桜川川守かわもり養成プログラム」(4月22日付)の第2回体験会が9日、桜川河川敷のつくば市松塚、桜川漁業協同組合(鈴木清次組合長)拠点広場で開かれた。市内外から14人が参加し、外来魚の活用法や、桜川の環境をどう見守っていくかについて意見が交わされた。同プログラムは川の水質や生態系を見守る担い手を育てようと、桜川漁協や市民グループ「桜川ナマズプロジェクト」が協力し、NEWSつくばが後援して実施している。

ハクレン大量遡上は観察できず

桜川では先月15日から産卵期のハクレンの大量遡上が始まった(5月15日付)。今回のプログラムはハクレンを観察する予定だったが、しばらく雨の日がなかったことから川の水量が少なくなり、遡上やハクレンジャンプといわれる集団跳躍行動を観察することはできなかった。参加者はハクレンジャンプを観察する予定だった少し上流の堰まで歩いて移動し川を眺め、遡上した時の様子について話を聞いた。堰では体長50センチほどのゴイサギのつがいがじっと川面を見つめ、魚を狙う様子が見られた。また拠点広場では、特定外来生物のアメリカナマズ釣り体験も行った。鈴木組合長は、桜川に生息する在来種のマゴイ、ゲンゴロウブナ、タナゴなど27種類の魚について参加者にイラストを見せて話した。

ハクレンジャンプを観察する予定だった桜川の堰を見る参加者

国際ナマズ料理大会、ナマズ肥料使った農園などの案も

桜川で近年急増しているアメリカナマズは特定外来生物のため、外来生物法により生きたまま運搬することが禁止されている。市内から参加した夫婦は、7月に開かれる桜川漁協主催の外来魚釣り大会に毎年参加していると話し、釣り人の目線から「アメリカナマズを釣っても全部食べられるわけではなく、(活用のための保管など)置くところに困る。釣ったナマズを集めるところを作ったらどうか」というアイデアを話した。また、ナマズの皮をなめして財布を作る、ナマズ料理大会を開く、キャラクターを作る、ナマズで肥料を作り、それを使用した農園「ナマズパーク」を作る案も出た。都内からの参加者は「ナマズは困った存在というだけではなく、ナマズがいるからいろんな国の料理を知ることができるのでは」と肯定的にとらえ、ナマズを使った各国の国際料理を紹介するのはどうかと意見を話した。川守養成プログラムを通じ、今後も漁業者と参加者とで意見を出し合っていくことになる。

草刈りや清掃活動など参加へ

鈴木組合長は市水質浄化対策推進協議会の会長も務めていることから、同協議会で行っている河川敷の清掃活動や花畑の造成活動についても説明した。河川敷をきれいに保つことについては「川辺で花を作るにも野菜を作るにもとにかく草刈りの手間がかかる」とし、特に土手の斜面を刈るのに草刈り機を持っている人たちの協力が不可欠であることを話した。桜川の近隣に住んでいるという参加者は、20年くらい前に川の清掃活動に参加していたことがあり、カヤックで桜川を下ったこともあるという。今後再び桜川の清掃活動などに携わっていきたいと話し、鈴木組合長も「ぜひお願いします」と受け入れ、地域の輪が広がった。

ナマズ、カワエビの試食も

釣り体験では、桜川漁協組合理事の松田七郎さんらが手伝って、15匹以上のアメリカナマズを釣り上げた。ナマズは組合員や参加者がさばき、唐揚げにして振る舞われた。また桜川で捕れたばかりの川エビの唐揚げも振る舞われた。四川料理店「麻辣十食」(同市天久保)も、香辛料を効かせたナマズ料理「ラーズーナマズ」を提供し、「スパイスの香りで冷めてもおいしく食べられる」と好評を博していた。

同プログラムは年5回実施の予定。4回以上プログラムに参加した人は、養成プログラム実行委員会が桜川の「川守」(桜川を見守るサポーター)に認定し、川の清掃活動などの情報を配信する。プログラムは1回のみの参加も可能で、来年度も実施を予定している。(田中めぐみ)

◆次回、第2回プログラムは7月7日(日)開催の予定。NEWSつくばのページで参加を募集する。

➡第1回川守養成プログラムはこちら

マドンナとの再会《続・平熱日記》159

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絵は筆者

【コラム・斉藤裕之】個展「平熱日記 in丸亀」の初日。11時のギャラリーオープンに合わせて、5時前に家を出た。麦秋の岡山。陽光降り注ぐ瀬戸内海を見下ろして瀬戸大橋を渡る。

既にギャラリーで待ってくれていたのは、小学生の頃からの旧友とその奥様。彼とはよく釣りに行った。中学高校と部活も同じ。今は水産会社を切り盛りしている。「徳山湾」という作品を気に入ってくれた。海上の舟から撮った徳山(現周南市)の写真をもとに描いたもので、今回展示しようか迷った絵だったが、彼に持ち帰ってもらう運命だったようだ。

入れ違いに、高松に住む高校の同級生が現れた。当時軽くツッパッていた彼が、なんと高松の裁判所で裁判官をしているというから驚いた。それから、彼を含めて6人もの同級生が集まってくれた。なんと44年ぶりの再会。何はともあれ、まずうれしかったのはみんなが私の絵をとても熱心に見てくれたこと。

それにしても、わざわざ大阪から東京から神奈川から…。その中に、大津から来たという女性がいた。

「誰だかわかる?」「小川さん!」。彼女はいわばマドンナ(古い!けど昭和なので)的存在で、3年生の時に同じクラスだった。シャイな斉藤少年は遠巻きに彼女を眺めながら、ほとんど喋ったことがなかった。しかし時を経て話をしてみると、マドンナは実に気さくで愉快なキャラクターだということが分かった。

勘八、竹寿、コルシカ、アチャコ …

夕方、高松に移動した。港の近くにある新しく整備された駅。大きく長いアーケードが印象的な街。

大阪在住の岡本君(今回彼は実にスマートな香川の旅をコーディネートしてくれた)が、なじみの店を予約していてくれた。そこに高松在住の同級生2人が合流。男性陣はいずれも立派なキャリアを積み上げていた。私が日銭を稼ぐのにヒイヒイしていた間に。話は高校時代の逸話から故郷の話題に。

日本中の地方都市がそうであったように、私の高校時代の故郷の繁華街は活気であふれていた。「青空公園の近くのソフトクリームがおいしかったのよ。それからアチャコね…」と話しているのは小川さん。アチャコ? かなりマニアックな飲食店の名前だが?

