土曜日, 11月 8, 2025
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来春から「日航」と「JALシティ」に つくばのホテルオークラ2館

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「ホテル日航つくば」に名称変更となるオークラフロンティアホテルつくば本館㊧と「ホテルJALシティつくば」になる同エポカル館

【鈴木宏子】つくば駅前のオークラフロンティアホテルつくば本館(つくば市吾妻)が来年4月1日「ホテル日航つくば」に、つくば国際会議場に隣接する同エポカル館(同市竹園)が「ホテルJALシティつくば」に、それぞれ名称変更される。

ホテルオークラ(東京都港区)の子会社で、オークラ、ニッコー、JALシティの3つのホテルを運営するオークラニッコーホテルマネジメント(東京都品川区)が進めているブランドの組み替えに伴うもの。国内外のグループホテルを客室数や客室の広さなどに合わせて7つに等級分けし、同本館とエポカル館の2館もホテルブランドの等級に応じて名称が変更される。オークラフロンティアホテルつくばによると、名称変更後も、運営会社や施設、従業員などに変更はない。

つくば駅前のホテル日航つくばは、多数の宴会場や会議室を擁することから、ホテルニッコーブランドとして、親しみあるサービスを強化し、国際都市つくばにふさわしい地元に根差したサービスを追求する。

つくば国際会議場に隣接のホテルJALシティつくばは、宿泊主体でビジネス客の利用が多いことから、JALのネットワークを生かして集客を強化する。さらに新たにQRコードでチェックインやチェックアウトができるシステムを導入し利便性向上を図る。

オークラフロンティアホテルつくば本館は11階建て、延床面積約1万8600平方メートル、客室数164室。同エポカル館は11階建て、延床面積約7000平方メートル、客室数186室。2館の平均稼働率は73%。

本館は、建築界のノーベル賞といわれるプリツカー賞を受賞した磯崎新氏によるポストモダン建築の代表作の一つ、つくばセンタービルに立地する。1983年に筑波第一ホテルとして開業し、2001年にオークラフロンティアホテルつくばに名称変更した。エポカル館は1999年の国際会議場の開館に合わせてオープンした。

レジオネラ菌検出で温浴施設ストップ つくばウェルネスパーク 15日再開

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温浴施設があるつくばウェルネスパーク本館ヘルスプラザ

つくば市は1日、複合スポーツ施設、つくばウェルネスパーク(同市山木)本棟ヘルスプラザ内の温浴施設で、基準値を上回るレジオネラ菌が検出されたとして、2日から使用を停止すると発表した。再開時期は現時点で未定で、安全が確認されるまで利用できない。これまでに健康被害は報告されてないという。

市スポーツ振興課によると、2カ月に1度の定期検査のため、指定管理者のライフテックつくばが7月18日に水質検査を実施したところ、露天風呂、白湯風呂、圧注気泡風呂の3カ所で、基準値を上回るレジオネラ菌が検出された。最大で露天風呂から、基準値の3000倍が検出された。原因は不明。

温浴施設の水は、すべての風呂水を循環させ、ろ過して使っている。1日は休館日で、指定管理者は、浴槽や配管を高濃度洗浄剤で洗浄し、水質の再検査を実施している。早ければ7日に結果が出るという。

一方、ヘルスプラザ内の温水プールからレジオネラ菌は検出されておらず、引き続き利用できる。同施設で基準値を超えるレジオネラ菌が検出されたのは2011年のオープン以来初めて。

14日までに安全を確認

つくば市は14日、浴槽の換水清掃、配管等の化学洗浄、浴室の塩素消毒と高圧洗浄などを実施し、水質検査を改めて実施した結果、レジオネラ菌は検出されず、14日までに安全が確認できたとして、15日午前10時から浴室の利用を再開すると発表した。

今後は再発防止に向けて、浴槽の塩素噴霧消毒の実施や残留塩素濃度の管理など更なる衛生管理を徹底するとしている。

医療と介護のデータ200万件 つくば市が筑波大に託す

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覚書を締結した(左から)筑波大学ヘルスサービス開発研究センターの田宮菜奈子センター長と五十嵐立青つくば市長

【鈴木宏子】つくば市が、過去5年分の医療と介護の報酬明細書(レセプト)データ約200万件を、筑波大学ヘルスサービス開発研究センター(つくば市天王台、田宮菜奈子センター長)に提供し、同センターがデータを分析して、効率的な医療と介護政策の検討に役立てる組みが始まる。

同市と同大が1日、医療介護分野のデータ解析に関する覚書を交わし、取り組みがスタートした。

市が提供するのは、国民健康保険加入者や75歳以上の後期高齢者医療制度加入者の診療報酬明細書(医療レセプト)と、介護保険給付費明細書(介護レセプト)など、年間40万件に及ぶ医療と介護のレセプト。2014~18年度の5年分計約200万件を、個人情報が特定できないよう匿名化して同センターに提供する。

センターは、医療と介護のレセプトを連結させてデータ分析し、高齢者が住み慣れた地域で暮らし続けられるよう、効率的な地域包括ケアシステムづくりに生かす。

これまで同センターは、千葉県柏市のデータを2014年から分析し、高齢者が太ももを骨折した場合にかかる医療と介護の費用を日本で初めて算出したり、特別養護老人ホームと介護老人保健施設を比較し、入所後に、症状が悪化し病院に入院する割合が異なることを突き止めた。

つくば市のデータについては、どの観点からどのように分析するかはこれから検討する。例えば、退院後に、訪問看護サービスを受けていた高齢者と受けていなかった高齢者を比較して、サービスを受けていた高齢者の方が再入院する割合が少なかったとすれば、予防の観点から政策に反映させることができる。高齢者施設によって、入所後の高齢者の体調や体の機能維持の割合が異なれば、ケアの在り方を再検討することもできるという。

同センターの田宮センター長はこれまでも、つくば市の高齢者福祉計画策定や在宅医療・介護連携推進協議会に携わってきた。新たなデータの分析結果は、毎年、進ちょくに合わせて市に報告し、市の政策に生かす。

田宮センター長は「モデル的な分析をして、地域に根差した包括ケアシステム構築を市と協働し進めていきたい」と述べ、五十嵐市長は「レセプトをどう活用するかは行政にノウハウがない。医療と介護を組み合わせて本当に必要なサービスを検討することができれば大きな意義がある」などと話した。

「おいでよ 土浦の夏」 3、4日はキララまつり

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2日目のクライマックス、キララまつりの市民山車=土浦市観光協会提供(昨年撮影)

今年30回目を迎える土浦キララまつりは8月3、4日、歩行者天国となる土浦駅前通り、中城通りをはじめ土浦港、モール505などを会場に開催される。土浦日本大学中等教育学校の高校生ライター2人が土浦市観光協会を訪ね、事務局の大里雅司さんと山口浩さんにキララまつりについてお話を聞いた。

盛り上げに一役 学祭TSUCHIURA

【高校生ライター/酒井明日香、石田日菜子】キララまつりは毎年、8月最初の土日の2日間にわたって行われる。1990年から開催されており、毎年市内外から多くの来場者を集め、昨年はおよそ16万人が来場した。

