水曜日, 5月 15, 2024
ホーム検索

田中めぐみ -検索結果

If you're not happy with the results, please do another search.

がん患者支援の祈り つくば市在住の演奏家ら「いのちのリレーコンサート」 14日アルスホール

【田中めぐみ】がん患者支援のイベントを毎年つくば市で開催、ことし結成10周年を迎えるリレー・フォー・ライフ・ジャパン茨城(RLJ茨城、田澤勝英代表)が、記念の「いのちのリレーコンサート」を14日、同市吾妻、つくば文化会館アルスホールで開く。チャリティーで集められた寄付金は、日本対がん協会を通じて、がんの研究や治療や患者の支援のために使われる。 主催は同コンサート実行委員会。出演は、ソプラノ歌手田中宏子さん(つくばオペラ代表)、バイオリニストのクレイグ・コールマンさん(コールマンヴァイオリンスタジオ代表、同市)、ピアニスト行谷由紀子さん(桐朋学園非常勤講師)、つくば市在住の小学一年生から中学一年生らで成る弦楽アンサンブル「つくばジュニアストリングアンサンブル」など。がん患者支援への思いを込めた楽曲を、様々な楽器や歌声で聴くことのできるコンサートになる。 RLJ茨城が主催するチャリティーイベントでは、空っぽの椅子とテーブルを置いて亡くなった人をしのぶ「エンプティーテーブル」という催しが毎年行われている。この催しでは詩などの朗読を行うのが他県での通例だ。しかし、茨城では第1回イベントからソプラノ歌手の田中さん、第2回からバイオリニストのコールマンさんらボランティア音楽家が出演し、これまで毎年、歌と演奏によって追悼の意を表してきた経緯がある。 参加者からは好評で、田中さんの歌やコールマンさんの演奏を野外ではなく屋内で聞いてみたいという声が以前からあったという。その声に応えたいと、3年ほど前、田中さんがRLJ茨城のためのコンサートを発案した。出演者のスケジュール調整ができず実現に至っていなかったが、昨年11月から具体的な計画が進み、田中さんを中心に、RLJ茨城名誉実行委員長の宮本恭子さんらを含む6人で準備を始めたという。演目から会場、出演者、パンフレットの作成など準備を進め、開催が実現した。 コンサートでは、毎年「エンプティーテーブル」で田中さんが歌っている「ユー・レイズ・ミー・アップ」、「アベ・マリア」、「アメイジング・グレイス」が披露されるという。いずれも亡くなった人への追悼の意を込めた歌だ。中でも「ユー・レイズ・ミー・アップ」は、より意味が伝わりやすいようにという田中さんの提案で、英語教師でもある宮本さんが歌詞の和訳を行った。宮本さんは「原曲のイメージを壊さないようにしながら、かつ歌いやすさも大切にして和訳した」と話す。また、コンサートでは、歌声を合わせることで参加者同士の絆を深めてほしいとの思いから、東日本大震災の復興ソング「花は咲く」を全員で合唱するという。 健康への意志を次の世代が引き継ぐ 「いのちのリレーコンサート」の出演バイオリニストで、第2回チャリティーイベントの「エンプティーテーブル」で演奏を依頼されたことからボランティアを始めたというのクレイグ・コールマンさん(57)に話を聞いた。 コールマンさんは、第2回以来毎年演奏しており、今年で9回目の出演となる。コールマンさんは「エンプティーテーブル」で初めて演奏した時のことについて、「よく覚えています。空っぽの椅子とテーブル、レモンと塩と一輪のバラの花、それら一つ一つががんとの戦いを表している。レモンはがんとの戦いの苦さ、塩は涙、バラは一筋の希望。とても神聖な儀式というか宗教的な祈りのような気持ちを強く感じました。がんとの戦いの末に亡くなられた方々が持ち続けていた健康への意志を、次の世代が引き継いで、がんを克服できる世界にしていかねばと思わされました。大切なセレモニーだと思い、毎年心を込めて演奏しています」と語る。 RLJ茨城の活動に参加するようになり、「コミュニティーにかかわれるようになった、新しい人との出会いがあった」と語るコールマンさん。同コンサートに出演する「つくばジュニアストリングアンサンブル」の指導もしている。 ◆同コンサートは、4月14日(日)午後3時30開場、4時開演。入場料は大人2000円、高校生以下1000円。 入場料には5月18日(土)、19日(日)のリレー・フォー・ライフ・ジャパンイベントに飾られるルミナリエ(がん患者へのメッセージを書いた灯篭)代も含まれる。田中宏子さんとクレイグ・コールマンさんは同日のイベントにも出演する予定だ。

日本語教員養成プログラム 2019年度募集始まる 筑波学院大学

【田中めぐみ】筑波学院大学(つくば市吾妻、大島愼子学長)の開設する「日本語教員養成プログラム」で、19年度の受講生募集が13日から始まった。申し込みは26日まで。入学時期は4月、募集定員は10人。 訪日外国人や海外での日本語学習者の増加に伴い、日本語教員の需要が高まっており、外国人に対する実践的な日本語指導能力を備えた日本語教員を養成する。文部科学省認定の「職業実践力育成プログラム」(BP)の1つで、修了者には同大学から履修証明が交付される。日本語学校の求人要件を満たすものだ。 日本語教員養成プログラムは総時間458時間(うち必修は428時間)、標準履修期間は2年。日本語教員に必要な日本語や日本語教育指導の基礎的な知識およびコミュニケーションに関する授業を行う。さらに同大学には、外国人のための「国際別科」という集中的な日本語教育機関があり、この場を活用した実習を行い、実践的な指導能力を育成する。加えて幅広い知識と経験を得るために、インドネシアなど、海外での日本語教育実習の機会も提供する。 プログラムは16年度から開設されており、すでに修了者のうち2人が日本語教員として活躍中という。現在は、留学生を含む学内の生徒のほか、学外から20代~70代の4人が同プログラムを受講し、勉強している。 検定料(出願書類提出前に納入)1万円、入学金 1万5000円、2年間の受講料 32万8800円(必修科目受講料のみ、選択科目受講料およびテキスト代除く、半期ごとの支払い可) ▼問い合わせ 筑波学院大学学生支援グループ(つくば市吾妻 3-1)、直通電話:029-858-4813 メール:gakumu@tsukuba-g.ac.jp ➡「日本語教員養成プログラム」の関連記事はこちら  