試しに、私が「寿司といえば?」と聞いたら、「勘八でしょ!」。まさかの意中の店名を言い当てられて驚いた。「あんた勘八を知っちょるん?」「あそこの大将の握るノリ巻きのノリの香りがねえ…」「それから金星、竹寿でしょ、それからコルシカ、ツジのステーキ…」。

彼女の口から次々と出る故郷の老舗名店の数々。回転寿司などない時代である。しかも、お子様向きではない名店。仕事柄、また食道楽でもあった父親の影響で私はその辺りの店を知っていたのだが、今まで私以外にこれほどまでに詳しい人に出会ったことがなかった。

ならば、いつか小川さんとお食事でも!と思っても、残念ながらかつての名店は今もうほとんど残っていない。

まぶしく新鮮な母校のセーラー服

山口の弟の家で一泊した翌朝、駅まで送ってもらった。ちょうど通学の高校生が駅の階段から降りてきた。こんなに真っ白だったっけ? 都会ではあまり見かけなくなった母校のセーラー服がまぶしいほど新鮮に感じられた。街は変わったが生徒たちは何も変わっていないと思った。新幹線は大津を通過。台風の影響で車窓は白く煙っていた。(画家)

筑波高校でキャッシュレス学園祭 金融教育実践の場に

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屋外の屋台でau PAYを利用し、支払いをする菊田希歩さん(右から2人目)と飯塚芳佳さん(右端)

県立筑波高校(つくば市北条)で8日、現金を使わず、スマートフォンで支払いができる決済サービス「au PAY」を利用した学園祭が開催された。同校でキャッシュレス決済を取り入れた学園祭を行うのは昨年に続き2度目。昨年、県内で初めて導入した。

KDDIが2022年から始めたサービスで、全国40以上の高校の学園祭で導入されている。県内では水戸工業高校(水戸市)でも同じサービスによる文化祭が実施された。

利用者は、事前に「au PAY」アプリをダウンロードし、入金作業を行った後、出店先に表示されたQRコードを読み取り、支払い金額を入力することで、決済が完了する。

学園祭当日は、9つのクラス企画のうち、飲食を扱う屋台や、縁日、お化け屋敷などを含む8団体が同サービスを利用した。出店者である生徒は、売上の状況や混雑時間帯などのデータをリアルタイムで確認できるほか、学校側は現金の管理が不要になるため、事務作業の効率化や負担軽減が期待できる。

縁日の企画でキャッシュレス支払いをする男の子(左)

同校の鈴木恒一校長は「売上などのデータを集計し、分析することは、やがて社会の一員になった際に必要なスキルであり、生徒たちの金融リテラシーを育む良い機会になる。また会計処理の負担が軽減されたこともあり、教員の働き方改革の一助にもなっている。金融教育を実践する場として活用できるキャッシュレス学園祭を今後も継続的に利用できれば」と話した。

同校3年で、学園祭実行委員長の飯塚芳佳さん(17)は「キャッシュレス決済を利用した学園祭はとても便利で、特に屋台の模擬店では、お客さんを支払いで待たせることなく、できたてを提供できる」と話し、同じく3年で副委員長の菊田希歩さん(17)は「リアルタイムで売上が確認できるため、他のクラスと競い合いながら取り組むことができ、お金を稼ぐ大変さも同時に学ぶことができる」と語った。

同校に通う生徒をもつ、市内の保護者は「現金のやり取りがないため、支払いがスムーズ。学園祭をキャッシュレスで行うのは今までにない視点だったので驚いた」と話した。

サービスを提供したKDDIの森本剛さんは「22年度から家庭科の授業で金融教育が始まったことや、デジタル化が影響し、全国的にキャッシュレスで学園祭を行おうとする傾向がある」とする。(上田侑子)

牛久、阿見で非日常を味わう大仏様とアウトレット《遊民通信》90

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【コラム・田口哲郎】

前略

先日、あみプレミアム・アウトレットと牛久大仏に行ってきました。このアウトレットは「160 OUTLET STORES」とうたわれているとおり、多数の店が集まるいわばショッピングセンターです。圏央道・阿見東インターチェンジ直結で、アクセスに便利な立地にあるため、来客は地元民にとどまらず、東京、他県からやってきます。

アメリカ西海岸をイメージした建物、広い空、ヤシの木の並木、ビルボードヒットチャートランクインの音楽がBGMとして流れるロケーションに身を置けば、まるで海外のセレブになったような錯覚に陥ります。

三菱地所・サイモン経営の「プレミアム・アウトレット」として日本では8番目、首都圏では佐野に次ぐ2番目に開業した施設です。牛久大仏の近くにあり、施設内から大仏の胴体から頭部を見ることができます。次に大仏様を拝みに行くと決めていたので、期待感が増しまた。

セレブ気分に浸って、いつもとひと味違ったランチを楽しみました。中華レストラン「青菜」で、油淋鶏(ユーリンチー)をいただきました。このお店は東京の丸の内にもある有名店です。時間に余裕があったので、ショッピングもしました。定価よりもお手頃な値段で、有名ブランドの品を手に入れることができます。非日常を堪能したところで、大仏に移動。

極楽浄土にいるような感覚「蓮華蔵世界」

牛久浄苑は東京の西浅草にある東本願寺が経営している墓地です。そこに高さ100メートルの巨大仏像が建っており、大仏様の足元の蓮の花が本堂にあたります。

入口を入ると、真っ暗になる部屋に通されます。極楽浄土に向かう前の煩悩の世界だそうです。そして扉が開かれると、救いの光が差します。そして圧巻なのは「蓮華蔵(れんげっぞう)世界」。そこは金色の大きなホールで、3500体の胎内仏が壁一面、上から下まで並んでいます。本当にここは極楽なのではないか、と錯覚しました。荘厳だけれども、なにか柔らかな雰囲気に包まれ、いい気分でした。

外に出ると、これまた極楽をイメージしたきれいな庭園があります。この世にいながら、極楽を味わえる、京都は宇治の平等院に似た趣があります。

どちらもJR常磐線の駅から少々遠い場所にはなりますが、非日常を味わえる施設が近くにある。一つは世俗的な商業施設ですが、まるでアメリカ西海岸にいるような非日常、そしてもう一つは宗教施設ですが、まるで極楽浄土にいるような非日常。お休みの日には、牛久、阿見に出かけて非日常を味わうことをお勧めします。ごきげんよう。

草々

(散歩好きの文明批評家)

平家物語を語り奏でる琵琶演奏会 29日つくば ウクライナ出身のチェロ奏者 推し

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琵琶奏者の谷田部晃功さん(左)と石井由美子代表(「世界音楽の旅つくば発」提供)

琵琶の演奏会「琵琶へのいざない~平家物語の無常観と哀れ」が29日、つくば市遠東、老人福祉センターとよさとで開かれる。大子町在住の琵琶奏者、谷田部晃功あきのりさん(47)が平家物語の演目「敦盛」と「能登殿最期・壇ノ浦」を披露する。つくば市在住の物理学者でオペラ演出家の大須賀ケネス鬨雄ときおさんによる講演も催される。

それほど感動したなら

音楽を通して世界の国と人々への関心を深めようと、つくばでさまざまな国の音楽講義や演奏会を開催しているボランティア団体「世界音楽の旅つくば発」(石井由美子代表)が主催する。

