火曜日, 11月 11, 2025
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アップテンポスタイルでB1昇格目指す 茨城ロボッツが新体制発表

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会見に出席した(左から)中村功平選手、遥天翼選手、グレスマンHC、山谷拓志代表、上原和人GM=M-SPOスタジオ、水戸市南町

【高橋浩一】男子プロバスケットボールBリーグ2部(B2)の茨城ロボッツ(本拠地・水戸市)は9日、2020-21シーズン新体制発表会見を水戸市内で開いた。チームの指揮を執るヘッドコーチに、攻撃的なバスケを得意とするリチャード・グレスマン氏(42)=米国出身=を迎え、今季はアップテンポスタイルのバスケットボールを目指すことを表明した。新加入選手は5人で、うち外国籍選手は3人。

コロナ禍昨季は圏内で途中中止

会見で山谷拓志代表は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により3月途中で中止となった昨季について「プレーオフ圏内にいたので大変残念。悔しい思いでシーズンを終えることになった」と振り返り、不本意な形で途中終了となった昨季を乗り越え、今季こそB1昇格を勝ち取る決意を新たにした。

新型コロナの影響が残る環境で迎える新シーズンについては「今もまだ先行きは不透明で、どうなるか分からない中、チームの編成をどうするか大変難しい判断が迫られた」と胸中を明かし、「いかなる状況でも、目の前の一つひとつの試合に勝つことが目標になるし、その結果としてプレーオフに出て優勝することが最終目標であることは揺るがない。一つひとつの勝利にこだわって、最高の成果を出せるよう頑張っていきたい」と抱負を語った。

「B2支配できる」

就任したグレスマンヘッドコーチは、2017-18シーズンから3シーズン、B2の愛媛オレンジバイキングスを指揮し、1シーズン目にB2リーグトップの1試合平均得点を記録した。

「アップテンポのバスケは、見ていて面白いだけでなく、チームのタレントを生かせる。ロボッツはB2を間違いなく支配できると思っている。練習を通し、このスタイルを日々積み重ねていきたい。昇格することが、今年達成しなければならない目標だと思っている」と話した。

新加入選手5人のうち、会見には日本国籍選手2人が出席し抱負を述べた。コメントは以下の通り。

遥天翼(B3東京サンレーヴスから加入、31歳、SF) B1昇格を成し遂げたいし、それを目標に日々の練習に打ち込んでいる。ロボッツはいい選手ばかりそろっている印象。若手もハッスルしていて声も出ていて、仲がいいだけじゃなく競争心をもって切磋琢磨している。アピールポイントは外のシュートと、いろんな情況でアシストやディフェンスなどもできる何でも屋を目指す。

中村功平(B1滋賀レイクスターズから加入、23歳、PG) B1昇格は必ず成し遂げたい。ロボッツにはベテラン選手がたくさんいて、いろいろ学ぶべきところがあると感じている。いろんなことを吸収してコートに立ってB1昇格に貢献したい。3ポイントシュートもアシストも得意、若さを生かして激しくハッスルしてハードにやっていきたい。

開幕は10月の予定。観客の動員については状況を見ながら判断していく。

プライベート花火 土浦市が打ち上げを応援

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土浦の花火

【鈴木宏子】コロナ禍で花火大会の中止が全国で相次ぎ、花火業者が苦境に立たされている中、花火のまち土浦市が、プライベート花火の打ち上げを応援する企画を検討している。

プライベート花火は、誕生日、プロポーズ時、結婚記念日、命日などに、花火師が個人やグループなどのために打ち上げる本格的な花火。

土浦市では日本三大花火の一つ、土浦全国花火競技大会が開かれていることから、大会を支えてくれている全国の花火師たちを応援しようという取り組みだ。

応援方法は、同大会実行委員会(事務局・土浦市)のホームぺージで、プライベート花火の打ち上げを実施している花火業者を紹介してPRしたり、花火の種類や料金などの情報を提供することなどを検討している。

打ち上げの際、保安距離を確保したり、許認可が必要になる場合があるため、打ち上げ場所確保のお手伝いをしたり、他市や他県の業者が花火玉を提供し、別の業者が市内で打ち上げる場合の支援なども検討している。

市花火対策室によると、現在、花火業者の情報を集めているところで、8月ごろまでにホームぺージに掲載できるようにしたいという。

市は、日本三大花火が開催されるまちという知名度を生かして、新しいビジネスにつなげていきたいとする。

催行は7月下旬に最終判断

今年の土浦全国花火競技大会は11月7日の開催が予定されているが、催行の可否は7月下旬に同実行委員会が最終判断をする。新型コロナウイルス感染拡大防止に関する8月1日以降の国の方針(緊急事態宣言終了に伴う外出自粛の段階的緩和の目安など)が7月下旬までに示されると見られていることから、国の方針を待って可否を判断する。

日本三大花火の一つ秋田県「大曲の花火」(8月29日予定)も中止が決まるなどしており、開催は極めて難しいとみられる。

《映画探偵団》33 つくばセンタービル 磯崎新の設計思想

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イラストは筆者

【コラム・冠木新市】東京ディズニーランドのシンボル、シンデレラ城が新型コロナウイルスで休園中に改修された。シンデレラ城は、ドイツのバイエルン国王ルードウィッヒⅡ世によって創られたノイシュバンシュタイン城をモデルにしたものである。東京ディズニーランドと同じく1983年に完成した「つくばセンタービル」も、実はノイシュバンシュタイン城の影響を受けて創られている。

「狂王ルードウィッヒが純粋に快楽のために建設したこの折衷主義のあだ花、キッチュの権化ともいうべきノイシュバンシュタインは、いまでは確実にポピュリズムの核心にある。《つくばセンタービルの複合体が独自の象徴作用をなすためには、私はキッチュ的な要素の使用も辞すまい、と考えたことも事実である」「私はノイシュバンシュタイン的なものへ接近する道を歩んでいたのかもしれない」(磯崎新編著『建築のパフオーマンス』PARCO出版局)

「こんな面白いところが、入場料もとらずに開放されているなんて、信じられない」と言った人がいた。私も30年ほど前から、毎日のようにセンタービルを眺めてきたが、見飽きないし、少しも古びないのは驚きである。晴れた日には、3棟のビルの表面がきらきら輝き、美しいかぎりだ。さらに、1000人以上入るホールがあるのに、巨大さを感じさせないのはなぜだろうか。

なかでも中央の楕円形の広場、いや、庭は実に刺激的だ。何もない空間だからである。だが、東洋的なこの庭は、西洋的な3棟の建物を際立たせている。しかし、権力、財力、名誉を求める人にとっては、廃墟をイメージするような空間は腹立たしさを覚えるのに違いない。力を暗示するシンボルが存在しないからである。

霞ケ浦を模した階段から流れる水は、つくば市の位置に相応する中央へと流れ落ちる。センタービルの空っぽの庭は、創造性を触発する器であり、水が主役なのである。私などは、崩れかけたような岩山に大魔神が埋め込まれているのではないかと、つい想像してしまう。

大映の『大魔神』ドーム屋根案を踏み壊す?

