月曜日, 7月 1, 2024
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「乗せて」ヒッチハイクおばあちゃん あなたなら?

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高齢女性を送り届けた谷田部老人福祉センター(つくば市台町)

記者は後期高齢者の女性から2度ヒッチハイクされた経験がある。1度目は7年ほど前。牛久愛和総合病院(牛久市猪子町)に入院中の友人を見舞った時のことだった。

病院の駐車場に停めた車に乗ろうとしたら、70歳代後半と思われる女性が近づいてきて「悪いが、家まで乗っけてってくれないか」と話しかけてきた。

えっ、おばあちゃんのヒッチハイク? とビックリしたが、具合が悪くて困っているわけではなさそうなので、通院の帰りだと解釈した。

自宅の場所を聞くと、病院と国道6号に挟まれた猪子町の住宅で、車で5分ほどの距離だった。木枯らしが吹く季節で車内は冷え込んでいたが、助手席に座るとほっとした様子で表情がやわらいで見えた。

「ここで」と言われて住宅地の一角に停車した。「お世話になりました」と言いながら小さなビニール袋を座席に置いてドアを閉めた。手のひらに乗る袋の中には煎餅やチョコレートなどが入っていた。

この出来事はいつしか忘れていた。今年8月25日までは。

25日は強い日差しが容赦なく降り注ぎ、つくば市の気温は32度で高温注意報が出ていた。近親者が入院していた筑波学園病院(つくば市上横場)から中心部の自宅に帰る途中で2度目のヒッチハイクに遭った。

午後1時半頃、病院前の道路を北に進んでつくば野田線(県道3号)と交わるT字交差点で信号待ちをしていた。交差点手前に関東鉄道谷田部車庫がある。不意に高齢の女性が助手席のガラス窓をノックしてきた。何事かと窓を下ろすと「谷田部老人福祉センターまで乗っけて」と頼みこんできた。

ここから福祉センターまで3㎞はある。炎天下、高齢者を見放すことはできないとロックを解除すると、日傘を畳んで助手席に乗り込んできた。方向指示器を急ぎ右折から左折に切り替えた。

聞けば、女性は87歳で谷田部地区の高野台で一人暮らし。福祉センターで、気の合う仲間とレクリエーションしたり風呂に入ったりするのが唯一の楽しみだと語った。そのために高野台停留所からつくバスに乗車して関東鉄道谷田部車庫で下車。車庫からつくばエクスプレス(TX)みどりの駅方面の路線バスに乗り換えて目的地の支援センターに向かうのだという。

だが、みどりの駅方面行きのバスの本数が少なく、谷田部車庫で1時間待つしかない。車庫には冷暖房の利いた待合室はなく、雨ざらしのベンチが2基あるだけだ。ただ待つだけなら時間の無駄と、歩くかヒッチハイクするかの方法をとっているらしい。

「(車に)乗せてと頼むのは女の人が運転しているとき。男の人はノックしても素知らぬふりをして行ってしまう」とも話した。福祉センターの玄関に到着すると、何度も頭を下げながら建物の中に消えていった。

2度の体験を周囲に話した。男女を問わず多かった反応が「高齢者でも事件を起こす時代だから乗せない」。確かに、車内は密室で危険がないとは言い切れない。「話だけは聞くけど、同乗は断る」という声も。「男性が知らんぷりを決め込むのは、会社組織などの規範中心に生きているからでは」という女性の意見もあった。

一方、高齢女性たちの間でヒッチハイクがひそかに「移動手段」となっているのでは、と思ってしまう。そうだとしたら、したたかに「車に乗せて」と言えるのは超高齢社会を生き抜く知恵かもしれない。

さて、あなたが街中で声を掛けられたらどうしますか。(橋立多美)

あなただけの「地域新聞」作ろう 筑波学院大で1月~3月公開講座

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自分が暮らしている地域を題材に、あなただけの「地域新聞」を作る。そんな公開講座が筑波学院大学(つくば市吾妻)のコミュニティカレッジ講座の一つとして2018年1月~3月に開かれる。自分で「ネタ」を決め、取材し、執筆、校正、編集作業までこなしてオリジナルの紙面を完成させる。定員は10人、受講申し込み締め切りは12月8日。受講料の振り込みが終わった順に受け付けし、定員になり次第、締め切られる。

足元の話題や課題を拾い上げ、独自の視点でわかりやすく伝えることを目標にし、PTA会報や自治会新聞、家族新聞作りなどのヒントにしてもらう。取材から編集まで一連の作業を通して体験することで、発想力や企画・構成力、コミュニケーションの力、聞く・書く・伝える力も養える。

