金曜日, 3月 29, 2024
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路上から対抗 筑波大生「本を読むデモ」でパレスチナと連帯

イスラエルによるパレスチナ・ガザ地区への軍事侵攻が続く中、「理不尽な暴力に、学ぶことで対抗する」という思いを抱く学生らが23日、犠牲者への連帯を示す「静かに本を読むデモ」をつくば市天王台の筑波大学構内で行った。 「もしよかったら、本読んでいってください」 雨上がりの午後5時、冷え込む屋外で筑波大大学院1年の安田茉由さん(23)が、通りかかる学生に声を掛ける。地面に敷いたシートの上には19冊のパレスチナ関連書籍と印刷した資料が並んでいる。誰でも自由に手に取り、時間をかけて読むことができる。「大学内に、パレスチナの今を学べる空間をつくれたら」と考え用意した書籍は主に安田さんと、企画に協力する同大大学院3年の上田由至さん(31)によるものだ。上田さんによる短い感想が添えられたものもある。風に飛ばないよう印刷物に置かれた小石には、「停戦」「誰も殺すな」など安田さん直筆のメッセージがカラフルなイラストとともに描かれている。 「スタートは午前11時。これまでに5人くらいが長い時間読んでくれ、その他に話をしてくれた親子や、立ち止まって見てくれる学生などがいた」と、厚手のコートに身を包む2人は笑顔で話す。 きっかけはデモ参加 きっかけとなったのが、3月14日につくば駅前で行われたガザ地区攻撃への抗議デモだった。参加した安田さんはパレスチナ問題に関心を持ち、署名活動に協力するなど行動してきた。ただ、大きい音が苦手な安田さんはデモでの音に馴染めなず、「自分ができる他のことがあるんじゃないか。大学という場がせっかくあるのだから、学ぶことで暴力に対抗できないか」と考えた。そこで思い至ったのが「静かに本を読むデモ」だった。「知らないことで、日本人の私たちも民族浄化や虐殺への加担につながってしまった」という反省があった。 活動の場を屋外にした理由は「室内で読書会をやるより、ランダムに人と出会うことができる外が良かった。屋外なら、ちょっとだけ見て去っていく、じっくり見る、遠くから眺めるなど様々な関わり方ができる。静かにできるのも大事にしたい。スピーカーを使ってデモをするのも素敵で応援したいと思いつつ、私のように大きな音が苦手だったり気後れしちゃう人でも関われる場をつくりたかった」という。そして同じ学科で学ぶ上田さんに声を掛けた。 安田さんは都内の大学に通っていた学部時代に、駅前の広場や路上に敷いた大きなロール紙にペンで誰でも落書きできるイベントを開いた。路上を行き交う人同士が絵を描くことでつながり、そこで生まれる交流に心を動かされたという。海外から来た人、路上生活する人、多様な職業の人、子ども、大人、高齢者がそこで交わった。上田さんは、大正期の路上での芸術、政治活動などを始め「路上」で繰り広げられた表現活動を研究対象としている。2月には、国内外の事例や思想を論じる雑誌「路上の抵抗誌」を創刊した。 暴力に抗う 「暴力」に対して2人はこう話す。自身の研究対象であるフェミニズムとの関わりから安田さんは「私はフェミニズムを研究する中で性暴力についても学んでいる。暴力に対して誰が一緒に怒り、周囲がどうそれに応答したのかが性暴力被害に遭う人にとって、その後の回復や残る傷の深さを左右する。パレスチナで人々が負う傷やトラウマは今だけでなく一生続くかもしれない。それに対して命を落とす一人一人を悼むととともに、私がその傷を広げてしまわないよう何とかできればというのも個人的な動機になっている」 上田さんは「ガザでは日々死傷者数が増えている中で欧米諸国がイスラエル支援に立っている。マイノリティーの側に立つことが、自分が学んできた人文学だと考える。学ぶこと、実際に声を上げることが大切」と話す。 安田さんはさらに「一番は続けていくこと」だと言う。今後については「足を止めてくれる人が同じ空間で本を読んで、同じ思いを共有できるのは良い経験。今すぐ何かが変わるわけではないかもしれないが、家に帰ってから思い返すなど、少しでも変化を与えられたらと思っている」と話す。「私はパレスチナのことを知らなかった。だからこそ声を上げてこなかった。そのために暴力に加担し、また、させられてきたのが悲しかった。大学院生として学ぶことで(暴力に)加担しないよう抗っていきたい」と述べる。今後の活動は、SNSを通じて発信していくという。(柴田大輔)

クリスマス間近 金管ハーモニーを 筑波大生らが企画・運営

筑波大学の学生を中心に企画・運営されているクラシックコンサート「つくばリサイタルシリーズ」の第14回目となるコンサートが12月16日、つくば市竹園、つくばカピオ ホールで開催される。読売日本交響楽団(東京都千代田区神田錦町)の金管セクションが公演する。題名は「読響プラス―クリスマスに贈る金管のハーモニー」だ。 同楽団の金管セクションがつくばリサイタルシリーズに出演するのは、2019年1月14日に行われた第7回コンサートに引き続き二度目となる。出演者は、桒田晃(トロンボーン)、辻本憲一(トランペット)、次田心平(チューバ)、日橋辰朗(ホルン)、尹千浩(ユン・チョノ=トランペット)だ。 つくばリサイタルシリーズ実行委員の加藤千尋さん(同大障害科学類3年)は「金管五重奏のすばらしさがまずある。その上で、見ているお客様との距離の近さ、一緒に盛り上がる形のコンサートという点が特徴的だと思う。コロナ禍の制限が緩和している中で、演奏会ならではの魅力を感じられるコンサートになるはず」と話す。 新たに留学生や外国籍住民にも広報 2012年に始まったつくばリサイタルシリーズだが、10年以上が経ち、組織体制も充実してきている。筑波大学の学生を中心に運営がなされており、クラウドファンディングでの資金の調達や会場の運営なども学生によって行われている。現在、実行委員会のメンバーとして活動している人数はおよそ30人で、中心的に活動するメンバーも多くなってきているという。 今回、筑波大学に通う外国人留学生や外国籍の住民などに向けた広報を新たに始めた。「これまでも留学生などが来場することは多かった。しかし、日本語のみでの告知や案内だったので、そうした方にコンサートの情報が届きやすい環境はつくれていなかったと思う。委員会の体制が充実してきたこともあり、大学の留学生が多く住む宿舎などに英語のポスターを貼ったり英語での告知文を作成したりしている」と加藤さん。 つくばリサイタルシリーズの趣旨は、いままでクラシックになじみの薄かった人が気軽にクラシック音楽を楽しむ環境をつくることであり、そのための様々な工夫をこれからも行っていきたいと意気込む。 12月の開催となる第14回のテーマは「クリスマス」だ。「少し早いが、クリスマスのムードを楽しんでもらえたらうれしい」と加藤さんは語った。企画の創設者である同大の江藤光紀教授(比較文化学類)による新曲も披露される予定だ。(山口和紀) ◆第14回コンサートは12月16日(土)午後1時30分開場、午後2時開演。チケットは一般1500円(税込み)、大学生無料。事前申込必要。つくばリサイタルシリーズの情報は公式ブログで発信されている。現在、開催に向けたクラウドファンディングも実施中だ。

