土曜日, 12月 5, 2020
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《宍塚の里山》71 コロナ禍で野外活動参加者が急増

【コラム・及川ひろみ】新型コロナ感染がまた広がっている。春ごろから、秋~冬には再拡大が心配と言われていたが、いきなり起こった拡大。私たちの会の活動に参加している会員も濃厚接触者になり、近隣施設でも感染者が出たそうで、コロナ禍が身近に迫っている。今回は、里山で何が起こり、会はどのように対応したのか、まとめてみた。 3~6月、全国の小中高が休校になり、保育施設なども休園した。そのころから、里山にやって来る人が急増。散策、写生、釣りを楽しむ親子が増えた。と言っても程よい程度で、その姿から、日ごろ「ゆっくり」「のびのび」することに飢えている人が多いように感じた。 会の活動は野外が主で、「三密」を心配するようなことは少ない。しかしコロナ禍で、月例テーマ観察会などに参加する親子が急増し、危険な状態になった。そこで、参加希望者は会のホームページから申し込んでもらい、参加人数を制限した。その際、在学校をまんべんなく選び、初参加者を優先した。活動人数は、スタッフを含め40人ほどに抑えている。 収穫祭など大イベントは中止 「大池の魚の観察会」には250人以上の申し込みがあり、自然体験欲求が強いことを感じた。多田多恵子さんを講師に依頼した「実と種観察会」では、「植物のたくさんの秘密を、実物を見ながら学べるなんて、なんて幸せなんだろう」との感想も寄せられた。 今年は特に、「田んぼの学校」(年間を通して田んぼに関する親子の活動)も参加者が増えた。三密にならないように、田植え、稲刈り、かかし作りも複数回ずつ行った。参加する親子に、モノの本質を見て考えてもらう活動の大切さを感じた。

《宍塚の里山》70 里山のドングリ

【コラム・及川ひろみ】ドングリの季節を迎えました。宍塚で一番多いのがコナラドングリ。次いで、アラカシドングリ、クヌギドングリ、シラカシドングリ。わずかですが、スダジイドングリも拾えます。 ドングリが落ちたところをよく見ると、気が早いものでは皮が割れ、地中に根を伸ばし始めているものがあります。ドングリは乾くと発芽率が極端に落ちますが、落下後、適当な水分があると間もなく発芽します。 しかし、多くのドングリが見られるというのに、育った若木を見ることがほとんどありません。乾燥で発芽しないドングリが多く、発芽しても、光量不足でコナラやクヌギは成長できないのです。 そこで、放置した里山では、これらの若木の更新がほとんど起こりません。シラカシやアラカシなどカシの仲間は暗い林でも発芽・成長しますから、幼木が見られますが、雑木林はコナラやクヌギ、カシ類の大きな木に覆われ、薄暗い林になっています。 明るい森づくりを目指している林、伐採が進んだ竹林など、会が活動する場所では、コナラやクヌギの若木が見られます。 ドングリの散布はほとんどが風によりますが、実は動物によっても行われています。植物は自ら動き回ることができませんが、風や動物を利用し、種子散布を行います。ドングリは大き過ぎて、風による遠方への散布は期待できませんが、実は鳥によってかなり遠くに運ばれます。

《宍塚の里山》69 最近ヘビが増えた! 人気の親子観察会

【コラム・及川ひろみ】宍塚の里山では、今年はヘビが多く、日に数回見ることもあります。かつてはどこにでもいたヘビですが、最近は少なくなっている―そんな中での出来事です。 ヘビといえば、その言葉を聞いただけで、顔をそむける方もいると思います。しかし、ヘビ好きの方も結構多く、観察会で一番人が集まったのはヘビ観察会。200人の親子がやって来たこともありました。これは、当会が主催する各種観察会の参加者レコードです。 なぜヘビが里山に増えたのか? もちろん、餌になる生き物が増えたからです。以前、カエルが好みそうな湿地や田んぼを増やしたら、赤ガエルが6倍に増えたことがありました。赤ガエルは春先、水があるところに産卵しますが、その卵塊を数えれば大体の生息数がわかります。 カエルは生きているものしか食べないことから、環境の変化を捉えるバロメーターです。卵塊を数えることができる唯一のカエルがアカガエル。6倍に増えたときには、環境保全の意味が実感できました。 里山には3~4年前から、どこからやって来たのか不明なカエル、ヌマガエルが定着しました。その繁殖力は半端でなく、今ではあちこちでピョンピョン、踏みつぶしそうなほどです。その結果、それまであまり見なかったヘビが増え、人前でも見られるようになりました。普通、ヘビは人が近づく前に素早く身を隠しますが、それでも見られるようになったのです。 「マムシって、どんな虫ですか?」

