水曜日, 4月 24, 2024
ホーム検索

延伸 TX -検索結果

If you're not happy with the results, please do another search.

県の発表受け「祝賀集会」 TX土浦延伸を実現する会

茨城県がつくばエクスプレス(TX)の県内延伸先を土浦方向に絞り込み、JR常磐線と土浦駅で交差させる構想を決定したことを受け、TX土浦延伸を実現する会(会長=安藤真理子土浦市長)は2日、クラフトシビックホール土浦(市民会館)で活動報告会を開いた。集会には、多くの市民のほか、土浦を選挙区に持つ国会・県会議員も参加、土浦駅接続に向けて活動を続けることを確認した。 大井川和彦知事は6月23日の記者会見で、学者らで構成される第3者グループの提言と、提言に対するパブリックコメント(意見公募)を踏まえ、昨年示した4候補(筑波山、水戸、土浦、茨城空港)から延伸先を土浦駅に絞り込んだと発表した。土浦延伸を実現する会の報告会はこの決定を受けたもので、あいさつ者からは土浦延伸のメリットと実現に向けての課題について発言があった。 「TXのTを土浦と読み替えたら」 安藤市長は「土浦延伸決定は私たちの熱く強い思いが実を結んだもので喜ばしい。皆さまが描いた夢が現実へと大きく動いたものと実感している。ただ、今やっとスタートラインに立ったということだ」と述べ、クリアーしなければならない課題が多い延伸に向けて気を引き締めた。 出席議員からは「つくば市から国会へTXで通っているが、TXで街が変わることを実感している。土浦にとってこの素晴らしい恵みの実現に向けサポートしていく」(国光あやの衆院議員)、「今、私が属する委員会では国土形成計画を審議しているが、これが終わったら広域地方計画をまとめる。この中にTX土浦延伸を盛り込みたい」(青山大和衆院議員)、「集会の名称『活動報告会』は控えめであり、『お祝い会』ではないか。この際、TXのTを土浦と読み替えたらよい」(八島功男県議)などの発言があった。 つくば―土浦に2~3の駅を整備? 最後に土浦商工会議所の中川喜久治会頭がこの日採択する宣言内容を説明。「実現する会のこれまでのスローガンは『TXを土浦へ』だったが、これからは『TXが土浦に』になる」とし、「常磐線とTXの接続により、筑波山・霞ケ浦などの県南観光地のみならず、茨城空港や県内全域の観光地へのアクセス向上が図られる」と、観光ビジネスの活性化に期待を示した。 報告会に先立ち、土浦延伸を実現する会の技術アドバイザーに就任した塚本一也氏(元JR東職員、元県議、大曽根タクシー社長)が講演。土浦方面決定の論点、現TX成功の原因、延伸ルートの決め方、新たな沿線開発―などを説明する中で、「総延長54キロの現TXには駅が20あり、単純に割ると2.8キロに一つ。TXつくば駅とJR土浦駅の間は約10キロだから、2~3の新駅が造られると予想される」と述べた。 さらに、土浦延伸実現に向けての課題として、①新たな利用者の確保②これまでの沿線開発を補完する都市機能の整備③JR常磐線と共存できる接続プラン④1都2県(千葉、埼玉)の理解を得られる延伸計画―などを挙げた。(岩田大志)

土浦駅に決定 TX県内延伸先 県

つくばエクスプレス(TX)の県内延伸先を検討してきた県は23日、第3者委員会からの提言(3月31日付)と5月に実施したパブリックコメント(意見募集)の結果を踏まえ、延伸先を土浦方面に決定したと発表した。 JR常磐線と接続する駅は土浦駅とし、今後は県内延伸構想の具体化に向けた検討を進める。さらに土浦駅延伸が実現後、自衛隊との共用空港である茨城空港の着陸制限の緩和など空港を取り巻く状況が変化した場合、改めて茨城空港延伸について議論するとした。 5月1~30日に実施したパブリックコメントは個人と団体計283人(団体)から意見が寄せられ、県内延伸に賛成は82%、反対は12%だった。 延伸先については土浦方面が最も多く全体の44%で、理由としては「4方面の中で費用がかからず実現可能性が高い」「事故・災害時の代替交通の確保につながる」などの意見があった。 延伸先を茨城空港方面とする意見も全体の25%あったほか、水戸方面は7%、筑波山方面は5%あった。反対意見の中には「採算性に乏しく赤字となる延伸は必要ない」などの意見があった。 意見を寄せた283人(団体)の内訳は、土浦市在住者が25%と最も多く、次いで小美玉市が22%、つくば市が17%の順。年代別は50代が20%と最も多く、次いで40代が18%、60代が17%の順。 「採算性の懸念共有している」 意見募集の結果について県は、土浦や茨城空港も含めて、延伸に賛成する意見が圧倒的に多く大きな期待が確認できたとした。土浦と決定した理由について大井川和彦知事は23日の記者会見で「実現可能性のある延伸先であることがまず最も重要」だとした。 一方で大井川知事は「反対の主な理由が採算性に対する懸念で、延伸したはいいが、赤字をずっと出し続けるのであれば最終的には県財政の負担につながるだけ、というような趣旨だった。我々も懸念は共有している」と述べ、「今後、単なる運賃収入だけじゃなくて、周辺開発なども含め事業採算性をいかに向上させていくかの方策を練ることが、反対意見の不安を払拭する最大の答えになる」と述べた。 県は3月に、土浦駅に延伸する場合の概算事業費や需要予測について、事業費は約1400億円、つくば駅-土浦駅間の1日当たりの乗車人数は約8600人と見込まれ、建設コストを除き年間3億円の赤字が出ると予測される、鉄道事業の採算性を評価する指標の一つで、1以上が望ましいとされる費用便益比は0.6にとどまり、1を上回るためには11万人規模の沿線開発が必要だとする見通しを示している。 東京延伸と同時、28年の答申目指す 今後の進め方については第1段階として、土浦駅であっても赤字であることから、沿線開発なども含めてどうやって採算性を確保していくかを調査検討し、県としての叩き台(素案)をつくっていく。 第2段階として素案をもとに、国や、TX出資者の東京都、埼玉、千葉県、TXを運行する首都圏新都市鉄道などの事業者と調整をし、2028年の国の交通政策審議会の答申に位置付けていくことが大きなステップになるとした。最終の第3段階では路線計画、建設計画、事業資金などを決めていく。 大井川知事は事業費1400億円の負担について「県内延伸は茨城県が全部やれ、という竹内知事時代の覚書があって(20年12月22日付)、それを1回チャラにしてもらって、各都県に協力もいただいた上で、県内延伸と東京延伸を同時にやりましょうという構図に持っていきたい。マイナスですけれどもお願いします、は多分通らない。是が非でも知恵を絞らなきゃいけない」と述べた。 事業費負担の理解を得る見通しについては「一にも二にも採算性。採算性がマイナスの時点で周辺近隣都県に理解を求めることは非常に難しい。これからの検討において、いかに採算の見込みを向上させていくかということが次の鍵になる」と強調した。理解を得る鍵として「(土浦延伸により)首都圏を中心とした経済圏をバックアップする後背地が大きく広がることの経済的メリットと、首都直下型地震などの大きな災害時に、常磐線とTXがつながることによって交通の代替性が確保されること」の二つを挙げた。

