水曜日, 4月 2, 2025
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91歳の洋画家 高橋秀さん個展

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自作の半抽象画をバックにした高橋秀さん=つくば市小田のギャラリーカフェ梟

【鈴木萬里子】土浦市在住の洋画家で二科会会友の高橋秀さんの個展が、つくば市小田のギャラリーカフェ梟(ふくろう)で開かれている。会場には18点の油彩画と、薄く色づけした淡彩画10点の計28点が展示されている。

高橋さんは今年91歳。茨城大学を卒業し教職に就く傍ら創作活動に着手。43歳で初めて個展を開いた。第76回二科展特選などを受賞している。現在は土浦一中地区公民館で油彩画と淡彩画の講師として指導にあたっている。師は、茨城の自然を表現豊かにとらえた芸術院会員の洋画家、 服部正一郎さん(故人)。

同ギャラリーでの開催は昨年に続き2回目。今年はファンの要望に応えて筑波山に向き合った作品4点が展示された。

いずれも作品名札がない。高橋さんは「あえて付けない。自分の感性で感じて見てほしい」と話していた。ほとんどが具象と抽象の中間の半抽象画だ。色彩を自由自在に使い、独特な画風を作り上げている。

「教えるのがとにかく好き」という高橋さんを慕う生徒は50人に上る。来場した生徒のうち最高齢の小野直代さん(97)は「先生は褒めて伸ばして下さる。最近は先生の作品に近づき、褒められるのでうれしい。色の使い方が面白くてすてき」と話した。

◆会期は17日(日)まで。入場無料、開廊時間は午前10時~午後4時30分。月曜、金曜休廊。問い合わせは高橋さん(電話029・821・8611)。

黄と朱色の風景画を熱心に見つめる来場者ら=同

「刻の太鼓」打ち鳴らす 土浦の櫓門

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「刻の太鼓」を力強く打ち鳴らす保存会のメンバー=土浦市中央1丁目の亀城公園内の土浦城址櫓門「太鼓櫓」(10日午後6時)

【谷島英里子】「時の記念日」の10日、土浦市中央一丁目の亀城公園内の土浦城址櫓門(やぐらもん)=県文化財=で、江戸時代に太鼓を打って時刻を知らせた「刻(とき)の太鼓」が打ち鳴らされた。12日まで朝夕2回打ち鳴らす。

時の記念日は、671年に天智天皇が水時計を置いて、日本で初めて時刻制度を取り入れたとされる日。

土浦の刻の太鼓は、市制60周年の2000年に復活し、07年から有志の「刻の太鼓保存会」(須田義之会長)が伝承した。櫓門は太鼓櫓とも呼ばれている。

午前6時と午後6時に櫓の上で、はっぴを身につけた同会メンバーが、「土浦に伝わることわざに 土浦に過ぎたるものが二つある 刻の太鼓と関の鉄炮というのである」と口上した後、時を知らせる太鼓を約20分間打ち鳴らした。太鼓は1770年に制作されたもので市文化財に指定されている。

保存会副会長の前田祐一さん(57)は「刻の太鼓の場となる櫓門と太鼓がどちらも文化財に指定されているのは珍しいと思うので、この伝統を継承して長く続けていきたい」と話した。

本堂清さん 画業60年で回顧展 土浦市民ギャラリー

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画業60年集大成の個展を開いている本堂清さん

【斎藤茂】美術団体「東光会」会員で参与の本堂清さん(87)=土浦市藤沢=の絵描き60余年回顧展が7日から、土浦市大和町アルカス1階の土浦市民ギャラリーで始まった。これまでの画業の足取りをたどる油絵百余点と水墨画約30点を展示、チャリティー向けに販売する。

本堂さんは土浦市で、福祉や社会教育、広報部門などに携わってきた元行政マン。この間、広報紙の挿絵を描いたり、土浦・石岡地方社会教育センターや亀城プラザの所長として絵画を通じた社会教育活動を行い、退職後も日展会友となるなど第一線で活躍した。

重厚な筆遣いの風景画をはじめとする油彩画を手掛け、文人画風の水墨画なども多数生み出してきた。『土浦町内ものがたり』や『河童物語』など絵入りの著作もあり、絵画教室などで指導した生徒は1000人を超すという。

その画業が60年に及び、88歳の米寿を迎えることから集大成の個展を開くことにしたもので、同回顧展応援会(大槻利夫代表)がサポートする。「多作と思ったことはないが、描くのが好きなんでしょうねえ。自宅には数百点を抱え込んでいた。いい機会だから納得のいく作品を選んで回顧展を開き、区切りをつけることにした」という。

6日には日展出品の100号の大作「獅子舞」や「鷹匠Mさん」などが会場に搬入された。「今回はチャリティーという趣旨なので、頒価にも配慮をしている。大作でもお求めやすい値段だと思う」。益金は市社会福祉協議会を通じ、福祉に役立てられるという。

◆入場無料。14日まで。問い合わせは本堂さん(電話029-862-2707)

県大会連覇目指し闘志 土浦市消防本部救助隊

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ロープを使った訓練をする隊員ら=土浦市田中町の市消防本部屋外訓練場

【谷島英里子】14日に県立消防学校(茨城町)で開催される第45回県消防救助技術大会での上位入賞を目指し、土浦市消防本部は7日、同市田中町の同本部屋外訓練場で、出場する全チームによる合同訓練を行った。同救助隊は昨年「障害突破」で県大会優勝の実績を持ち、連覇を狙う。

ロープを渡って人を救出する「ロープブリッジ救出」や5カ所の障害を乗り越える「障害突破」、救助者を搭上に引き上げる「引揚救助」の3種目に23人が出場する。上位入賞すると関東大会への出場権が得られ、勝ち進むと全国大会に出られる。

