木曜日, 2月 25, 2021
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実名あげ短歌で墓碑を記す 松崎健一郎さんが第4歌集

【相澤冬樹】水戸市在住の歌人、松崎健一郎さん(72)が第4歌集『死者たちの時』を上梓した。茨城文学賞を受賞した『仕事と日々』以来6年ぶりの出版。亡くなった義母や同僚、大学・土浦一高の同級生など26人について実名をあげ、墓碑を記すかのように歌を送る「追悼」の章を設けている。

松崎さんは元高校の国語教員、茨城民俗学会で常任理事(副会長)を務める。歌集以外にも「親鸞像」「起源の物語『常陸國風土記』」などの著作がある。

歌集に収めたのはいずれも近作だが、高校教員時代にさかのぼっての「日常の風景」の記憶から始まる。

「電車内も禁煙になり高校生のたばこ吸へるを見ぬはよろしも」

やがて、訪れる老い。

「家族らの先頭をいつも歩きしが老いてはあとをついてゆくなり」

歌集後半は、死の色が次第に濃くなる。

「あの本もこの本も読んでおきたいと思へど死んでしまへば読めぬ」

そして、「追悼」の章。義母の伊藤とみ子さん(2014年没)に向けては「お金とは人を動かすみなもとの力なること知り抜きしひと」と詠む。

親鸞の研究家である古田武彦さん(2015年没)には「グランドデザイン描ける者は稀なるを古代史ならば古田武彦」、高校同級の山岡憲さん(2018年没)には「俗からはとほく息してをりながら俗に強くて頼ることあり」と記す。

歌集ではこれら物故者について、個人名のほか逝去の日にち、死因と享年まで記した。松崎さんによれば「それが墓碑には必要なものである」との思いからだそうだ。遺族の了解を取り付け掲載しており、「本の形で名前が残ることにそれぞれが喜んでくれた」と語っている。

▼松崎健一郎『死者たちの時』(A5判、150ページ、真昼のうみかぜ社、本体価格1800円)問い合わせ電話029-259-4406。

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