木曜日, 3月 30, 2023
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小学校区に1カ所を【広がる子ども食堂】6

子どもに無料または低料金で食事を提供し、地域交流の場ともなっている「子ども食堂」。2017年から県内の子ども食堂など、食を通じた地域の多様な居場所づくりの設立・運営のサポートに取り組んでいる茨城NPOセンター・コモンズ事務局長で、子ども食堂サポートセンターいばらき(水戸市)の大野覚さん(43)によると、子どもが1人でも安心して利用できる子ども食堂には、子どもの貧困対策と地域の交流拠点の2つの柱がある。 ところが、子ども食堂イコール貧困対策のイメージが広がり、多感な時期の子どもは「周囲から貧困家庭と思われたくない」と利用を控えてしまうことがあるという。支援を必要とする子どもが入店しにくい状況を生まないため店の名称をあえて「子ども食堂」とせず、地域交流を前面に打ち出している食堂が多い。大野さんは「生活が苦しい子どもだけに限定している食堂はわずかで、全体の8~9割の子ども食堂が『地域の誰もが利用できるみんなの居場所』と広く門戸を開いている」と話す。 子ども食堂を開設する方法は、食品衛生責任者の資格が必要など保健所の問題だけで「参入の敷居が低い」と大野さんが言い表すように、開設しようという仲間がいて、調理と食事ができる公的施設などを借りることができれば始めることができる。運営者の7割を市民団体とNPO法人が占め、近年は民間企業が運営する子ども食堂が出現してきた。大野さんはその理由を「社会貢献として消費者に得点が高いからではないか」と分析する。 運営は明確な定義があるわけではなく、運営団体によって開催頻度、スタイル、メニューなどはさまざま。開催頻度は月に1回または2回が多く、土曜の昼食時や平日夜に営業したり、日曜の朝食時間帯に取り組む食堂もある。料金は子どもは無料、有料の場合は100~300円が主流で、大人については子どもより割高に設定されている。年齢を問わず誰でも無料の食堂もある。また、釜でご飯を炊いたり、地域の伝統食の提供や野菜の収穫と料理体験など、食育活動を行っている子ども食堂もある。 県内の子ども食堂の多くが市民ボランティアが主体となって運営されており、課題は「運営費の確保」だ。ボランティアが基本となる経営は必ずしも恵まれたものではなく、寄付や助成金制度などを活用しながら運営を行っているところが多いと大野さんはいう。 食材は農業協同組合からコメや野菜、フードバンクから加工品などの提供を受けているほか、野菜を多く作り過ぎた農家や、地域住民からの寄付で賄われている。

コロナ禍 シングルマザー5人が立ち上げ【広がる子ども食堂】4

コロナ禍の2020年、シングルマザー5人が立ち上げた子ども食堂がある。阿見町を中心に食料を無料で配布するフードパントリーや子ども食堂、無料塾などの活動をしているami seed(アミ・シード)だ。代表の清水直美さん(44)ら30~50代の女性10人が中心となって運営する。 2月初め、阿見町のコミュニティセンター、本郷ふれあいセンター(同町本郷)で開かれた無料塾と子ども食堂「おにぎり食堂」に小学生から高校生まで約15人が集まった。毎週木曜日に開催している。子どもたちは机の上にそれぞれの教科書やノートを広げ、集中して鉛筆を走らせている。ボランティアの山田美和さんら2人が講師として子どもたちに勉強を教える中、調理室では清水さんら6人が調理に追われていた。 この日の献立は翌日が節分の日であることに合わせて、恵方巻とさつまいもの肉巻き、さつまいもとりんごのサラダ、あさりとしじみ2種類の味噌汁、牛乳。訪れた子どもたちの分と子どもたちが持ち帰る家族の分、合わせて50食を作り、容器に盛り付けていく。献立は調理師の資格を持つ林久美子さんが考えた。食材はいずれも寄付されたものだ。 しばらくすると勉強が終わった小学生たちが食事の準備を待ちきれず調理室にやってきた。「お腹減った?自分の分を自分で巻いてみる?」。林さんが恵方巻の作り方を教えると、子どもたちは真剣な様子で巻きすに手を添え巻いていく。完成すると笑顔がこぼれた。続いてやってきた中学生たちも自分で作った太巻き1本を、恵方を向いてほおばると「とてもうまいです」と顔をほころばせ、親指を立てて見せた。 2月12日に開かれたアミ・シード主催の講演会で活動への思いを語る清水さん=同