伝説の音職人・行方洋一さん 日本ポップス録音史つづる

【田中めぐみ】土浦市在住の行方洋一さんが書いた「音職人・行方洋一の仕事 伝説のエンジニアが語る日本ポップス録音史」(DU BOOKS、税別2200円)。昨年8月に出版され、話題を呼んでいる。名盤といわれるレコードの制作秘話が満載の自伝的な一冊だ。日本のポップス史を、録音技術の進化の過程やエンジニアの労働環境という観点からもうかがい知ることができる。 行方さんは1943年生まれ。元の東芝音楽工業(後の東芝EMI)のレコーディング・エンジニアでオーディオ評論家。坂本九「見上げてごらん夜の星を」や弘田三枝子「私のベイビー」、欧陽菲菲「雨の御堂筋」、ザ・ドリフターズ「ドリフのズンドコ節」など、数多くの有名ミュージシャンたちの楽曲録音から、テレビアニメ「サザエさん」の主題歌、蒸気機関車の音などの野外録音まで、様々な作品を手掛けてきた。川口真や筒美京平ら、よく知られた作編曲家からの信頼も集め、「伝説のエンジニア」と称されている。 本の中には、秘密主義で閉鎖的だったレコード会社の気風を壊し、エンジニア同士のコミュニケーションを活発にするため、他社の同業者たちと「音屋会」(現在の「日本レコーディングエンジニア協会」)を発足した経緯も書かれている。当時エンジニアの名前はレコードに記載されていなかった。エンジニアの地位向上を目指し、行方さんら「音屋会」が名前の記載を求めて働きかけた結果、名前が記載されるようになった。 記録媒体がレコードからCDに移り変わるなか、録音の仕方も変化したという行方さん。レコード録音の場合は音が圧縮されるため自然と丸みのある柔らかい音になるが、CDだと音圧レベルを下げる調整が必要だと話す。 「死ぬまで現役エンジニアでいたい」という言葉通り、現在でも毎日何かを作っている。野外録音にも取り組む。対象は、鳥の声や陸上自衛隊の実弾射撃の音、台湾を走る日本製の古い蒸気機関車の音、飛行機の離着陸の音など幅広い。霞ケ浦に船で乗り出し、土浦全国花火競技大会の花火の音を取ったこともある。 「次の世代に引き継ぎたい」 後進の育成にも心を寄せる。都内で活躍するエンジニアの「弟子」が15人ほどおり、今でも月1回は集まりを開いて話をしたり、相談に乗ったりするという。また台湾にも4人の後継者が育ち活躍している。「音楽業界も昔より厳しくなった。1万枚か100万枚か、どのくらい売れるか予測ができないので、結局制作費を削られてしまう」と話す行方さん。音楽業界でエンジニアとして働く夢を持つ人に向け、「よい音楽に興味を持ってたくさん聞くことが大切。やりたいと思ったら年齢は関係なく、手を動かして作ってみるといい」とエールを送る。 録音技術を次の世代にも引き継ぎたいと、地域でも講演会やセミナー活動を行っており、3月23日にコーヒー& ジャズ「ノーチラスカフェ」(阿見町・土浦三高下)で開催の「『音屋』セミナー2 音職人・行方洋一の世界」に登場する。1月に開催したセミナーの2回目で、初心者から上級者まで楽しめる内容を予定している。 ◆『音屋』セミナー2 音職人・行方洋一の世界 3月23日(土)午後7時から、阿見町阿見79コーヒー & ジャズ「ノーチラスカフェ」。参加費2000円(ソフトドリンク付き、税込み)。予約・問い合わせは同店(電話029-887-0375)。

【ひと】飲酒量低減外来を開設 筑波大学 吉本尚准教授

【田中めぐみ】筑波大学との連携で1月半ば、北茨城市民病院付属家庭医療センター(同市中郷町)内に飲酒の悩みを抱えている人を対象にした「飲酒量低減外来」が開設された。精神科以外での飲酒専門外来の開設は全国で初めて。毎週木曜日午前中に同大医学医療系の吉本尚准教授ら総合診療医が診察する。反響は大きく、開設して約3週間、予約はほぼいっぱいの状況だという。 北茨城市は筑波大と地域医療で連携しており、同大は総合診療、家庭医療の専門医教育の一環として、同センターで研修や実習を行っている。同外来は飲酒量が多い人や軽度のアルコール依存症の人などが対象。飲酒習慣について質問票で調査した上で、カウンセリングをするほか、場合によっては薬物治療も行い、一人ひとりに合った飲酒量を考えていく。診療で治験を集め、今後つくば・土浦市内、ひいては全国にも取り組みを広めていければとの考えだ。 吉本准教授によると、国内にはアルコール依存症が100万人いるとされているが、医療機関を受診している人は4~5万人。アルコール依存症の診療は従来、精神科や心療内科の領域であるため、受診をためらってしまうことが原因の一つとみられる。「アルコールの問題で悩んでいる人は想像以上に多い。悩んでいる人がもっと気軽に受診できるよう、新しい取り組みにチャレンジできないかと考え、飲酒量低減外来を開設した」と話す。 厚生労働省が「節度ある適度な飲酒」としている量は、ビールなら男性で500ミリリットル、女性や高齢者はその半分。吉本准教授らが関東の31大学の学生533人を対象に調査したところ、飲み放題のサービスがある店では、飲み放題でない店よりも飲酒量が2倍近く増える傾向があるという。また関東の大学生2177人を調査したところ、男性では2時間で1缶500ミリリットルのビールを2本半、女性では2本飲むと、けがのリスクが25.6倍になったという。海外では飲み放題の規制をしている国もある。 アルコール・うつ・自殺は関連が深く、「死のトライアングル」と呼ばれている。吉本准教授は「最近は芸能界やスポーツ業界などでも、お酒に関係する事件の報道がされて話題になっており、お酒との付き合い方は難しいと感じる」そうだ。「『自分は飲み過ぎではないか』『飲む量を減らしたい』など、飲酒のことで気になること、困りごとがあればなんでも気軽に相談してほしい。本人だけでなく、家族の相談でもかまわない。体、心の害が出ないようにお酒とうまく付き合える支援をしていきたい」と話している。 [吉本尚(よしもと・ひさし)]北海道出身、筑波大卒、医学博士。2014年に母校に戻り、18年から医学医療系地域総合診療医学准教授、総合診療に関わる医師の在り方を提案している。 ◆北茨城市民病院付属家庭医療センターは予約制で1日3人まで。電話0293-43-1131 ◆飲酒に関する相談は同センターのほか、筑波大学付属病院総合診療グループ。電話029-853-3189

認知症は予防できる! 筑波大の内田准教授が早期発見の検査法開発 普及へ

【田中めぐみ】認知症は予防できるという。筑波大学医学医療系の内田和彦准教授らのグループが、簡単な血液検査によって軽度認知障害(MCI)のリスクが判定できることを発見した。この検査法は内田准教授が社長を務める同大発ベンチャーMCBI(つくば市吾妻)で実用化、全国の医療機関で検査が可能になった。 検査は7㏄の採血のみで、2~3週間で結果が出る。判別精度は90%。健康保険適用外の自費診療で料金は2万円ほど。内田准教授は認知症の予防につなげる新しい検査法として普及させたい考えだ。 軽度認知障害は、もの忘れが目立つなど認知機能の低下はあるものの、日常生活には支障が出ていない状態で、認知症の前段階を指す。軽度認知障害の約40%が4年後に認知症を発症するといわれており、要注意の段階だ。しかし定期的に血液検査を行い、早い段階で発見できれば、生活習慣の改善で回復が可能だという。 3種類のタンパク質濃度を検査 アルツハイマー型認知症は、アミロイドβ(ベータ)タンパク質という物質が脳内に蓄積し、正常な神経細胞に障害を与えることで発症すると考えられている。アミロイドβは誰の脳にも存在するが、蓄積しないよう排出する機能が備わっている。 認知症を発症する人は排出機能が低下しており、徐々にアミロイドβが脳内に蓄積される。排出には3種類のタンパク質が必要だが、軽度認知障害の人は、この除去に働く3種類の血中量が健常者に比べて低く、排出機能低下につながっていると考えられている。血液検査ではアミロイドβを排出に関わる3種類のたんぱく質の血中量を測ることで。軽度認知障害のリスクを判定するという。(上図参照) 予防や治療について、内田准教授に話を聞いた。 治療は生活習慣病と同じ ―どういった場合に検査をすればよいでしょうか。 内田 日常生活に支障がなくても、物忘れが多い、言葉が出てきにくいなど、本人やご家族が少しでも気になったら専門医に受診するとよいでしょう。全国1300件以上の医療機関で検査が受けられます。早期発見すれば予防効果も高いです。 ―検査で軽度認知障害のリスクがあると分かったらどうしたらよいでしょうか。 内田 リスクがあると分かっても怖がる必要はありません。予防ができるので回復のチャンスです。軽度認知障害の治療は生活習慣病の治療と同じです。中年期では生活習慣の改善が大切で、特に運動は効果があります。食事は高タンパクで良質の脂質を取ること。また、良質な睡眠を充分に取ることも大事です。高血圧や糖尿病の人はきちんと治療をし、コントロールします。適正体重を維持することも必要です。 65歳以上の高齢期はしっかり食べて栄養を取り、仕事を辞めても社会との接点をなくさないことが大切。筋トレやウォーキングなどの有酸素運動も重要です。エレベーターを使わずに階段を使って移動するのもいいでしょう。 ―軽度認知障害の治療はどのようなものでしょう。 内田 治療というと薬と思われがちですが、治療は薬だけではありません。食事療法、運動療法、芸術療法、すべてが治療です。物を見て絵を描く、粘土で造形する、歌を歌う、脳トレ、ダンスなども効果があります。また、緑茶を飲む習慣がある人も認知症を発症しにくいという報告もあります。 ―今後の研究の展望は。 内田 より多くの症例を用いて臨床研究していきます。また、運動と抹茶を飲むことの継続がどのような効果をもたらすのか、血液検査と合わせて研究していく予定です。筑波大学では軽度認知障害と診断された人たちを対象に「認知力アップデイケア」というプログラムを設けています。またMCBIでは「頭のかんたん健康チェック」というイベントも開催しており、抹茶を飲んで認知症予防する臨床研究のご案内をしています。興味のある方はぜひ参加していただきたいと思います。 ◆認知症予防セミナー「頭のかんたん健康チェック~抹茶で認知症予防しませんか?~」は2月、取手・守谷地区で開催。▽19日午前10時~12時=取手市福祉交流センター▽22日午前10~12時=サンシャイン・ヴィラ守谷倶楽夢。参加は無料。楽しく簡単に誰でもできる認知症予防チェックと講演のほか個別相談会も行われる。問い合わせは電話029-899-4431(MCBI)https://mcbi.co.jp/ ◆筑波大学附属病院 認知力アップデイケアのホームページはhttp://www.tsukuba-psychiatry.com/dc/

