金曜日, 5月 20, 2022
ホーム つくば 【多文化共生を支える】2 通訳ボランティアが患者に寄り添う

【多文化共生を支える】2 通訳ボランティアが患者に寄り添う

【橋立多美】つくばで暮らす外国人は昨年10月1日現在9106人。増加に伴って医療機関を受診する外国人は増えているが、日本で医療を受ける最大の障壁は言葉の壁だ。病院が医療通訳を配置するのは極めてまれで、医療従事者も英語以外の言語に対応できることは非常に少ない。

病状重く派遣回数が倍増

日本人と外国人の交流や、外国人の生活支援を目的とするつくば市国際交流協会が、09年から医療通訳ボランティアの無料派遣を行っている。派遣回数は年平均40回で推移してきたが、昨年は88回と倍増した。病状が重い患者が多く通院が長期化する傾向にあるという。

医療通訳の国家資格はない。同協会が開催する養成講座を受講し選考試験に合格後、ボランティア登録をする。個人情報の保護や患者の権利擁護などの倫理規定を学び、言語能力だけでなく、患者に寄り添う人間らしさなどが問われて選考試験は狭き門。合格したが患者の命を支える重圧から登録しない人もいるという。

在日外国人の母語としてニーズが高い中国語、英語、ポルトガル語、スペイン語に対応する30人の医療通訳者が登録されている。その中から通訳歴4年以上の4人に話を聞いた。

中国北京出身で中国語通訳の松永悠さんは「医者の説明を通訳するが、患者が本当に理解しているか確認を怠らない」という。通訳者が勝手に補足するのはタブーで、理解していない時は別の言い方を医者に頼むことがある。

松永さんとパラグアイ出身でスペイン語通訳の岩﨑克司さんは、患者のルーツや宗教に応じた対応を次のように話す。「日本なら薬を処方される程度の小児の病気でも中国では点滴するケースがあり、同じように保護者に求められた時は医療者の説明を通訳して理解してもらう。薬も大量に処方されるのが当たり前で、日本での数日分の薬に『これだけ?』と。それだけに薬の飲み方や回数は丁寧に通訳する」と松永さん。

清原朗子さん㊧とペルー出身の岩﨑克司さん=つくば市吾妻の吾妻交流センター

岩崎さんは「宗教によっては重篤な状況をそのまま伝えず、フィルターをかけたほうがよい場合もある」と話す。また「患者の不安感を和らげるために予約の30分前に病院内で落ち合い、生活環境や困っていることを聞くことにしている。リピーターから、病院は嫌だがあなたがいるから来ると言われ、やりがいになっている」と話してくれた。

英語通訳の清原朗子さんは「日頃から医療用語や病気についての勉強を怠らないようにしているが、通訳当日は持ち込みが許される辞書を持参する。でも見る時間がなくて辞書はお守りです」と笑みを浮かべた。

9年前は認知されず

当初から中国語通訳として活動している伊藤春華さんは中国広西省出身。「医療通訳がスタートした9年前は活動が認知されていなかった。今は患者との関係づくりに役立つと医者や看護師から感謝される。円滑な診療と外国人への有効な治療が進められるよう続けていきたい」と語った。

同協会の中村貴之係長は「病気が重い患者が多いため、通訳者が感情移入し過ぎると気分が落ち込むようになる。医療通訳者をどうケアして守るかが課題」と話す。

医療通訳ボランティア派遣は市内や近隣地域の病院からの申し込み制。医療通訳に関する問い合わせは、つくば市国際交流協会(電話029-869-7675)。

陽性確認者数(公表日ベース)の推移

つくば市

土浦市

スポンサー

注目の記事

最近のコメント

最新記事

入国待ちわびた留学生52人 日本つくば国際語学院で3年ぶり入学式

つくば文化学園が運営する日本語学校「日本つくば国際語学院」(つくば市松代、東郷治久理事長兼校長)の入学式が20日、隣接の日本料理店、山水亭で催され、コロナ禍の中、入国を待ちわびた13カ国の52人が入学した。3年ぶりの入学式となった。 2年間入国できず待機していた留学生が多いという。例年なら4月に入学式を開催するが、コロナ禍で留学生の入国が遅れたため1カ月遅れの式典となった。 出身国は、イラン、ウズベキスタン、タジキスタン、スリランカ、ネパール、ガーナ、カメルーン、ミャンマー、モンゴル、中国、韓国など。 新入生一人一人に学生証を手渡す東郷治久理事長兼校長(右)=同 式典では、東郷理事長が一人ひとりに学生証を手渡し、「去年、おととしは入学式が行えなかった。待ちわびていた入学式が盛大に行えたことは大きな喜び」とあいさつした。さらに「コロナの中、一度は入学を断念しようかと考えた人もいたと思うが、将来の夢の実現のために目標を果たすという強い意志が扉を開いた」と称えた。その上で「日本語を楽しく学び、日本を好きになってもらおうというのがモットー。たくさん日本語で話して上手になってください」などと呼び掛けた。 新入生を代表してイラン出身のハディース・ダナーさん(28)が日本語であいさつし「もし世界中のどこにも戦争がなかったら、おそらく今日、ウクライナ人やシリア人も私たちとここで入学式を祝うことができたと思う」と語り、「ここにいる新入生は、大きな願いを達成し成長するために留学を決意し、さまざまな人が安全に安心して一緒に暮らせる日本を選んだ。今の気持ちを忘れずに精一杯頑張るつもりです」などと決意を話した。