筑波大生の指導受け 子どもたちがアート体験

筑波大学で芸術を学ぶ大学生に教わりながら、子どもたちがさまざまなアート体験をする夏休みの恒例イベント「夏のキッズアート体験」が5日、つくば市吾妻、つくばセンタービル内のコワーキングスペースco-en(コーエン)で催され、子どもたちが、オリジナルうちわ作りや粘土のストラップ作りなどに挑戦した。 関彰商事と筑波大学芸術系が主催し、2016年から毎年夏と冬に開催している。子どもたちが会場に集まり、その場で作品を完成させるスタイルだが、2020年夏から22年夏まではコロナ禍により対面での開催を控え、大学生が小学生向けの自由研究作品を展示したりオンラインで紹介するなどしていた。昨年冬から対面での開催に戻った。 5日は午前と午後の入れ替え制で各20人ずつ計40人の小学生が参加し、大学生10人が直接子どもたちに作品の作り方を指導した。和紙に絵の具をたらして仕上げるオリジナルうちわ作り、粘土に好きな色の絵の具を混ぜて型抜きをするストラップ作り、金網と歯ブラシを使ったはがきのぼかし染め、鳥獣戯画の動物たちの色塗りーの4つのテーブルが用意され、子どもたちは20~30分で作品を仕上げていった。 つくばみらい市から参加した小学生の母親は「子どもたちはとても楽しんでおり、大変良い企画だと思う。専門的なことを学ぶ大学生から直接教えてもらって、美術に興味を持てるようになれば」と話していた。 関彰商事は茨城県の文化芸術振興を共に推進していく県近代美術館のパートナー企業となっている。会場には同美術館企業パートナー制度事務局の田口克弥次長が視察に訪れ、「つくば美術館での開催も提案している。関彰商事とうまく連携をとり、美術館が手伝うことがあれば今後も喜んでやっていきたい」と述べた。 9日は「夏休み宿題応援」と題し、筑波大学で書と芸術を学ぶ大学生が習字、絵画のアドバイスをする特別企画がつくば市二の宮のギャラリースタジオ‘Sで催される。予約受付は終了している。(榎田智司)

つくばのファッションアイコン目指す 筑波大生の古着店、再オープン

11日、キュート1階 筑波大生が運営する古着店「リリー・オブ・ザ・バレイ(Lily of the valley)」が11日、つくば駅前の商業施設キュート1階に再オープンする。昨年12月から今年2月、同市のチャレンジショップ事業(21年12月3日付)で出店したのに続き2度目の出店となる。 筑波大学理工学群社会工学類3年の岡本萌実さん(20)が代表を務める。「昨日より、ちょっぴりおしゃれに」をビジョンに掲げる。 再オープンに向けて「リリバレのブランド価値を高めたい」と岡本さんは語る。SNSでの宣伝方法、特に写真投稿アプリ、インスタグラムの活用を図る。週に1回、洋服アイテムのトレンド情報を特集し投稿する。「スタッフがお薦めの古着アイテムでコーディネートを組み、短い動画に収めて発信を行う」とし、「リリバレがつくばのファッションアイコンとして成長できるように取り組んでいきたい」と意気込みを話す。 新たな店舗は、前回の出店時よりも「リリバレスタッフ一人ひとりの個性をもっと大切にし、お客さまとスタッフとの信頼できる人間関係をつくりたい」という。接客の際、スタッフが来店客の好みの色やアイテム、髪色に合わせたコーディネートを提案できるように心がける。「スタッフのことも好きになってもらえたら」と語る。 さらに、店舗とSNSの投稿に一貫性を持たせる。例えば、週ごとにアイテムに関するテーマを決め、ジーンズをテーマにする際は、店内広告、装飾はもちろん、SNS投稿でもジーンズを前面に押し出す。 前回の出店では、約90平方メートルの店舗に、ジーンズやジャケット、シャツ、スカート、ワンピースなど1着3000円から6000円の普段着約300点を並べ、3カ月間で約400人が購入した。再出店する店舗は約66平方メートルの面積に250点ほどの商品を並べ、1日あたり30人の来店者を見込む。 カフェで1日限定店 11日の再開店に先駆けて3月28日、つくば市天久保のカフェ「ひととつむぐカフェ縁counter(カウンター)」で、1日限定で開店するリリバレのポップアップストアがオープンした。今回のポップアップでは同店スタッフ8人で運営を行なった。春らしいジャケット、スウェット、シャツ、デニム、スカート、ワンピース、ハットやスカーフといった幅広いアイテムを取りそろえた。 来店客に商品をわかりやすく伝えるために、マネキンに洋服を着させてイメージをわかせる、古着を来た着用画像を店内の壁に貼るなど、写真をより多く用意することを心がけたという。そして、前回の出店からのこだわりとして、引き続き、商品名や用途、価格などを手書きしたポップ広告を多く使用し、来店客に大きく文字で伝える工夫を行った。 11日の再オープンに向けて、岡本さんは、わくわくしている気持ちが大きいと語る。(ドットジェイピー茨城エリアつくば支部インターン生 筑波大学1年 上田侑子) ◆古着店「リリー・オブ・ザ・バレイ」は11日、つくば市吾妻1-6-1、つくば駅前、トナリエキュート1階フードコート近くに再オープン。公式インスタグラムやTwitterで随時、情報発信している。

毎月開催し1年 筑波大生ら延べ3200人利用 食材無料提供

コロナ禍でアルバイトが減った学生を支援しようと、つくば市天久保の松見公園で開かれている食材無料提供会が12月で1年を迎えた。市民団体「学生応援プロジェクト@つくばPEACE」(冨山香織代表)が昨年12月から毎月欠かさず、無料でコメや野菜、日用品を配布してきた。1年間で筑波大生ら延べ約3200人が利用した。 「まだ助け必要としている」 19日、松見公園で開かれた食材提供会は約200人が利用した。事前にSNSで募集した配布の予約は開始から3時間弱ですべて埋まった。冨山代表は「学生たちはまだまだ助けを必要としている」と語る。一方で「コロナ禍ということもあり(事前予約制という)制限を掛けざるをえないのは心苦しい」ともいう。 配布会では毎回、利用者にアンケートをとり結果をまとめて、A4判裏表のニュースを作成し、カンパを寄せてくれた支援者に報告している。 10月31日に行ったアンケート調査では、行政に望むことは何かという質問に対し66.7%が「現金給付」と回答した。ほかにも、「学費の引き下げ」(50%)、「給付型の奨学金」(44.1%)、「最低賃金の引き上げ」(32.8%)などと答えている。 助け合いの輪広がる 冨山代表が知人に声を掛けて始めたプロジェクトだが、現在では学生スタッフ15人が新たに加わり、10代から70代と幅広い市民が配布を手伝っている。 SNSのフォロワーも現在約1200人まで増え、支援者の輪が広がりつつある。10月には、茨城大学農学部から新米1.2トンの支援があった。 19日、配布会に来た、筑波大大学院1年の土田隼久さん(23)は「持ちきれないくらいたくさんもらえた。毎月の食料配布はひじょうにありがたい。支援してもらえた分、将来自分が社会貢献をして還元したい」と話した。 中国人留学生で筑波学院大経営情報学部の王丹晨さん(23)は「友達から今回の配布会があることを教えてもらった。サツマイモなどの野菜をもらうことができてとてもうれしい。コロナのため、3年半国に帰ることができていないが、友達や周りの人に支えてもらっている。このような配布は本当にうれしい」と笑った。 19日の配布会では「私もこのプロジェクトに関わりたい」と声を掛けてきた学生もいた。学生スタッフの多くは、もともと配布会に来て食材を受け取っていた。共助の輪は少しづつ広がっている。(武田唯希)