合同訓練には出場予定者全員が参加。連覇を狙う障害突破チームリーダーの田中洋平さん(31)は「日頃の訓練のように安全で正確な救助が迅速にできるように全力で挑みたい」と話した。ロープブリッジ救出の上谷泰倫さん(26)は「大会に向けて2カ月間集中的に訓練したので精いっぱい力を発揮したい」と意気込みを話した。

大会に向け訓練に励む隊員ら=同

ヤゴ救出大作戦展開 つくば市の小学校プール

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プール清掃の様子=つくば市小茎の茎崎第三小学校

【橋立多美】つくば市内の小学校プールで「ヤゴ救出大作戦」が進められている。同市小茎の市立茎崎第三小学校(鮏川誠校長、児童数226人)で5日に行われた水泳学習前のプール清掃で、数百匹のトンボの幼虫ヤゴを救出した。教室で飼育して羽化させ大空に飛び立たせる。

救出は、市独自の教育カリキュラム「つくばスタイル科」の学習に取り組む5年生が行った。少し水が残ったプールで網を使ってヤゴを採取した。女子児童は「虫が苦手で最初は嫌だったけど、やっているうちに平気になった」。男子児童らは「水が気持ち良かったし楽しかった」「トンボになるのが楽しみ」と元気に話してくれた。

5年生が採取したのはアカトンボやシオカラトンボなど数百匹。ヤゴは2年生が教室で飼育して羽化させる。餌は飼育用のアカムシとミミズだという。

鮏川校長は「ヤゴに触れ育てることで水や自然環境について考える機会になる。また、子どもたちにとって生き物の命の尊さを実感することのできる貴重な学習と体験の場」と話す。

学校のプールは消火栓や防火水槽に次ぐ消防用水の一つで、夏のプール学習が終わっても満水の状態が保たれる。塩素の投入がなくなり、生物がすめる環境になる晩夏から秋にかけてトンボがプールに卵を産み付ける。

卵は春になるとヤゴになり、6月から7月にかけて羽化して成虫のトンボになる。ところが、ちょうどこの時期はプール開きに備えてプールの清掃が行われるためすみ家をなくしたヤゴは死んでしまう。そこでプールからヤゴを救い出し、その種類や環境の変化を学ぼうという環境教育の一環で、同市では2002年から市内の小学校で実施されている。

バケツに入れたヤゴをのぞく5年の児童たち=同
プールから救出されたヤゴ(茎崎第三小学校提供)

CD「日本の名城」に土浦音頭が収録

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土浦音頭が収録されているCDを手にする(左から)と恩田鳳昇さんと冠木新市さん

【鈴木宏子】5月23日発売されたCD「日本の名城を唄う」(日本コロムビア発売、税込2500円)に、土浦城跡(現在の亀城公園)などを歌った「土浦音頭」=メモ=が収められた。霞ケ浦や桜川などの名所や風物を歌った新民謡で、昭和初期に下妻市出身の詩人、横瀬夜雨が作詞した。戦後活躍した歌手、照菊が歌う。1960年代後半に発売されたレコードが音源で、半世紀ぶりにCDでよみがえった。

土浦の歴史や文化を掘り起こしまちおこしに取り組むつくば市の脚本家、冠木新市さん(66)らが2016年9月、亀城公園前の古民家カフェ、城藤茶店(同市中央)で土浦音頭をテーマにした演劇公演「桜川芸者学校」を開催し、新たな踊りで復活させるなど注目された曲だ。

CDは日本の城と、城にまつわる武勇伝や悲喜劇などを歌った全17曲の歌謡曲集で、美空ひばりの「千姫」、村田英雄の「白鷺の城」などと並んで、17番目に収められている。小唄調で、照菊が格調高く歌い上げている。

16年の公演に出演し新たな踊りを復活させた国際美学院(つくば市)の恩田鳳昇学院長(86)が、日本コロムビアの振付専任講師を務めていることから、公演後、同社幹部らに土浦音頭をPRした。今年1月には静岡県熱海で開かれた同社の新年会で、当時公演した桜川芸者学校のメンバーが、全国から集まった振付専任講師らを前に同曲の踊りを披露するなど印象付けた。

同CDを企画した同社伝統邦楽ビジネスユニット特別顧問の吉田輝之さんは「歴史やお城に興味を持つ若い女性が増え『お城ブーム』と言われる中、名城を集めて一枚のCDを作りたいと企画した」と語り「全国のいろいろなお城を探り、関東で名城がないか探していた中、今は建造物がほとんど残されてないが、城にまつわる歌が残っている土浦音頭を取り上げてみようということになった」と選定の理由を話す。

恩田学院長は「まさかCDに入るとは思わなかった。うれしい。土浦のお役に立たせていただければ」と話し、土浦音頭を掘り起こした冠木さんは「土浦音頭がようやく知られるようになり、公演して良かった。踊りたいという若い人が出てくれれば」と述べ「土浦は新しいものと古いものが融合するまちなので、中心市街地で土浦音頭の踊りを披露したい」と話している。

7月7日と16日に披露

CD収録を祝って7月7日、16年に公演した桜川芸者学校の出演者らが「粋な七夕まつり―土浦音頭で愛の夜明けを」と題し、土浦市中心市街地の7カ所で、演劇を織り交ぜた土浦音頭の踊りを披露する。街頭で前触れなく踊るフラッシュモブ風になるという。さらに同16日、筑波銀行つくば営業部(つくば市竹園)で開催される舞踊イベント「チャリティー真夏の饗宴」(国際美学院、つくば舞踊研究会主催)でも披露する予定という。