大映の『大魔神』(1966)シリーズは、1年間に3本製作された幻想的な特撮作品であった。大映の美術陣は、大魔神の大きさを4.5メートル、人間の2.5倍に設定した。そして、本建築とミニチュアの中間の精巧なセットをつくり上げた。大魔神が神聖な場所を荒らした領主に怒り、建物を破壊する。屋根瓦が崩れ落ちるシーンは、いつ見ても圧巻である。

昨年3月、磯崎新が建築界のノーベル賞ともいえるプリツカー賞を受賞し、私はつくば市民としてとても嬉しかった。さぞかし、つくば市も喜びの声を上げると思っていたのだが、ホームページで儀礼的なメッセージを出して終わりだった。オイオイ、中心市街地活性化を声を大にして呼びかけているのに、それはないだろうと納得できなかった。しかし最近、やっとその謎が解けた。

受賞と同じ時期の3月に策定された「つくばセンタービルのあり方検討業務報告書」で、なんと、センター広場にアーチ状のドーム屋根をつくることが検討されていたからである。道理で素っ気ないはずである。プリツカー賞は、つくば市にとって目障りだったのだろうか。

東京ディズニーランドは、1年前からシンデレラ城の改修計画を発表している。つくば市は、今までなぜ隠していたのか。センタービルの庭を覆い隠す屋根はなにかを物語っている。

センタービルは、つくば市民のものでも、茨城県民のものでもない。今や世界の文化財である。これでは、「世界のあしたが見えるまち」のコピーに傷がつくのではないか。このままでは、きっと世界の建築家、アーティストの批判の的になることだろう。私には、センタービルの岩山から現れた大魔神が、屋根を踏み壊す映像が見えてしまう。サイコドン ハ トコヤンサノセ。(脚本家)

新品種導入も推奨 イネ縞葉枯病対策で県

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6月下旬の水田の様子

【山崎実】つくば市や筑西市など県南、県西の一部地域で発生が多くみられるイネ縞葉枯(しまはがれ)病対策として茨城県は、従来からの薬剤散布などによる防除対策に加え、水稲新品種の「にじのきらめき」や「ふくまるSL」などの抵抗性品種の導入を進めていく。

イネ縞葉枯病は、体長3~4ミリの害虫ヒメトビウンカに媒介されるウイルス病で、発病すると生育不良となり、イネが実らなくなって減収となる。

県は保毒虫率(ウイルスを持った虫の割合)5%以上を薬剤防除の目安にしている。県南、県西地域のつくば市や筑西市などで行った調査では、一部地域でいずれも5%を超え、次作でも多発可能性が高いことから、抜本的な対策が必要とされていた。

この問題は県議会第2回定例会でも議論に上り、県は①育苗期や生育期間中の薬剤散布②収穫後の田起こしや畝(うね)の雑草除去③抵抗性品種への転換ーの具体策を提示した。今後は防除対策が地域全体の取り組みとして行われるよう、薬剤散布や田起こし、雑草除去など複数の対策を組み合わせて行う従来の方法と、抵抗性品種への転換の2つの方法について効果を検証し、多発地域を指導していく考えを明らかにした。

特に抵抗性品種の導入は、栃木県や埼玉県で効果があったとされ、県も有効な被害軽減策と位置付けている。

農研機構が育成した「にじのきらめき」は「コシヒカリ」よりやや遅い収穫期の品種で、倒れにくく、収量も多い。縞葉枯病に抵抗性で、高温でもよく実り、コメの外観品質が良く「コシヒカリ」と同等のおいしさ。ブランド米に並ぶ食味と安定多収性で、外食・中食用途への利用が期待されている。

「にじのきらめき」の籾と玄米(左列、右はコシヒカリ)=農研機構資料

県内ではすでに、JA北つくばの農家が19年産米から試験的に栽培。今後、規模拡大し産地化を目指していくという。

また、県の育成品種「ふくまる」に抵抗性を持たせた「ふくまるSL」は、来年度から作付けが可能となり、つくばみらい市で「ふくまる」を栽培している約800ヘクタールを「ふくまるSL」に入れ替え作付けする。

イネ縞葉枯病対策を契機に浮上している新品種の導入は、コシヒカリの作付けが全体の7割以上を占める茨城県の水稲栽培に一石を投じている。

筑波山・霞ケ浦を稼げる観光地へ 遊べる旅行企画など募集

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筑波山

【山崎実】茨城県は、筑波山・霞ケ浦広域エリア観光連携促進事業を2018年度から3カ年計画で進めている。現在、両地域の観光資源を生かした「土産品・グルメ」「アクティビティーコンテンツ」の新商品開発プランを募集している。

観光連携の新たな魅力創出と、稼げる観光地域づくり促進が狙いで、選定されたプランには補助金の交付、販売支援などが行われる。

募集は▽新たな定番商品の開発▽アクティビティー(遊べる)ツアープログラム企画の開発ーの2部門。定番商品の開発では、観光目的の大きな要因である「食(グルメ)」、地域を代表する新たな「土産品」を募集する。既存商品の味やデザイン、パッケージなどに工夫・改良を加えたものも応募可能とする。採択は4件程度を予定し最大補助額は75万円。

アクティビティー・ツアープログラム企画開発部門は、アウトドア層を対象に、地域の観光資源を活用した新たな「ツアープログラム」を募集する。採択は2件程度で最大補助額は50万円。

応募資格は新商品の企画・開発をめざす個人、法人、グループなど。「土産品・グルメ」提案部門は県内に事業所をもっていることが条件だが、アウトドア層向けの企画開発の提案は、事業所の所在地は問わない。

応募締め切りは8月21日。同月下旬に書類審査、9月にプレゼンテーション審査を行い、商品開発を実施。来年2月に成果報告会を予定している。

問い合わせは、県観光物産課(電話029-301-3617)。

《雑記録》13 アメリカ大統領選挙・雑感

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【コラム・瀧田薫】2013年1月、再選されたオバマ大統領は2度目の就任式に臨み、リンカーン大統領と公民権運動の指導者キング牧師が愛用した聖書に手を置いて就任の宣誓をした。このパフォーマンスにこめられた政治的意図は、アメリカ建国以来の宿痾(しゅくあ)である人種差別を解消し、分断された社会に調和と協調をもたらすことにあった。しかし、不幸なことに、アメリカ初の黒人大統領の願いは実らず、トランプ大統領の登場以降、アメリカ社会の分断はむしろ拡大の一途を辿(たど)っている。

今年11月、トランプ大統領は再選をめざして民主党候補バイデン氏とたたかう。現時点(7月2日)で、大方の専門家の予想はバイデン氏有利としているが、前回選挙同様、予断を許さない。それはさておき、ここまでの選挙運動を通じて目立った動きは、オバマ氏が前職大統領としては異例なほどにバイデン氏に肩入れし、支援する姿勢を見せていることだ。トランプ氏が再選されれば、アメリカ建国以来の理想(自由、民主主義、人権など)の崩壊につながるとの危機感が彼の背中を押しているに違いない。

2020年5月25日、米中西部ミネソタ州ミネアポリスで、白人警官が黒人男性の首を膝で押さえ続けて死亡させる事件が起きた。この映像がネットを通じて拡散されると、全米各地で人種差別に抗議するデモが発生し、時間の経過とともに、デモは人種差別に対する抗議の域を超えて、米国社会に残る「構造的な差別」の根絶を訴える運動へと展開しつつある。黒人奴隷制度と先住民からの収奪のうえに繁栄を遂げた米国の歴史そのものを見つめ直す議論も始まっている。

南北戦争のトラウマが大統領選に影響

一例をあげれば、南部ミシシッピ州議会(上下院ともに共和党が多数を占める)は、南北戦争(1861年)で南軍が使用した旗をあしらった州旗を廃止する法案を圧倒的な多数で可決した。アメリカの全州の旗から南軍旗のデザインは消え去ることになる。アメリカで、何かが動き始めたようだ。

筆者は、過去何回かの米国大統領選挙について、毎回同じ仮説上に立って分析を試みてきた。すなわち、「南北戦争」(同じ国民同士が殺し合った記憶)のトラウマが大統領選挙の結果に影響を及ぼすのだが、その影響の出方(強弱)は選挙ごとに異なるという仮説である。例えば、オバマ氏の選挙の時よりもトランプ氏の選挙の時に「分断国家」のトラウマはより強く出た。分析の手法としては実に単純で、南軍に参加した州と北軍に参加した州それぞれにおける投票行動(誰に投票したか)を比較する。

ちなみに、前回選挙においては、予想どおり、南軍に参加した州の投票はトランプ氏に有利に出た。今回の選挙においては、アメリカの歴史上、これまでにない何かが起きるかもしれない。ただし、今回の選挙の結果がどちらに転ぼうとも、日本国が受ける影響は深刻なものになる。それだけは確かなことだ。(茨城キリスト教大学名誉教授)

個別テントなど備蓄へ 土浦市がコロナ対応避難所指針

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記者会見する安藤真理子土浦市長=6日、同市役所

【鈴木宏子】新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、災害発生時に避難所での集団感染を防ごうと、土浦市は新たに「新型コロナウイルス等感染症対応避難所運営指針」を策定した。6日開かれた定例記者会見で安藤真理子市長が発表した。避難所となる体育館で使用する個別テントなどを新たに備蓄する方針で、7月に開く臨時議会に諮るという。