【直売所めぐり】5 県外客も訪れる日本一のレンコン産地 JA土浦「さんふれ はすの里」

【田中めぐみ】JR常磐線土浦駅から車で北へ10分ほど、農産物直売所「サンフレッシュはすの里」を訪れた。優しい笑顔で迎えてくれた大森恵子さんは、6店舗あるJA土浦の直売所で唯一の女性店長。以前の勤め先で身に着けたPOP広告の技術を生かし、かわいいイラスト入りのPOPを描いては店内に並べている。商品についてお客さんから色々と質問されるため、野菜の研究には余念がなく、大森さんは「スタッフも同じ主婦なのでなんでも気軽に相談してもらえれば」と話す。レンコンは今が旬で、甘みが増している。春になるとハウス栽培の真っ白なレンコンが出まわるそう。こちらはさっぱり味と聞いて、違いを食べ比べしてみたくなった。 「はすの里」だけあって、店内にはレンコンを使った加工品が数多く並ぶ。レンコン味噌やレンコンめん、レンコンケーキなど。日曜日には「はすの実工房」(かすみがうら市)が作るお惣菜を買うことができる。レンコンのてんぷら、レンコンの丸煮、レンコン入りメンチ、レンコンの南蛮漬け…とにかくハス尽くしだ。丸煮と南蛮漬け、メンチを初めて食べた。丸煮は柔らかで食べでがあり、南蛮漬けも酸味がほどよく、メンチも歯ごたえが楽しい。どれも毎日食べたくなるようなほっとする味付けだ。 茨城はレンコンだけでなく白菜の生産量も全国1位。丸々と大きな白菜が店頭に並んでいく。酒井忠熙さんは1966年、国の指定野菜価格安定対策事業で白菜の作付けが本格的になった頃からの生産者で、経験豊か。「今の時期に収穫できるように調整して栽培している。秋からの天気が良かったので今年の出来はまずまず」と話す。 落花生を品出ししていたのは生産者の羽成誠さん。炒(い)る過程を業者に頼らず自分でやっているという。落花生は畑から抜いた株ごと逆さにして網にかけ、天日干しにするうちに味が良くなるそうだ。「味を第一に考えて作っている。落花生の出来に応じて炒り方も変える」というこだわりようだ。 入口わきの「訳あり品コーナー」にニンジンを並べていたのは、生産者の宮下里美さん。「曲がっていたり小さかったりするものを出しているんです」と話すが、規格外とはいえ品物は見るからに新鮮だ。宮下さんが「おすすめの野菜がある」と教えてくれたのは、井坂多加子さんのアイスプラントだ。緑の葉の表面が凍ったように見える。ミネラルが豊富で、生でサラダにするのがおいしいという。シーザーやゴマなどクリーミーなドレッシングと相性がよく、お年寄りにも人気だそうだ。   開店時間の午前9時過ぎ、お客さんたちが入店し始め、「おはようございまーす」と挨拶の声が飛び交う。笑顔で会釈する石井丈二さんは神奈川県相模原市在住で、月に2回は必ず「はすの里」に買いに来る常連。土浦市で歌謡教室の講師をしており、仕事のついでに買い物に立ち寄るという。 石井さんは「はすの里」の野菜や加工品について「新鮮度が違う。車で来ているので神奈川まで持ち帰っています。レンコンはもちろん、サツマイモ、クリ、草餅などなんでもおいしい。生産者さんと顔見知りなので、作っている人が分かるのも安心」と話した。 サンフレッシュはすの里 住所▽土浦市木田余3140 電話▽029-846-7933 営業時間▽午前9時30~午後6時(11月~2月は午後5時30分まで) 定休日▽無休(ただしお盆・年末年始は休み)

フラワーアレンジメントで記憶力向上! 農研機構と県立医療大が訓練手法開発

【田中めぐみ】農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構、つくば市観音台)と県立医療大学(阿見町)が、フラワーアレンジメントを作成する作業を通して認知機能改善の訓練を行うプログラムを開発した。臨床研究では、脳に損傷を負った人を対象にフラワーアレンジメント作成プログラムを行った結果、記憶力の改善が見られたという。今後、医療、福祉施設などでリハビリへの活用を促進していく考えだ。作成用のキットが考案され、生花店やインターネットで購入できる。 誰でも簡単に作成 作成プログラムでは、〇、△、◇の印の付いた吸水スポンジを用い、印に葉、大きな花、小さな花の順に花材を挿していくことで、パズルを組み立てるようにフラワーアレンジメントを作成する。 フラワーアレンジメントは健常者でも難しいが、キットを使えば誰でも簡単に丸型のをつくることができる。印付きのスポンジ資材や手順書、花材を含む作成キットは、つくば市千現の生花店プアラニ(塚田祐一代表)で購入できるほか、全国の生花店、インターネットでも購入が可能だ。キットは特許を取得している。 リハビリに効果期待 臨床研究では、不慮の事故や脳卒中などの病気で脳が損傷し、記憶や注意、言語などに障害のある高次脳機能障害者27人を対象とした。フラワーアレンジメント作成プログラムに参加した群と参加していない群とに分け、図形の記憶力テストを行ったところ、プログラムに参加した患者群に記憶力の改善が認められたという。効果は3カ月持続した。また左半側空間無視という症状=メモ=のある患者に対しても注意機能の改善が見られた。 さらに、患者の家族を対象に神経症の諸症状の程度を調べる質問を実施した。質問はGHQ(一般精神健康質問紙)によるもので「夜中に目を覚ますことは」、「いつもよりいろいろなことを重荷に感じたことは」といった内容の28項目をチェックしたところ、生花を家に飾ることで患者の家族の神経症状が軽減されることが分かったという。 農研機構の望月寛子上級研究員は「今後、高齢者やアルツハイマー型認知症の方のプログラムも開発していきたい。一人一人の症状に合った方法を模索していければ」と話す。 ※メモ 【左半側空間無視】右側の脳が損傷を受けることで左側の刺激を無視してしまう症状。見えているが注意が向かない 生花店 プアラニ 住所▽ つくば市千現1-23-28 電話▽029-856-7788  FAX▽029-856-7790 営業時間▽午前10時~午後8:00 販売しているキット▽大小2種類の花と葉、印の付いた給水スポンジ、器、ラッピング紙、手順書で1セット。吸水スポンジの印が少ないMサイズと多いLサイズがあり、価格は2000円から。