今回、琵琶の演奏会を発案したのは、代表の石井さん(63)が支援しているウクライナ出身のチェロ演奏家、トルマチョヴ・グリェブさんから琵琶奏者の谷田部さんについて聞いたことがきっかけ。グリェブさんはつくば市に住む妻の姉を頼り、昨年つくば市に避難してきた。来日後、谷田部さんの演奏を聞いて感動。石井さんに思いを伝えた。

石井さんは「考えてみると学校では西洋の音楽ばかり習ってきて、日本の音楽を知らないと気が付いた。グリェブさんがそれほど感動したのなら演奏会を開催したいと思い、谷田部さんにお願いした」と話す。石井さんも谷田部さんの演奏から琵琶の魅力を知り、日本の音楽について勉強している。

演奏会のちらし(同)

アニメ映画のレコーディングに参加

谷田部さんは2016年から正派薩摩琵琶の後藤幸浩さんに師事している。後藤さんは22年に米ゴールデン・グローブ賞にノミネートされたアニメ映画「犬王」や、テレビアニメ「平家物語」の琵琶監修、演奏を担当しており、谷田部さんも「犬王」のレコーディングに参加している。

都内で活動するエレクトリックベースの奏者だった谷田部さん。ロック、ジャズ、ソウルなどさまざまな音楽を聞いていた。特にアフリカにルーツを持つブラックミュージックに傾倒していく中で、「音楽の中にプレーする人のエネルギーやパワーを感じ、日本人としてのルーツは何か考えるようになった」と言う。日本人の精神を元につくられる音を奏でたいと現在、琵琶奏者として活動している。

平家の怨霊を鎮魂

鎌倉時代に成立した軍記物語「平家物語」は、盲目の琵琶法師が琵琶をかき鳴らし語り伝えられてきた。この語りの演奏様式は一説には12世紀末頃から始まったとされる。谷田部さんは、琵琶には死者の意をくみ、冥界とつながる力があると話す。「平家物語は武勇伝のようなものだと思いがちだが、そうではなく非業の死をとげた平家の怨霊への鎮魂の意味合いがあるとされている。慈悲と優しさの物語だからこれまで語り継がれてきた。一生懸命生きた人々に思いをはせながら演奏したい」と演目への思いを話す。

「世界音楽の旅つくば発」は、石井さんが2020年にがんを患ったことや世の中がコロナ禍に見舞われたことから、閉塞感を打ち砕きたいと、同年12月、世界の音楽についての講義を企画し、オンライン配信を始めた。インドネシア、ベネズエラ、ブータン、フィリピン、パプアニューギニアの音楽など、普段あまり耳にすることのない音楽について解説する配信が好評を博し、昨年からは外にも活動の場を広げて、市内の小中学校やまつりつくばなどで年10回ほど演奏会を開催している。(田中めぐみ)

NEWSつくばを見た中高生は500円

◆「和楽器の世界 琵琶へのいざない~平家物語の無常観と哀れ~」は6月29日(土)、つくば市遠東639-1、老人福祉センターとよさとで開催。第1回は午後1時から2時15分、第2回は午後3時から午後4時15分。受付は30分前から。入場料は中学生以上1000円。NEWSつくばを見た中高生は500円。申し込みはこちら。問い合わせは同会のメールまたは電話080-5089-0617(石井さん)へ。

当日は能登半島地震義援金募金箱を設置する。寄付金が1000円以上の人は花の苗を、2000円以上の人は花の苗と谷田部さんが特別栽培した奥久慈大子産「立神米」をプレゼントする。集まった寄付金はつくば市社会福祉協議会を通じて寄付する。

25年入試から竹園高の募集定員増を《竹林亭日乗》17

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淡竹の花(筆者撮影)

【コラム・片岡英明】本サイトの「来年度から半分の3学級を普通科に-つくばサイエンス高」(5月24日掲載)の記事は受験生にとって朗報である。多くの方から喜びの声が上がっている。

4日後の28日、私たちの会は県に6回目の要望書を提出した。その際、①県がサイエンス高の学級編成を設置2年で見直したこと、②普通科を2学級でなく3学級確保したこと、③昨年の筑波高・牛久栄進高の学級編成発表より2カ月早く公表したこと-を評価し、その上で更なる改善を求めた。

サイエンス高校への普通科設置発表後、私たちの会員などから「竹園高の学級増が必要」「せめて1学級でも増やしてほしい」といった声が出ていた。これを踏まえ、要望書を渡した後の県教育委との懇談の場では、つくばエリアでの県立高不足の抜本的解消策のほか、当面の具体策としては2025年度入試からの竹園高の2学級増を求めた。

次の次は県立高の新設が必要

つくばエリアの県立高校定員増要求に対し、県はこれまで「つくば市内に定員割れの県立高があるので、その解消を優先したい」と応じてきた。

そのため、竹園高の学級増は「定員割れ」問題の影に隠れていたが、筑波高の進学コース設置(昨年)とサイエンス高の普通科設置(今年)が実現したことで、受験生・保護者、そして私たちの会員の関心は竹園高の定員増に向かっている。

元々、つくば市内既存校の定員割れ問題とつくばエリアの県立高定員不足問題はあまり関連がない。生徒が増えているのに、県は既存高の定員割れ解決を理由に、つくばエリアの構造的な問題(県立高校定員不足)の解決を先延ばしにしてきた。これに、近年の県立中設置に伴う土浦一高・水海道一高・下妻一高などの定員削減が加わり、受験生にとって入学枠の問題がかなり深刻になっている。

県がサイエンス高に普通科を設置することは、進学先に悩む生徒・保護者にとって好ましい対応と言える。これを契機に、竹園高の定員増(当面の策)を直ちに行い、つくばエリアの県立高新設(抜本策)への道が開けることを期待したい。

改善計画を示すべき

県の発表では、サイエンス高に普通科を設置するものの、定員は増やさない。そこで、つくば市内の県立高定員増策として、来年度入試から、竹園高の2学級増を求めたい。県は「高校改革プラン2019.2」で「エリアの生徒数に応じて募集学級数を調整する」と言っており、つくばエリアの必要学級数を算出し、改善計画を示すべきである。 

私たちの試算では、県立高定員を県平均水準にするには、現状で15学級、2030年までにさらに10学級必要である。これには高校を新設しなければ対応できないが、当面の対応=竹園高学級増=は、生徒や保護者の願いである。(元高校教師、つくば市の小中学生の高校進学を考える会代表)

消費社会が浪費社会に向かっている不安《ハチドリ暮らし》38

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写真は筆者

【コラム・山口京子】以下、90歳になる母とかかりつけ医のやりとりです。「歩くのは不自由だが、ほかに悪いところはない。検査でも問題ないし、100歳まで生きるよ」「そんなに長生きしたら大変だ。はやく迎えが来てほしい」。

家に戻って、母は「なんでこんなに長生きなのか。食うや食わずで育ったのに…。ろくな食べ物もなかったし、野良仕事はきつくて、きつくて、つらかった」と、当時のことを語ります。