「気がかり」をつなぎ ヤングケアラーを支援【広がる子ども食堂】3

5年前の12月、つくば市内の子ども食堂の運営者から、不登校やいじめなどの教育相談に取り組む同市の穂積妙子さん(73)に相談が持ち掛けられた。穂積さんは民間団体「つくば子どもと教育相談センター」の代表を務める。相談は「いつも来ている姉妹がいて、姉が妹の勉強を見てやっているが他の子どもと交流はなく、どこか違う。不登校の疑いもあるが、他にも事情がありそうで気がかり」というものだった。 同センターの相談員を務める元教員が子ども食堂を訪れ、姉妹と一緒に食事を取った。この時も姉妹の脇には教科書とノートが置かれていた。温かい食事に気持ちがほぐれた姉妹に「勉強熱心でえらいね」と話しかけたことをきっかけに、相談員の問いかけに姉がとつとつと話し始めた。 勉強を見てやっていたのは19歳の姉で、不登校の中学3年の妹の高校受験を案じてのことだった。シングルマザーの母親は入退院を繰り返していて、生活保護を受給していること、ホームヘルパーの生活援助を受けているが頼れる親戚はいないこと、姉は高校に進学しなかったこと、姉妹の下に小学6年の弟がいることが分かった。相談員は、姉の話に耳を傾けながらヤングケアラーだと直感した。 ヤングケアラーは、ケアを必要とする家族がいて、病気や障害の親のケア、きょうだいの世話、祖父母の介護など、大人が担うような家事や家族の世話、介護などを引き受けている子どもをいう。ヤングケアラーとなることで、遅刻や早退、欠席、成績の低下が生じ、進学もあきらめざるを得ない状況になるなど、子ども自身の生き方に影響を及ぼすことが問題視されている。 穂積妙子さん

新米23.5トンを子ども食堂などに 茨城大農学部研究中の収穫から

茨城大学農学部(阿見町、宮口右二学部長)は4日、実証実験中の大規模圃(ほ)場で収穫された新米(あきたこまち)23.5トンを、県内で子ども食堂などの支援活動に取り組む団体に寄贈した。機械メーカーのコマツ(本社・東京、小川啓之社長)と共同で、20年から農業用ブルドーザーを用いた乾田直播(ちょくは)水稲栽培の研究を進めており、年々収量をあげている。収穫米は販売できないことから、食の支援を必要とする家庭や学生へ届けるために活動する団体に寄贈しており、3年目となる今回、この数量も増やされた。 4日は宮口学部長、コマツ本社から坂井睦哉グリーン事業推進部長らが出席して寄贈式が行われた。Ami seed(アミシード、阿見町)の清水直子代表、県生活協同組合連合会(水戸市)の井坂寛専務理事が寄贈の目録を受け取った。Ami seedは茨城NPOセンター・コモンズ(水戸市)により運営されている子ども食堂サポートセンターいばらきを、県生協連は茨城大学生協を含む協同組合ネットいばらきを、それぞれ代表する形で受け取った。 ブルドーザーで耕す乾田直播水稲栽培 共同研究は今年、稲敷市内にある5.6ヘクタールの大規模圃場で行われた。乾田直播水稲栽培は、水田にイネの苗を植えるのではなく、イネの種子を直接土に播くスタイルで行われる。稲作の労力とコストを削減させ、休耕地活用の促進や地域農業の持続可能性につながることが期待されている。コマツの開発した農業用ブルドーザーは、最新のデジタル技術を駆使することによる高精度な均平作業と、後部に装着した農業用アタッチメントによる耕起作業や種まき作業が可能という。 直播栽培はこれまでにもさまざまに試みられたが容易に普及しなかった。農学部の黒田久雄教授は「とにかく土地を真っ平らにするのが大事な要件」といい、トラクターや田植機ではなくブルドーザーの出番となった。