2016年9月4日、土浦市の古民家カフェ、城藤茶店で催された演劇公演「桜川芸者学校」で、土浦音頭の新たな踊りを披露する恩田鳳昇さん(常陽新聞提供)

メモ
【土浦音頭】昭和初期に制作された。当時の土浦芸者組合見番(けんばん)頭取、桜井留吉や、三業組合長、堀越正雄らが制作し、当時、土浦で一番人気の名妓だった君香(きみか)らが歌い踊ったとされる。完成直後は7人の芸者が東京に出向き、三越や松坂屋ホールで開かれたイベントに出演し好評を博したといわれる。作曲は「鯉のぼり」や「靴が鳴る」などを作曲した弘田竜太郎。歌詞は1~4番まであるが、CDは1、3、4番が収録されている。

土浦音頭  横瀬雨作詞/弘田竜太郎作曲

1、船が見えそろ 霞ケ浦の

千艘萬艘(せんぞばんぞ)の帆曳船

船がみえそろ 土浦入りに

風をはらんだ 帆曳の船が

恋知り初めし 十六七の

娘心は 白魚か海老か

人は知らじな 公魚(わかさぎ)は

恋のやまいに よしとかや さて

2、十六七は 砂山のつゝじ

寝いろとすれば 起さるゝ

逢いたさ見たさ 夢見てばかり

ねざめすぐれぬ 暁かけて

手枕近き プロペラの音

れんじあくれば 燕がえし

伸ばすは翔けるは 飛行機の

道をさえぎる 雲とてもなし

3、松になりたや 有馬の松に

藤にまかれて ねとござる

藤にまかれて 巻かれて藤に

藤にまかれて ねたというた

有馬の松は こちや 知らねども

お城の址に 大きな大きな

榎の木 宿して ぬっと立つ

松を見しゃんせ あれ男松

4、男山(おやま) 女山(めやま)の しづくを受けて

淵となりたる 桜川

月よし雪よし さをさしゃとどく

屋形屋形の あのさんざめき

船はヤハでも 炭薪ゃつまぬ

春はうれしや 霞とともに

花がはらりと 咲くならば

さぞや弥生の なあ人心

「すさまじいエネルギー」 初期の貴重な作品公開 小林恒岳遺作展

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50年以上人目に触れなかった新興美術院新人賞受賞の大作「輪」=かすみがうら市の四万騎農園石蔵ギャラリー

【鈴木萬里子】昨年6月、85歳で逝去した郷土の日本画家、小林恒岳(こうがく)の「遺作展―歿後一周年記念」が、かすみがうら市上土田の四万騎農園石蔵ギャラリーで開かれている。50年以上、人目に触れなかった初期の貴重な作品のほか、郷里の高浜から見た筑波山や、居を移した吾国山中腹(石岡市)から見た霞ケ浦の風景など、小品から大作まで30点余りが展示されている。

会場入口に展示されている大作「輪」は連作8枚のうちの4枚。恒岳が1963年に描いた抽象画で、新興美術院の新人賞を取った。妻で詩人の硲杏子(はざまきょうこ、本名=志津江)さんが、今年12月13日から北茨城市の県天心記念五浦美術館で開催される「追悼―小林恒岳展」の出品作品を整理していた時に見つけた。

「65年高浜に戻った時に梱包したままだった作品。闇の中から突然出て来て非常に驚いた。描いていた頃の苦しかった暮らしぶりなどを思い出した。力強いこの絵に、すさまじいエネルギーを感じる。梱包したままだったのが幸いし、散逸することなく初期の貴重な作品を皆さんに見ていただける」と話していた。

画の指導を受けた土浦市の尾島和子さんは「輪の連作は2㎝も盛り上げ技法で描かれている。こんなのは見たことがなく、先生の穏やかな優しい作品とは違う、初期の前衛的で激しい画に感動した。ほかにも初めて見る作品があり驚いている」と話した。

作品整理の中で今回見つかった「花鳥風月の内 桜」などの作品も展示されている。

今回見つかった作品「花鳥風月の内 桜」に見入る来場者ら=同

小林恒岳は土浦一高から東京芸大に学び、父親で日本画家の巣居人(そうきょじん)が創設した「新興美術院」で活躍した。田中角栄の列島改造論で日本中が湧きたっていた70年代に環境破壊を憂える作品を発表。作品「蒼」では、霞ケ浦の風景に、悲し気な水鳥や月を描き、環境破壊に警鐘を鳴らした。

会場には色とりどりのアジサイの鉢植えが置かれている。石岡と土浦で恒岳から指導を受けた生徒らが、アジサイが好きだった師の1周年を「紫陽花忌」としてしのび、展示したという。

◆会期は6日(水)まで。入場無料。開館時間は午前10時~午後5時30分。問い合わせは四万騎農園石蔵ギャラリー(電話0299・59・2038)

大谷石造りの四万騎農園石蔵ギャラリー

お中元商戦幕開け 京成百貨店つくば

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京成百貨店つくばショップに開設したお中元ギフトセンター=つくば市吾妻、キュート2階

【崎山勝功】京成百貨店つくばショップ(つくば市吾妻、キュート2 階)に1日、「お中元ギフトセンター」が開設され、今年のお中元商戦が幕開けした。

筑波山系の水で飼育されたチョウザメの缶詰とキャビアの詰め合わせ「キャビア・フィッシュミート缶詰セット」(税込9504円)や、筑波ハム詰め合わせ(税込5400円)などの県産品をはじめ、ビールや高級洋菓子などが並べられている。