ワンコインで保護犬支援 #推しペットプロジェクト 筑波大生が立ち上げ

保護犬を気軽に支援できる仕組みをつくりたいと、筑波大学の女子学生3人が、ワンコイン(500円)から簡単に支援できるプロジェクトを立ち上げた。 「#推しペットプロジェクト」(浜野那緒代表=芸術専門学群4年)と名付けた。SNSで公開された保護犬の画像や動画を見て気に入った保護犬を選んでもらい、ワンコインを寄付すれば、選ばれた保護犬の画像をプロジェクトが拡散する。寄付した支援者にも画像をシェアしてもらう。寄付金は保護犬の薬代などに活用する。 代表の浜野さんは「保護犬を可視化し身近な存在として捉えてもらうことが大きな目標。そのためにSNSを通じて、保護犬を『推し』として応援できる仕組みを作ろうと考えた」と話す。 「推し」はアイドルグループなどに用いられている言葉で、「特に好きなもの」「他の人にも勧めたいほど好き」という気持ちを表す。「推しメン(応援している好きなメンバーの意味)」などと使われる。 プロジェクトのSNSでは「キドックスカフェ」(つくば市吉瀬)で保護されている犬たちの写真や動画を発信している。NPO法人キドックス(土浦市大畑、上山琴美代表)が運営する、保護犬らと触れ合うことが出来るカフェだ。 浜野さんらは、誇張のない保護犬のありのまま姿の発信を目指している。「たくさんの人にSNSを通じて保護犬たちを見てもらうのが最初の目的。『推し』が見つかったら、ホームページ(HP)からワンコインで支援することが出来る。寄付をしたという内容でSNSに投稿するのはハードルがあるが、『推し』の支援のシェアは気兼ねなくすることができるのではないか」と浜野さん。 HPから集まった支援金はキドックスに寄付され、保護犬の病気や感染症予防のためのの医療費やえさ代などとして用いられる。ただし、プロジェクトはキドックスとは別に独立して行っている。 コロナ禍のペットブームきっかけ プロジェクトを立ち上げたのは去年の夏。クラウドファンディングを通じてHPの制作費や運営費を募り、約7万3000円の支援金を集めた。 きっかけについて浜野さんは「昔から保護犬に興味があったというわけではなかった。コロナ禍で安易にペットを飼ったものの飼育が困難となり、手放してしまうケースが相次いでいるというニュースを見た。そのような社会的な課題に対しアクションを起こす人たちの存在を知り、調べるようになった」と話す。一方で「保護活動は、SNSで一部の過激な発信をする人だけが切り取られ、保護団体や保護犬に対し距離を取ってしまっている人が多いのではないかと感じられた」と語る。 そこで、保護犬支援の心理的ハードルを下げるためにSNSを活用するアイデアを思い付いた。浜野さんは、友人の和田すみれさん(芸術専門学群4年)と平石あすかさん(人文学群3年)に話をし、一緒にプロジェクトを立ち上げることになった。 「SNSはその特性からペットの『かわいい』部分だけが拡散される。一方で保護犬は『かわいそう』な印象の方が届きやすい。保護施設を訪問する中で、『かわいそうな存在』として保護犬と距離をとるのはこちら側の勝手な都合でしかなかったことに気づいた」と浜野さんは語る。(山口和紀) ◆プロジェクトのHPはこちら。インスタグラムはこちら。

五輪スイス選手団をコロナ禍サポート 筑波大生たちの「熱い夏」

東京オリンピックを共に戦った筑波大生の「熱い夏」が終わった。事前合宿からスイス選手団のサポートに当たった学生スタッフたちだ。新型コロナの感染対策からソーシャルディスタンス以上の距離を保ちながら、選手とのコミュニケーションを取り続けた。スタッフの一人は「競技に出たい人、サポートをする人がいて初めて実現されたオリンピックであることを身をもって実感した」と振り返った。 「精力善用」「自他共栄」の理念で 筑波大学では7月14日から8月2日の約3週間、オリンピックに出場するスイス選手団の事前合宿のサポートをしてきた。受け入れた競技は、マウンテンバイク、柔道、陸上競技。指導者やトレーナー含めて約50人が筑波大学を訪れ、学生のサポートを受けながら、五輪本番前の最終調整を行った。 スイス柔道チームは、女子52キロ級と男子73キロ級の選手各1人と監督、トレーナー含め、計10人が7月に来日。当初は学生が練習相手を務める想定だったが、新型コロナ感染防止対策から「受け」と呼ばれる稽古相手も一緒に来日していた。大学武道館内の道場や学内ループ、中央体育館のトレーニングジムで汗を流した。 大学側のサポートスタッフは、オリンピック・パラリンピック推進室の職員を中心に学生を加えた計13人だった。7月14日から1週間にわたって、毎日5人ほどで交代しながらサポートを務めた。大学柔道部からは、石本結菜さん(19)とアマンダ・コスタ・ドレッザさん(29)ら3人がスタッフとして選ばれた。感染防止対策でスイス選手団とは常に2メートル以内には近づかず、必ずマスクを着用しなければならなかったが、最低限のコミュニケーションをとる必要から、ドイツ語や英語を話せるスタッフとして加わった。 柔道場には、柔道の父、嘉納治五郎の肖像が唱えた理念「精力善用」「自他共栄」の額と共に掲げられている。大学の前身である高等師範学校の校長で、アジアで初の国際オリンピック委員会委員も務めた。この理念がコロナ禍のサポートにも通じる心得になった。 主なサポートは、道場などの練習場所の消毒と掃除。柔道場ではスイスチームの使用前後に1時間ずつ掃除をした。選手団らが通行可能な道や使用可能なトイレなども限られていたため、道案内なども行った。 選手の飲み物は、基本的にホテルで用意されたものを持ってくるようにしていたが、足りない時などは選手からお金をもらいスタッフが武道館内の自販機に買い出しにいくこともあった。選手たちが飲むスポーツドリンクには好みがあり、一度に3本頼まれたこともあったそうだ。 選手団は毎日、スタッフはサポートの頻度によって毎日から週に1回、PCR検査を行っての事前合宿となった。石本さんによると、そのような厳重な感染対策を講じながらのサポートを受けた選手団の中には、「安心して練習できた一方で、もっと日本の人と交流したかった」ともらす選手もいたそうだ。 きめ細やかなサポートへの感謝の気持ちを表すかのように、選手らはスタッフに対して距離を保ちながらも気さくに話しかけてくれただけではなく、サインまで快くしてくれたそうだ。筑波大での柔道チームの最後の練習日には、道場で集合写真を撮り、スイス選手団からは大学での最終日に、スタッフ全員に傘がプレゼントされた。 アマンダさんは「スタッフに選ばれたときはうれしい反面、不安もあったが、柔道という同じスポーツを通してオリンピック選手やほかのスタッフと関わることができ、将来に活きるいい経験になった」と話した。(武田唯希)

食材無料提供、毎月欠かさず半年 筑波大生ら延べ1300人利用 

コロナ禍、アルバイトが減った学生を支援しようと、つくば市天久保の松見公園で開かれている食材無料提供会が5月で半年を迎える。市民団体「学生応援プロジェクト@つくばPEACE」(冨山香織代表)が昨年12月から毎月欠かさず、無料でコメや野菜、日用品を配布し、半年間で延べ約1300人が利用した。半年で何が浮き彫りになったのか。冨山代表は「共助でやっているが、公的支援がすごく求められている」と話す。 ここ数カ月は毎回300人を超える学生や親子連れなどが利用し、午前11時の開始30分前には長い行列ができる。利用者のうち大学生が9割を占め、ほとんどが筑波大生だ。 毎回、利用者にアンケートをとり結果をまとめて、A4判裏表のニュースを作成し、カンパを寄せてくれた支援者に報告している。ニュースは5月で9号になった。 「学費払えない」 県独自の緊急事態宣言が出されていた2月のアンケート結果は、アルバイトをしている人のうち57%が「シフトが減るなど減収になった」と回答した。 3月のアンケートでは「現金があまりない」「バイトで稼げない」「(オンライン授業のため)大学の友達ができない」「気力が足りず就活が心配」などの声が寄せられた。 4月のアンケートでは回答した189人中、21人が「学費を払えない、または今後の支払いが不安」、7人が「退学や休学をした、または検討中」と答えるなど、深刻な状況が浮かび上がった。 冨山代表は「実家の仕送りが減ったという学生もいた。バイト代を生活費に充てている学生も多く、状況は日に日に悪化していると感じる」と話す。 市内で一人暮らしをしている大学生からもらったお礼のメールには「(自分は)ひとり親家庭なので、配布会でもらったチョコレートを1枚だけ残して、あとは全部実家に送りました」と書かれていた。この学生はアルバイトをいくつか掛け持ちし、実家に仕送りしながら勉強しているという。 休業支援金を案内 飲食店の時短営業要請が断続的に続き「バイト収入が減った」という切実な声が寄せられる一方、学生からは「休業手当をもらってない」「休業支援金なんて知らない」という声が聞かれた。1月のアンケートではアルバイト収入が減ったと回答した学生のうち、実際に休業手当を受け取っていたのは3人に1人だった。 2月の配布会では、利用者に休業支援金や給付金制度を案内するちらしを配布し、会場に「なんでも相談コーナー」を設置した。休業支援金の申請書を用意し、記入を手伝うなどもした。 個別対応も コロナ対策のため2月から、レトルト食品、菓子、日用品などが入った基本セットを250人分つくり、一人当たりの滞在時間を短くした。 さらに「配布会当日は用事があって行けない。どうしたらいいですか」などの問い合わせを受け、3月からはメールやツイッターで申し込みがあった学生などを対象に、配布会の翌週などに松見公園駐車場で待ち合わせをして、食材を配布している。 学生ばかりでなく、社会人や親子連れも利用する。コロナで解雇されたという20代の女性から「4月の配布会に行けない」とメールがあり、翌日、松見公園駐車場で会う約束をして食材を渡したこともあった。所持金は2000円しかなかった。生活保護の申請をアドバイスし、市役所窓口まで付き添ったケースもあった。 冨山代表は「毎回たくさんの人が配布会に来てくれてうれしいが、こういう社会って何なんだろうと毎回複雑な気持ちになる」と語り、「4月の配布会には筑波大の新入生たちがたくさん来てくれた。1カ月前まで高校生だった子たちが、勉強の心配でなく生活の心配をしなくてはならない。お金のことを考えずに学べる環境とはほど遠いのでは」と憂える。 毎回20万円分購入、支援金確保課題 冨山代表は、夫が経営する筑波大近くの洋風居酒屋を手伝う。店のアルバイトも客も筑波大生が主。昨年春以降、大学生のアルバイト先が減って困っているのを知り、ずっと心苦しかった。 去年夏頃から全国各地で学生を支援する取り組みが始まったのを知り、友人に相談したところ「やるなら応援するよ」という背中を押す返事が返ってきた。 昨年12月6日のスタート以来、毎回10人から20人がボランティアで配布を手伝う。用意するコメや野菜、日用品は、市内外の住民から寄付されたものだ。寄せられたカンパで毎回20万円分ほどの食材や日用品などを購入する。 寄付者は年配者が多く、10万円をぽんと振り込んでくれた人、毎月60キロのコメを寄付してくれる人、毎月欠かさず1万円を寄付してくれる人などもいるという。 新聞などで活動が紹介されるとカンパが多く寄せられる。しかし残金は残り少なく、5月初め時点で残り13万円しかない。毎回カンパを呼び掛けているが、続けるためには支援金の確保が大きな課題だ。冨山代表は「いつまで続けられるか分からないが、続けられるよう努力したい」という。 公的支援求め署名活動 これまでの活動で浮き彫りになった実態を踏まえ「将来の発展を支える学生が経済的不安を抱くことなく学業に専念できる環境を整えるのが自治体の責任」だとして、3月下旬から、署名活動を始めた。 昨年8月、18歳以下と70歳以上に商品券を配布したつくば市に対し、18歳以上の全学生に現金または商品券を配布するよう求める。さらに県に対し、経済的に困難な学生を対象に独自の支援を実施するよう求める。 署名はわずか1カ月で全国から1万1000人を超える数が集まった。6月上旬に市長と話し合いの場をもつ予定だ。(鈴木宏子) ◆5月の食材無料提供会は、23日(日)松見公園レストハウスで開催する。今回は予約制で約250人から申し込みがある。カンパの送り先や利用などの問い合わせはメールpeaceoftsukuba@gmail.com。

