水曜日, 7月 9, 2025
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太平洋戦争開戦の8日 つくばで「不戦のつどい」 ふかしイモの試食体験も

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昨年開かれた「12・8不戦のつどい」の様子(同実行委員会提供)

1941年、旧日本軍がハワイの真珠湾を攻撃し太平洋戦争が始まった12月8日に合わせて、「12・8不戦のつどい」(同実行委員会主催)が8日午後6時から、つくば市並木の並木交流センター2階大会議室で催される。今年は茨城大学人文社会科学部の佐々木啓准教授を講師に迎え「戦争する国の作られ方―『先の大戦』から考える」と題した講演会を開く。

戦争を絶対に繰り返さないため、つくばで戦争体験を語り継ぎ、平和を守り、交流しようと、1981年から毎年12月8日前後に催されている。

主催者は、ここ数年の間に、特定機密保護法、安保法制、共謀罪などが成立したことに危機感を抱き、今回は、戦中に国家がどのように国民を総動員体制に取り込んでいったかを具体的な事例を通し現在の状況と対比して学びたいとしている。

会場では、戦中戦後に主食代わりに食べられた、ふかしたサツマイモの試食も行う。(崎山勝功)

◆資料代500円。問い合わせは同実行委員会事務局(電話029・861・7320)。

《婚姻件数、戦後最低ーいばらきの結婚事情》㊤ 「後継ぎ」と「墓守」は自分の役目

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第910回出会いパーティーで司会進行をする小野史子さん=つくば市研究学園のホテルベストランド

県によると、2016年の県内の婚姻件数は戦後最低の1万3201件。1971年の2万件をピークに下降線をたどっている。若者の雇用や収入をめぐる経済環境の悪化が要因とされるが、「イエ」重視の県民性も一因ではないか。独身男女の婚活を応援するNPO法人と、農業後継者に「出会いの場」を提供する官製お見合いの現状など、いばらきの結婚事情を3回に分けてまとめた。

親世代の価値観が壁に

2005年5月に設立したNPO法人「ベル・サポート」(菊地長吉理事長・境町)は県南、県西の未婚者や再婚者を対象に結婚相手の紹介、相談活動、出会いパーティーを開催している。営利を目的としない組織で県内外を問わず入会でき、パーティーは会員でなくても参加可。今年10月31日現在、男性会員は920人、女性は520人。出会いパーティー開催は12年間で819回に及び、成婚者累計は433組に上る。

9人のスタッフが運営を担当。つくば市ケーブルテレビのプロデューサーやアナウンサーの経験を買われた小野史子副理事長は、出会いパーティーの司会進行役を務める他、会員からの相談にも応じている。

小野さんは「433組のカップル誕生は、これまでの会員計約2万3000人の中のわずかな数に過ぎません」と話す。そして「親世代が良いと思っている結婚観を受け継ぎ、それが成婚の壁になっている」とも。地元生まれの長男と長女の多くが「後継ぎ」と「墓守」は自分の役目だと思っているそうだ。結婚は家に縛られず個人の自由と捉える人とは大きく隔たる。

両家の中間に家庭築く

ベル・サポートが相談に乗ったことで、後継ぎ同士ながら結婚に至った事例がある。男性(43)は10年間会員間のお見合いや出会いパーティーに参加したが、親と同居して家を存続する考えに共鳴してくれる女性はいなかった。婚活を諦めかけた頃、菊地理事長から言われた「少子化の影響で(これからは)夫婦2人が互いの両親4人の面倒を見る時代」という言葉にハッとした。

条件を優先して相手を探すより、「この人」と思える相手と出会いたいと思った。その後、守谷で行われた出会いパーティーで知り合った妻(42)も、婿になってくれる男性を条件にしたため相手は見つからなかった。互いにひかれ合い、デートを重ねるごとに人生の良き伴侶の思いを強くした2人は結婚を勇断。双方の両親に「親と家を大切にする」と伝えて話し合いを重ねた。最終的にどちらの親も「子どもの幸せが一番」と承諾してくれたという。

3年前に結婚。両家の中間に家庭を築いた。子どもに恵まれ、4人の親に子育てを応援してもらっている。

小野さんは「かつては男女の仲を取り持つ仲人がいたが、恋愛結婚が一般的になってほとんどいなくなった。子どもの結婚を経験した私たちスタッフが現代の仲人役。人生経験を生かして幸せなカップル誕生を応援していきたい」と語る。(橋立多美)(つづく)

オニツカサリーさん、JA土浦れんこん大使に「歌やダンス作りたい」

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JA土浦の池田正組合長から委嘱状を渡されたオニツカサリーさん㊨=土浦市内のホテル

JA土浦は5日、かすみがうら市出身の女性歌手、オニツカサリーさん(34)をレンコンの魅力をPRする「れんこん大使」に任命した。オニツカさんは「レンコンは一番好きな野菜。世界に発信したいです」と抱負を語った。

土浦市とかすみがうら市は全国1位と2位のレンコン生産量を誇る。れんこん大使は、魅力を発信してもらおうと初めて設けられた。

土浦市内のホテルで同日開かれた年末レンコン販売対策会議で、JA土浦の池田正組合長が委嘱状とたすきを手渡した。オニツカさんは報道陣の取材に対し「地元のレンコンはシャキシャキしてみずみずしい食感でおいしく、週4で食べています。レンコンの歌やダンスを作りたい」と話していた。

オニツカさんはかすみがうらマラソン公式応援ソング「誰もがヒーロー」など地元を題材にした歌を作詞作曲する歌手として知られ、かすみがうら市ふるさと大使や茨城自衛隊地方協力本部広報大使など既に6団体の大使を務めている。(谷島英里子)