運営指針は、避難所での「密」を防ぐため①車中泊や親せき、友人宅などに避難する分散避難を推奨する②小中学校の体育館以外に校舎の教室や公共施設、民間施設を有効活用して避難スペースを確保する③避難所では消毒や換気など感染防止対策を実施するーの3つが柱。

分散避難の推奨では、車中泊が増えることが予想されるため、避難所となっていてトイレや水が確保できる学校校庭や公園などに車中泊に適した場所を確保する。

避難スペースの確保は、小中学校の教室や公民館、保健センターなど公共施設の活用のほか、災害協定を締結している民間企業や、個室のある民間宿泊施設などとも調整する。

避難所の感染防止対策は、一般避難者向けのスペースのほかに、熱があるなど体調不良者向けの部屋と、高齢者や障害者など要配慮者向けの部屋などを別々に用意する。個別テントや間仕切り用のパーテーションなどを備蓄し、不足した場合は段ボールで代用する。すでに備蓄しているマスクや消毒液、ビニール手袋、非接触型体温計の備蓄量をさらに増やす。

運営面の感染防止対策は、避難者の体温や健康状態を確認する、消毒液などを設置する、避難者同士は2メートルの間隔を確保する、換気のため1時間に1回程度、2方向の窓を10分間開ける、手すりなどは1時間に1回程度を目安に消毒するーなどを定めている。

避難所で新型コロナウイルス感染者が発生した場合についても、保健所と連携し感染者を医療機関に移送する、感染者がいたスペースを消毒する、濃厚接触者が他の避難者と接触しないようにするーなどと明記している。

9日、市職員60人が訓練

指針策定を受けて市は、災害時に避難所に直行する役割の市職員約60人を対象に9日、同指針に基づく初の避難所開設研修会を開催する。安藤市長は「職員の研修や訓練を繰り返し実施し、より適切な運営が図れるよう防災力向上に努めたい」と話した。

まずは分散避難を推奨

豪雨や台風が増える出水期に入った現在、霞ケ浦に面し、桜川が市の中心部を流れる同市は、市中心市街地一帯が浸水想定区域となっている。

つくば市北部で浸水が発生した昨年10月の台風19号の際、同市では26カ所の避難所に最大2048人が避難し、混雑した避難所もあった。

市危機管理室によると、今回策定した新たな指針により、水害の場合、公共施設の屋内避難所は現在の25カ所から43カ所に増える。

ただし避難者同士の距離を2メートル以上確保すると1施設に避難できる人数が限られるため、同市では分散避難の推奨により、公共施設の施設内避難者数を昨年の台風19号時の半分にすることを見込んでいる。まずは分散避難の推奨がコロナ禍の避難所運営のかぎになる。

動画はJ:COM茨城提供

【高校野球代替大会】常総 佐々木監督に聞く4 伝説のヒーローが好影響

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投手の2枚看板、菊地竜雅(㊧、中学3年の春季シニア関東大会当時)と一條力真(中学3年7月の夏季全日本軟式関東大会当時)

【伊達康】県の高校野球代替大会が11日から始まる。優勝候補筆頭、常総学院の佐々木力監督にインタビューした4回目は、ノッカーの心得やスカウティングについて聞いた。

島田直也さんがコーチに

ー今年からOBで元プロの島田直也さん(日本ハム、横浜などで活躍)が投手コーチとして加わりました。島田さんが加わったことはチームにどのような影響を与えたでしょうか。

佐々木 やはりプロで活躍してあれだけの成績を残した投手なので選手の信頼が厚いと言いますか、私には言いづらいことでも島田君には話したりしているようです。

私が野手出身なので、投手目線で指摘してもらったりあらゆる面でプラスになっています。取手二高でいうとエースの石田文樹(横浜で活躍、がんにより41歳で死去)が伝説のヒーロー扱いされるんですけれども、常総学院では島田君が石田みたいな伝説のヒーローなので(笑)。その辺は子どもたちも分かっていて、目を輝かせながら会話しています。

逆転で勝つ常総へ

ー大変聞きづらい質問ですが、試合終盤、特に9回に逆転負けを喫することがここのところ続いています。逆転負けについてどうアプローチし対策を講じているでしょうか。

佐々木 逆転負けに菊地と一條が絡んでいるのがほとんどなので、最後の夏にそのあたりを本人たちがどう解決してくれるか楽しみにしています。

これだけ投げる機会がなくスタミナが持つとは到底思えないので完封、完投っていうのはないと思います。

無理して投げさせたら壊す危険性もあるし。その辺は本人と話し合いながら大会に入っていこうと思います。あまり先行しないでこの大会は逆転で勝つ常総にしたいですね(笑)。

ノッカーの心得

ー常総学院の試合前ノックは芸術作品のようにリズミカルに進んでいく印象です。よろしければノックを打つ際にノッカーとして気をつけていることを教えていただけないでしょうか。

佐々木 私の場合、シートノックの7分間で大体110本くらい打っています。どういうノックを打つかという前に、選手20人と同じ呼吸で、同じリズムで入ることを心がけるべきですね。ギリギリのプレーとかじゃなくて、リズムで一連の動作が流れるようになるのが一番きれいなノックですし、「俺がノックを打ってやるんだ。俺がノッカーで偉いんだ」ってなると、絶対に選手は固まってしまいます。

リラックスして捕りやすいようにする。次どこに打つか決まっていますし、それをきちっと選手も分かっていますので。自分が周りに魅せたくて「あと3メートル右に打ってください」とかいう要求をしてくる選手も昔はいましたね。

110本をリズミカルに打っていって、選手たちがそこに乗っかってくれれば、本当にノーエラーでいけます。昔は110本打ってエラーが1個とか2個とか、シートノックの練習をしながら数えていました。

今はそこまで考える必要はないんじゃないかと思うんですけれども。気持ちを一緒にしてノックをやるみたいなところに気を遣っていましたね。

怒っているときはやっぱりずれが出てくるので、ノックを打つときは気持ちを落ち着かせて打つ。シートノックではない普通の練習の時は引っかけたりこすったり色々打ってやります。今は変化球の球種が多いので、先っぽや根っこに当たった打球も多いですからね。そうやっていくと選手は上手くなっていくと思います。

ボールがバットのどの部分に当たって切れていくか、伸びていくか、ヘッドを立てたり下げたり当たり損ねたりというのをノックでやってやらないと、試合では何本もないのに対応できませんからね。ノックで色々見せてやると、バットにどう当たればボールがどう回転するかが分かるので、バッティングの技術的な部分もノックを見ながら学習していく選手もいました。

スカウティングで重視すべきこと

ー最後に、選手のスカウティングについてお聞きします。中学生をスカウティングする際に重要視しているポイントはどこでしょうか。たとえば体つきですとか、フォーム、足の速さ、運び方などのポイントはありますでしょうか。

佐々木 センターラインがスカウティングで一番大事だと思います。キャッチャーに関しては肩が強いというのが条件ですね。それに股関節が硬いとショートバウンドが止められません。昔は体の大きなキャッチャーがホームでクロスプレーに有利だということでしたが、今はコリジョンルール(衝突プレー防止規則)があってそんなに大きなキャッチャーは必要なくなりました。

正捕手の中山琉唯(小山ボーイズ)なんかもそんなに大きくはないのですが、三拍子揃っていて非常に欲しかった選手なので、20校近くの誘いがあった中で熱烈に誘ってうちに来てもらいました。

1番捕手で主将の重責を担う中山琉唯=正面㊨、昨年秋の大会

ピッチャーは伸びしろを考えながら獲るっていうのが大事ですね。一條(力真、石岡中)なんかは軟式(オール県南選抜)の2番手でひょろひょろしていましたが、お母さんが大きくて、お父さんもがっちりしていますので、お母さんが大きいのでたぶん大きくなるから育ててみるかということで、大峰先生と相談して獲りにいきました。

当時180センチに満たなかったですが今は189センチです。また、取手シニアのエースとして全国でも有名だった菊地(竜雅、けやき台中)に関しては当時から137キロ放っていてできあがっていましたので是非欲しいと。できあがっている選手を獲るのも一つだし、伸びしろを計算して獲るのも大事だと思います。ピッチャーは怪我などがあり一人だけでは成り立たないですから、4人くらい獲れれば一番良いです。それも左右2枚ずついれば最高です。

