日曜日, 9月 8, 2024
ホーム土浦変わる土浦駅 オープンから半年 自転車通し地域の魅力を再確認

変わる土浦駅 オープンから半年 自転車通し地域の魅力を再確認

【高校生ライター・鈴木ことみ】今年3月29日、土浦駅に日本最大級のサイクリングリゾート「PLAYatre TSUCHIURA」(プレイアトレ土浦)がオープンした。オープンから約半年が経つ今、土浦駅はどのように変わろうとしているのだろうか。

現在、第1弾として駅ビルの1階と地下1階にサイクリング拠点「りんりんスクエア土浦」やイタリアの自転車メーカーBianchi(ビアンキ)とタリーズコーヒーがコラボしたサイクルカフェをはじめとする施設がオープンしている。

りんりんスクエアは官民一体となった施設でサイクリストたちに必要なサービスを提供している。自転車のレンタルサービスでは子供用自転車から電動アシスト自転車まで様々な種類・ブランドの自転車約40台を「ル・サイク」のカウンターで借りることが出来る。地下1階ではシェアサイクリング「HELLO CYCLING(ハロー・サイクリング)」システムを活用したレンタサイクル35台を提供している。こちらは午前5時~翌日午前1時までレンタル可能だ。

プレイアトレ地下1階の無人レンタルスペース。この奥には地下駐車場も広がっている。

県外が5割超

これらの施設を利用するサイクリストたちは県外がおよそ5割を超えているという。「県外からのお客様がこんなに多いのは駅ビルとしては珍しいのではないか」と「ル・サイク」店舗責任者の新井祥平さんは言う。自転車を新しく始めたいという相談も幅広い世代から寄せられているそうだ。

「ル・サイク」の店頭

自転車で地域の魅力引き出す

しかし、駅ビルは地域の人やその駅を普段利用する人も楽しめるものではないだろうか。

そこで、地域の人に向けた利用法はないか、駅ビルを運営するアトレの佐川綾さんに尋ねると「自転車を通じて新しい地域の魅力に気付くきっかけとして利用していただければと思います。また、今後レストラン等もオープン予定です。コミュニケーション、憩いの場としてご利用いただきたい」と語った。また、りんりんスクエアでは自転車での観光ガイドの育成講座も実施しているという。

同級生に地域の魅力を質問

同級生の友人に地元の観光について尋ねてみた。「土浦・つくばの観光名所といえば」と「霞ケ浦と筑波山は観光名所として魅力的だと思うか」を聞くとそのほとんどが、霞ケ浦や筑波山を大きな魅力として感じていなかった。同駅ビルで配布されているサイクリングコースでは、霞ケ浦や筑波山が観光の目玉として多くのパンフレットで紹介されている。こうした大きなシンボルでなくても、街中での自分なりの魅力を、自転車を通して発見し、それを伝えることで、地域の活性化が見込めるに違いない。

1時間早く来たくなる駅

今年の11月以降には第2弾の「STATION LOBBY TSUCHIURA(仮称、ステーション・ロビー・ツチウラ仮)」がオープン予定だ。「1時間早く駅に来たくなる日本一の駅の待合室」をテーマに、数々の人気飲食店をプロデュースしているバルニバービが、2階から3階にかけての約500坪でレストランやクッキングスタジオなどの施設を計画している。第2弾について佐川さんは「この施設を通して食を始めとした様々イベントを企画することで、日帰り客から宿泊客へ訴求するとともに、地元住民のコミュニティスペースとしての利用シーンを作っていきたい」と話した。

りんりんスクエア土浦内のイベントスペース。自転車に関する様々な講座が開かれている

第3弾では地元の人気ショップを集めたフードマーケットの「LOCAL FOOD MARKET(仮称、ローカル・フード・マーケット)」を、第4弾では自転車と一緒に泊まれるホテルの「CYCLING HOTEL(仮称、サイクリング・ホテル)」をそれぞれ2019年5月と同年秋以降にオープン予定だ。それらの計画はまだ詳しく話せないようだが「素晴らしい体験が出来る場が提供できると思っています」とうれしそうに佐川さんは話してくれた。

自転車を通した新たな形の地域の活性化で土浦駅のこれからの展開が非常に楽しみである。(土浦日本大学中等教育学校6年)

