土曜日, 5月 24, 2025
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【プラごみ分別開始】㊤ 4月の回収量は見積もりの16分の1 つくば

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プラスチック容器包装の分別回収について意見を出し合う市民参加型のワークショップの様子=25日、つくば市役所会議室

【岡本穂高】つくば市全域で4月から分別回収が始まったプラスチック製容器包装(プラごみ)の4月の分別回収量が、約30トンだったことが分かった。1日当たり約1トンという計算になる。市では1日当たりの最大回収量を16トンと見積もっており、見積もりの16分の1しかなかった。

分別回収がスタートする直前の3月末に開かれた市一般廃棄物減量推進委員会では「市内一斉に分別回収を始めるという大規模な取り組みにしては、広報が不十分ではなかったか」などの意見が挙がっていた=4月3日付=。プラごみの分別回収がまだ市民に十分に浸透していないことが裏付けられた形になる。

「もっと広報を」ワークショップで市民が意見

プラごみの分別回収について意見を出し合う市民参加型のワークショップが25日、同市役所で開催され、分別の仕方や情報提供の仕方、収集体制などについて市民同士の活発な議論がなされた。

分別回収が十分に進んでいない現状を受けて、市民からは「リサイクルをすることの意義をもっと広報した方がよい」「コンビニや大手スーパーと提携して集めれば、より効率の良いリサイクルができる」といった声が挙がった。

実際にごみを見ながら、何がプラごみに含まれるのかを市職員が解説などもした。市担当者は「市民の声を実際に聞ける機会はとても貴重。集まった意見をみると、改めて広報が十分に行き届いていなかったと感じた。もっと啓発していかないといけないと再認識させられた」と話した。

今後も市民参加型のワークショップを開催する予定だという。(続く)

オダギ秀さん「野仏巡礼」写真展 つくばの画廊で4年目の開催

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小さな画廊喫茶で始まった野仏写真展「風の肖像」=つくば市小田、ギャラリー梟

【相澤冬樹】本サイトにコラム《好人余聞》を執筆している写真家、オダギ秀さんの写真展「風の肖像」が25日、つくば市小田のギャラリー梟(ふくろう)で始まった。2016年から同画廊を会場に毎年開いている写真展「野仏(のぼとけ)巡礼」の4回目で、この1年間に茨城県や栃木県などで撮影した野仏の作品を中心に、約20点を展示している。

オダギさんの野仏撮影は、写真家として発表する意図を持たずに約30年前から始まった。折々の道筋にお地蔵様などを見つけると、足を止めて撮影してきた。たまたま喫茶店を兼ねる同画廊に立ち寄った際も、小田の宝篋山(ほうきょうさん)にお大師様の像があると聞きつけ、その日の撮影予定を変更してカメラを取り出したのだった。

そのときの写真を含めて、野仏像ばかりを集めて1回目を開いた。以来、同画廊だけで見られる毎年の企画展となった。「普通のポートレートもそうだけど、カメラを3センチずらすと表情が変わる。光の当たり具合だったり、石の陰影で見えてくるものが違う」。そのアングルを探し、レフ版を持ち出したり、寝そべったり、時には一日がかりで、はたまた2度3度と足を運んで撮影した。

オダギ秀さん=同

写真家の意図か野仏とはそういうものか、いずれの表情をもおだやかだ。「石仏といったら、菩薩様だったり、観音様だったり、それぞれにこんな名で、どんな御利益があるのかなんて情報ばかり出てくるでしょ。僕にはどうでもいい。200年、300年ずっとそこにあって、風に吹かれ、雨に打たれてきた。向かい合ってじっと耳を傾けていると、いろいろな話が聞こえてくる。それが大事」

会期は6月9日まで。オダギさんはできる限り画廊に顔を出し、来場者と話をしたいという。ギャラリー梟(つくば市小田3066、電話029-867-3287、月・金曜日休廊)

➡オダギ秀さんのコラムはこちら

「土浦ブランド」販売に人だかり 10周年のイオン土浦で26日まで

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土浦ブランド認定品の販売会=土浦市上高津のイオンモール土浦

【谷島英里子】土浦市の特産品として市が認定した「土浦ブランド」認定品の販売会が25日、同市上高津のイオンモール土浦で開かれ、初日から多くの買い物客でにぎわった。26日も午前10時から午後6時まで行われる。

販売会はイオンモール土浦10周年を記念したもので、広く土浦ブランドをPRするのが目的。認定品を一堂に集め販売するのは初めて。両日合わせ、レンコンを使ったお菓子や地元の大豆や米で作ったみそ、ワカサギ、グラジオラスなど認定品23点が並ぶ。店外では飯村牛の串焼きを味わえる。

訪れた人たちは各ブースを回り、試食をしながら買い物を楽しんでいた。「土浦常名の里の純米大吟醸」を販売する酒店、土浦鈴木屋の小野慎介さんは「土浦には良い特産品がたくさんあるので、土浦ブランドを盛り上げ、お店にも来ていただけるきっかけになれば」と話していた。

土浦ブランドは2018年に創設され、認定品は全部で32点ある。

【まちづくりはラジオ体操から】㊦ 令和初日に竹園SCで始まった

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ラジオ体操の中心的役割を担う今井さん㊨と三橋さん=つくば市千現1丁目のけやき公園

【橋立多美】昨年夏、つくば市千現のラジオ体操会場に現れたのは、同市竹園在住の三橋俊雄さん(70)。住民同士のつながりが希薄な竹園に、ラジオ体操で地域コミュニティーをつくれたらと考えたのが始まりだった。

三橋さんは介護者の負担軽減のための用具の設計など、ソーシャルデザイン専門の研究者だった。単身で赴いていた京都府立大学教授を最後に65歳で竹園3丁目の戸建て住宅に落ち着いた。

竹園3丁目は筑波研究学園都市計画の初期に整備されたまち。多くの公務員宿舎の廃止と保育所や学校など公共施設の老朽化が進み、2014年から「竹園3丁目再構築事業」の検討が始まった。16年に同地域の住民を対象にアンケートやワークショップが開かれて意見募集が行われると、竹園3丁目の住民15人が集まって2週間ほど議論を重ねた。

ところが約42億円の負担が発生することが分かり、17年に市から「再開発の白紙撤回」が言い渡された。以来住民の集まりは一度もなく、隣人と挨拶を交わすだけになってしまったという。

竹園地区にコミュニティーを形成するには「誰かが汗を流さないと…」と、千現のラジオ体操会場に徒歩で通い始めた。今井さんを中心とした活動を人づてに聞いて、学ぼうとした。香川県坂出市など、ラジオ体操を起点にまちづくりを進める自治体やNPO法人が実在することも背中を押した。

千現のラジオ体操に溶け込んだ三橋さんは「毎日少しの時間ですが顔を合わせることで心が通い、お互いの価値観を尊重しながら、季節の花をいただいたり、関連イベント情報をもらったりと理想的な人間関係が築けた」。何より「笑顔を絶やさず秩序を守る今井さんの姿勢に学ぶことが多い」という。