講師はNPO法人NEWSつくばの坂本栄理事長(元時事通信社経済部長、元常陽新聞新社社長)、米内隆副理事長(元朝日新聞東京編集センター次長、元常陽新聞編集委員)、鈴木宏子理事・事務局長(元常陽新聞記者)らが務める。新聞を身近に感じてもらおうと、あまり知られていない「新聞の裏話」も披露される。

講座は計10回で、いずれも午前10時40分~午後零時10分。日程は①1月9日(火)「新聞を知ろう、楽しもう」②1月16日(火)「取材って? 原稿はどう書く? 編集こそ中核」③1月23日(火)「ネタを決め、アポをとり、取材しよう」④1月30日(火)「同」⑤2月6日(火)「同」⑥2月15日(木)「原稿を書こう、書いたら点検しよう」⑦2月22日(木)「同」⑧2月27日(火)「同」⑨3月6日(火)「紙面を編集しよう」⑩3月15日(木)「同」。テキストは講師側が用意する。

受講料は1万2000円、60歳以上はシニア料金で1万800円。問い合わせ、申し込みは筑波学院大学コミュニティカレッジ係まで。以下の6項目(①講座番号112・講座名「自分だけの『地域新聞』を作る」②氏名、ふりがな必須③郵便番号、住所④電話番号、メールアドレス=緊急時に連絡がつくもの⑤年齢⑥性別)を明記して、はがき(〒305-0031 つくば市吾妻3-1)、FAX029-858-7388、TEL029-858-6341、Eメールkouza@tsukuba-g.ac.jpで。

 

 

10月1日スタートを発表 NEWSつくば、編集拠点の筑波学院大と会見

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記者会見する坂本栄NEWSつくば理事長㊨と大島愼子筑波学院大学学長=つくば市吾妻、筑波学院大学
記者会見の様子=同

NPO法人NEWSつくば(坂本栄理事長)は9月27日、筑波学院大学(大島愼子学長、つくば市吾妻)と共同記者会見を開き、10月1日からウェブニュースの発信を開始すると発表した。今年3月末に休刊となった県南の地域紙、常陽新聞の元記者ら8人が中心となって準備を進めてきた。地域貢献という趣旨に賛同した同大学から、施設の一室の無償提供を受け、編集室とする。

同大学を拠点に、つくば、土浦市の地域ニュースを日々発信する。合わせて、同大学で公開講座を開き、新聞の読み方、取材の仕方、記事の書き方などを市民や学生に講義する。

坂本理事長は「スタートはウェブニュースの発信と公開講座の授業の二つが柱になる。FM放送ラヂオつくばへのニュース配信など活動を広げ、将来は地域を限定した超ローカル新聞の発行などもやりたい」と話した。

大島学長は「常陽新聞休刊後、地域の新聞を存続させたいという声が挙がった。常陽新聞は、学生が地域に出て活動する大学のオフ・キャンパス・プログラムの活動報告を月2回掲載し10年以上協力してくれた。自由に地域のニュースを書いてもらえたら」などと期待を寄せた。

市民や企業から寄付などを募って運営し、市政、暮らし、教育、文化、スポーツなどの記事を発信する。一般紙では掲載されないような地域ニュースを主に取り上げ、市民にもコラムや記事の執筆を呼び掛ける。閲覧は無料。

握手する坂本理事長と大島学長=同

30年間 投票所に一番乗り そこで見たものは……

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施錠されていない投票箱の中が空であることを確認する中島浩さん㊨=つくば市苅間の市立葛城小学校
知事選で一番乗りで一票を投じた中島さん

つくば市苅間の会社員、中島浩さん(57)は、20代後半から30年間、選挙で一番最初に投票している。8月27日の知事選でも、投票所の市立葛城小に投票開始1時間前の午前6時に行き、一番乗りで1票を投じた。

投票開始10分前の午前6時50分、投票所の同小体育館入り口前に中島さんが並ぶ。ポツリポツリと集まってきた地域住民がその後ろに列をつくる。5分前の6時55分になると、体育館内にラジオ放送が流れる。7時のラジオの時報を合図に、投票管理者が投票の開始を告げる。

投票開始前、最初に投票する中島さんが、投票箱に何も入ってないことを確認した。その後、投票箱が施錠される。これは、公正な選挙を行うための「零票確認」という作業で、最初の人だけができる。

中島さんが投票一番乗りを始めたのは20代の後半からだ。毎回一番乗りで投票している人をテレビで見たのがきっかけ。「一番は気持ちがいいし、達成感がある」という。冬場は車内で暖房をかけて待つ。「9年前のつくば市長選・市議選の選挙の時だけ2番手になった。あの時は悔しかったなぁ」とも。

