コロナ禍の1年、経済的に困難を抱える世帯の子どもを対象に、無料の学習支援や居場所の提供を行う「つくばこどもの青い羽根学習会」にも、学習会を開けない期間が出るなど、大きな影響が出た。
つくば市は地域のNPOなどと協働で、「青い羽根学習会」を市内14か所で実施している。昨年4月から5月までの2カ月間と、今年1月に県独自の緊急事態宣言が発表されてからの3週間、新型コロナ感染防止のため、学習会は中止された。
週に1度は様子を確認
NPO法人「NPOプラザ・ねこねっと」は週に1回、市内で青い羽根学習会を開催し、食事の無料提供をおこなっている。毎週、約10人の小中学生が通っている。
昨年春の学習会中止期間も、週に1回は子どもたち一人一人と連絡を取り、様子を確認した。市と協働したり、中央共同募金会(東京都千代田区)の助成金を利用し、週に1度、利用者に弁当を無料配布した。子ども本人または保護者に弁当を手渡し、元気がないなど、様子に変化がある場合は話を聞いた。当時は学校も休校になり、学校給食もなくなったため、夜遅くに保護者が仕事から帰ってくるのを、何も食べずに家で待っていた子どもや、体がやせてきた子どももいた。
緊急事態宣言が明けた昨年夏には、例年通り、保護者と面談し、コロナでどのような影響が家庭に出ているのかなどを聞いた。仕事を減らされた等、経済面でひっ迫した家庭が多かった。必要に応じて、行政とも連携を取り、公的支援を受けることを提案し、申請書類の記入等も手伝った。他の家庭にも、困った時は我慢せずに必要な支援を受けるように呼び掛けた。
今年1月の緊急事態宣言時は、学習会を閉鎖した期間も短く、学校給食は食べられる環境だったため、食事支援はしなかった。一方、高校入試が近かったため、受験生の学習支援は個別に継続できる環境を整えたが、感染の不安から、希望する子どもはいなかった。
家庭環境整えるサポートできたら
青い羽根学習会の対象となる家庭には、毎年、つくば市から案内を配布している。「NPOプラザ・ねこねっと」が担当する地域では、実際に学習会を利用する家庭は、案内が配布されている家庭の2割ほど。「今年度になってから、通ってくる子どもは増えたが、それでもまだ、必要な支援につながれていない家庭も多いのでは」と、「NPOプラザ・ねこねっと」代表の稲葉淑江さん(60)は心配する。「子どもの学習面だけでなく、保護者の生活を支えることで、家庭の環境を整えるサポートができたら」と稲葉さんは語る。
つくば市で青い羽根学習会を運営している他の団体は、昨年春と今年1月の学習会を開催できなかった期間、家庭の通信環境が整っている中学生にはオンライン授業を行った。「この1年間は、通っている学校によって、課題の量やオンライン授業を取り入れているかにも差があったため、学習会に通っている子どもだけでなく、子どもたち全体に不安が広がっているようだ」と、団体の代表は語る。
誰もが不安を感じる中で、子どもたちをどう支えていくか。支援団体の奮闘は続く。(川端舞)