「気軽にクラシックを」つくばリサイタル10周年 5月22日、筑波大生主催

筑波大生有志が主催するコンサート「つくばリサイタルシリーズ 一流奏者が贈る 色とりどりの世界」が5月22日、同市竹園、つくばカピオ ホールで開催される。同リサイタルは、同大の学生有志でつくる、つくばリサイタルシリーズ実行委員会が「学生に気軽にクラシックを楽しんでもらいたい」と毎年行っている公演会で、今年で10周年を迎える。 10周年の節目となる今公演では、若い演奏家の発掘を目的とする「ヤングコンサートアーティスト国際オーディション」で2019年度第1位を獲得するなど国内外で評価の高い弦楽四重奏団「カルテット・アマービレ」と、都内のオーケストラで活躍するメンバーらが2012年に結成した木管五重奏団「アミューズ・クインテット」の2組が出演する。 これまでの公演では1回の公演につき1組が出演していたが「今回は10周年記念ということで、過去に出演したアーティストから2組に出演を依頼した。10周年に相応しい2組」と実行委員会で同大3年の岩永彩花さんは話す。 公演では5曲が披露される。いずれも企画の創設者である同大人文社会系、江藤光紀准教授(主たる研究テーマは芸術を巡る公共性)が作曲した。江藤准教授は学生時代に独学で作曲の勉強を始め、これまで多数の室内楽曲を作曲してきた。過去のリサイタルでも江藤准教授が書き下ろした曲が毎回演奏されており、10周年となる今公演ではその中から4曲と新作1曲の計5曲が披露される。 江藤准教授は「回を重ねるごとに、実行委員の皆が演奏会運営の能力を向上させ、経験を蓄積し、後輩たちに引き継いできた。その姿勢が評価されて、著名な、あるいは将来を嘱望されたアーティストの方々がスケジュールを調整して出演してくださるようになった。それとともに、多くのお客様に足を運んでいただけるようになった」とこれまでを振り返る。 昨年12月には新型コロナウイルスが感染拡大を続ける中、感染対策を入念に行ったうえで第9回(20年12月2日付)を開催した。当日のアンケートには「久々にコンサートを聞いた。大変だけど来てよかった」という声が多数寄せられた。岩永さんは「アンケートを見て、大変な状況だったが、来てくださった方に楽しんでいただけたことが実感できた」と話す。 コロナ禍での開催について江藤准教授は「パフォーミングアーツ(実演芸術)は、演者と観客が同じ場所・時間で感動を共有する点に、最大の魅力がある。コロナはそこに深刻なダメージを与えた。困難な状況を積極的に乗り越えることで、実行委員会も大きく成長していると思う」と話した。(山口和紀) ◆開場は5月22日(土)午後1時15分、開演は2時。入場料は学生無料、一般1000円(消費税込み)。チケットの詳細は公式ホームページまで。

高校生の進学情報格差なくしたい 筑波大生らオンライン塾立ち上げ

筑波大学の学生らが昨年、無料のオンライン塾を立ち上げた。高校生らの学習や進路の指導を行う「学び舎栄智(まなびやえいち)」だ。活動の大きな目標は、地方と首都圏の高校の間にある大学進学に関する情報格差をなくすことだ。代表の長谷川弘貴さんは、同大理工学群数学類1年で、地方出身。団体を立ち上げた経緯とこれからの展望について話を聞いた。 ―活動のきっかけはなにか。 長谷川 高校生の頃から大学進学に関する「情報格差」に大きな関心を持っていた。自分が通っていた高校は、授業料は払っているのに自分が望んだような情報が得られないという状況だった。そういう環境の中で進学の情報格差というものには大きな関心を高校時代から抱いていた。 行動に移すきっかけは新型コロナで時間の余裕が出来たこと。昨年、入学していきなりコロナ禍が直撃した。春学期(前期)が完全にオンライン授業になってしまって残念だったが、時間的には余裕が出来た。「時間だけはあるので何かをやってみよう」という気持ちになって、活動をスタートさせた。 ―「学び舎栄智」はどんな活動をするのか。 長谷川 活動をスタートさせたのは昨年の4月から5月。将来的には有料の塾を運営したいと思っているが、今はその前の段階。高校生の学習指導や進路相談などを無料で行なって、市場調査をしているところ。団体の構成員としては、筑波大の学生が7人、茨城大学が2人、山形大学が1人の計10人で活動をしている。 ―活動のきっかけとなった「情報格差」とは具体的にどういうものか。 長谷川 やはり大きな問題は地方と首都圏の大学進学情報の格差だ。地方に住んでいる高校生は、そもそも大学に通うイメージをもてなかったり、大学の情報を集めるということが難しかったりする。まずはそういう情報格差を出来るだけ埋めていきたいと思っている。 活動に協力してくれている大学生は地方出身の子が多い。彼らは地方と首都圏の間にある情報格差を実際に体感していて、栄智の活動方針に共感してくれている。具体的な活動としては、大学生がオンラインで大学生活について話す活動や、公式サイトで大学生活の様子などを書く活動をやっている。 活動をサポートしてくれている地方出身の学生は、そうした情報格差という問題意識を共有していると思うし、団体としてのモチベーションにつながっていると感じる。 ―普段どのような活動を行っているのか。 長谷川 活動の主軸はオンラインでの学習指導。応募してきてくれた高校生とオンラインで面談をして、希望する進路に近い学部や学科の学生が個別で指導をしている。 今のところ、栄智に集まってきてくれている高校生は「現在の所属学年よりも進んだ範囲を予習しておきたい」と希望する子が多い。授業の予習をオンラインで支援しているという言い方が良いかもしれない。 その他としては、ブログで筑波大学のすごい学生を紹介したり「大学で役に立つ積分」と銘打って数学の解説を書いたりしている。 ―ほかの個人塾との違い、栄智ならではの特徴は。 長谷川 大学生がやっているということがあって、生徒と年齢が近い。面談をしながらお互いに指導の仕方を模索している。押し付けるのではなく、生徒と一緒に指導の方法から考えていくところが他にはない強みだと思っている。 ―活動する上で苦労しているところは。 長谷川 やはり指導する講師とのマッチングが難しい。高校生の生徒は、一人ひとり求めているものが違うので、要望に合うような講師を充てることに苦労している。 今いるメンバーは、理系大学生に偏っているところがある。生徒は理系だけではないので、文系科目の指導には今は弱みがあるように思う。それも含めて自分としては楽しくやっている。一人ひとりに合った講義をするというのが強みであり、難しさだと感じる。 ―今後はどのように活動していきたいか。 長谷川 今はその段階に向けて頑張っている最中だが、将来的にはお金をとってやっていきたい。それは教える方の責任にもなるし、「お金を払っているのだからきちんと受けよう」という生徒の姿勢にもつながる。まだ始めたばかりなので、そこまでいくのはまだ先だとは思っている。 そうして活動の質を上げていくなかで、高校生に情報を届けていくことが出来たらうれしい。 (聞き手・山口和紀) ◆栄智のホームぺージはこちら。公式ツイッターはこちら。活動に関わってくれる大学生を募集している。