ラジオ体操の会場、竹園SCに立つ三橋さん=つくば市竹園3丁目

初日は2人、中旬に2人増え

ラジオ体操はまちづくりのためのシンプルな仕掛けで、言葉を交わす中から共通の話題や課題がでてきてくる。「じゃあ、みんなで取り組んでみようか」と小さなまちづくりにつながっていくのだと三橋さんは位置付ける。

今年4月までの10カ月間の千現での経験を生かし、まちづくりに共感した竹園在住の毛利正英さん(69)と今月1日、竹園ショッピングセンター広場で「竹園SCラジオ体操」をスタートさせた。無理なく続けるために実施日を水曜と日曜の週2回に決めたところ、初回の1日が改元の日と重なった。「記念に残る初日になった」と三橋さん。

初日は毛利さんと2人だったが、中旬から2人が加わった。三橋さんは「ラジオ体操から新たなネットワークが生まれて欲しい」と語る。

竹園でのラジオ体操をスタートさせた三橋さんは今も千現に足を運んで交流を楽しんでいる。今井さんは「ラジオ体操はいつでもやっていることが大切で、僕は指導員(※メモ参照)だが三橋さんには指導士になって続けてほしい」と期待する。千現、竹園とも誰でも参加できる。

※メモ「指導員」
NPO法人全国ラジオ体操連盟による民間資格。ラジオ体操指導員の上に、2級ラジオ体操指導士と1級ラジオ体操指導士がある。2級以上は、対面での指導の時は右と指示しながら、自身は左を動かす決まりになっている。

隣接の県有地購入へ 児童数急増の葛城小 つくば市長がPTAに回答

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市が購入する方針を決めた葛城小北側に隣接する県所有の学校用地

【鈴木宏子】児童数が急増しているつくばエクスプレス(TX)沿線のつくば市立葛城小学校(同市苅間、児童数384人)について、同小PTAが、グラウンドに校舎を増設するのではなく、適切な教育環境を整えるよう要望していた問題=4月5日付=で、五十嵐立青市長は24日までに、同小北側に隣接する県所有の学校用地(約6100平方メートル)を購入し校舎を増設するとPTAに回答した。

6月11日開会の市議会6月定例会に、県有地購入費と校舎を増設するための設計費用を提案し、次の9月議会に用地取得案件を提案する方針という。市教育局教育施設課によると、金額や増設規模については現時点で公表できないとしているが、将来の児童数増加に対応できる規模にするという。

市議会で可決されれば、今年度中に設計を実施し、来年度に教室の増設工事をする。2021年4月から子どもたちが新教室で勉強できるようにする。校舎の配置などは、現在の校舎がすでに老朽化していることから、将来の建て替えも視野に入れた配置とするという。併せて県有地に放課後児童クラブを建て替える。

4月5日、当時PTA会長の福田理さん(40)=現在は顧問=らが要望していた。児童数の急増に対し五十嵐市長は当時、グラウンドに校舎を増設する、隣接の学校用地を県から購入する、通学区を見直す―などの選択肢を検討していると回答していた。

県有地購入の方針を決めた理由について市教育施設課は、現在のグラウンドは狭いため、児童数が増える中で、グラウンドに校舎を増設すると子どもたちの運動などに支障が出て、事故なども心配されると判断したとしている。一方、通学区については現時点で見直しは実施しないという。

要望書を提出した福田さんは「市議会議員や区長の協力を得て、ものごとを動かすことができた。まずはちゃんと動いてくれた市に感謝したい」と話している。

TX沿線の研究学園葛城地区に立地する同小周辺は住宅開発が進み、2014年に72人だった児童数は今年4月に384人と5.3倍に急増している。今年度は空き教室2教室を普通教室にして対応した。来年度はさらに空き教室1教室と特別教室1教室の計2教室を普通教室にして対応する予定という。2021年度以降は転用できる教室がなくなってしまうことから、早急に教室を増設することが求められていた。

4校で60教室増設

TX沿線で人口が急増する同市では、沿線地区のほかの小中学校でも教室が足りなくなり、対応を迫られている。今年度は2018年4月に開校したばかりの学園の森義務教育学校の敷地内に26教室を増設、同じ年に開校したみどりの学園義務教育学校も15教室を増設する。ほかに竹園西小で8教室、竹園東中で11教室を増設し、市内4つの義務教育学校と小中学校で計60教室の増築が行われる。小学校新設の計画があるのは、万博記念公園駅近くの香取台地区の1校のみだ。

学校敷地を拡張して教室を増設するのは葛城小が初めて。学校敷地内での教室増設が進められていることに対し、市議会で教育環境を整えるよう訴えてきた山中真弓市議は「葛城小での学校用地購入が市内の学校の教育環境を整えるきっかけになれば」と話している。

【まちづくりはラジオ体操から】㊤ 住民の絆を守りたい つくば市千現

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朝の空気を吸いながらのラジオ体操=つくば市千現1丁目のけやき公園

【橋立多美】つくば市千現で11年続く取り組みをモデルにして、令和最初の朝に同市竹園でもラジオ体操が始まった。そこには「住民たちがつながる住み良いまちに」というシニア男性2人の思いがある。

朝6時20分頃から、千現1丁目のけやき公園に地域住民たちが集まってくる。30分に「新しい朝が来た」の音楽が流れラジオ体操が始まる。荒天を除き、ほぼ毎日行われているラジオ体操は今年で11年になる。指導にあたるのは同地内に住む今井健之さん(75)だ。

千現1丁目はつくばセンターに近い閑静な住宅地で、1980年代から戸建ての家ができ始めた。今井さんは83年に入居した。55歳で銀行を退職して乗馬やハンググライダーなどの趣味に没頭していた2006年9月、自宅の斜め前に突如14階建てのマンション建設の計画が持ちあがった。

市が建築物の高さ規制をする前の「駆け込み工事」で、日陰時間の延長や機械式駐車場による騒音などを理由に周辺住民が「千現1丁目の住環境を守る会」(阿久沢忍会長)を結成。反対住民らは法律を駆使して計画の縮小を求める運動を粘り強く展開し、翌07年3月の研究学園高度地区指定の施行に工事着工が間に合わなかったため、業者が建設計画を断念した。

同会の副会長だった今井さんは、反対運動を通じて生まれた住民の絆を守り、住みよい千現にしようと決めた。

ラジオ体操をけん引する今井さん=同

ラジオ3台を置き忘れ

市から委託された広報紙の配布や回覧が主だった自治会を活発化させようと、08年度の千現1丁目自治会長に立候補すると、自ら防災士の資格を取得して防災・防犯訓練や公園の清掃、高齢者のふれあいの場「千現カフェ」開設などに尽力。延べ6年間の自治会長職を辞した今も自治会と連携して活動を続けている。