「土浦方面・土浦駅接続」で意見を募集 TX延伸で茨城県

つくばエクスプレス(TX)県内延伸について、茨城県のTX県内延伸第三者委員会が3月31日、延伸先は土浦方面が最善だとする提言書を大井川和彦知事に提出した(3月31日付)のを受けて、県は1日、延伸先を「土浦方面とし、JR常磐線と接続する駅は土浦駅として、県内延伸構想の具体化に向けた検討を進めていく」とする県の方針案をまとめ、同日からパブリックコメント(意見募集)を開始した。30日まで広く県民の意見を募集し、6月下旬ごろ県の方針を決定する。 土浦駅に延伸する場合、約1400億円の事業費がかかり、つくば駅-土浦駅間(8.4キロ)の1日当たりの乗車人数は約8600人で、建設コストを除き年間3億円の赤字が出ると予測され、第三者委から、需要の呼び起こしや事業スキームのさらなる検討が課題だと指摘されたことなどから、県方針案は今後の進め方について①関係機関との調整に向けて県としての素案を策定する②国の交通政策審議会答申での位置づけを目指す③事業主体となる鉄道事業者と共同して延伸事業の許可取得を目指すーの3段階に分けて進めていくとした。 第1段階の素案策定時期について県交通政策課は、2025年度に県の総合計画が改定されることから、改定に間に合うよう国やTX沿線都県、延伸市の土浦、つくば市などと調整を進め、素案策定を目指すとし、その後、第2段階として、国の審議会答申で位置付けられることを目指すとしている。 ほかに意見募集では新たに、年間運営費として経費や人件費に計22億円かかる一方、運賃収入などは19億円にとどまるなど年間3億円の赤字になる根拠となる数字や、1以上が望ましいとされる費用便益比が0.6にとどまるとされた算出データについて、30年間の合計を現在の価値で評価すると、総費用が718億円なのに対し、時間短縮や費用節減、混雑緩和、環境改善などの便益は415億円にとどまるなどのデータも公表されている。 ◆パブリックコメントの詳細は県交通政策課のホームページへ。方針案に対する意見は郵送、ファクス、電子メールなどで提出することができる。

TX土浦駅延伸 次の焦点は工事費分担 《吾妻カガミ》155

【コラム・坂本栄】茨城県の第三者委員会がTX延伸先をJR土浦駅に絞り込みました。識者の提言通りTXがJRと土浦駅で交われば、両ラインの使い勝手はよくなります。提言を超要約すると、「土浦駅につなぐのが一番安上がりで開通後の採算性も一番よい」ということですが、「実現可能性が優先され地域開発の夢が見えない」(土浦の経済人)といった声も聞こえます。 実現性に重きを置いた絞り込み 3月末公表された知事への提言書と補足書「TX県内延伸調査の結果」は県のホームページにアップされています。検討視点やデータが載っており、とても勉強になります。その概要は本サイトの記事「TX…は土浦方面…知事に提言」(3月31日掲載)をご覧ください。 延伸先を4候補(土浦、茨城空港、水戸、筑波山)から絞り込む作業で、第三者委は▽延伸実現の可能性▽県ビジョンとの調和▽将来を見据えたまちづくり▽公共交通の利用促進―を念頭に置いたそうですが、どうやら「延伸実現の可能性」が重視されたようです。 補足書にある事業費概算は、土浦=1400億円(直線距離8.4キロ)、茨城空港=2400億円(同28.5キロ)、水戸=4800億円(同45.5キロ)、筑波山=1400億円(同13.5キロ)―となっています。これらに予想運行収支(土浦=年3億円の赤字、茨城空港=年50億円の赤字、水戸=年58億円の赤字、筑波山=年22億円の赤字)を重ねると、延伸先は土浦駅方向しかなかったでしょう。 土浦の経済人が「夢が見えない」と嘆いているのは、JRとの共存や実現性が優先された結果、鉄道敷設が周辺開発を促すというTX沿線(茨城県内では守谷市、つくばみらい市、つくば市)の「成功体験」があまり期待できない、ということです。 全工事費地元負担というプラン 第三者委の絞り込みは、147「TX…延伸…シナリオ」(2022年12月19日掲載)でも指摘したように、県が進める「延伸工事費を県外自治体にも負担してもらう」作戦の準備作業です。国土交通省の関係審議会で土浦駅延伸を東京駅延伸とセットで決めてもらい、東京都、埼玉県、千葉県はもちろん、できれば国にも工事費を分担すると約束してもらわないと、県内延伸は難しいと考えているからです。 事情通によると、現TXが計画されたときの竹内藤男知事(故人)は、TXをつくば市まで引っ張ってくるため(当初計画は千葉県止まり)、延伸する場合は地元で工事費用を負担する旨の文書を1都2県に差し出したそうです。3知事がこの念書を大井川知事の前でヒラヒラさせるような流れになると、県の費用分散作戦(プランA)は行き詰まります。 その場合、現在価格1400億円の工事費を茨城県と通過2市(土浦市内とつくば市内はほぼ同距離)が負担し、年3億円の区間収支赤字を土浦市が補てんすれば(費用地元負担=プランB)、第三者委の提言は即実現します。例えば工事費は、県50%、土浦25%、つくば25%といった割合に。 第三者委提言は、1都2県にはチャーミングさに欠けるように思います。JRとの交差で終わっているからです。プランBでなくプランAで行くには、県は提言を踏まえた計画策定で、第1期=つくば駅~土浦駅、第2期=土浦駅~茨城空港、第3期=茨城空港~水戸駅―と範囲を広げるなど、1都2県が振り向くような計画にする必要があるでしょう。(経済ジャーナリスト)

TX土浦駅延伸 次の焦点は工事費分担 《吾妻カガミ》155

【コラム・坂本栄】茨城県の第三者委員会がTX延伸先をJR土浦駅に絞り込みました。識者の提言通りTXがJRと土浦駅で交われば、両ラインの使い勝手はよくなります。提言を超要約すると、「土浦駅につなぐのが一番安上がりで開通後の採算性も一番よい」ということですが、「実現可能性が優先され地域開発の夢が見えない」(土浦の経済人)といった声も聞こえます。 実現性に重きを置いた絞り込み 3月末公表された知事への提言書と補足書「TX県内延伸調査の結果」は県のホームページにアップされています。検討視点やデータが載っており、とても勉強になります。その概要は本サイトの記事「TX…は土浦方面…知事に提言」(3月31日掲載)をご覧ください。 延伸先を4候補(土浦、茨城空港、水戸、筑波山)から絞り込む作業で、第三者委は▽延伸実現の可能性▽県ビジョンとの調和▽将来を見据えたまちづくり▽公共交通の利用促進―を念頭に置いたそうですが、どうやら「延伸実現の可能性」が重視されたようです。 補足書にある事業費概算は、土浦=1400億円(直線距離8.4キロ)、茨城空港=2400億円(同28.5キロ)、水戸=4800億円(同45.5キロ)、筑波山=1400億円(同13.5キロ)―となっています。これらに予想運行収支(土浦=年3億円の赤字、茨城空港=年50億円の赤字、水戸=年58億円の赤字、筑波山=年22億円の赤字)を重ねると、延伸先は土浦駅方向しかなかったでしょう。 土浦の経済人が「夢が見えない」と嘆いているのは、JRとの共存や実現性が優先された結果、鉄道敷設が周辺開発を促すというTX沿線(茨城県内では守谷市、つくばみらい市、つくば市)の「成功体験」があまり期待できない、ということです。 全工事費地元負担というプラン 第三者委の絞り込みは、147「TX…延伸…シナリオ」(2022年12月19日掲載)でも指摘したように、県が進める「延伸工事費を県外自治体にも負担してもらう」作戦の準備作業です。国土交通省の関係審議会で土浦駅延伸を東京駅延伸とセットで決めてもらい、東京都、埼玉県、千葉県はもちろん、できれば国にも工事費を分担すると約束してもらわないと、県内延伸は難しいと考えているからです。 事情通によると、現TXが計画されたときの竹内藤男知事(故人)は、TXをつくば市まで引っ張ってくるため(当初計画は千葉県止まり)、延伸する場合は地元で工事費用を負担する旨の文書を1都2県に差し出したそうです。3知事がこの念書を大井川知事の前でヒラヒラさせるような流れになると、県の費用分散作戦(プランA)は行き詰まります。 その場合、現在価格1400億円の工事費を茨城県と通過2市(土浦市内とつくば市内はほぼ同距離)が負担し、年3億円の区間収支赤字を土浦市が補てんすれば(費用地元負担=プランB)、第三者委の提言は即実現します。例えば工事費は、県50%、土浦25%、つくば25%といった割合に。 第三者委提言は、1都2県にはチャーミングさに欠けるように思います。JRとの交差で終わっているからです。プランBでなくプランAで行くには、県は提言を踏まえた計画策定で、第1期=つくば駅~土浦駅、第2期=土浦駅~茨城空港、第3期=茨城空港~水戸駅―と範囲を広げるなど、1都2県が振り向くような計画にする必要があるでしょう。(経済ジャーナリスト)