母の思い出話を聞きつつ、自分のおぼろげな記憶を手繰り寄せると、1960年代前半までの農村は、まだ体を酷使する農作業と、手作業の家事に追われていました。田植えも稲刈りも手作業で、親戚総出の大仕事です。洗濯はタライで洗濯板を使い、ご飯は竈(かまど)。移動は自転車かバイクでした。

それが変わり始めるのが60年代後半です。耕運機が導入され、牛がいなくなりました。家事は洗濯機や炊飯器で様変わりします。70年には街にスーパーができ、様々な商品が並んでいました。テレビに映る米国の生活スタイルがまぶしく見えました。生活が楽にきれいになっていくことは望ましいことだ、と。

いつのころからか、母は「作るより買う方が安い」と言うようになりました。そのころから、ハレ(晴れ)とケ(褻)の食の区別もなくなっていったように思います。

第一次産業が土台にある暮らし

父が農業をやめて働きに出るのが、やはり60年代です。そうして、お金のかかる生活が当たり前になっていくのです。70年代後半からはモノやサービスが行きわたり、消費社会が浪費社会に向かっているような不安を感じました。

消費社会を支える生産システムとはどうなっているのでしょう? そもそも先進国と言われる国々の経済システムは、地球に対して、第三世界と言われた国々に対して、どういうことをしてきたのか? こういったこととしっかり向き合わないと、今の自分たちが抱える問題を解決できないのではないかしら?

なにを土台にして、どう立て直すのか? うまく言えないのですが、産業構造が逆三角形になっているように思えます。産業区分として、第一次産業、第二次産業、第三次産業という分け方があり、経済が高度化するほど、第三次産業のウエイトが増していきます。でも、ほんとうかな?と。

落ち着いた暮らしを望むなら、三角形の土台に第一次産業があってほしいと。たくさんの本にいろいろなことが書かれていますが、人としての良心に支えられ専門家としての責任を果たそうとする人の言葉に学びたいものです。(消費生活アドバイザー)

協議会いまだ設置されず 準備会提案で9日、洞峰公園市営化イベント つくば市

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洞峰公園

今年2月、つくば市が県から無償譲渡を受けた洞峰公園(同市二の宮、約20ヘクタール)について、公園の自然環境や施設などの情報を市民と共有するための「洞峰公園市営化スターティングイベント」が9日、同公園で開かれる。一方、今後の公園の維持管理や運営方法などを協議する場として、当初市が3月に設置するとしていた「協議会」は、いまだに設置されておらず、いつ設置するかの見通しも立っていない。

市公園・施設課によると、9日のイベントは、協議会の委員を選定するために3月に市が設置した準備会で提案があった。準備会はこれまで2回会合を開いたが、メンバ―も会議自体も非公開だ。

準備会の構成は、市と県の職員など行政関係者が6人、市議会代表が1人、外部の専門家が2人の計9人という。1回目を3月29日に開催、4月18日開いた2回目の準備会で、「そもそも洞峰公園の理解が十分でない、なぜ自然を残すのかなどが市民に十分伝わってない」などの意見が出て、洞峰公園の自然環境や施設などについて市民と情報を共有するためのイベントを開くことになった。

五十嵐立青市長は5月の定例会見で、9日開くイベントの位置づけについて「市民が洞峰公園の在り方についてより主体的に関わって、市民がつくっていく公園に変わるため」のものだとし、協議会をいつ設置するのかついては「何月何日に立ち上げるとまだ言う段階ではない」としている。

探索とトークの2部構成

9日の洞峰公園市営化スターティングイベントの内容は①公園の探索ウオーク➁各専門家によるテーマトーク、パネルセッションの2部構成。①探索ウオークは「公園の生き物探検」「施設維持の公開」「子供の育ちと公園」の3グループに分かれ、洞峰沼周辺を散策して植物や鳥を観察したり、体育館やプール、新都市記念館などの施設を見学したり、遊戯広場や遊具を見学する。その後➁テーマトークで探索を振り返り、パネルセッションでは各パネリストが、5日までに市民から寄せられた「洞峰公園のこれから」についての意見などに答える。

探索ウオークの「公園の生き物探検」は、国立環境研究所研究者で市民団体「洞峰いきものSDGsの会」メンバーの石浜史子さんらが案内、「施設維持の公開」は市公園・施設課職員らが、「子供の育ちと公園」は筑波大芸術系の藤田直子研究室の学生らがそれぞれ案内する。

テーマトークとパネルセッションは、筑波大芸術系の藤田教授が司会を務め、五十嵐市長、環境研の石浜さん、藤田研究室の学生、県都市整備課の大塚秀二課長、市建設部の富田剛部長らがパネラーとなる。

市の負担軽減など課題

無償譲渡を受けた後、市が洞峰公園をどう運営するかについてはこれまで、維持管理費や施設更新費などの負担軽減が議会や市民説明会などで課題となっている。昨年7月に市が市内4カ所で開催した市民説明会では、維持管理費の負担軽減策として「今のように庭園として管理するのではなく、自然公園として管理すれば維持管理費がかなり安くなる」など維持管理の抜本的な見直しを求める意見も出た。

今後の洞峰公園の在り方について五十嵐市長は、公園利用者、地域住民、学識経験者、観光や商工関係団体、市と県など行政などによる協議会を設置し、施設の使用料も含め、今後の維持管理や運営をどうするかを協議会で決めるとし、委員20人程度、年10回程度開催を想定した謝金約200万円を予算化している。協議会では、分科会を設置してテーマごとに話し合うなどのアイデアも出ていた。

市は、協議会で方針が出されるまでの間は現状を維持するとして、今年度の公園の維持管理を、これまで県の指定管理者として同公園を維持管理していた東京アスレチッククラブに、随意契約により年間約3億7900万円で委託している。協議会の設置が遅れていることで、来年度の維持管理をどうするのか、委託事業者を決める入札など契約方法についても方針が示されないままだ。

さらに公園内にある体育館やプール、新都市記念館などの大規模改修や長寿命化費用など、市の負担が一体いくらになるのかについても、まだ示されていない。施設の更新は、負担を平準化するため長寿命化計画を策定し計画的に更新工事を進めるのが通例だが、長寿命化計画の策定時期についても現時点で未定だ。市は「(譲渡にあたり)県が前倒しで改修をしたので、今のところ施設の大きな更新は必要ない」とする。(鈴木宏子)

◆洞峰公園市営化スターティングイベント「洞峰公園とこれから」は9日(日)午前9時~午後1時。「探索ウオーク」は3テーマそれぞれ午前9時30分~、10時20分~、11時10分~の各3回開催、定員は各20人、集合は多目的広場。インターネットによる参加申し込みは5日(水)までだが、定員に達してなければ当日申し込みも可。「テーマトークとパネルセッション」は正午~午後1時、体育館で開催。事前申込不要。あなたが描く「洞峰公園のこれから」についての意見募集は5日まで。詳しくは市ホームページへ。