【直売所めぐり】4 野菜ソムリエがアドバイス JAつくば桜農産物直売所

【田中めぐみ】開店直後の朝9時、この日はあいにくの冷たい雨で品出しが遅れているとのこと。にもかかわらず、来店者は途切れることがない。今回はJAつくば市桜農産物直売所を訪れた。産直課の小岩勇太さんによると、今年で開店25周年を迎えるという。直売所ブームが起こる前から地域に親しまれてきた店舗だそうだ。つくばセンターから車で10分弱という立地もあり、研究学園地区からの来店者も多いという。 店内に入り真っ先に目につくのがみずみずしい葉物野菜。11月から暖かい日が続いたため生長がよく、値段も安くなった。生産者の市村典子さんがちょうど品出ししていたのはサラダほうれん草にレッドマスタード、サラダからし菜、ルッコラ、ワサビ菜の5種類が入ったサラダセットだ。葉の種類は手書きで丁寧に書かれている。ベビーリーフのセットはよくスーパーで見かけるが、このように大きく生育し茎まで付いたセットは珍しい。そう思って市村さんに聞くと「ベビーリーフだとひとつひとつの香り、味わいが少ないので、もっとしっかり野菜を味わってほしいと思いこのセットを作ったんです」と話してくれた。野菜ソムリエの資格を持っているという。 店内を回り、さらに市村さんが薦めてくれたのは、葉付きの立派な大根。この日はなんと1本50円から100円だった。繊維の多い皮はきんぴらにするとおいしく、中はおでんや煮物に、葉は下ゆでして冷凍し汁物の具や炒め物にと余すところなく味わえるとのこと。色とりどりのパプリカも肉厚で甘くお薦めという。緑のパプリカを追熟させたものが赤や黄色のパプリカなのだそうだ。 サツマイモの人気品種の「紅はるか」は水分が多く糖度が高いので干し芋や焼き芋に向いているという。もし、てんぷらにしたいのなら「紅はるか」ではなくほっこりとした「紅あずま」を薦めるという市村さん。とにかくその知識の豊富さに舌を巻く。品出しの時、運よく市村さんに会うことができたなら、ぜひ相談してみてほしい。その日の献立にぴったりの品種を教えてくれるそうだ。 「どうも」と笑顔で挨拶しながら入店してきたのは、常連客の吉田和夫さん(71)。「ここは自分の家みたいなもの。自分の好みのものを好きに買って顔見知りにあいさつをする、それが元気の秘訣かな」と話す。吉田さんのお気に入りはつくば美豚の切り落としや豚白もつ。「もつはネギとショウガ、ニンニクを入れて漬け込み、日本酒を入れて炒めるのが最高だよ」と教えてくれた。寒い朝だったが、市村さんの野菜への熱い思いに丁寧なアドバイス、吉田さんの明るい笑顔に心がほっこりとあたたまる、そんな直売所巡りだった。 JAつくば市 桜農産物直売所 住所▽つくば市古来1608-1 電話▽029-867-8290 営業時間▽午前9時~午後6時 定休日▽水曜日・お盆・年末年始  

【直売所めぐり】3 固定ファンがつくお漬物 JA谷田部「野っ食べ」

【田中めぐみ】JAつくば市谷田部の農産物直売所「野っ食べ(やったべ)」を訪れた。5年ほど前にリフォームしたという新しくきれいな店舗だ。店長の埜口祐(のぐち・ゆう)さんのこの日のお勧めはおしゃれな赤ネギ。葉は緑、中間部は白、根元が鮮やかな赤色で、まるでイタリアの国旗のようでもある。普通のネギと同じように加熱すると甘く、生で薬味にもいいという。焼いた油揚げに刻んで乗せて食べるのが店長さんのお気に入り。この日は赤ネギだけでなく新鮮な長ネギもたくさん並んでいた。冬の時期鍋物には欠かせない売れ筋の一つだ。 品出しした瞬間からカートに入れられ、次々と買われているサツマイモがあった。「シルクスイート」という品種だ。品出しをしていたのは生産者の室町吉子さん。サツマイモに目がない記者は「安納芋」や「紅はるか」をケース買いすることもあるほどだが、この品種は見たことがない。室町さんによると外はしっとり、中はホクホクという今注目の品種だそうで、かなりの人気だという。焼き芋には最適とのこと。これは絶対買うしかない。値段も3本入って300円と格安だ。小ぶりの物や傷の付いたものだと100円のラベルが貼ってあるものまであった。「安いねえ」とお客さんも思わずにっこり。「あんまり傷は関係ないもんねえ」と室町さん。てらいのないやり取りが直売所の醍醐味(だいごみ)だ。 加工品のコーナーにはおいしそうな五目おこわが並べられた。作ったのはJA女性部の岡野たか子さんら6人。もち米を業務用のふかし器で高圧でふかして作るので、ふっくらもちもちになるそうだ。具は別で味付けし、ご飯と合わせるこだわりでおいしいと評判。火曜日と金曜日しか作っていない。ちょうど買うことができてラッキーだった。 谷田部直売所で人気を集めているものの一つがお漬物だという。中でも高野愛子さんと、「シルクスイート」の生産者でもある室町吉子さんの作るお漬物はそれぞれに固定ファンが付くほどだそう。お客さんたちはラベルの加工者名を見て買って行き、いつも売り切れてしまうという。白菜やからし菜のお漬物も作るそうだが、この日並んだのは大根の麹漬け。やはり並んだ先から売れていく。大根を塩漬けしてから麹漬けにするという手間がかかるため、漬かるのに15日かかるそうだ。高野さんと室町さんのお漬物をぜいたくにも食べ比べてみた。微妙に塩梅(あんばい)が異なり、これは確かに好みの分かれるところ。どちらも後を引き、いくらでも食べられてしまった。 ◆今月29日(土)と30日(日)には年末セールが開催され、大鍋で作ったけんちん汁を無料サービスするという。おせち料理の材料を買いに「野っ食べ」を訪れてみるのもよさそうだ。 JAつくば市谷田部 農産物直売所「野っ食べ」 住所▽つくば市谷田部2074-1 電話▽029-836-4101 営業時間▽午前9時30分~午後6時(4月~9月) 午前9時30分~午後5時半(10月~3月) 定休日▽1月1~3日

