金曜日, 11月 7, 2025
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茨城県内の花火大会は見どころ満載(下)《見上げてご覧!》42

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写真は筆者

【コラム・小泉裕司】平成の大合併から20年。昨年から今年にかけて、全国あちこちで「市制施行20周年」を冠したイベントが催され、もちろん茨城県内も例外ではない。前回(6月22日掲載)に続き今回も、合併して誕生した筑西市や常総市の花火大会の見所を紹介しよう。

常総市合併20周年記念 第58回常総きぬ川花火大会

9月20日(土)午後6時35分から約85分間、鬼怒川河川敷を会場に、例年1万3000発のところ、合併(2006年に1市1町が新設合併)記念として、今年は約2万発(最大8号)に増量する。

山﨑煙火製造所、野村花火工業、紅屋青木煙火店(長野市)、北日本花火工業(大仙市)など、著名な煙火業者が一堂に会する大会には、全国からコアな花火好きが集う。昨年の人出は約13万人。公共交通は、関東鉄道常総線を利用。車でのアクセスは、無料駐車場は用意されていないため、チケット購入と同時に有料駐車場の確保が必要。

名物となったナイアガラ富士でのオープニングや個人申込によるメッセージ花火は定番の人気。日本煙火芸術協会会員によるコンテストは、例年、高品質の凝った作品が持ち込まれ、花火大会になじみのない人にも見応え十分。打ち上げ幅はそれほど広くないので有料の協賛席が良席。チケットの販売は7月18日から始まっている。

大会発展の最大の功労者である澤辺悦雄氏(元常総市商工会)は、煙火業界では著名人。本人とは盃を交わす仲だが、「澤辺悦雄物語」の記事を打診したところ、かたくなに首を横に振り続けている。

筑西市誕生20周年 ちくせい花火大会2025

10月18日(土)19時から約60分、道の駅グランテラス筑西周辺を会場に約2万発を打ち上げる。担当は、山﨑煙火製造所(つくば市)、野村花火工業(水戸市)、森煙火工場。昨年の人出は17万人。道の駅会場には下館駅や無料駐車場からのシャトルバスが便利。ちなみに筑西市は2005年、1市3町が新設合併して誕生した。

すべて県内の煙火業者だけで打ち上げる大会はここだけ。野村花火や山﨑花火の安定感と高いクオリティは言うに及ばず、森煙火工場は地元筑西市の花火会社で、土浦全国花火競技大会で毎回、競技の基準となる10号の審査標準玉の製作を30年以上担当する実績十分の業者。

約1時間に凝縮した2万発を超えるスターマインは、すべて音楽付き。グランドフィナーレのワイドスターマインは、3社共同のプログラム。最大幅400メートル、3カ所から打ち上げられる大パノラマを満喫できる。

筑西市と同じ20周年を迎えた人気アイドル育成ゲーム「アイドルマスター」とのコラボレーション花火は、昨年の大好評で今年も実施。IPコンテンツとのコラボは各方面で耳目を集めるが、観客参加型のプログラムとして成功した希有な事例だ。チケットの一般販売は、8月下旬を予定している。

ちなみに、サブタイトルの「時速20,000発」は、担当職員のアイデアとのこと。

茨城県は魅力的な大会がいっぱい!

前回から2回にわたり、6つの花火大会を紹介したが、県内にはまだまだ魅力的な花火大会がいっぱい。9月13日(土)利根川大花火大会(境町)、9月27日(土)大洗海上花火大会、10月4日(土)おみたま花火大会、10月11日(土)鹿嶋市花火大会、10月25日(土)サンセットフェスタIN天王崎2025(行方市)。

いばらきの花火は、7月26日の水戸偕楽園花火を皮切りに、11月1日の土浦へとまっしぐら! 本日は、これにて打ち留めー。「いばらきの夜空に どどどーん」。(花火鑑賞士、元土浦市副市長)

幼稚園の給食に異物混入 つくば市

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給食に混入していた金属片のような異物(つくば市提供)

つくば市は18日、市内の市立幼稚園に同日提供された給食に、長さ5ミリくらい、太さ1ミリくらいの金属片と見られる異物が混入していたと発表した。18日時点で健康被害の報告はなく、他校から同様の異物混入の報告もないという。

市教育局健康教育課によると、同日午前11時30分ごろ、給食の配膳をしていた同幼稚園の配膳員が、給食のデザート「レモンゼリー入りフルーツナタデココ」を配膳中、異物が混入していることに気付いた。

デザートは同日、市ほがらか給食センター谷田部で他のメニューと合わせて調理され、市立幼稚園4園、小学校6校、中学校3校に計3317食が提供された。デザートは調理前、フルーツの黄桃とパイナップル、ナタデココ、レモンゼリーがそれぞれ別々のパウチ袋に入っており、給食センターで混ぜて、各校に提供された。

異物混入を受け、市は幼稚園4園と小中学校9校に対し、デザートの提供を停止するよう連絡。小中学校は間に合って停止できたが、他の幼稚園で園児3人がすでに食べてしまっていた。18日までに3人に体調不良などはないという。提供を停止したデザートは廃棄処分とした。

異物の混入経路については18日午後、給食センター、幼稚園、食材納入業者それぞれで混入経路を調査し、幼稚園では保健所による立ち入り調査が行われたが、同日時点で混入経路は不明という。市は22日以降、検査を行い成分を分析する。保護者に対しては18日付でお詫びの通知文を出したとしている。

クモの巣とメジロ《鳥撮り三昧》3

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写真は筆者

【コラム・海老原信一】クモの巣とメジロにいったいどんな関係があるって言うのかしら?そんな疑問が浮かんでくれたら、話し手としてはこの先の展開がしやすくなります。

10年以上も前になりますが、相も変わらず重めの機材をセットした三脚を担いで林道を「鳥さんヤーイ」と念じながらテクテクと。少し視界が開けた所に出たので三脚を下ろし、一息深く呼吸。目の前の風景に視線を向けていました。

すると、樹間を1羽のメジロが飛びぬけようと左手から右手へ。直後にはその姿が見えるはずと見ていたが、「あれ、出てこないぞ、どうして?」。途中で止まるような飛び方ではなかったのですが…。

不思議に思い、少し立ち位置を移動してみる。ありゃー、何てことだぁ~。こんなことってあるのかぁ~。なんとそこには、クモの巣に引っ掛かり、羽をばたつかせながらもがくメジロの姿が。鳥は見かけよりずっと軽量とは言うものの、この光景には驚くばかりでした。

こちらが手を出せるような場所ではないので、ハラハラしながら見守る以外には手だてなし。30秒(私の感覚的な時間)ぐらいしたところでクモの糸が切れたらしく、かの鳥は無事飛び去って行きました。体長11~12センチぐらい。体重も10グラムちょい程のメジロですから、クモの糸にからめとられたのも納得と、後から思うのでした。

羽に糸がへばり付いてしまい、飛行が困難になっていたらと思い、そうならなかったことに一安心した顛末(てんまつ)でした。(残念ながら写真はありません)

花と鳥、どっちが主役?