お薦めの地元食品が一堂に 15日 筑波銀行「駅前マルシェ」

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昨年10月に開催されたつくば駅前マルシェの様子(筑波銀行提供)

筑波銀行(本店土浦市、生田雅彦頭取)が県内外の食品や食材の魅力を伝える販売会「つくば駅前マルシェ」が15日、つくば駅前のつくばセンター広場で開かれる。つくば、牛久、かすみがうら市などの企業21店とキッチンカー4台が出店する。昨年10月に続き2回目の開催となる。主催はつくば駅前マルシェ実行委員会(筑波銀行内)。

地域経済の活性化を目指し、お薦めの農産物、加工食品、スイーツなどを一般消費者向けに紹介する。つくば市からは8店が出店し、仙台牛タン焼き、ハム、チヂミ、カレー、麻婆豆腐やドリンクなどを販売する。センター広場のモニュメントプラザでは、筑波ジュニアオーケストラとつくばジュニアウィンドオーケストラの演奏会も開催される。損害保険ジャパンによる「親子で学ぶ防災ワークショップ」も出展する。

出店する25事業者は同行が提供する福利厚生サービス「ハッピーエールサポート」の提携先が中心で、会計時にハッピーエールサポート会員証を提示すると各店で特典が受けられるという。

初回の昨年10月は、筑波銀行がつくばカピオ(同市竹園)で昨年11月に開いた商談会「2023ビジネス交流商談会+SDGs」のプレイベントとして実施した。20店が出店、約3000人が来場した。商談会の食部門に出展する企業から「地元の人に自慢の商品を知ってほしい」「その場で調理した出来たての食品を提供したい」という要望があり、開催が実現した。

同行の担当者は「県内外から25事業者が地元食材を使った自慢の食品を提供する。前回の出店規模を上回り、子どもから大人まで幅広い年齢層の皆さまに楽しんでいただけるイベントとなるので、多くの皆さまにお越しいただき、当行がお薦めする県内外の食品の魅力を発見していただければ」と話す。(田中めぐみ)

◆つくば駅前マルシェは15日(土)午前11時から午後3時まで、つくば市吾妻1-10-1 つくばセンター広場ペデストリアンデッキで開催。雨天中止。問い合わせは電話029-859-8111(筑波銀行内の「つくば駅前マルシェ実行委員会」事務局)へ。

【出店する25店】
▽モッツバー高の家(つくば/牛タン焼き・せせりほか)
▽里カフェ(常総/イモアイス・イモチップスほか)
▽とんかつ とん(日立/ヒレかつ)
▽ムトウ削節店(土浦/焼きおにぎり・ドリップ出汁ほか)
▽筑波ハム(つくば/ハム・ベーコンほか)
▽ソウル家(つくば/チヂミ・トッポギほか)
▽扇屋商店(ひたちなか/本場ほしいも)
▽インドレストランガンズ(つくば/インドカレー・サモサほか)
▽髙橋肉店(龍ケ崎/龍ケ崎コロッケ・みっちープリンほか)
▽四川料理・麻辣十食(つくば/麻婆豆腐・汁なし担々麺ほか)
▽チキンダイナマイト(東海村/韓国チキンほか)
▽コロッケのころっ家(大洗町/コロッケバーガー・スナックフード)
▽コスゲパン(千葉県流山市/激安パン)
▽アオイ(つくば/常陸牛のメンチカツ・笠間の栗コロッケ)
▽カフェバスいろは(下妻/クレープ・ドリンク)
▽産みたて卵専門店たまご屋本舗(常総/極上カスタードプリン・手作りあげもち)
▽ストロベリーファーム八千代(八千代/スムージー・いちごミルクほか)
▽菓子庵 たちかわ(筑西/和生菓子・焼菓子ほか)
▽ROMII DONUT(大洗町/ドーナツ)
▽茶の木村園(つくば/日光の天然かき氷)
▽壺焼き司源(東京/焼き芋・スムージーほか)
▽つくばブルワリー(つくば/つくば産クラフトビール)
▽ベルファーム~畑の中のジューススタンド(つくば/野菜ジュース・果物ジュース)
▽牛久シャトー(牛久/クラフトビール・日本ワイン)
▽江口屋醸造所(かすみがうら/クラフトビール・ソーセージ)

理解するということ《続・気軽にSOS》150

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【コラム・浅井和幸】私たちの体や脳は、贅(ぜい)肉が大切なもので、筋肉が無駄なものであることを知っています。この無意識レベルの知識は、とても重要です。これを知っていないと、飢饉(ききん)が起きたとき、あるいは狩りがうまくいかなかったときに、あっという間に生命の危機に陥るからです。

例えば、3日間食事にありつけないとします。そのとき、贅肉がついていないとすぐに栄養失調になってしまいます。そのとき、余計な筋肉がついていると余分なエネルギーを使ってしまいます。なので、脂肪が少なく筋肉が多い体は危険であり、そうならないように体も脳も働くのです。

今の日本では、上記のことは何か変ですね。そうです。今では、飢餓状態よりも栄養過多の場面の方が多いですね。糖尿病などの生活習慣病は、飢餓状態を恐れ、栄養失調に対応するために、脂肪を体にため込むことに喜びを感じるようにできているとみることができます。

人類は、過去の栄養不足という経験から生き延びるすべを獲得しました。しかし、急速に環境が変化した現代に対応するには、意識して食事・運動・睡眠のバランスを考える必要があるでしょう。無意識だけに任せず、「意識」して「考える」ことが大切です。

知っていることは過去の経験です。それを現在、そして未来に生かしていくには、支障が出ているところを理解して、それに対応するために行動することが必要なのです。

知らない人に説明できること

より理解するためには、それを知らない人に説明できるかどうかがバロメーターになります。別の価値観がある多くの人に説明できること、さらには自分の行動に反映していけることが、より深い理解があるということになります。その理解を道具として、自分や他者の人生に良い影響を与えることができます。

知人が「最高の支援方法である〇〇を勉強すべきだ」と言ってきました。その方法は、とても偉い先生が提唱しているらしく、知人はその先生を尊敬している様子でした。私は、その知人に質問をしてみました。どのような支援か?と。

勉強熱心な知人は、すらすらと、その支援の方法を教えてくれました。それがどれぐらい素晴らしいかもです。

「なるほど、それは素晴らしいね。実際に困っている人には、それをどのように使って支援すればよいか教えてほしい」と言ったら、知人は言葉に詰まり、「自分が言いたいことは全てこの本に書かれている」と、本を何冊も出してきました。

知っていること、理解していること、実戦で使用すること―は、同じ方向性にはあるのだろうけれど、同じではないと考えました。(精神保健福祉士)

筑波大女子バスケ 強豪ハワイ大と対戦 6日ホームで

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筑波大学女子バスケ部の選手ら(同大体育スポーツ局提供)