同ショップによると今年の人気は、計20種類の県産品から3種類の品物を自由に選んで組み合わせる「いばらき三昧(ざんまい)」(税込4400円)や、2種類の県産品を自由に組み合わせる「いばらき逸品二昧(ふたあじ)」(税込5900円)などだという。同店担当者は「県外の方に贈るには喜ばれる。地元の良さを知ってもらうには、いばらき三昧といばらき逸品二味がお薦め」と話す。

県南唯一の百貨店、西武筑波店が2017年3月に閉店して以降、同ショップを運営する水戸京成百貨店(水戸市)は昨年から、つくばクレオスクエア(同市吾妻)1階に期間限定のお中元ギフトセンターを開いてお中元を扱っていた。今年は同つくばショップが開店したことから、ショップ内にギフトセンターを展開した。

昨年のつくばでの同社のお中元受注状況は、来場者約1500人、買上点数合計約5500点、1点当たりの平均買上単価は3777円、一人当たりの平均買上点数は3.04点で同平均買上金額は1万1473円だったという。同社は今年の受注目標を前年比1.7倍に掲げている。お中元受注ピークの6月下旬から7月上旬に向けてお中元商戦が活発化する見込みだ。

◆同センターの会期は7月16日まで(状況により延長もある)。営業時間は午前10時~午後8時。混雑の第1ピークは6月23日(土)~24日(日)、第2ピークは6月30日(土)~7月1日(日)と予想されている。1741点が掲載されたカタログ掲載ギフトなどもある。問い合わせは電話029・231・1111(水戸京成百貨店)

新入生に伴侶犬 2年間共に過ごし成長 つくば国際ペット専門学校

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パートナードッグを抱いた1年生たち=つくば市沼田のつくば国際ペット専門学校

【崎山勝功】犬のトレーナー(指導員)など、ペットに携わる職種を目指し専門学校「つくば国際ペット専門学校」(つくば市沼田)で学ぶ1年生152人に1日、2年間の学生生活を一緒に過ごす犬「パートナードッグ」が手渡された。

生後約6カ月から1年未満の子犬で、学生が1人1頭を飼育し、学校での授業を始め、放課後や学生寮、自宅で一緒に生活する。学生本人が希望すれば、卒業後も一緒に暮らすことができる。

1日、同校で「パートナードッグ」の任命式が行われ、教師や2年生からそれぞれ1頭ずつが1年生に手渡された。高橋仁校長は「今日の任命式を節目に、今日からはパートナードッグと一緒に命の重さ、日々育てていくことの大切さを感じて、いろんな体験をしてください」と話した。

同校では2006年の開校以来、パートナードッグ制度を採用している。「動物を取り扱うプロとして、飼い主の気持ちや犬の気持ちが分かる」「教科書だけでは学べない生きた勉強ができる」など、実際に飼育することで得られる体験を通して、技術を習得するのがねらい。

動物看護師を目指す動物看護福祉コース1年の高橋舞衣さん(19)=埼玉県岩槻市出身=は生後約6カ月の黒色のパグを手渡された。「1人暮らしなので、自分以外の子(子犬)が来るという責任を負う。この学校で生まれた子なのでそれを含めてかわいい」と笑顔を見せた。将来は「動物と飼い主との懸け橋になれるような看護師になりたい」と語った。

1歳のビーグル犬を手にしたドッグトレーナーコース1年の相良鞠衣さん(19)=常陸太田市出身=は「この子と一緒に2年間頑張っていく。元から元気のいい犬種なので、元気を活かしたしつけをしたい。どんな犬種でもしつけのできるトレーナーになりたい」と話した。

神立駅周辺で食べ飲み歩こう 35店舗が特別メニュー 6月10日から

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囲酒屋神立ドリンクラリーの参加を呼びかける「ふれあい倶楽部栄ちゃん」の鈴木栄一さん=土浦市神立東1丁目

【谷島英里子】JR神立駅周辺の飲食店をチケットで食べ歩き・飲み歩きできるイベント「囲(い)酒屋神立ドリンクラリー」が6月10日~16日に開催される。

神立商工振興会(土浦市)が駅周辺と神立地区の活性化や各店の新規顧客の開拓につなげようと企画し、6回目となる今回は35店舗が参加する。飲酒できない人や女性でも気軽に楽しめるよう、ランチ営業の店も加わった。

イベントに参加するには3枚つづりのチケットを事前に参加店で購入する。同商工振興会によると、「刺身の盛り合わせ+ハイボールまたはサワー各種」「海鮮中華丼+ソフトドリンク」など、チケット1枚で料理1品と飲み物1杯がお得に楽しめる。チケットは2400円。利用者のなかから抽選で30人に参加店で使える3000円分の食事券のプレゼントも行う。

参加店の一つ、神立東の「ふれあい倶楽部 栄ちゃん」では、十割そば(更科、韃靼(だったん)、ハーフ&ハーフ)+生ビールまたはソフトドリンク+カラオケを提供。オーナーの鈴木栄一さん(70)は「お気に入りの店を見つけてもらい、常連になっていただければ」と呼びかけている。

参加店舗やマップなどの詳細は、駅周辺の情報サイト「神立手帖」(http://kandatsu.org/)で。

障害者スポーツ普及させたい 茨城国体契機に つくば市

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つくばフェスティバル2018でハンドアーチェリーを体験する子ども=つくば市竹園の大清水公園

【佐藤信之】来年秋に開催される「いきいき茨城ゆめ国体」の会場となるつくば市は、同国体後に開催される「全国障害者スポーツ大会」に向け、ハンドアーチェリーや車いすバスケットボールなどの体験会を開催し、障害者スポーツの普及に努めている。