ショートに関してはハンドリングと足裁きが一番大事だと思います。近年、カウンターになってボールに衝突してしまう選手が多いです。やはり肘から先で吸収できるような柔らかいハンドリングを持っている子が常総のショートにふさわしいのかなと。歴代のショートは金子誠さん(日本ハムで活躍し現在一軍野手総合コーチ)をはじめ非常に上でも活躍する選手が多いので、そういうところを見ながらスカウティングをしています。

外野に関して、以前は内野やピッチャーをやっていた子に外野をやらせたこともありました。内野ができれば外野もできるだろうと。ただやはり今は専門職というか、外野でトップクラスを獲らないと太刀打ちできません。ノックの量が少なくなったというのもあるのでしょうけれど、脚力プラスボールへ最短距離でいける感性を持った子が少なくなったので、そういう専門的な外野手を獲らないと潰しの起用では難しいと思います。

昨夏の日立商戦でコールド勝ちを決める2ランを放ち喜ぶナインが待ち構えるなか両足でホームを踏む中妻翔

ーそういった面では中妻翔選手(日体大1年)は外野手として抜群の能力を発揮していましたね。尋常じゃない守備力でした。

佐々木 中妻の場合、入学したての1年春のオープン戦でいきなりセンターとして起用したのですが、絶対に抜けるよなという大きな当たりを軽々と捕っていましたので、これはセンターが出来上がったなと、安泰だなと、その時点で確信しましたよ。ピッチャーでも左で小さい子でしたけれど、コントロールが良いので重宝しました。本当にユーティリティプレーヤーでしたね。

進学先の日体大の監督さんからも、素晴らしい選手だと、春先からメンバーに入る予定であると連絡をもらっていたのですがリーグ戦がありませんでしたからね。木のバットに対応できれば十分活躍できると思っています。(常総学院監督インタビュー編 終わり)

《吾妻カガミ》85 つくば市長選 2つの風景

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つくば市役所正面玄関サイド

【コラム・坂本栄】国や県のコロナ警戒レベルは下がりましたが、マスク着用とか対人距離など、まだ不自由な日々が続いています。コロナ問題を何度も取り上げてきた本コラム。今回は、「いま、つくば市政が面白い」(6月15日掲載)、「つくばの市長戦まで5カ月」(6月1日掲載)で扱った話をフォローアップします。

本コラムに市から抗議!

「いま、つくば市政が面白い」では、市が4月に発表したコロナ施策の目玉「市内事業者応援チケット事業」について、「(市は制度設計を)内々に変えました」と指摘したところ(詳しくは上の青字部をクリックしてご覧ください)、市の幹部から「変えていない」と抗議の電話が入りました。これに私は以下のように反論しました。

1点目は、事業の柱であるクラウドファンディング(CF)について。CFとは「リスク承知の投資資金をネットで集めること」です。したがって、応援者がおカネを払い込む際に受け取るチケットが紙クズになっても、おカネを集める側に払い戻し責任はありません。ところが市は、この事業を発表したあと、チケットに「払い戻し保証」を付けました。設計の基本を変更したわけです。

2点目は、応援チケット事業の事務局について。市議会への議案説明、そのあとの市長記者会見では、事務局として「つくば観光コンベンション協会」などの業界団体が例示されていました。ところが最終的には、事務局は業界団体=民ではなく、市役所=官に置かれることになりました。これも大きな変更です。

それなのに、市はなぜ「変えていない」と言い張るのでしょうか? どうやら、変更を認めるのは格好(かっこう)が悪いと思っているようです。でも、いま流行(はやり)のCFでおカネを集めてチケットを配るという事業の設計のうち、CFはリスクマネー(大損覚悟のおカネ)の受入口ではなく、払い戻し保証を付けることによって、単なる入金口座に機能が変更されました。こうしなければ、市はリスクのある投資事業(!)を運営していたことになりますから、賢明な変更といえるでしょう。

要は、入金先をCFでなく銀行口座の類にしておけば、迷走はなかったのです。秋の市長選挙を意識した現市長のパフォーマンスは、何かと手違いを引き起こすものです。

コロナは市長選の障害?

もう一つのコラム「つくばの市長選まで5カ月」では、「(現市長のほかに)保守系の現職県議が着々と(立候補の)準備を進めています」と書きました。こちらも、詳しくは青字部をクリックしてください。ところが、先月、この挑戦者は出馬を断念してしまいました。

政治家も政策も選挙で鍛えられます。現県議と現市長との激戦と読んでいただけに、残念です。戦線離脱の理由について、コロナ禍が長引き思うように活動できないと話しているそうですが、いろいろあったようです。準備はかなり進んでいたと聞きますから、この県議にとっては大きな政治的失点になります。新しい挑戦者の登場を待ちましょう。(経済ジャーナリスト)

【高校野球代替大会】常総 佐々木監督に聞く3 「3年生主体で勝ちにいく」

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2016年に優勝しマウンドに集まるナイン(水戸市民球場)。この年以来の夏の頂点を狙う。右は佐々木力監督(常総学院グラウンド)

【伊達康】県の高校野球代替大会が11日から始まる。優勝候補筆頭、常総学院の佐々木力監督にインタビューした3回目、大会に向けた意気込みなどを聞いた。

ーいよいよ11日から代替大会が始まります。常総学院はシードのため初戦の相手は18日に取手二と取手松陽の勝者と決まりました。今大会をチームとしてどのように位置付け戦うのか、大会に向けての意気込みを教えてください。

佐々木 3年生は全員ベンチ入りします。大学に行って野球を続けたくても、一度も公式戦で登録されていない場合は高校での実績がないため大学から評価してもらえません。

今回は代替大会ではありますが、それを県大会として位置付けて評価してくれる大学さんもあるので、大学で野球をやるかどうかに関わらず、今までの公式戦で一度も登録されていなかった選手を背番号一桁から登録し、優先的に出場させます。

その後の背番号には県大会や関東大会で登録されたことがある3年生が並びます。40番まで背番号を作ったので残った番号には下級生が待機し、ゲームの状況によって出られるようにします。地区予選はこのような布陣で臨みます。

3回戦(県大会)以降は3年生優先のフルメンバーで背番号を与えたいと考えています。18日は大学進学のために有利なGTEC(英語4技能検)という検定試験の日程と重なっており出場できない選手が何人かいます。通常ですと野球の方が優先なのですが、今年は野球だけで大学に行けるかというと難しくなりそうですから必要な子には受けさせます。その選手のためにも初戦は絶対に落とせません。

また、県の代替大会ということで土曜日と日曜日に行われる、普段の夏の大会と異なる日程ですので、それに早く慣れるように持って行くことが大事だと思います。

それと、3年生を出してやりたいという大会でありながら、最後は優勝で終わりたいという強い気持ちがあるので、勝つためには力のある下級生も少しは入れていかないといけないのかなとも思います。

その辺は勝ち上がりながら、試合を進めながら考えていこうと思いますね。ピッチャーも野手もスタミナ、持久力を相当鍛えなければいけない時期にコロナの影響があり、思ったような練習ができなかったものですから、今年は特に疲労や球数なども見極めながら優勝を目指してやっていきたいと思います。

霞ケ浦と明秀日立を警戒

ー他のチームについてお聞きしたいと思います。この夏、一番警戒する選手やチームはどこでしょうか。

佐々木 春の大会が中止になって試合を見ていないし全く分からないんですよね。

霞ケ浦のエース左腕の山本雄大君とは先日練習試合で対戦したんですが、秋からかなり成長していました。非常に良くなっている。結果は2対0で勝ちはしましたが、油断できない相手です。県南では霞ケ浦が上がってくるのかなと思います。

明秀学園日立は良い選手がいるし、練習試合の結果も強豪を相手に勝ち試合をしているという話も聞いているので、県北でマークすべきは明秀でしょうね。

ー昨夏、準々決勝で常磐大高の所宜和君に4安打5打点を浴びました。所感をうかがえればと思います。

佐々木監督が頼もしくなったと語る菊地竜雅。試合展開を読んで準備する(昨年秋の大会)