TX県内延伸先は土浦方面 第三者委が知事に提言

接続は土浦駅が優位 つくばエクスプレス(TX)県内延伸先の絞り込みについて検討してきた県TX県内延伸第三者委員会(委員長・岡本直久筑波大社会工学域教授)は31日、第4回委員会を開き、効果と費用のバランスなどから延伸先を土浦方面とする提言をまとめ、同日、岡本委員長が大井川和彦知事に提言書を手渡した。 併せてTXつくば駅からJR常磐線に接続する駅について、土浦駅か神立駅かを検討し、需要予測や採算性などから、土浦駅に接続する方が優位性が認められるとした。 コスト最小も事業費1400億円 第三者委は昨年12月から計4回の会合を開き、新たな人の流れの創出、県全体の発展可能性、実現可能性など5つの判断基準を元に、土浦、茨城空港、水戸、筑波山の4つの方面から1方面への絞り込みを検討してきた。 まず筑波山方面は、つくばと水戸の交流拡大やJR常磐線の事故や災害時などの代理機能に寄与するとは言えず効果は限定的だとして退けた。水戸方面は影響が極めて大きいが、常磐線経由であってもつくばと水戸の交流拡大に一定の効果が得られるとし、土浦方面で接続されれば茨城空港方面や水戸方面への延伸に期待される効果が一定程度得られるとした。茨城空港方面は各自治体からの要望も多く将来性は考慮すべきだが、期待される将来の姿と現況とのギャップが大きく実現可能性があるとは言い切れないとした。 その上で土浦方面について、常磐線への接続が直線距離で8.4キロと最短でコストも最小となり、特急も停車するなどから、土浦方面以外での接続は現実的ではないとした。 第三者委はさらに接続駅についても土浦駅か神立駅かを検討し、土浦駅は神立駅に比べて駅前の市街地が発達し難工事が想定され、概算事業費は土浦駅よりも神立駅の方が低い一方、採算性や費用対効果は土浦駅の方が高いとし、土浦駅に接続する方が実現可能性は高いとした。 県は同日、土浦方面の概算事業費や需要予測を明らかにし、事業費は約1400億円、つくば駅-土浦駅間の1日当たりの乗車人数は約8600人で、建設コストを除き年間3億円の赤字が出ると予測されるとした。鉄道事業の採算性を評価する指標の一つで、1以上が望ましいとされる費用便益比は0.6にとどまり、1を上回るためには11万人規模の沿線開発が必要だとする見通しが示された。 1400億円の算出根拠としたルートについては、つくば駅から土浦駅方面に向けて、台地部は地下、その後地上に出て桜川をまたぎ南側から土浦駅に入るルートで算出したという。 東京延伸などとパッケージで働き掛けを 第三者委員会の提言はさらに、実現に向けた課題についても踏み込んだ。土浦方面に延伸しても費用便益比は1.0を下回り、事業採算性も赤字が見込まれるとして、従来通りの沿線開発にとどまらず、さらなる需要増加と費用削減の方策を検討する必要があるとした。国の交通政策審議会の答申にも位置付けられているTX東京延伸や都心部・臨海地下鉄構想などの動向に留意し、一体的なパッケージとして国などに働き掛けていく必要があるとした。 提言を受け取った大井川和彦知事は「延伸実現による県内経済の発展、社会的な利便性の向上などさまざまなメリットはつくばの発展をみても実証されている。提言をしっかり受け止めて、課題についても、提言を踏まえた形で一歩一歩克服していきたい。方面を最終決定した上で国に対してもアプローチしていきたい」と話した。 第三者委の岡本委員長は「費用対効果の数字(費用便益比)が基準に達しておらず、実現に向けてはさらなる公共交通志向の生活スタイルが浸透していく必要がある」とし、将来、茨城空港方面や水戸方面についても改めて議論すべきだとした。 提言を受けて安藤真理子土浦市長は「TXの土浦延伸は長年にわたる私たちの悲願。正式決定はまだ先だが、私たちの熱い思いが実を結んだもので大変喜ばしい。土浦延伸は今やっとスタートラインに立ったところ。今後も茨城県を始め、各関係機関との十分な協力・連携を図ってまいりたい」などとするコメントを発表した。 6月目途に決定 県は今後、提言についてパブリックコメントを実施し、県民の意見を聞いた上で、6月を目途に方面を決定する。県はさらに2023年度、当初予算に2600万円を計上し、延伸ルートや事業の枠組みなどを検討する。土浦市は、沿線を中心に土地開発が活発化すると見込まれるなどから、330万円を計上し、効果を最大限に発揮させるため様々な波及効果を検討、調査する。(鈴木宏子) 【TX県内延伸をめぐるこれまでの動き】▽2017年8月 知事選で橋本昌前知事と大井川和彦現知事が共に公約に県内延伸を掲げる▽2017年12月 初当選した大井川知事が「新しい茨城づくり政策ビジョン」に「TXの県内延伸に向け検討を進める」と明記▽2018年5月 TXをつくば駅から茨城空港(小美玉市)まで延伸しようと、つくば、土浦、かすみがうら、石岡、小美玉、鉾田、行方7市の市議会議長がTX茨城空港延伸議会期成同盟会を設立▽2018年11月 県総合計画「新しい茨城への挑戦」に2050年頃の将来像として、TX延伸ルートの一つに〝茨城空港ルートを描く▽2022年2月 県が22年度当初予算にTX県内延伸の調査費を初めて盛り込み、22年度内に①筑波山方面②水戸方面③茨城空港方面④土浦駅方面-の4方面案の中から1本に絞り込む方針を掲げる▽2022年12月 県がTX県内延伸第三者委員会を設置

政治判断より技術的判断を TX県内延伸で塚本元県議

土浦商工会議所青年部主催のTX県内延伸討論会が17日夜、土浦市内で開かれた。パネル討論に先立ち基調講演した塚本一也氏(大曽根タクシー社長、元県議)は、延伸先候補地域の誘致活動が過熱化していることを念頭に置き、「延伸ルートは、政治判断よりも技術的判断を優先すべきだ」と述べ、選定作業を進めている茨城県に対しクールな判断を求めた。 県の選定委員会は現在、4候補(水戸市、土浦市、筑波山、茨城空港)の中から延伸先を1つに絞り込む作業を進めている。県のスケジュールでは、2月9日に選定委から答申をもらい、広く県民の声を聞いた後、3月末までに決定する段取りになっている。 JRとの交差=都心への選択肢 JRに15年勤務(専門は駅舎設計)しTXに関する著作もある塚本氏は、鉄道についての豊富な知識を駆使、①現在の最速運転は毎時130キロだが、なだらかな線形から同160キロの運転が可能、②高架と地下で構成され、踏切がない鉄道なので輸送障害が少ない、③自動列車運転装置(ATO)により、安全で効率的な運行ができる―などの強みを列挙、こういった特性を生かされる延伸ルートが好ましいと強調した。 また、現TX(秋葉原―つくば市)については、①JR常磐線の混雑緩和、②沿線に住宅を供給し、首都圏住宅問題の解決―を目的にしていたと指摘。TX延伸ルートが常磐線と交わることによって、当初の建設目的がより充実することが望ましいとの視点を提供した。 この関連で、土浦が延伸先になる利点として、①土浦には、公的機関、教育施設、娯楽施設などが充実しており、既存のTX沿線地域にはない都市機能が整っている、②JR駅も複数あり、利用者は都心へのアクセス手段を選択できる、③JRに事故があった際、振り替え輸送が可能になる、④東京へのルートが違うため、JRとの共存が可能になる―などを挙げた。 土浦通過=ずばり経済効果が大 討論会では、「TXが土浦を通過すれば、ずばり経済効果が大きい。それは(既存沿線の)守谷市、つくば市を見ればわかる」(中川喜久治・土浦商工会議所会頭)、「(公開されている)選定委員会の討議資料を見て、土浦延伸を確信している」(小坂博・土浦市議会議長)、「土浦になれば、定住人口、交流人口が増え、会議所会員の仕事の幅が広がる」(池田雄一・土浦商工会議所青年部会長)などの発言があった。 TX土浦延伸を盛り上げる講演・討論会は、青年部の新春交歓会の目玉としてセットされた。討論会の後、会議所の若手会員は3年振りの懇親会に移った。(岩田大志)