長男は以前、他人事のように「いっつも(投票に行くのが)早いな」と嫌味を言っていたが、30歳になったころから立候補者の公約に関心を持つようになったという。中島さんは「一票の重みが地域を変える。選挙に関心を持ってほしい」と言い添えた。(橋立多美)

 

2年掛け土浦市政と議会検証 10月1日、市民団体が報告

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10 月1日の集いの準備をする「土浦まちづくり市民の会」のメンバー。中央は長坂慎一郎代表、左は高村義親事務局長

市民主体の新しいまちづくりを目指す市民団体「土浦まちづくり市民の会」(代表・長坂慎一郎元山形大教授)が、10月1日「『住みたいまち 土浦をつくる』には?」と題して、同市真鍋新町、土浦ピアタウン2階イベントホールで「土浦まちづくり市民の集い」を開く。

塩漬けの常名(ひたな)運動公園計画、財政難による行政サービスの低下と市民負担の増加、情報公開請求をして明らかにした議会費の使われ方など、作業チームを設置して2年間にわたって検証してきた市の課題を六つのテーマで報告し議論する。

長坂代表は「土浦市は合併特例債で箱モノを次々につくり借金を増やす一方、人口減少で収入が減っている。こうした中、公共施設の使用料や手数料の見直しが現在検討されている。行政サービスの低下と市民負担の増加が始まっていることをまず市民に知ってほしい」と話し、事務局長の高村義親茨城大名誉教授は「空き家に若者が暮らせるようにする仕組みづくりなど、これから求められる新しい政策も合わせて議論できたら」と話す。

同会は2011年2月発足した。直後、東日本大震災が発生し福島第1原発事故による土浦市の放射能汚染問題に取り組んできた。15年11月の土浦市長選をきっかけに内部に新しい作業チーム「いいまちづくりグループ」を設置し2年間にわたって市の課題を検証してきた。1年目の昨年11月には中川清市長に、常名運動公園予定地の利活用と新図書館の有効利用を要望した。(鈴木宏子)

◆同集いで報告される6つのテーマは①東海第2原発再稼働反対請願②常名運動公園問題③財政悪化と市民負担増と行政サービスの低下④議会の実態と議会費の無駄遣い⑤水道料金⑥年金、地域医療。課題報告を前に、第1部としてつくば市の山本千秋さんが、総合運動公園計画を中止させたつくば市の市民運動を報告する。資料代500円。問い合わせは090-9680-8143(事務局・高村さん)

巨峰より甘い 欧州ブドウの直売人気

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味覚の秋の到来を告げるブドウの直売が9月1日、つくば市茎崎、牛久沼にかかる茎崎橋近くの「木村ぶどう園」で始まった。同園は、シャインマスカットなど栽培の難しい欧州ブドウ15品種を育てている。

園長の木村和也さん(36)=写真=は、手を汚さずに皮ごと食べられる種無しブドウが、近い将来、消費者に喜ばれ、現在人気の巨峰にとって替わると考えた。だが雨が多く湿度の高い日本の気候下では病気になりやすく栽培は難しい。県内でいち早く新種のブドウ栽培に着手した八郷のブドウ園と、長野県松本の農園で研修を積んだ。

開園から12年。木村さんが一房ずつ多くの手間をかけ、一粒一粒に気を配った実は、酸味や渋みがなく巨峰に勝る甘さで、ファンを増やし、採りたてのブドウを買い求める客が次々と訪れている。

今年は日照不足で収穫時期がずれ、オープンを例年より1週間遅らせたが、生育状態は良く、味も上々という。

価格は品種によって異なり1㎏1200円~3000円(税込み)。10月上旬まで直売している。問い合わせは木村ぶどう園(電話029・876・0688)。
(橋立多美)

 

カウンセラー鈴木桂子さんをしのぶ 子育てに悩む保護者に寄り添う

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子どもたちの自殺予防を訴える鈴木桂子さんの記事が掲載された2016年8月25日付常陽新聞

「世のお母さんたちの助けになりたい」と子育てのアドバイスに力を注いだ、つくば市森の里のカウンセラー、鈴木桂子(すずき・けいこ)さんが8月21日、心筋梗塞で死去した。71歳だった。

日本カウンセリング学会会員で、03年~06年、つくば市教育委員を務めた。

夫の富夫さん(故人)は1997年自主廃業した山一証券の社員だった。関西や九州で支店長として活躍した夫の転勤について行き、考え方や風習の異なる土地で3人の娘を育てた。

この時の経験から子育てカウンセラーを目指すようになった。マイホームの森の里に落ち着くと、「茨城カウンセリングセンター」(水戸市)を設立し「茨城いのちの電話」の初代理事長を務めた故大須賀発蔵氏の下でカウンセリングを学んだ。