県警がYouTubeで情報提供呼び掛け 牛久の未解決強盗致死事件 防犯カメラの映像公開

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動画投稿サイトYouTubeに投稿された「茨城県警察公式チャンネル」の動画の一部

2000年に牛久市で起きた未解決の強盗致死事件=メモ=について、県警は動画投稿サイトYouTube(ユーチューブ)の「茨城県警察公式チャンネル」に、事件の情報提供を呼び掛ける動画を公開した。県警は「どんな情報でもいいので教えてほしい。それが事件解決につながる」と話している。

当時、事件現場近くのコンビニ店の防犯カメラに映っていた重要参考人とされる男性4人の映像とナレーションを中心に構成された2分20秒ほどの動画。「重要参考人の男4人は、現在では推定年齢30代後半から40代。茨城県南部や千葉県に土地勘のある人物と推定される」などと特徴を説明している。

制作には、広報担当の30~40代の警察官や事務職員ら3~4人が当たり、ナレーションを警察官が担当した。試行錯誤を重ねて10月31日に公開を始めた。

県警によると、重要参考人4人は「事件当時は少年であることが否定できない」が、容疑者が検挙され、容疑者が事件当時未成年であることが分かった場合は「動画を削除する」としている。

県警は、事件発生当初に重要参考人の似顔絵を公開。後に重要参考人が年を重ねた設定の似顔絵も公開し、今年5月には県警公式サイトで防犯カメラ画像の公開に踏み切った。しかし、これまでに寄せられた情報は89件(11月13日現在)と少なく、「捜査の進展はまだない」(県警)など厳しい状況にあるという。(崎山勝功)

事件に関する情報は県警捜査第1課(電話029・301・0110)または県警公式サイトのメール受付窓口へ。

※メモ

【牛久強盗致死事件】2000年5月4日午後0時30分ごろ、牛久市中央3丁目のスーパー駐車場で、当時17歳の少年が、男性4人組から殴る蹴るの暴行を受けて現金数千円を奪われた事件。暴行を受けた少年は事件の9日後に死亡した。

つくば市民大学 12月末で活動休止 開校から9年、体験型講座で先駆的取り組み紹介

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主催講座「ともに楽しむアートコモンラボ」の最終回として3日開かれた群馬大学、茂木一司教授(左端)による講座=つくば市東新井、ろうきんビル5階、つくば市民大学

市民の学びの場「つくば市民大学」(つくば市東新井、ろうきんビル5階)が12月いっぱいで活動を休止する。2009年4月の開校から9年間、活動を助成してきた中央ろうきん社会貢献基金の解散に伴う休止という。受講生からは休止を惜しむ声が相次いでいる。2021年度に新たな形で再開を目指すという。

多様性、持続可能性などをテーマに、先駆的な取り組みを紹介する体験型講座を開き、市内だけでなく都内などからも受講生を集めてきた。ここ5年ほどは年平均100回を超える自主講座を開き、年約2400人が利用した。

障害者と一緒に実際に街なかで買い物をし、健常者には気づかない発見やアイデアを出して新商品を開発する新しいデザイン手法を体験したり、振動や光で音楽を表現する楽器を聴覚障害者と一緒に楽しむユニークな講座も開かれた。視覚障害者とマラソンを走る伴走者を養成する講座では、受講生が実際のマラソン大会に出場した。

講座を企画、運営してきたつくば市の北村まさみさんは「人と違う見方や考え方を安心して出して意見交換できる場所だった」と振り返り、赤松洋子さんは「市民が講師となる講座も開き、講師自身が仲間と一緒に学ぶ場にもなったのでは」と話した。

受講生で筑波大大学院の男性は「一方通行の大学の授業とは異なり(どんな発言をしても)安心して対話を進めることができ、学ぶことの面白さに気付くことができた」と語り、都内から参加した井上愉可里さんは「いろいろな活動をしている人がいっぱい参加していて、つながる場になっている」と活動休止を惜しんだ。

同大学を運営する市民団体「ウニベルシタスつくば」の徳田太郎代表(45)は「ここを拠点にした活動が地域で具体的な形になったり、ここで出会った人同士がつながって地域でいろいろな活動を展開するなど新しい形になっていったと思う」と9年間の成果を話し、今後は「3年間の充電期間を経て2021年度に何らかの形で学ぶ場をつくりたい。楽しみにしていてください」と話している。(鈴木宏子)

マスコットで地域を盛り上げよう つくばFCがプロジェクト開始 学院大でワークショップ

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ワークショップでは、ふるやまさんが参加者に問いかけながら自由な発想を引き出した=つくば市吾妻の筑波学院大学

つくば市を拠点に活動しているサッカークラブ、つくばFC(同市稲岡)が、同市やその近隣地域を盛り上げるために、地域の人々がアイデアを出し合ってマスコットをつくろうというプロジェクトを立ち上げた。30日に筑波学院大学(つくば市吾妻)で開かれた第1回ワークショップには、地元企業関係者や学生ら約30人が参加。自由に意見を出し合った。

プロジェクトは「うちのクラブだけでなく、応援してくれる地域や企業、ファンの魅力度を共に上げていくことが狙い」と、つくばFC代表の石川慎之助さん(38)。誕生したマスコットは、地域の企業が自社をPRしたりするなど、公序良俗に反しなければ誰もが使えて親しまれるものにしたいという。そのためにも「地域ぐるみでマスコットを育てていくことを大切にしたい」と石川さん。

