木曜日, 11月 26, 2020
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【多文化共生を支える】2 通訳ボランティアが患者に寄り添う

【橋立多美】つくばで暮らす外国人は昨年10月1日現在9106人。増加に伴って医療機関を受診する外国人は増えているが、日本で医療を受ける最大の障壁は言葉の壁だ。病院が医療通訳を配置するのは極めてまれで、医療従事者も英語以外の言語に対応できることは非常に少ない。

病状重く派遣回数が倍増

日本人と外国人の交流や、外国人の生活支援を目的とするつくば市国際交流協会が、09年から医療通訳ボランティアの無料派遣を行っている。派遣回数は年平均40回で推移してきたが、昨年は88回と倍増した。病状が重い患者が多く通院が長期化する傾向にあるという。

医療通訳の国家資格はない。同協会が開催する養成講座を受講し選考試験に合格後、ボランティア登録をする。個人情報の保護や患者の権利擁護などの倫理規定を学び、言語能力だけでなく、患者に寄り添う人間らしさなどが問われて選考試験は狭き門。合格したが患者の命を支える重圧から登録しない人もいるという。

在日外国人の母語としてニーズが高い中国語、英語、ポルトガル語、スペイン語に対応する30人の医療通訳者が登録されている。その中から通訳歴4年以上の4人に話を聞いた。

中国北京出身で中国語通訳の松永悠さんは「医者の説明を通訳するが、患者が本当に理解しているか確認を怠らない」という。通訳者が勝手に補足するのはタブーで、理解していない時は別の言い方を医者に頼むことがある。

松永さんとパラグアイ出身でスペイン語通訳の岩﨑克司さんは、患者のルーツや宗教に応じた対応を次のように話す。「日本なら薬を処方される程度の小児の病気でも中国では点滴するケースがあり、同じように保護者に求められた時は医療者の説明を通訳して理解してもらう。薬も大量に処方されるのが当たり前で、日本での数日分の薬に『これだけ?』と。それだけに薬の飲み方や回数は丁寧に通訳する」と松永さん。

清原朗子さん㊧とペルー出身の岩﨑克司さん=つくば市吾妻の吾妻交流センター

岩崎さんは「宗教によっては重篤な状況をそのまま伝えず、フィルターをかけたほうがよい場合もある」と話す。また「患者の不安感を和らげるために予約の30分前に病院内で落ち合い、生活環境や困っていることを聞くことにしている。リピーターから、病院は嫌だがあなたがいるから来ると言われ、やりがいになっている」と話してくれた。

英語通訳の清原朗子さんは「日頃から医療用語や病気についての勉強を怠らないようにしているが、通訳当日は持ち込みが許される辞書を持参する。でも見る時間がなくて辞書はお守りです」と笑みを浮かべた。

9年前は認知されず

当初から中国語通訳として活動している伊藤春華さんは中国広西省出身。「医療通訳がスタートした9年前は活動が認知されていなかった。今は患者との関係づくりに役立つと医者や看護師から感謝される。円滑な診療と外国人への有効な治療が進められるよう続けていきたい」と語った。

同協会の中村貴之係長は「病気が重い患者が多いため、通訳者が感情移入し過ぎると気分が落ち込むようになる。医療通訳者をどうケアして守るかが課題」と話す。

医療通訳ボランティア派遣は市内や近隣地域の病院からの申し込み制。医療通訳に関する問い合わせは、つくば市国際交流協会(電話029-869-7675)。

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