水曜日, 11月 30, 2022
ホーム つくば 【多文化共生を支える】1 言葉の壁越えるには 

【多文化共生を支える】1 言葉の壁越えるには 

【橋立多美】大学や研究機関、工業団地が集積するつくば市は、県内最多の外国人が住む多文化のまちだ。10年前と比べて約2000人増加し、留学生や研究者、就労者など143カ国の約9300人(市人口の4%)が暮らす。国が外国人労働者の受け入れ拡大に乗り出したことで一層の増加が見込まれている。

外国人のいる日常は今や当たり前になった。だが言葉の壁や文化、習慣の違いで彼らが戸惑ったり途方に暮れることは想像に難くない。彼らにどんな支援がされているのか。在日外国人の生活に密着した支援を3回シリーズで報告する。初回は、学齢期の子どもを中心とした言葉のサポートを紹介する。

半数が日本語指導必要

同市には日本語指導を必要とする小中学生が多く暮らす。市教委によると、市内の外国籍児童生徒は約350人で半数の約170人に日本語指導が必要という。主に市中心部の公立小中学校に在籍することから、小中9校に日本語指導の研修を受けた教員12人を配置している。学級を持たずに日本語指導に専念し、別教室で個別の指導も行われている。日本語が読めず、学校からの書類などが理解できない保護者とはスマホの翻訳機能を使ってコミュニケーションをとっているそうだ。

7月中旬、同市吾妻の筑波学院大学で来春の高校進学を目指す外国籍の中学生と家族が、通訳付きで日本の高等学校の仕組みを学んでいた。内容は小中学校との違い、高校の種類やカリキュラム、入試、偏差値、学費と多岐にわたる。台湾出身で龍ケ崎済生会病院の産婦人科医・陳央仁さんが高校進学体験談を語った後は個別相談に応じた。ブラジル出身の父親は「高校のことがよく分かり、娘の学力レベルと通学時間や経済面を考えて受験する高校を決めることができた」とほっとした表情を見せた。

日本の教育制度や高校についての説明を聞く参加者たち。手前は県内の高校のパンフレットと夏季講習のチラシ=つくば市吾妻の筑波学院大学

国際交流協会が担い手に

この「高校進学相談会」はつくば市国際交流協会(小玉喜三郎理事長)が主催。講師を務めた同大の金久保紀子教授は「子どもたちは日本に永住する可能性が高く、高校入試は避けて通れない。しかし日本の教育システムが分からず、公立の小中のように高校に入学できると思っている」と話してくれた。

夏休み期間中は小中学生対象の「こども日本語勉強会」が行われた。市内4地区の学校と公共施設で全12回開かれ、同協会のボランティアが指導にあたっている。つくばイノベーションプラザでの今夏最後の勉強会では、中国とインドネシア出身の児童5人が日本語を学んでいた。小2の男子児童の机の上には「けさはパンをたべましたか」など、日常会話を学ぶドリルが置かれていた。この勉強会は冬・春休みにも実施されている。

外国人とその家族を対象にした「日本語講座」も開講されている。初心者から上級者までの5段階で昼コースと午後6時30分からの夜のコースがある。同協会の中村貴之係長は「日本で生活するために日本語の習得は欠かせず、子どもは学習言語、大人は生活言語を学ぶ必要がある」と話す。

毎週水曜日には無料の「外国人のための相談室」も開かれている。家庭内のいざこざや給料未払い、DV(配偶者、恋人などからの暴力)などの相談が寄せられる。未払いやDVなど弁護士や専門家が介在すべき問題は、たらい回しされないよう確かな相談先に橋渡しをしているという。

スポンサー

注目の記事

最近のコメント

最新記事

国家資格「愛玩動物看護師」育成へ学習環境整う つくば国際ペット専門学校に動物医療センター

つくば国際ペット専門学校(つくば市沼田、東郷治久理事長、学生数約400人)に動物医療センターが29日、完成した。来年から始まる新たな国家資格「愛玩動物看護師」を育成する実習施設で、隣接する犬のテーマパーク「つくばわんわんランド」や、老犬老猫ホームひまわり、同校の学生1人に1匹手渡されるパートナードックなど計約1000匹の健康管理を一手に担う。 グループ法人が運営するつくばわんわんランド内に建設された。センターは木造2階建て、延床面積434平方メートル。1階に検査室、処置室、手術室、レントゲン室、入院室を備え、2階は大教室になる。スタッフは獣医師4人と動物看護師7人。 動物医療センター1階室内。医療機器などの搬入はこれから 愛玩動物看護師は今年5月施行の愛玩動物看護師法に基づき新たにつくられた国家資格で、来年2月に初の国家試験が実施される。これまで民間資格だけだったが、業務の幅が広がり、新たに採血、投薬、マイクロチップ挿入などが医師の指導の下でできるようになる。受験資格を得るには大学または専門学校などで3年以上勉強することが必要。 新たな国家資格創設を見据え、同校では2年前に3年制の愛玩動物看護師コースを新設した。学生はこれまで、既存の校舎内にある付属動物病院「つくば獣医診療センター」で実習してきた。今回完成した動物医療センターは、既存のセンターの2倍近い広さがあるという。 今後、新センターにレントゲン装置や超音波診断装置などの機材や設備を運び入れた後、新センターでの実習を開始する。