この日、ファシリテーター(会議で発言を促し、議論をスムーズに進める人)を務めたつくば市在住のイラストレーター、ふるやまなつみさん(29)は、マスコットについて、性格、似合う色など9つの項目を上げて「思いついたことをどんどん発言してください」と呼びかけた。参加者は「宇宙に住んでいる」「SNS映えする色」など、自由な発想でアイデアを出し合い、それを元にグループごとにマスコットのストーリーを考え、発表した。

「5年間魅力度ランキング最下位の茨城県の魅力度をUPさせるために助けに来た宇宙人が、ハス田に落下、県内で出合った魅力をSNSで発信して成長する」というユニークなストーリーをグループ代表で発表した筑波学院大2年の石嶌紅葉さん(20)は「いろんな人と話し合い、マスコットについて企業側から見た意見も知ることができて、よい経験になった」と述べた。

マスコット制作のワークショップは来年1月11日まで一般向けのヒアリングを含めて計3回開催。そこで出た案を元にふるやまさんがデザイン案を作成、一般に投票を募った後、来年3月21日にマスコットが誕生する予定。(大志万容子)

グループごとに考えたマスコットのストーリーを発表する参加者(左)=同

研究学園駅前でシニアが交流の輪 サロンゆうゆう 在宅医療の室生勝さん主宰

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和やかなサロンゆうゆう。右端が室生さん=つくば市学園南2丁目

つくば市学園南、研究学園駅南口のマンション1階にシニア世代が交流できる「サロンゆうゆう」がある。主宰者は医師の室生勝さん(82)。脳トレやストレッチ、合唱などで心身をほぐしたり、乾燥肌や低温やけどといった身近な問題の対処法を学ぶことができる。

個性豊かで活力あるまちづくりに自主的に取り組む活動を応援する市の「アイラブつくばまちづくり」制度を活用したコミュニティサロンで、3年前に発足した。

室生さんは同市倉掛の診療所、室生内科開業時から30年以上、在宅医療の前線に立ってきた。閉院した現在も、高齢者のための講演会や相談などに精力的に活動している。

サロンは、新しい街に他市や他県から転居してきた高齢者の健康向上が目的。室生さんの長年の経験を生かした医療相談や、福祉や介護の情報を得ることもできる。高齢者の交遊コミュニティー「研究学園木遊会」と共催で運営している。

11月28日は、「転倒しそうになった時」の顛末(てんまつ)を語り合ったり、目覚めて体がこわばっている時のストレッチを室生さんが実際にやって見せた。約30人の参加者からは始終笑い声が聞かれ、老いと共にやってくる体の変化を前向きに捉える雰囲気に満ちていた。また顔見知りになった参加者同士のおしゃべりが弾み、サロンへの参加は外出を促す良い機会になっている。(橋立多美)

◆同サロンはレーベン研究学園1階の林技術事務所に設けられ、毎月第1、3月曜と第2、4火曜の午後1時~4時に開かれる。参加費100円。12月17日(日)午後2時からは「クリスマス・ハワイアンコンサート」が開催される。問い合わせは電話090-3331-4937室生さんまで。

95年以後の市民活動一堂に 世界湖沼会議サテライトつちうら 壁画アートや湖沼写真・映像展も

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サテライトつちうらの事業内容について話し合われた同実行委員会=29日、土浦市役所

来年開かれる第17回世界湖沼会議(いばらき霞ケ浦2018)のサテライト会場の一つ、土浦市で催される「サテライトつちうら」の事業概要が決まった。メーンとして来年10月13日、土浦港前の結婚式場L’AUBE(同市川口)で、霞ケ浦や流域の環境保全に取り組む市内の市民団体、企業、行政などが一堂に介して、それぞれの活動を発表し意見交換する。土浦港の防潮堤に壁画アートを描くイベントなども計画されている。

土浦市は1995年に開かれた第6回世界湖沼会議の会場となった。第6回会議をきっかけに霞ケ浦市民協会が結成されるなど、市内でさまざまな活動が展開されてきたことから、95年以降の活動を集め、共有し、霞ケ浦の将来像を見出すことを目指すという。

来年5月末までに参加団体を公募し、当日はそれぞれの取り組みをポスターや口頭で発表してもらう。さらに95年の湖沼会議から今日までの各団体の活動をまとめた活動集(記念誌)をつくる。土浦港でカヌーやヨット体験、アルカス土浦市民ギャラリーで湖沼写真・映像展なども同時開催する。

10月に先立って、第1弾として来年7月16日、高校生が湖沼と流域の将来像を語り合い提言するハイスクール会議を、国民宿舎水郷跡(同市大岩田)で開催の「泳げる霞ケ浦市民フェスティバル」の中で開催する。

第2弾は8月25日、県霞ケ浦環境科学センター(同市沖宿町)で開かれる夏まつりに合わせて開く。7月の高校生の提言を踏まえ、霞ケ浦流域で活動する市民団体が、霞ケ浦や流域の将来像を語り合う。10月のメーン事業は第3弾となる。

市内の環境団体や商工農業団体、行政などでつくる、サテライトつちうら実行委員会(阿部彰委員長)が29日、同市役所で開かれ、概要が明らかにされた。予算は計約1500万円。

第17回世界湖沼会議は来年10月15~19日、つくば国際会議場などで催される。サテライト会場は土浦のほか、かすみがうら市、鉾田市、茨城町、水戸市。(鈴木宏子)

ナースの道へ決意新た 筑波学園看護学生38人が戴帽式

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1人ひとりにナースキャップが与えられた
ロウソクの灯りは献身を表す。右端はナイチンゲール像

筑波学園看護専門学校(つくば市上横場)の第14回戴帽式が29日、つくばカピオのホールで開かれた。看護学生が病院での本格的実習を前に志を新たにするセレモニーで、4月に入学した38人が臨んだ。緊張した面持ちでナースキャップを頭に頂いた学生たちは手のひらにのせた灯を見つめて、決意を新たにした。