《宍塚の大池》68 地元小学校や市民がオニバス保全活動 

【コラム・及川ひろみ】オニバスは春発芽し、夏には直径2メートルもの大きな葉を水面に広げるスイレン科の一年草の水草です。葉・茎など花弁と根を除き、全体に鋭く長いトゲがあることから、オニバスと呼ばれるようになったようです。環境省レッドリスト絶滅危惧II類(VU)の絶滅の危機にある貴重な植物です。 宍塚大池は太平洋側のオニバス北限生育地で1982年、約500株が確認されました。1990年、会が行った調査では36株、その後さらに少なくなり、2000年ごろから宍塚大池ではオニバスが見られなくなりました。 オニバス減少の要因について、環境省「日本の絶滅のおそれのある野生生物」(レッドデーターブック、2002年改訂版)は、湖沼の開発、水質の汚濁土地造成を主原因に挙げています。 オニバスを育てるために会では、大池堤防の下流にオニバスの生育地として「オニバス池」を掘りました。が、そこでアメリカザリガニがオニバスを食べ尽くす現場を目撃しました。残念ながらオニバスをオニバス池で育てることを断念しています。 種を採取し1990年から栽培 オニバスは水面で咲く花とは別に、水中で自家受粉するたくさんの「閉鎖花」を付け、種を付けます。

《宍塚の里山》62  モニタリング調査で分かったこと

【コラム・及川ひろみ】環境省による里地里山調査は2005年に始まり、現在、4期目の調査を行っています。昨年11月には、2005~17年の調査報告書が、環境省と市民団体の間に立ち取りまとめを行う(公財)日本自然保護協会から発表されました。 この中で明らかになったことは、身近にごく普通に見られた生き物が急激に減少していることです。たとえばチョウでは、全体の約4割もの種が絶滅危惧の評価基準の一つである減少率(10年で30%)になっていることが明らかになりました。チョウ以外でも、野鳥、ノウサギ、テン、ホタル、ヤマアカガエルなど広い分野で、その傾向が見られました。 WWF(世界自然保護基金)の「生きている地球レポート2018」では、「過去40年間で野生生物の個体数が60%減少」と報告されています。また、2019年国際機関IPBES(生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学―政策プラットフォーム)は、「100万種が絶滅の危機」という衝撃的なメッセージを出しました。日本自然保護協会の報告書も「普通種が危機的な状況」と述べています。 行政も里山保全に積極的関与を 里地里山は、原生的な自然と都市との中間に位置する里山が集落とそれを取り巻く2次林、 それらと混在する農地、ため池、草原などで構成されています。農林業などに伴う様々な人間の働きかけが、1000年以上にわたり持続的に行われてきました。人の手が加わり続けることで維持されてきた林、田んぼ、小川、ため池など多くの環境要素が集まり、日本の面積の40%を占めていると言われています。

《宍塚の里山》61 環境省のモニタリング1000調査

【コラム・及川ひろみ】日本は、亜寒帯から亜熱帯にまたがる大小の島々からなり、屈曲に富んだ海岸線と起伏の多い山岳など、変化に富んだ地形や、各地の気候風土に育まれた多様な動植物相が見られます。 多様な生態系(高山帯・森林草原・里地里山・湖沼・砂浜・磯藻場干潟・サンゴ礁・島嶼)のそれぞれについて、環境省では全国1000カ所程度のモニタリングサイトを設け、基礎的な環境情報の収集を長期にわたって(100年)継続し、日本の自然環境の質的・量的な劣化を早期に把握することを目的に調査を行っています。 調査は記録を残すことだけが目的ではありません。結果を生かすことこそが大切なのではと、われわれは環境省のシンポジウムで質問しました。変化を捉えたなら、素早く保全に生かすことが調査の目的ではないかと主張しました。(環境省のHPには調査の目的に保全に生かすとは書かれていないことが残念です) モニタリング調査を行う環境省の方針のもと、里地里山の調査内容について、日本自然保護協会が専門家、市民2団体と調査・検討を開始したのは2003年のことです。昆虫・植物・土壌・動物・水質などの調査項目が挙がる中、生態系を捉える上で、昆虫より上位に位置する動物の調査が必要だと提案した結果、アカガエルの卵塊調査、哺乳動物調査の項目が入り、試行錯誤をしながら、調査を開始しました。 より正確に里山の自然環境を把握 環境省は里地里山モニタリング調査を、当初、専門家に委託することを考えていました。しかし、身近な自然環境である里地里山調査は、年数回やって来る専門家による調査より、専門性を持った市民が足しげく通って調査する方が、より正確な里山の自然環境の把握ができるのではないか―と思い、(公財)日本自然保護協会と当会が2006年2月、モニタリングシンポジウムを土浦市民会館で開催しました。