茨城国体で初めてオープン競技に加わるハンドアーチェリーは、的に針のついていないピンをあて得点を競うスポーツ。右手で5回、左手で5回の計10回投げ、合計得点が高い人が勝ちとなる。競技者の体の状況によって投げる距離や姿勢、的の高さなどを自由に設定することができ、子どもも高齢者も障害者も誰でも楽しめる。

同市国体推進課の吉井祐二さんによると、昨年度から今まで20回以上、市内各地で体験会を開いてきたという。吉井さんは「昨年まで障害福祉課に勤務していたこともあり、茨城国体を契機として国体が終わった後も地域に障害者スポーツを普及させていきたい」と語る。

5月12、13日に催された「つくばフェスティバル2018」では、会場の大清水公園(同市竹園)に設けられた国体PRブースで、市民にハンドアーチェリーを体験してもらった。参加した子どもたちは、競技で使用されるのと同じピンを使い、3mほど離れた的に向かって一生懸命ピンを投げていた。

7月15日午後1時から同市金田の桜総合体育館でハンドアーチェリー、車いすバスケットボールのほか、バレーボールのルールを取り入れて卓球台で競う卓球バレー、「地上のカーリング」とも呼ばれているボッチャの4種目の体験会が行われる。市内在住、在勤、在学の人なら誰でも参加できる。車いすバスケのみ小学生以上が対象で事前申込制(定員50人、参加費100円)。申し込みは6月1日から市のHPまたは国体推進課窓口で受け付ける。

また、9月にも市内で車いすバスケの体験教室が予定されている(中学生以上が対象)。

筑波山仰ぐ地を俳人目線で描写 扇子売りの柴原保佳さん

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発刊された「筑波の見える風景」と著者の柴原保佳さん

【橋立多美】家業の扇子屋を継ぎ、筑波山を仰ぐ県内を売り歩いた体験や見聞きした人々の日常を細やかに描写した写生文集『筑波の見える風景』(ウエップ、2700円)がこのほど発刊された。

著者は東京都足立区千住在住の柴原保佳さん(85)。俳誌「ホトトギス」会員だった父親の影響を受けて34歳でホトトギス同人になった。写生の技術を散文にした正岡子規の教えを引き継ぎ、子規没後も門人たちによって継続している文章会「山会」にも参加している。1963年から、扇子を並べた商品ケースを机にして書いた写生文は約800編に及び、古希以後につづった54編が収録されている。

「梨の頃に」と題した文がある。「石岡の郊外に土田というところがあって、一面に梨畑が並んでいた」で始まる。千住の家の近くに住んでいた蒔絵(まきえ)描きの職人に漆器などで使う梨子地(なしじ)について聞いたくだりが書かれ、「梨の皮の地模様から考え出された漆芸の伝統の妙を感じたのである。梨の皮をくるくると剥く時にいつも作務衣(さむえ)姿の職人さんを思い浮かべる」と結んでいる。作者の日常へのまなざしが伝わってくる。

大学を卒業したばかりの作者が団扇(うちわ)の代金集めに歩いた真壁町を、長い時を経て再訪した際の文章もある。つくばエクスプレスの開業など時代の変化と、作者自身に流れた時代経過がもたらす機微も読みどころだ。

本書には、小学6年の時に長野県の善光寺宿坊に学童疎開をした折の寂しさと恒常的な空腹をつづった小説「雪吊(ゆきつり)」が載っている。長野で過ごした少年期のことが昨日のことのように描かれ、平和への思いが読み取れる。

同書の問い合わせはウエップ(電話03-5368-1870)まで。

新アウトドアスポーツで ジオパークの魅力堪能

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宝篋山を背景にゴールを目指す参加者たち=つくば市北条の大池公園

【富永みくに】日本ジオパークの一つ、筑波山地域ジオパークを会場とした、アウトドアスポーツ「第2回フォトロゲイニング大会」(同実行委主催)が27日、つくば市の筑波山や宝篋山(ほうきょうさん)で開かれ、約150人が参加した。

フォトロゲイニングは1976年にオーストラリアで生まれたスポーツで、地図を頼りに制限時間内にどれだけ得点を獲得できるかを競う。難易度の高いチェックポイントほど高得点が配分され、指定の観光スポットを利用するとボーナスポイントがもらえる。幼い子どものいる家族も景色や地元のグルメを楽しみながら参加できる。

チェックポイントは筑波山地域ジオパーク推進協議会(会長・五十嵐立青つくば市長)が提案し、ジオパークの見どころを盛り込んだ。高得点が配分されたのは、筑波山山頂の石碑、同ケーブルカー、宝篋山山頂の印塔、尖浅間山頂など。

地図や資料を見ながら作戦会議をする参加者=同市北条の筑波総合体育館

スタート前の午前9時20分、地図とチェックポイントが配布され、各チームが作戦会議を開始。高得点が得られるルートを入念に選んだ。午前10時のスタート時には、同市のゆるキャラ「つくつく」「フックン船長」がスタートゲートに登場し、盛り上げた。

つくば市のゆるキャラに見守られスタートする参加者=同市北条の大池公園

3時間の部で優勝した「時折若柴」チームは製薬会社の同僚3人で参加。加島美穂さん(33)は「日頃の運動不足の解消にと思い参加した。制限時間が短かったため、近場の宝篋山を登るコースを選んだ。思っていたよりも山道が厳しかったがとても楽しかった」とコメントした。

地元の土産店で指定の商品を買うとボーナスポイントがもらえた(同市観光推進課提供)=筑波山神社参道

市ジオパーク室の杉原薫主任主査は「北条街づくり振興会など地元の皆さんにも協力いただき、ジオパークだけでなく、地域の隠れた見どころを知ってもらえるようなコースを提案した」と説明した。