土浦駅前うらら広場に開設のステージでは連日音楽や踊りのパフォーマンス=同

今年は初日の3日、午後から駅前通りパレードが始まり、市内の真鍋小、東小校など5校の音楽隊によるパフォーマンスが祭りを先導する。ハイライトは午後5時30分から9時にかけて駅前通りで繰り広げられる「七夕おどりコンテスト」で、にぎわいは最高潮に達する。今年は28団体(特別参加3団体を含む)が参加予定だ。

市内の高校生が集まり、それぞれの学校の魅力を発表する学祭TSUCHIURAも開催。土浦市内にある10校が参加し、自慢の部活動の披露や学校対抗のビブリオバトル、模擬店などを展開する予定だ。広場ステージでは午後5時から「いきいき茨城ゆめ国体」に向けた同市の炬火(きょか)イベントが行われる。市内8カ所で採火された炬火を1つにまとめる集火式となる。

レトロバスでめぐるハスの花ツアーも

2日目の4日は、午後から駅前通りで競演する市民山車等巡行がメーンイベントとなる。

花の見頃を迎えたハス田を行くレトロバス=同

ボンネット型のレトロバス(いすゞ1966年型)で行く「ハス花めぐりバス」は、初開催した昨年の好評を受けて今年も行われる。運行は午前9時半、11時、午後1時半、3時土浦駅東口発の4便で、およそ1時間かけて、花の見ごろを迎えたハス田をめぐる。乗車無料で、各回定員先着25人。

霞ケ浦では帆曳船と遊覧船の見学、無料乗船イベントを開催。帆曳船の見学は土浦市とかすみがうら市の共同で行われる。遊覧船は先着順で、無料で乗ることができる。

土浦駅前うらら広場会場に開設されるステージではダンスや和太鼓などのライブ「舞動の祭典」が行われる。モール大会本部周辺では終日、キララフリーマーケットが開かれる。

キララまつりとは

キララまつりは、1951(昭和26)年に始まった土浦七夕まつりが元になっている。1990年に、土浦七夕まつりと霞ケ浦湖上まつりが1本化された。七夕まつりは8月、湖上まつりは7月と、開催日が近かったことで一緒にしてしまおうという流れができたという。土浦の伝統ある七夕まつりに、花火や遊覧船といった霞ヶ浦を生かした湖上まつりが加わり、市内外から多くの人が訪れる祭りとなった。当時、祭りの名前を募集し、小学生が考えた案の1つキララまつりが採用されたという。大里さんは「この名前を考えた小学生によると、霞ケ浦のキラキラと土浦の輝きのキラキラを合わせてキララとなったらしい」ということだ。

祭り期間中は、つちまるくんやキララちゃんグッズの売れ行きが好調だと話す土浦市観光協会の山口浩さん=まちかど蔵(土浦市中央)

キララまつりの魅力

キララまつりの魅力の1つとしてあげられるのは市民の協力という。普段は人気のない土浦の通りに祭りの日は市外からも人が訪れ活気があふれる。観光協会の大里さんは「活気にあふれた土浦の中心地を見ると、市民は改めて土浦の魅力を感じることができる」と熱く語ってくれた。「真夏の暑い季節、躍動の時期に市民が一丸となって同じ時間を共に過ごすことができる。いつも見ているなんでもない日常的な風景が、キララまつりの日は非日常に変わる」という。

キララまつりでは土浦市民が土浦の魅力をアピールすべく協力し合える。そしてこのキララ祭りは市内のお店や機関による協力もあってできるものだ。パレードが行われるときは道路を整備し歩行者天国にしたり、行灯を飾ったりするには地域の人々の協力もあってできる。また祭りの宣伝ポスターを市内のお店に貼らせてもらったりしている。何と言っても交通規制をするにあたって地域の協力は不可欠。この祭りを通して土浦の魅力を再発見してもらいたいと願っている。(土浦日本大学中等教育学校5年)

◆問い合わせは土浦キララまつり2019実行委員会事務局(土浦市観光協会)電話029-824-2810 URL:www.tsuchiura-kankou.jp/tanoshimu/kiraramatsuri/

車いす卓球の2020ネパール代表候補 つくばの子供たちと交流

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子供たちと卓球を楽しむ2020東京パラリンピック・ネパール代表候補のケサブ・タパさん(右端)=つくば市天久保

【鈴木宏子】車いす卓球で2020東京パラリンピック出場を目指すネパール代表候補のケサブ・タパ選手(29)が30日、つくば市天久保の妻木バッティングセンター内卓球場で子供たちと卓球をして交流した。

ケサブさんは、8月1~3日、東京都の港区スポーツセンターで開かれる「パラ卓球国際大会ITTF PTTジャパンオープン2019東京大会」(国際卓球連盟主催)に出場するため29日、来日した。

ネパールで障害者スポーツは、代表に選ばれるまで国の支援が受けられず、渡航費や滞在費をすべて自分でまかなわなければならない。費用を節約するため、日本滞在中の支援をつくば市の障害者団体「つくば自立生活センターほにゃら」に申し出た。

車いすの障害者で、市内のアパートで介助を受けながら自立生活をする、ほにゃら事務局の斉藤新吾さん(44)が引き受け、大会期間中、ケサブさんは、斉藤さんのアパートに滞在しながらつくばエクスプレス(TX)で大会会場に通う。

参加した子供たちとの記念写真に応じるケサブ・タパさん(左から3人目)

出場へ向け遠征費のカンパ募る

大会を前に30日夕方の約2時間、ほにゃらのスタッフや子供たちと、つかの間の交流を楽しんだ。ケサブさんは試合とは打って変わって、笑顔で子供たち一人ひとりにやさしく返球していた。

一緒に卓球をした市立松代小5年の五十嵐弘憲さん(10)は「一緒にできて楽しかった。パラリンピックに出場できるよう応援したい」などと話していた。

ケサブさんはネパールの首都カトマンズ出身。大学生だった2011年、事故で脊椎を損傷した。車いすとなったが、その後、卓球を始め、大学に復学し大学院にも進んだ。現在は赤十字社のコーディネーターとして働きながら東京パラリンピックを目指している。

ほにゃらとの縁は、障害者福祉の向上に寄与する人材を育成する「ダスキン愛の輪アジア太平洋障害者リーダー育成事業」の第18期生として、2016年に来日し、10カ月間、日本各地で研修したのがきっかけ。つくば市にも約10日間滞在し、ほにゃらで当事者による自立支援の取り組みや介助者の育成方法などを学んだ。

1年半後、今度は卓球選手として再び来日することになり、斉藤さんに支援を申し出た。ケサブさんは「斉藤さんの家に宿泊出来てうれしい。もし宿泊できなければ本当に大変だった」と話す。

ケサブさんは来年3月まで、台湾、日本、タイ、中国で開かれる国際大会を遠征し、良い成績を残すことができれば東京パラリンピック出場が決まる。出場できればネパール初の卓球パラリンピック選手になるという。

斉藤さんは「ケサブさんがパラリンピックに出場できるよう応援したい」と話す。ほにゃらではケサブさんの渡航費用のカンパを募っている。

◆問い合わせは電話029-859-0590(つくば自立生活センターほにゃら)