佐々木 所君には菊地が打たれたんですけれども、一條(力真)も菊地(竜雅)も去年よりはるかにレベルアップしていますし、今年は良いゲームができるんじゃないかと思います(笑)。

この1年で菊地は特に内面がたくましくなりましたね。一條を先発させて菊地が抑えというパターンで投げさせることが多いのですが、以前は自分から投げたいと申し出ることがありませんでした。しかし最近は、一條がピンチを招いても菊地は全然動じずに「行けますよ」みたいな感じで準備しアピールできるようになっています。

すごく頼もしくなっているし成長を感じる。代替大会を前にしてこのチームは自分と一條で勝つんだという自覚が芽生えてきましたね。チームのためにという姿勢が見られるようになりました。(続く)

《霞月楼コレクション》3 小川芋銭 農村と水辺の風物を愛した文人画家

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「浮れ舟」紙本淡彩 霞月楼所蔵

長期滞在の礼にと贈られた作品

【池田充雄】小川芋銭(おがわ・うせん)が霞月楼に滞在した際、主人に贈ったとされる作品「浮れ舟」を掲げる。制作年代は1934(昭和9)年春と伝わるが定かではない。かつての霞月楼は宿泊もでき、長逗留(とうりゅう)して作品に向かう文人墨客(ぶんじんぼっかく)が多くいたそうだ。

落款(らっかん)には「芋銭併題」とあり、これは画と題(賛、添え文とも)共に芋銭という意味。題の冒頭にある「花」と「月」の図柄で「花月」と読ませ、店の名である「霞月」を折り込んだ。全文は以下のように読める。

「花月美なるてふ 千金のよい おぼろ月夜や かすみが浦に 遊ぶなら あの うき草の 浮れ舟」

洋画を学び挿絵画家として出発

小川芋銭は1868(慶応4)年、江戸・赤坂溜池の牛久藩邸に生まれた。本名茂吉。父は同藩大目付職を務めたが、1871(明治4)年の廃藩置県を機に帰農し、牛久沼畔の新治県城中村(現牛久市城中町)に住んだ。

小川芋銭

芋銭は1879(明治12)年に上京すると、本多錦吉郎の画塾「彰技堂」で洋画を4年間学んだほか、独学で和漢洋の画技や教養を修めたという。その後、政治家でジャーナリストの尾崎行雄の推挙を受けて「朝野新聞」の画工となるが、1893(明治26)年、父の意思により牛久に戻り、農業に従事する。

1903(明治36)年、「読売新聞」の懸賞絵画に応募した「新年の意」が第1等当選し、元旦の紙面に掲載された。この頃から「いはらき」「平民新聞」など多くの新聞雑誌に挿絵や短文を発表し始める。1908(明治41)年には初の作品集「草汁漫画」を刊行し、挿絵画家としての名声を高めた。

院展の同人になり土浦で初執筆

1911(明治44)年、友人の小杉未醒(放庵)と2人で初の展覧会を東京と大阪で開催。1915(大正4)年には平福百穂、川端龍子らと「珊瑚会」を結成し、1917(大正6)年6月の第3回珊瑚会展に出品した「肉案」が横山大観に激賞され、日本美術院の同人に迎えられた。

「肉案」1917年 紙本墨画軸装 137×64cm 茨城県近代美術館所蔵

同年8月、芋銭は院展同人としての初作品を制作するため、画想を霞ケ浦に求めた。舟で数日かけて巡った後、神龍寺(土浦市文京町)の一室を借りて2景を描き上げ、牛久へ戻って残り3景を完成させ、「澤國五景」として9月の再興第4回日本美術院展に出品。これを斉藤隆三は「やや漫画的な臭いを残しつつ、克明な写生に基づく細心な風景」と評している。

内助の功により画家として大成

生来虚弱だった芋銭が農業を営みながら画業を続けられたのは、1896(明治29)年に結婚した妻こうの働きぶりが大きかったという。河童や獺(かわうそ)などの妖魅を多く描いたのも、神経衰弱による幻覚の現れと見る人もいる。

画号の「芋銭」は「自分の絵が芋を買うほどの銭になれば」という思いによる。また「牛里」の号で俳人としても活躍し、正岡子規らとも交流があった。雑誌「ホトトギス」では1910(明治43)年から没年まで、表紙絵や挿絵を数多く手掛けている。

芋銭は1938(昭和13)年12月、自宅前の画室「雲魚亭」で没した。この建物は現在、小川芋銭記念館として牛久市が管理し、作品や遺品、書簡などを展示している。墓は近くの稲荷山得月院にある。

「水魅戯」1923年 紙本淡彩軸装 62.4×95.2cm 茨城県近代美術館所蔵
  • 取材協力・参考資料 ▽茨城県近代美術館▽赤坂美術▽図録「小川芋銭展」(2012年、茨城県近代美術館)▽書籍「芋銭書簡拾遺」(1942年、山雅房発行)▽北畠健「小川芋銭研究」ウェブサイト▽牛久市観光協会ウェブサイト

【高校野球代替大会】常総 佐々木監督に聞く2 バッティング感覚にズレ

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戦況を見守る佐々木力監督(中央)=昨年秋の大会

【伊達康】県高校野球代替大会が11日から始まる。優勝候補筆頭、常総学院の佐々木力監督にインタビューした。2回目はチームの状態について聞いた。

ー現在のチーム状況について伺います。空白期間の影響でバッティング感覚のズレが生じているとのことでしたが、練習試合でもあまり快音は出ていないのでしょうか。

佐々木 もともと今年は守備中心の投手力のチームだったので、冬場にどれだけ打ち込んだりトレーニングをしたり、また春先から生きたボールを打って打線を上げていくかというのが夏へ向けてのテーマだったんですけれども、それができませんでした。

その分、今まさに巻き返しをかけているのですが、感覚が戻ってきている子と戻ってこない子がいる。打順を入れ替えながら、また新戦力も見極めながら夏の代替大会のメンバーを組んでいこうと思います。

ー秋は飯田徹選手が4番を打っていましたが、飯田選手も調子を落としていますか。

佐々木 飯田もちょっとズレがあります。本来、気持ちがぶれるような子ではないのですが、春の大会がないとか、夏の甲子園がないとか、そういうショックを引っ張っていたような感じがします。

また、飯田だけではなくて何人かは大学進学という面で、大学のスカウトさんが県外に出られなくて見に来てもらえませんでした。こちらから行きますといっても「それはできないんだ」と断られる。そういった状況ですから、思う通りの進学先から良い返事をもらえていないということもあります。甲子園もない、進学先もうまく決まらないという状況で、何人かの選手は尾を引いているのではないかなとも思います。

2013年にエースとして甲子園8強入りを果たした飯田晴海投手(現日本製鉄鹿島)の弟・飯田徹が4番に座る=同

Wエースは上々の仕上がり

ー甲子園も地方大会も中止となった中で、茨城県は代替の大会を開催する運びとなりました。大会に向けて練習試合を重ねられていますが、言える範囲で、最近どのチームと練習試合を組んで、内容はどうだったかなど、知りたい高校野球ファンがたくさんいると思うので教えていただけないでしょうか。

佐々木 一昨日(6月27日)の学法石川戦では先発の一條が3回を持たずに6点を取られました。今まで試合を重ねてきて初めてこんなに打たれたもので、非常にショックを受けていましたね。

でも翌日の聖光学院戦ではお互いにベストメンバーで組んで、一條が2連投ということで先発しましたが、6回をピシッと抑えてくれました。

7回から遠藤にスイッチして、遠藤が一、二塁のピンチをつくって1回を持たずに菊地をマウンドに上げたのですが、菊地が抑えて結局完封リレーとなり2対0で勝ちました。

一條はそんなに天狗になるような子ではないのですが、いろいろとプロからも注目されて、新聞や雑誌に取り上げられて進路のことも悩んだようです。

大会直前の今が一番悩む時期だし気持ちが浮つく時です。このタイミングで打たれたのもよかったのかなと思います。聖光学院戦は見違えるような感じで投げてくれました。

最速144キロを誇るプロ注目右腕・一條力真=同

細かい常総野球へと回帰

ー菊地竜雅君と一條力真君をはじめとしたプロ注目投手がおり、今年も常総の戦いぶりが注目されます。チーム全体としてはどのような仕上がり具合になっているでしょうか。

佐々木 練習試合を重ねるたびに良くなってきていると思います。バッティングでもピッチングでも一番大事な粘りが出てきている。

ピッチングであればファウルボールで相手に粘られてもフォアボールを出さない。逆にバッティングであればファウルボールで粘ってフォアボールを取る。そういうのがちょっとずつ増えてきています。