パリ五輪代表候補 朝比奈選手も出場予定

全日本大学女子バスケットボール選手権で10回の優勝経験を誇る筑波大学女子バスケットボール部が6日、つくば市天久保、同大中央体育館で、米国地区リーグ優勝のハワイ大学と対戦する。筑波大体育スポーツ局が主催する今年度初のホームゲームイベント「ツクバライブ!ハワイフューチャーカップ」(TSUKUBA LIVE! Hawai’i Future Cup)で、同スポーツ局と協力しながら、学生有志約30人がスポーツイベントの企画・運営を行っている。

筑波大女子バスケ部は、昨年度の関東大学女子リーグ戦で4位の実績を誇る。過去に同大会で16回優勝した。7月に開幕するパリ五輪代表候補に選出された朝比奈あずさ選手(体育専門学群3年)と、18歳以下の3人制バスケ「3×3 U18」日本代表に選出され、ワールドカップ3位という結果を残した上野心音選手(体育専門学群2年)も出場する予定だ。

フューチャーブルーのユニフォームの筑波大女子バスケ部選手(同)

対する強豪ハワイ大女子バスケ部は2022−23年シーズン、米国ビッグウエストチャンピオンシップで地区リーグ優勝となるタイトルを獲得し、全米大学王者を決めるNCAAトーナメントに出場している。

同イベントでマーケティングを担当する同大人文文化学群・日本語日本文化学類3年の滝谷柊太さん(20)は「フィジカル面で圧倒的な強さを誇るハワイ大学に対して、チームワークと戦術が武器の筑波大学がいかにゲームを形づくるかに注目してほしい」と来場を呼び掛ける。

大学スポーツの可能性広げたい

今回で8度目の開催となるツクバライブ!は、過去に男子バスケ、バレーボール、ハンドボール、サッカー、女子バスケなどの試合を国内の強豪大学相手に開催してきた。海外大学との試合は昨年11月に初めて開催され、男子バレーボール部がハワイ大学と対戦し、フルセットの激闘の末、筑波大が惜敗している。

同大ツクバライブ!運営メンバーら(同)

同イベントの企画・運営を行う有志学生は、SNSを通した広報活動のほか、選手が入場する動線、試合を盛り上げる照明やBGMなどの演出も中心に担っている。

今回の対戦から新たに、観客に向けて、同大のシンボルカラーである「フューチャーブルー」を取り入れたドレスコードの推奨や、同イベントの来場リピート率に応じて、ポイントが貯まる「ショップカード」の導入などの取り組みを始める。

滝谷さんは「ツクバライブ!を通して筑波大学が日本の大学スポーツの可能性を広げ、リードできるような存在になれれば。」と語る。

メンバーと話す滝谷柊太さん(右)=同

試合当日には、同大応援部WINSや同大学生団体ときめき太鼓塾などがパフォーマンスで試合を盛り上げるほか、学生同士のスポーツウェア回収と無料配布など、さまざまなブースが出店する予定。

◆筑波大学ホームゲーム「TSUKUBA LIVE! Hawai’i Future Cup」筑波大対ハワイ大 女子バスケの試合は6月6日(木)午後6時〜9時、同市天久保3-1-1 同大中央体育館で開催。開場は午後5時30分、試合開始は午後6時40分。チケットは事前申込制、前売券は1500~3000円、スタンド席高校生以下1000円、車椅子席750円、筑波大生は500円割引など。チケット申込はこちら。イベントに関する情報は、「TSUKUBA LIVE!」の公式X公式ホームページへ。(上田侑子)

台湾16代総統・賴清徳氏就任《雑記録》60

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バラ(写真は筆者)

【コラム・瀧田薫】5月20日、台湾16代総統・賴清徳氏は就任演説で「台湾への言論での威嚇や武力による挑発をやめよ」と中国を名指しで批判した。中国はこれに反発、賴政権に対する懲罰として、台湾周辺での大規模軍事演習を開始した。今後、中国の賴政権に対する姿勢は厳しいものになるだろう。

台湾の政治史において、台湾総統選挙の最大の争点は常に対中国姿勢の取り方であった。賴氏の前任総統・蔡英文氏の場合、2016年時就任演説において「1992年に両岸の両会(海峡交流基金会と海峡両岸関係協会)が話し合いを行い、若干の共通の認知と理解が得られた。私はこの歴史的事実を尊重します」と述べ、中国と話し合う姿勢を見せていた。

しかし、2024年の賴氏の就任演説は、この件に全く触れなかった。同じ民進党に所属していながら、前台湾総統・蔡氏と新総統・賴氏、それぞれの対中姿勢には大きな隔たりができていた。台湾の側に限って言えば、中台関係に関する考え方の変化に加速度がついている感じがする。

他方、中国側は、1992年の交渉において中台は「一つの中国」原則で一致したとの主張を、現在までの約30年間ずっと貫いてきている。中国共産党の一党支配が続く中国に対して、台湾においては、86年に民主化を目指した民進党が誕生し、政治環境が激変した。

民進党の登場によって、もともと中国と対立してきた蒋介石由来の国民党が、相対的に中国寄りのカラーを身に付けるようになっていく。国民党は92年合意について「一つの中国原則」を認めるものの、肝心の「一つの中国」が何をさすかについて、中台間の話し合いが必要であるとの立場を主張している。

最近、中国政府は国民党(最大野党・議席数52議席)と民衆党(第3党・議席数8議席)に接近しようとして様々な方法を試している。民進党が台湾立法院の前回選挙で、過半数・57議席を獲得できず、51議席にとどまったことを、賴政権の最大の弱点と見ての動きであることは明らかだ。

今後、賴政権は人事や予算について、野党攻勢に遭い、苦境に追い込まれる可能性が高い。中国政府はこれに追い討ちをかけようと、狙いを2年後の立法院選挙に絞り、もちろん水面下でのことであるが、野党に対する資金援助、地方議員の取り込み、地方の中小企業経営者に対する利権の提供など、なりふり構わぬ選挙干渉に出る可能性がある。

賴政権、そして台湾の今後は、台湾の有権者の政治判断や状況認識いかんにかかっているということだろう。

ちなみに最新の世論調査によれば、「海峡両岸は2つの異なる国家」と見る人が76.1%に達したのに対し、中国の主張「両岸は1つの中国に属する」に賛同する人は9.7%に過ぎないそうである(東洋経済オンライン5月23日付「現状維持だが中国に配慮もしなかった台湾新総統」=小笠原欣幸氏)。(茨城キリスト教大学名誉教授)

今度は市全域でオンデマンド投票提案 選管見解は再び「時期尚早」 つくば市長選・市議選

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3日開かれたつくば市選挙管理委員会で委員(右側)らに、新たな案を提案する松本玲子副市長(左端)ら