 

地域の楽しみ方広げる つくばACCS人気番組「月刊チラシズム」8月号は夏休み催事中心

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8月号収録のために集めたチラシ142枚を背にする冠木さん㊧と飯泉さん=つくば市竹園

【橋立多美】ケーブルテレビが発信するコミュニティチャンネル(自主放送)の番組は、地域の観光資源や行政情報が王道で、ある種のマンネリ感が否めないなか、研究学園都市コミュニティケーブルサービス(ACCS)が制作している「月刊チラシズム」は話が別だ。つくばと土浦の公共施設などで集めた100枚以上のチラシを世相と照らし合わせて斬り込むことに軸足を置く。地域の楽しみ方を広げたと番組ファンの1人は語る。

怪しげな笑い声をバックに「冬木周一がつくばに迫る」と題したオープニング映像が流れる。続いて、つくば市在住の脚本家、冠木新市さんが「語り手」として収録室の壁一面に貼られたチラシを紹介する。色遣いや文章など時代を背景に変化するチラシを独断と偏見で斬り込みつつ、イベントやコンサートなど、お薦めのスポットに焦点を当てる。

そこにもう一工夫加えたのが、冠木さんとタッグを組んで同番組を制作している飯泉彩プロデューサー。ギョロ目のイラストを用い、あえてチラシを指すのに指し棒を使わず、毛深い冠木さんの指にこだわった。

番組放送開始から2年を経た今では「語り手の声が良くて(毛深い)手が気にならなくなった」の声が寄せられる。飯泉さんは「怪しい雰囲気の番組作りを目指した。作戦通り」と満足気だ。

飯泉さんにとって同番組は格別の思い入れがある。チラシ収集家でもある冠木さんにチラシを使った番組制作を持ちかけられていたが、踏み出せぬまま1年間の産休に入った。ところが産休中たびたび「復帰はまだか」と冠木さんから連絡がくる。「早く復帰せねば…」の思いが増幅し、子どもの寝顔を見ながら番組の企画を練ったという。

収録前に欠かせぬチラシの貼り込み作業。冠木さんが集めたチラシが顔を揃える=同

つくば市在住の櫻井豊さん(55)は番組を楽しみにしている1人。「語り手の価値観でチラシが紹介されているが、鋭い視点で面白い。イベント情報は興味のある分野をチェックするだけになりがちだが、スポットが当てられることで関心を持ち、地域の楽しみ方の次元を上げてくれる」と話す。冬木さんに会いたいと、つくば三井ビル内のACCSを訪ねてくる人もいるそうだ。

「月刊チラシズム」8月号は、夏休みの子ども向けイベントを中心に収録され、8月5日から放送される。番組放送はACCS11チャンネルで午前8時5分~、同11時5分~、午後3時5分~、同6時35分~の1日4回(1回10分)。問い合わせはACCS(電話029-852-6111)まで。

ふた柵に足はさまり4歳女児軽傷 つくば市松代公園

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公園のくまさん噴水部㊧と足のはさまったふた柵(つくば市提供)

子供たちが水遊びできる池として今年初めて開放された、つくば市松代3丁目、松代公園の「くまさん池」で、4歳の女児の右足が、噴水の噴き出し口のふた柵にはさまり抜けなくなる事故が発生した。

市公園・施設課によると、25日午後2時45分ごろ、市外から親子で遊びに来ていた4歳の女児が池で遊んでいたところ、噴水噴き出し口の、格子状になったふた柵のすき間に右足がくるぶしまではさまり、抜けなくなった。すき間は7~8センチあった。

救急隊員が駆け付け、機械でふた柵を広げ、女児を救出し病院に搬送した。女子は足の一部に裂傷ができたが軽傷という。

くまさん池には市の監視員が1人いて、事故当時も監視していた。事故を受けて市は、26日に噴水部分をカラーコーンで囲み近づけないようにし、さらに噴き出し口をベニヤ板でふさぐ応急措置を実施した。29日以降には子供の足がはさまらないようふた柵の間隔を狭くする修繕を実施し、ふたを再設置するという。

くまさん池は、公園など公共空間を活用して中心市街地の魅力を高める事業の一環で、今夏から水遊びできる池として開放されている。昨年初めて実施した同市吾妻、中央公園の徒歩池の開放が好評だったことから、松代公園でも水遊びができるようにした。暑い日は30~50人の利用があったという。市は事故後も開放は続けるとしている。

➡今夏の水遊び場開放の記事はこちら

「土浦藩主と茶の湯」をテーマに木塚さん レンコンサートで講演

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講演に合わせ茶の湯の実演も行われたレンコンサート=土浦・霞浦の湯

【相澤冬樹】音楽を楽しみながら地域の歴史をひもとく企画、土浦ポンカフェ「レンコンサート」の第6回が27日、土浦市大岩田の霞浦の湯ホールで開かれた。同市博物館副館長で学芸員の木塚久仁子さんが「土浦藩主・土屋政直と茶の湯」をテーマに講演し、茶道のお点前披露やジャズコンサートで盛り上がった。

主催は、「土浦を知る」をテーマに活動するプロジェクト土浦力(猪股登志子代表)とコミュニティバス運行のNPO法人まちづくり活性化土浦(大山直樹理事長)。前回、「能楽」をテーマにした講演が好評だったため、今回は「茶の湯」を取り上げた。

折しも木塚さんは2018年度の茶道文化学術奨励賞(大日本茶道学会制定)を受賞したばかり。執筆した『松平不昧(ふまい)―名物に懸けた大名茶人』(宮帯出版社)が評価されてのものだが、この労作の発端となったのが、同館に就職以来、30年以上追い求めてきた土浦藩主・土屋家の茶道具の来し方行く末だった。

講演する木塚さん=同

「土屋蔵帳」はカタログ?

土浦藩2代藩主、土屋政直は第5代将軍、徳川綱吉の治世(1680~1709)に22年間にわたり幕閣の要、老中職にあり、権勢をふるった。なかでも茶の湯をたしなみ、武家茶道の小堀遠州に傾倒、幾多の茶器を収集したことで知られる。木塚さんによれば、型を好む“オタク”っぽい趣味人だったらしい。ところが今日、茶道具類は売り払われて、土屋家はもとより、土浦にほとんど残っていない。同博物館も瀬戸茶入の「塩屋」など数点の史料を所蔵するだけだ。

土屋家旧蔵の道具類は「蔵帳」と呼ばれる目録に記載される。木塚さんは全国を回って「土屋蔵帳」の写本15冊を確認したが、ついに原本は見つからなかった。最も初期の武者小路千家(京都)に伝わる写本には合計355点の茶道具が記載されていた。

その詳細を調べて、木塚さんは奇妙なことに気付いた。茶入だけで65点もあるのに、茶碗は30点しかない。茶の湯につきものの花入に至っては2点しかなかった。「土屋蔵帳は管理台帳というより売立目録ではなかったか。道具類を売るためのカタログとして全国に写本が出回った」という見方を示した。