つくばセンタービル舞台に 筑波大生らアーティスト12人が作品

「廃墟」としてのつくばセンタービルを舞台とした美術展示会「狢PLAY(むじなプレー)―複数性のすみか」が14日、つくば駅前のつくば市吾妻、同センタービル1階アイアイモールとセンター広場で開幕した。筑波大学の学生グループ「平砂アートムヴメント2020」(阿部七海代表、芸術専門学群4年)が主催する=3月8日付。12人の若手アーティストの作品が展示されている。 旧公務員宿舎 室内を連続描写 市内の国家公務員宿舎跡の室内写真を連続的に描写する作品「Apartment(アパートメント)」を出展したのは生物資源学類4年の河津晃平さんだ。作品のコンセプトは「無人の空間」。「コロナ禍で大学から学生がほとんどいなくなってしまって、無人の廃墟的空間に興味を持つようになった。これまで市内の空きテナントや廃墟化した大学の様子などを撮ってきた。今回は大学の授業で訪れたある意味で廃墟となった公務員宿舎のあり方を表現しようと思った。(廃墟や空き店舗で展覧会を開いている)平砂アートムーヴメントは『廃墟の中でのアート』という意味で通底するところがある」という。 河津さんは同大を卒業後、東京芸術大学大学院に進学する。「環境に興味があり生物資源学類に入った。関心は変わらないが芸術という形で表現してみたいと思うようになった。誰もいない無人の空間とその美しさをこれからも探求していきたい」と語る。 食器やフライパンなどを小型のバイブレーターで鳴らす作品「sound bugs(サウンドバグズ)」を出展するのは情報メディア創成学類3年の頃安祐輔さん。食器や調理器具にバイブレーターがたくさん付けられていて、それが振動することで、食器などが一定の間隔で鳴るようにプログラムしてあるという。コンセプトは作品名の通り「バグ」。「コンピューターの意図しない誤動作(バグ)」と「小さなたくさんの虫」という意味が込められている。 頃安さんはメディアアーティストとして著名な同大の落合陽一准教授のゼミに所属している。落合研究室のゼミ生が複数所属しているというアーティストグループ「TParty(奥山裕大代表、総合メディア創成学類3年)」の一員として活動しており、「オーディオデザインに関心があり、そうした方向性の作品を作りたいと考えていた」という。 つくられた街のアイデンティティを見る つくばセンタービルの「虚構性」と、人工的に計画された街の中心としての「つくばセンター広場」に向き合う作品「Representation(Tsukuba)(リプリゼンテーションつくば)」を出展するのは、東京大学学際情報学府修士1年の阿部修一郎さんだ。町村合併前のつくば市の6つの地域の土を集め、一つの作品に表現した。背後には阿部さんが市内各地域で「あなたにはつくば市民としてのアイデンティティはあるか、ないか」と問い掛け、インタビューした音声が流れ続けている。 「つくば市はすごく人工的な形でつくられた街。もともとバラバラに存在していた6町村を無理やり人工的に覆った、そういう場所。その中心に会場であるつくばセンター広場があるが、それは上がただ言っているだけの『虚構』であって、そのことに向き合おうと考えた。人々がどのように『つくば市』というものをとらえているのかが知りたい」と語る。 インタビューは、阿部さん自身がさまざまな立場の人から話を聞いたもの。「話を聞いていく中で印象に残った話があった。筑波大学を出てそのままつくばに住んでいる人が『子どもができてはじめて地域のネットワークの中に入れたような気がする』と話してくれた。人工的につくられたこの街で、どういうアイデンティティを人々が持っているのか、そういうことを考えたいし、見た人に考えてもらえればいい」。作品の手法については「自分は文化人類学を専攻していて、そこに住む人々に話を聞くということ自体は普通の手法。それをたまたまこういう形で表現しているに過ぎないと思う」と話す。(山口和紀) ◆同展は31日まで。入場無料。開催時間は正午から午後8時まで。

「廃墟」モチーフのセンタービルで 筑波大生グループが美術展

【山口和紀】廃墟などの「遊休空間」で表現活動をしたいと立ち上がった筑波大学の学生グループの企画による美術展が14日から、つくばセンター広場(つくば市吾妻)で開かれる。平砂アートムーヴメント(阿部七海代表)による「狢PLAY(むじなプレー)」。学生たちが「スラム」と呼ぶ大学の平砂学生宿舎から始まったもので、今回は「廃墟」をモチーフとして設計されたつくばセンタービルの広場(※メモ参照)に会場を移す。発案者で「平砂アート…」のディレクターを務める栄前田さん(芸術専門学群4年)に話を聞いた。 14日から31日、センター広場をメーンに 平砂アートムーヴメント2020は14日から31日まで、各日正午から午後8時までの開催。つくばセンター広場をメーン会場に、作品の展示やセンタービルに入居する飲食店「フィンラガン」(センタービル1階)でのトークイベントなどを行う。 「平砂アート…」は、今回が2回目。廃墟や空き店舗などの「遊休空間」で展覧会を開きたいという栄前田さんの思いからスタートした。故郷帯広の廃ホテルで行われたアート展「マイナスアート2015」にインスピレーションを得ている。「平砂宿舎には1年生のときから住んでいた。2年生のときに宿舎の古い棟に電灯がつかなくなっているのを見て、高校生のときに行った廃ホテルでのアート展を思い出し、あの使われなくなった宿舎で展示会をしてみたいと同級生に話した」 筑波大学の学生課や学群長にかけあって2019年に実現したのが、第1回の展示会「ここにおいて みせる/みる」。19年5月20日から6月2日まで平砂宿舎で行われた。芸術専門学群、情報メディア創生学類を中心に55人の学生がアーティストとして参加した。「廃墟」の棟内で自由に場所を選び、制作と展示を行った。 「人気があったのは、室内に人が『存在』しているという近藤舞さんの展示だった。ドアを開けたら人間が室内に居て存在しているというもので、装飾もまるで舞台のようになっていた。情報メディア創生学類の稲田和巳さんの展示も面白かった。宿舎に明かりを取り戻そうという発想で、14人の参加者の自宅と平砂宿舎の部屋の明かりが連動するようにしていた。参加者が家で電灯をつけると、平砂宿舎の方も自動的に明かりがつくというもの」 今回、会場をセンター広場にしたのは、フィンラガンのマスターである松島壮志さんの呼びかけから。「マスターからは、センター広場周辺に賑わいを生み出したいという思いを伝えられた。やっぱり、つくばは学生と市民の間に大きな乖離(かいり)がある。その異なる2つの立場の人をセンター広場に集めてみたいとの思いは、自分たちのプロジェクトのステートメントでも同じように示している」 しかし、思いが重ならない部分もある。「それはセンタービルという廃墟、おしまいになってしまう場所でアートをするという部分。そもそも平砂アートムーヴメントは誰にも使われなくなってしまった『遊休空間』におけるアートを意図している企画なので。だから、そういう点での違いはあると思う」。賑わいにはせる思惑と廃墟に魅せられた思いとか交錯する。 【メモ】つくばセンタービルの廃墟性センター広場について設計者の磯崎新氏は「筑波研究学園都市という国家プロジェクトでつくられた街ゆえに、中心に国家のシンボルを描き出すのではなく中心を空間にし、空間の中に向かって消滅していくような反転した空間をつくり上げた」と述べている(建築のパフォーマンス―つくばセンタービル論争、パルコ出版局)。また、センター広場の石は、筑波山の筑波石と笠間市の稲田石をわざと崩れたように積み上げて「廃墟」を表現したものとされる。⇒NEWSつくば