ラジオ体操も自治会長時代に始めた活動の一つ。子供会がけやき公園(約2500平方メートル)で夏休み期間の最初と最後の1週間しか実施しないことを知り、誰でも知っているラジオ体操は住民が緩くふれ合えることから「もったいない、続けよう」と思ったという。

以来、朝5時起きでウオーキングに励んでからラジオ持参で公園に向かう。ラジオ体操が終わると公園のごみを拾ったり参加者と話が弾み、ラジオを置き忘れて帰ることがあるそうだ。妻の操子さんは「3台紛失して買い替えましたよ」と笑う。

今井さんは「ラジオ体操は『お早う』で始まる。それまで道ですれ違って会釈だけだった人と心が通じる会話ができるようになる」と話す。また「たとえ10分でも全身の筋肉を使い、毎日続けることで健康を維持できる」とも。毎日10人ほどの住民が参加し、夏休み中は約50人の児童たちが仲間入りして公園はいっぱいになるという。

昨年7月から、それまで参加したことのない男性が毎朝顔を出すようになった。(つづく)

「博物館級の大珍品」天狗党絵巻 古書まつりに出品 土浦

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水戸天狗党絵巻「那珂湊戦争之図」を広げるつちうら古書倶楽部の佐々木嘉弘代表=土浦市大和町、同店内

【鈴木宏子】土浦駅前にある関東最大の古書店「つちうら古書倶楽部」(佐々木嘉弘代表)で6月1日から始まる「第15回古本まつり」に、水戸天狗党絵巻「那珂湊戦争之図」が出品される。佐々木代表(65)は「博物館に展示されてもおかしくない博物館級の大珍品であることは間違いない」と話す。

半年ほど前、古本店同士の交換会に出品され、佐々木代表が仕入れた。もともと個人が所蔵しており、市場に出るのは今回が初めてという。

長さ4.3メートルと5.9メートルの着色絵巻が2巻あり、幕末の元治元年(1864)8月に天狗・諸生両党が争った水戸藩の内紛、那珂湊の戦いの様子が描かれている。同様の天狗党絵巻を国立歴史民俗博物館が所蔵しているという。正式な鑑定はしていないが、佐々木代表は「鑑定すればもしかしたら大発見になるかもしれない」と期待を寄せる。ただし虫食いの箇所があり補修が必要になるところもあるという。佐々木代表は「できれば博物館の方に購入していただき、補修して皆の目に触れるようになれば」と語る。価格は2巻で50万円(消費税別)。

古書まつりではほかに、小説「土」で知られる常総市出身の小説家で歌人の長塚節が、同級生に送った直筆の手紙(10万円)や、第二次世界大戦中、日本軍の兵士が兵舎で読んだ読み物、戦前の古地図などの掘り出し物が計約2800点出品・販売されるという。

土浦関係では、1925年に土浦の花火の起源となった花火大会を始めたことで知られる神龍寺(同市文京町)の秋元梅峰住職が、桑根十二支獣形図を解説した木版画や、1929年に土浦に飛来した飛行船ツェッペリン伯号の14枚つづりの絵はがき(6000円)なども出品される。

古書店が全国各地で次々に閉店となる中、同店は7年前に土浦駅前に開業し、現在も関東最大の25万冊を超える蔵書がある。古本まつりは半年に一度、6月と12月に同店で開催されている。同店のほか東京、神奈川、福島などの関東や近県の古書店12、13店が半年間で入手した掘り出し物を出品する。佐々木代表は「来て、見て、探してほしい」と呼び掛ける。

◆古本まつりは6月1日(土)~9日(日)。開店時間は午前10時~午後7時。出品古書は5月30日まで購入予約を受け付け、複数の申し込みがあった場合は抽選。6月1日以降は即日販売される。同店は土浦市大和町2-1、パティオビル1階。問い合わせは電話029-824-5401(同店)。

キャッシュレス推進へ 県が音頭取り展示会 つくばに決済事業者10社

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「キャッシュレスフェアin茨城」の募集チラシ

【山崎実】生活をより便利にし、事業者の人手不足解消にもつながる「キャッシュレス決済」を推進していこうと、県中小企業課と県キャッシュレス推進連絡会議の共催による「キャッシュレスフェアin茨城」が28日、つくば市竹園、つくば国際会議場で開かれる。

キャッシュレス先進県を目指し、県内の商工団体や事業者、自治体職員などを対象に、各種決済サービスなどの展示会を催す。

内容は、国内のキャッシュレスの現在と方向性、消費税増税後のポイント還元などの情報提供、決済サービスの特徴やメリット、決済事業者の展示ブースでの決済体験、決済システム導入に向けた個別の商談、相談会の開催ーなどが柱。

決済事業者10社が参加する。オリガミ(Origami)、ペイペイ(PayPay)、エムティーアイ、ライン・ペイ(LINE Pay)、NTTドコモ、楽天、ゆうちょ銀行、三井住友銀行、クレディセゾン、常陽クレジットの10社。

◆参加費は無料。時間は午後1時30分から5時まで。参加申し込みや問い合わせは県中小企業課(電話029-301-3550)か、キャッシュレスフェアin茨城事務局(常陽産業研究所、電話029-233-6734)

「見る」から「感じる」へ 34年ぶり全面リニューアル 県フラワーパーク

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大温室を撤去、オープンエアーな空間を創出するレストラン(右下)と茨城の素材でデザインする新たなエントランス=県観光物産課提供の資料を元に作成

【山崎実】県フラワーパーク(石岡市下青柳)が、34年ぶりの全面リニューアルに乗り出す。茨城を代表する新たな〝花の観光拠点〟として一新し、観光客の増加と地域経済の活性化を図るのが狙い。

同パークは1985年6月に開園した。約12ヘクタールの園内には800品種・約3万株の県花バラを始め、280品種・1800株のダリアのほか、ボタン約1800株などが四季を通じて咲き競う。この花の公園を囲むように、周囲には約18ヘクタールのふれあいの森が広がり、全体面積は約30ヘクタールに及ぶ。

開園当初は人気も高く、ピーク時の1992年は年間約37万人の来園者があった。その後、各地に同じような施設が出来たことで観光客が分散。現在は17万人程度で横ばい状態が続いている。

V字回復への切り札として県が取り組むのが今回の全面リニューアルだ。コンセプトは、従来の「見る(観賞する)」から「感じる(体験する)」パークへのイメージチェンジ。年内の基本・実施設計を待たずに、施設整備の一部工事に着手する。

19年度中に予定される県フラワーパークリニューアルの関連事業=同

具体的には、頂上付近の大温室(フラワードーム)に隣接する展示温室を、体験型のワークショップ施設に改修する。子どもから大人までの来園者が、フラワーアレンジメントや木工細工などを楽しみながら体験できる施設にする。

また来年度は大温室を撤去し、跡地に、花や自然を感じながら本県の味覚を楽しむレストランを新設する。さらに現在は園路から花の植栽花壇には入れない道順となっているが、「感じる」コンセプト実現のため、ローズガーデン改修に取り組み花壇に入れるようにする。