会場では宝篋山の名前を、国土地理院の地図に載せる署名活動も行われた。現在、約500人の署名が集まっており、2000人を目指してこれからも呼び掛けるという。

ひとり出版社立ち上げ1年 つくばの高松夕佳さん

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心に残る本を出版していきたいという高松さん

【橋立多美】新刊市場が縮小し、本が売れない時代につくばに出版社「夕(せき)書房」を立ち上げた女性がいる。東京の出版社で経験を積んだ編集者の高松夕佳さん(42)。1人で何でもこなすひとり出版社だ。立ち上げから1年経った先月、3冊目の『宮澤賢治 愛のうた』(澤口たまみ著、税別1800円)を刊行した。

1冊目は、美術家の村上慧さんの『家をせおって歩いた』(同2000円)。東日本大震災後の2014年、発泡スチロール製の家を担いで東北から九州まで移住生活をした369日の日記を収録した。震災を機に「僕たちは(仕事と生活のために)閉じ込められている」と思った著者が、各地の日常を切り取りながら思索した旅の記録だ。

2014年4月、高松さんは当時勤めていた出版社の窓から「家」を背負って歩く村上さんを目撃し、SNSで連絡を取った。仕事の合間に、震災の被災地大船渡や陸前高田を歩く村上さんに会いに行き、地元の人に話を聞いたり絵を描く村上さんの姿を間近で見て「洪水のように押し寄せる情報の波に流されず、自分の目で見てつかみ取る人の言葉は信頼できる」と感じたという。

その年の暮れ、違う環境で生きてみたいと考えた高松さんは出版社を辞めた。ところが本に渇望し、自分の居場所は出版業界しかないと身をもって知った。同じ頃、村上さんから移住中につづった日記を本にしたいという話を聞き、出版社を紹介したが実現しなかった。

「それなら私がやろう」。業界に戻り、生まれ育ったつくばで出版社を興すことを決めた。村上さんの姿勢に共感できたことも後押しした。

出版社に勤務していた頃、仕事で知り合った2人から出版依頼を受けて2冊目と3冊目を世に送り出した。

2冊目は、土門拳賞受賞写真家の亀山亮さんの写真集『山熊田』(同2800円)。新潟県村上市山熊田は、その名の通り山とクマと田んぼだけ。マタギと呼ばれる男衆がブナ林の奥深くに入り込み、仕留めたクマを解体する様子など、山とともに生きる集落の暮らしをモノクロフィルムに収めた本書は、人間ドラマの魅力に満ちている。

新作の『宮澤賢治 愛のうた』は、独身のまま生涯を終えた賢治は恋愛とは縁がなかったとされるが、エッセイストの著者は賢治の作品から恋心を読み取り、恋人がいたと確信。そこに至るまでの謎解きを作品を引用して展開する。

高松さんは「亀山さんは山懐で生きる人々を自らの目で撮り続け、澤口さんは賢治の作品を丹念に読み込んで賢治像に迫る。体験した事実を大事にする生き方は村上さんとも共通するもので、出版の決め手になった」と話す。

3冊とも丁寧で個性的な装丁にこだわっている。表紙やカバー、帯はいずれも手触りの良い紙質で、恋をテーマにした3作目の表紙は、嫉妬心を描いた童話に出てくるヤマナシの花弁のイラストが目を引く。斜陽産業と言われる出版業界だが、紙媒体の可能性を感じさせる。

「流行に便乗した売れる本ではなく、多角的に思考するための材料になる本を作っていきたい」と高松さんは話した。

問い合わせや注文は夕書房(https://www.sekishobo.com/)へ。

夕書房の刊行本。左から『宮澤賢治 愛のうた』、『山熊田』、『家をせおって歩いた』。

知事、国会議員ら北朝鮮情勢や日報問題に言及 霞ケ浦駐屯地65周年

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記念式典で起立をする大井川和彦知事(中央)ら=土浦市右籾の陸上自衛隊霞ケ浦駐屯地

【崎山勝功】陸上自衛隊霞ケ浦駐屯地(土浦市右籾)開設65周年・関東補給処創立20周年記念の一般開放イベントが26日同所で開かれた。記念式典には大井川和彦知事や県選出国会議員らが参加し、緊迫する北朝鮮情勢やイラク日報問題などに言及した。

大井川知事は「北朝鮮の核実験施設の廃棄が報道されたが、過去の経緯からみても予断を許さない。尖閣諸島の中国工船や漁船の度重なる領海侵犯など、我が国の主権を脅かす事案が発生している」と述べ「自衛隊には北朝鮮情勢に関する情報収集、警戒活動や有事即応体制のさらなる強化、さらには2年後に開催される東京オリンピック・パラリンピックのテロ対策など国民の期待はこれまで以上に高まっている」との考えを示した。

藤田幸久参院議員(国民民主)は、不存在とされた陸上自衛隊イラク派遣部隊の日報が見つかった問題に触れ「現場で命がけで戦っている皆さんの現場の叫びがトップまで届いていない1年間」だったと述べ「第2次大戦でも皆さんの記録がしっかり後で教訓として生かされている。皆さんにとっては遠い地まで行っていながら、それ(現場の声)が伝わっていないことが最大の問題」と、自衛隊トップに苦言を呈した。