国際交流イベント「世界お茶のみ話」 つくばインターナショナルスクール生徒が発表

【田中めぐみ】つくば駅に隣接するBiviつくば内交流サロンで15日、市国際交流協会が主催する「世界お茶のみ話」が開催された。市民約40人が参加した。同イベントは毎回出身国の異なるゲストを講演者として招き、母国を紹介してもらい,新たな交流を創出することを目的に、毎月第3土曜に開催されている。今回で23回目。 この日のゲストはつくばインターナショナルスクール(同市上郷、シェイニー・クロフォード校長)の高校1、2年の生徒たち5人で、韓国、インド、フィリピン、パキスタン、ドイツの5カ国の文化や風習、観光名所などについて紹介した。 インド国籍でフィリピン人と日本人との間に生まれたというコシック・ニキータさんは「どこの国から来たの」という質問には答えづらかったが、今はインド、フィリピン、日本と3カ国の文化を知っていることを前向きに考えられるようになったと自身の経験を語った。また「ハーフとダブルどちらを使うか」という問題について「ハーフという表現は半分欠けているというネガティブな印象がある。ダブルだと両方持っているというポジティブなイメージがあるので、ダブルと呼んでほしい」と意見を発表した。 市内在住の50代男性は「ダブルかハーフかという問題は今まであまり考えたことがなかったので、本当にいい話を聞けたと思う。私は米国に4年間住んでいたことがあり、ミックスの方もたくさんいたが、何も考えずどこから来たのという質問をしていた。その質問に答えにくいという意見を聞いたのは今日が初めて」と感想を語った。 5人の発表後には参加者から次々に質問があり、会場はなごやかなムードに包まれた。 同イベントでつくばインターナショナルスクールの生徒が発表をするのは2回目。発表者で他の生徒の通訳も務めた沈水藍さんは、「練習がとても大変でした。発表者の日本語のレベルも様々なので、原稿の作成にはかなり時間がかかりましたが、苦労した分今日は楽しかったです。来てくれた方が皆さん優しく聞いてくれて嬉しかった。また来年もぜひ聞きに来てほしい」と語った。 同イベントでは毎回発表者の国のお茶が用意されており、今回は韓国のコーン茶、インドのチャイ、フィリピンのコーヒーと、ドイツのシュトーレンやパキスタンのラドゥといった甘いお菓子が参加者にふるまわれた。 ▼次回の開催は来年1月19日(土)午後3時45分~5時15分、Biviつくば2F交流サロン。ゲストは中国四川省出身の筑波大学留学生。参加費無料。問い合わせは同市国際交流協会(電話029-869-7675)

「童心に返って空見上げて」 16日、紙飛行機EXPO杯 つくばの同好会主催

【田中めぐみ】つくば模型飛行機同好会(秋元靖史代表)が主催する「第20回つくば紙飛行機フェスティバルEXPO杯」が16日、小美玉市のタスパジャパンミートパーク(玉里運動公園)で開催される。自作や市販の紙飛行機を飛ばして滞空時間を競う大会で、初心者も当日参加可能。参加費は1家族300円。昨年は延べ43人が競技に参加した。 同好会は、つくば市在住の愛好家がグループを作ったのがきっかけで1992年に発足した。さまざまな種類の紙飛行機や模型飛行機を作成し飛ばしたり、技術を教え合ったりしてメンバーの交流を深めている。つくばのほか土浦、牛久など主に県南地区の会員がおよそ80人在籍している。 主な活動場所は、新治トレーニングセンター(土浦市)や牛久運動公園体育館などの屋内体育館、また上高津貝塚ふるさと歴史の広場(土浦市)で月4回ほど「飛ばし会」を行っている。つくば市内や市近郊で紙飛行機教室も行っており、小学校やコミュニティセンターなどに出張して製作方法を教えている。今年6月と8月には第24回となる全日本紙飛行機選手権・土浦つくば予選会を主催した。 秋元代表は魅力について「日常生活の中で目線を水平より上に上げることはあまりない。模型飛行機を飛ばすと目線が上に向く。空を見るという行為によって日常生活では味わえない感覚を味わうことができる」と話す。また「模型飛行機はスポーツでもあるが、年齢を重ねてからでも若いころの記録を更新できる。材料費が安くて、ほとんどお金がかからないのも魅力」と話す。 日本では戦中から戦後にかけて模型飛行機教育が国策として行われ、盛んに製作された背景があるという。戦後にいったん廃れ、その後再び娯楽として復活したが、1970年代以降はテレビゲームの登場など娯楽の多様化により、次第に模型飛行機を作る人が少なくなっていった。メンバーの中には戦中、戦後を生きてきた70代、80代もおり、童心に返って模型飛行機を楽しんでいるという。 ◆同EXPO杯は16日(日)午前10時受け付け、競技は午前11時~午後1時。雨天・強風時は中止。機体を用意できない人を対象に先着10人でその場で模型飛行機を作成できるキットを用意する。事前申し込みなしで当日参加できるが、同会ホームページからの事前の登録を呼び掛けている。問い合わせ先は同会代表の秋元さん(メールGBF00735@nifty.com、携帯電話090-8109-1289、TEL&FAX 029-836-2514)

「卓越大学院」に採択 筑波大 改革を先導、高度な専門人材育成

【田中めぐみ】文科省の公募型新事業「卓越大学院プログラム」に筑波大学(つくば市天王台)の「ヒューマニクス学位プログラム」が採択された。卓越大学院は産官学それぞれの部門をけん引する卓越した博士人材を育成するために文科省が7年間補助を行う。大学院の教育改革を先導する事業だ。 今年4月から公募が行われ、申請した大学は38校54件、うち13大学15件が採択され、競争率は3.6倍だった。 採択を受け筑波大は、来年4月からヒューマニクス学位プログラムを開講する。生命医科学と理・工・情報学の両分野で高度な専門性を備えた博士人材の育成を目指す。同プログラムは、ヒトの生理・病理の解明と快適生活を実現するためのバイオテクノロジーや医療福祉技術分野などの教育、研究課程だという。 1人の学生に2人の指導教員 同プログラムのコーディネーターは、睡眠に関わる神経伝達物質オレキシンの発見者で、同大国際統合睡眠医科学研究機構(IIIS)機構長の柳沢正史教授が務める。柳沢機構長に話を聞いた。 —4倍近い競争率を勝ち抜いて採択されたのは、どのような点が評価されたからと感じていますか。 柳沢 筑波大学は睡眠研究を含むライフサイエンスも、コンピューター分野の計算科学研究センターも有名なので強みを生かした。また、IIISのみならず、筑波研究学園都市の他の研究所、企業も教育・研究に参画しやすいという地の利を生かし、プログラムを作り込んだ。医学を中心とするライフサイエンスと理・工・情報の融合は、日本が遅れている分野でもあり、日本がめざす「Society5.0(ソサエティーゴテンゼロ)」=メモ=実現のため今後重要視される。AI(人工知能)普及の戦略とも重なり評価されたのではないか。 —ヒューマニクス学位プログラムの特徴は何ですか。 柳沢 一番の特色は、1人の学生にライフサイエンスと理・工・情報の2人の指導者を立てる完全ダブルメンター(指導者)制をとっていくということ。一つの博士論文を2人の指導教員の下で書く教育体制で、両分野にわたり共同研究をしなければならないという縛りの中、研究を進めていく。 医学・薬学、生物系の学生が入ってきた場合は理・工・情報系の基礎を学んでもらい、逆に理・工・情報系の専門の学生には医学や生物系のことをきちんと学んでもらう。両分野で指導教員を1人ずつ立て、学生が来たことによって共同研究を始めてもいいし、既存の共同研究に学生が加わるのでも構わない。今までばらばらだった異なった分野の人たちを結びつける体制を作ったことが評価されたのではないか。 —文科省の公募要領で補助金の漸減策(4年目から半額、7年目に3分の1になる)が示されました。戸惑いはありましたか。 柳沢 戸惑いどころかほとんど怒りを感じている。補助金の一部は、優秀な学生への教育研究支援経費やTA(ティーチングアシスタント)、RA(リサーチアシスタント)による学生への給料など、安心して研究に専念できる環境を作ることに使う予定だ。しかし、学生は年度ごとに増えていくわけで、学生支援に要する経費は減るのではなく増えていくはず。また、初年度の補助金が一番多いが、初年度はまだ学生が入学しておらず、学生にとって最も重要な教育研究支援経費への使用もできない。 さらに、補助金はたった7年で終わる。博士課程は5年一貫なのに、5年間フルに支援できるのは2期生までということになってしまう。世界に向けて卓越した人材を育成する事業であるのにこうした財政状況は残念に思う。 共同研究にハードル感じない人材 —学位プログラムでは、学際教育の先進的モデルとして「プレアドミッションプログラム」(大学と大学院の枠を取り払った一貫教育システム)を構築するとあります。具体的にどのようなプログラムなのでしょうか。 柳沢 例えば医学の人であれば、希望すれば学部生からでも理・工・情報学の要素を学ぶことのできるシステムのこと。同時に、学際的な研究に関心を持つ優秀な学生・社会人を見出し、能力をさらに伸ばして本学位プログラムへの進学を促す役割もある。このシステムを利用するなどして複数分野の知識を身につけ、博士論文研究の基礎力があるかどうかを測る試験(Q.E.)の認定を受けて博士論文を書けば、早期修了も可能だ。専門外の分野も学ぶわけなので大変だが、専門家と同じレベルを要求しているわけでは無く、専門家と対等に話せる言語を獲得することを目的としている。例えば、工学系出身者でも医者と医療について語ることができる能力を身に付けてもらい、共同研究にハードルを感じない人材を育成したいということだ。 eラーニング(主にインターネットを利用した学習)システムの構築も行う予定で、そのための経費も計上している。eラーニングの導入により、講義がよく分からなければ繰り返して視聴できるし、時間が無い時も分割して視聴し勉強することができる。また、プレアドミッションプログラム(入学前学修)での活用も考えており、筑波大生だけでなく外部の学部学生や社会人も興味があればアクセスできる。つまり、興味がある人材を逃さず養成できるということだ。 サイバーダイン支援で自走化 ―サイバーダインヒューマニクス学位プログラム(仮称)を設置し、国の支援終了後は完全自走化を図るとありますが、ロボットスーツで知られるサイバーダイン社(つくば市学園南、社長・山海嘉之筑波大教授)に資金を提供してもらうということですか。 柳沢 山海社長に協力してもらい、将来的には学位プログラムを移行し自走化する予定だ。今回の「卓越大学院プログラム」採択も、企業との連携をうたい、実現性が高いことが評価されたと思う。 ―博士号取得者の就職率が学部・修士卒よりも低いという現状があります。博士離れが進む中での人材育成についてどのように考えていますか。 柳沢 他の分野は分からないが、ライフサイエンス分野にとってそれは真実ではない。「ヒューマニクス学位プログラム」の特徴は、例えば工学や理学の分野で博士号を取ったとしてもバイオの分野に行くことができる。またバイオ系の企業もそういう人材を欲しがっている。工学系の企業でも生命医科学の知識があるということは強みになると感じている。 ―来年4月からどのような学生を受け入れたいですか。 柳沢 医・歯・薬の6年制の学部出身者や臨床医を含め社会人も大歓迎で、工学系出身で何年か実務経験がありもう一度勉強したいという人、企業から派遣されてくる形でも構わない。医学・生物系出身であれば工学、情報学的なセンス、AIなどについても学び、博士論文を書いてほしい。逆もまた然り。そういう研究をしたいという人に来てほしいと思っている。 ※メモ 【Society 5.0】仮想空間と現実空間を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する新たな社会のこと。2016~20年度の第5期科学技術基本計画で日本が目指すべき社会のあり方として提唱されている。