今年10月のつくば市長選・市議選で、市が市北部の一部地域で実施するとして当初予算を計上した、投票箱をワゴン車に積んで自宅前まで行く「オンデマンド型移動期日前投票」について、市選挙管理委員会(南文男委員長)が「一部地域で実施することは公平性の観点から時期尚早」だとの見解を示したのに対し(5月30日付)、インターネット投票などスーパーシティ国家戦略特区に関する取り組みを担当する松本玲子副市長と市政策イノベーション部は3日開かれた市選管で、今度は、自力での歩行が難しい要介護3と4の高齢者などを対象に市全域でオンデマンド型移動期日前投票を実施する計画に改め、再提案した。これに対し市選管は同日、再び「(10月の実施は)時期尚早」だとする結論を出し、現時点でオンデマンド投票を実施するのか否か、見通せない状況となっている。

市選管の南委員長は「全市に広げるなら、本当に(オンデマンド投票を)望んでいる人がどれくらいいるのか、(市が全額助成するタクシー券を利用した)福祉タクシーで救われるのか、数字が把握できていない。オンデマンドを全市で実施するにはまだまだ解決しなくてはならない課題が山積しており、もう少し(他地区で)実証実験を重ねて、課題を解決できてから」だとしている。

一方、市全域での実施を再提案した市科学技術戦略課の中山秀之課長は取材に対し「(時期尚早だという)理由を確認してないので、それに対応していけるよう検討したい」としている。

新たな提案は、車いすのままワゴン車内に入り投票できる福祉車両2台が、市全域の希望者宅を1日8件程度巡回し、計100人程度を対象に実施するというもの。必要な場合はヘルバーが自宅から福祉車両まで連れていくなどする。

これに対し市選管の委員からは「全市の申込者宅を現地調査し(投票したい日時の)希望を聞くということだが、かなりの労力が必要になる。できるのか」「(新たに計画している)タクシー助成を使って、福祉タクシーや介護タクシーを利用して期日前投票所に行くことはできないのか」「雨が降って車いすでの移動に時間がかかったり、(近所の人などが)時間ぎりぎりに投票に来て、時間オーバーした場合、次の投票所(申込者の自宅)に間に合うのか」「(9月の自民党総裁選後の衆院解散・総選挙の見方がある中)国政選挙と同時になった場合は想定しているか」などの質問が出た。

市科学技術戦略課の中山課長は「(時間オーバーした場合は)予備の車両で次の投票所に向かう」、国政選挙との同時選挙の想定については「同時になった場合は(国政選挙などの)投票箱を別の車両に持ち込む」などと回答した。

一方選管の各委員からは「オンデマンド投票をいくら重ねてもインターネット投票にはつながらないのではないか」「オンデマンド投票は、インターネット投票がスタートだが、何でここまで、次から次へと手法を変えて執着するのか、理由が分からない」「これから先(ネット投票の実現まで)どれくらいかかるか見通せない中、どうして固執するのか理由を知りたい」「結論に合わせて、無理につくっているように思える」などの意見も出た。

オンデマンド型移動期日前投票は、市がインターネット投票導入につながるステップだと位置付け、今秋の選挙で実施するとしている。(鈴木宏子)

本サイトは今秋で発足から7年《吾妻カガミ》184

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NEWSつくば活動拠点の日本国際学園大学体育館㊧と、体育館入り口の看板

【コラム・坂本栄】本サイトが発足したのは2017年10月ですから、今秋に7周年を迎えます。スタートから半年間の1日平均閲覧数と23年度の同数を比較すると、7倍強になっており、地域のネット媒体として定着しつつあります。5月に開いた会員総会では、今年度の掲載本数を1日平均3本(23年度は2.23本)に増やす目標を確認しました。

1日3本掲載が当面の目標

編集室がある日本国際学園大学(旧筑波学院大)で、NEWSつくば立ち上げの記者会見を開いたのは17年9月27日でした。研究学園担当の記者に「1日何本アップするのか?」と聞かれ、「コラムも含め朝昼晩各1本、1日3本を目標にしたい」と答えたこともあり、これが目標になっています。

翌日の毎日新聞は県版のトップで「ウェブ『NEWSつくば』開始 『常陽新聞』元記者たち再起」と報じてくれました。この記事でも上のコメントが引用されていました。

閲覧先は県内と東京が同数

5月の会員総会に際し、23年度の閲覧数が多かった記事を抜き出してみました。地域開発、道路整備、教育関係、催事/観光、市政関係、高校野球などへの関心が強いことがわかります。

閲覧数分析では、県内からのアクセスと東京からのアクセスがほぼ同数であることも分かりました。県内と東京がそれぞれ45%、残り10%は北海道・2府・他県です。市町村別では、つくば市>水戸市>土浦市…の順でした。ネット媒体の面白いのは、全国(世界?)どこからでもアクセスできることです。

社会学者と作家の講演会

私たちは昨春、つくば市の有志と一緒に、著名建築家・磯崎新氏を追悼するシンポジウムを開きました。今春は桜川漁協などと協働し、桜川を見守る人を養成する体験学習会「桜川川守養成プログラム」を開催中です。今秋には、土浦ツェッペリン倶楽部と連携し、コロナ禍で延期していた「霞月楼お宝写真展(仮称)」と関連講演会を開きます。

写真展は、土浦の歴史ある料亭・霞月楼が所有する地元画家の絵、山本五十六も勤務した霞ケ浦海軍航空隊の記録類、独飛行船ツェッペリン号が霞ケ浦に飛来した時の写真など、本サイトの特集《霞月楼コレクション》(20年6月から12月にかけて12回連載)から選んだ写真を展示します。

講演会は、「『軍都』を生きる 霞ケ浦の生活史1919~1968」(2023年2月、岩波書店刊)の著者=慶應大学専任講師・清水亮氏、「グラーフ・ツェッペリン あの夏の飛行船」(2023年7月、早川書房刊)の著者=作家・高野史緒氏を招き、巨大な飛行船のこと、旧海軍基地と当時の土浦の関係など、お二方に話してもらいます。(NEWSつくば理事長)

<参考> 関連する記事のリンク先

▽磯崎氏追悼シンポジウムはこちら

▽桜川川守養成プログラムはこちら

▽霞月楼所蔵品紹介連載①はこちら

▽清水亮さんの新刊本紹介はこちら

▽作家・高野史緒さん紹介はこちら

コロナ禍越えて「みんなの食堂」 土浦の町内会に店開き

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「いただきます」みんなの食堂が始まった=土浦市大岩田二区コミュニティーセンター

土浦市大岩田2区のコミュニティーセンターに2日、「みんなの食堂」がお目見えした。地元にキッチンカー「八右衛門」の厨房を持つ久保田紀子さん(47)が子ども食堂をモデルに始めた。用意した50食は30分程度で完売、月1回ペースでの今後の継続に手応えを得た。

1回目のメニューは、地元産のレンコンをふんだんに使った大岩田ツェッペリンカレー。久保田さんが自宅で調理したものをコミュニティーセンターで加熱して容器に盛り、子供たちが配膳した。