主な話題はTX延伸 土浦市で新年賀詞交歓会

土浦市の経済3団体(商工会議所、観光協会、商店街連合会)主催による新年賀詞交歓会が6日夜、市内のホテルマロウド筑波で開かれた。コロナ禍が収まっていないこともあり、出席者はコロナ前の約300人に比べると抑えられ、約180人が参加。市長、国会議員、県会議員ら来賓のあいさつを聞いたあと、2段重ね弁当の食事を交えながらの懇親を楽しんだ。 「普通に考えたら土浦延伸」情報 土浦恒例の大型新年会は、土浦鳶職(とびしょく)組合の祝木遣(きやり)唄でスタート。 3団体を代表して中川喜久治土浦商工会議所会頭があいさつ、「10年、20年先を見据えた市の発展には、常磐線のさらなる利便性の向上、つくばエクスプレス(TX)の土浦延伸、常磐高速道のスマートIC設置(桜土浦ICと土浦北ICの間)などのインフラ整備が重要だ」とし、県によるTX延伸先選定が進んでいることを挙げ、「これは昨年の最大のニュースだった」と述べた。 この発言を受け、安藤真理子土浦市長は「オール土浦でTX土浦延伸を(県に)働きかけている。署名活動をしていて、若い人がこの問題に関心が強いことがわかった。土浦延伸は土浦市にとって最大の悲願であり、実現に向け最後まで活動を進めたい」と、力が入った。 また、国会議員で最初にあいさつした国光あやの衆院議員(茨城6区、小選挙区)は「県は2月にも延伸先を決めるが、県幹部から『普通に考えたら、まあ、土浦なのだ』との言質を得ている。(県内延伸は)国の審議会にかけられるので、(工事費用を)国もしっかり分担することになる」と、土浦延伸の可能性を強く示唆した。 市議、次の選挙で3分の1交替? ほかの国会議員は、青山大人衆院議員(茨城6区、比例)、上月良祐参院議員(茨城区)、小沼巧参院議員(同)、加藤明良参院議員(同)、堂込麻紀子参院議員(同)があいさつ。続いて、昨年12月の茨城県議選で無投票再選された土浦市区の伊沢勝徳県議、八島功男県議、高橋直子県議がお礼の言葉を述べた。 土浦市では、今春に市議選挙、今秋には市長選挙がある。安藤現市長、24現市議は次の選挙にどう臨むのかまだ明らかにしていないが、挑戦者のうわさも含め、あちこちで情報交換が盛んに行われた。市政情報に強い現市議、元市議の話によると、現市議の3分の1ぐらいは立候補を見送る可能性が強く、市議会は高齢市議を中心に世代交代が進みそうだ。 つくば市と市商工会、筑波大など6団体・法人主催によるつくば市の賀詞交歓会はコロナ禍を心配して中止された。来賓として出席した桜井姚つくば市商工会会長に現在の関心事を聞いたところ、「土浦学園線沿いの警察署があった所に商工会会館をつくってほしいと、つくば市長に言っているのだが、反応が鈍い」と、市政に不満を述べた。(岩田大志)

TX茨城県内延伸 実現へのシナリオ 《吾妻カガミ》147

【コラム・坂本栄】つくば市が終点始発になっているTXの延伸に関心が集まっています。茨城県が今年度中に延伸先を絞り込む作業を進めていることもあり、延伸先4候補(茨城空港、水戸市、土浦市、筑波山)の関係地域では、つくば市を除き、誘致活動が活発になっています。今年最後の本欄はTX延伸問題のあれこれです。 県内延伸と東京駅延伸はセットで なぜ県は年度内に延伸先を決めたいのでしょうか? 県政通によると、来年度か再来年度、国土交通省の関係審議会で、TXの東京駅延伸が決まるそうです。県は、東京駅延伸とセットで県内延伸を決めてもらう作戦を立て、それには今年度中に延伸先を絞っておく必要があると考えたわけです。 なぜセット決定を狙っているのでしょうか? 現TX(秋葉原-つくば)計画が策定された際、当時の竹内知事(故人)は、つくばより先に延ばす場合、その費用は茨城県が負担すると、東京都、埼玉県、千葉県に約束しています。単独負担を避けるため、東京駅延伸と県内延伸をセットで決めてもらい、県内延伸費用を他自治体にも分担してもらう、それには延伸先を国の審議会前に決めておく必要がある―これが絞り込みを急ぐ理由のようです。 つまり、県の絞り込み作業は、国の鉄道建設手順を踏まえ、工事費負担の分散・軽減を図るという、知事の深慮遠謀によるものだそうです。ということは、県内延伸先←現TX区間→東京駅がパッケージで決定されないと、県内延伸は難しくなるでしょう。この両方向延長に、都が策定中の臨海地下鉄(東京駅→東京湾岸)がリンクすれば、壮大な計画になります。 国際空港と学園都市を結ぶ鉄道? 県内延伸先はどこになるのでしょうか? 私は茨城空港と予想しています。136「TX延伸論議…つくば市の狭い視野」(7月4日掲載)で指摘したように、関係地域(水戸市、土浦市、石岡市、小美玉市など)は、自分の市を経由して(水戸は空港から自市まで延伸してもらおうと)空港まで延ばせと主張しているからです。県内延伸=つくば駅→茨城空港の政治的な包囲網が出来上がっています。 TX沿線市(守谷、つくばみらい、つくば)の人たちは、このプロジェクトにあまり関心がありません。延伸=東京駅延伸であり、県内延伸はピンと来ないようです。これら地域は東京通勤圏(茨城都民)ですから、県内延伸に想像力が働かないのは仕方ありません。 茨城空港まで延ばす必要性は何でしょうか? 先のコラム136では、▽10~20年先、首都圏の羽田空港と成田空港が満杯になり、茨城空港を第3国際空港として使わざるを得ない、▽それには、空港にアクセスできる鉄道が必須になる、▽つくばを世界レベルの研究学園都市に育てるには、茨城国際空港と学園都市を鉄道で結ぶ必要がある―と述べました。県内延伸は、学園都市の広域化を実現するテコにもなります。 高度な分担比率政治工作が必要 県内延伸にはいくらかかるのでしょうか? 1兆円に近い数千億円は必要でしょう。知事が県内延伸と東京駅延伸(東京湾岸延伸?)をセット決定に持ち込もうとしているのは、茨城単独ではこの額は無理と思っているからでしょう。 先に、首都圏第3空港化に触れたのは、そうすれば延伸費用を国から引き出せると考えるからです。単なる茨城空港延伸でなく、第3国際空港延伸とし、国=3分の1、茨城=3分の1、東京・埼玉・千葉=各9分の1といった分担比率ができれば、延伸は現実性を持ちます。こういった理屈付けと分担比率決定には高度な政治工作が必要です。(経済ジャーナリスト)