写真展開催時、持参したポストカードの一枚をご覧になった方の「花と鳥とどっちが主役?」の質問に一瞬戸惑いました。一呼吸おいて「確かに言われる通りかもしれないですね」。花の蜜に上からアタックするメジロ、歓迎するかのごとき妖艶な赤い花(上の写真は花と鳥の取合わせは同じですが別のものです)。

鳥を主役に撮ったつもりの私には、思いもよらない感想をいただいた訳です。人々の風雅をめでる心持ちを思えば、花と鳥はよい組み合わせと言えます。花鳥風月といった言葉もありますから、花と鳥、どっちが主役でもよいのかな。

その経験が、後々の鳥を撮影する際の心構えに大きく影響しています。誰かの一言が新しい発見となったり、自身の指針となったりって、「やっぱりあるんだなあ」と思います。耳や目をもう少しだけ動かしてみようかな。心も体も動くかもしれないから。(写真家)

土浦三 水戸葵陵に逆転負け【高校野球茨城’25】

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8回表水戸葵陵1死満塁、三ゴロで土浦三の捕手小林蓮司が三走を本塁封殺にする

第107回全国高校野球選手権茨城大会は18日、3球場で3回戦6試合が行われた。J:COMスタジアム土浦の第2試合では土浦三が水戸葵陵と対戦し、9回に逆転され2-3で敗れた。

18日 3回戦 第2試合 J:COMスタジアム土浦
水戸葵陵 000000012 3
土 浦 三 000000200 2

序盤は緊迫した投手戦が繰り広げられたが、土浦三が最後に力尽きた。「接戦を予想していて、2点ビハインドくらいまでは想定内だった。だから0-0で来たのは上出来。しかしミスからピンチを招き、全体のあせりにつながった。選手たちには5回後のグラウンド整備の時間に『受け身ではなく捨て身で行こう』と声掛けしていた」と竹内達郎監督の振り返り。

土浦三の先発 池田

土浦三はこの日も2回戦と同様、左右のダブルエースを早いイニングで継投した。先発は左の池田翔。「後ろにもいい投手が控えているので、後を考えず1イニング1イニング全力で行く意識で投げた」と池田。3回まで散発3安打ではあったが、四球や暴投などで毎回走者を三塁まで進めてしまい、球数がかさんできたため、4回からは右の黒田広将がマウンドに上がった。

土浦三の2番手 黒田

「うちは守備のチーム。打たれてもバックには頼れる仲間がいっぱいいる。ここまで1戦1勝で、遠くを見据えるのではなく目の前の1試合1試合を全力で戦ってきた」と黒田。4回は野手の送球ミス、7回には四球で走者を一人ずつ出すものの、ノーヒットのピッチングを続けてきた。

打線は相手投手の丁寧なピッチングを打ちあぐね、6回までわずか1ヒット。だが7回裏、待望の得点機が土浦三に訪れた。2死から3番・鈴木大芽が左前打、4番・黒田が右翼への二塁打。ここで相手投手が交替したが、代打の葉梨叶悠が死球で満塁とし、6番・星典蔵が左翼への二塁打を放って2点を先制した。「得意のまっすぐが来たら思い切り振ろうと思っていたら、インコースの一番打ちやすいところに来た。チームに勢いを付け、流れを持ってこれるバッティングができてうれしい」と星。

7回裏土浦三2死満塁、星が左翼への2点二塁打を放つ

8回表には水戸葵陵が逆襲。3番打者の単打と4番打者の二塁打で1点を返し、5番打者は死球で無死一・二塁。だがここからの黒田がすごかった。6番打者を三球三振、7番打者には左前に打たれるが打球が浅いため走者はホームを狙えず満塁に。8番打者は三ゴロで本塁封殺、9番打者を三振でこの回を乗り切った。「同点までOKと言われていたが、同点にするとあせってしまうと思い、何としてもこの1点で抑えようと。自分の最大の武器であるコントロールを生かし、外を突くまっすぐと落とすスプリットを投げ分けた」と黒田。

8回表を1失点で切り抜けてベンチに戻る黒田

だが9回を戦う余力は黒田に残っていなかった。順調に2死までは来たものの、3番打者に2ストライクからボール球を連発し歩かせてしまう。4番打者に左翼への適時二塁打、5番打者には左前適時打を許し、ついに逆転された。「脚がつっていたが責任感でマウンドを守らないとと思っていた。交替したときもまだ裏がある、あきらめないという気持ちだった」と黒田。竹内監督は「チームをここまで連れてきてくれたのは黒田の功績。最大の賛辞でねぎらいたい。あと一歩のところで勝利に導けず、監督として申し訳ない」と無念の表情を浮かべた。

9回裏土浦三2死一・二塁、最後の打者の星(背番号13)が三振に倒れる

霞ケ浦は下妻一に完封勝ち

18日の土浦、つくば地区の高校の試合結果は、J:COMスタジアム土浦の第1試合で霞ケ浦が下妻一に6-0と完封勝ちを収めた。(池田充雄)

18日 3回戦 第1試合 J:COMスタジアム土浦
霞ケ浦 000102003 6
下妻一 000000000 0

つくば国際 3回戦突破ならず【高校野球茨城’25】

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自ら志願してマウンドに上がった3番手の津留崎隼人

第107回全国高校野球選手権茨城大会は18日、3回戦が行われた。笠間市民球場の第2試合ではつくば国際がCシードの水戸啓明と対戦し5回コールド11ー0で敗れた。つくば国際は2回戦で佐和を3ー2で下し接戦を制したが、3回戦突破はならなかった。

18日 3回戦 第2試合 笠間市民球場
つくば国際 00000 0
水 戸 啓明 3143× 11

1回にセンターへチーム初ヒットを放つつくば国際の矢口大聖

強豪の水戸啓明を相手に先取点が欲しいつくば国際は、初回1死後、矢口大聖が水戸啓明先発の柿崎大地からセンター前ヒットで出塁するが、続く成嶋蓮はサード併殺打に倒れる。

先発した小野颯斗

その裏つくば国際は先発の小野颯斗が2四死球と2つのエラーが絡み3失点。「先取点を与えないことを考えて投げた」(小野)が、捕手の成嶋蓮主将が「エラーでリズムをつかめなかった」と語る通り、2回にも1失点、3回にも3失点した。小野は7点リードされた3回2死1、2塁で交代。捕手の成嶋蓮が投手としてリリーフし、小野が捕手に入った。しかし成嶋蓮も流れを止められず失点を重ねた。

3回2死満塁のピンチにマウンドに集まる内野陣

成嶋は4回にも水戸啓明の松原康介、宇佐美琉生にタイムリーヒットを打たれ3失点。4回2死3塁となったところで、本来エースだったが、けがでショートに入っていた津留崎隼人が自ら志願してリリーフし、四球を出すも次の打者を三振に仕留めた。

小野をリリーフした成嶋蓮

水戸啓明は5回から2番手としてプロ注目の好投手、中山優人が今大会初登板すると、この回つくば国際先頭の三浦咲都が内野安打で出塁するも、続く鷺沼舜、布施維士が三振、最後は川口翔大がショートゴロに倒れた。つくば国際は水戸啓明の柿崎大地ー中山優人の投手リレーの前に3安打完封負けを喫した。

先発した小野颯斗は「2回戦と違って自分のピッチングが出来ず、ストライク、変化球も入らなかった。リズムがつかめなかったし、エラーがあった時に抑える気持ちを強く出したが、結果抑えられなかった。もっと試合をやりたかったが相手が上手だった」と話し「最後にこのメンバーで出来て楽しめた。自分はつくば国際で野球をやりいろんな面で変わり成長出来て良かった」と高校での野球生活を振り返った。

成嶋蓮主将は「先取点を取って逃げ切りたかったが、初回のエラーで流れをつかめず大量失点になってしまった。投手としては思い通りに投げられた」とし「先輩、後輩関係なくみんなでコミュニケーションを取って仲の良いチームだった。明後日から兵庫県淡路島で開催される女子高校野球全国大会に出場する部員もスタンドで熱い声援を送ってくれた。部員以外にもサポートをしてくれた人たちに感謝したい。辛い時期もあったけど最後までこの仲間と戦えて良かった」と話した。 

熱い声援を送るつくば国際大の女子部員たち

つくば国際の伊藤徹監督は「初回から固さがあり、力を出し切れなかったのが残念だった。強豪相手に勢いを持ってこられなかった。先発の小野に関しては自信を持って投げてくれれば良かったが、そこが強豪校相手という意識が強かった」と述べる一方「2回戦で勝てなければ水戸啓明と戦えなかったので、水戸啓明と戦えたことは彼らをほめたい。そこでもう少し力を出せるような指導が出来るようにするのが私の課題」と話した。引退する3年生には「部員が少ない中、いろんな思いをしながらここまでやってくれてありがとう」と感謝の言葉を述べた。(高橋浩一)

大正後期の川田家住宅 登録文化財に つくば市北条

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母屋奥座敷の繊細に細工された付書院(つくば市提供)