近年は医療現場でナースキャップがあまり見られないことから戴帽式は減少傾向にある。同校はナイチンゲールの唱えた看護の心を継承しようと毎年実施している。

厳かな雰囲気の中で行われた戴帽式には病院関係者や保護者、友人ら約150人が祝福に訪れた。学生たちは「同じ夢を抱く仲間との絆を大切に、看護師になるために努力します」との誓いを込めて「結―ゆい―」を手話と共に合唱した。

戴帽式を終えた看護学生、井崎遥さん(19)は、県立土浦湖北高校を卒業して迷わず看護師の道に進んだ。「看護師として働く母親を誇りに思っている」とし「この8カ月は学ぶことがたくさんあった。患者さんの環境を整えるためのベッドメーキングは何度も練習した。難しいと感じることでも『進む道に近づいている』という希望に満ちている。患者さんに寄り添うことを大切にする看護師になりたい」と話す。

千葉県から通学している小坂健さん(19)は、父親が運営するデイサービス施設で利用者に信頼されている看護師に影響を受けたという。「これからますます勉強も技術も難しくなり、乗り越えていかなければならないことがたくさんある。自分本位の考えで援助をすることは患者さんの援助ではないことを実習で学んだ。患者さんの立場に立って行動できる看護師になりたいので、日頃から意識し生活していきたい」と話した。(橋立多美)

初々しい看護師姿の井崎遥さん㊨と小坂健さん

イオンつくば駅前店が閉店 西武に続き、来年2月までに センター地区のさらなる空洞化懸念

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2018年2月末までに閉店することが決まったイオンつくば駅前店=つくば市吾妻

西武筑波店が今年2月閉店したのに続き、つくば駅近くの大型商業施設、イオンつくば駅前店(つくば市吾妻)が来年2月末までに閉店する。同店は西武と共につくばセンター地区の振興を担ってきた。中心市街地へのさらなる影響が懸念される。

同店を運営するイオンリテール(本社・千葉市)は「開店から32年経ち、つくばエクスプレスが開通するなど総合的な周辺環境の変化を踏まえて閉店に踏み切る。2013年にイオンモールつくば(つくば市稲岡)などが開店し、駅前だけでなく郊外で買い物ができるようになったことも(要因の一つに)ある」と説明する。現在、同店の売上高はピーク時の約20年前と比べ半減するほどに落ち込んでいるという。

28日、同店1階西出入り口近くに設置された「ご意見・お返事公開ボード」には、閉店に関連した投稿がいくつか掲示されていた。「閉店しないでください。筑波大生のためにも(16日記入)」という投稿には、佐久間勇樹店長から「当店は開店後32年を経過し、新たなライフスタイルに応えるためには、必要な売り場面積の不足だけでなく、建物や各施設自体に老朽化が進んでおります。安全に、かつ快適な空間を提供し続けることは、非常に困難な状況にあることは否めません。そのような背景の元、2017年度中に閉店の運びとなりました(18日回答)」という回答が掲示されていた。

自転車で買い物に来た60代の主婦は「30年以上ずっと利用してきた。食品、家電、薬など何でもそろうのが魅力で、他の店に行っても、最終的にはここに寄った。西武の閉店後はいつ来ても空いていたが、なくなってしまうのは困る」と肩を落とした。徒歩5分のところに住む50代の主婦は「つくば駅からの帰りに買い物をするのに便利だったのに。車のないご近所さんはこれから困るのでは」と憂えた。

つくば市学園地区市街地振興室は「筑波研究学園都市が成長する中で、長い間市民に親しまれてきたイオン駅前店の撤退は残念。現在進めている中心市街地のまちづくりビジョンの策定の中で、中心市街地一帯としてどういう機能を持たせていくかを検討したい」と話した。

同店は西武筑波店と共に、つくば科学万博が開催された1985年3月、ジャスコつくば店としてオープンした。売り場面積は約6300㎡、1階は食品や化粧品、家電、日用雑貨など、2階は衣料品を中心に扱っている。2011年イオンつくば店に、翌12年同つくば駅前店に店名変更した。(大志万容子)

つくばナンバーの図柄決定 来年10月ごろから交付へ

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決定したつくばナンバーの図柄

つくば市など13市町が投票を実施していた自動車用ナンバープレートの図柄が28日、決定した。筑波山頂から太陽が昇るダイヤモンド筑波を鮮やかなグラデーションで表現したデザインが選ばれた。12月1日、国交省関東運輸局に提案する。来年10月ごろから交付が開始される予定という。

10月17日から11月15日まで、13市町のホームページや公共施設などで投票を実施していた。5930人から応募があり、3161票を獲得したダイヤモンド筑波の図柄が選ばれた。

併せてアンケート調査を実施したところ、53%の3140人から「(図柄入りを)付けたい」、30%の1772人から「まあ付けたい」との回答があり、8割が期待を寄せていることが分かった。寄付金の使途については「観光スポットの環境保全・美化活動に活用してほしい」が最も多く38%、続いて「広域観光パンフレットの作成」が24%だった。

カラーの図柄入りナンバープレートは、新車を購入する際などに、交付手数料に寄付金(金額は未定)を上乗せすれば取り付けができる。従来のモノトーンのナンバープレートも交付手数料のみで引き続き交付する。

つくばナンバーの交付地域はつくば市のほか、古河、結城、下妻、常総、守谷、筑西、坂東、桜川、つくばみらい市、八千代、五霞、境町の13市町。寄付金は交通安全啓発や広域観光キャンペーン、圏央道利用促進キャンペーンなどに活用する予定。(鈴木宏子)