学習会中止期間もNPO奮闘 コロナ禍の子ども支援㊤

コロナ禍の1年、経済的に困難を抱える世帯の子どもを対象に、無料の学習支援や居場所の提供を行う「つくばこどもの青い羽根学習会」にも、学習会を開けない期間が出るなど、大きな影響が出た。 つくば市は地域のNPOなどと協働で、「青い羽根学習会」を市内14か所で実施している。昨年4月から5月までの2カ月間と、今年1月に県独自の緊急事態宣言が発表されてからの3週間、新型コロナ感染防止のため、学習会は中止された。 週に1度は様子を確認 NPO法人「NPOプラザ・ねこねっと」は週に1回、市内で青い羽根学習会を開催し、食事の無料提供をおこなっている。毎週、約10人の小中学生が通っている。 昨年春の学習会中止期間も、週に1回は子どもたち一人一人と連絡を取り、様子を確認した。市と協働したり、中央共同募金会(東京都千代田区)の助成金を利用し、週に1度、利用者に弁当を無料配布した。子ども本人または保護者に弁当を手渡し、元気がないなど、様子に変化がある場合は話を聞いた。当時は学校も休校になり、学校給食もなくなったため、夜遅くに保護者が仕事から帰ってくるのを、何も食べずに家で待っていた子どもや、体がやせてきた子どももいた。 緊急事態宣言が明けた昨年夏には、例年通り、保護者と面談し、コロナでどのような影響が家庭に出ているのかなどを聞いた。仕事を減らされた等、経済面でひっ迫した家庭が多かった。必要に応じて、行政とも連携を取り、公的支援を受けることを提案し、申請書類の記入等も手伝った。他の家庭にも、困った時は我慢せずに必要な支援を受けるように呼び掛けた。

コロナ禍でアルバイト減少 子ども食堂が大学生に食品支援

【川端舞】コロナ禍でアルバイト収入が減った大学生を支援しようと、つくば市内の子ども食堂「竹園土曜ひろば」が9月25日と28日、経済的に困難を抱えている大学生を対象に食品配布会をおこなった。約50人の大学生が米やインスタント食品、飲み物などを受け取った。大学生からは「家賃や光熱費の支払いにも苦労している」という声が出された。 食品を受け取った大学2年の男子学生は、居酒屋と塾で週に4日から6日アルバイトをし、月7~9万円の収入を得ていた。もともと奨学金を受けており、実家からの月2万円ほどの仕送りと、アルバイト収入で生活していた。しかし今年3月、感染拡大の影響で、居酒屋、塾ともに仕事が激減し、収入は半減した。当時は家賃や光熱費を支払うのも大変になり、食費や光熱費を節約するため、3月中旬に県外の実家に帰省した。 6月につくばに戻ってきたが、居酒屋は休業していたため退職した。現在は塾のアルバイトのみで、収入は月5~6万円に減った。国の特別定額給付金や大学からの支援金、今までの貯金などで今は生活できているが、余裕はない。今後、実習があり、交通費などが余分にかかるため、金銭面に少し不安があるという。 大学1年の男子学生は、県外から引っ越してきた8月からアルバイトを探しているが、求人が少なく、まだ決まっていない。自炊するなどして食費を節約し、実家からの仕送りで最低限の生活はできているという。 気軽に助けを求められる存在に 竹園土曜ひろばが、食品配布会に参加した学生を対象に実施したアンケートをまとめたところ、47人のうち、「コロナ禍でアルバイト等の収入が減った」と22人が答え、「経済的な理由で食事の回数や量を減らしている」と14人が答えた。「家賃や光熱費の支払いに苦労している」と答えた学生も8人いた。経済的に困難を抱えている学生が一定数いることが分かる。一方、コロナ禍での経済的な困難をどこにも相談していない学生が過半数の34人と、困っていても相談できる場所がなかったり、相談先が分からないなどの現状があることも分かった。