TX茨城県内延伸 実現へのシナリオ 《吾妻カガミ》147

【コラム・坂本栄】つくば市が終点始発になっているTXの延伸に関心が集まっています。茨城県が今年度中に延伸先を絞り込む作業を進めていることもあり、延伸先4候補(茨城空港、水戸市、土浦市、筑波山)の関係地域では、つくば市を除き、誘致活動が活発になっています。今年最後の本欄はTX延伸問題のあれこれです。 県内延伸と東京駅延伸はセットで なぜ県は年度内に延伸先を決めたいのでしょうか? 県政通によると、来年度か再来年度、国土交通省の関係審議会で、TXの東京駅延伸が決まるそうです。県は、東京駅延伸とセットで県内延伸を決めてもらう作戦を立て、それには今年度中に延伸先を絞っておく必要があると考えたわけです。 なぜセット決定を狙っているのでしょうか? 現TX(秋葉原-つくば)計画が策定された際、当時の竹内知事(故人)は、つくばより先に延ばす場合、その費用は茨城県が負担すると、東京都、埼玉県、千葉県に約束しています。単独負担を避けるため、東京駅延伸と県内延伸をセットで決めてもらい、県内延伸費用を他自治体にも分担してもらう、それには延伸先を国の審議会前に決めておく必要がある―これが絞り込みを急ぐ理由のようです。 つまり、県の絞り込み作業は、国の鉄道建設手順を踏まえ、工事費負担の分散・軽減を図るという、知事の深慮遠謀によるものだそうです。ということは、県内延伸先←現TX区間→東京駅がパッケージで決定されないと、県内延伸は難しくなるでしょう。この両方向延長に、都が策定中の臨海地下鉄(東京駅→東京湾岸)がリンクすれば、壮大な計画になります。 国際空港と学園都市を結ぶ鉄道? 県内延伸先はどこになるのでしょうか? 私は茨城空港と予想しています。136「TX延伸論議…つくば市の狭い視野」(7月4日掲載)で指摘したように、関係地域(水戸市、土浦市、石岡市、小美玉市など)は、自分の市を経由して(水戸は空港から自市まで延伸してもらおうと)空港まで延ばせと主張しているからです。県内延伸=つくば駅→茨城空港の政治的な包囲網が出来上がっています。 TX沿線市(守谷、つくばみらい、つくば)の人たちは、このプロジェクトにあまり関心がありません。延伸=東京駅延伸であり、県内延伸はピンと来ないようです。これら地域は東京通勤圏(茨城都民)ですから、県内延伸に想像力が働かないのは仕方ありません。 茨城空港まで延ばす必要性は何でしょうか? 先のコラム136では、▽10~20年先、首都圏の羽田空港と成田空港が満杯になり、茨城空港を第3国際空港として使わざるを得ない、▽それには、空港にアクセスできる鉄道が必須になる、▽つくばを世界レベルの研究学園都市に育てるには、茨城国際空港と学園都市を鉄道で結ぶ必要がある―と述べました。県内延伸は、学園都市の広域化を実現するテコにもなります。 高度な分担比率政治工作が必要 県内延伸にはいくらかかるのでしょうか? 1兆円に近い数千億円は必要でしょう。知事が県内延伸と東京駅延伸(東京湾岸延伸?)をセット決定に持ち込もうとしているのは、茨城単独ではこの額は無理と思っているからでしょう。 先に、首都圏第3空港化に触れたのは、そうすれば延伸費用を国から引き出せると考えるからです。単なる茨城空港延伸でなく、第3国際空港延伸とし、国=3分の1、茨城=3分の1、東京・埼玉・千葉=各9分の1といった分担比率ができれば、延伸は現実性を持ちます。こういった理屈付けと分担比率決定には高度な政治工作が必要です。(経済ジャーナリスト)

TX県内延伸に賛成?反対?【県議選’22つくば候補者アンケート】3

県議選候補者アンケート最終回は、つくばエクスプレス(TX)県内延伸構想の是非と、旧統一教会と接点をもったことはあるかについて、つくば市区の立候補者8人に聞いた。 TX東京延伸については11月25日、東京都が「都心部・臨海地域地下鉄構想」の事業計画案を発表。まず臨海地下鉄を単独で整備し、将来的に、TX東京延伸(秋葉原-東京)との接続や、羽田空港との接続を今後検討すると発表したばかり。 一方、県内延伸をめぐっては、県が今年度、初めて調査費を計上し、今年度中に①筑波山方面②水戸方面③茨城空港方面④土浦駅方面-の4方面案の中から1本に絞り込むと発表し、県内各地で誘致合戦が繰り広げられた。延伸に必要な事業費、需要予測、費用対効果も調査が行われている。一方つくば市は東京延伸を優先するとし、県内延伸の誘致合戦には加わらなかった。 NEWSつくばは告示前、8候補者に対し「TX県内延伸ルートを絞り込む調査費を県が計上し、県内延伸を求める運動がつくば市以外で盛り上がっています。県内延伸計画に賛成ですか、反対ですか」と質問した。賛成、反対、どちらでもないの3つのいずれかに〇を付けてもらい、50字程度で理由を書いてもらった。 各候補者の回答は以下の通り。 ▽佐々木里加氏 賛成「県内延伸には反対しないが、土浦ではなく、本来はつくばエクスプレスの名の通り筑波山を経由し県庁のある水戸へ、あるいは空の玄関茨城空港を経由し水戸へ伸ばすべき」 ▽宇野信子氏 どちらでもない「TX県内延伸は県南と県央、県北をつなぐ効果はあるが、沿線開発によりさらに市街地が分散する弊害もある。完成時期や費用負担等の調査結果を示して住民の声を聴くべき」 ▽ヘイズ・ジョン氏 賛成「持続可能な社会実現のため賛成。電車はエネルギー効率が高い公共交通機関であり、公共交通整備はSDGsの観点からも国連から推奨されている。TXが他の交通機関と連結し相乗効果を得ることはコストベネフィットが高い」 ▽塚本一也氏 賛成「つくばエクスプレスの成功を県内経済活性化のために活用すべきである」 ▽山本美和氏 どちらでもない「県内延伸に関する議論について勉強不足のため」 ▽鈴木将氏 賛成「今回公表された東京都の臨海部への地下鉄事業計画案と連動し、県内以北への通勤・通学・交流圏を広げ、更なる県土発展を推し進めていくべき」 ▽山中たい子氏 反対「高い料金の引き下げと、現在生じている混雑の緩和を先行させるべき」 ▽星田弘司氏 賛成「TXを県内延伸していくことは、以前から進められている東京延伸とともに重要。整備費用確保の課題解決が一番の課題」 旧統一教会は8人全員が接点なし 旧統一教会との接点についても候補者8人に質問した。 「これまで旧統一教会や関連団体と接点をもったことはありますか」と質問し、①祝電やメッセージを送ったことがあるか②広報誌などのインタビューを受けたことがあるか③関連団体の会合であいさつをしたことがあるか④教団主催の会合に出席したことがあるか⑤教団や関連団体に会費類を支出したことがあるか⑥寄付を受けたりパーティー券などを購入してもらったことがあるか⑦選挙でボランティアによる支援を受けたことがあるか⑧選挙で組織的支援や動員などを受け入れたことがあるかーの8点について、ある、ない、のどちらかに〇を付けてもらった。 回答は、候補者8人全員が、8項目いずれも「ない」と回答した。 終わり

TX県内延伸「早くどう建設するか議論を」 政財界交流団体 つくばで会合

つくばエクスプレス(TX)の県内延伸について意見交換する県内政財界の交流団体「TX県内延伸の議論を活性化する集い」(代表世話人・塚田陽威塚田陶管社長)の会合が7日夕、つくば市内で開かれた。塚田代表世話人は「TXの勢いをつくばで止めておかないで、土浦、石岡、茨城空港、水戸に延ばすことが最大の政治の仕事だろうと思っている。来年3月31日までに(4方面のうちのいずれかのルートが)決まってから、いつまでに建設するのか、それが一番大事なこと。早くどうつくるか、いろいろな話ができれば」とあいさつした。 集いには安藤真理子土浦市長、小田川浩つくばみらい市長のほか、つくば市区選出の星田弘司、塚本一也県議、つくばみらい市区の山野井浩県議、石岡市区の大和田寛樹県議、小美玉市の中村均企画財政部長らが約30人が参加した。 口々に「県民、市民が望む延伸」と 土浦市の安藤市長は「TXを土浦に延ばしたいというのは(長年の)悲願。駅前で街頭演説をすると、高校生が振り返って、戻ってきて『本当ですか』と話してくる。(今年6月の)署名活動でも駅前で高校生が署名用紙を受け取って学校で書いて、次の日に持ってきてくれる。若い人たちと一緒に夢をかなえたい。土浦市議会も9月に特別委員会をつくった。活動はまだまだ続く。私たちの熱い気持ちをぜひ知事にご理解いただきたい」などと話した。 つくばみらい市の小田川市長は「みらい平駅ができてTXのお陰で人がたくさん来てくれ、税収も増え、工業団地ができて、TXの恩恵を受けている。(TXを運行する首都圏新都市鉄道に対して)沿線市が集まって、東京延伸、8両編成化のほか、TXは(JRと比べ)運賃が高いので学生だけでも下げてほしい、とつくばみらい市から発信して学生の定期券割引拡大を要望している。県内延伸は県民が望むことであり応援しなければいけないと思っている。TXは170%くらい乗車率があり8両化しようとホームの工事に着手したところ、コロナで乗客が激減し赤字が出ていると聞いている。まずはコロナ前の乗客に近づくようになればと思う」と述べた。 星田県議は「きのう(6日)自民党本部に国土強靭(きょうじん)化議員連盟の要望活動をして、地域で計画を進めるには財源等、かなりのハードルがあると伺った。クリアしなくてはいけないことがまだまだあるが、知事が調査を実施するというのは第一歩を踏み出していただいたということ。県民の多くがTX延伸を望んでいる。財源の確保と熱意が必要。皆さんと機運を盛り上げていきたい」とした。 塚本県議は「自治体によって温度差がある。東京延伸と北への延伸の双方向を考え、本来つくば市がビジョンを持たないとだめ。(快速列車など)だんだん千葉から東京への通勤に便利な電車になっている。つくばエクスプレスという名前なのに利便性を持っていかれるのは残念。JRとのコラボも双方向で考え、皆と議論したい」など、それぞれ話した。