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img
spot_img

最近のコメント

最新記事

健康寿命のこと《ハチドリ暮らし》41

【コラム・山口京子】母の介護サービスを通所から入所に切り替えて半年が過ぎました。家族が同居していれば家で暮らすこともできたのでしょうが、1人暮らしは不安が多く、私たち子どもの方から入所を勧め、納得してもらいました。 母は、施設や職員の様子、食事のこと、介護されている人との会話などを、よく話してくれます。施設に入所している人の年齢は90代が9割近くで、通所している人は80代後半の人が多いそうです。重い病気やケガで、70代で介護サービスを利用している人がいるものの、多くは90代だと。  その話を聞きながら、疑問に感じたことがあります。それは健康寿命についてでした。平均寿命(男性81歳、女性87歳)に比べ、健康寿命は、男性が9年、女性は12年の差があります。男性なら72歳を過ぎ、女性なら75歳を過ぎたあたりから、介護のお世話になるのかしらと漠然としたイメージを持っていました。 しかし、本当に介護が必要になるのは、個人差があるので一概には言えないものの、80歳後半からではないかと…。 平均自立期間 健康寿命がどうやって割り出されているかを調べてみると、厚生労働省が行っている「国民生活基礎調査」の「あなたは現在、健康上の問題で日常生活に何か影響がありますか」の問いに対して「ある」と回答すれば不健康、「ない」と回答すれば健康として扱い計算するということでした。 健康上の問題で日常生活に影響がある程度をどのように意識するかは自己申告のため、主観の要素が高いのではないかと感じました。また、健康上の問題があると意識しても、どうにか普通に生活できる期間は一定の年数あるのではないかと。 健康寿命を割り出す方法も複数あるようです。たとえば、国民健康保険中央会では、「日常生活動作が自立している期間の平均」を指標とした健康寿命を算出し、「平均自立期間」と呼んでいます。介護受給者台帳の「要介護 2以上」を「不健康」と定義して、毎年度算出していて、直近では、男性は79.7歳、女性は84歳でした。要介護2以上と認定されている人は、約350万人と言われています。  高齢期は、普通の暮らしから、虚弱の状態へ、そして介護が必要になる道行なのかもしれません。厚生労働省のデータでは、要介護認定を受けた人が約700万人で、実際にサービスを受けている人が約590万人となっています。 今年は夏の暑さで外出を控えることが多かったのですが、体調を意識しつつ、できることをしながら、同時に老いを受け入れていければと思います。(消費生活アドバイザー)