冬のキッズ工作体験 14日から動画公開 関彰商事と筑波大生がコラボ 

【山口和紀】地域の文化創造の場として関彰商事(関正樹社長)が運営している、つくば市二の宮のスタジオ’Sが、「冬のキッズアート体験2020-ONLINE(オンライン)」を14日からウェブで開催する。筑波大生が考案した工作のワークショップを動画や画像などで公開する。子供たちが動画を見ながら自宅で工作づくりを楽しめる内容だ。 キッズアート体験は、スタジオ’Sと筑波大生がコラボして毎年、夏と冬の年2回開いている。新型コロナウイルスの感染拡大から今年の夏はスタジオ’S単独の企画として行った。今回は、筑波大生とのコラボが復活した。 ワークショップで紹介する工作は全部で7種類。靴下で雪だるまをつくる工作や、たこ揚げのたこを作る工作など多様だ。オリジナルのクリスマスカードを作ったり、年賀状を作る工作もある。 企画には同大芸術専門学類の学生や大学院生が参加し、7種類の工作を考案した。ワークショップの一つ「靴下で雪だるまをつくろう」を企画したのが大学院1年の横堀玲奈さんたちのチームだ。靴下、綿、飾りつけ用のビーズ等を用意してもらって雪だるまを作る。「子どもたちが楽しめるよう身近なお店で手に入る材料で作れるよう考えたのが『雪だるま』だった」という。 およそ5分の動画で「雪だるま」の作り方を紹介する。内容のほとんどは「雪だるま」の胴体と帽子を作る工程となり、目やマフラーなどの飾りつけについてはあまり触れていない。横堀さんは「飾りつけ部分は子供たちが自分らしさを出せるように動画を短くした。どんな雪だるまにするかは子どもたちが自由に決めて欲しい」と語る。 去年までは子供たちと直接向き合ってワークショップを開催した。横堀さんは「去年は対面で実施された企画に参加し子どもたちと楽しい時間を共有することができた。今年の夏はコロナで一緒に活動できなかったが、今回からこういう形で協力できてうれしい」と話し、子供たちに工作体験を呼び掛ける。 筑波大生が考案した7つのワークショップはいずれもスタジオ’S のウエブサイトで、12月14日から2021年1月末まで公開される。

筑波大生有志が主催 「つくばリサイタル」今年も

【山口和紀】筑波大生有志が主催するコンサート「つくばリサイタルシリーズー1日だけの異色の競演」が12日、つくば市竹園、カピオホールで開催される。出演者は福田廉之介さん(ヴァイオリン)、會田瑞樹さん(パーカッション)、高橋優介さん(ピアノ)の3人。同コンサートは「学生に気軽にクラシック音楽を楽しんでほしい」との思いから生まれた企画で、今年で9回目を数える。新型コロナ対策のため客席を半分とし、全席指定での開演となる。 コンサートは同大の学生有志で作るつくばリサイタルシリーズ実行委員会が主催している。企画の創設者である同大の江藤光紀准教授(比較文化学類)は「学生の皆さんにクラシックの楽しさを感じてもらいたい」と語る。 公演では江藤准教授が作曲した作品「さまざまな風―ヴァイオリン、マリンバ(ヴィブラフォン)、ピアノのための」も披露される。ヴァイオリン、打楽器、ピアノという珍しい編成の作品だ。「困難な時であればこそ、人びとに慰めや希望を与え、勇気を奮い起こさせる音楽を書かねばならない」との思いで作曲された。 キャスティングにも意図がある。演奏者の一人、ヴァイオリン奏者の福田さんは1999年生まれの21歳で、数々の国際コンクールでの入賞経験を持つ注目の若手だ。他の演者もそれぞれ20代と30代。若手に出演を依頼したのは「同世代の素晴らしい演奏を聞くことは、学生たちの心にひじょうに響くものがある」という意図があったからだ。 感染対策を入念準備 予断許さない状況も しかし、新型コロナの影響で、開催できるかどうかすらも分からない状況が続くという。11月下旬からつくば・土浦地域では感染確認者が目に見えて増えており、現在のところ、開催は可能との見通しだが、予断を許さない状況だ。 感染対策はミーティングで入念に話し合い、でき得る限りの準備をしてきた。会場のカピオホールの定員はおよそ380人だが、感染予防の観点から客席をその半分まで減らす。さらに、アルコール除菌の徹底や会場の換気など基本的な感染対策も行う。入場時間を早めて観客の集まる時間を分散させるなどの対策や、チケット販売で電子チケットを発行するなどできる限り接触を減らす。 影響は客層にも及んでいる。年齢層が高い方が普段からクラシックに関心を持つ人が多く、開催のたび固定客として増加傾向だった。しかし今年のチケットの売れ行きは「今年はコロナのせいか高齢のお客様が少ない」。例年とは一変して、一般客ではなく学生が多くなる見込みだ。 コロナ禍のなか、全国的にもコンサートなどの文化事業を行うことは難しくなっている状況だ。しかし、文化は人々の心を豊かにする大切なものだ。委員の一人、岩永彩花さん(2年)は「来場していただいた方に安らいでいただくとともに、地域の文化活動に貢献していきたい」と語った。 主催者の同実行委員会は毎年、企画・開催をする仲間を募集している。国際総合学類や生物学類など様々な分野の学生が集まっているが、「委員会に入るまではクラシックには興味がなかった」という学生も多いという。 ◆「第9回つくばリサイタルシリーズ」の開場は12日午後1時15分、開演は2時。入場料は学生無料、一般1,000円(消費税込み)。

投票行ったら「選挙割」 つくばで初 筑波大生と飲食店がコラボ

【岡本穂高】25日投開票で行われるつくば市長選と市議選を前に、同市で初となる「選挙割」の呼び掛けが行われている。若年層の投票率向上を目的に議員インターンシップなどを展開しているNPO法人ドットジェイピーつくば支部が企画し、クラウドファンディングのCAMPFIREつくば、つくば飲食店部会有志のメンバーがプロジェクトを組み、筑波大生有志が中心となって運営している。 「選挙割」は、投票所で撮影した自撮り写真または投票済証明書を提携店舗に提示することで、会計10%割引やドリンク一杯無料などのサービスが受けられる仕組み。提携店舗は市内の飲食店を中心に35店舗となっており、それぞれの店舗によってサービス内容は異なる。適用される期間は公示日翌日の19日から11月1日までの2週間で、期間中は加盟しているすべての店舗でサービスを受けることができる。 プロジェクトのリーダーを務める筑波大学工学システム学類3年の金龍泰さんは、「まずは市民の方が自ら投票に行きたいと思うほど選挙を魅力的なものにしなければ、投票率は向上しないと考えた。このプロジェクトをきっかけにして、将来的には年齢・地域差問わず市民全体が投票することの意義を理解したうえで、選挙について自然と考えられるような社会を目指したい」と語った。 若者ばかりでなく全市民が使える。現在、同プロジェクトではデザイン費や印刷費などの資金調達のためにクラウドファンディングも行っている。期限は10月16日までで、目標金額は50万円。 クラウドファンディングはこちらから 公式HPはこちらから