《宍塚の里山》60 白い花に覆われたウワミズザクラ

【コラム・及川ひろみ】コロナが社会を席巻(せっけん)している中ではありますが、そんな時こそ、ちょっと気分転換。4月中下旬、宍塚の里山には、こんもりと白い花に覆われたウワミズザクラが風に揺らぐ様子が、方々(ほうぼう)で見られます。 高さ10~20メートルにも及ぶ大木で、明るい林縁(りんえん)に多く見られるので、遠くからでもよくわかり、見応えがあります。花は写真のようにブラシ状です。桜のようには見えませんが、よく見ると5枚の花びらは小さな桜の花です。成長も極めて早いことから、里山の至る所で見ることができます。 ウワミズザクラはアンニンゴ(杏仁子)とも呼ばれ、若い花穂(かすい)を塩漬けにしたものをアンニンゴ漬けと言います。アンニンゴ漬けで有名なのは新潟県ですが、酒の肴(さかな)にすると、人から聞きました。 花の後、写真のような赤黒い実を付けます。この実の収穫は野鳥との競争です。特に、ムクドリが集団でやって来て実を漁り、あっという間に食べ尽くします。野鳥は美味しく実った時にやって来ますから、その直前に取るのが秘訣です。 黒い実は果実酒が最高 採った黒い実は果実酒が最高。アンニンゴ漬けもそうですが、この果実酒、いい香りがします。アンニンゴは、杏子(あんず)の種からつくるアンニン(杏仁)に似た香りがします。友人が数年前漬けたウワミズザクラのお酒を届けてくれました。「不老長寿の酒」と書いてあり、薬酒と言われています。

《宍塚の里山》59 春の美味しい草花いろいろ

【コラム・及川ひろみ】3月1日、モンシロチョウが飛び始め、3日にはアマガエルが鳴き、鶯(うぐいす)の初鳴きを聞いたのも、この日のことでした。初鳴きといっても、ホーホケキョと鳴いたわけではなく、藪(やぶ)から密やかに、鳴きたいな、鳴いてみようかなーとでもいうように、遠慮がちに。 2日後の少し暖かな日には、大分はっきりとさえずりました。それにしても、今年の生き物カレンダーは、初認日の更新がとても多い。 進む春、美味しい草花の成長も際立ちます。アマドコロは名前のように甘く、さっと茹(ゆ)でて酢味噌でいただくと美味しい、ユリ科の植物です。15センチほど伸びたものをスパッと白い部分から抜き取ります。野草を摘むときに大事なことは、来年も楽しめるように、根から掘り採るのはご法度(はっと)。 カンゾウも普通に見られる野草ですが、同じように、さっと茹でていただきます。両者とも癖がなく初心者向け。タラの芽は山菜の王様。鋭い大小の棘(とげ)が特徴の小木で、里山の方々(ほうぼう)に自生しています。膨らんだ芽だけをそっとむしり取ります。 ハリギリは棘(とげ)も芽もタラによく似た植物ですが、同じように食べられます。棘がタラより太く鋭い。タラもハリギリも天ぷらが香ばしい。どちらも、日が当たる林の縁に見られます。これも次年度を考え、取りすぎないように。 どちらも芽を取りすぎると、当たり前のことですが枯れます。食料用に改良されたタラに棘がないものもありますが、山野で育つタラは鋭い大小の棘が特徴です。以前、タラの芽と間違え山漆(ヤマウルシ)の芽を食べ、入院騒ぎを起こした人がいることはお伝えしました。 新鮮なうちに調理し食べ過ぎない ノビルは、地元の方は「ののひろ、エシャロット」などと呼び、これも昔から好まれた野草。さすが、年季が入った方は採るのがうまい。丸く膨らんだ根がうまく採れたときは、子どもも大人も思わず笑顔に。ノビルは繁殖力が強く、根から採っても翌年に影響することはありません。 そのほか、新芽が食べられる植物は多々。クサギ、ハナイカダ、ウワミズザクラ、クズ、サルトリイバラ、ハコベ、クコ、アザミ(いずれも新芽をさっと茹で、お浸しやあえ物に)、タネツケバナ(若い葉や花をサラダに)、ナズナ(根をきんぴらに)、ハハコグサ、カラスノエンドウ(天ぷらに)。 またまだありますが、ナズナを除き、どれも若芽が食べごろ。摘んだ芽は新鮮なうちに調理し、食べ過ぎないこと。苦(にが)い、辛(から)いは、植物の自衛から生まれた薬物、毒物です。人によい効果をもたらす、薬効のあるものも種々ありますが、食べすぎにはご注意ください。(宍塚の自然と歴史の会代表) ➡及川ひろみさんの過去のコラムはこちら

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