政直の時代(元禄・享保期)は全国から名だたる道具を収集し、次の宝暦期(18世紀半ば)にはそれら名物を諸大名に「借覧」させる発展期だった。しかし寛政期(18世紀末)以降は藩の財政がひっ迫し、換金性の高い茶器を売却することで急場をしのぐようになる。この時期作られたのが「土屋蔵帳」だったというわけだ。

鮮やかな謎解きに会場は沸いた。「茶会は日本人が生み出した最大のもてなし方。挽きたてのお茶をいただくのは至福のとき」(木塚さん)ということで、講演後は土浦茶道霞会代表で石州流林泉寺派顧問、若泉光月さんのお点前で一服。緊張感あふれる武家茶道の振る舞いに、夏の暑さをしばし忘れる午後のティータイムとなった。

200万円は谷田部のまちおこし団体に つくば周辺市街地活性化コンペ

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周辺市街地を元気にする実証支援金の支給対象者と記念撮影する五十嵐立青市長(前列中央右)ら

【鈴木宏子】「総額400万円 1件最高200万円」と銘打った、つくば市の周辺市街地を元気にする「つくばR8地域活性化コンペティション」の最終審査が27日、つくば市役所コミュニィー棟で実施された。最高額の200万円は、谷田部地区のまちおこし団体「わわわやたべや町民会議」による江戸時代に活躍したからくり伊賀七をテーマにした演劇公演などのプランに支給されることが決まった。

200万円のほか、100万円1件、50万円2件が決まった。100万円は、まちおこし団体「小田地域まちづくり振興会」による、イノシシ対策を兼ねた宝きょう山登山口の耕作放棄地に芝桜を植えるプランが選ばれた。

50万円の2件は、筑波大芸術系環境デザイン領域の藤田直子研究室による、ゲーム感覚で街歩きしながら地域の魅力を発見するマップづくりプランと、県立並木高校出身の横山大貴さんら4人による、かつて北条地区の「つくば道」を行き交っていた大八車を、屋台に改装したイベントプランが採択された。

同コンペは、市周辺地区にある北条、小田、大曽根、吉沼、上郷、栄、谷田部、高見原の8カ所の旧市街地を活性化しようと、5~6月に市民や企業などからプランを公募した。倍率10倍を超える47件の応募=6月18日付=があり、27日は1次審査を通過した10件=7月8日付=による公開プレゼンテーションが行われた。約150人の市民が見守る中、最終審査に残った10件の提案者は、映像や図表を駆使しながら自分たちの活性化プランを熱を込めて説明した。4人の審査員と来場者の投票で4件が支給対象に選ばれた。

審査委員長の蓮見孝筑波大名誉教授は、200万円の支給が決まった谷田部地区のプランについて「これからは物語を編んでゆく時代。伊賀七の公演を見に行ったところ停電になったが、だれも文句を言わず舞台を見ていた。地域がおおらかで人間的なものを持っているのが強み」などと評した。

五十嵐立青市長は「まちづくりは打ち上げ花火ではできない。継続して地域の人が周りとつながってまちづくりをすることが出発点。今年選ばれた人がどういうパートナーシップで事業を進めるかで今後の展開が違ってくる。行政も共に歩んでいきたい」などと話し、来年度も周辺市街地活性化コンペを継続する意向であることを明らかにした。

支給が決まった4つのプランは、今年度中に各地区で実行され、来年2月に成果報告会が実施される予定。谷田部地区の「わわわやたべや」のメンバーで、劇団「伊賀七座」を率いる座長の北野茨さんは「やりたいことがたくさんある。住民の期待がすごく大きいので、大規模に、そして地道に、まちの活性化を続けたい」と話している。

オオムラサキも見つけた! どんぐりやまで観察会

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オオムラサキに目を輝かせ見る参加者

【投稿・御供文範】2000年の夏、かすみがうら市の休耕地にドングリの実を植え、苗から育てたクヌギ林は格好のカブトムシの生息場所になった。「どんぐりやま」という。奥井登美子さんのコラム「くずかごの唄」でおなじみの場所だ。霞ヶ浦市民協会を中心に始まった取り組みは20年目を迎え、27日、今季で16回目となる昆虫観察会が開かれた。

どんぐりやまは約300平方メートルの広さに30本ほどのクヌギが木立をつくる。今回集合した子どもや保護者らは16人。講師を務める久松正樹さん(県環境アドバイザー)から観察方法や注意点の説明を受けた後、子どもたちは虫取り網や昆虫箱を手に山に入り、思い思いの場所で採集に励んだ。この日は、カブトムシやクワガタ、カナブンなど約20種を見つけた。国蝶のオオムラサキも見つかり、美しい紋様に目を輝かせ観察していた。

1時間ほど採集した後は、会場を県霞ケ浦環境科学センター(土浦市沖宿町)に移し、観察会のまとめを行った。まず、土浦の自然を守る会の野上今日子さんが製作した昆虫の紙芝居「カブトムシ」「クワガタ」「セミ」を鑑賞。続いて久松さんが講師となり、この日採集した昆虫の発表会が開かれた。子どもたちは自分で捕まえたそれぞれの昆虫と数を報告。久松さんはそれぞれの昆虫の特長などを説明。子どもたちは熱心に聞いて質問をした。

会場では、久松さん作製の「昆虫ビンゴ」ゲームにも挑戦。久松さんはうまくできた子どもに「おめでとう」と声をかけ、握手をしてほめていた。最後に子どもたち全員がどんぐりやまの感想を述べ、「みんなで昆虫を見られてよかった」「カブトムシがたくさん捕れてよかった」など、夏休みの思い出も早々に一つ獲得できた1日となった。

霞ケ浦環境科学センターで開かれた観察発表会

JICA筑波でスーパークールビズデー 職員も民族衣装で業務

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自慢の大玉スイカの出来に胸を張る研修員たち=JICA筑波研修棟

【相澤冬樹】途上国から多くの農業研修員を受け入れている国際協力機構筑波センター(JICA筑波、つくば市高野台)は26日、研修員も職員も民族衣装で業務に就く「スーパークールビズ」デーを催した。研修員らは、この日始まった「つくばちびっ子博士2019」体験プログラムの子供たちを迎え、交流した。

JICAが支援する途上国の多くは熱帯・亜熱帯地域に位置しており、それぞれ暑さ対策に知恵の込められたお国柄豊かな衣服がある。JICA筑波にはこれらを集めた民族衣装コーナーがあり、常時120着以上が展示されている。これを「クールビズ」に活用しようと、今年初めて都合5日間の着用デーを設けた。

研修員が自国から持参したり、職員が各国から持ち帰ったりした衣装での参加を呼びかけた。初日の22日こそ冷夏の気配に今ひとつ盛り上がらなかったが、2日目の26日は最高気温33.5度と一気に「クールビズ日和」となった。稲作の実験圃(ほ)で作業するガーナ人女性は、初めて経験する「日本の夏」だが「国と変わらぬ暑さ」と涼しい顔。