9日控訴審始まる 鬼怒川水害訴訟 住民、国の河川管理の在り方問う

2015年9月の鬼怒川水害で、常総市の住民が甚大な被害に遭ったのは国交省の河川管理に落ち度があったためだなどとして、同市住民が国を相手取って約3億5800万円の損害賠償を求めた国家賠償訴訟の控訴審が9日、東京高裁で始まる。 一審では、鬼怒川沿いで堤防の役目を果たしていた砂丘の管理方法、堤防改修の優先順位の妥当性などが争われた。2022年7月水戸地裁は、国の河川管理の落ち度を一部認め、国に対し、原告住民32人のうち9人に約3900万円の損害賠償を支払うよう命じる判決を出した(2023年7月22日付)。原告住民20人と被告の国の双方が控訴していた。 「水害は人災だった」 控訴審を前に2日、原告住民ら8人による説明会が常総市内で開かれた。原告団の共同代表を務める高橋敏明さん(70)は「水害は、国が対策を怠ってきたことによる人災」と厳しく批判した。 高橋さんは同市内で、観賞用の花や植物を扱う花き園芸会社を営んできた。2015年の水害では16棟あった温室が高さ1メートルの泥水に浸かり解体を余儀なくされ、「我が子のように丹精込めて育ててきた」花や植物10万株が流出するなど被害を受けた。高橋さんは「この地域は砂丘が自然の堤防となっていた。今回の水害の前年、ソーラー発電業者が砂丘を掘削していたのを国交省は止めず、十分な補修もしなかった。砂丘が存在していたならば被害を抑えることができた。砂丘を守れなかったのが悔しい」と声を震わせた。 水害から5カ月後に死亡した妻が災害関連死に認定された赤羽武義さん(84)は「妻の死の原因がどこにあったのかをはっきりさせたい。国には誠意ある回答を求める」と訴えた。 鬼怒川水害では、豪雨により常総市内を流れる鬼怒川の堤防決壊や越水があり、市内の3分の1が浸水した。同市の被害は、災害関連死を含め死亡15人、住宅被害は全壊53軒、半壊5120軒、床上浸水193軒、床下浸水2508軒に及んだ。 2018年8月、同市若宮戸地区と上三坂地区の住民約30人が、被害を受けたのは国の河川管理の問題だとして国を相手取って損害賠償を求める訴訟を起こした。 一審で原告住民は①若宮戸地区で自然の堤防の役目を果たしていた砂丘林が、太陽光発電パネル設置のために採掘された場所は、国が「河川区域」に指定し開発を制限すべきだった。②上三坂地区で決壊した堤防は、堤防の高さが低く他の地区に優先して改修すべきだったのに、国はそれぞれ対応を怠ったことが水害につながったなどと主張した。 水戸地裁は、若宮戸地区の砂丘が「(同地区の)治水安全度を維持する上で極めて重要であった」とし、国は砂丘を維持するために「河川区域として管理を行う必要があった」と国の責任を一部認める判決を出した。一方で、堤防が決壊した上三坂地区については、堤防の高さだけでなく、堤防幅も含めた評価を行う必要があるなどとし、「国の改修計画が格別不合理であるということはできない」などとして、住民の訴えを一部退けた。 一審判決についてで原告住民は「国の瑕疵(かし)を認めたことは歴史的」としながらも、敗訴した部分もあることから控訴していた。 一審で住民の訴えが退けられた上三坂地区の争点となっているのが、住民側が主張する、堤防改修の優先順位だ。住民側は決壊した堤防が、高さや幅が不十分な状態に置かれており、改修が後回しにされていたことが決壊につながったと主張した。 これに対し国は、堤防の高さと質を含めた機能評価として行った「スライドダウン評価」を根拠として反論した。 原告団共同代表の片岡一美さん(71)は「スライドダウン評価」では実際の治水安全度を正確に判断できないとして、判断基準の是非を問うことで「一審判決は間違いだったことを説明したい」とし、「国は国民の生命財産を守る意思がないと感じる。国には堤防の決壊を最優先で防ぐことを求める」と訴える。 控訴審の第1回口頭弁論は9日(月)午前10時半から東京高等裁判所101号法廷で開かれる。終了後、衆議院第2議員会館第2会議室で報告会が予定されている。(柴田大輔) ◆鬼怒川水害国家賠償訴訟の過去記事はこちら

いよいよ憧れの海辺暮らしか?《続・平熱日記》165

【コラム・斉藤裕之】毎週火曜日、この海辺の街では市が立つ。空き家になった建物などを利用して、街おこしのような形で始まったものらしい。だから、市ではなくて今風のマルシェと呼ばれている。 私は元金物店だったというジャンクショップをのぞくのが好きで、その日はライトグリーンに塗られた物干し用の金具を安価で手に入れた。それから、いつもは斜め向かいの店で柏(かしわ)餅を買って帰るのだが、あまりの暑さに喉を通らないような気がしてやめた。 ここは室積(むろづみ、コラム124参照)。かつては海の交通の要所として栄え、また美しい砂浜の海水浴場や陸系砂州として、教科書にも載る象鼻が岬(ぞうびがさき)で有名な街。 さて、マルシェを後にした私は以前たまたま見つけた半島の反対側にある小さな入り江に向かった。そこには地元の人しか知らないようなきれいな浜があって、そのときは恐らく近所の方だろうと思われる親子連れが波打ち際で遊んでいた。岸壁ではこれも地元の方だろう、3人ほどの釣り人。 どうやらサヨリを釣っているようだ。さて、そこから少し先にある小さな港まで行ってみようと思って車を走らせたそのとき、「売土地」と書かれた看板が目に入った。 気になって、少し戻って車から降りてみた。生い茂った庭木と古い平屋。入り江に面していて、先ほどのビーチやその先の海水浴場まで見渡せるまさに海辺の一軒家。そのときは「へー」という感じで、数枚の写真を撮ってその家を後にした。 青い空、白い雲、遠くの島々… その日の夕食時。義妹の手によるカワハギの煮つけをつつきながら、「そういえば今日こんなのがあってさ…」。私は思い出して、スマホの画像を弟夫妻に見せた。「いいじゃん!」。話のネタとして披露したつもりだった私にとって、弟のこの反応は意外だった。 実は、弟もかねがね同様の物件をネットで探していて(弟の場合は主に日本海側、釣りのためのシーカヤックの拠点としてだが)、その弟が立地条件や建物、環境、それから価格を見て、お買い得物件だと言うではないか。 しかし、これまで無目的に住まいを移したことはない。勉強のため、仕事のため、家族のために、住む場所は必然的に決めざるを得なかった。果たして海のそばに住みたいというわがままは通用するのだろうか。 だが、ごく近い将来、日雇い先生も辞める日が来たとき、果たして私は何をして過ごすのだろう。そう思うと、この海辺のボロ屋がユートピアに思えてくる。ここを好きなように直しながら暮らしたいと思った。 数日後、私と弟は件(くだん)の売り家の前の浜にいた。この夏新調したという弟のシーカヤックの進水式。初心者の私は、一応の説明を受けて海へと漕(こ)ぎ出した。穏やかで透き通った瀬戸内海。いつまでもギラギラしている今年の太陽も、この時ばかりは心地よく感じられた。パドルの使い方も何となく分かってきた。 テトラポットを超えて私は漕ぐのをやめて周りを眺めた。青い空、白い雲、遠くの島々、砂浜に松原。そして、すぐそこに売り家が見える。瀬戸内の海は鏡のように穏やかだが、私の心の中にはさざ波が立っていた。どうする、俺!(画家)