子ども100円、高校生以上300円で提供した。地域の子供たちは開店前に6人が集まったが、全員がエプロンを着けボランティアスタッフとして提供側に回り、自ら食べる間もなく売り切った。

食のシンポジウムで発言する久保田さん=クラフトシビックホール土浦

久保田さんは神奈川県横浜市出身、食育インストラクター1級を取得している。2021年に地元食材を使った手作り弁当のキッチンカーを始め、嫁ぎ先の屋号「八右衛門」を掲げた。最初の出店場所がコミュニティーセンターで、その後土浦市の霞ケ浦総合公園やつくば市の研究学園などに展開している。

「折からコロナ禍真っ最中でなかなか大変だったが、3年間続けて何とかやっていけそうと感じている。これまでいろいろ支えてくれた地元の人たちに少しでもお返しできたら」とコミュニティーセンターを拠点にしたみんなの食堂を企画した。キッチンカーに食材を提供してもらっている同市内外の農家などの協賛を受けている。

子ども食堂をモデルにしたというが、開店してみると来店客の大半は地域のお年寄り。ボランティアの子供たちから手渡されるカレーライスをうれしそうに持ち帰った。

食堂を支えるボランティアスタッフ

土浦の旧村部にある大岩田は少子高齢化が進行、コロナ禍が加わることで町内会の行事は休止を余儀なくされた。区長の長谷部勝弘さんによれば「夏祭りは昨年3年ぶりの開催にこぎつけたが、この間子供たちには何のイベントもなくかわいそうだった。だからボランティアとして参加したい気持ちはよくわかる。高齢者にもコミュニケーションのいい機会になったのではないか」と語る。

大岩田小2年、坂本りおんさんは「楽しかった。次もまた手伝いたい」という。次回は7月21日の開催を予定している。(相澤冬樹)

家族に加わる新参者のおはなし《ことばのおはなし》70

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写真は筆者

【コラム・山口絹記】今年になって、10年連れ添った観葉植物のパキラが枯れてしまった。つくばに引っ越してきてすぐ、まだ1人暮らしだった頃に買ったパキラだった。私がパッキーと呼んでいたので、家族からもそう呼ばれていた。世話を怠ったつもりはないのだけど、昨年の猛暑から元気がなく、ついぞ息を吹き返さなかった。

葉が少しずつ落ちてしまっていたのだが、小さい頃の上の娘や下の息子が何度葉をむしっても、春になれば元気に新しい葉をつけていたので、少し油断してしまっていた。

残った幹もスカスカになってしまい、生き返ることはないとわかっていても、なかなか捨てることができないでいたのだが、決心をして捨てた。そして、捨てたその日に娘と花屋に行くことにした。10年前にも1人でパキラを買いに来た花屋だ。花を買う時はいつもお世話になっている。

名も知らぬ観葉植物たちを娘とふたりで眺める。室内に置くので、あまり大きくなり過ぎるのも困る。さりとて大きくならないのも少し味気ない。娘と考え、店員さんにも相談して買ったのは、ゴムの木だった。ついでに娘の選んだ一回り大きめの鉢も購入した。

名前はゴムちゃん!

世話の仕方はパキラとおおむね同じらしい。季節にもよるが水やりは2週間に一度くらい。あげ過ぎはだめとのこと。家に戻ってさっそく新しい鉢に移し替えた。まだ鉢も小さいので、とても軽い。パキラを置いていた窓際に置こうと思ったが、まだ小さいのでしばらくテーブルの上に置くことにした。

散々私に注意されたので葉をむしらなくなった息子が、興味深げに新参者のゴムの木を眺める。どうしても触りたそうだったので、やさしくならいいんだよ、と伝えると、葉をなでて土の匂いをかぎだした。娘も気になったのか鉢の中をのぞき込むと「アレ、何かキラキラしてる」と声をあげた。

私ものぞき込む。「バーミキュライトだね、水をためてくれるんだよ」と私が答えると、娘が鉢からキラキラしたかけらを器用に取り出して、息子と一緒に不思議そうに観察しだした。

「名前は何にしようか」と私が言うと、「ゴムちゃん!」と娘が即答する。息子もいろいろ言うものの、姉に押し切られるカタチで名前はゴムちゃんになった。こどもたちと一緒に、元気に大きくなってくれたらと思う。(言語研究者)

死生観と自然《看取り医者は見た!》20

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写真は筆者

【コラム・平野国美】伝統的な宗教や新興宗教が無数に存在し、それぞれがその死生観を表現しています。異なる民族であっても科学的には真理は一つであるはずですが、宗教間では解釈に相違が生じています。科学ではなくて宗教ですから、どちらが正しいという話ではありません。各民族の宗教観や死生観がどこから発生したのか? 私は、その土地の気候に起因していると思っています。

スウェーデンの死生観は独特で、「死者は森へ還(かえ)る」と考えています。国土が広大な森林地帯で覆われていることにより、スウェーデン人にとって森は故郷であり、死者はその故郷へと還るという考え方が根付いているようです。

仏教やバラモン教の「輪廻転生(りんねてんしょう)」は、生者が迷妄の中で生死をずっと繰り返すと考えられており、自然の循環に共鳴しています。この思想は、インドの気候や季節の変化、モンスーンが存在する自然循環が影響しているのではないでしょうか。

沖縄の「ニライカナイ」

沖縄の死生観は独特で、豊かな自然の要素を含んでいます。古代の沖縄人は祖霊の存在を身近に感じながら生活し、祖先をまつる行事を重視してきました。沖縄の死生観に「ニライカナイ」という考え方があります。海の向こうには神々の住まう楽園があり、それを「ニライカナイ」と呼んでいました。

沖縄は四方を海に囲まれており、自然の恩恵は海から授かるものと考えられてきました。実生活が海に依存しているからでしょう。そこは、自然の恵みや生命の誕生の場所としてだけなく、死者の魂が帰る場所でもあり、魂はここで生まれ変わることによって守護神となるという考えなのです。

この考え方は、学術的には祖先崇拝と呼ばれ、形は違っても世界中に存在するようですが、中国、朝鮮、日本など東アジア圏には祖先崇拝が存在します。日本では祖霊信仰と呼ばれ、縄文時代や弥生時代には存在していました。

日本の「祖霊信仰」

日本人は「あの世にいる先祖は山や海に住んで、お盆や正月に子孫の元に帰ってくる」と信じていたとされています。古代日本では「先祖の霊は死後、時間の経過とともに浄化され、やがて氏神になり子孫を守るようになる」ことを信じていました。仏教による行事と思われる「お盆」も、日本古来の祖霊信仰と仏教が融合した行事であり、 「祖霊信仰」は日本の文化や風習に深く根付いています。

そして、神聖な場所や神が、視界にある山岳・海・川・滝といった場所にあると考えられたのでしょう。海外の文化からすると、多神教、アニミズムと言われ、不可思議な存在と思われるかもしれませんが、この自然と四季の中で当然のように発生したものであると思うのです。(訪問診療医師)