民族衣装でちびっ子と交流も

ちびっ子博士で来所の子供たちは、早速ベトナムのアオザイなどに着替え、目を輝かせた=JICA筑波管理棟2階ラウンジ

同日催されたちびっこ博士のイベントテーマは「スイカ博士になろう!」。JICA筑波の圃場で研修員らが手づから栽培したスイカを用意し、糖度チェックや食味試験を経て、子供たちに振る舞う企画だった。梅雨寒と日照不足に心配された生育状況だったが、ようやく積算温度が1000℃に達し、大玉をそろえることが出来たそう。

開催前から日本語でのあいさつの練習に余念のなかったジョセフ・ジョンさん(42)はインドからの研修員。「インドのスイカは少し楕円形をしていて、日本の方が大きく甘い。この技術を学んで持ち帰りたい」と意欲的だ。

稲作の圃場では、ようやく届いた夏の日差しに作業も本格化、早々に作業衣に着替えてしまう研修員も多かった。稲作コースには、出身国はシエラレオネやベナン、ガーナなどアフリカが多い。春から秋までの7カ月が研修期間で、窒素の施肥量に応じた収量状況などを調べ、レポートにまとめるまでを一気にこなすそうだ。JICA筑波では現在、約70カ国120人の研修員を受け入れているが、それぞれ国に戻れば官僚や研究者として技術を広める役目を担っているという。

▼JICA筑波「ちびっ子博士」2019は8月30日まで開催。特定日の体験プログラムの応募受付は終了したが、民族衣装コーナーでの着用体験等は常時受け入れている。電話:029-838-1111

稲作の実験圃でシエラレオネやベナン、ガーナなどからの研修員

オリジナルパン商品化へ 子どもたちが挑戦 つくばの英語学童保育

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試作の「こども食パン」を手に笑顔の子どもたち

【戸田さつき】つくば市桜の英語学童保育キッズクリエーションつくば(宮嶋さやか代表)で、小学1年生から6年生までの子どもたち22人がオリジナルパンの商品化に向けて取り組んでいる。近隣にオープンしたパン屋「ぷーぱん」などと協働し、8月28日の発売を目指している。

「売れるパンを作ろう」をテーマに、週に1度の「探求プログラム」で取り組んでいる。「この企画の特徴は、実際に商品化し、販売まで子どもたちが携わるところ」と同代表。「ぷーぱん」のほかファイナンシャルプランナーからも、原価計算、レシピや製造工程、販売戦略、味の種類展開などを具体的なアドバイスをもらっている。

同スクールは昨年、園庭にツリーハウスをつくるプログラムの中で小学生のクラウドファンディングを実施。目標額を達成し、余剰となった支援を、昨年9月に起きた北海道胆振(いぶり)東部地震の寄付金に充てた。「自分の力では何もできないけれど、発信し、仲間をつくることで解決できることもあると学んだようです」と同代表。

パン作りでは、新たな1年生を交えて4月から週に1度会議を開き、意見を出し合ってきた。子どもたちが飽きないよう、意見を出しやすいように工夫、まずは絵を描いて意見を出し合った。「ハサミの形のパン」「納豆のパン」と固定概念にとらわれない自由な意見が出る一方で、「売れるパンは食べやすいパン。リピーターができるパン」「プレスリリースはいつにするか」などと、昨年の経験が生きた場面もあった。

実体験を通した意見も出た。3人家族の児童は、食パンを買っても余らせてしまうと言う。売れる食べ物は健康志向だと分析した声も。食パンの耳が苦手と誰かがいうと、同調する子どもが多く見られた。

商品名は「こども食パン」に決定。豆腐を生地に練りこみ、通常の食パンより小さな型で焼き上げる。耳がしっとり柔らかい仕上がりだ。9回目の現在は販売価格を決めている。さらに「ぷーぱん」のアドバイスを受け、味付けについて話し合いを重ねていく。製造・販売は「ぷーぱん」で行う予定。

◆問い合わせはキッズクリエーションつくば(電話029-869-5830)

【高校野球茨城’19】霞ケ浦、4年ぶり2回目の優勝 打線爆発、守っては完封

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校歌を歌い終え、応援席へ駆け出す霞ケ浦ナイン

【池田充雄】第101回全国高校野球選手権茨城大会は25日、ノーブルホームスタジアム水戸で決勝戦が行われ、霞ケ浦が常磐大を14対0で下し、4年ぶり2回目の優勝を果たした。霞ケ浦は初回から5回まで毎回得点の猛攻。特に4回は5連打を含む打者一巡の攻撃で7点を奪った。守っては先発の鈴木寛人投手が被安打1、四死球0のベストピッチングで無失点完投を果たした。8月6日、阪神甲子園球場で開幕する全国大会に出場する。

霞ケ浦は1回裏、2安打と2四死球で1点を先制。2回には2死三塁から吉本光甫の中前打で1点を追加。「初球から2球続けてボールになり、次は甘いまっすぐが来ると思って狙った」という。2年生の吉本はこれまで代打での出場が主だったが、この試合で初めて2番に抜擢され3安打の活躍。「期待に応えられたと思う」と笑顔で話した。

3回には死球と安打などで2死二、三塁から、7番・鈴木春樹の右前打で2点追加。「今大会ではヒットが出てなかったが、コーチのおかげでコツがつかめた」と鈴木。4回にはスクイズで1点、5回には1死満塁から走者一掃の二塁打を放ち、この試合6打点という大爆発を見せた。

5回裏霞ケ浦1死満塁、鈴木春樹の中前二塁打で飯塚恒介ら3人がかえる

投手力と守備力のチームと見られていた霞ケ浦が、これほどの打撃力を発揮した要因について高橋祐二監督は、昨年7月に完成した屋内練習場の効用を挙げ、「内野がすっぽり入る関東一の規模。雨の日でもバットが振れ、いろんな練習ができるようになった」と強調した。また、一昨年の土浦日大戦の教訓から、たとえ点差がついても油断せず、次の1点への執念を持ち続けたことも明かした。

パーフェクトに近いピッチングをした霞ケ浦の鈴木寛人

次の舞台はいよいよ甲子園。意気込みについて高橋監督は「4年前の経験を生かしていい挑戦をしたい。バッティングの好調を維持しつつ、万全の状態で臨みたい」と話し、芳賀太陽主将は「県代表として他のチームの思いも背負いながら、胸を張って全力で戦う」と誓った。

【常磐大】山田、児島、鶴見-鶴見、加倉井【霞ケ浦】鈴木寛-鈴木春▽二塁打=飯塚、鈴木春、吉本、鈴木寛(霞ケ浦)
優勝旗とともにダイヤモンドを一周する霞ケ浦ナイン
高橋監督は胴上げで3度宙を舞った

【高校野球茨城’19】霞ケ浦、初回4得点で水城下す 決勝戦は常磐大と

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1回表霞ケ浦1死二、三塁、小早川の中前打で2点を追加

【池田充雄】第101回全国高校野球選手権茨城大会は24日、ノーブルホームスタジアム水戸で準決勝2試合が行われた。第1試合は霞ケ浦が初回の大量点で波に乗り水城を6対2で下した。第2試合は常磐大が打撃戦を制し5-3で水戸商に勝利。いよいよこの2チームが甲子園への切符を懸けて激突する。決勝戦はあす25日午前10時から、ノーブルホームスタジアム水戸で開催される。