死に方が選べない時代 《くずかごの唄》108

【コラム・奥井登美子】死に方を自分で選ぶのが難しい時代になってしまった。コロナの流行がそれを加速してしまっている。人生で最後のしめくくり、「ご臨終」が不可能になってしまったのだ。 Tさんはがんの末期で入院したご主人に会いに行ったけれど、コロナの感染を恐れて会わせてもらえなかった。そのままご主人は亡くなって、遺体をさわることすらコロナの危険でできなかったという。愛する夫の臨終に立ち会えなかったTさんはノイローゼみたいになってしまった。 奥井恒夫さんはご近所に住む親戚で、薬剤師。家族の次に大事な人である。認知症予防に碁と散歩。毎日散歩をして、脳と身体、両方を鍛えていた。彼は自宅で倒れ、救急車で入院。コロナで会わせてもらえないまま、亡くなってしまった。亭主にとって、会えないままになくなった恒夫さんの死はショックだった。 在宅死について書かれた本 「このごろ、息を吐くときが苦しい。おやじも最後のころ、そう言っていた。ぴんぴんころりバタンキュー。人間らしさの残っている間に家で死にたいよ。図書館に行って、在宅死の書いてある本借りてきてくれよ」 亭主に頼まれて、私は図書館に行って本を探してみた。

例外だった私の子ども時代 《電動車いすから見た景色》30

【コラム・川端舞】学校教育法では特別支援学校の対象となる障害の程度が定められていて、それより重度の障害を持つ子どもは就学時に教育委員会から特別支援学校への入学を提案される。2007年から、障害児の就学先を決定する際は保護者の意見を聞かなければならないとされたが、それでも特別支援学校の就学基準に該当する障害児はそのまま特別支援学校に入学するのがほとんどだろう。 私も小学校入学時、特別支援学校への入学を提案されたが、両親の強い意向により、私は重度の障害を持ちながら、通常の小学校に入学した。 障害があるのに通常学級に通っている自分が例外的な存在であることは、小学校時代から薄々気づいていた。身体障害のある子どもは自分しか学校にいなかったし、数人いた知的障害のある同級生は、ほとんどの授業を別の教室で受けていた。 時々、道徳の授業で教材に出てくる障害者は、教室で学んでいる同級生とは異なる世界で生きている「特別な存在」だと言われている気がして、実は「障害者」に分類される人間が同じ教室にいることがばれないように、私は息を殺して授業を聞いていた。 「障害を持って通常学級に通う…」 大学で特別支援教育を学び、改めて法律上は、私は特別支援学校の就学基準に該当することを知った。特別支援学校での障害児支援に関する研究はたくさんあるのに、子ども時代の自分のように通常学校に通う重度障害児への支援に関する研究はほとんど見つからず、「そんな障害児はいない」と言われているようで、無性に悔しかった。当時の私の調べ方が足りなかったのかもしれないが、通常学校に通う障害児もいる。

国保税の口座振替依頼書を別人に誤送付 つくば市

つくば市は18日、国民健康保険税を銀行口座から引き落とすための口座振替依頼書の写しを、5月9日付けで別人に誤って送付してしまったと発表した。 誤送付した依頼書には、国保税納税義務者の氏名、住所、電話番号、生年月日、引き落としをする口座の金融機関名、口座番号、口座名義人の氏名が書かれていた。 市国民健康保険課によると、4人の口座振替依頼書に記載の誤りがあったことから、再提出してもらうため、4人に対しそれぞれ、誤った記載のある依頼書の写しを9日付で送付した。 その際、そのうちの1人に、本人の分と別人の分の2通を送ってしまったという。 担当職員が、同じ宛名を2枚印刷し、同じ宛名が印刷された2通の封筒にそれぞれ、本人分と別人分を入れて送付してしまったという。その際、宛名のチェックなどは実施しなかった。 13日、2通の通知を受け取った世帯主から、本人分と別人分が届いていると筑波窓口センターに直接、持ち込みがあり、誤送付が判明した。