グローバル化に挑んだ生き様知って 幕末から明治の所蔵記録公開 筑波大図書館で特別展

【田中めぐみ】今年は明治元年(1868年)から150年の年に当たる。これを記念して政府は明治150年に関連する取り組みを推進している。筑波大学中央図書館(つくば市天王台)では、幕末から明治の動乱を生きた人々を記録した貴重な所蔵資料を公開したいと、特別展「グローバルに挑む群像-幕末から明治へ-」を29日より開催している。 特別展は3部構成となっている。第1部で、神田湯島にあった江戸幕府直轄の学問所「昌平坂学問所」の儒者が条約交渉にどのように関わったかをうかがい知ることのできる資料を展示。第2部では長州藩士の記録など、幕末の動乱を生きた人々の様子を記した資料、第3部では明治を拓いた名著を展示し、計49点の所蔵資料を公開している。 同大は東京教育大学を前身としており、1872(明治5)年に昌平坂学問所跡地に設立された師範学校の流れをくんでいる。昌平坂学問所と縁の深い同大は、同学問所に関する文書を多数所蔵しているという。 今回の特別展を企画した同大人文社会系の山澤学准教授は「歴史は現代を見るためのかがみだ。大学所蔵の記録資料からは、激動の時代の中、堂々としたたかに生きた人々の様子が見えてくる。開国というグローバル化に挑戦した人々の様子を知ることは、同じようにグローバル化の波にさらされている現代の我々がどのように生きればよいか、生き方の参考になると感じている。」と話す。 同大附属図書館は毎年特別展を開催し所蔵の貴重資料などを一般公開している。昨年は「江戸の遊び心-歌川国貞の描く源氏物語の世界-」を開催し、約2800人が来館した。 ◆「グローバルに挑む群像」の会期は11月30日(金)まで。入場無料。開館時間は午前9時~午後5時。11月10日(土)午後1時30分からは、山澤准教授による特別講演会を開催する。西郷隆盛について記した資料などを取り上げ、時代によって人物評価がどのように変わったのか論じる予定だという。問い合わせは電話029・853・2376(同館古典資料担当)

違いある人と一緒に体験を 20日「なないろサッカーフェス」 筑波大

【田中めぐみ】障害の有無や年齢、性別、国籍など、様々な違いのある10人がチームを作り、一緒にプレーする「なないろサッカーフェス18」が20日、筑波大学(つくば市天王台)のセキショウフィールドで開催される。 2016年から始まり今年で3年目。同年、視覚障害者のサッカー団体、NPO日本ブラインドサッカー協会(東京都新宿区)から、筑波大学のサッカー場を使ってブラインドサッカー東日本リーグを開催したいという話があったのがきっかけで、同大体育系の澤江幸則准教授が中心となり同イベントが始まった。ボランティアスタッフが協力し、企画、運営を行っている。 澤江准教授によると、市内には全盲者などのブラインドサッカーチームが2チーム、弱視者などのロービジョンサッカーチームが1チームあるという。「ぜひこの機会につくばゆかりのチームについて知ってもらい、つくばの人に応援して欲しい」と澤井准教授は話す。 同東日本リーグも同会場で開催され、ブラインドサッカーとロービジョンフットサルの計3試合を間近で観戦することができるという。 学生たちが運営 筑波大学4年の新居万里奈さん(23)は、昨年初めて同イベントに参加した。ルールや用具などの工夫次第でいろいろな人とサッカーが楽しめ、交流ができるということに驚いたという。サッカーに詳しくなかったが、イベントに参加することでサッカーの魅力や奥深さを知った。自分もイベントにかかわりたいと今年から運営に携わる。 同大学院修士課程の平賀慧さん(23)は、視覚障がい者が日常の中でどのような感覚なのかを知ってもらいたいと、アイマスクや弱視ゴーグルを付けてシュートにチャレンジしたり、視覚障がい者の日常生活を体験したりするコーナーを企画した。体験コーナーでは段差や着替え、お金の支払いなど日常生活を体験できるので、理解を深めてほしいと話す。 ロービジョンフットサルの日本代表で、同大学院修士課程の岩田朋之さん(32)もスタッフとして参加し、自身の経験をもとにイベントのプログラム作成を担当した。岩田さんは、様々な背景を持つ人たちが集まる中で、全員が心を一つにしていくための最適な状況を見つけるのが醍醐味だと語った。 ▼同フェスは20日(土)午前10時から午後4時まで。参加無料。問い合わせ先は同実行委員会2018(メールnanairo.s2018@gmail.com)