準決勝第1試合は1回表、霞ケ浦が相手投手の立ち上がりを突いて4点を奪った。1死の後、守備の送球エラーと2者連続四球で満塁となり、5番・仕黒大樹が左中間二塁打で2点を先取。スリーツーからの甘いストレートを叩いた。「チャンスで打順が回り、絶対打ってやろうと思った。真ん中にいいボールが来てくれた」と仕黒。続く6番・小早川健人もきれいなセンター返しで2者を返した。

だが1回裏は、死球と送球エラーでいきなり無死二、三塁のピンチを迎える。「立ち上がりは制球が定まらなかった。1点はしょうがないという気持ちで、あわてずに一つ一つアウトを取れた」と先発の山本雄大。山本は2回以降も先頭打者を出しながら後続をしっかりと抑え、5回を無失点でしのいだ。

5回を無失点にしのいだ霞ケ浦の先発・山本

霞ケ浦に追加点が生まれたのは5回表。単打2本と送りバントで1死二、三塁とすると、代打・川島諒也の左翼への犠牲フライで1点を追加。また6回にもセーフティバントと送りバントで1死二塁とし、1番・天野海斗の左越え三塁打でさらに1点を追加。6-0とリードを広げる。

6回表霞ケ浦1死二塁、左越えの適時三塁打を放った天野が塁上で吠える

6回裏からはエース鈴木寛人がマウンドへ。だが立ち上がりに3連打を浴びてたちまち2点を失う。「力が入りすぎてフォームが乱れてしまった。守備陣がよく守ってくれた」と鈴木。その後は立ち直って切れの良いピッチングを披露。ストレートを見せ球にスライダーを効果的に使い、8、9回はいずれも3者凡退で締めくくった。

これで霞ケ浦は3年ぶりの決勝進出。前回は土浦日大に延長15回で敗れており、その悔しさを今の3年生は忘れていない。「決勝は何があるか分からない。それを経験して今ここにいる。ピンチのときにあせらず、チャンスのときこそ落ち着いていく。試合を重ねるごとにその自信がついてきた」と仕黒。高橋祐二監督は「平常心で精一杯頑張りたい。勝ち負けは後からついてくる」と、無欲で挑む心境を明らかにした。

【霞ケ浦】山本、鈴木寛-瀬川、鈴木春 【水城】樫村、櫻井-千田 ▷三塁打=天野(霞ケ浦)、千田(水城)▷二塁打=仕黒、飯塚、瀬川(霞ケ浦)

募集期間を延長 つくば観光大使 8月7日まで

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つくば観光大使(つくば観光コンベンション協会提供)

【谷島英里子】つくば観光コンベンション協会(会長・五十嵐立青市長)は、つくば市の魅力を発信する「第14代つくば観光大使」3人の募集期間を8月7日まで延長する。当初7月22日までとしていた。一定数の応募はあったものの、さらに広く多くの人に関心を持ってほしいと延長する。

観光大使6人のうち半数の3人を募集する。活動は県内外のイベントや行事に出席し、魅力や観光をPRすること。主に11月のつくばマラソン、2~3月の筑波山梅まつり、5月のつくばフェスティバル、8月のまつりつくばのほか、県外での観光キャンペーン、メディア出演などを行う。筑波山登山や梅まつりでの振り袖業務もある。

任期は9月1日から2021年8月31日までの2年間。毎年、半数の3人ずつが交代する。活動時には謝礼が出る。応募条件は①18歳(高校生不可)から40歳までの明るく健康な男女②観光行事にボランティア精神をもって積極的に取り組むとともに、つくば市の魅力をPRできる人③任期中、つくば観光コンベンション協会の指定した日(年間約20日程度※土日祝、平日かかわらず)に必ず従事できる人など。

同協会担当者の武田和孝さんは「つくば好きな人にとって、自分でつくばをPRできるチャンスです。ぜひ大使にチャレンジしてください」と呼び掛けている。

応募は同協会ホームページから観光大使応募用紙をダウンロードして必要事項を記入し郵送する(8月7日必着)。問い合わせは同協会(電話029‐869‐8333)まで。

誰もが楽しめる博物館へ 筑波技術大が手話通訳ガイド育成プロジェクト始動

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手話通訳ガイドが水族館での説明に使うツールを紹介する生田目美紀教授。手話はマンボウを表している=つくば市天久保、筑波技術大学

【田中めぐみ】博物館の手話通訳ガイドを育成するプロジェクトが、筑波技術大学(つくば市天久保)で始動している。プロジェクトは、視覚障害者と聴覚障害者が学ぶ同大の生田目美紀教授(感性科学)の研究室が立ち上げた。誰もが分かりやすい展示と案内によって情報のバリアフリー化を進め、みんなが楽しめる博物館を実現していくための一歩だ。

生田目教授の研究室では、水族館や動物園、植物園など科学系博物館で、どのようにすれば情報が分かりやすく伝わるか、また、誰にでも直感的に理解できる情報とはどのようなものかといったことについて研究をしている。

研究室で、全国の科学系博物館に調査を行ったところ、手話通訳ガイドを導入している施設はほとんどなく、聴覚障害者が十分に情報を得られていない現状があったという。

誰もが学びの満足度を高め、博物館を楽しめるようにしようと、プロジェクトを立ち上げた。クラウドファンディング(資金調達)を実施し、6月6月、目標金額を上回る130%の達成率で150万5千円を集めて成立した。

今後は、手話や道具を用いて展示内容を説明するボランティアガイドの育成を目指す。3人を募集するという。博物館の現場で育成に取り組み、アクアワールド県大洗水族館(大洗町)の事例では、手話だけでなく、動画や、3Dプリンタで作成した展示物のフィギュア、ぬいぐるみなども用いて説明を行う。

さらにガイド育成の知見を集め、マニュアルをまとめたい考えだ。博物館側の意向も取り入れながらガイドを育て、ガイドを必要とする全国の博物館とガイドとのマッチングも行う予定だという。要望があれば市内の科学系博物館にもガイドを派遣していきたいと話す。

生田目教授は「博物館の良さはリアルなこと。説明文を読むだけでは得られない発見が博物館にはある。また、来館者が分からないことがあったら質問すると、ガイドは来館者に応じて教え方を変えるなど、人との会話やコミュニケーションの中に新しい学びがある。ICT(情報通信技術)などの技術は今後も進歩していくので心配ないが、技術でコントロールできない部分は人の力が絶対に必要。将来に向けて人材育成が大切と考え、プロジェクトを始めた」と話す。

大洗町のアクアワールド県大洗水族館に、これから学生たちとマンボウの展示の勉強に向かう生田目美紀教授(右)=同大構内

霞ケ浦でボートサーフィン 県外から人気上昇

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霞ケ浦でボードサーフィンを楽しむ愛好者(茨城ボートサーフィン提供)

【田中めぐみ】サーフショップ「茨城ボートサーフィン」(龍ケ崎市、遠藤知之代表)が、霞ケ浦で開催しているボートサーフィンが人気だ。ボートを走らせ、ボートの後ろに発生する波に乗って楽しむスポーツで、ボートで作る「永遠の波」を求めて、東京や埼玉、千葉からサーファーたちがやってくるという。