市長、管理職らに対し損害額の返還勧告を 生活保護行政の不適正めぐり監査請求 つくば市

市職員が陳述し告発 生活保護行政をめぐり、つくば市で不適正な事務処理が相次いでいる問題で、市が7月と8月に公表した生活保護受給者に対する生活保護費の過払い(7月20日付)と、国に請求するのを怠った生活保護費の過支給による徴収不能(8月21日付)による市の損害額計約3842万円は違法、不当な支出だなどとして、市長や歴代管理職が同額を市に返還するよう勧告を出すことを求める監査請求が市監査委員に出された。 昨年まで生活保護業務を担当し、市議会に生活保護行政の適正化を求める請願を出した(9月3日付)市男性職員(39)が6日、請求者代理人として陳述し、不適正事務の原因は、市が発表しているような管理職の認識不足などではなく、ずさんな債権管理と、生活保護費の誤った支給が発覚するのを恐れた管理職の故意、重過失が原因だなどと告発した。監査請求は7月29日、元市議の塚本武志さんが市監査委員に出し、市職員が請求者代理人として陳述した。9月27日監査結果が出される。 返還を求めた3842万円は、生活保護受給者30人に対する生活保護費の過払い約1481万円と、国に請求するのを怠ったなど生活保護費の過支給による徴収不能分約2361万円を合計した市の損害分。 市職員の陳述によると、法定受託事務である生活保護は、法令や実施要領、運営要領などが書かれた生活保護手帳や同問答集に基づいて支給されるべきだが、3842万円については法的根拠を欠いたまま支給された。 原因について市の発表では「制度に対する解釈や認識を誤り監督職員もチェックができていなかった」「管理職の認識が不足し問題視されなかった」などとされているが、市職員は「不適正な支給をするための明確な指示があった」「(担当課内部で)複数のケースワーカーから指摘や改善の訴えもあったにもかかわらず繰り返しており、もはや故意、重過失だ」などとしている。 特に障害がある人に一定額が上乗せされる障害者加算の誤認定については、2019年に会計検査院から指摘を受け、当時、誤認定は11件だったが、今年の発表では22件に増えているとしている。 さらに、長きにわたって不適正な状況にあったにもかかわらず発覚しなかった原因について市職員は「各種監査で虚偽の報告をしてきたから」だとしている。 その上で「(残業代未払いなど)働いても給与がもらえない環境、(市職員が)暴行を受けても自分で身を守るしかない環境、法的正当性より管理職の感覚が勝つ環境、不適正を指摘すると村八分にされる環境、そういった一連の労務環境が不適正事案を生んだ」として、「今後同じ過ちを繰り返さないため(監査請求が)適正化の端緒となってほしい」などとしている。(鈴木宏子)