TX延伸論議に見る つくば市の狭い視野 《吾妻カガミ》136

【コラム・坂本栄】茨城県がTX県内延伸の4方向案(茨城空港、水戸市、土浦市、筑波山)を示したことで、その線上・目標に位置する自治体が自分たちの所へと誘致に乗り出し、地元の政治家も加わって騒々しくなっています。しかし筑波山を抱えるつくば市は、TXの終始点であることに満足しているのか、特に動いておりません。 ポイントはどこで常磐線にクロスさせるか 茨城空港、水戸、土浦の各方向誘致については、「TX石岡延伸推進協議会」、「TX水戸・茨城空港延伸促進協議会」、「TX土浦延伸を実現する会」が立ち上がりました。土浦の様子は記事「TX土浦延伸へ決起集会 市民参加で競合2団体に対抗」(6月12日掲載)をご覧ください。 茨城空港、水戸、土浦への延伸ラインはもちろん別々です。しかし、石岡、水戸、土浦の主張は「空港まで延ばせ」と言っている点では共通しています。水戸の場合、まず空港まで延ばし、さらに空港→水戸を要求していますが、石岡と土浦は「うちの市内で常磐線と交差させ、空港まで延ばせ」と言っているからです。 水戸が、空港→水戸は後回しにし、常磐線で交差する駅→水戸駅(TXの一部JR乗り入れ、残りは茨城空港直通)を受け入れれば、ポイントは「どこでJR常磐線にクロスさせるか(つくば駅と空港を直線で結ぶと高浜駅のちょっと北=石岡市内=で交差)」になります。 TX県内延伸=研究学園と茨城空港の連結 こういったことを考えると、メデイアでよく使われる「TX県内延伸」という言い方は「学園都市と茨城空港の連結」と言い換えるべきです。 10~20年先を展望すると、首都圏の2国際空港(羽田と成田)だけではビジネス・トラベル客をさばけなくなります。ロシアと中国の特異な行動によって、当分、国際ビジネス客の移動は抑制されるでしょうが、いずれ正常化します。訪日外国人旅行客は、コロナ前の何倍にもなるでしょう。そうなると、首都圏に国際空港がもう1つ必要になります。 第3空港として米軍横田基地の転用が検討されているものの、同基地は対中戦略の前線センターでもあり、民間空港化は難しいでしょう。そこで、①拡張が比較的容易な茨城空港の第3空港化、②空港へのアクセス鉄道としてTXの茨城空港延伸―をセットにして、国に実現を働きかけたらどうでしょうか。国家プロジェクトになれば、地元の負担は少なくて済みます。 TXが常磐線と交差して「茨城国際空港」につながると、つくば市は米国のボストン市に並ぶ学園都市になります。水戸、石岡、土浦の3市と組み、茨城空港延伸キャンペーンに参加すべきなのに、つくば市は「つくば止まり」で満足しているようです。TXを東京へのアクセス手段とだけ考えているようでは、視野が狭すぎます。(経済ジャーナリスト)

TX延伸論議に見る つくば市の狭い視野 《吾妻カガミ》136

【コラム・坂本栄】茨城県がTX県内延伸の4方向案(茨城空港、水戸市、土浦市、筑波山)を示したことで、その線上・目標に位置する自治体が自分たちの所へと誘致に乗り出し、地元の政治家も加わって騒々しくなっています。しかし筑波山を抱えるつくば市は、TXの終始点であることに満足しているのか、特に動いておりません。 ポイントはどこで常磐線にクロスさせるか 茨城空港、水戸、土浦の各方向誘致については、「TX石岡延伸推進協議会」、「TX水戸・茨城空港延伸促進協議会」、「TX土浦延伸を実現する会」が立ち上がりました。土浦の様子は記事「TX土浦延伸へ決起集会 市民参加で競合2団体に対抗」(6月12日掲載)をご覧ください。 茨城空港、水戸、土浦への延伸ラインはもちろん別々です。しかし、石岡、水戸、土浦の主張は「空港まで延ばせ」と言っている点では共通しています。水戸の場合、まず空港まで延ばし、さらに空港→水戸を要求していますが、石岡と土浦は「うちの市内で常磐線と交差させ、空港まで延ばせ」と言っているからです。 水戸が、空港→水戸は後回しにし、常磐線で交差する駅→水戸駅(TXの一部JR乗り入れ、残りは茨城空港直通)を受け入れれば、ポイントは「どこでJR常磐線にクロスさせるか(つくば駅と空港を直線で結ぶと高浜駅のちょっと北=石岡市内=で交差)」になります。 TX県内延伸=研究学園と茨城空港の連結 こういったことを考えると、メデイアでよく使われる「TX県内延伸」という言い方は「学園都市と茨城空港の連結」と言い換えるべきです。 10~20年先を展望すると、首都圏の2国際空港(羽田と成田)だけではビジネス・トラベル客をさばけなくなります。ロシアと中国の特異な行動によって、当分、国際ビジネス客の移動は抑制されるでしょうが、いずれ正常化します。訪日外国人旅行客は、コロナ前の何倍にもなるでしょう。そうなると、首都圏に国際空港がもう1つ必要になります。 第3空港として米軍横田基地の転用が検討されているものの、同基地は対中戦略の前線センターでもあり、民間空港化は難しいでしょう。そこで、①拡張が比較的容易な茨城空港の第3空港化、②空港へのアクセス鉄道としてTXの茨城空港延伸―をセットにして、国に実現を働きかけたらどうでしょうか。国家プロジェクトになれば、地元の負担は少なくて済みます。 TXが常磐線と交差して「茨城国際空港」につながると、つくば市は米国のボストン市に並ぶ学園都市になります。水戸、石岡、土浦の3市と組み、茨城空港延伸キャンペーンに参加すべきなのに、つくば市は「つくば止まり」で満足しているようです。TXを東京へのアクセス手段とだけ考えているようでは、視野が狭すぎます。(経済ジャーナリスト)