芝生の丘テラスは、家族連れでも長時間過ごすことができるよう、ベンチなどを設置して〝憩いの空間〟を創造するほか、エントランスゲートもデザインの見直しを行う。

全体事業費は約18億円で、再来年度春のリニューアルオープンを目指す。県観光物産課は「パーク全体をリニューアルし、本県の魅力を再発見・再発信する観光拠点として再構築したい」と話している。

G20大臣会合控え つくば市消防特殊部隊がテロ対策訓練

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負傷者を救出する消防特殊災害対応部隊=つくば市豊里交流センター

【鈴木宏子】今年4月県内で初めて発足したつくば市消防本部の特殊災害対応部隊が20日、市豊里交流センター(同市高野)でテロ対策訓練を実施した。G20茨城つくば貿易・デジタル経済大臣会合が6月8、9日、つくば国際会議場(同市竹園)で開かれるのを前にしての訓練。

G20大臣会合の会場に液体がまかれ、負傷者が出たという想定で、消防特殊部隊と県警本部の機動隊員ら計約60人が合同で初めて実施した。特殊部隊の8人が化学防護服を着て会場に突入し負傷者を救出、さらに負傷者を除染して救急隊に引き渡す訓練が展開された。

G20会場に液体がまかれ負傷者を救出する消防特殊災害対応部隊(右)

特殊部隊は、核、生物剤、化学剤に対応する防護服や、放射能などを検知する測定器、負傷者を救出する資機材と、1時間で最大100人を除染できる大型除染システムを備える。自衛隊や消防学校などで特別な訓練を受けた72人と消防車7台で構成される。訓練には、資機材を備えた化学車、救助隊員が乗る工作車、1万リットルの水を積載する水槽車など特殊車両5台が参加した。

まずG20会場からの通報を受けてパトカーが到着し、周囲に、日本語と英語、中国語、韓国語の4カ国語で立ち入りの制限などを呼び掛けた。

続いて到着した消防特殊部隊の隊員らは、全身を覆う化学防護服を着て、現場の汚染状況を測定しながら重傷者を運び出した。屋外に設営されたテントでは負傷者の除染などが実施された。

植木利男市消防長は「いよいよG20大臣会合が来月開かれる。訓練を無駄にせず、万が一に備えて、万全の体制で一致団結し、あらゆる災害に対応できる準備を万全にやっていきたい」と話した。

負傷者の救出を終え除染を受ける消防特殊災害対応部隊

茨城国体会場設営工事 予定価格と手続きミスで入札やり直し つくば市

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つくば市役所

つくば市は、17日に実施した茨城国体アーチェリー競技会場の設営と撤去工事の一般競争入札で、職員のミスにより予定価格と入札手続きに二重の誤りがあったことが分かったとして、20日、入札を不調にしたと発表した。来月にも入札をやり直す。国体開催準備に支障はないという。

同市国体推進課が事務局を務める同国体つくば市実行委員会が入札を実施した。予定価格を事前公表する入札方式だったが、職員が、予定価格を書き写す際にミスをして誤った価格(7687万4940円)を公表し入札を実施してしまったという。一方、本当の予定価格は現時点で公表しないとしている。

17日実施された入札には5社が参加し、そのうち2社が最も低い金額で入札した。2社とも同一金額だったことから、同日、2社を対象にその場で2回目の入札を実施して落札業者を決めた。しかし本来の手続きでは、くじ引きで決めなくてはならなかったという。職員が手続きをよく理解していなかったのが原因という。

当日夜、二重のミスがあったことが判明し、同実行委は、いったん決定した落札候補者に口頭で入札不調を伝え謝罪した。

アーチェリー競技は10月4~6日、同市下岩崎の茎崎運動公園多目的広場で開催される。同実行委は「今後は予定価格の金額を複数人で確認することを徹底し再発防止を図っていく」としている。

サンスイグループが100周年 380人駆け付け記念祝賀会 つくば

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創業当時のデザインを復元した法被を着て乾杯をする東郷治久代表(中央)ら=つくば市小野崎、つくば山水亭

【鈴木宏子】つくば市でホテルや料亭、専門学校などを経営するサンスイグループ(東郷治久代表)が今年創業100周年を迎えた。記念祝賀会が19日、グループが経営する同市小野崎の料亭、つくば山水亭で催され、県内の政財界関係者約380人が駆け付け、百年を祝った。

100周年記念祝賀会であいさつするサンスイグループの東郷治久代表=同

3代目の東郷代表は100年の歴史を紹介した上で、「初代の祖父も、父も、私もいくつかの業種に関わり、止むなく閉じたりする繰り返しだった。経営の多角化は生き残るための教え」と振り返り、「100年の時を刻むことができたのは地域の温かいご支援のお陰。少しでも恩返しすべく地域の発展のために努力したい」などとあいさつした。

祝賀会には、中村喜四郎、青山大人衆院議員、上月良祐参院議員、五十嵐立青つくば市長、神達岳志常総市長のほか、関正夫関彰商事会長など県内の政財界関係者が多数参加した。中村衆院議員は「3代にわたって時代の変化を的確に読み切って対応することによって100年を刻むことができた。初代は米穀業、2代目はサービス業、3代目は『つくば業』。周辺を巻き込んで、さらにつくば業を発展させてほしい」などと話した。

続いて創業当時の東郷商店で用いられていたデザインを復元した法被(はっぴ)を着て、鏡開きや乾杯が行われ、100周年を祝った。

サンスイグループは1919(大正8)年に当時32歳だった初代の勘治氏が、常総市水海道駅前に米穀や肥料を扱う問屋「東郷商店」を開いたのが始まり。直後に関東大震災、小貝川、鬼怒川の洪水に見舞われ、店舗を失うなど壊滅的な打撃を受けたが立ち直った。しかし第二次世界大戦による食料統制で、商店は国有化され事実上の廃業となった。戦後、勘治氏は常総筑波鉄道(現在の関東鉄道)の社長などを務めた。

一方、2代目の通行氏はサービス業に転換し、水海道にあった古い芝居小屋を買い取り、映画館に改装した。最盛期の1958年には県南、県西、水戸などで計17館の映画館を経営した。しかしテレビの普及により1983年までにすべての映画館が閉館となった。その間、筑波山にホテル山水荘(現在のつくばグランドホテル)を建て経営の軸足を移し、本拠地は土浦に移った。

3代目で現在の代表、治久氏は三菱商事で商社マンとして働いた後、父の病気を機に34歳で地元に戻った。つくば科学万博を機に山水亭を開業し、拠点をつくば市に移した。その後、犬猫の体験型テーマパーク「つくばわんわんランド」、ペット専門学校「つくば国際ペット専門学校」を開校。昨年4月には100周年記念事業として日本語学校「つくば国際語学院」を開校するなど、多角的な経営を展開している。

【霞ケ浦を遊ぶ】憧れのヨットに乗る ラクスマリーナでイベントに参加㊦

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アクセスディンギーを操縦してくれた霞ケ浦海洋少年団の中学1年、市原遼人さん