去年のチームのような破壊力のある打線ではないものですから、長打はなかなか望めないので、以前の常総がやっていた細かい野球を少しでも展開できればと思っています。やっぱり3年生ですのでその辺は体に染みついていて、毎試合こちらが求めるプレーが出ています。

ー三輪拓未選手(2年)が秋はショートのレギュラーで大活躍していました。最近は練習試合に出ていないようですが。

佐々木 三輪は今故障しているんですよ。この頃の練習試合はダブルヘッダーだと午前中には3年生のチーム同士で、午後からは1、2年生の秋のチーム同士でという日程で組んでいます。ですから三輪は秋のチームの方でDH(指名打者)やファーストをやっています。やはり秋には中心になってくる選手ですので。当然ベストの状態であれば夏の代替大会でベンチに入ってくるのではないかと思います。

続く

《つくば法律日記》9 あおり運転と平和な車社会

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堀越氏の弁護士事務所があるつくばセンタービル

【コラム・堀越智也】あおり運転に対する罰則を強化する改正道路交通法が6月30日施行されました。

これまで、あおり運転という言葉に具体的な定義はありませんでした。かつては「安全運転していたら後ろからあおられたよ」みたいな使い方がしっくりきた方は多いのではないでしょうか。それが、痛ましい事件が起き、マスコミで様々な危険な運転のニュースが取り上げられるようになり、あおり運転とはなんだ?後ろからなのか前からなのか?などと、素朴な疑問が国民に生じているさなかの道交法改正です。

あおり運転として10の類型が定められています。車間距離不保持、急ブレーキ、割り込み、幅寄せや蛇行運転、不必要なクラクション等々。あくまでもこれらの運転を「交通を妨害させる目的で」ということになっているのですが、運転があまりうまくないせいで列挙されているような10の類型に当てはまる運転をしてしまう人もいそうで、悪気ない人が不利益を被らないかと若干心配になります。

道交法が改正されたことで、これらの類型を頭に入れて運転している人は,他の車両の運転にも目を光らせることでしょう。例えば、急な車線変更をした車を見かけた時に、それが初心者であったり、道に不案内であったせいでも、警察に通報されるようなことがあれば、初心者や慣れない土地で運転する人は、少し怖くなります。僕も首都高を走っていて、どこで高速を下りるかの判断を迷い、急に車線変更しなければならなくなった時に困るなあと心配になります。

さらに言うと、マスコミで取り上げられたような危険な運転をしている人に、10種類の類型のどれかに当てはまる車を見つけて、嫌がらせをするための武器を与えていないかと心配になります。

一番は思いやり運転

今回の道交法改正は、痛ましい事故の影響を受けている点で、飲酒運転の厳罰化とパラレルに語られることがあります。確かに、飲酒運転の厳罰化の経緯に、マスコミで重大な事故が取り上げられ、かつ当時の法律だと罰則が軽すぎるという事情があったことは、今回と同様です。しかし、飲酒運転は、厳罰化しても、交通ルールを守っている真面目なドライバーにとって何ら困ることはありません。また、僕の手元にデータがあるわけではありませんが、飲酒運転をしているドライバーが多かったことも事実なのだと思います。

しかし、今回の道交法改正に関しては、真面目ドライバーが運転をするのに不安を覚える可能性があると思います。また、悪質なドライバーがどれだけ多いかというデータをとって、国民の運転態度を制限することにしたのか、疑問があります。

ただ、車がないと生きていけない車社会に生きる僕の思いとしては、道交法が改正されたことは仕方ないとしても、その過程で、思いやり運転を推奨する議論をもっとしてほしかったです。

マスコミが取り上げた事例に、周囲の車に腹を立てて危険な運転をしている人がいましたが、実はその周囲の車に悪気はなく、運転技術があまり高くないだけの場合も多いです。そんな時、少し冷静になって他者を思いやれば、腹を立てずに済みます。

また、初心者や運転技術があまり高くない人への思いやり運転を心がけていれば,改正道交法を根拠にむげに他のドライバーを批難することも減るでしょう。車社会に身を置いて大切だと感じることは、個々の運転技術や注意力もさることながら、一番は思いやり運転です。

厳罰化がやむを得ない場合もありますが、「人を罰するよりも許すことの方がはるかに気高い」と言ったガンジーの言葉は、相手の表情が見えにくい車社会では、より当てはまるような気がします。あおり運転を減らそうとした改正道交法が、国民同士の罰し合いをあおらないことを祈るばかりです。(弁護士)

感染対策をステージ2に引き上げ 新型コロナで県

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茨城県庁

【鈴木宏子】新型コロナウイルスの新たな感染者について、大井川和彦知事は3日、県内で新たに6人の感染者が確認されたとして、感染対策指針を最も緩い現在のステージ1から1段階引き上げ、ステージ2に強化すると発表した。

3日の新規感染者6人は、つくば市の20代男性派遣社員▽つくばみらい市の40代男性公務員▽他県の患者の濃厚接触者である美浦村や龍ケ崎市などのいずれも20代女子学生4人。

6人が確認されたことにより、感染対策指針の6つの指標のうち3つがステージ2の状況になったことなどから対策のステージを引き上げる。

県内の6月20日以降の新規感染者は計14人で、20代を中心に6割以上が都内で感染したとみられている。感染場所は通常の会食やイベントへの参加など。

大井川知事は、東京はいわゆる夜の街に行かなくても感染し得る状況になっているとして、東京への移動や滞在は慎重に判断するよう注意喚起した。さらに70歳以上の高齢者や妊婦などに対しては,外出を慎重するなど注意喚起している。

対策指針を改訂、一律の行動制限回避へ

大井川知事は併せて、感染対策指針の改定を発表した。第1波で実施した外出自粛や休業要請など一律の行動制限を回避するため、検査体制や医療提供体制を拡充させ、新しい生活様式の業種ごとのガイドラインを浸透させた上で、個別の店舗、施設の感染防止対策を後押しする。

学校については原則、休校しない方向とする。万が一、学校で感染者が発生した場合も一律に休校とするのではなく、幅広く検査を実施して感染拡大を抑え込むとした。具体的には校舎などの消毒のため2日間程度は一斉休校とするが、その後はクラス単位などで限定的に休校を実施する。さらに休みとなる児童生徒に対してもオンライン学習や分散登校などを組み合わせながら学習機会を確保していくとした。

検査体制については、PCR検査などを現在の1日300件から9月末までに1100件(うち抗原検査250件)に強化する。地域外来・検査センターも現在の4カ所から9月末までに15カ所とする。

大井川知事はその上で県内の事業者に対し、感染拡大防止システム「いばらきアマビエちゃん」=メモ=の導入と活用を呼び掛けた。

※メモ
【いばらきアマビエちゃん】18業種とイベントについて、県が作成した感染防止ガイドラインに基づく対策をとっていると宣誓した事業者に証明書(宣誓書)を発行する制度。事業者は「いばらきアマビエちゃん」という2次元コードを使って申し込む。一方、店舗や施設の利用者は、宣誓書に記載してある2次元コードを読み取って自分のメールを登録すれば、同じ日に同じ施設を使った人から感染者が出た場合、連絡が行くというシステム。近く「いばらきアマビエちゃん」のスペシャル版を作成し、感染がさらに拡大して対策指針がステージ3やステージ4に強化された場合、登録店以外の利用を自粛するよう県民に要請する方針だ。

【高校野球代替大会】常総 佐々木監督に聞く1 「気持ちの整理つかない」

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常総学院、佐々木力監督。忙しい中取材を快諾してくれた

【伊達康】いまいましい感染症の流行が世界のスポーツシーンを激変させた。高校野球においてはセンバツ甲子園だけでなく夏の甲子園までもが中止となり,その前段の地方大会も中止となった。