空き店舗や廃校活用提案など 筑波大生による「土浦まちづくりプラン」発表会

【相澤冬樹】筑波大学社会工学類(川島宏一学類長)による地域イノベーションシンポジウム「若い世代による土浦まちづくりプラン」が7日、土浦市亀城プラザで開かれた。学生約50人が8つのグループに分かれ、1年にわたる同市での実地調査から作成した計画を発表する機会。人口減や公共交通、土地利用などの課題に対し、学生らしい大胆な切り口で挑む提案も飛び出した。 同学類の都市計画主専攻の3年生には、講座「都市計画マスタープラン実習」がほぼ必修となっている。同プランは市町村が策定する都市計画の基本方針となるもので、この形式に基づく実習を土浦市を舞台に、同学類の発足以来約40年続けてきた。現地調査し、課題を明らかにし、解決のための処方をグループ内で討議、検討をし、計画の作成に至る実践型の講座だ。 発表会は、課題発表と計画発表の2部形式で行われた。計画発表では8グループがそれぞれにマスタープランの全体像を提示したうえ、計画に盛った個別プランを順次紹介していく。このため駆け足のプレゼンながらも、全体では4時間を超す長丁場となった。それでも、安藤真理子市長はじめ聴講の市民らを釘付けにした。 なかでも、空き店舗の目立つモール505(川口1丁目)は学生の関心を引いた様子で、起業スタートアップのためのオフィス展開を図る、半分に縮めてモール252.5(ニコニコ)に変更する、駅前の図書館、既存の古書店と連携し古書店街の形成を促す-などの提案が飛び出した。 単にアイデア出しのプランニングではなく、投資の規模を示し、財源の裏付けや回収見通しなど費用対効果を明示するのが実習の特徴。廃校が決まっている上大津西小(手野町)について、老朽化した湖畔荘に代わる高齢者福祉施設の提案があった。デイサービスセンターと特別養護老人ホームの併設で、改修費は2億2000万円かかるが、年間の収支で約5000万円の黒字となり、4-5年での回収が見込めるという試算が示された。 第1位は「ツ_ナ_グ」に そんななか、来場者らの投票で1位になったのは、「ツ_ナ_グ」で発表をまとめた代表者、安藤慎悟君(20)ら6人のグループ。MaaS(マス)と呼ばれる、自家用車以外のモビリティー(移動)を1つのサービスとして「つなぐ」公共交通のスタイルとして、アプリを媒介にしたIKIMaaS(行きマス)、KIMaaS(来マス)を提案するなどした。 安藤君は「愛知出身で、筑波大学に入っても土浦のことは関心がなかったが、実習で来てみて霞ケ浦の自然など資源の豊かさにびっくりした。提案がすぐ形になるとは思わないが、卒業まであと1年、土浦とはしっかり付き合いたいと思う」と喜びを語った。 講評で、安藤市長は「大胆な発想に驚いている。持ち帰ってぜひ検討したい提案もあった。皆さんには市の職員になってもらったり、いずれ土浦にきたとき、『あれ、私のプランだ』という結果になったら素晴らしいと思う」と述べた。

運動栄養学を学ぶ筑波大生 「アスリートレストラン」開催 事業化目指す

【田中めぐみ】筑波大学体育専門学群で運動栄養学を専攻する3年の佐々木雄平さんが、学生団体「つくばアスリートレストラン」(TAR)をつくり、昨年10月から同大の学生宿舎などで、アスリート向けの食事会「つくばアスリートレストラン」を開いている。26日には市内のパブで一般向けイベントを開催する。 「おなか減ったー」「いただきまーす!」。筑波大学の学生宿舎グローバルヴィレッジコミュニティステーション2階で4月28日、アスリートレストランが主催する食事会が開かれ、男子ラクロス部員35人が集まった。 TAR代表の佐々木さんがラクロス部のために考えた献立は、ひじきと豆腐のサラダ、水菜のコールスローサラダ、鶏むね肉のキノコあんかけ、ワカメと卵の味噌汁、カブのガーリックオリーブ炒め。ブドウと牛乳も付いており、17品目の食材を使っている。管理栄養士で同大大学院人間総合科学研究科1年の中村萌香さんが栄養バランスのチェックをした。佐々木さんと中村さんが調理のほとんどを行ったが、部員たちも率先して手伝った。 おかわりが進み、ご飯はあっという間に売り切れ。しっかり食べた後には栄養クイズ大会が開かれた。スマートフォンを使ってクイズに参加し、その日食べたものがどのような働きをするのか、楽しみながら学ぶ形式だ。1問ごとに得点順位が発表されると部員たちは一喜一憂し、会場は盛りあがった。 全料理で5大栄養素摂取 アスリートレストランは今回で8回目となる。主食・主菜・副菜・汁物・果物・乳製品を提供する。参加費は500円。すべての料理で身体に必要な5大栄養素を摂ることができる。食事会に協力しているスタッフは32人で、協力の頻度はまちまちだが集まれる人が参加して運営している。食事会には毎回20~30人のスタッフが集まっているという。 食事会の前には「食生活バランスチェックシート」に記入を行い、それぞれが日ごろの自分の食生活を省みる。ラクロス部で人間学類3年の早稲田拳さんは「シートに記入して牛乳や乳製品が足りていないことが分かった。元々あまり野菜が好きではなく、親と暮らしている時は食べたくないなあと思っていたが、1人暮らしを始めてから意識して食べるようにしている」と話す。社会工学類3年の岩見悠太郎さんは「部活の朝練をしているのに朝ご飯を食べずに授業に行くことがある。1人暮らしなので品数をそろえるのが難しい。毎回献立を決めるのも面倒なので食事会はありがたい」と話す。 きっかけはインスタ 佐々木さんは大学に入学してから料理の楽しさに目覚め、インスタグラムに自作の料理写真を投稿してきた。写真を見たアスリートの友人から「おいしそう」「食べてみたい」という声が挙がり、「材料費を出してくれたら家に食べに来てもいいよ」と友人を招いたのがきっかけでアスリートレストランを主宰するに至った。 食事会の開催にとどまらず、佐々木さんは、食を通じて地域とアスリートとのつながりを作る方法を考えている。この日使った材料のカブは千葉県我孫子市の農家が作った。同大の農業サークルの学生が手伝いに行き、代わりに提供してもらったという。「地域には、農作業をする人がいない、野菜が余っているといった声がある。若者の手を借りたい地域と、栄養のある食事をしてスポーツの応援をしてほしいという若者の声をマッチングさせるプラットホームを作ることができれば」とプロジェクトを練っている。 つくば市内の農家からの協力も得、今後、米やキノコ、ヤーコンなどの材料を提供してもらう予定だ。将来的には事業化を目指しており、つくば市都市計画部主催の「つくばR8地域活性化プランコンペティション」=メモ=に応募するという。「人が喜ぶこと、人の役に立つことが一番の原動力になる」という佐々木さん。アスリートの食事を充実させ、食を通じて人々の交流を創生するのが目標だと語る。 ◆26日の一般向けイベントは、アスリートレストラン開催10回目の記念として、パブ「ブラッセリー&バー・フィンラガン」(つくば市天久保2-9-2、リッチモンド2番街B-203)で開催する。午後6時から午後9時までの間の予約が可能で、無農薬の有機野菜を使ったメニューを予定しているという。料金は学生800円、一般1200円。定員40名。予約は掲載のQRコードから。 ◆つくばアスリートレストランは ホームページ https://www.u.tsukuba.ac.jp/~s1711833/index.html インスタグラム https://www.instagram.com/tar_pr_/?hl=ja ツイッター https://twitter.com/TAR_PR ※メモ 【つくばR8地域活性化プランコンペティション】つくば市がR8(北条、小田、大曾根、吉沼、上郷、栄、谷田部、高見原)を元気にするための地域活性化プランを募集するもの。コンペで採用されたプランに1 件最高200万円の支援金を支給し、提案者に実証事業として取り組んでもらう。 ➡筑波大生の活動に関する過去記事はこちら