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音楽家たちに発表の場を つくばのカフェで演奏会

カフェやレストランなどを使って音楽家が発表する場をつくりたいと、つくば市内で飲食店を経営する飯泉智弥さん(49)が音頭をとり、同市竹園の商業施設、ヨークベニマルタウン内のエヌズ カフェ(N's Café)で20日、家族連れや関係者を招いたミニコンサートが開かれた。 飯泉さんは2017年に、小学1年生から大学生までの「筑波ジュニアオーケストラ」の立ち上げに尽力した(2017年10月27日)。21年にはつくば駅前の商業施設トナリエつくばスクエア・クレオに地元の音楽愛好家たちのためストリートピアノ「つくぴあ」を設置した。 その後、ストリートピアノの利用者たちの間から、定期的な音楽会をやってみようという声が上がったという。 飯泉さんは、どんな形で開催できるか、まずは試しにやってみようと、自らがオーナーとなっているカフェをプレ・イベントの開催会場とした。 店内のどの場所で演奏するか探りながら、当日はカフェの中央にステージを作った。来店客は、テーブルに座って食事をしながら音楽を聞く形になった。

3回目の桜《短いおはなし》13

【ノベル・伊東葎花】 早春の公園。青空に映える満開の桜。 私は公園のベンチに座って、砂遊びをする息子を見ていた。 「見事に咲きましたなあ」 隣に座る老人が話しかけてきた。 老人は、息子を見ながら言った。

数センチの隆起や沈下を面で可視化 「地殻変動の地図」公開

国土地理院 人工衛星データを解析 国土地理院(つくば市北郷)は28日、日本全国の大地の動きを可視化する「地殻変動の地図」を公開した。宇宙航空研究開発機構(JAXA)が運用する陸域観測技術衛星2号「だいち2号」の観測データ8年分を用いて作成された変動分布図で、地形のわずかな隆起や沈下を彩色によって分かりやすくとらえられるようにした。 公開された全国地殻変動分布図は「地理院地図/GSI Maps」により一般にも簡単にアクセスし閲覧できる。 地殻変動分布は「だいち2号」の合成開口レーダー、SAR(Synthetic Aperture Radar)技術によって得られた。人工衛星から地表に向けて電波を照射し、戻ってきた電波を受信し、往復にかかる時間により地表までの距離を面的に観測するセンサーの一種。人工衛星では、地球を周回しながら同一地点に異なる方向から電波を2回、照射し観測することで、大きな開口を持ったアンテナと同様な解像度を得る。 微小な地形の変化を正確に読み取るには、統計的処理のために大量のデータが求められた。2014年8月から8年以上の観測データを得て、時系列解析を行った。国土地理院宇宙測地課、佐藤雄大課長によれば、衛星からの撮影は約1500回に及び、画像枚数にして6400枚のデータを得たという。

仕様書不備で落札決定取り消し つくば市

つくば市が3日に開札を実施した同市佐地区と上菅間地区2カ所にある生活排水路浄化施設の維持管理業務の一般競争入札で、同市は28日、業務委託の仕様書の中で、汚泥の処分方法を「産業廃棄物として処分する」など明記すべきところを明記していなかったとして、落札者の決定を取り消し、入札を不調にしたと発表した。 市環境保全課によると業務委託の内容は、2カ所の浄化施設を今年4月から来年3月までの1年間、維持管理点検し、汚泥を清掃し処理するなどの業務で、2月10日に一般競争入札が告示された。予定価格は約276万円で、3者が入札に参加。今月3日に開札が行われ、落札業者が決定していたが、28日までに仕様書の記載内容に不備が確認されたとして、落札者の決定を取り消す。 今後の対応について同課は、入札業者に事情を説明すると共に、4月以降の業務について、数カ月間は随意契約とし、その間に入札の準備を進めて、改めて入札を実施するとしている。 再発防止策として、仕様書を作成する際は複数名により記載内容の確認を徹底し、適正な仕様書を作成することで再発防止に努めますとしている。