新図書館のバリアフリー度を検証 電動車いすの今福義明さん 「市のセールスポイントになる」

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入沢弘子館長から視覚障害者や聴覚障害者の読書設備について聞く今福義明さん㊨

市立図書館と市民ギャラリーを併設したアルカス土浦が27日、土浦駅西口前にオープンした。同日、市バリアフリー推進協議会委員を務める電動車いすの今福義明さん(58)と館内を回り、バリアフリー度をチェックした。今福さんは新図書館のデザインや配置に目を見張り「自治体のセールスポイントになるのではないか」などと話した。

今福さんは交通バリアフリーを求める市民団体「アクセスジャパン」代表で、全国各地を飛び回り、公共交通、公共施設などのバリアフリー度をチェックし提言している。土浦市の新図書館に対しては、市と障害者団体とのバリアフリー意見交換会などで、設計段階から当事者の立場で提言してきた。

同日、電動車いすで各階を回った今福さんは「デザインがすごくいい。どこにいても館内が見渡せ、堅苦しさがなくオープンな雰囲気」と高得点を付けた。「いろいろな高さやデザインのテーブルや椅子が配置されていて、余裕が感じられる。いろいろな視線が交差するデザインになっていて、ゆっくりできて落ち着く」と話し、「今風の図書館の機能とは何かということを再認識できる」と賛辞を贈った。

視覚障害者や聴覚障害者向けの読書機能が備えられているかを尋ねると、3階に案内された。点字図書コーナーはカウンター近くにあった。弱視者や色弱者向けの、本を読み取って文字を大きく映し出したり文字の背景の色を変える拡大読書器や、視覚障害者向けの対面朗読室を見せてもらった。拡大読書器や対面朗読室は今回、新たに導入されたという。今福さんは「バリアフリーの装置はそろっている」と納得していた。

課題も見つかった。1階と2階の多目的トイレは、出入口扉近くにオストメイト対応器具や洗面台が配置されているため、幅が狭い。トイレから出る際は開閉ボタンを押して扉を開けなくてはならないが、器具がじゃまになり、車いすではボタンに手が届かない。今福さんは常時携帯している自助具の棒で開閉ボタンを押し扉を開けることができた。「開閉ボタンの位置も少し高いのは」とも指摘した。

設計段階で開かれた意見交換会では、視覚障害者から、点字ブロックの動線や色について質問が出ていた。新図書館は点字ブロックや警告ブロックが館内をめぐっておらず、基本的に職員が案内する。今福さんは「使い勝手について、視覚障害者にも話を聞きたい」と話した。(鈴木宏子)

3階カウンター近くの点字図書コーナー
3階対面朗読室。予約制でボランティアが本を朗読してくれる
2階多目的トイレ。出入口扉付近に洗面台が設置され車いすでは開閉ボタンに手が届かない

飲食店と高校生のコラボも 8000人の家族連れでにぎわう フェスティバル神立

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地元洋食店、ひつじの小屋とコラボしてオリジナル料理を出店するつくば国際大学高校ファッション&クッキング部

今年で28回目を迎える毎年恒例の祭り、フェスティバル神立(神立商工振興会主催)が26日、土浦市中神立町、神立第3児童公園で開催された。41の飲食店や雑貨店、イベントブースなど多種多様なテントが並び、例年より多い約8000人の家族連れなどでにぎわった。市内の飲食店と高校がコラボしてオリジナル料理などを提供する企画「クッキング甲子園」も行われた。

同企画では、神立中央の精肉店、ミート今井と湖北高校家庭クラブがコラボして国産のレンコンを使った「湖北コロッケ」を販売。隣接のかすみがうら市のまちおこし会社、かすみがうら未来づくりカンパニーと霞ケ浦高校とのコラボ出店や、神立中央の洋食店、ひつじの小屋とつくば国際大学高校ファッション&クッキング部のコラボ出店もあった。

湖北高校家庭クラブの大久保綾香部長(17)は「今年で2回目の出店。クラブの活動を知ってもらいたいと出店に至ったが、仲間と協力する機会にもなって良かった。活動に特に力を入れてくれた1、2年生に感謝している」と話した。

神立高原スキー場をPRする黄色と黒の特徴的なデザインのテントも出店した。神立という地名は新潟県にもあり、今回、湯沢町神立から訪れた。湯沢町の田村さん(27)は「神立高原スキー場をもっと知ってもらいたい」と意気込みを語った。

フェスティバルは地域の活性化や住民同士の親睦を深めることなどを目的として始まった。実行委員長の八釼(やつるぎ)正樹(44)さんは「今年は例年に比べて来場者数が多く大盛況だった。神立地区総出で取り組んだことが影響したと思う」と話していた。
(枝川廉)

ミート今井とコラボした土浦湖北高等学校家庭クラブの大久保 綾香部長
神立高原スキー場のテント

小学生が一日記者体験 会場回り各テントを取材

NEWSつくばはフェスティバル神立に出店し、子どもたちを対象に「1日記者体験」を催した。神立小学校3、4年の3人が参加し、会場を回って八釼正樹実行委員長にフェスティバルへの思いを聞いたり、各店に自慢の商品の作り方を聞くなどした。

3年の石原緑実(みみ)さん(9)は八釼実行委員長に「なんでフェスティバルをやっているんですか」などと質問。八釼委員長は「街の人が仲良くなるためです」などと答えた。4年の林山晃太朗さん(10)が「(会場の)どのお店に行きたいですか」と質問すると、委員長は「神立町内の店がたくさん出ているので、そこに行きたいです」などと応じていた。