【田中めぐみ】霞ケ浦の入り口、土浦港にあるラクスマリーナ(同市川口)で年4回開催されている「誰でも楽しもう霞ケ浦」(セイラビリティー土浦など主催)は、カヌーやヨットに乗って、障害者も初心者も大人も子供もだれでも霞ケ浦を満喫しようというイベントだ。日頃、霞ケ浦でヨットの練習をしたりクルーズなどを楽しんでいる市民や、障害者カヌー協会に関わるボランティアが、参加者にこぎ方を教えたり、安全を見守るなどしてイベントを支えている。

全国に先駆けてマリーナのバリアフリー化を進めてきたラクスマリーナ(当時は京成マリーナ)が、初心者でも操縦できる転覆しないヨット「アクセスディンギー」を導入し、体験乗船会を開いたのがきっかけ。2005年から始まり、今年で14年目になる。口コミで評判が広まり、土浦やつくば市のほか、毎回、首都圏からもたくさんの参加者が集まる。今年度第1回目の5月5日は約270人の参加者に混じって霞ケ浦を体験した。

ガイドは中学1年の海洋少年団

カヌーから降りて、次はアクセスディンギーという小型のヨットに乗ることにした。霞ケ浦の沖を走っているヨットを眺め、前から1度乗ってみたいと憧れていた。

これはスタッフが操縦してくれる。桟橋の乗り場でしばらく待っていると、現れたスタッフは何と少年。青少年育成団体「霞ケ浦海洋少年団」に所属する中学1年生の市原遼人さんだ。ボランティアスタッフとして参加したという。一緒にカヌーに乗ったつくば市の中学1年、志賀明彦さんも「えっ僕と同じ中1?すごい」と驚いている。市原さんのアクセスディンギーに乗り込んだ。

主に春から夏のシーズン、霞ケ浦でいろいろな種類のヨットに乗っているという市原さん。「アクセスディンギーは絶対に転覆しないので安全ですよ。操縦も簡単です」と堂々のガイドぶりだ。一番好きな船だという。うみの少年に頼もしさを感じる。

おかげで安心して景色を楽しむことができた。ヨットは風を受けてゆっくりと進み、穏やかで気持ちいい。

15分ほど乗って降りたら一度お昼休憩。午前中は熱中していてあまり気にならなかったが、この日は快晴、じりじりと焼かれるような日差しで、帽子を忘れてきてしまったことを悔やみながら日焼け止めを塗り直した。

午後はドラゴンボートに乗ることに。20人で掛け声を合わせてこぐ木製の船だ。桟橋に行くと小さな子どもも数人待っている。前に並んだ子に聞くと5歳。「ドラゴンという名前がかっこいいので乗ることにした」という。小さな子どもでも大丈夫なのだろうか。少し不安を感じながらも船に乗る。船の底が低いので桟橋からだと段差がある。1人ずつ櫂(かい)を渡され、前には3人ボランティアスタッフが乗り込んだ。

出航を待つドラゴンボート

櫂の使い方を習い、ゆっくりと少しずつ沖に出る。みんなやり方が分からず恐る恐るだ。

沖まで出ると「いいですか、万が一、誰かが落ちても絶対に助けに行かないでください。落ちることはほとんどないですが、万が一ということがありますので言っておきます。子どもさんが落ちてもすぐにスタッフが助けに行きますから親御さんは助けに行かないでください。バランスが崩れて転覆してしまったらどうにもなりませんので」とスタッフからの注意。

そうか、転覆もあるのかと緊張が走る。「ではみんなで少し練習してスピードを出してみましょう。ハイのところで漕ぎますよ。イチ、ハイ、ニ、ハイ、サン、ハイ…」

ドン、ドン…と太鼓の音に合わせて掛け声をあげ、みんなで息を合わせてこぐ。少しずつ少しずつスピードが上がっていく。気持ちいい。5歳の子どもも「ハイ」「ハイ」と言いながら一生懸命前の人のまねをしてこいでいる。老若男女、家族も他人も一体となってまっすぐ前進する感じ、なるほど、これはまたカヌーとは違った楽しさだ。

掛け声で力を合わせてドラゴンボートをこぐ

最後にカッターボートというアクセスディンギーに似た帆船に乗り、そこで時間切れとなってしまった。モーターボートやSUPにも乗りたかったが残念。次回のお楽しみということにしておこう。

体験乗船の問い合わせは電話029-822-2437(ラクスマリーナ)

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水彩イラスト&チョークアート つくばで2人展

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イラストレーターの川浪せつ子さん(左)とチョークアートインストラクターの住吉恵理子さん=つくば市小野崎のLALAガーデンつくば「つくラボ」

【谷島英里子】「水彩イラスト&チョークアート 2人展」が、つくば市小野崎のLALAガーデンつくば「つくラボ」で17日から開催されている。いずれも同市在住のイラストレーター、川浪せつ子さんが描いた水彩画約100点と、住吉恵理子さんのチョークアート約30点を展示している。

2人は美大の先輩後輩の関係。テーマは「ハッピーな時間」で、作品を見てもらい幸せな気分になってほしいという思いを込めた。

川浪さんは部屋に飾れるような、明るく、心が穏やかになるような絵をモットーに作品をつくる。2018年9月にポルトガルを旅した時の建物や風景画を中心に展示している。はがきサイズからA4判ほどの水彩画は、鮮やかで柔らかい色合いだ。今回初めて画材で使った長さ3メートルにも及ぶ御朱印帳の作品も見どころの一つになっている。NEWSつくばでコラム「ご飯は世界を救う」を連載している。

住吉さんはブラックボードにオイルパステルを使って指で描くチョークアートを並べた。生活に密着した絵が主で、縦150センチ、横90センチのこいのぼりのほか、つくば市の鳥フクロウ、力士などが鮮やかに立体的に描かれ、迫力満点だ。会場では「ウェルカムボード」の無料体験会が行われ、好評となっている。「発色がいいので明るい気持ちになると思います。ぜひご覧ください」と来場を呼びかけている。

22日まで。時間は午前10時30分~午後6時30分。入場無料。来場者にはポストカードのプレゼントがある。

チョークアート「ウェルカムボード」の体験会=同

【霞ケ浦を遊ぶ】気分爽快!カヌー体験 ラクスマリーナでイベントに参加㊤

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カヌーで霞ケ浦にこぎ出す

【田中めぐみ】私が産まれ育ったのは四国の海辺に近い田園地帯だ。自転車で20分も行けば浜に着く。小さいころは夏になるとよく川や海に連れて行ってもらい泳いで遊んだ。冷たい川の深いところまで冒険してみる楽しさやスリル、海水浴場で波打ち際に見たかわいい小魚たちを今も忘れることができない。中学、高校に入ってからは泳ぎに行くことはなくなったが、悩みがあるとよく自転車で海に行った。堤防に座って海を眺めているといつの間にか心は晴れていた。