三越の大番頭、盛蔵が建築

国の文化審議会は18日、つくば市北条にある大正時代後期に建てられた川田家住宅の①主屋(おもや)②炊事場及び風呂③石塀及び板塀の2棟1基を、新たに国登録有形文化財に登録するよう文科相に答申した。答申後、官報告示をもって正式に登録される。

後に三越の大番頭を務めた同市上大島出身の川田盛蔵が40代の頃、妻の実家がある北条に建築した。①主屋は明治時代後期ごろ現在の土浦市藤沢で建築された農家の建物を、1919(大正8)年に移築した。移築の際、都市的な新しい生活様式に適した住宅へと大幅改修した。床の間の脇に張り出すように設けられ棚板と障子窓で作られた付書院(つけしょいん)周辺の繊細な造形や装飾的な木材の使い方が、造形の規範となっているとして登録される。主屋は木道平屋建て、瓦ぶき、建築面積139平方メートル。

主屋の土間から前座敷、中座敷、奥庭を望む

②炊事場及び風呂は大正時代後期の建築で主屋の奥にある。小型ながら当時としては珍しい洋風の外観で、外壁はモルタル塗りで黄土色に仕上げられている。さらに急勾配の切妻屋根、外壁の縦長窓などが特徴となっている。内部は炊事場と風呂に分かれており、炊事用の窯の熱で風呂を沸かすようにつくられている。風呂の仕切り壁にも洋風の意匠が施されている。木造平屋建て、瓦ぶき、建築面積12平方メートル。

③石塀及び板塀は、大正時代後期につくられ、敷地の東側を区切っている。石塀の道路に面した南側は御影石を積み上げた御影石積、北側は大谷石を積み上げた大谷石積で、その北側に続く板塀は、板を交互に重ねて打ち付けた大和張りという工法でつくられた大和塀となっている。石塀は延長15メートル、板塀は延長26メートル。②炊事場及び風呂③石塀及び板塀はいずれも歴史的景観に寄与しているとして登録される。

主屋の外観

市文化財課の石橋充課長は「当時住宅は、農家だったら土間があったり、商家だったら店があったりと、なりわいに即してつくられていた。東京で働くサラリーマンだった盛蔵は、移築した農家を都会的な新しい生活様式の住宅に改修するなど、東京の文化を持ち込んだ住宅をつくった。なりわいに関係ない、サラリーマンの住宅の先駆けともいえるのではないか」と話す。盛蔵自身は当時、家族が住む北条の住宅と、職場に近い東京の住宅の二拠点を行き来する生活を送っていたとみられるという。

川田家住宅は現在、都内に住む子孫が所有する。普段は非公開だが、筑波山麓秋祭りや北条地区のイベントなどの際は北条地区に戻ってきて一般公開している。山麓秋祭りでは、古民家の邸宅公開と映像散歩、陶芸などの展示販売、カフェなどのイベントを催した。所有者の子の川田高史さん(58)は「若い頃、学園都市で育ったが、北条とは行き来していた。当時は学園都市と北条地区は隔たったものがあったと思う。それが近年変わってきた。中心地区に住む若い人たちなどに古いものの価値を見直そうという機運があり、北条地区全体で活動が活発になった。祖母の実家が川田家で、文化財の登録へと動いた。この地域は新住民、旧住民、老若男女がうまく溶け合い活動している地区だと思う。これからも地域の振興のために協力していきたい」と語る。

今回の登録により市内の登録有形文化財は6カ所21件となる。特に北条地区は国の重要文化財「旧矢中家住宅」のほか、登録有形文化財の宮本家住宅、旧常陸北条郵便局、旧田村呉服店と今回の川田家住宅の4カ所が集中する。市文化財課は「活用に当たり相乗効果が期待される」とし「貴重な文化財を未来へと継承できるよう、保存と活用を支援していく」としている。(榎田智司)

常総学院 5回コールドで鹿島に勝利【高校野球茨城’25】

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2回表常総学院1死二・三塁、浜崎の内野安打で有川が生還、3点目

第107回全国高校野球選手権茨城大会は17日、4球場で3回戦8試合が行われた。J:COMスタジアム土浦の第2試合は、常総学院が鹿島に11-0で5回コールド勝ちを収めた。

13日 2回戦 第2試合 J:COMスタジアム土浦
常総学院 04412 11
鹿  島 00000 0

常総学院は13安打11得点と効率の良い攻撃。8盗塁を決め、犠打・犠飛は計6本。セーフティバントやセーフティスクイズも含めるとバントは8本に及んだ。「重いグラウンドコンディションも考慮し、今日は自分たちの目指す野球をとことんやろうと。相手の隙を狙って、走塁や小技で積極的に攻める意識で、先攻を選んだ」と島田直也監督。

2回表常総学院無死二塁、横山が右中間へ適時二塁打を放つ。柳光が返り先制

ただし初回は指示が徹底されず、簡単に打ちに行って凡退する選手もいた。本領発揮は2回から。5番・柳光瑠青が中前打、6番・横山義賢が右中間二塁打、7番・有川志裕がセーフティバント、8番・水口煌太朗がセーフティスクイズ、1番・浜崎怜央が内野安打、2番・渡辺康太が中犠飛で4得点。しかも一塁に出た走者は全員が二盗を決め、この回4盗塁を挙げた。

2回表常総学院無死二・三塁、水口のセーフティスクイズで横山が生還、2点目

3回も勢いは止まらず、4番・佐藤剛希が左越え二塁打、続く柳本が左前打、横山が右前打。ここで相手投手が交替の後、水口が左前打、浜崎が中前打でまたも4得点。盗塁も2つ挙げた。

3回表常総学院2死、中前打で出塁した浜崎(右)が二盗を成功させる

「出たら走るだけでこれだけ点が取れ、コールドにもできる。それが分かればどんな状況でもバリエーションのある試合ができる。これがずっと教わってきたうちの野球。練習試合ではこういう野球ができていたが、公式戦だと色気が出るのかヒットを打ちたがってしまう。怒られて気が引き締まったようだ」と島田監督。

4回表常総学院2死二塁、代打・荒沼暖人が左翼線へ適時二塁打を放ち、チーム11点目を挙げる

今季のチームはメンバーの約半数を1、2年生が占めている。来年、再来年を見越し、経験を積ませたいとの島田監督の考えだ。この日の先発は1年生投手の箕輪蒼。「雨で登板が延期になったが関係なく、自分の気持ちで強く腕を振っていこうとマウンドに上がった」と箕輪。スライダーとチェンジアップを軸に、5回で55球を投げノーヒットノーラン、6三振を奪う好投ぶり。「投げる前は緊張していたが、先輩が守ってくれているので、伸び伸びと投げられた」との感想。「課題はいろいろあるが、ものおじせずストライク先行で投げてくれる。来年、再来年が楽しみ」と島田監督の評。

常総学院の先発、箕輪

5回には代打で登場した2年生の小林銀士が、左翼線への適時二塁打を放った。「ネクストに立ったときは緊張したが、先輩の声を聞いて思い切りがついた。初球の甘い球を見逃してしまい、次のストライクを積極的に振っていった。次も自分にできることで役割を果たし、甲子園へ向かって1戦1戦戦っていきたい」と語っている。(池田充雄)

つくば秀英、江戸川学園破り4回戦へ【高校野球茨城’25】

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2日にわたった継続試合を投げ、4イニングを1安打に抑えた中郷泰臣=17日

第107回全国高校野球選手権茨城大会は17日、前日の雨で継続試合や順延となった3回戦が行われた。J:COMスタジアム土浦ではつくば秀英が江戸川学園と対戦、5ー0で江戸川学園を破り、4回戦出進を決めた。試合は16日、雨で中断、翌17日、中断したところから継続試合となり、2日間に渡った。

16-17日 3回戦 第1試合 J:COMスタジアム土浦
つくば秀英 002102000 5
江戸川学園 000000000 0

3回表2死満塁、センターへ先制タイムリーヒットを放つ つくば秀英の松崎勇吾=16日

つくば秀英は16日、先発投手の齋藤柾希が1、2回、打者6人を完璧に抑えた。打線は3回に2死満塁とし、打席に入った松崎勇吾はセンターへタイムリーヒットを放ち、2点を先制した。「チャンスで打席が回ってきたので、楽しんでリラックスしながらランナーを返す気持ちで低めの真っすぐを芯で捉えた」と松﨑。4回にはヒットで出塁した河嶋玲凰を2塁に置いて、投手の中郷泰臣がセンターへタイムリーヒットを放ち1点を追加しリードを3点とした。

