常陽新聞(今年3月休刊)記者だった筆者は、高校や大学への進学支援を訴える「あしなが学生募金」の活動ぶりや遺児たちの苦しい生活事情を記事にしてきた。新聞が休刊したあと遺児たちの記事が書けなくなる―そう絶望感に襲われた記者は「遺児たちのために何かできることはないか」と春の街頭募金活動に志願した。秋の募金は10月21日から29日まで土日の4日間、つくば駅前(21日のみ)など県内4カ所で行われる。
街頭募金は春と秋の年2回実施される。記者は4月に取手とつくばで街頭募金活動に参加した。4月は新年度の切り替え時期と重なるため、例年学生ボランティアが不足する。2016年4月にはボランティア不足のため、つくばでの街頭活動が断念された。
4月22日、JR取手駅西口では、群馬県から来た学生スタッフの女性と2人で募金活動を始めた。茨城のボランティアが足りないため群馬県から遠征してきたという。記者は中学生のとき、郷里の岩手県宮古市で「赤い羽根共同募金」活動に参加した経験があり、街頭での呼び掛けに抵抗感はなかった。
午前10時から開始したものの、募金どころかチラシを受け取ってもらうだけでひと苦労。駅を行きかう人はなかなか足を止めようとしない。インターネットで流れている言葉をうのみにして「募金が何に使われているのか分かっているのか」と食ってかかる男性もいたが、ひとしきり持論を述べてから募金に応じてくれた。
粘り強くチラシ配布を続けると、少しずつ募金に応じる人が出てきた。「ボランティア不足であしなが学生募金が苦境」という報道が新聞やテレビであったため、認知度が上がったのだろうか。硬貨ではなく紙幣を募金してくれる年配の女性などもいて、女性スタッフは「取手はすごい」と感激していた。
午後から、あしなが奨学生OBが助っ人に加わってくれたこともあり弾みがついた。午後4時までに記者が集めた募金は1万4963円だった。
4月30日、つくば駅前での活動には午前中のみ参加した。取手とは打って変わって、高校生、大手保険会社社員のボランティアなど20人前後がいて、飛び入りで参加した親子連れもいた。
「つくばは大学生や研究者が多いから関心度が高いのか」と期待したが、チラシも受け取らず通り過ぎる市民が多かった。心が折れそうになったが、高校時代、応援団長から「腹から声出せ」と指導を受けたのを思い出し、大声で呼び掛けた。2時間で募金額は2028円。取手と比べると少ないが健闘したと思う。
10月21日からの募金ボランティアの参加は「あしなが学生募金」公式サイトで受け付けている。
あしなが育英会は2018度から「給付型奨学金」を新設し、大学生などには月3万円(年間36万円)、高校生などには月2万円(年間24万円)が給付される。従来から行われている貸与型の無利子奨学金と併用すると、大学生で年間84万円を受けられることになり、勉学に打ち込める環境が改善される。(崎山勝功)