つくば美術展開幕 地元ゆかりの現役作家18人 新作など一堂に

【田中めぐみ】つくば市にゆかりのある現役作家18人の新作などを一堂に展示した「第7回つくば美術展—うずまく」が16日、つくば市吾妻の県つくば美術館で開幕した。 油絵制作とコラージュなどの研究で知られ筑波大学芸術系長を歴任した洋画家の玉川信一さん、日本画家の藤田志朗さんなど筑波大学関係者のほか、在野で活躍する多彩な分野の作家による洋画、日本画、版画、彫刻の66作品が展示されている。 同展は2005年から隔年開催されており、今年で7回目。主催はつくば市、つくば文化振興財団。同財団は「つくば市ゆかりの多彩な分野の作家の作品を一堂に集めた作品展はなかなか無いのではないか」と話す。 副題は毎回異なる。今年の副題「うずまく」には「賛否両論渦巻く」という意味が込められているという。副題のとおり、作品に対峙する人に相反する感情を同時に抱かせるような、メッセージ性の強い作品が多く出展されている。 絵画を出展した画家の山中宣明さんは、作品について「見る人によって様々に見えてくる作品を描いた。いろんなことを感じてもらえるのでは」と語った。 隣接の市中央図書館によく来館し、帰りに美術館に足を運ぶことが多いというつくば市内の70代の女性は「この展覧会には初めて来たが、さすがに現役作家の作品はすごい。思わず引きこまれてしまった」と一つ一つの作品に長時間足を止め、作品を味わっていた。 ◆入場無料。会期は28日(日)まで。開館時間は午前9時半~午後5時。最終日は午後3時まで。21日(日)午後2時からはマリンバのギャラリーコンサートが催される。22日(月)は休館。

不要品通じ市民交流 つくばリサイクルマーケット 25年にぎわい続く

【田中めぐみ】つくば市の市民団体「リサイクルを推進する会」(高野正子代表)が年4回、つくば駅近くの市中央公園水の広場で開いている「つくばリサイクルマーケット」が人気だ。次回は11月25日に第107回が開催される。 使用可能なものを捨てずにリサイクルすることを目的として、毎年3月、5月、9月、11月の年4回開いている。多い時には700人の来場者があるという。1994年5月からスタートし今年で25年目を迎える。 震災で意識が変化 1993年、代表である高野さん(73)は、つくば市のごみ焼却施設(当時は第1衛生センター)を見学した際に、まだ使えるものがごみとしてたくさん捨てられているのを見た。もったいないと感じ、何かきっかけがあれば使ってもらえるのではないか、使える物と人とを仲介する場を提供したいと思ったのがきっかけで「リサイクルを推進する会」を立ち上げた。 以来25年間、リサイクルマーケットを運営し、つくば市の人と物の事情を見てきた高野さんだが、2011年3月11日の東日本大震災を契機に、出店者の意識が変化したのを感じるという。「震災以前は、自分の所有物を増やしていくこと、また、今より上の等級の物にグレードアップすることを豊かさと考える人が多かった。しかし震災後は、壊れてしまうからぜいたくな良いものは必要ない、今必要な物を必要な分だけ所有しようという意識に変わり、真剣に出店する人たちが増えたように思う」と話す。 1割を災害義援金に 9月23日は、出店者68人が72区画で出店。好天のもと、およそ500人の来場者でにぎわいを見せた。出品されているのは、衣類や靴、本、未使用のタオルや食器、使わなくなったおもちゃ、雑貨、文房具など様々。リサイクルを目的とするマーケットであるため、食品や植木、生き物、ハンドメイド品などの出品は禁止されている。 マーケットの来場者は、家族連れだけでなく近隣の大学生、外国人も多い。外国や県外から来て知り合いのいない人も、リサイクルマーケットを通じて交流を広げているという。 出店料のうち1割は災害などの義援金に充てている。今回は今年9月6日に発生した北海道胆振(いぶり)東部地震の義援金とするという。また、毎回要らなくなったジーンズ、Tシャツ、鉛筆、消しゴムなどの寄付を募り、集まった物資をフィリピンに支援として届けている。 ボランティアスタッフとして運営を手伝っている筑波学院大学2年の﨑野詢矢さん(20)はこの日初めて出店者として参加した。子どもの頃からファンだという読売ジャイアンツのグッズを中心に出品し、野球ファンたちが興味深そうに足を止め、野球談議に花を咲かせた。 ◆次回11月25日(日)のリサイクルマーケットは午前10時から午後2時まで。雨天中止。出店希望者は初回のみ往復はがきでの申し込みが必要。申込締切は11月10日(消印有効)。2回目からは電話またはメールで参加を受け付ける。参加費は1区画(1.8m×1.8m)500円。 主催▽リサイクルを推進する会 http://t-recyclemarket.main.jp/ 出店申込の往復はがきの宛先は〒305-0031 つくば市吾妻3-19-1-2-303 高野正子さん メール▽info@t-recyclemarket.main.jp

障害学生を支援 クラウドファンディングで出資募る 筑波大

【田中めぐみ】筑波大学(つくば市天王台)が、障害のある学生の勉学を支援するためクラウドファンディングで出資を募っている。大学で学ぶ障害学生は近年、全国的に増加している一方、支援が足りていないという。同大は「プロジェクトを多くの人に知っていただくことで、共生社会のために何ができるか、考えるきっかけになれば」としている。 日本学生支援機構の調査によると、国内の大学などに在籍する障害学生は近年増加している。2017年度は全国で約3万人、これは全学生の約1%で、割合は依然として少ないが、14年度が約1万4000人(約0.4%)だったのと比較すると急増している。 背景には16年4月の障害者差別解消法施行がある。障害のある人も無い人も互いを認め合い、共生できる社会をつくることを目指して制定された法律だ。施行後、各大学で障害学生数の把握が進み、増加につながったと推測されるという。 筑波大学は開学当初から多くの障害学生に門戸を開いてきた。01年度には「障害学生支援委員会」を、07年度は「障害学生支援室」を設置、15年に「ダイバーシティ・アクセシビリティ・キャリアセンター(DACセンター)」に組織再編し、全ての障害学生に就学支援がなされ、合理的な配慮がなされるよう運営を行っている。 しかし支援は十分ではない。例えば全盲の視覚障害学生は、資料や文献を読む際にパソコンの読み上げソフトを使ったり、点が浮き上がり点字を表現する点字ディスプレイという機器を用いる必要があるが、器機は高額で全ての希望者に行きわたっていないのが現状だ。 また肢体不自由の学生は、授業以外でも論文執筆の支援や、移動、食事、排せつなどの介助が必要だが、介助サービスをしてくれる事業所は少ない。周りの生徒に頼むとヘルパーの初任者研修受講が必須となる。受講料は高く、国からの交付金だけでは賄いきれない。 こういった現状を解決したいと、筑波大学はクラウドファンディングプロジェクトを行っている。DACセンターの佐々木銀河准教授は「障害は人そのものにあるというよりは環境によって生まれる。支援を整え、受け入れる環境があれば、社会的な障壁は無くなる」とし「いろいろな立場の人が学べ、多様性を尊重できる大学を目指したい」と話す。 プロジェクト「障害のあるなしに関わらず、共に学び合えるキャンパスへ」の実施期間は31日まで。目標金額120万円に対し、9月26日現在60万4000円集まっており、達成率50%。詳細はhttps://readyfor.jp/projects/tukubadac ◆DACセンターは多様性を受け入れる共生キャンパスを目指し、10日(水)~12日(金)、同大で「ダイバーシティ・ウィーク2018~多様性がひらく未来」イベントを開催する。詳しくはhttp://www.tsukuba.ac.jp/event/e201809201720.html