茨城に移り住んでからも霞ケ浦や桜川を見ると心が躍る。凪(な)いだ霞ケ浦を眺めているだけで穏やかな気持ちになる。これほど豊かな自然があるのに、霞ケ浦や周辺の川で遊ばないのだろうか。周りに聞いてみたが遊んだことがあるという人はほとんどいない。霞ケ浦で遊んでみたいと5月5日、霞ケ浦の入り口、土浦港にあるラクスマリーナ(土浦市川口)で開催されたイベント「誰でも楽しもう霞ケ浦『子どもの日大会』」(セイラビリティー土浦など主催)に参加した。

さまざまな船に試乗

このイベントではカヌー、モーターボート、ドラゴンボート、和船のほか、小型ヨットのアクセスディンギー、ボードの上に乗って進むSUP(=サップ、スタンドアップパドルボート)など、さまざまな船に試乗できる。

すごい!すべての種類に乗ってみたいー。はやる気持ちを抑えてまずはカヌーの予約の列に並ぶ。

予約を取ったら安全のためライフジャケットを着て講習を受ける。ボランティアスタッフがパドル(櫂=かい)の持ち方を教えてくれる。2人乗りのカヌーを選んだ。後ろにはつくば市から参加した中学1年の志賀明彦さんが乗ることに。

カヌー講習の様子。子どもから大人までスタッフの話に真剣に耳を傾ける

いよいよ出発! 最初は2人でばたばたして桟橋の下に潜り込みそうになったが、スタッフに押してもらってなんとか沖に。それも面白くて2人でげらげら笑う。教えてもらった通りにこいでいるとだんだんコツが分かってきた。左に曲がりたい時は右をこぐと簡単に方向転換できる。すぐに操縦に慣れ「これは楽しいね」「最高だね」とどんどん沖に。怖くなるかと思ったがそんな心配は杞憂に終わり、すっかり病みつきになってしまった。

志賀さんと記者(右)。息の合った操縦で方向転換もばっちり

1回の試乗は15分。1度カヌーから降りて、すぐに「もう1回行こう」と意見は一致。予約を取り直し、次は1人用に乗った。最高の気分だ。岸から遠いところにも行って、戻ってを繰り返す。

突然「カヌーの人、どいてくださーい」とスタッフの声がかかる。遊覧船ホワイトアイリス号が出航するようだ。巻き込まれては大変と大慌てで移動するのもなかなかのスリル。ブレーキやバックの操縦も覚えた。中には勢いよく転覆する人もいる。頭までびっしょり。でも笑顔だ。夢中になってこぎ過ぎて腕がだるくなってきた。これは筋肉痛になる予感がする。

「誰でも楽しもう霞ケ浦」は年4回開催されている。今年度のこれからのイベントは7月14日(日)、10月13日(日)、1月12日(日)に開催予定だという。障害者も初心者も大人も子供も、年齢も性別も障害も関係なく、誰でも参加できる。参加費は保険料込みで大人1000円、小人500円。

イベント以外でもいつでもレンタルボートが楽しめる。カヌーの場合、1人乗り、2人乗りいずれも2時間3080円)。問い合わせは電話029-822-2437(ラクスマリーナ)

(続く)

採石跡地で植樹祭 地元住民と児童ら つくば市宝きょう山ふるさとの山づくり

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採石跡の岩の上に盛られた土に苗木を植える近隣のつくば市立秀峰筑波義務教育学校5、6年生ら=16日、土浦市小高、塚田陶管柳沢工場内採石場

【鈴木宏子】岩肌が露出した筑波山南麓の採石跡地に植樹し、安全で親しめる山として次世代に残していこうと、地域住民と行政、採石事業者による植樹祭が16日、土浦市小高、塚田陶管(本社同市藤沢)柳沢工場の採石場で実施された。

近隣のつくば市大形地区や土浦市小高地区住民のほか、つくば市立秀峰筑波義務教育学校5、6年生らが参加し、約5000平方メートルにアカマツやヤシャブシなど計420本を植樹した。

宝きょう山ふるさとの山づくり事業で、2011年から2年に1度、地元住民らが参加して植樹祭を実施している。今年で5回目で、今回を含め計約8800平方メートルに植樹した。

同校の子どもたちは、標高約210メートルの採石場にバスで登り、採石事業者が用意した苗木を、地面に掘られた20センチほどの穴に1本1本丁寧に植え付け、水と肥料をあげていった。いずれも同校5年の碓井帆乃花さん(10)は「(苗木に)いっぱい水をあげたので、大きくなってほしい」と話し、平山智也さん(11)は「(苗木が)でっかくなる姿を見たい。30年後ぐらいにまた来たい」と話していた。五十嵐立青市長も参加し、子どもたちとヤマザクラを記念植樹した。

子どもたちとヤマザクラを記念植樹する五十嵐立青つくば市長(中央)=同

同採石場は水郷筑波国定公園内にある国有地約100ヘクタール。1958年ごろから民間事業者による採石が始まった。切り出した石は道路舗装やコンクリートなどに使われ筑波研究学園都市の建設にも利用されてきたという。採石後、跡地の岩肌が露出したままになっていたことから、地元住民が約1万2000人の署名を集めて県などに要望書を出したことがきっかけで、ふるさとの山づくり事業がスタートした。

住民の要望を受けて2004年から県が緑化の計画などを策定し、全国で初めて、住民の要望を取り入れて、斜面の勾配や植樹する樹木の種類、防災機能の強化策、緑化後の景観や生態系の回復策などを検討してきた。09年から緑化のための工事が始まり、23年まで15年計画で事業が実施されている。

署名集め当初から取り組んできた大形地区区長の宮川茂さん(65)は「景気が落ち込んでいるので計画通り進むか心配はあるが、近くの人が登れる昔のような山に戻ってくれれば」と話している。

塚田陶管の塚田陽威社長(75)は「じょうずに掘りながら、地域と連携して跡地の活用も考えていきたい」などと語っていた。

植樹を終えた採石跡地=同

【土浦を受け継ぐ】116年変わらぬ味守る かりんとう「九万五千石」 前島製菓

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3代目の前島寛誠さん=土浦市真鍋、前島製菓

【田中めぐみ】柔らかい食感にキラキラと輝くザラメ、後をひくゴマの風味が特徴的なかりんとう「九万五千石」で知られる前島製菓(土浦市真鍋)。1903(明治36)創業の老舗だ。創業者の前島憲吉さん、2代目の寿夫さん、3代目の寛誠(ひろなり)さん(65)と引き継がれ、今年で創業116年目になる。初代から「味を変えてはいけない」、「原料を変えてはいけない」と言われ、116年間味を守り続けている。昨年は市が認定する第1期土浦ブランドにも選ばれた。