時を刻めない、区切りが付かない、最後の夏を奪われた球児たちの救済策として、県高野連は独自の代替大会の開催を決定した。

大会の名称は「2020年夏季茨城県高等学校野球大会」。今月11日から始まる大会は茨城の夏の頂点を決めるチャンピオンシップである。交流戦のような形を取って終わりにする他県高野連もある中で、選手に寄り添った茨城県高野連の英断にはとびきりの賛辞を送り敬意を表したい。

大会は原則無観客だが、野球部員1人に付き保護者2人まで入場できる。また登録人数に制限はなく野球部員は全員が出場可能とする柔軟な方針が示された。

コロナ禍を経て、最後の夏とどのように向き合うのか、代替大会を間近に控えた有力校の監督に話を聞いた。

春季大会中止、全体練習禁止

第1回は茨城が誇る名門・常総学院の佐々木力監督。常総学院は昨年秋の県大会で優勝し、今大会でも優勝候補の筆頭といえる戦力だ。菊地竜雅と一條力真というプロ注目の大型右腕2人を擁しながら野球ができないもどかしい日々をどう過ごし、夏に向けていかに気持ちを立て直していったのだろうか。

ー今年はコロナ禍で大変な年となりました。まず、3月11日にセンバツ甲子園の中止が決まり、3月30日に茨城県の春季大会の中止が決まりました。春季大会中止を聞かされた時のお気持ちはいかがだったでしょうか。

佐々木 先に高体連が大会の中止を決定していたので、センバツの中止もあり得るのかなと薄々は感じていたのですけれど、やっぱり中止はあってはならないことではないかと思うんです。3年生にとってチャンスが減るというのはなんとか避けたかった。中止を決定して可能性をゼロにするのではなくて、50%でも60%でも残してもらって、それでまた考え方を修正するみたいな形にしてもらいたかったなと。いきなり「大会はやりません。可能性はゼロです」というのは3年生にとっては非常に残酷な結果だったと思います。

ーその後、4月16日には全国が緊急事態宣言の対象地となり、寮生活すらままならない状態になったと思います。4月下旬だったと思いますが、私が野球場の前を通りかかりましたら「部外者立入り禁止」とのバリケードがありました。緊急事態宣言が出されてから宣言が明けるまでの期間、チームとしてどのようにモチベーションを維持し、練習をされていたでしょうか。

佐々木 3月からは全体練習は一切なし。寮や自宅から集まって自主練という形をとりました。緊急事態宣言の頃には寮を解散し自宅に戻しましたので、グラウンドを開放して、親の自動車による送迎でグラウンドに来られる人は自主練をしていました。特にピッチャーの体がなまってしまっては元に戻すのが大変なので、自宅に帰すに当たって「3日に1回は誰かを相手にしてボールを投げるように」と言い聞かせました。

ピッチャー陣は3日に1回は親の送迎のもとブルペンに入ったり走ったりしてくれていたようです。野手も同じようにバッティングやら守備やら自主練をやっていました。出身のシニアやボーイズのグラウンドで中学校の仲間とキャッチボールやバッティングをやっていた選手もいたようです。

5月25日に学校の分散登校が始まるということで、県外の選手もいるものですから、検温や手洗いなどを徹底しながら状況をみて登校させようということで、1週間前の5月18日に全員を寮に集めました。風邪症状のある選手はおらず、徐々に練習を再開することができました。全体練習を再開してみて、ピッチャーはそこそこ放れる状態でしたが、やはりバッティングは試合形式から離れていた分、感覚のずれが生じてしまっていました。今も打線という感じにはなっておらず打(点)という感じで得点能力が低い部分が見受けられます。

昨年4月の常総学院野球場のホワイトボード。コロナ禍がなければこれだけの試合をこなしているはずだったのだが

「中止あってはならない」

ー5月20日には夏の甲子園大会が79年ぶりの中止と決まりました。中止が決まった日、佐々木監督は何を思い、選手にどのような言葉をかけましたか。

佐々木 中止はないだろう、と強い憤りを感じました。実際には上が決めることなので仕方ないのですが…。選手たちには夏の大会が中止になってしまったということで、気を落とすだろうと思っていましたが、やっぱり3分の1くらいの選手は泣いていました。そんなの当然だと思いますよ。「これを機に野球を辞めますとか、野球を嫌いになったとか、そういうふうになるなよ」という声はかけたんですけれども…。甲子園はないけれど、大学の野球が待っているので、そこに向かって練習しようという話をしました。

ー佐々木監督ご自身のお気持ちはどのように整理されたでしょうか。

佐々木 私は高校野球に30年余り携わっていますが、やはり中止はあってはならないことですね。暴力事件で出場停止なんていうのは身から出たサビのようなところがあるので受け入れるしかないですけれども、これは受け入れることができません。

自分の感覚では、甲子園を夢見ていた子たちから甲子園を完全に奪ってしまうことはないのではないか、時期をずらすとか、もっと選手に寄り添って対応できたのではないかと思います。

センバツの代替試合を8月に甲子園でやるでしょう。夏もそういう大会があっても良いのではないかといまだに思っていますね。ですから、気持ちの整理がついていません。

続く

《続・気軽にSOS》64 低気圧と不安と

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【コラム・浅井和幸】梅雨の真っただ中。じめじめして憂鬱(ゆううつ)な人も増えているのではないでしょうか。古傷が痛んだり、喘息(ぜんそく)がひどくなったりということもあるかも知れません。

私の知り合いにも、これらの症状を持たれている方がいます。ある人は、遠い南の海に台風などが発生して日本に近づいてくるとき、どんどん気圧が低くなっていくとき、心身ともに不安定になって一番苦しいそうです。低気圧や台風が自分の住んでいるところに居座ってしまったら、調子が悪いのは確かだけれど、悪いなりに安定するからまだマシなどと言っていました。

雨が降るときに心身の調子を崩す人たちに上記のことを伝えると、そこまで細かく気にしたことはなかったけれど、そうかも知れないという回答が返ってきます。

雨だろうが低気圧だろうが、関係ない人にとっては、そんなものは気のせいだろう済んでしまうかも知れません。しかし、インターネットで「低気圧不調」や「天気痛」などのワードを検索してみるとよいでしょう。意外と不調に悩まされている方が多いことも分かるかも知れません。実際、大学病院内に「天気痛外来」というものもあります。

さすがにここまでくれば、医学的に、生理学的に、体調に天気が関係してくることは分かりますよね。もちろん、体調に不具合が生じれば、精神的、心理的にも不調をきたしても不思議ではありません。

安心感を得る心理的な対処法

それどころか、身体的なものよりも先に、心理的とか精神的に、脳の反応として低気圧が近づくときに不調が起こっても不思議ではないのです。以前、ケガをしたときに抑うつ状態になることで暴れまわらずにじっとしていて、ケガが治りやすいという効能があるとお伝えしたことがあります。

では、私たち人間の歴史として、天気が悪いときはどのようなときでしょうか。天気が悪いときに、狩りや漁に出かけたり、山菜の採取や田畑の作業に出かけたりしたら、大きな事故に遭う確率が上がるでしょう。足元が悪く滑ったり、がけ崩れなどの災害に遭ったりするかも知れません。そんなときに、膝の故障に気付かなかったら、さらに危険が待ち構えています。

そうならないためには、不安やだるい、やる気のない状態となり、家で待機することで生き延びる機会を増やしてきたのかも知れません。また、天気が悪いときに、自分の心身の調子が悪いことを普段より敏感に察知することで、危険を避けることが出来るかも知れないのです。

現在では様々な危険が社会的に対処されていて、危険回避機能が結果的に過敏と評価を受けることもあるかも知れません。しかし、その機能が悪いものであると捉えるのと、必要なものと捉えて過剰な部分だけ緩和する対処法を探すというのでは、全く違ってくることでしょう。

様々な治療もありますし、心地よい安心感を得るような心理的な対処法も考えられます。ダメだと自分を責めずに、まずは何か好きな飲み物を飲んで、リラックスすることから始めてみてはいかがでしょうか。(精神保健福祉士)