4回、中郷泰臣のタイムリーで河嶋玲凰が生還=16日

3回から齋藤に代わりマウンドに上がった中郷も3回、4回を完璧に抑えた。5回表、つくば秀英の攻撃が終了した時点で雨が激しくなり中断。その後雨は止んだが、グランドコンディションの不良などから今大会初の継続試合になった。

雨で中断した球場の様子=16日

翌17日はつくば秀英3点リードの5回裏、江戸川学園4番大河原聡太から試合再開。中郷は「嫌な感じはなくいい経験だった」としながらも、大河原に江戸川学園初ヒットを許した。しかし続く打者3人を抑え、6回までスライダー、真っすぐを中心に江戸川学園打線を1安打に抑えた。

打線は6回に先頭の石塚大志、石井清太郎の連続ヒットで出塁すると、稲葉煌亮がバントで送り、1死2、3塁のチャンス。続く河嶋玲凰がレフト前タイムリーヒットで1点、さらにに芦屋響もレフト前タイムリーで1点追加しリードを広げた。

6回表1死2、3塁、レフト前タイムリーヒットを放つ河嶋玲凰=17日

先発の齋藤柾希から、中郷泰臣、熱田雄大、知久耀と4人の投手リレーで江戸川学園打線を3安打完封に抑えた投手陣のうち、前日の3回から6回の4イニングを1安打に抑えた中郷泰臣は「失点しなかったことが良かった。次も無失点でいきたい」と語った。

吉田侑真主将は前日からの継続試合について「いい雰囲気だったので(16日に)やりたい気持ちはあった。(17日の試合前に)5回を守れたら流れは来るとナインに話した。こういう試合を勝ち切ることも上に行くには必要。しっかり勝ち切れて良かった。次も一戦必勝でチャレンジャーの気持ちで勝ち切る」と語った。

つくば秀英の桜井健監督は「守備から入る難しい場面だったが選手がしっかり準備してくれた。1回止まった流れを(5回裏の)立ち上がりだけじゅうぶん気をつけて、0点で抑えた後に6回表に得点できたのが全てだった。継続試合は昨日の時点で想定はしていた。切り替えて試合をする難しさはあったが、昨日3点取れて0ー0からじゃないのが良かった。中郷泰臣は難しい情況の中で気持ちを切らさずに投げた。登板した4人の投手を稲葉煌亮が上手くコントロールしてやってくれた。次の試合も厳しい試合になると思うけど、守備からしっかりリズムをつくり1点でも多く取りたい」と語った。(高橋浩一)

夏の花火存続へ 1500年の古社 クラウドファンディングで支援募る

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千勝神社禰宜の松本哲弥さん

つくばの千勝神社 

つくば市泊崎の千勝神社が、お盆の恒例行事である打ち上げ花火の継続に向け、クラウドファンディングで支援を呼び掛けている。神社の禰宜(ねぎ)松本哲弥さんは「花火は30年続く慰霊の行事。お盆の文化・行事の大切さを次世代に伝えるためにも、ぜひご協力をお願いできれば」と呼び掛ける。

夏祭りの最後を彩る打ち上げ花火(千勝神社提供)

千勝神社は、谷田川と西谷田川に挟まれた牛久沼に突き出る半島状の場所に位置し、関東では珍しい三つの社殿が横一列に並ぶ「三殿並立」の社殿や、高さ10メートルの木造大鳥居がある。西暦502年に現在の下妻市で創建された約1500年の歴史を持つ古社で、現在の場所に移ったのは1964年。下妻市には現在も元宮がある。正月三が日には全国から約5万人が、夏祭りには1000人余りが参拝に訪れるという。お盆の夏祭りは1993年から続いており、中でも、祭りの終盤に打ち上げられる約400発の花火は毎年の目玉となっている。

材料費高騰 200万円不足

しかし昨今の物価高騰により火薬の原材料価格が値上がり、花火開催の継続を脅かしている。火薬は多くを輸入に頼っており、ロシアのウクライナ侵攻による供給不安や円安が価格上昇に拍車をかけている。今回のクラウドファンディングでは、材料費高騰によって不足が予想される花火打ち上げにかかる費用200万円の協力を募っている。目標金額に達成しなくても、集まった支援金はすべてプロジェクト実行者が受け取ることができる。

盆踊りの風景(同)

松本さんは「今年の費用を見積もると、従来の予算ではまかなうことが難しいことがわかった。神社単独の負担では花火の継続は困難と判断し、クラウドファンディングで支援を募ることにした」と説明する。また「夏祭りは地元の方々のみならず、全国から訪れる崇敬者(信者)にとっても親しまれてきた行事。特に帰省中の家族連れが楽しみにしている恒例の場でもあり、地域とのつながりの場としても貴重な役割を果たしてきた。お盆のお祭りは、ご先祖さまと共に楽しむという意味がある。慰霊の場として、(お盆の風物詩の)文化を継承するためにもご支援をお願いしたい」と協力を呼び掛ける。(柴田大輔)

◆クラウドファンディングの詳細はこちら

キリストとガンマン《映画探偵団》90

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イラストは筆者

【コラム・冠木新市】1960年代後半から1970年代にかけて、『アポロンの地獄』(1967)、『テオレマ』(1968)、『豚小屋』(1969)、『王女メディア』(1969)など、荒々しくも美しい映像で映画青年をとりこにしたイタリア映画の監督ピエル・パオロ・パゾリーニがいる。私も魅了された一人だったが、いつしか語られることもなくなり、レンタルビデオ屋にも作品が置かれておらず、テレビでの放映もなかった。

ところが2000年代に入り、NHKで長篇第3作『奇跡の丘』(1964)が放送された。見逃していた作品なので録画して見た。出演者に全員素人を起用し、イエス・キリストの誕生から死後の復活までを描くドキュメンタリータッチの白黒作品である。その荒々しい迫力に圧倒され、パゾリーニ作品では私の一番のお気に入りとなった。

荒涼とした景色のなか、キリストが我々観客に向かってする説法姿はまるで政治家の演説みたいで、エネルギッシュな場面が連続し納得させられる。

キリストが奇跡を起こすシ一ンなども、顔に腫れ物のできた男が清めてくださいとキリストに訴えると、『清められた』の一言で腫れ物は消えている。短く3カットで描かれる。バックには黒人霊歌のような歌声が流れるが、非常にあっさりしていて、ありがたいとの余韻に浸る間がない。つまり宗教映画の感じがしないのだ。

さらに、キリストの弟子たちのキャスティングは個性の強い悪役を思わせる顔で占められている。逆に、王様や聖職者や貴族たちは上品な顔の出演者をそろえている。極めつけは、かれんな美少女サロメがヘロデ王の前で舞いを披露し、王様が褒美に何が欲しいかと尋ねると、ヨハネの首が欲しいという場面である。見た目の美しさとは裏腹の残虐な発言がショッキングだ。

C・イ一ストウッド西部劇の見方

『奇跡の丘』は西部劇とどことなく雰囲気が似ている。1964年10月にイタリアで公開された。その1カ月前には、セレジオ・レオ一ネ監督、クリント・イ一ストウッド主演のマカロニウエスタン『荒野の用心棒』が公開された。荒野を旅するキリストはイタリア製西部劇の旅する主人公と重なるものがある。

マカロニウエスタンで世界的なスターとなったクリント・イ一ストウッドが、アメリカに戻り監督主演を務めた最初の西部劇は『荒野のストレンジャ一』(1973)だ。原題は『放浪者』である。街の全員から見捨てられ、悪党たちに殺された保安官が幽霊になって現れ、その街に復讐する話であるが、見た目は生身の人間なので実に奇妙な様子に映る。