【直売所めぐり】2 栗、新米、新レンコン…秋の味覚が勢ぞろい JA土浦さんふれ新治店

【田中めぐみ】朝晩が涼しく感じられるようになると食欲もわいてくる。地場産の秋の味覚を探しに、今回はJA土浦農産物直売所「サンフレッシュ(さんふれ)新治店」を訪れた。 常磐道土浦北インターから国道125号線を西へおよそ3㌔、新治庁舎南交差点の角にある。6店舗あるJA土浦直売所のうち最も大きい店舗だ。 午前9時、お店に到着すると、開店前だというのに待ちきれないお客さんたちが店内に入っていく。商品を品定めするお客さんと、搬入、陳列するスタッフとが入り乱れ、朝の店内は慌ただしく活気づいている。 入り口でまず目についたのは早生栗だ。大粒が40個以上入って値段も300円からと手頃。来店者はみな足を止め「あら、栗が出ている」と手に取る。思わず互いに顔を見合わせ笑顔がこぼれた。「こっちの方が粒ぞろいよ」、「傷があるけどこっちのが安いよ」。農産物を間に、偶然居合わせたお客さん同士で会話が弾むのも直売所の楽しさだ。 店を入って右手のケースには新米が並べられていた。毎年秋の新米を心待ちにしている人も多いだろう。同店では9月の2週目の日曜に、1袋30㎏の新米が30袋売れたという。今年は例年より少し値段が安いそうだ。欲しい分量を伝えると、スタッフが精米して袋詰めしてくれる。その都度精米してくれるので鮮度は最高だ。もちろん玄米のまま買うこともできる。 色白な新レンコンは今ぜひ食べてほしい野菜の一つだ。店長の北泉正男さんのお勧めは、油で炒めて塩コショウするだけの調理法。この時期のれんこんはみずみずしく柔らかい。短時間で炒めることでシャキシャキした食感が損なわず、シンプルな味付けが新鮮なれんこんの甘みをひきたてる。 新治産のぶどうも人気で、様々な品種が並んでいた。お客さんたちは思い思いに好みの品種のぶどうを手に取っていく。巨峰やピオーネは今がまさに旬。特に種なしで食べやすく糖度の高いピオーネは人気だそうだ。どのぶどうもつやつやと光り輝いている。 9月が旬の梨の品種、豊水もずらりと並ぶ。豊水は甘みと酸味のバランスがよく、上品な味わいだ。日持ちもするが、ぜひ新鮮なうちに味わってほしい。 店内には「そば処まほら庵」というそば屋がある。ここは平日でも開店前から行列ができるという人気店で、安くておいしいおそばが食べられると評判だ。常陸秋そばのそば粉を使用しており、お店の入り口ではそば粉を売っているので、買って帰ることもできる。「まほら庵」は開店前の時間で、残念ながらそばを食べることはできなかったが、次は必ず買い物ついでにおそばを食べよう、と思いながら帰途についた。 サンフレッシュ新治店 住所▽土浦市藤沢514-1 電話▽029-862-3573 駐車台数▽60台 観光バス用3台 営業時間▽午前9時30分~午後6時(4月~9月)、午前9時30分~午後5時30分(10月~3月) 定休日▽無休(ただしお盆・年末年始は休み)

「クラシックをもっと身近に」 坂本真由美さんピアノリサイタル つくば学園クリニック

【田中めぐみ】つくば学園クリニック(つくば市苅間)で10月14日、ピアニスト坂本真由美さんのピアノリサイタルが開かれる。坂本さんはテレビ朝日系の番組「関ジャニ∞のTheモーツァルト音楽王No.1決定戦」で初代ピアノ王となった。入場無料。30人限定。 つくば学園クリニックは「地域の人に上質なクラシック音楽を気軽に聴いていただきたい」と、クリニック内のラウンジを開放し、不定期だが主に日曜日にサロンコンサートを催している。 坂本さんは東京芸大を卒業後、ドイツのハノーファー音楽演劇大学で学んだ。国内外コンクールで数多くの受賞歴があり、海外でも活躍するピアニストだ。現在は東京芸大講師も務めている。 「堅苦しいイメージのあるクラシックを地域の方にもっと身近に感じてほしい。生活に近いところで親しんでもらいたい」との思いを持ってリサイタルに臨むという。大きな舞台で演奏することが多いそうだが、クラッシックの魅力を伝えるため、今後小規模の演奏活動にも力を入れていきたいと考えている。「30人限定なので、聞いてくださる方の反応を近くに感じることができる。小さいところで演奏するのはとても勉強になる。お客さまにもこちらの表情や息づかいを感じてもらえると思う」と話す。 モーツァルトの「きらきら星変奏曲」やリストの「ラ・カンパネラ」など、誰もが一度は聞いたことのある曲目を演奏する予定。聴きどころは、坂本さんが今年度自らの研究テーマとしている幻想曲だ。「ソナタには決まった形式があるが、幻想曲は形が決まっていない。だから作曲家の形にならない思いや、あふれ出る感性が表現されているように感じる」と話す。 ◆坂本真由美ピアノリサイタルは10月14日(日)午後1時30分開場、2時開演。会場はつくば学園クリニック(つくば市苅間1929-1)。駐車場有。入場料無料。30人限定で予約が必要(予約はhttps://t.livepocket.jp/e/3wzmv、またはQRコードから)。 詳しくはつくば学園クリニックサロンコンサートFacebookページhttps://www.facebook.com/tgcsalonconcert/、坂本真由美ウェブサイト http://www.mayumisakamoto.com/ツイッターhttp://twitter.com/sakamoto_mayumi   ◆つくば学園クリニックで近日開催するコンサート(いずれも併記のLivePocketサイトからの予約が必要)は ・9/30 角野まりな&西野晟一朗 https://t.livepocket.jp/e/2t1rt ・10/28 細井 唯チェロリサイタル https://t.livepocket.jp/e/f7ky7 ・11/18 米川幸余ピアノリサイタル https://t.livepocket.jp/e/cegwb ・12/23 坂本真由美 & 千葉清加 デュオリサイタル https://t.livepocket.jp/e/j6x99

中嶌日本画学院生徒の「游美会展」 4~9日 県つくば美術館

【田中めぐみ】日本画家の中嶌虎威さんが主宰する中嶌日本画学院の「游美会日本画展」が、4日から9日まで、つくば市吾妻の県つくば美術館で開かれる。 同展は今年で25回目。中嶌さんに師事する游美会のメンバー31人と中嶌さんが描いた額装の日本画の他、うちわや小色紙、扇面などの小作品、合わせて140点が出展される。出品者は30代から80代、扱った題材は様々で、色鮮やかな日本画の多彩な表現を味わうことができるという。 中嶌さんは「生徒には日本画の手法を大切にしながらも、自由に楽しんで描いてもらっている。良い絵を描くためには技術だけではなくきれいに楽しんで生きていこうという生き方も大切と教えている」と話す。 日本画の根本追求したい 中嶌虎威さん 中嶌さんは1967年に東京藝術大学日本画科を卒業、68年院展(日本美術院)で初入選し、以後14回入選。2000年に日本美術院を退いて無所属となり、以来個人での活動を始めた。つくば市では30年間、絵の指導をしている。近年では15年にアジア環太平洋美術大賞展「月明富士」で最優秀賞、17年に第53回アジア現代美術展「浄」で文部科学大臣賞などを受賞、国内外で高い評価を受ける。10月に県つくば美術館で開かれる「第7回つくば美術展~うずまく」には作品「武蔵野図」の出展を予定している。 「昨今では日本画と洋画の表現に垣根が無くなってしまい、表現の方法に行き詰まりがある」と話す中嶌さん。洋風化する時代の流れの中で、中嶌さんは日本画表現での美を追求するという信念を変わらず持ち続けているという。 「日本画には岩絵具の美しさがある。正しい方法でやれば色に濁りが無くなる。構図の取り方と絵の具の活かし方に特徴がある日本画の根本を追求したい」と話す。 ▼「第25回游美会日本画展」9月4日(火)~9日(日)、午前9時~午後5時(最終日は午後3時まで)、入場無料。 ▼「第7回つくば美術展~うずまく~」10月16日(火)~28日(日)、午前9時半~午後5時、(最終日は午後3時まで)、入場無料。

Most Popular