鈴木一彦土浦市議らを不起訴に 残土無許可搬入問題

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撤去されないままの残土=7月2日、土浦市沢辺

土浦市沢辺の土地に無許可で土砂を搬入したとして、市が昨年9月、市残土条例違反の疑いで、事業者の鈴木一彦市議と、施工業者、下請け業者の3者を水戸地検土浦支部に告発した問題(19年9月11日付)で、市は2日までに、同支部から不起訴の通知があったと発表した。

市によると、不起訴理由は明らかにされてない。

市環境保全課によると、業者は昨年7月18日ごろから8月末ごろまで、鈴木氏の親戚が所有する同市沢辺の約4000平方メートルに計約3万2000立方メートルの残土を無許可で搬入した。残土には汚泥を固めた改良土などが含まれ、県外から持ち込まれたとみられるという。

市は搬入が始まった昨年7月から鈴木市議ら3者に口頭などで搬入停止と撤去を指導し、9月に水戸地検と土浦警察署に同条例違反で告発していた。10月4日付で水戸地検は告発状を受理、その後、今年5月1日、3者を不起訴とする4月30日付けの処分通知書が市に通知された。

一方、残土は、搬入からほぼ1年経った現在も撤去されることなく、平均高さ8メートルほどに積み上げられたまま残っている。同課は「撤去に向け引き続き指導していきたい」としている。

《くずかごの唄》64 スペイン風邪の恐怖

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【コラム・奥井登美子】大正8年(1919年)、日本で大流行したインフルエンザ、いわゆる「スペイン風邪」と、今度の新型コロナが、同じような規模になるのではないかと、歴史的な注目が集まっている。

スペイン風邪は土浦でも流行し、奥井の祖父も第2波の大正8年2月、53歳で亡くなっている。父親の死で、アメリカの大学に進学する夢を挫折させられた姑(しゅうとめ)は、スペイン風邪が憎らしくて仕方がなかったらしく、生前、よくそのことを話していた。

「スペイン風邪のとき、消毒なんか、誰が町の指導者だったの?」

「巡査が、やたら威張りくさっていたわよ…」

「保健所は、なかったの?」

「保健所なんて、なかったわよ、すべて、お巡りさんの仕事でね」

「お巡りさんの産地は茨城だって、私の兄がよく言っていた。『オイ・コラ』は、茨城弁なんですって」

新型コロナも、23波が来る?

私の兄、加藤尚文(故人、評論家)は慶應大学の学生時代、学徒動員で土浦の海軍航空隊に所属。そこで何があったか知らないが、教官に頭を殴られて、3日間意識不明になったらしい。教官の話す茨城弁。特に土浦の言葉を、ものすごく怖がっていた。

「巡査の産地かどうか知らないけれど、巡査が威張りくさって、『ソコ退け、ソコ退け』と、石灰を道路にまいて歩いていた」

「石灰? 石灰が消毒薬だったの?」

「そう、クレゾールなんて消毒薬が出てきたのはその後だもの」

「おお石灰、オセッカイ? お節介だ。ワクチンもない時代ですものね、薬は何があったの」

「アスピリンくらいしかなかった」

第2波、第3波、たくさんの死者で、お棺が間に合わない騒ぎだったという。新型コロナも、2波、3波が来るかも知れない。(随筆家、薬剤師)

《ことばのおはなし》23 私のおはなし⑫

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【コラム・山口絹記】血管造影検査から2日後。

眠気でリハビリに集中できない。夜通し本を音読していたせいで寝不足である。2週間後に開頭手術が決まったことで、私は焦りを感じていた。というのも、手術で命を落とす可能性は低いらしいが、脳の出血している部分を摘出するため、失語や右半身の機能障害が再発する恐れがあるからだ。

明日手術です、と言われれば諦めがつくが、2週間時間があると言われると、いろいろやっておきたいと思ってしまうのが人情というものである。朝食後からノートに色々書いては悶々としていると、母からメールが届いた。「色々と考えておこうと思っているとおもいますが、窓辺で陽の光を浴びながら考えてごらん」。

やっと点滴も外れたため、メールを読み返しながら、病棟の廊下を歩いて日の差し込むベンチに座った。外はきっと寒いのだろうが、ガラス越しの日差しは優しく気持ちよかった。

欲をかけばすべて中途半端になるのは目に見えている。想定する状況は、術後2年間、失語症状と右腕の失行が続くこととしよう。それから、自分の口から今の状況を伝えたいと思う人を選定し、術前にリハビリも兼ねて会って話しておくこと。娘のために、できる限り本の朗読を録音しておくこと。自身のためのリハビリ教材の選定と作成、それを妻に託すこと。

手術は10時間近くかかることがあるというから、その間待ちぼうけになるであろう妻と母のレクリエーションも考えねばなるまい。せっかくだから長めの落語でも録音しようか。こんなときだから古典の「死神」なんてどうだろう。すんなり考えがまとまった。なるほど、陽の光というのは大切らしい。

数ヶ国語のAVM単語帳を暗記

その後の2週間はあっという間だった。

入院中の3日間は毎日日本語の文章を7時間、英語の文章を1時間音読、消灯後を含めた4時間は術後のリハビリ教材の作成にあてた。この3日間だけでかなりスムーズな発話能力を取り戻した。日記の誤字脱字もなくなった。

連絡をとった学生時代の友人は「今から行くよ!」と駆けつけてくれた。一児の母となった幼馴染(おさななじみ)は丸一日つくばに滞在してくれた。一時退院中は娘を連れて本屋に行き、子ども用の辞書を買い、一緒に辞書をひきながら絵本を読んだ。私がことばを話せなくなると、娘が暗記してしまったお気に入りの絵本を読んでくれた。日中は同僚や上司が家に遊びに来てくれて、家族が寝静まると、娘のための朗読と、妻と母のための落語を練習し、オンライン英会話で医療従事者と病気について話し合った。

再入院前日には父がふらりと家にやってきた。散々関係ない話をして、帰り際に父は言った。「血管の奇形って言われると、製造元としては責任を感じるんだが。まぁ返品できるもんでもないしな」。

そうなのだ、有りものでどうにかやっていくしかないのだ。

手術前日、再入院した病室では、数カ国語で作成したAVM(脳動静脈奇形)に関する単語帳を暗記しながら眠りについた。明日は久々にゆっくり眠ることができる。-次回に続く-(言語研究者)

実名あげ短歌で墓碑を記す 松崎健一郎さんが第4歌集

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歌集「死者たちの時」表紙と松崎さん近影

【相澤冬樹】水戸市在住の歌人、松崎健一郎さん(72)が第4歌集『死者たちの時』を上梓した。茨城文学賞を受賞した『仕事と日々』以来6年ぶりの出版。亡くなった義母や同僚、大学・土浦一高の同級生など26人について実名をあげ、墓碑を記すかのように歌を送る「追悼」の章を設けている。

松崎さんは元高校の国語教員、茨城民俗学会で常任理事(副会長)を務める。歌集以外にも「親鸞像」「起源の物語『常陸國風土記』」などの著作がある。

歌集に収めたのはいずれも近作だが、高校教員時代にさかのぼっての「日常の風景」の記憶から始まる。

「電車内も禁煙になり高校生のたばこ吸へるを見ぬはよろしも」

やがて、訪れる老い。

「家族らの先頭をいつも歩きしが老いてはあとをついてゆくなり」

歌集後半は、死の色が次第に濃くなる。

「あの本もこの本も読んでおきたいと思へど死んでしまへば読めぬ」

そして、「追悼」の章。義母の伊藤とみ子さん(2014年没)に向けては「お金とは人を動かすみなもとの力なること知り抜きしひと」と詠む。

親鸞の研究家である古田武彦さん(2015年没)には「グランドデザイン描ける者は稀なるを古代史ならば古田武彦」、高校同級の山岡憲さん(2018年没)には「俗からはとほく息してをりながら俗に強くて頼ることあり」と記す。

歌集ではこれら物故者について、個人名のほか逝去の日にち、死因と享年まで記した。松崎さんによれば「それが墓碑には必要なものである」との思いからだそうだ。遺族の了解を取り付け掲載しており、「本の形で名前が残ることにそれぞれが喜んでくれた」と語っている。

▼松崎健一郎『死者たちの時』(A5判、150ページ、真昼のうみかぜ社、本体価格1800円)問い合わせ電話029-259-4406。