会場内であいさつ回りをする地元の青山大人衆院議員に遭遇し、急きょインタビューする一幕もあった。3年の安斉良一さん(9)は「名刺はいつも何枚くらい持っているんですか」など質問していた。

一日記者を体験した林山さんは「いろんなことが分かって楽しかった。またやってみたい」などと感想を話した。

子どもたちを引率したNEWSつくばの大志万容子記者は「子どもたちが一生懸命やってくれて、お店の人も温かく対応してくれた。子どもたちにとって良い体験になったと思う」と話していた。(鈴木宏子)

フェスティバル神立会場で八釼正樹実行委員長(右端)インタビューする子どもたち

小中学校芸術展でダブル受賞 手代木中から2人が市長賞 精細な描写、独特の世界表現

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市長賞を受賞した池田琴葉さん㊨と菅野華加さん。笑顔で「学校生活は楽しい」と語ってくれた

つくば市民文化祭小中学校芸術展が今月初旬、つくばカピオで開催され、絵画と書道部門各学年1人ずつに市長賞が贈られた。市立手代木中学校(土田十司作校長、477人)は、1年の池田琴葉さんの絵画作品「木もれ日の中で」と、3年の菅野華加さんの絵画作品「成長」が市長賞に輝いた。

池田さんは、中学校隣にある手代木公園の散歩道に陽が射しこむ静かな風景をアクリル絵の具で表現した。「葉っぱの1枚ずつを細かい点で描いて濃淡を出すのが大変だった」と話した。将来は、世界の子どもたちが直面している問題に取り組むユニセフの職員になりたいという池田さん。「絵画は趣味として続けていきたい」と話した。

菅野さんの作品は木の下に座る女の子の周りに多様な魚や街が描かれ、見る人の想像力をかき立てる。海に沈んでいる未熟な自分が成長し、やがて陸に上がることを想定したという。独自の世界を水彩とアクリル絵の具、マジックペンで絵にした。漫画家を目指したこともあったが、今は「自立できる安定した職業に就く」が目標だという。

同展への出展総数は市内52校から絵画が1523点、書道(書写含む)1444点。18人に市長賞、36人に教育長賞が贈られた。(橋立多美)

◆2人の作品は29日から水戸市の県民文化センター展示棟で始まる県小中学校芸術祭美術展覧会で展示される。12月3日まで。入場無料。

池田琴葉さんの「木もれ日の中で」

 

菅野華加さんの「成長」

 

風景描写に感嘆 朱青会が水彩画展 26日まで牛久で

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内田さんの細密画作品「亀城のシイ」の前で、左が内田さん右が永井さん=牛久市中央の三越牛久店2階アートギャラリー

牛久市の水彩画愛好者らによる「朱青会 水彩画展」が同市中央の三越牛久店2階アートギャラリーで開かれている。会員11人の25作品が会場いっぱいに展示されている。

会は2007年、同市成人教室の水彩画講座の受講生らが中心となって、講座終了後に立ち上げた。当初は講座講師の指導を受けていたが、会員だけで勉強するようになり、現在は会員の高橋忠さんが講師となり活動している。景色を描きたいという会員が多く、室内の静物画作品より風景画の方が多い。年2回写生会を行い、楽しみながら制作に励んでいる。

練習日は月2回あり、家で描いた作品を持ち寄り会員相互で意見を述べ合う。この意見がとても大切で手直しする際の指針となり、より良い作品に仕上げるのだという。練習日には高橋さんの水彩画制作の実演指導があり、会員らは技術向上を目指している。制作に真剣に取り組む会員だが、教室は和気あいあいとした雰囲気だ。

展示会場中央にはスケッチブックが置かれている。どれも見応えがある。添えられている盆栽は、会員の内田久寿さんが30年前に種から作り丹精込めて仕上げたもので、風景画に寄り添い風情を醸し出している。

つくばから来場した女性は「見応えのある作品ばかりですね。特に細密画には感心しました」と話していた。代表の永井健治さんは「来場者からは、平均的な絵画教室の作品よりレベルが高いとの評価をいただいています。それを励みに制作にも熱が入ります」と笑顔で話していた。(鈴木萬里子)

◆会期は26日(日)まで。開館時間は午前10時~午後5時(最終日は4時)。問い合わせは永井さん(電話090・5795・0511)。

中央にスケッチブックが置かれている会場

山麓に滞在し筑波山の自然を作品に 10カ国14人のアーティスト ふれあいの里で野外展示 26日まで

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筑波山麓の自然の中で野外展示されている「つくば国際アーティスト・イン・レジデンス」の作品=つくば市臼井の筑波ふれあいの里

国内外のアーティストが筑波山麓で制作した作品を展示する「つくば国際アーティスト・イン・レジデンス」が、筑波ふれあいの里(つくば市臼井)で開催中だ。5回目を迎えた今年は、フランス、スペイン、韓国など10カ国14名のアーティストによる個性豊かな作品が野外展示されている。最終日の26日には舞踏家の田仲ハルさんによる舞踏パフォーマンスも開かれる。

つくば市などで文化振興活動に取り組む「つくばアートセンター」が主催。10月下旬に来日したアーティストがつくば市小田の古民家に滞在しながら、筑波山麓の自然やそこで見聞きしたものから受けたインスピレーションを元に制作した作品を展示している。また市内の放課後等デイサービス「アライズたいよう」と「たいようの子」、障害者支援施設「ORION」の3団体がアーティストと合作した作品もある。

筑波山で拾った錆びついたトタン板を木立のようにした作品からは、静かな森の風景が浮かび上がるよう。また川に向けた竹筒からせせらぎの音を聞けるようにした一点や、輪切りにした竹を組み上げて立方体の草庵(そうあん)にしたものなど、個性あふれる作品が目を引きつける。