しっとりとした食感が特徴のかりんとう「九万五千石」

前島製菓は創業当初からかりんとうや駄菓子などを販売してきた。戦時中は海軍から支給される小麦粉と油、砂糖などを用いてかりんとうを作り、青森県むつ市の大湊警備府(日本海軍の軍港)に一斗缶で納めていたという。砂糖や油をたっぷりと使ったかりんとうは高級品だった。

名前の由来は土浦藩

人気商品「九万五千石」は前島製菓の代名詞でもある。戦後の食料物資統制が終わった1950年ごろから本格的に作り始めたという。「九万五千石」は、江戸時代中期の土浦藩主で江戸幕府の老中も務めた土屋数直が、徐々に石高を増やし最終的には九万五千石を有したことにちなんで名付けられた。寛誠さんの父で2代目の寿夫さんが主となり考案し、1958年に商標登録した。

当初「十万石」という名にしようと考えていたが、土浦市の郷土史家永山正さんに相談したところ、正しくは九万五千石であると指摘され、それに従ったという。「石」は土地の価値を米の生産力に換算し表す単位だが、土浦城の石垣の意味にもかけて、見た目が石のようにゴツゴツとしたかりんとうを作り上げた。

昭和20年代の店頭(前島製菓提供)

「味を変えてはいけない」

創業以来、味を守り続け、1973年には第18回全国菓子大博覧会で名誉金賞を受賞した。

しかし、父である2代目寿夫さんが病で倒れ、寛誠さんに代替わりした1988年頃、一度だけ作り方の工程を変えたことがある。それまで父とかりんとうを作りながら「この工程は統一できるのではないか、簡素化しても味は変わらないのではないか」と考えており、「自分の代からは思うようにやってみよう」と変更してみた。「自分が一番かりんとうの味を分かっている。味は変わらない」という自信があったが、製法を変えた途端に売れ行きは急降下。慌てて元の作り方に戻したが、落ちた売り上げを戻すのに3年かかった。

寛誠さんは「自分よりお客さんの方がうちのかりんとうの味をよく分かっていた。うぬぼれていたことに気が付いた」と振り返る。お客さんの優しさにも助けられた。2代目が倒れたという事情をくみ、技術が足りなかった寛誠さんを気長に待ってくれた。寛誠さんは、お客さんには感謝の気持ちしかないと話す。「たくさんの品物があふれている今の時代にうちのかりんとうを選んでくれる。本当にありがたい」。

一度も褒められなかった

寛誠さんが3代目を継いで30年になる。5年前に103歳で亡くなった叔母には死ぬ前まで「初代の方がおいしかった」と言われ、一度も褒められなかった。戒めとなりありがたくはあったが、最期までおいしいと言わせられなかったことが悔しいと話す。

納得のいく味を追求し続ける。「使っている材料は変わらなくても、気温や湿度の変化や、材料の品質に微妙な違いがある」と寛誠さん。「夏と同じ物を冬食べるとかなり固くて、冬の物は夏溶けてしまう。四季折々に美味しく食べて頂きたいので、半月ぐらいの単位で同じ物に感じられるように調整している」と話す。

製造法をかたくなに守り続けようと思っているわけではない。今以上に効率的なやり方があれは変えたいと考えている。しかし「味を変えてはいけない」という原則を守るのに、今以上の作り方が見つからない。添加物を入れれば材料が扱いやすくなり大量生産が可能だが、味が変わってしまう。多く作ることはできないが、味を変えないためには製造法を守り続けるという。寛誠さんは「古いお菓子を新しいと感じる若い人もいる。大量には作れないが、全国の人にもぜひ食べてほしいと思う」と語った。

現在の前島製菓

研究成果をアートで表現 4つの作品展示 G20記念事業の成果発表

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ライトが本をのぞき込んでくる「Mammalianism Light」

【池田充雄】つくばの科学技術とアートが出合う作品展「つくばサイエンスアートエキシビジョン」が19日まで開催中だ。会場のさくら民家園(つくば市吾妻、中央公園内)には、研究者とアーティストの協働による作品4点が、古民家の座敷や土間を利用して展示され、作品テーマとも響き合って刺激的な空間を作り出している。

展覧会はG20茨城つくば貿易・デジタル経済大臣会合開催記念事業「つくばサイエンスハッカソン」の成果発表。筑波研究学園都市の研究者がアーティストとチームを組み、研究成果をアート作品で表現しようと取り組んだ。制作テーマの「ホロビオント」とは、さまざまな種類の生物が複雑に関係し、一つの生命体を構成している状態のこと。生まれた作品自体を科学とアートの、あるいは生命と非生命のホロビオントと見ることもできる。

作品の一つ、国立科学博物館の郡司芽久さんとアートユニットGADARAによる「Mammalianism Light」は、デスクライトのアームの部分にキリンの首の構造を取り入れた。机の上に本などがあるとセンサーが感知してライトが下がってくる。本がないときは自立した状態で、時おりゆらゆらと辺りを見回すような動きをする。

「キリンの首は高いところへも低いところへも動かせる。上や下を照らすというデスクライトの機能的要求を満たせ、感性的な面白さもある。人工物に生物の機能やデザインを取り込んだ例はいろいろあるが、生き物らしい振る舞いをさせたのは他に類を見ないと思う」と、GADARAメンバーの清水惇一さん。

紙コップで作ったキリンの首の構造モデルを手に説明する清水さん

チームパートナーの郡司さんは解剖学者で、動物の体の仕組みや動きを研究しており、特にキリンの首の構造には詳しい。清水さんらは郡司さんの話からインスピレーションを受け、有機物と無機物の関係性に着目した作品ができるのではないかと考えた。

作品の試作中も、郡司さんの細やかな助言をもとに改良を続けていった。実物の動きを再現するには、構造をただ忠実に模してもだめで、必要な要素を抽出し抽象化する必要があり、そのための情報のフィードバックも的確だったという。

「研究者とアーティストでは視点は違うかもしれないが、制作過程でのコミュニケーションに食い違いがなく、やりたいことを実現するための最適なアプローチが自然にとれた」と清水さん。このため予想を超える作品ができ上がったそうだ。

会期は5月19日(日)まで、時間は午前10時~午後6時(最終日は4時まで)、入場無料。

ヒトと動物や古生物が異種交配する未来を幻視する、芝原暁彦×川崎和也「全滅する気がないなら、交雑せよ」
ぬか床でうごめくぬか漬け野菜のロボット、望山洋×くろやなぎてっぺい「Dying Robots」

人とネコの命守る防災本発刊 阿見で震災に遭った編集者が発案

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ネコ雑誌編集部による「猫と一緒に生き残る防災BOOK」

【橋立多美】「猫と一緒に生き残る防災BOOK」がこのほど発刊された。8年前の東日本大震災時、阿見町でネコ(当時8歳のオス)と住んでいた本田真穂さんが、震度5強の揺れに遭遇したことで、飼い主の防災への心得と避難に関心を持ったことがきっかけ。