また、同じく監督主演を務めた『ペイルライダー』(1985)も牧師のガンマンだが、こちらも一度死んでいて、7人の悪党保安官と闘う話である。この2本はキリストのイメージが込められており、表裏一体の作品となっている。そういえば、『荒野の用心棒』(原題「一握りのドルのために」)の最初のタイトルは『マグニフィセント・ストレンジャ一』(素晴らしいよそ者)だった。

私が見てきたクリント・イ一ストウッドの西部劇ヒ一ローは、キリストがモデルだったのかもしれない。

現在、参議院選挙の真っ最中だ。各候補の演説を聞いていると、『奇跡の丘』のキリストやサロメの姿が彷彿(ほうふつ)とさせられる。当選してからも民衆のために働いて欲しいものだと切に願う。サイコドン ハ トコヤンサノセ。(脚本家)

戦後80年 資料と空中写真で知る測量と地図作成の歴史 国土地理院

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展示風景=国土地理院 地図と測量の科学館

TX開業20周年展も

太平洋戦争の終戦から80年を迎えるのを機に、国土地理院(つくば市北郷)内の「地図と測量の科学館」で15日から、企画展「地図と測量に見る戦災からの復興」が始まった。軍港や軍事工場など軍事施設が削除された戦時中の地図、ポツダム宣言受諾決定後に行われた重要書類の焼却から地図を守るために奔走したある軍高官の歴史資料ーなど、明治から始まる国による国土の測量と、戦前から戦後に至る地図作成事業などの歴史を知る展示になる。会場では、今年8月に開業20周年を迎えるつくばエクスプレス(TX)沿線の変化を地図や写真から見る「つくばエクスプレス開業20年 地図・写真から見る沿線の変化」が同時開催されている。

展示されているのは、戦前から残る国土地理院が保管する資料や、空中写真、地図などが掲載されたパネルなど約60点。同院広報広聴室の染谷亨さんは「(土浦やつくば周辺など)私たちが普段暮らしている地域の変化を知ってもらう機会にもなる展示。空中写真などから大きく変わった風景を見ながら、親子で今と昔の変化を話し合う機会になれば」と企画への思いを話す。

戦災を逃れた地図の銅原版

「地図と測量に見る戦災からの復興」では、1869(明治2)年に近代測量を行う機関として明治政府により設置された、国土地理院の前身である「民部官庶務司戸籍地図掛」からの歴史資料が地図の変遷とともに展示されている。戦災を逃れた地図の銅原版、戦後のGHQによる測量・地図制作の様子など、現存する資料をもとに作成されたパネルが展示される。

また、国土地理院が保有する豊富な空中写真をもとに、各地の戦中から戦後の復興の様子を知ることができる。県内では土浦、水戸、日立の写真が展示されている。

TX沿線の変遷を地図と空中写真で

展示を紹介する染谷亨さん

「つくばエクスプレス開業20年 地図・写真から見る沿線の変化」では、つくばや研究学園、守谷、八潮、秋葉原などTX7駅周辺の変化がわかる、30年前から10年ごとの空中写真と地図が展示されている。ほかに、TX開業時に先頭車両に取り付けられたヘッドマークや、「葛城」「島名」「萱丸」など仮の駅名が掲載された開業前に作られたパンフレットなどの関連資料も展示されている。

仮駅名に地名が記されたTX開業前に作られた資料

染谷さんは「写真や地図を大きく用いており、視覚的に時代の変遷がわかると思うし、お子さんも楽しめるつくりになっている。今回二つの展示を通じて日本が歩んだ戦後の復興に思いを寄せるとともに、TXによって沿線が進化する様子を感じてもらえたら」と話す。(柴田大輔)

◆企画展「地図と測量に見る戦災からの復興」と「つくばエクスプレス開業20年 地図・写真から見る沿線の変化」はつくば市北郷1、国土地理院・地図と測量の科学館2階特別展示室で9月21日(日)まで開催。開館時間は午前9時半〜午後4時半。月曜など休館。入場無料。詳細は、同ホームページへ。

夏のボーナスを出す会社 今年も高水準を維持 筑波総研調査

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筑波総研提供

夏のボーナス支給を前にして、筑波銀行グループの筑波総研(本社土浦市、瀬尾達朗社長)は茨城県内の同行取引先341社から支給額などについて聞いた。アンケート調査は6月上旬~下旬。7月上旬に集計したところによると、今年も支給すると回答した会社は全体の78.3%と、昨夏に比べ1.1ポイント低下した。

この微減について山田浩司 上席研究員は「昨年を下回ってはいるものの、物価高や人手不足に対応するため、賞与を出す企業の割合は依然として高水準」と述べ、特に問題はないと判断している。

平均支給月数は、「1.0カ月以上1.5カ月未満」と回答した企業の割合が31.6%と最も多く、「1.0カ月未満」29.3%、「1.5カ月以上2.0カ月未満」25.1%の順だった。調査対象は製造業、サービス業、建設業、運輸業など多岐にわたるが、山田氏は支給月数について「春の賃上げで基本給が引き上げられたことにより、全体として高水準にシフトしている」と言う。

また、ボーナス支給に際して重視する項目についても調査。それによると「従業員の志気高揚」(47.5%)と回答した企業が最も多く、「現在の企業全体の業績」(39.9%)、「前年の支給実績」(34.6%)と続いた。昨年夏との比較では「現在の企業全体の業績」の割合が最も増え、「人材の引き止め」の割合が最も減った。

回答企業からは①ボーナスは利益増による支給というよりも志気高揚や従業員確保のためだ、②しかし会社の利益率が下がってきており、今後は慎重にならざるを得ない―といった声が出ており、山田氏は「コスト上昇など厳しい経営環境下で各社はボーナスを判断している」と分析している。(坂本栄)

ALS患者のためのデザイン《デザインを考える》22

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写真とイラストは筆者

【コラム・三橋俊雄】今回はALS(筋委縮性側索硬化症)の方のお話です。ALSは、筋肉を動かす運動神経だけに障害が生じ、徐々に全身の筋肉が動かせなくなっていく、進行性の病気です。

1998年、京都で、あるお医者さんから紹介されたのがALSのTさんでした。彼は88年の秋に発病。ろれつが回らない、飲み物が喉を通らないという症状が、この病気の始まりでした。翌年、運動神経の異常もあらわれ、91年には自立歩行が困難に、94年には気管切開を受けて人工呼吸器をつける状態になりました。

食事は、鼻からチューブを挿入して栄養剤を注入する経鼻経管栄養が用いられ、唾液(だえき)、痰(たん)の吸引はこまめに行われることに。また、関節が硬くなるのを防ぐための鍼灸(しんきゅう)マッサージ師による治療や、ヘルパーによる週1回の手浴・足浴・清拭サービスも受けているとのことでした。

このような状況でも、Tさんは時間を無駄にしないように1週間のメニューを作り、規則正しい生活(月:絵画制作、火:医師の診察、水:絵画制作、木:気功治療、金:診察、土日:絵画制作と休養)を心掛けていました。

一方、Tさんの意思伝達方法は、目の動きに合わせて奥さんが透明板の文字を読み上げる(上の写真)というもので、私も挑戦してみましたが、経験を積めばうまくやれそうに感じました。また、通常の私との会話は、少し時間はかかりますが、下唇の微細な動きでマイクロスイッチを作動させながらパソコンを操作して発信するというものでした。 

しかし、Tさんがパソコンに向かって仕事をしていると、唾液が首、肩、背中に回り、一晩に2、3回パジャマを着替えることも珍しくないとのこと。そこで彼からの提案もあり、自力で唾液を吸引できる装置のデザインを検討することになりました。

自力唾液吸引装置のデザイン

唾液吸引用チューブは口腔内に留めたまま使用するため、シリコーン製の医療用カテーテルを用い、①チューブ先端部が口内を傷つけない形状に、②唾液を吸引しやすい穴径と穴の数を検討、③吸引中にチューブの穴が内壁に吸い付かないこと、④チューブの太さが口にくわえて違和感がなく、かつ、粘液性の唾液が通りやすいこと、⑤チューブ洗浄のため吸引器との着脱が容易であることなどを考慮しました。スイッチのオンオフは、眉のわずかな動きを利用しました(上図)。