同展キュレーターの池澤孝さんは「(来場者には)自然とアートの関係性に気づいてほしい」と述べ、つくばアートセンター代表の篠原光子さん(54)は、「これだけ素晴らしいアーティストがいることを一人でも多くの人に知ってほしい。そして芸術が特別なものではなく、生活の中に色や形が自然にある環境をつくっていきたい」と話している。(大志万容子)

◆同展は26日まで。入場無料。最終日のクロージングパフォーマンス「 ― 羊飼いの歌 ― 」は、午後2時から筑波ふれあいの里で。

放課後等デイサービス「アライズたいよう」など3団体がアーティストと合作した作品=同
川に向けた竹筒からせせらぎの音を聞けるようにした作品=同

「交換留職」で組織活性化 つくばのベンチャー 札幌のゲストハウス運営会社と

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(左から)「交換留職」中の粕谷さん、札幌から戻ってきた嶋田さん、代表の堀下さん=つくば市天久保のTsukuba Place Lab

つくば市天久保でコワーキングスペース「Tsukuba Place Lab」を運営する、株式会社しびっくぱわー(同市天久保)はこのほど、札幌でゲストハウスを運営する合同会社ToGo(札幌市)と、社員を一定期間交換する「交換留職」=メモ=に挑戦している。経営や組織づくりについて互いに学び合い、環境を変えることで社員の意識をリフレッシュすることが狙い。しびっくぱわー代表の堀下恭平さん(27)は「社員だけでなく、組織全体にもよい緊張感をもたらしている」と効果を実感する。

筑波大学在学中の2014年に起業した堀下さんは今年3月、ToGo代表の粕谷勇人さん(26)らと知り合い、経営や社員教育について意見を交わす中で「それぞれ社員を交換したら面白いよね」と意気投合した。

粕谷さんはゲストハウスの業務全般に携わるが「今後の事業拡大を考え、この機に現場をスタッフに任せたいと思い」自分が交換メンバーとして出向くことに。10月25日から1カ月間の予定で、同Labのスタッフとして業務に当たっている。

驚いたのは「ミーティングの違い」と粕谷さん。スタッフ個人が自己実現できているかどうかに焦点を当てる内容に刺激を受け、取り入れたいと考える。

一方、筑波大4年で現在しびっくぱわーのインターン社員、嶋田優奈さん(22)は10月25日から1週間、札幌市のゲストハウス「Wagayado 晴-HaLe-」に行き、掃除や受付に携わった。

「コワーキングスペースと業種は違うが、人のつながりを求めてくる人が多いのは同じ。自分がやったことがゲストに喜んでもらえて、Labでの経験が自分の中にあることを確認できた」と振り返る。数値目標を立てるミーティングの手法もLabで生かしたいと意欲を語る。

現在、Labで働く粕谷さんは札幌から戻った嶋田さんと、それぞれ吸収したことを共有し、お互いの場のクオリティ向上にどう生かすかに知恵を絞る。「残りの日々、ゲストハウスで培ってきたノウハウを生かして、掃除の効率化などLabのオペレーション改善に取り組みたい」と粕谷さんは話す。

堀下さんは「例えば室内のゴミひとつとっても、粕谷さんはゴミ箱までの動線を含めて考えるなど気づく能力がずば抜けており、それがLabのスタッフにもよい緊張感となっている」と効果を実感する。

交換留職について「他の企業からも一緒にやりたいという依頼を受けており、これは地域で(ビジネスの)場を持つ人たちとなら業種を問わずにできると思う。今後、互いに信頼し合える人たちと一緒に取り組み、それにともなって仕事を作り合うことも見込んでいきたい」と堀下さんは展望を語る。

2人の人件費はそれぞれ受け入れ先が負担。粕谷さんはつくば滞在中はしびっくぱわーの社宅に、札幌に実家がある嶋田さんは、自宅から受け入れ先に通った。

同Labは「人と人とを繋ぎ、やりたいことを実現していくための場をつくりたい」と、堀下さんが昨年12月にクラウドファンディングで資金を募り、ボランティアによるDIYで築約40年のビルの2階の一室約63㎡を改修しオープンした。現在、午前7時~午後11時に営業、社会人や学生らが仕事や勉強、打ち合わせなどに利用している。利用料金は学生1日300円、一般500円など。(大志万容子)

 

【メモ】交換留職=学校間の交換留学のように、自社の社員と他社の社員を一定期間入れ替え、交換先企業で実際に業務を経験させる人事研修制度のこと。個人と組織の成長を促し、企業間交流を深める新しい試みとして注目を集めている。

札幌のゲストハウスで受付業務などに当たった嶋田さん(Tsukuba Place Lab提供)
Labでスタッフとともにハロウィーンの飾り付けを行う粕谷さん(同)

ボルダリングウォール設置 筑波技術大 地域の障害者スポーツの拠点に

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設置されたボルダリングウォールに登る学生たち=つくば市天久保の筑波技術大体育館

視覚障害者と聴覚障害者が学ぶ筑波技術大学(つくば市天久保)体育館にボルダリング競技用のボルダリングウォールが設置され、21日、オープニングセレモニーが行われた。

高さ4m、幅6m。傾斜角は90度と103度の2種類。壁の色を黒くしてコントラストを強調するなど、視覚障害者への配慮をしている。

同大では、授業でフリークライミングを取り入れている。年1回、一般公開で開催されるスポーツ教室でも、その都度ボルダリングウォールを設置してきた。今回、恒常的に使える人工壁を設置し、地域の障害者スポーツの拠点として寄与するのが狙い。