毎年4月末から11月中旬ごろまで開催しており、今年で4年目となる。梅雨明けにはシーズンを迎え、例年繁忙期には1カ月に20日間以上の予約があるという。ボードの上に立って波に乗るサーフィンだけでなく、ボディボードの練習もでき、女性にも好評だ。

代表の遠藤さんによると、ボートサーフィンは、海でのサーフィンとは異なり、波を待つ必要がなく、連続して波に乗ることができるため、海で練習するよりも早く上達できるという。また、風が強くて波の状態が悪く、海に出られない時でも、霞ケ浦ならサーフィンができる場合があるそうだ。練習を充実させ、技を磨きたいとプロサーファーが訪れることも多いという。

サーフボードの上に腹ばいになってボートに引っ張ってもらう(同)

やり方は、まずボートで沖まで行き、その後ボートの後ろでロープを持ち、サーフボードの上に腹ばいに寝そべった状態で引っ張ってもらう。サーフボードが波に乗ったら手からロープを離し、サーフボードの上に立ち上がる。

波の大きさ、速さは好みに応じて調整できるが、基本的には海の波と同じスピードでボートを操縦して、海と同じ大きさ、高さの波を作ってくれるという。何度も同じ波に乗ることで、苦手な技を繰り返し練習し、習得することができるそうで、船尾とサーファーの距離が近いため、友達同士で参加して声を掛け合い、フォームをチェックし合ったり、動画・写真を撮影したりするのも簡単だ。

自身も35年サーフィンを続けているという遠藤さんは「ボートサーフィンは県内の方だけではなく県外からもたくさんのサーファーが来てくれている。ボートサーフィン1回は海での練習の10倍以上と言われるほど濃い内容の練習ができ、1年前にサーフィンを始めた方が信じられないくらい上達している。初心者からプロまで幅広く、自分の目標に沿った練習が出来るのがボートサーフィンの特徴。地域のみなさんも是非、挑戦してみてください。」と魅力を語る。

ボートは土浦市川口、土浦港のヨットハーバー、ラクスマリーナから出航している。料金は1時間1万3000円で、最低2人、2時間以上から運行。団体貸し切りも可能。天候によっては中止する場合もある。ボードなどのレンタルもある。

◆「茨城ボートサーフィン」龍ケ崎市貝原塚町3717-1 オーシャンプレイス1F

予約・問い合わせは、電話090-1602-7312 (茨城ボートサーフィン・遠藤さん)。

フェイスブックメッセンジャー・インスタグラムでの予約・質問も可能。

インスタグラム https://deskgram.net/boat_step

フェイスブック  https://www.facebook.com/茨城ボートサーフィン-1128319013922247/

区長たちに好評 地区相談センター開設2年 つくば市

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茎崎相談センター所長の秋葉義美さん(右)と茂木翼さん=つくば市小茎

【橋立多美】つくば市が地域の意見や要望を一括して受け付け、課題解決に取り組んで市政に反映させる「地区相談センター」を市内6カ所に設置して2年が過ぎた。南部の茎崎地区に設置された「茎崎相談センター」は、足繁く相談に訪れる区長たちに好評だ。

相談センターは2017年4月に筑波、大穂、豊里、桜、谷田部、茎崎のそれぞれの地区に設置された。地区の人口の伸びや相談件数に応じて市職員が配置されている。茎崎相談センターは今春着任した秋葉義美センター所長(59)と茂木翼さん(35)が相談に応じている。

今年4月から6月末日までの3カ月間に受け付けた相談件数は75件。道路や防犯灯、空き家などの「建設系」が47件と全体の6割強を占める。次いで上下水道、不法投棄のごみなどの「生活環境系」が7件で1割弱。相談に訪れたのは延べ35人。区長(自治会長)や市議会議員、民生委員、市民などだが、区長は全体の6割強(20人)と圧倒的に多い。(1人で複数件の相談があり、件数と人数は一致しない)

区長の仕事は、防犯灯やごみ集積所の維持管理、道路、路面標示、側溝の補修の要望を行政に伝えるなど多岐にわたる。また行政への要望の申請は区長が届け出ることになっている。これらが区長たちを相談センターに頻繁に足を運ばせている。

茎崎地区最大の住宅団地、森の里自治会の倉本茂樹会長(77)は「入居から40年を過ぎ、道路などの公共的な設備や施設が老朽化して市に要望する件数が多くなった。相談センターができる前は無しのつぶてのケースがあったが、今は間違いなく回答を受け取ることができるようになった」と話す。

同地区区会連合会会長の小原正彦さん(80)は「高齢の区長たちにとって地区内で相談できるのは良いことだと思う」と評価する。

茂木さんによると、地区相談センター設置に併せて業務を管理するための「相談システム」が整備され、相談センターと案件に対応する各部署が情報を共有し、連携して問題解決に当たっている。市民がたらい回しにされるなど縦割り行政の弊害を払拭しようとする仕組みで、案件がデータ管理されることで進捗(しんちょく)状況の確認ができるという。

同センターは、相談を受けた翌日に現場確認を行って担当する部署に案件を伝える。おおむね1、2週間、長くて1カ月以内に相談者に回答して解決に至っているという。

新たな仕組みで相談業務が円滑になったが、滞るのが管理されていない空き家や山林の相談だ。

昨年度の同センターの相談受付件数は計約160件。インフラや生活環境に関する130件は解決したが、残り30件は老朽化が進む空き家や隣接する山林から樹木が越境してくるという困りごと相談。担当部署が所有者に適正な管理をお願いする文書を出しても改善されず、未解決となっている。

民事に関する相談は行政書士や法テラスにつなげる。まれに生活苦や将来への不安を訴える相談者もいる。

茂木さんは「傾聴することで落ち着かれる方もおられる」と話す。秋葉センター所長は「思い立ったら気楽に来てほしい」と来所を呼び掛ける。

◆茎崎相談センターの相談受付時間は午前8時30分~午後5時15分、土日祝は休み。つくば市小茎320(茎崎保健センター内)。電話029-883-1384。

【2018年度の地区相談センター実績】▽大穂=131件▽豊里=142件▽谷田部=249件▽桜=330件▽茎崎=162件▽筑波=84件。谷田部と桜の相談件数が突出して多いのは、つくばエクスプレス(TX)沿線開発により新たなまちが形成され、通学路の整備や防犯灯設置などの要望が急増したため。

【高校野球茨城’19】霞ケ浦またも延長サヨナラ 常総学院まさかの敗退

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【霞ケ浦―石岡一】10回裏、霞ケ浦・鈴木春樹がサヨナラのホームを踏み、天野海斗(背番号5)と抱き合う

【池田充雄】第101回全国高校野球選手権茨城大会は22日、準々決勝4試合が行われた。ノーブルホームスタジアム水戸の第1試合では霞ケ浦が石岡一に3-2で勝利し、一昨日に続く延長サヨナラ勝ちとなった。ひたちなか市民球場の第1試合では常総学院が常磐大高と対戦、9回に逆転を許し5-6で敗れた。この結果、準決勝の組み合わせは第1試合が霞ケ浦対水城、第2試合が常磐大対水戸商と決まった。24日にノーブルホームスタジアム水戸で開催される。