TX土浦延伸へ決起集会 市民参加で競合2団体に対抗

つくば市が始発・終点になっているTX(つくばエクスプレス)を土浦市まで延ばしてもらおう、と「TX土浦延伸を実現する会」(会長・安藤真理子土浦市長)の決起集会が12日午後、クラフトシビックホール土浦(市民会館)で開かれた。集会には、経済団体関係者、国会議員、県会議員、市会議員のほか、市民約600人が参加。土浦市内でのTX―常磐線接続の実現に向け、盛り上がった。 TXの県内延伸については、茨城県がすでに4案を示し、今年度中に1つに絞り込む方向で調査を開始している。2月に県が公表した延伸先案は、①筑波山(つくば市)、②水戸市、③茨城空港(小美玉市)、④土浦市―の4方向。 これを受け、延伸先への経路がかかる市や町の誘致運動が活発化、③を実現させたい石岡市は「TX石岡延伸推進協議会」を5月17日に立ち上げた。水戸市、かすみがうら市、小美玉市、茨城町も5月23日、②③の実現を目指し、「TX水戸・茨城空港延伸促進協議会」(石岡市も重複参加)を立ち上げた。いずれも、土浦市の「実現する会」同様、市長・町長、地元経済関係者、国会議員、県会議員、市・町会議員が名を連ねている。 土浦の「実現する会」は、4月5日に幹事会が立ち上がり、4月12日と5月11日に実行委員会を開いてきたが、他の2団体の活動に負けまいと署名運動を繰り広げながら、12日の大集会にこぎつけた。 延伸経費:国が3分の1、残りは県と自治体 安藤市長はあいさつの中で「以前から『つくばでストップってどうして』と思っていた。県内の活性化のためにも、土浦延伸を実現させたい」「茨城空港に結ぶ形で地域活性化につながればよい」と述べ、土浦市内で常磐線に交差させ、茨城空港に延ばす構想を提案した。 国光文乃衆院議員(茨城6区・小選挙区)は「延伸には数千億円かかるだろう。そのうち国が全体の3分の1を負担する。残りは県と地元自治体が負担しなければならないが、(TXが通過している)東京都、埼玉県、千葉県にも負担してもらう」と延伸経費やその分担に踏み込んだ。 青山大和衆院議員(茨城6区・比例)は「常磐線は東京駅乗り入れで便利になった。まさにTX延伸も同じこと。今、TXの会社は8両化を進めているが、それが完了したら、次は県内延伸だ」とスケジュールに踏み込んだ。 「県都と学園都市がつながるメリットは大」 決起大会の前に、TXに関する著作もある塚本一也県会議員(つくば市区)が「つくばエクスプレス県内延伸の考え方」の演題で基調講演を行い、県内延伸の視点を提供した。 この中で、「何のために延伸するのか、茨城県のメリットは何か、土浦延伸で県にどう貢献できるか―考える必要がある」とし、国の支援を得るには「それによって茨城県が持つ財産を最大限生かす視点が必要だ」と述べ、具体的には茨城空港を挙げた。 また、延伸によって県都と学園都市がつながること、水戸が東京通勤圏に組み込まれることのメリットを強調。さらに、常磐線とTXが県内でつながれば、①どちらかに事故があった場合に振替輸送が可能になる、②相互乗り入れにより利用者の利便性がアップする―と述べた。(岩田大志)

TX県内延伸で何が実現するのか 《茨城鉄道物語》23

【コラム・塚本一也】前回のコラム「TX延伸ルート選びに必要な視点」(4月8日掲載)では、国家プロジェクトの行方に迷いが生じたときには「そもそも論」に立ち返ることが重要であると述べました。そこで今回は、延伸先選びの視点をいくつか示してみます。 茨城空港を「国際空港」にするには? 第1の「そもそも論」は、首都圏の羽田・成田国際空港はいずれ「満杯」になることが予想されるため、第3の国際空港として、茨城空港の機能をアップすることです。TXが茨城空港に伸びるだけでなく、羽田との直通運転が可能となれば、首都圏の様々な航空需要に応える能力を備えることになります。 国際化が格段に進むであろう10~20年先を見据え、また甚大な被害をもたらす大規模災害を想定したバックアップ機能として、TXを首都圏の重要交通インフラに位置付ける視点です。 アジアの大手LCC(格安航空)会社に茨城空港を使ってもらおうと、県がその社長を現地へ招いた際、「TXでも乗り入れてくれるなら就航させてもいいですよ」といった発言があったそうです。彼らは、TXの茨城空港乗り入れが実現すれば、使い勝手が悪い成田便を茨城便に切り替えるのではないでしょうか。 しかし、この構想に問題がないわけではありません。茨城空港は航空自衛隊の飛行場ですから、現状では滑走路使用に制限があり、成田並みの国際便受入は無理です。でも空港の周辺には平坦な土地が豊富にありますから、やる気になれば滑走路拡張は可能です。 もう一つの問題は、競争相手として米軍横田基地があることです。元都知事の故石原慎太郎氏は、横田基地の軍民共用構想(首都圏第3国際空港化)をぶち上げ、同基地への高速鉄道乗り入れを準備しました。しかし、共用交渉は進んでいません(茨城空港にチャンスがあります)。 水戸を「東京通勤圏」にするには? 第2の「そもそも論」は、北部延伸によって県内経済を活性化するために、水戸市とつくば市をTXでつなぐというインフラ整備構想です。その沿線が活性化するだけでなく、常磐線とのコラボレーションによって、水戸~東京が「1時間圏内」になるでしょう。水戸地域がごく普通の「東京通勤圏」に入るということです。 TX延伸先絞り込みは関心を呼んでいますが、当事者の1人、つくば市長は関心が薄いと聞きます。TX延伸が都市機能を拡大すること(第3の「そもそも論」)が分かっていないようです。つくば市内には「県立高校が少ない」という声がありますが、土浦方面に伸びれば、土浦市内の高校への通学が容易になり、教育圏が拡大します。 政治や行政を担当する者にとって、インフラ整備と財政運営は基本中の基本です。視野を広く持ち、鉄道や道路で他市とつながり、自らも発展するという構想が必要ではないでしょうか。私事によりこのコラムを少しの間休載します。再開の際には、またTXの話をしたいと思います。(一級建築士)

TX県内延伸で何が実現するのか 《茨城鉄道物語》23

【コラム・塚本一也】前回のコラム「TX延伸ルート選びに必要な視点」(4月8日掲載)では、国家プロジェクトの行方に迷いが生じたときには「そもそも論」に立ち返ることが重要であると述べました。そこで今回は、延伸先選びの視点をいくつか示してみます。 茨城空港を「国際空港」にするには? 第1の「そもそも論」は、首都圏の羽田・成田国際空港はいずれ「満杯」になることが予想されるため、第3の国際空港として、茨城空港の機能をアップすることです。TXが茨城空港に伸びるだけでなく、羽田との直通運転が可能となれば、首都圏の様々な航空需要に応える能力を備えることになります。 国際化が格段に進むであろう10~20年先を見据え、また甚大な被害をもたらす大規模災害を想定したバックアップ機能として、TXを首都圏の重要交通インフラに位置付ける視点です。 アジアの大手LCC(格安航空)会社に茨城空港を使ってもらおうと、県がその社長を現地へ招いた際、「TXでも乗り入れてくれるなら就航させてもいいですよ」といった発言があったそうです。彼らは、TXの茨城空港乗り入れが実現すれば、使い勝手が悪い成田便を茨城便に切り替えるのではないでしょうか。 しかし、この構想に問題がないわけではありません。茨城空港は航空自衛隊の飛行場ですから、現状では滑走路使用に制限があり、成田並みの国際便受入は無理です。でも空港の周辺には平坦な土地が豊富にありますから、やる気になれば滑走路拡張は可能です。 もう一つの問題は、競争相手として米軍横田基地があることです。元都知事の故石原慎太郎氏は、横田基地の軍民共用構想(首都圏第3国際空港化)をぶち上げ、同基地への高速鉄道乗り入れを準備しました。しかし、共用交渉は進んでいません(茨城空港にチャンスがあります)。 水戸を「東京通勤圏」にするには? 第2の「そもそも論」は、北部延伸によって県内経済を活性化するために、水戸市とつくば市をTXでつなぐというインフラ整備構想です。その沿線が活性化するだけでなく、常磐線とのコラボレーションによって、水戸~東京が「1時間圏内」になるでしょう。水戸地域がごく普通の「東京通勤圏」に入るということです。 TX延伸先絞り込みは関心を呼んでいますが、当事者の1人、つくば市長は関心が薄いと聞きます。TX延伸が都市機能を拡大すること(第3の「そもそも論」)が分かっていないようです。つくば市内には「県立高校が少ない」という声がありますが、土浦方面に伸びれば、土浦市内の高校への通学が容易になり、教育圏が拡大します。 政治や行政を担当する者にとって、インフラ整備と財政運営は基本中の基本です。視野を広く持ち、鉄道や道路で他市とつながり、自らも発展するという構想が必要ではないでしょうか。私事によりこのコラムを少しの間休載します。再開の際には、またTXの話をしたいと思います。(一級建築士)