発行元は、ネコの魅力を紹介している雑誌「猫びより」を隔月で刊行している日東書院本社編集部(東京都新宿区)。本田さんは同社の編集者を務める。

東日本大震災後も各地で豪雨や地震、台風などの自然災害が相次ぎ、その度に課題となるのがペットの避難。同書には、同社編集部が被災地で取材した事柄や、震災後、在宅避難していた本田さんが体験した、余震を怖がりパニックになったネコの捕獲、キャットフードやトイレ砂などネコ用品が品薄で入手できなかったことなどがつづられている。困り事を生かして編まれたという。

災害時の心得として「人命が最優先」を挙げている。飼い主が助からなければ、生き残った愛猫の面倒を見てくれる人が現れるか分からない、ネコのための防災は人の防災の次に成り立つとしている。キャリーバッグやキャットフードなどの備えや代用品で出来るフード皿やネコトイレ、いざというときに慌てないための基本的なしつけを推奨している。

「災害発生!その時どうする」として自宅で被災したときの対応や避難準備、ネコと一緒の同行避難の方法や避難生活の送り方なども紹介。また、外出先で被災した場合や獣医師の指示を仰げない場合の応急処置と手当てなど、さまざまなケースを想定した対処法を載せている。

本田さんは「首都直下や、南海トラフなど今後30年以内に大きな地震があると予想されているだけでなく、近年はいろんな自然災害も多く発生している。何よりも普段からの心構え、備えが大切。たくさんの方に読んでいただき、いざという時、お役に立てることを願ってます」と話す。

巻末には飼い主とネコのために用意する非常用チェックリスト、愛猫の持病やかかりつけ動物病院、ワクチン接種の有無などを書き込むページもある。ネコと暮らす人が自身とネコの安全確保のために普段から考え、備えておく情報が網羅されている一冊だ。(定価1300円+税)

運動栄養学を学ぶ筑波大生 「アスリートレストラン」開催 事業化目指す

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野菜たっぷりの献立を食べる筑波大男子ラクロス部員=つくば市天久保、同大グローバルヴィレッジコミュニティステーション

【田中めぐみ】筑波大学体育専門学群で運動栄養学を専攻する3年の佐々木雄平さんが、学生団体「つくばアスリートレストラン」(TAR)をつくり、昨年10月から同大の学生宿舎などで、アスリート向けの食事会「つくばアスリートレストラン」を開いている。26日には市内のパブで一般向けイベントを開催する。

この日の献立(つくばアスリートレストラン提供)

「おなか減ったー」「いただきまーす!」。筑波大学の学生宿舎グローバルヴィレッジコミュニティステーション2階で4月28日、アスリートレストランが主催する食事会が開かれ、男子ラクロス部員35人が集まった。

TAR代表の佐々木さんがラクロス部のために考えた献立は、ひじきと豆腐のサラダ、水菜のコールスローサラダ、鶏むね肉のキノコあんかけ、ワカメと卵の味噌汁、カブのガーリックオリーブ炒め。ブドウと牛乳も付いており、17品目の食材を使っている。管理栄養士で同大大学院人間総合科学研究科1年の中村萌香さんが栄養バランスのチェックをした。佐々木さんと中村さんが調理のほとんどを行ったが、部員たちも率先して手伝った。

おかわりが進み、ご飯はあっという間に売り切れ。しっかり食べた後には栄養クイズ大会が開かれた。スマートフォンを使ってクイズに参加し、その日食べたものがどのような働きをするのか、楽しみながら学ぶ形式だ。1問ごとに得点順位が発表されると部員たちは一喜一憂し、会場は盛りあがった。

調理をする代表の佐々木雄平さん(右)と管理栄養士の中村萌香さん

全料理で5大栄養素摂取

アスリートレストランは今回で8回目となる。主食・主菜・副菜・汁物・果物・乳製品を提供する。参加費は500円。すべての料理で身体に必要な5大栄養素を摂ることができる。食事会に協力しているスタッフは32人で、協力の頻度はまちまちだが集まれる人が参加して運営している。食事会には毎回20~30人のスタッフが集まっているという。

食事会の前には「食生活バランスチェックシート」に記入を行い、それぞれが日ごろの自分の食生活を省みる。ラクロス部で人間学類3年の早稲田拳さんは「シートに記入して牛乳や乳製品が足りていないことが分かった。元々あまり野菜が好きではなく、親と暮らしている時は食べたくないなあと思っていたが、1人暮らしを始めてから意識して食べるようにしている」と話す。社会工学類3年の岩見悠太郎さんは「部活の朝練をしているのに朝ご飯を食べずに授業に行くことがある。1人暮らしなので品数をそろえるのが難しい。毎回献立を決めるのも面倒なので食事会はありがたい」と話す。

きっかけはインスタ

佐々木さんは大学に入学してから料理の楽しさに目覚め、インスタグラムに自作の料理写真を投稿してきた。写真を見たアスリートの友人から「おいしそう」「食べてみたい」という声が挙がり、「材料費を出してくれたら家に食べに来てもいいよ」と友人を招いたのがきっかけでアスリートレストランを主宰するに至った。

食事会の開催にとどまらず、佐々木さんは、食を通じて地域とアスリートとのつながりを作る方法を考えている。この日使った材料のカブは千葉県我孫子市の農家が作った。同大の農業サークルの学生が手伝いに行き、代わりに提供してもらったという。「地域には、農作業をする人がいない、野菜が余っているといった声がある。若者の手を借りたい地域と、栄養のある食事をしてスポーツの応援をしてほしいという若者の声をマッチングさせるプラットホームを作ることができれば」とプロジェクトを練っている。

つくば市内の農家からの協力も得、今後、米やキノコ、ヤーコンなどの材料を提供してもらう予定だ。将来的には事業化を目指しており、つくば市都市計画部主催の「つくばR8地域活性化プランコンペティション」=メモ=に応募するという。「人が喜ぶこと、人の役に立つことが一番の原動力になる」という佐々木さん。アスリートの食事を充実させ、食を通じて人々の交流を創生するのが目標だと語る。

◆26日の一般向けイベントは、アスリートレストラン開催10回目の記念として、パブ「ブラッセリー&バー・フィンラガン」(つくば市天久保2-9-2、リッチモンド2番街B-203)で開催する。午後6時から午後9時までの間の予約が可能で、無農薬の有機野菜を使ったメニューを予定しているという。料金は学生800円、一般1200円。定員40名。予約は掲載のQRコードから。

26日の一般向け食事会の予約用QRコード

◆つくばアスリートレストランは

ホームページ https://www.u.tsukuba.ac.jp/~s1711833/index.html

インスタグラム https://www.instagram.com/tar_pr_/?hl=ja

ツイッター https://twitter.com/TAR_PR

※メモ

【つくばR8地域活性化プランコンペティション】つくば市がR8(北条、小田、大曾根、吉沼、上郷、栄、谷田部、高見原)を元気にするための地域活性化プランを募集するもの。コンペで採用されたプランに1 件最高200万円の支援金を支給し、提案者に実証事業として取り組んでもらう。

➡筑波大生の活動に関する過去記事はこちら