霞ケ浦、投手リレーが成功

6回以降を1安打無四球と好投した霞ケ浦・鈴木寛人

霞ケ浦は1回と5回、石岡一は4回と6回にそれぞれ1点ずつを奪い合い、互いに一歩も譲らない戦い。だが後半に入ると徐々に流れは霞ケ浦へ傾いていった。霞ケ浦は山本雄大が先発し、鈴木寛人につなぐという投手リレーが成功。特に鈴木が登板した6回からは、石岡一に三塁打1本を許したのみ。逆に石岡一はエース岩本大地が1人でマウンドを守り、7回以降は毎回得点圏に走者を背負いながらも、なんとか抑えていた。

だが延長10回裏、霞ケ浦は途中から7番に入っていた鈴木春樹が四球で出塁すると、盗塁に悪送球が重なって2死三塁の好機を作る。ここで9番・小田倉啓介がツーストライクから1球ファールで粘って4球目、岩本の投球は暴投になり、鈴木春樹がこれを見逃さず本塁突入。「勝負球でワンバウンドが来るなと思っていた。捕手がはじいたら行く練習は2年のときからやっていたので、迷わず行くことができた」と試合後に話した。

【石岡一】岩本-飯塚 【霞ケ浦】山本、鈴木寛-瀬川、鈴木春 ▽三塁打=武田(石岡一)、飯塚(霞ケ浦)▽二塁打=岩本(石岡一)、飯塚(霞ケ浦)

常総、9回に逆転許す

4回裏常総学院1死二塁、菊地の左前打で菊田が生還し1-1の同点とする

常総学院はエース塙雄裕が満を持して先発で登場。しかし試合の入りがうまくいかない。初回表に1点を失い、3回にも2死満塁のピンチを招く。4回には早くも菊地竜雅がマウンドに上がることになった。

試合の入りが不安定だった常総学院の先発・塙

常総はその4回から反撃を開始。5番・菊地壮太の左前打と、6番大高優成の右前二塁打でこの回2点を奪い、逆転に成功。続く5回には1番・鈴木琉晟の左翼へのソロと、3番・菊田拡和の左翼への2ランという2本のホームランで5-1と引き離す。

しかし、今大会一番の強打者と謳われた菊田のバットがその後火を噴くことはなかった。7回1死一、二塁の場面は菊田が三振、5番・斉藤勇人は三塁ゴロ。9回2死二、三塁の場面も、菊田がセンターフライに打ち取られる。

対して常磐大は6、7回とも中軸が機能して順調に加点、9回にも2点を加えてついに逆転を果たした。

常磐大の4番・所宜和はこの試合4安打5打点の活躍。一方、菊田は今大会で2本のホームランを放ったものの、それ以外の場面では安定した力を発揮することができなかった。

【常磐大】鶴見、山田、鶴見-加倉井、鶴見、松田 【常総学院】塙、菊地竜-菊地壮 ▽本塁打=鈴木、菊田(常総学院)▽二塁打=所3(常磐大)、大高(常総学院)

アオコに監視の目を 国立環境研究所「環境儀」で特集

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「環境儀」73号を手に冨岡典子さん㊧と山口晴代さん=国立環境研究所

【相澤冬樹】国立環境研究所(つくば市小野川)は最新の研究情報誌「環境儀」73号で、「アオコの実像―シアノバクテリアの遺伝子解析からわかること」を取り上げ刊行した。地域環境研究センターの冨岡典子さん(58)、生物・生態系環境研究センターの山口晴代さん(38)両主任研究員の研究成果とインタビューをまとめている。

湖面に緑のペンキを流したようなアオコの発生は1970年代以降、霞ケ浦の水質汚濁の深刻度を測る現象だった。その大量発生は2011年以降、北浦を除く水域では認められていない。同号の研究は霞ケ浦のアオコに限定してはいないが、研究者は土浦入りや高浜入りなど西浦に関しては現状、「収束」もしくは「沈静化」との見方をとっている。

しかし、今季すでに発生が見られた北浦はもとより、西浦についても脅威は潜んでいる。アオコには「毒性」が特定されており、上水の取水源となっている以上、湖にもっと関心を振り向けるべきだし、監視の目を緩めるべきではないと今回の特集に至った。従来、水質面からのアプローチが主だったが、アオコの生物学的な研究に踏み込んだのが同号の特徴だ。

いわゆるアオコという生物種はいない。富栄養化が進んだ湖沼等でみられる現象で、主に「ミクロキスティス」とよばれるらん藻類が引き起こす。らん藻類は光合成を行うようになった原核生物(シアノバクテリア)で、他の真核生物である藻類と区別される。アオコ現象を解明するためには、原因となるシアノバクテリアの多様性・存在量を正確に把握することが必要と、同研究所では1976年から霞ケ浦での研究を続けている。

図1 シアノバクテリアのリボソームRNA遺伝子の1999年4月から2018年12月までの湖水中濃度変化(冨岡典子さん作成)

日照次第で今夏の大発生も

冨岡さんは84年からアオコ研究に携わり、霞ケ浦全域調査でシアノバクテリアの数や体積を計測してきた。顕微鏡の観察ではうまくできないため、99年から測定のためにDNAによる定量法を開発した。今回の誌面には、その成果である「シアノバクテリアのリボソームRNA遺伝子の湖水中濃度変化」(図1)を載せている。グラフのタテ軸に出てくる「coples/ml」という単位が計測値。2001年から10年まで夏のピーク時でも赤いラインを超えることはなかったが、11年にこの値を超えてアオコが大量発生した。

グラフから、11年以降も“危険水位”をしばしば超えているのが分かる。冨岡さんは「諸条件が重なってアオコの発生にいたる。今年も気温が上がらないからアオコが発生しないというわけではなく、むしろ日照不足が原因。晴れた日が2、3日続けば、西浦でもアオコが出てくる要素は十分にある」という。

所内の微生物系統保存施設(NIESコレクション)には約4000の藻類や原生動物の培養株が保存されている。山口さんはこれらからアオコ原因シアノバクテリアの遺伝子解析を行っている。特に警戒するのは、ミクロキスティスが持つ肝臓毒ミクロキスチンだ。塩基配列を解析すると、12系統に分類でき、うち3系統がアオコの毒素の一種であるミクロキスチンを産出することを明らかにした(図2)。

図2:ミクロキスティス12の種内系統群のうち肝臓毒であるミクロキスチンを産生するのは、系統AとX、系統Bの一部(山口晴代さん作成)

山口さんは「現状では、水道水として飲んでも泳いでも魚を食べても問題になる毒性ではない。しかし将来に向けモニタリングは欠かせないし、定量化して数値規制していく方策も必要になるかも知れない」と指摘した。

▼「環境儀」73号は同研究所ホームページ(→http://www.nies.go.jp/kanko/kankyogi/73/02-03.html)からも閲覧できる。