セレモニーでは、同大情報科学部でフリークライミングの指導をしているNPO法人「モンキーマジック」の小林幸一郎代表と、同大の学生4人がボルダリングに挑んだ。

視覚障害者のボルダリングは、1人が壁に上り、アシスト役のもう1人が「〇時方向」と時計の針の向きで方向を指示。ただし「手を使って」などの具体的な指示は出さず、登る人間の意志に任せる。

ボルダリングを披露した、同大3年の會田祥さん(21)は、パラクライミング日本選手権2017で優勝するほどの腕前。會田さんは「今までは市内の別の場所や東京などに遠征合宿していたので、学内で練習できるのがありがたい」と話した。會田さんのアシスト役を務める、同大3年の星野隼人さん(21)は「(會田さんは)長年の勘があって、次のホールド先をしゃべる前に手が出る。その体制でキープしてくれて指示を待ってくれているので、さすがだなと思う」と、會田さんの実力を高く評価した。

同じくボルダリングを披露した、同大3年の朝田佑太さん(21)は「他のボルダリングジムと同じ高さ。身近で、手ごたえもある。つかむところの距離感が多彩」と感想を語った。アシスト役の泉隼樹さんは「アシストを的確に出すのは難しい。しっかり的確に出せたときのうれしさはある」とやりがいを説いた。

小林代表は「学生さんがボルダリングに出合う確率は飛躍的に増える」と、障害者スポーツの発展に期待を寄せた。(崎山勝功)

インフルエンザワクチン品薄 子育て中の母親に不安広がる 12月になれば改善か

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インフルエンザ予防ポスターの一部(県保健予防課提供)

冬の代表的な感染症インフルエンザが気になる季節。毎年10月下旬からインフルエンザワクチンの接種が開始されるが、供給が例年より遅れており、つくば市内の医療機関でワクチンの不足が生じている。

開業医らで組織するつくば市医師会は「市域全体の不足分は把握していない」とする一方で「医師の『接種を待ってもらうなど患者に迷惑をかけている』という話が多く聞かれる」という。

様々な慢性疾患を持つ人や高齢者は、インフルエンザにかかると重症化する恐れがある。小児では中耳炎や肺炎、熱性けいれんなどに加え、まれに脳炎や脳症などを合併することがあり、子育て中の母親の間で不安が広がっている。大穂地区在住の30代の母親は「通院している小児科と耳鼻科で、確保していたワクチンが2日で無くなったと言われた。接種が再開される時期は未定で予約もできない。今年は接種を諦める」と話す。

記者は市内の1病院と5 医院(内科、小児科、耳鼻科)に聞いてみた。いずれも予約の受け付けは行われておらず、病院は「例年なら患者さんに接する職員がワクチン接種するが、今年はそれもできない状態です」。内科の1医院だけが「12月になればワクチンが入るからこちらから電話します」との対応だった。

そもそもなぜワクチンが品薄状態なのか。ワクチンは例年、厚生労働省などが種類を決めているが、今年は使用する「株」が製造過程で変更となり、その結果、製造―供給が遅れるという状況を生んだ。

厚生労働省のホームページを見ると、今年度の供給予定量は約2528万本で12月1週から2000万本を供給。2010年以降、推計使用量は約2500万本前後で推移しており、需要に対しての供給は充分に見込めるとしている。

県つくば保健所は、現在のところ管轄内(つくば市、つくばみらい市)でのインフルエンザの発生はないという。「ノロウイルスなどの感染性胃腸炎が流行する季節でもあり、マスクや手洗い、うがいを心掛けて予防してほしい」とも。

インフルエンザの流行は年末から。厚労省によれば、ワクチンが効果を発揮するのは接種後約2週間から5カ月間。今はワクチンが確保されるのを待ち、遅くとも12月中旬までに接種できることに期待したい。(橋立多美)

「適切でない」と工事中止 つくば市並木中格技場修繕 分割発注し随意契約 業者に98万円賠償

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つくば市役所

つくば市が今年7月工事を発注した市立並木中学校(同市並木)格技場天井の修繕について、市は、分割発注により随意契約したのは適切でなかったとして、工事を中止し、業者に損害賠償金98万2800円を支払うと20日発表した。

市教育局教育施設課によると、7月6日、一連の工事を、格技場内に足場を組んで天井のさびた鉄骨を清掃し磨く「天井修繕工事」(126万3600万円)と、磨かれた鉄骨を塗装する「天井塗装修繕工事」(128万5200円)の2本に分けて同一業者と随意契約した。

市の入札制度見直し基本方針(2012年9月策定)では130万円を超える建設工事は一般競争入札を実施しなければならない。同課は、一般競争入札にすると手続きに時間が掛かることから、夏休み中に終えるため、工事を2本に分けて随意契約したという。

一方、同時期の7月下旬、市立九重小(同市上ノ室)で実施していた、グラウンドにトイレを新設する工事に関し、市民から、分割発注による随意契約は適切でないなどの指摘があった。同小では同工事を、トイレ設置工事(110万8800円)、基礎改修工事(128万5200万円)、設備(給排水)工事(76万6800万円)の3つに分けて、いずれも同一業者に発注していた。

市民の指摘を受け、教育施設課長(当時、10月1日付けで異動)は7月28日、同様の発注が行われた並木中の工事を中止した。格技場では工事がすでに始まっていてビニールシートが敷かれ足場が組まれ、塗料も購入済みだったことから、その分を賠償するという。九重小はほぼ出来上がっていたことから工事を継続したという。

同課は、今後議会に報告し、随意契約の在り方を検討していくとしている。並木中の工事は来年夏休みに一般競争入札で実施したいという。(鈴木宏子)