それから20年。県家庭教育推進員として幼稚園や小中学校での講演や自治体の「電話相談」の相談員、県少年指導委員を務めた。個別のカウンセリングはもとより、鈴木さんの講演を聞いた保護者たちが自主的に発足させたグループカウンセリングが県南各地に誕生。それに応えて奔走するなど、子育てに悩む保護者に寄り添うことに情熱を傾けた。

昨年8月25日付の常陽新聞で鈴木さんは、夏休みが終わる9月1日前後に自殺する子が多い状況を知ってもらおうと、「この時期に自殺が起きやすいことを児童生徒に関わる人たちの共通認識とし、前途ある子どもたちを見守ってほしい」と訴えた。

地域では、自治会副会長兼文化部長として活躍した。当時、会長を務めた倉本茂樹さんは「東日本大震災の翌年、鈴木さんが『津波の被災地の復興を応援しよう』と企画し、バスで北茨城を訪ねた。復興の一助にと皆で北茨城の海産物を買い込んだ。優しくて思いやりのある人だった」と振り返る。

8月27日、牛久斎場で告別式が執り行われ、約100人が参列した。長年の少年指導委員の活躍に対して県警本部長から感謝状が贈られ、喪主で娘の宮本正子さんに手渡された。(橋立多美)

◆鈴木桂子さんは、当NEWSつくば設立を応援し、監事を快く引き受けてくれました。還らぬ人となった鈴木さんのご冥福をお祈りします。 (NEWSつくば一同)

 

広域要望は県議に期待 茎崎区会連合会

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熱心に県議の活動報告に耳を傾ける住民たち(つくば市小茎)

茎崎地区区会連合会(小原正彦会長)主催による4回目の「県議会議員の活動報告を聞く会」が9月2日、茎崎交流センターで開催された。区会役員40人がつくば市選出の県議会議員4人の報告に聴き入った。

最初にマイクを握ったのは自由民主党の鈴木将議員。北朝鮮が8月29日に弾道ミサイルを発射した際に作動した、全国瞬時警報システム「Jアラート」と、国と地方自治体間で緊急情報の通信を行う「Мネット」について説明した後、茎崎地区には52基の行政防災無線が完備されており、デジタル化が検討されていると話した。

今年度から、自由民主党茨城県支部連合会の青年局長に就任した星田弘司議員は、つくばの最先端技術を生かして新たな産業創出を目指す「つくば国際戦略総合特区」が2020年度まで延長されたことを報告。産業化を促進していくと述べた。また、茎崎地区内の歩道整備や通学路の安全対策の進捗状況についてふれ、安全な地域づくりに向けた取り組みについて語った。

公明党の田村佳子議員は、県地球温暖化対策実行計画に基づく県民運動「いばらきエコスタイル」を報告した。ここ100年でつくば市の年平均気温は約2・1度上昇しているとした上で、ごみ減量化とリサイクル、食品の使い切りなど環境に配慮したライフスタイルを呼びかけ、「地球の未来のための行動は足もとから」と話した。

最後に活動報告をした日本共産党の山中泰子議員は、2012年から16年までの5年間「県政への要望」の上位を子育て支援と高齢者福祉、医療体制の充実が占めている。県予算は1兆円を超え、財源に余裕があることを示す財政力指数は全国8位だが、開発用地の破綻処理に税金が使われ、県民の要望に応えていないと指摘。県民の暮らし第一の県政への転換に向けて尽力していくと結んだ。

各議員の活動について質疑応答が行われ、県政を身近に感じる時間となった。

閉会直前に発言した森の里の男性は「茎崎地区の生活圏は牛久で、牛久方面に便利に行きたいが、つくバスは市内運行に限られている。ところが牛久市のコミュニティバスは(茎崎地区の)宝陽台まで運行されている。牛久市と協定が組めないものか。高齢化が顕著で公共交通が頼りの茎崎地区住民にとって大変な問題。また、牛久市とつくば市の図書館の相互利用が出来ないか。牛久市と龍ケ崎市は両市の協定に基づき、図書館の相互利用が可能となっている。これらについては、地区別懇談会や市長と語らうタウンミーティングでも要望してきたが、一向に改善されない。市を飛び越えての要望は申し訳ないが、県議の皆さんに茎崎地区住民の悲願を側面から聞き届けていただき、ご支援頂きたい」と訴えた。
牛久への公共交通の延伸を求めている問題は前市長時代から要望されてきた。自治体の負担軽減のために、公共施設の相互利用など広域連携が活発化する今、公共交通の乗り入れは叶わないのか。つくば市の本気度が問われている。 (橋立多美)