その結果、Tさんは下唇でワープロ操作をしながら、同時に眉の動きで唾液吸引作業を行えるようになり、特に夜間のワープロ作業中など、3~4時間、奥さんを起こさなくても済むようになりました。(ソーシャルデザイナー)

空き地をとにかく草刈り つくばの会社員 伊東応樹さん

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伊東応樹さん=かすみがうら市内(伊東さん提供)

仲間とお助け隊結成

つくば市在住の伊東応樹さん(48)は、会社員として働きながら土日や祝日など休日を利用してつくば、土浦、阿見、水戸などの空き地の草を刈ったり、木を切ったりして整備している。

空き地の草を刈ることで、土地の持ち主や地元の人が感謝してくれるのがうれしいという。「いろいろな人と知り合いになれるのも空き地の草刈りの魅力」だと語り「とにかく草を刈るのが好き、機械を扱うのが好きでやっているので土日の休日を使うのはまったく苦にならない」と話す。

草刈り中の伊東さん=小美玉市内(同)

県民会議から表彰

空き地をきれいにした後、新しい使われ方をするのを目の当たりにするのも喜びだ。つくば市北条、昭和初期の近代和風建築、旧矢中家住宅がある「矢中の杜」近くの稲荷神社に続く、小道周辺の空き地を草刈りしたところ、見通しが良くなったため散歩をする住民が増えた。小道は、近所の保育園に通う子どもたちの散歩道にもなった。さらに小道沿いにアジサイを植える人が出てくるなど、「住民がきれいになった土地を意識し始めたのを実感する」と話す。

荒れた竹林を伐採した際は、刈った竹を捨てるのがもったいないと「無煙炭化器」を入手し、竹炭を作ることにした。竹炭は土壌の通気性や保水性を高めるなど土壌改良効果があるとされることから、畑にまいたりしている。筑波山神社隣りの大御堂に生えているスダジイの根元にまいたこともある。竹が地域に循環していることを感じると話す。

竹炭作り(同)

これまでの活動が評価され、今年5月には「環境保全茨城県民会議」(事務局・県庁環境政策課内)から表彰された。

きっかけはつくばマラソン

草刈りを始めたきっかけは、つくばマラソンで他のランナーがつぶやいた言葉だ。2017年、つくばマラソンで市内を走っている最中、沿道の落書きされた壁や伸びた雑草を見た他のランナーが「何だか街が汚いね」と話しているのを聞き、ショックを受けた。

街がきれいだと言ってもらうために自分にできることは何かと考え、草刈りを思い付いた。市役所の許可を得て2018年9月から、道路の縁石から伸びている雑草を勝手に刈り始めた。最初は鎌を使って手作業で草を刈っていた。

次第に、伊東さんの活動を知った土地所有者などから空き地の草刈りを依頼されるようになった。19年4月からは筑波山の林業ボランティア団体に加入し筑波山でボランティアをしながら、個人でも草刈り活動を続けた。依頼が増えたことで手作業では追い付かなくなったため、刈払機とチェーンソーの使い方を教わる安全講習を受けた。

草刈り前と草刈り後(右)=美浦村内(同)

仲間増え5人に

伊東さんは自身の活動をSNSで発信。SNSを見た人や、たまたま通り掛かり活動の様子を見掛けた人などが仲間に加わり、2021年3月、「空地フィールダーズ」という団体を作成した。現在メンバーは伊東さんを含め男性2人、女性3人の5人で、年代は20代から40代だ。

当初はボランティアで空き地の草刈りをしていたが、依頼主から「申し訳ない」という声があり、仮払機の燃料代やメンテナンス代、現地までの交通費などがかかることから現在は有料としている。料金は土地の面積や時間に関係なく、5~11月は1回7000円、12~4月は5000円、年間を通して空き地を管理する場合は年間2万円などだ。

利用の提案できるように

伊東さんは「空き地や緑地の手入れを一緒にしましょう、というスタンス。活動の楽しさを広げていきたい」と思いを話し、「高齢化などで空き地の手入れが出来なくなり困っている人はたくさんいると思うので、活動範囲を広げていきたい。土地の利用方法の提案もできるようになりたい」と意気込みを語る。(伊藤悦子)

◆「空地フィールダーズ」は一緒に草刈りをやりたい人や空き地を整備してほしい人を募集している。問い合わせは伊東さんのFacebook、「空地フィールダーズ」のInstagramのDM(ダイレクトメール)へ。一言メッセージを添えて連絡してほしいそうだ。

小泉農相の農協批判はまともか《邑から日本を見る》184

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うちの田んぼの今(写真は筆者)

【コラム・先﨑千尋】「米を買ったことがない」という失言で江藤拓農水相が辞任し、急きょ登板した小泉進次郎新農水相は、矢継ぎ早に備蓄米を放出し、5キロ2000円という破格の値段で店頭に出し、スーパーなどでは行列騒ぎ。同じ米なのに、銘柄米、最初に放出した備蓄米、輸入米と、合わせて4通りの価格で売られている。

私は、市場原理を無視した政策介入、見かけ上の価格引き下げが、わが国の農業や米の生産に歪(ゆが)みをもたらすおそれが強いと見ている。間もなく新米が出回るが、高温が続くようで、収量や品質が心配だ。

小泉農相は、備蓄米の放出だけでなく、米の流通を担う農協についていろいろ注文をつけている。6月17日の経団連との会談では、「建設業界では重機や建機のレンタルやリースが当たり前。米農家は2000万円のコンバインを1年のうち1カ月しか使わない。リースやレンタルを農業界に入れていきたい」と語った。

トラクターはともかく、田植え機やコンバイン、乾燥施設は、1年のうち、わずかしか使わない。農家だって、リースやレンタルの方がいいに決まっている。しかし、建設業は一年中仕事がある。米作りは、田植えにしても稲刈りにしても時期がほぼ決まっている。農家が必要な時期に必要な農機具類を、リース会社がそろえられるはずがない。

そろえても、稼働期間が短いので採算が取れない。だから農機具類にはリースやレンタルがなかった。業者がいなかった。前提が全く異なる。現場を全く知らない提言でしかない。

大手町にビルを建ててはいけない?

同じ6月、東京・大手町にある全国農協中央会(全中)の本部ビルの売却検討に対し、「農家は農協にビルを持つことを求めていないのでは」と発言した。現在の農協ビルは、確かに事務所の一等地と言える大手町にある。しかし、それには事情、いきさつがあり、現在のビル建設には国も関与している。

都道府県にある農協連合会も農協の建物も、事務所はビルディングだ。どうして農協がビルを建ててはいけないのか。東京の事務所が大手町にあってはいけないのか。では、どこにあればいいのか。私には小泉発言の真意がわからない。

「農協は共同購入・共同利用を進める組織であって、金融でもうける組織ではない」とも言う。この発言も、農協という組織の成り立ちや役割を理解しているとは思えない。

農協批判は政治的パフォーマンス

農協という組織は、小さな生産者が1人では農産物の販売や資材の購入という取引で不利になるので、力を合わせようとしてできた組織だ。金融事業(農協では信用事業と言う)も、共済事業(一般には保険)も、農家の経済的安定を支える活動だ。

大半の農協は、低い手数料率のために農産物販売や資材の購買事業は赤字で、金融・共済事業の利益でカバーしている。それがどうしていけないのか。農水省は、農協法に基づき農協を指導・監督する立場にある。小泉農相は、監督責任を果たさず、農協を批判するだけの政治的パフォーマンスを見せているだけではないのか。

昨年秋から今年にかけて、米商人・業者は、農協が提示した価格に少し上乗せした価格を提示し、買いあさった。もし農協組織がなければ、商人は逆に買いたたくことが目に見えている。肥料、農薬、農機具なども、業者の言いなりになってしまう。

私は現在の農協に対して長いこと内側からの批判を続けてきたが、農協不要論・悪玉論の論調には賛成できない。(元瓜連町長)

土浦二 1勝ならず 鹿島学園に6回コールド【高校野球茨城’25】

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4回表土浦二1死、3番・佐藤剛志がチーム2本目のヒットを右前に放つ