式典には国光文乃、青山大人衆院議員、中川清土浦市長や県会議員、同市議らが多数出席した。

一般公開ではヘリコプターが地上にいる被災者を救助する訓練が披露されたほか、実際に使われている防弾ベストとヘルメットを試着する体験なども催された。

一般公開イベントで防弾ベストを試着する女性(中央)=同

人工知能で次世代の地銀へ 筑波銀行など7行が新会社

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筑波銀行つくば営業部=つくば市竹園

【鈴木宏子】筑波銀行(土浦市、藤川雅海頭取)は25日、他県の地方銀行計7行と連携し、人工知能(AI)などを使って金融サービスや業務のデジタル化を進める共同出資会社「フィンクロス・デジタル」(東京都中央区、社長・伊東真幸元横浜銀行頭取)を6月25日に設立すると発表した。

現金を使わずスマートフォンによる電子商取引が広がったり、IT企業が情報技術を駆使してフィンテックと呼ばれる新しい金融サービスを提供するなど、めまぐるしいスピードで経済のデジタル化が進む中、地方銀行が共同出資してデジタル化を進める。

7行はほかに、池田泉州銀行(大阪市)、群馬銀行(前橋市)、山陰合同銀行(松江市)、四国銀行(高知市)、千葉興業銀行(千葉市)、福井銀行(福井市)。新会社の資本金は1億円、設立時の純資産は1億4000万円。14.3%ずつ出資する。

新会社は、7行がもつ顧客情報を匿名化してデータ分析し、顧客の生活スタイルや子供の成長などに合わせた最適な金融商品を個別に提供などする人工知能を研究・開発する。さらに人工知能を用いて事務作業を効率的に自動化するロボット(RPA)を導入し銀行業務の効率化を進めたり、店舗のペーパーレス化やキャッシュレス化などを進めるという。

他の金融機関の参加を歓迎するほか、今後、複数行による協働事業も検討するという。ただしシステムの統合などは実施しないとしている。

風景に溶け込む野仏20点 オダギ秀さん写真展

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写真に見入る3人=同ギャラリー2階

【鈴木萬里子】町なかにたたずむ野仏を切り撮ったオダギ秀写真展「遥(はる)かなる野仏」が、つくば市小田のギャラリーカフェ梟(ふくろう)で開かれている。

土浦市在住のオダギさんは県下写真界の指導的立場にある写真家。野仏展は今回で3回目。3年前から年1回、同ギャラリーで開催されている。

今展で展示されたのは、同市虫掛や大岩田などの道端に祭られた仏を撮影した20点。野仏の多くは江戸時代に作られ、亡くなった人への供養や地域の守り神として人々の生活と深い関わりを持ってきた。長い間の風雪で朽ちる寸前の仏など、その表情は1つとして同じものはない。

オダギさんは関東一帯の野仏を撮り続けている。ある地域の川辺で小さな野仏を見つけたときのこと。近くにいたお爺さんが「昔、川の氾濫で田畑が流されることに困った村人が、人柱にした娘の供養として作ったと伝えられている」と話してくれたそうだ。

観賞後に古民家を改築したカフェでくつろぐ来場者ら=つくば市小田のギャラリーカフェ梟

「野仏自体にも仏の生がある。最初に込められたいろいろな思いが長い年月をかけて朽ちていく。それに自分の人生を重ねてしまう。見ていると興味が湧いて尽きることがない」とオダギさんはいう。

オダギファンだという70代の女性3人が牛久、土浦、龍ケ崎から来場した。オダギさんの作品は毎回欠かさず観ているという。三人は「すてきな写真ばかり、素朴でしっとりした感じが良い」「プロの物を見る、目の付け所がすごいと感心する」「選んだ仏さまの表情が何とも言えず良い」と話していた。

オダギさんはNEWSつくばのコラムニストの一人でもある。毎回、これまで出会った人を温かみのある目線で捉えて軽快につづっている。

◆同展の会期は6月3日(日)まで。開廊は午前10時~午後4時30分。月曜、金曜は休廊。入場無料。問い合わせはオダギスタジオ(電話029・225・2679)まで

ギャラリーカフェ梟の入口

男だってヘアドネーション つくばで自立支援の浅井和幸さん

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カットした自分の髪の毛をもつ浅井和幸さん=つくば市二の宮、美容サロンIRIS
束ねた髪をほどいて切る準備をする浅井さん

【鈴木宏子】引きこもりの若者などの自立を支援しているつくば市のNPO若年者社会参加支援普及協会アストリンク理事長の浅井和幸さん(46)が12日、約4年間伸ばした髪を切った。小児がんなどの治療で髪の毛を失ってしまった子供たちにウィッグ(かつら)を提供するヘアドネーションに協力するためだ。伸ばした長さは30㎝以上。男性がヘアドネーションに協力するのは珍しい。どんな思いだったのか。

5年程前、インターネットのニュースでヘアドネーションを知り協力しようと思ったという。世間には男らしい髪形や女らしい髪形、男が長髪なのはおかしいという常識があって、常識に合わない人は自分を恥じ、縮こまってしまう状況に異議申し立てしたいという思いがあった。支援する引きこもりの若者の中に、床屋に行かず、髪が伸び放題になっている若者がいたことから、自宅に居ながらできるボランティアがあることも知ってほしかったという。

普段は後ろ髪を一つに縛り束ねていた。理由を話すと多くの人は「すごいね」などと応援してくれた。一方で髪を伸ばした浅井さんに嫌悪感を抱き、一時、浅井さんを避けるようになった知人もいたという。利点も多いと強調し「一度会っただけで覚えてもらえるし、講演会で話すネタにもなる」という。

髪が肩まで届くようになると、バックや趣味のギターを肩に掛けた際、髪の毛がからまったり、就寝し寝返りを打った際、引っ張られて目を覚ますこともあったという。洗髪は10分ほどで終えたが、乾かすのが大変で、寒い冬はぬれた髪が冷え冷えしたなどの苦労もあった。