TX延伸ルート選びに必要な視点 《茨城鉄道物語》22

【コラム・塚本一也】前回コラム(3月11日掲載)では、茨城県がTX県内延伸ルート調査費を今年度予算に計上したことを取り上げました。今回はその議論の進め方について、私が思うところを述べたいと思います。 県の総合計画では、現在つくば市止まりのTXの北部延伸について、①筑波山方面、②水戸方面、③茨城空港方面、④土浦方面―の4方面が「点線」で記されています。これら4候補を1つに案に絞り込むことが、県調査の使命です。各案に「一長一短」があり、関係者の思惑も加わり、1方面に絞り込むことは容易でないと思います。 鉄道建設のような大プロジェクトは、計画時と完成時で社会情勢が変化するために、その存在意義や方向性にどうしても迷いが生じます。しかし、鉄道インフラの必要性は普遍的であり、世の中がいかに変わろうとも、「社会の役に立つ財産」という位置付けは変わりません。 本州と北海道を結ぶ青函トンネルは、洞爺丸転覆事故(1954年)のような悲劇を繰り返さないために、国民的な議論の末に着工されました。工事の困難さゆえに、途中で不要論も出ましたが、完成によって現在の北海道新幹線へとつながりました。 多目的ダム・八ッ場(やんば)ダム(群馬県)は、民主党政権時代にその必要性が大議論になりましたが、2019年に来襲した台風19号のときは、その貯水能力によって利根川下流域の氾濫を防ぎました。 東北新幹線は、計画時に対ソ連関係が緊張していたこともあり、鉄橋などは米軍・三沢基地に戦車を運べる強度に設計されたと聞いています。その能力が発揮されたのは東日本大震災の時でした。時速300キロで走る車両は脱線こそしましたが、死傷者を1人も出さずに済んだからです。 大型インフラには「そもそも論」が大事 鉄道のようなインフラの存在意義に迷いが生じたときには、原点に帰ってその必要性を検証する「そもそも論」が重要であると、私は思っています。では、そもそも、TXはなぜ必要だったのでしょうか? 答えは「常磐線の混雑緩和対策」です。 1960年代、国鉄(現JR)は首都・東京への通勤混雑緩和対策として、プロジェクト「5方面作戦」に取り組みました。その過程で考えられたのが「第2常磐線構想」です。それが「常磐新線構想」に変化し、現在のTXの形で実現しました。つまり、通勤対策が当初目的だったのです。 鉄道ではありませんが、「筑波研究学園都市」も東京の過密対策が本来の目的でした。高度成長で東京が過密になり、いろいろな弊害が表面化。その対策として、首都機能の一部を移転させようと、筑波山麓に人工的な都市を造り、国の研究機関や大学を移転させたのです。 つまり、研究学園都市もTXも、首都・東京機能の保全・向上のために計画されました。私はTXの将来構想(県内延伸はその一部)を議論するときには、こういった「そもそも論」が重要と考えています。具体的な「そもそも論」は次回にします。(一級建築士)

TX延伸ルート選びに必要な視点 《茨城鉄道物語》22

【コラム・塚本一也】前回コラム(3月11日掲載)では、茨城県がTX県内延伸ルート調査費を今年度予算に計上したことを取り上げました。今回はその議論の進め方について、私が思うところを述べたいと思います。 県の総合計画では、現在つくば市止まりのTXの北部延伸について、①筑波山方面、②水戸方面、③茨城空港方面、④土浦方面―の4方面が「点線」で記されています。これら4候補を1つに案に絞り込むことが、県調査の使命です。各案に「一長一短」があり、関係者の思惑も加わり、1方面に絞り込むことは容易でないと思います。 鉄道建設のような大プロジェクトは、計画時と完成時で社会情勢が変化するために、その存在意義や方向性にどうしても迷いが生じます。しかし、鉄道インフラの必要性は普遍的であり、世の中がいかに変わろうとも、「社会の役に立つ財産」という位置付けは変わりません。 本州と北海道を結ぶ青函トンネルは、洞爺丸転覆事故(1954年)のような悲劇を繰り返さないために、国民的な議論の末に着工されました。工事の困難さゆえに、途中で不要論も出ましたが、完成によって現在の北海道新幹線へとつながりました。 多目的ダム・八ッ場(やんば)ダム(群馬県)は、民主党政権時代にその必要性が大議論になりましたが、2019年に来襲した台風19号のときは、その貯水能力によって利根川下流域の氾濫を防ぎました。 東北新幹線は、計画時に対ソ連関係が緊張していたこともあり、鉄橋などは米軍・三沢基地に戦車を運べる強度に設計されたと聞いています。その能力が発揮されたのは東日本大震災の時でした。時速300キロで走る車両は脱線こそしましたが、死傷者を1人も出さずに済んだからです。 大型インフラには「そもそも論」が大事 鉄道のようなインフラの存在意義に迷いが生じたときには、原点に帰ってその必要性を検証する「そもそも論」が重要であると、私は思っています。では、そもそも、TXはなぜ必要だったのでしょうか? 答えは「常磐線の混雑緩和対策」です。 1960年代、国鉄(現JR)は首都・東京への通勤混雑緩和対策として、プロジェクト「5方面作戦」に取り組みました。その過程で考えられたのが「第2常磐線構想」です。それが「常磐新線構想」に変化し、現在のTXの形で実現しました。つまり、通勤対策が当初目的だったのです。 鉄道ではありませんが、「筑波研究学園都市」も東京の過密対策が本来の目的でした。高度成長で東京が過密になり、いろいろな弊害が表面化。その対策として、首都機能の一部を移転させようと、筑波山麓に人工的な都市を造り、国の研究機関や大学を移転させたのです。 つまり、研究学園都市もTXも、首都・東京機能の保全・向上のために計画されました。私はTXの将来構想(県内延伸はその一部)を議論するときには、こういった「そもそも論」が重要と考えています。具体的な「そもそも論」は次回にします。(一級建築士)

TX延伸ルート 県が調査開始 《茨城鉄道物語》21

【コラム・塚本一也】2月10日付で「TX延伸、調査費1800万円」という見出しの新聞報道がありました。「ついに来たか」と思った方はたくさんいたのではないでしょうか。これまでの茨城県の総合計画には、TX延伸先として、①筑波山方面、②水戸方面、③茨城空港方面、④土浦方面―の4案が書かれていました。これを一つに絞り込むため、2022年(令和4年)度予算に調査費を計上するという内容です。 私はこれまで、つくば駅が終点のTXを北部に延ばす必要性を訴え続け、自費で「つくばエクスプレス最強のまちづくり」(三省堂出版、2014年刊)という本まで出しました。県議という立場になってからも、あらゆる場面でその必要性を説いてきました。来年度、県が北部延伸に向け一歩踏み出すことになり、感慨無量です。そこで今回はこの問題について少しおさらいします。 本コラムでTX延伸について論じたのは、「つくばエクスプレス延伸論に思う」(2018年6月21日掲載)が最初です。TXの次のステップの議論には、南部(東京駅方向)延伸論と北部(つくば駅より先の県内)延伸論があります。両論は関係していますが、分けて考えた方がよいと思います。また県内延伸については、TXの原点である「第2常磐線構想」がなぜ必要だったのか―そこまで戻って考える必要があります。 つくば市が主導して地元をまとめよ 第2常磐線構想は「常磐線混雑緩和対策」として生まれました。それから社会情勢も変化しましたが、基幹鉄道=大型インフラの必要性は変わりません。常磐線のバイパス(迂回路)の役割が求められたTXは、その機能を満たすためにも、どこかで常磐線とクロスさせなければいけません。これがTX県内延伸の大前提です。 2005年のTX開通までの間に、栃木県や群馬県には新幹線が開通。在来線は湘南新宿ラインや上野東京ラインによって、東海道線との相互乗り入れになりました。全国的には、北海道や九州に新幹線が開業し、それぞれ次のステージに向かっています。山形新幹線はフル規格化を、北陸新幹線は新幹線ルート環状化を目指しています。 このような状況下、TX(秋葉原駅―つくば駅)開通から16年間をへて、茨城県はようやく次のステップに動き出しました。首都近郊の鉄道計画で大事なことは、準新幹線ともいうべきTXの機能を損なわないような線形を確保しつつ、東京への通勤可能な「1時間圏内」をどこまで広げられるかということです。 さらに重要なのは、TX延伸が県内のみならず、県外の沿線地域や国土開発に意味のある貢献ができることです。そういった広い視野と連携があってこそ、茨城県が孤立しないで延伸計画を進めることが可能になります。そのためには、TXの名前にもなっている、つくば市が主導して、関係地元の熱意をまとめ上げることが必要です。(一級建築士)

Most Popular