第107回全国高校野球選手権茨城大会は7日目の13日、4球場で2回戦8試合が行われた。J:COMスタジアム土浦の第2試合では土浦二が鹿島学園と対戦し、6回コールドで敗れた。

13日 2回戦 第2試合 J:COMスタジアム土浦
土 浦 二  000000  0
鹿島学園 330013X 10

ヒットで一塁に出た佐藤が応援席に向かって拳を突き上げる

土浦二は序盤の大量失点を取り返せなかったが、試合の中でチームの持ち味を見せることができた。石井咲久也主将は「昨年の先輩の成績を超えたい思いはあったが、簡単には勝たせてもらえないレベルの高さを感じた。来年はもっと強いチームになれる。一日一日を大切に頑張ってほしい」と後輩にエールを送った。

先発投手の橋本真直が初回から打ち込まれた。打者8人に4安打1四球を与え3点を献上。「緩急は通用したが厳しいコースを痛打された。上位から下位まで隙がない恐ろしい打線」と橋本。「ていねいにコーナーを突く投球だったが反対方向に低い打球を飛ばされた」と相良真博監督。

土浦二の先発 橋本。1回1/3を投げ被安打6、2四球、6失点

橋本は、打たれた分は自分のバットで取り返そうと、2回表にはチーム初安打を記録。「甘い球を全開で振っていった」という左前打で出塁し、次打者の6番・瀧田遥斗が送って2死二塁。7番・清水陽太のとき捕逸に乗じて三塁を回ったが、三本間で挟殺された。これが唯一の得点機だった。

2回表土浦二1死、橋本がチーム初ヒットを左前に放つ

2回裏の橋本は、2安打1四球に走者と野手が交錯する不運も重なり、再び3点を失ったところで降板。代わりにマウンドへ上がったのはのは信戸葵夷。80~90キロのスローボールを低めにコントロールする投球スタイルだ。「自分は球が遅いので高校で野球を続けることに迷いがあった。だが3年生が『投手は球速ではなく制球力だ』と言い、野球の楽しさを教えてくれた。アウトを重ねて先輩が笑顔でナイスピッチと言ってくれるのがうれしかった」と思いを語った。

2回途中からマウンドに上がった信戸

鹿島学園はこの投球に惑わされ、3~5回は散発3安打でわずか1得点のみ。「投手のコントロール力を軸に守備位置なども工夫した結果、0点の回をつくりゲッツーも取ることができた。投手と守備が連携し、各ポジションがそれぞれやるべきことをやってくれた」と石井主将。「0点の回を2つ続けられたことは3年生への恩返しになったと思う。球の遅さに悩んでいる全国の高校球児にも勇気を与えられたら」と信戸。

3回裏鹿島学園無死一塁、土浦二が遊ゴロからのダブルプレーを決める。二塁手廣瀬頼一

今年の土浦二は1、2年生が大半を占めるチーム構成なので、来年への期待が高い。信戸は「この悔しさを糧に、来年は自分たちが中心になって夏1勝に向け、日々練習に励みたい」と目標を掲げ、橋本は「来年、どこと当たっても絶対打たれない投手になって、また夏のマウンドに立ちたい」と心に誓った。(池田充雄)

つくば国際、土浦工業が勝利

13日の土浦、つくば地区の高校の試合結果は、J:COMスタジアム土浦の第1試合でつくば国際が佐和に9回の勝ち越しで3-2と勝利、笠間市民球場の第2試合で土浦工業が八千代に9-3と大勝した。

13日 2回戦 第1試合 J:COMスタジアム土浦
つくば国際 110000001 3
佐   和 000101000 2

13日 2回戦 第2試合 笠間市民球場
八千代 100000110 3
土浦工 00003321X 9

◆3回戦以降の日程は以下の通り

県高校野球連盟、朝日新聞社提供

土浦日大 初戦で水戸商に敗れる【高校野球茨城’25】

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試合に敗れ、悔し涙を流す土浦日大の選手たち

2年前、夏の甲子園で4強入りした強豪土浦日大が、初戦で伝統校の水戸商業に敗れた。第107回全国高校野球選手権茨城大会は7日目の13日、2回戦8試合が行われた。ノーブルホーム水戸では土浦日大が水戸商業と対戦、1-2で破れた。

13日 2回戦 第1試合 ノーブルホーム水戸
土浦日大 001000000 1
水戸商業 00000020× 2

強豪土浦日大と、伝統校水戸商業の試合とあって、スタンドには多くのファンが詰めかけた。大会7日目で初戦を迎えた土浦日大の小菅勲監督は「自分を信じて思い切りやれ」と選手に声を掛けて送り出した。

3回表、土浦日大の伊勢山暖が1死1、3塁でセンターへ先制タイムリーを放つ

3回表、土浦日大はエラーと四球で1死1、3塁のチャンス。「絶対にランナーを返す強い気持ちで打席に入った」という伊勢山暖は、水戸商業の先発 大内来芭のスライダーをセンターに弾き返し、チーム初ヒットとなる先制のタイムリーを放ち、1点を先制する。

伊勢山暖のタイムリーで近藤祐哉がホームイン

土浦日大の先発 永井柊帆は4回までノーヒットに抑えるが、5回に守備の乱れと初ヒットを許し無死満塁のピンチを招く。永井は「ここを抑えれば(チームが)流れに乗るので絶対に抑える」という強い気持ちで投げ、後続を抑えてピンチをしのいだ。

永井を援護したい打線は7回に1死3塁のチャンスをつかむが、近藤祐哉が凡退。するとその裏、永井は2本のヒットを浴び、2死2、3塁とされ、水戸商の代打菊地拓真にライト前タイムリーヒットを打たれた。2者の生還を許し1ー2と逆転される。

ベンチから戦況を見守る選手達

反撃したい土浦日大は9回、先頭の梶野悠仁が2塁打でチャンスをつかむが、続く牛久保亮平が空振り三振、一村璃来がセンターフライに倒れると、最後の大橋篤志の打球はセンターの好守備に阻まれ敗れた。

先発の永井は8回を1人で投げ抜いた。「いつも通り、練習通り、やってきたことができたし、今やれることはやった」と永井。スライダーを中心に真っすぐ、ツーシーム、シンカーを使い分け2失点に抑え好投するも、打線が援護出来なかった。

土浦日大の先発永井柊帆投手

梶野悠仁主将は「野手が永井を援護出来なかったのが悔しい。自分が主将になってから甲子園を目指しやってきて、チームが上手くまとまらない時があったけど、最高の仲間たちとここで負けてしまったのが悔しい」と悔し涙を流しながら語った。

先制のタイムリーを放った伊勢山暖は「自分は2年生で、3年生に引っ張ってもらった部分が大きかったので、自分が先輩に学んだことを後輩たちに引き継いで、結果で3年生に恩返ししたい」と新チームでの雪辱を誓った。

声援を送る土浦日大の応援団

小菅勲監督は「初戦は難しく、初回から固さが取れず、自分たちのスイングが出来なかった」と振り返り「先発の永井はよく投げた。1点も与えられない展開の中で、自分の限界を超えて頑張ってくれた」と永井をたたえた。「9回の無死2塁の場面では逆転を狙って4番の牛久保に思い切って打たせて、結果的に点が入らなかったが、悔いはない」とも語った。(高橋浩一)

追悼カフェ・ド・コトブキさん《ご飯は世界を救う!》68

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イラストは筆者

【コラム・川浪せつ子】暑い日々が続いております。7月3日、私が絵を描き始めた時からお世話になった「カフェ・ド・コトブキ」(土浦市荒川沖町)の店主さんが、熱中症で突然召されました。8日がお葬式でした。7日までつくば市でグループ展をやっていて、その最終日の翌日。7日がお葬式だったら行けなかった。優しかった店主さん、待っていてくださったのだと思いました。

旧常陽新聞に、私がこの欄を掲載し始めたのは、東日本大震災の翌月からでした。そして、ネット新聞「NEWSつくば」に移り、また掲載させていただいたのが2018年7月からでした。その初回で取り上げたのが「カフェ・ド・コトブキ」。開業が1985年でしたから、39年間で幕を閉じたことになります。

