ホーム 文化 【霞ケ浦コイ養殖場の今と展望】㊦ 親子で発酵飼料を開発も見えざる未来

【霞ケ浦コイ養殖場の今と展望】㊦ 親子で発酵飼料を開発も見えざる未来

【田中めぐみ】櫻井鯉養魚場(かすみがうら市牛渡)は、2度の廃業危機の苦境に立たされながらもなんとか経営を立て直した。質のよいコイを生産したいと自家製の発酵飼料を開発。2代目の隆士さんがニジマス養殖業者のエサをヒントに発案したという。開発は父の謙治さんが中心となり10年以上の歳月を要した。試行錯誤を繰り返し、コイの様子を見ながら経験則で自家配合しているという。

ペレット状になった発酵飼料から作るえさ

自家配合のエサの材料は、大豆、米ぬか、おからなど。養殖場の側にある有機飼料工場で発酵機に入れて発酵させて作る。できあがったエサはきな粉のようでほのかに甘い香りがする。乾燥させたものをペレットマシーンに入れて粗い粒子状にすればできあがり。500キロずつ袋に入れて専用のクレーンで船に積み込み、網いけすまで運ぶ。

養殖は小割式養殖業(網いけす養殖)というやり方で行われている。沖に150面の網いけすが張られ、発酵飼料を自動給餌機に入れて給餌する。自動給餌機に餌を入れるのは3日に1回ほど。エサをよく食べ成長する6月~10月には1日半に1度ほど給餌機に補充する必要があるという。水中の酸素量や水温を細かくチェックし、コイの状態を見ながら大事に育てる。沖で育ったコイは出荷前に地下水を貯めた「しめいけす」に入れられる。出荷までには1年~3年かかる。

得意先が納得する大きく味の良いコイを育てることへの熱意は冷めないが、消費は落ち込み続けている。3代目の後継ぎはいない。隆志さんは「後継ぎがいる養鯉場もこの辺では2軒ほどではないか。取引先だった山形、長野の問屋にも売れなくなった。このままでは廃業の未来しかない」と話す。

自家製の発酵飼料をつり上げる装置。1袋500キロにもなる

活路は外国人

隆士さんが一縷(いちる)の望みを抱いているのは、訪日外国人をターゲットにした市場の開拓だ。中国や東南アジア、ドイツやハンガリーなどヨーロッパでもコイなどの淡水魚を食べる食文化がある。上野アメ横にある地下食品街では外国人向けに新鮮な水産物が売られており、フナやコイがよく売れているという。国や地域でレシピも千差万別。揚げたり煮たり、つみれにしたりと調理法も幅広い。

つくば市内には大学や研究機関が集積していることから、多くの外国人が居住している。2018年のデータでは外国人が約8900人で人口の約4%を占める。日本全体では約1.8%(2016年末)であることと比べると、つくば市の外国人の割合は高い。コイの養殖場の未来は新たな市場を開拓できるかどうかにかかっている。(おわり)

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