大学生のための「家出マニュアル」プロジェクト 筑波大生が企画、5月noteに公開へ

【田中めぐみ】虐待サバイバーの体験談を募集し、大学生のための「家出マニュアル」を作るプロジェクトを進めている学生がいる。筑波大学人間学群で社会福祉について学ぶ3年生の山口和紀さん(20)。体験談は5月にウェブサービスnoteに有料公開予定で、売り上げは執筆者に還元するという。 家出は虐待からの自主避難 山口さんは大学1年の時に、親からの虐待を生き延びたサバイバーたちが書いた手紙を収めた本『日本一醜い親への手紙 そんな親なら捨てちゃえば?』(Create Media編)を読んだ。同世代が手紙を寄せていることにショックを受け、ツイッターで本の感想をつぶやいたところ、この本の企画をしたライターの今一生(こんいっしょう)さんから返事をもらい、児童虐待防止をテーマとした講演会を企画した。昨年5月の2日間、コワーキングスペース「Tsukuba Place Lab」(つくば市天久保)に今さんを招いて「子ども虐待防止講演会」を開催した。 講演会には筑波大学の学生らを中心に2日間でのべ41人が参加。虐待問題について様々な議論が行われ、実際に虐待を受け、生きるために家出をした体験を語った人もいた。家出しなかったら死んでいたという話を聞き、山口さんはそれまでの価値観がひっくり返された気がしたという。「家出」という言葉には「してはいけないこと」「悪いこと」というイメージがあったが、体験者の話を直接聞き、「家出」は被虐待者の自主避難であることを知ったと話す。 また今年3月、ある地方大学に通う大学生が自らの虐待体験をつづって、インターネットにアップした記事を目にした。この大学生も「家出」することによって生き延びていた。2人の壮絶な体験から、「家出」がなければ死んでいたかもしれないサバイバーの実態を知り、山口さんは何かをしなければならないという気持ちにさせられたという。 5人の家出体験記を募集 被虐待者の家出には、ある種の技術が必要になるが、社会的に家出が推奨されることは少なく、支援する団体も多くない。具体的なやり方を教えてくれるところが無いため、家出成功者の体験談をモデルケースとして参考にするしかない。 そこで山口さんは、実際に家出に成功した大学生の体験談を集めた「家出マニュアル」を作ろうとプロジェクトを立ち上げた。目標は100人の体験談を集めることだが、まずはツイッターで呼びかけ5人を募集したという。 家出の定義は、「生活拠点を親元以外に移し、自分一人で生活を成り立たせていること」。親に内緒にしているかどうかは厳密には問わず、親に反対されている中強行する場合も家出に含める。虐待親の元で育った人、家出の経験がある人、2019年4月時点で大学生または大学院生であることを条件として募集したところ、すぐに5人の枠が埋まった。体験記を寄せてくれた5人には原稿料を渡したいと山口さんが自腹を切った。 少ない大学生への支援 なぜ大学生を対象にしたか、山口さんは「大学生は10代と20代、未成年と成年の間だから」という。18歳未満は児童相談所など公的支援が受けられるが、18、19歳への支援は薄い。また、20歳になれば賃貸契約などの契約行為に親の同意がいらなくなり、自分で決められることも多いが、未成年の内は親の同意が必要だ。女性の場合はDV(ドメスティック・バイオレンス)シェルターや支援を行うNPOなどもあるが、地方には少ないという。また、男性の場合の支援は必ず就労を前提としており、学生への支援は無いに等しいと話す。 「家出マニュアル」を作る目的は、一つは当事者のため、もう一つは「大学生の虐待」という問題に社会の目を向けることだと山口さん。このプロジェクトが問題提起とし、支援を増やしていきたいという。山口さんの専門は社会福祉で、自分の体験談を語ることは劣等感や屈辱感を低減することにつながり、癒しにもなることを学んだそうだ。「このプロジェクトによって教会のように困っている人たちが集まれる場所を作りたい。困っている人たちがつながり、助け合うコミュニティを作りたい」と目標を語った。 ➡「家出マニュアルプロジェクト」のnoteページ 執筆者を増やすための寄付支援もできる

【震災8年】3 商売再開した福島避難者を紹介 筑波大生ら取材

【鈴木宏子】原発事故により福島県から茨城県内に避難し、つくばや土浦市などで商売や事業を再開した避難者13組を紹介した小冊子「いってみっか―いばらきで歩みはじめた私たちの想い 3.11から」(B5判、31ページ)がこのほど発行された。筑波大学学生による復興支援団体「Tsukuba for(ツクバ・フォー)3.11」のメンバーが制作に加わった。 福島県からの避難者を支援している市民団体「ふうあいねっと」(原口弥生代表、事務局・茨城大学内)による。長く付き合った馴染み客や取引先を失い、新しい土地でマイナスから再スタートした避難者を応援したいと制作した。 つくば市二の宮で日本料理店を再開したいわき市出身の安藤公一さん、同市松代に整体院を開いた浪江町出身の石川美穂子さん、土浦市中高津で塗装工事会社を再開した双葉町出身の新川正文さんなど、つくば、土浦、水戸、日立市などで事業を再開した避難者の、原発事故後の避難体験や事業再開までの道のり、仕事への思いなどがつづられている。 「Tsukuba for 3.11」のメンバーで、筑波大人文文化学群1年の上原あやかさん(19)はこのうち3人を取材した。 「何かを始めるのに年齢は関係ない。何歳になってもできる」という言葉が特に印象に残ったという。「避難し、出身地を離れて事業を再開したチャレンジ精神がすごい。仕事に強い対する思いを感じた」と振り返る。 上原さんは沖縄県出身。8年前の東日本大震災時は小学5年生だった。震災の被災当事者からじっくり話を聞いたのは今回が初めてだったという。 「驚きの連続だった。言葉の重みが違っていて、直接聞くことで情景が目に浮かんだ」と話す。再開してもお客さんがなかなか来てくれないなど厳しい状況を抱えている避難者もあったが「仕事が好きだから頑張れる」とか「お客さんの笑顔にやりがいを感じる」という言葉に強さを感じたという。 紹介されているつくば、土浦市内の事業所は以下の通り。 つくば市 ▽障害者就労支援施設「遊愛コーポレーション 就労継続支援A型事業所アリス」(島名榎内3621-2、電話029-896-3833)=皆川勝さん(南相馬市出身) ▽日本料理店「お料理 わ可ば」(二の宮3-2-11、電話029-896-8155)=安藤公一さん(いわき市出身) ▽眼鏡店「GRAN GLASSES(グラングラス)」(学園の森3-10-2、電話029-828-5539)=原田功二さん(浪江町出身) ▽すし店「二代目 寿し松」(研究学園4-2-14)=松本清治さん(浪江町出身) ▽整体院「つくば松代むつう整体院」(松代1-16-31、電話029-852-7567)=石川美穂子さん(浪江町出身) ▽美肌エステサロン「メナードフェイシャルサロンつくば高崎店」(高崎郷中塚41-1)=木幡サチ子さん(浪江町出身) 土浦市 ▽書道塾「おおつ野書道教室」(おおつ野8-16-15、電話029-846-2101)=椀台俊夫さん(浪江町出身) ▽塗装工事会社「建装メンテナンス」(中高津2-4-3、電話029-879-5611)=新川正文さん(双葉町出身) 同誌は2500部作成。無料。問い合わせは電話029-233-1370(ふうあいねっと)、メールfuai.sta@gmail.com

地元密着に魅力 筑波大生の岡本さんNEWSつくばでインターン

https://youtu.be/00U_sZZWH2k 【谷島英里子】NPO 法人NEWSつくばは現在、学生インターンシップを受け入れ、記者と共に取材活動を行っている。土浦市のインターネットテレビ、Vチャンネルいばらきの「NEWSつくばチャンネル」は1日、筑波大学社会国際学群社会学類1年、岡本穂高さん(19)をゲストに招いてインタビューした。 自治体などに比べ、NPOはより市民に近いところで活動できると思っているという岡本さん。NEWSつくばのインターンシップは、特に取材を通じて話を聞くなど、地元の方々とより密着した活動ができることが魅力に感じると語る。 2月28日には開会中のつくば市議会で一般質問を傍聴した。今年開催される茨城国体や2020東京オリンピック・パラリンピックに向けた市の政策、待機児童問題解決のための保育士補助の取り組みなどの質疑に耳を傾けた。住んでいる街なのに知らないことがたくさんあったという。 筑波大に入学し、まだ1年しか経っていないので、この先も取材を続け、つくば市を客観的に見て感じたことを記事にしたいそうだ。つくばで生活してみると、ごみの分別が出身地の静岡県に比べ随分アバウトだなと驚いた。今年4月から分別の仕方が変わり、プラスチックの容器包装の回収が始まることも知った。「僕たち大学生を含め知らない人も多いと思うので、こういった身近なことから記事にできたらいいな」と考えているという。 ➡Vチャンネルいばらき「NEWSつくばチャンネル」の過去記事はこちら

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