この欄で同じお店を2回取り上げたことはありません。それに、お店は無くなってしまったのに…。今回は、店主さんへの追悼として掲載をお許しください。

何でも先延ばしにしてはいけない

かつては、息子の塾通いの送迎時などでよく寄らせてもらい、ミニ展示会もお店で3回させてもらいました。しかし、我が家からは少し距離もあり、最近はご無沙汰していました。「またランチスケッチさせてくださいね」と言いつつ、下の絵(2023年)が最後のスケッチ。今年初めにうかがったものの、3月と7月は私の展示会があり、7日の展覧会が終ったら行こうと思っていたのに…。

残されたご家族に、今まで描いたスケッチをまとめて差し上げたいと思っています。今回つくづく感じたことは、何でも先延ばしにしていては取り返しのつかないことが起きてしまうということ。会いたい人には、直ぐにでも会い、いつかやりたいと思っていることは、なるべく早くやることです。合掌。(イラストレーター)

土浦三 科技日立破り3回戦へ【高校野球茨城’25】

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6回表、2塁ランナー小林蓮司がホームインし土浦三が勝ち越し

第107回全国高校野球選手権茨城大会は6日目の12日、2回戦が行われた。ひたちなか市民球場ではBシードの土浦三が登場、1回戦で逆転勝ちし勢いのある科技日立を7ー4で破り、3回戦進出を決めた。 

12日 2回戦 第2試合 ひたちなか市民球場
土浦三高 201002101 7
科技日立 000030010 4

1回1死2塁、土浦三は鈴木大芽がセンターへ先制タイムリーを放つ

土浦三は初回1死から下村悠真のヒットと盗塁で1死2塁のチャンスに、鈴木大芽がセンター前タイムリーを放ち先制した。続く星典蔵、池田翔の連続ヒットで満塁とし、大塚秦多の犠牲フライで1点を追加した。

1回表、下村悠真が先制のホームイン

3回にも1点を追加し3点をリードすると、土浦三の先発池田翔は4回まで科技日立打線を1安打に抑えた。しかし5回、1死後に連続四球と2本のタイムリーと内野ゴロの間に同点とされた。

先発の池田翔

直後の6回、1死2、3塁のチャンスに山本真聖がセンターへの2点タイムリーヒットで勝ち越し。山本は「(相手が)前進守備だったので、コースを絞って強く叩く気持ちで振り抜いた」と話した。

7回には、2死2塁で先発投手からレフトの守備についていた池田翔に代わって、代打島田優聖がストレートをセンターへタイムリーヒットを放ち、突き放した。「池田の代打とは思わなかったので驚いたが、しっかり準備はできていた」と島田。9回にも来栖大蒼の犠牲フライで1点を追加した。

7回2死2塁で代打島田優聖がセンターへタイムリーヒットを放つ

粘る科技日立は、5回途中から池田に代わりセンターの守備からリリーフした2番手黒田広将を攻め、無死2、3塁と反撃に出るも、黒田がスピリット、カーブ、ストレートを上手く使い分け、気迫のこもった投球で3者連続三振に仕留め、チームを3回戦進出に導いた。野手と投手の二刀流の黒田は「次の試合でも打つ方も守備も投げる方もいつも通りチームに貢献出来るように頑張る」と誓った。 

9回最後の打者を三振に取り雄叫びを上げる黒田広将

3安打を放って鉄壁な守備でチームに勢いを付けた下村悠真は「夏の大会初戦は自分自身経験したことがなくとても緊張感があったが、楽しみつつ思い切りプレーすることが出来た。先制のホームを踏みチームが盛り上がった。次の水戸葵陵は打力のあるチームなので、自分たちの武器である守備をしっかりやって守備から攻撃に流れを持ち込み勝ちにつなげる」と力を込めた。

土浦三高の竹内達郎監督は「科技日立はしっかり鍛えられた、しぶとい、いいチーム。夏の大会は(対戦相手同士の)お互いの思いがぶつかり難しいが、ひるまずにリラックスして闘えたのが良かった。選手には焦らずに狙い球を定めて自分のスイングをしてこいと伝えた。島田は代打の切り札として春から勝負強さが目立っていた。ストレートをよく打った」と島田をたたえ、「次の試合も1試合ずつ勝っていきたい」と語った。3回戦は16日に水戸葵陵と対戦する。(高橋浩一)

霞ケ浦、5失策も投打の軸が躍動【高校野球茨城’25】

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6回裏霞ケ浦2死三塁、西野の適時打で花内(右)が生還、片見優太朗とタッチを交わす

第107回全国高校野球選手権茨城大会は6日目の12日、4球場で2回戦8試合が行われた。J:COMスタジアム土浦の第2試合は昨年優勝校の霞ケ浦が登場、日立一を4-1で下し3回戦に進出した。

12日 2回戦 第2試合 J:COMスタジアム土浦
日立一 000000100 1
霞ケ浦 00010120X 4

「守る野球」を身上とする霞ケ浦が5失策(エラー)と慌てた。要因は初戦の緊張だけではないようだ。「春大会では公式戦の雰囲気を1試合しか味わえなかった。日立一はセーフティを多く仕掛けてくるので、内野陣が警戒して前に出たことでバウンドが変わった。緊張していても自分にばかり目を向けるのではなく、相手の出方や野球の中身のことを考えていれば固さはほぐれてくる」と高橋祐二監督。

霞ケ浦の先発、稲山

先発は2年生の稲山幸汰。打たせて取るピッチングで6回1/3を被安打3、失点1に抑えた。「初戦なのでチームに流れを持ってこようとていねいに投げ、特に先頭打者は塁に出さないよう心掛けた」とのコメント。直球は最速136キロだが今日は本調子でなく、球が浮いていたのでコントロール重視で投げたそうだ。

先制点は4回。先頭の3番・鹿又嵩翔主将が左翼線への三塁打、4番・大石健斗が死球で無死一・三塁、5番・花内晴紀が遊ゴロでダブルプレーの間に鹿又が生還した。

6回裏霞ケ浦2死三塁、西野が中堅へ適時打を放つ

6回には追加点。2死三塁から6番・西野結太の中堅への適時打で1点を加えた。「ベンチから相手投手の投球を見ながらタイミングを合わせ、まっすぐを待ちながら変化球を叩けた。真ん中へ来たスライダー系の球を、シャープにコンパクトに振り抜いた」との振り返り。西野はこの日3安打の活躍。

7回裏霞ケ浦1死、荒木がセーフティバントで一塁に駆けこむ

7回表にはエラーで出した走者を1ヒットで返され、2-1と詰め寄られたが、相手投手が2人目に交替した7回裏に突き放した。1番・荒木洸史朗がセーフティバントで出塁し、盗塁で二塁へ進む。2番・村上聖は四球で1死一・二塁とし、大石の右翼への三塁打で2点を加えた。「相手は変化球投手で、インコースは来ないと分かっていたのでアウトコースに絞り、真ん中に甘く入ったスライダーをコースに逆らわずに打ち返した」と大石。

7回裏霞ケ浦1死一・二塁、大石が右翼へ2点三塁打を放つ

霞ケ浦は7回途中からエース市村才樹がマウンドへ。8回は野手のエラー3つと四球で2死満塁とされるが次打者を三振で退け、9回は三者三振で締めくくった。「初戦の特別な雰囲気の中で、自分たちのプレーができてなく、野球を楽しめていない様子だったので、雰囲気を良くしようと、無駄な走者を出さずテンポ良くていねいに投げることを心掛けた」と市村。今年は経験を積んで落ち着いて投げられるようになり、体重も増えてストレートの球速やスライダーのキレが増しているという。

7回途中からリリーフした市村

チームには市村や荒木、大石ら昨夏の甲子園メンバーが5人残る。「中軸がチームを引っ張り、いい方向に向かわせたい」と大石。「厳しい山に入ったが、自分がいい投球をすればチームも乗ってくる」と市村。次戦は16日、3回戦で下妻一と対戦する。(池田充雄)