長さが規定の31㎝を超えたため、12日、ヘアドネーションに協賛しているつくば市二の宮の美容サロンIRIS(イーリス、東海林瑛人代表)で髪を切った。

まずひもで縛って6束に分け、ばっさりカット。長い髪は38㎝あった。浅井さんは「久しぶりに首が軽くて涼しい」と感想。同店で、30㎝の髪ではショートヘアのウィッグしか作れないこと、ロングヘアーを作るには50㎝以上必要であることを教わったので「何年先になるか分からないが、次は50㎝以上伸ばしたい」と、浅井さんはすぐに次のチャレンジをスタートさせた。

2日に1人が協力

浅井さんの髪を6つの束に縛ってばっさりカットする美容師の東海林夏奈さん

同店を経営する美容師で妻の夏奈さんによると、ヘアドネーションはテレビやメディアで紹介され認知度が上がってきており、今年に入って急に協力者が増えているという。

同店の場合、4月は18人が協力。ほぼ2日に1人のペースだ。5月も同じペースで、男性も浅井さんが2人目だという。女性の場合、もともとロングヘアで、七五三や小学校入学、成人式などの節目に合わせて切り、何かに役立てたいと協力する人が多いという。

同店は、店をオープンした2年前からヘアドネーションに協賛している。夏奈さんは「ウィッグを待っている子どもたちが現在100人以上おり、一つのウィッグをつくるのに10人から30人の髪の毛が必要になる。パーマをかけていても、染めていてもOK。普段の生活をしている人ならだれでも協力できる」と協力を呼び掛けている。

経年劣化しボルト破断が原因 筑波大渡り廊下屋根崩落事故

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事故原因の調査結果を発表する石野利和副学長(中央)ら=筑波大学

【鈴木宏子】筑波大学(つくば市天王台)で昨年12月10日、教室がある建物と建物の2階部分をつなぐ連絡通路(渡り廊下)の屋根が崩落した事故で、同大は24日、原因は経年劣化により、建物のコンクリートに打ち込んで屋根を固定していたボルトがさびて腐食し破断したためと発表した。外部の専門家を加えた特別チームを設置し事故原因を調査していた。

崩落した屋根は42年前の1975年に建設された。鉄骨造、長さ約17.5m、幅約4.5m、重さ約13.6tで、2つの建物と両側20本のボルトで固定されていた。普段は学生が渡り廊下を歩いて教室を行き来しているが、事故時は日曜日のため学生がおらずけが人はなかった。

さびた原因は、長年にわたって雨水が直接かかり腐食したという。事故前からすでに破断していたとみられるボルトや、細くなっていたボルトもあり、屋根の重さを支えきれない状態になっていたと考えられるという。この日氷点下2.3度を記録したため部材が収縮したことがきっかけになった可能性もあるという。

対策について、これまで目視により定期点検を行っていたが、ボルト部分は鋼板で覆われていたため、さびなどを確認することができなかったとした。一方、2004年に建物の耐震診断を実施した際、崩落した屋根については構造計算をしておらず、当時計算していれば事故を防げた可能性があったとした。

事故後、同大は、学内の渡り廊下77カ所の緊急点検を実施し、これまでに平砂宿舎の渡り廊下など計3カ所を撤去したり改修した。他に、崩落事故があった屋根と同様にボルトで固定されている渡り廊下が3カ所あることから、さらに点検を進めるとしている。

調査結果について永田恭介学長は「学内施設に対する安全性への信頼を低下させる極めて深刻な事故。今後同様の事故が発生することがないよう安全・安心の確保のため全力を尽くしたい」とするコメントを出した。

高齢化で在宅介護の相談急増 民生委員自ら初の研修 つくば市茎崎

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民生委員の質問に答える渡辺さん。右は久保田さん=つくば市小茎

【橋立多美】住宅団地住民が一斉に年をとり、急速な高齢化が進むつくば市茎崎地区で、民生委員が在宅介護に関する相談を受けるケースがここ数年、急増している。こうした状況を受け、同地区の民生委員自らが初の試みとして、在宅介護のシステムと現状を知る研修に取り組んだ。

茎崎交流センターで18日開かれた、同市茎崎地区民生委員児童委員協議会(関口光治会長)による全体研修で、初めて在宅医療と介護をテーマにした。

訪問診療を専門に行っている、つくば在宅クリニック院長の渡辺拓自さんの講演と3人を看取った介護者の体験談が語られ、会場に集まった32人の委員たちは静かに耳を傾けた。

渡辺さんは同市を中心に、10市1町の在宅患者約140人の診療にあたっている。様々な患者と家族の例を挙げながら「在宅医療は看取りのための医療ではなく、患者の意思に添いながら訪問看護師などがチームで支える医療」と話した。その一方で「本人にとって介護が生活の基盤で家族の理解と協力がないと成り立たない」とも。

続いて谷田部地区民生委員の久保田美智子さんが、実母と夫、従妹の順で介護し見送った体験を語った。「本人の痛みをコントロールしてくれる在宅医がいたから、9年に及んだ介護の日々を乗り切ることができた」と振り返った。

参加した民生委員からは「相談に乗ってくれる良い主治医を探すには?」「知りたかった訪問診療にかかる費用が分かって良かった」などの質問や感想が聞かれた。

民生委員は、地域の身近な相談相手として必要な支援を行う非常勤の公務員。あしび野に住む民生委員の稲川誠一さんによると、2005年に施行された個人情報保護法でお年寄りの安否確認が満足にできなくなって業務に弊害が生じたり、民生委員自らが高齢になって辞めるなど、なり手不足になっていると課題を指摘した。