新治本店を復活させる 土浦駅ビル内の佐藤酒店4代目【キーパーソン】

土浦駅ビル「プレイアトレ土浦」2階。書店、焼き芋店、どら焼き店、パン店が並ぶフロアーに、軽く飲食もできる酒類販売店がある。土浦市新治地区の商業施設にも出店していた佐藤酒店だ。29歳の4代目店主、佐藤栄介さんが、長く閉めていた本店(新治地区沢辺)を近くリニューアル開店させると知り、若い店主に酒屋への思いを聞いた。 「土浦小町」「土浦梅酒」が並ぶ アトレ店では、茨城県内で造られる日本酒、焼酎、クラフトビール、ワイン、リキュール、つまみ類だけを販売しており、全国ブランドの酒類は扱っていない。酒は売るだけでなく、レジを別にしたスタンドで飲めるようにしてある。JR常磐線利用者の「軽く一杯」には好都合で、書店や和菓子店などと同居する面白い空間だ。「もっと飲みたい」客には、駅周辺の店を紹介する。 「アトレ店を開いたのは2019年12月。駅ビルに星野リゾートBEB5土浦がプレオープンする半年前だ。星野を核にアトレをサイクリングリゾートの拠点にしようと企画するJR(アトレを経営)、茨城県(自転車観光を振興)、土浦市(駅周辺商業を振興)から『茨城の酒を売る店も入れたい』とオファーがあり、引き受けた。JR・県・市の狙いと、うちが大事にしている地元酒が合致したからだ」 プレイアトレ土浦内の佐藤酒店 左は酒類売店、右は飲酒コーナー

茨城の陶芸家 荒田耕治先生と 《令和楽学ラボ》21

【コラム・川上美智子】荒田耕治先生の作品との出会いは、結婚して東京から茨城に移り住んだ1970年春のこと、笠間の佐白山(さしろさん)の麓で開かれていた陶芸市をのぞいたときでした。内側がチタンマット、外側が黒釉彩(こくゆうさい)の洗練された素敵なコーヒーカップのセットを見つけ購入しました。新聞紙に包んでくれた係の人が、「荒田耕治さん」という笠間の若手ホープ作家が焼いたものだよと教えてくれました。 当時、先生はまだ32歳で県窯業指導所を終了し、笠間に築窯されたばかりの頃だったようです。実際に、荒田先生にお目にかかったのは、2005年、国民文化祭茨城県実行委員会で一緒に企画委員をしたときでした。 それがご縁で、2009年、国民文化祭が終了した年に、荒田耕治先生の陶芸教室でご指導を頂くことになりました。以来15年間、茨城県美術展覧会と水戸市芸術祭美術展覧会に連続入選することができ、先生のご指導のおかげで奨励賞や市議会議長賞などの賞も頂き、すっかり陶芸にはまってしまいました。 土をこね、土と向き合い大きな壺(つぼ)や花器に仕上げる工程は、もろもろのことを忘れ手仕事に没頭できる貴重な時間です。手を動かすことで、脳も心も浄化されるのを感じます。そのような大切な機会を与えてくれたのが荒田先生との出会いでした。 先生も、ご自分の作品とは異なる新しい形、思いがけないものが出来上がるのを楽しみにしてくれていたようです。手ひねりで大きな作品を作る手法を、この15年間でしっかり学ぶことができ、そろそろ個展を開いて、先生に見て頂きたいと思っていた矢先の、とても残念な先生のご逝去でした。 伝統工芸の第一人者として活躍

県立下館一高付属中、つくばで特別授業 関彰商事の取り組み学ぶ

県立下館一高付属中学校(筑西市)の特別授業が28日つくば市内で催され、1年生40人が関彰商事(本社・筑西市、つくば市)社員らと交流しながら、同社のダイバーシティー(多様性)などの取り組みについて学んだ。 同付属中は、中高一貫教育のため2020年に下館一高に併設された。特別授業は、地域企業の取り組みを知って、地域の実態や特徴、課題について理解を深めようと、同校の探求活動の一環で実施された。 関彰商事は1908(明治41)年に筑西市(当時、下館町)で創業した。関正樹社長は県立下館一高出身で、現在、筑西市とつくば市に本社がある。 経営者としての心得を話す関正樹社長 特別授業はつくば国際会議場で実施された。関社長は「卒業生としてとてもうれしい。(下館一高に)通っていた時は自分がこうなるとは思ってなかった」とあいさつ。「関彰商事は来年、創業115年を迎え、グループ売り上げは1600億円。百年以上続いて、売り上げ1000億円以上の会社は県内でうちだけだが、じゃあこれからも続くかは分からない(というのが経営の世界)。事実として、115歳になり、売り上げ1600億円ということがあるだけ」と経営者としての心得を語り、「生きていく上で(自身が)経験したことはすべて自分のためになっている。とにかく前を向いて、後ろに下がってもいいからちょっとずつ前に進めて、いろんな経験をしていただきたい」などと呼び掛けた。 続いて米国ロサンゼルス出身で、社内のSDGs(持続的な開発目標)教育などを担当する総合企画部のタニ・ジェイミー・アズサさんが、同社のSDGsやダイバーシティーの取り組みなどについて説明し、外国籍社員が現在2328人中34人、障害をもつ社員が35人いることなどを話した。さらに、新型コロナの影響、温暖化対策、ウェルビーイング(心身の健康)の取り組みなどテーマごとに5つのグループに分かれて、仕事や生き方について社員と話し合った。