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伝説の音職人・行方洋一さん 日本ポップス録音史つづる

【田中めぐみ】土浦市在住の行方洋一さんが書いた「音職人・行方洋一の仕事 伝説のエンジニアが語る日本ポップス録音史」(DU BOOKS、税別2200円)。昨年8月に出版され、話題を呼んでいる。名盤といわれるレコードの制作秘話が満載の自伝的な一冊だ。日本のポップス史を、録音技術の進化の過程やエンジニアの労働環境という観点からもうかがい知ることができる。

行方さんは1943年生まれ。元の東芝音楽工業(後の東芝EMI)のレコーディング・エンジニアでオーディオ評論家。坂本九「見上げてごらん夜の星を」や弘田三枝子「私のベイビー」、欧陽菲菲「雨の御堂筋」、ザ・ドリフターズ「ドリフのズンドコ節」など、数多くの有名ミュージシャンたちの楽曲録音から、テレビアニメ「サザエさん」の主題歌、蒸気機関車の音などの野外録音まで、様々な作品を手掛けてきた。川口真や筒美京平ら、よく知られた作編曲家からの信頼も集め、「伝説のエンジニア」と称されている。

本の中には、秘密主義で閉鎖的だったレコード会社の気風を壊し、エンジニア同士のコミュニケーションを活発にするため、他社の同業者たちと「音屋会」(現在の「日本レコーディングエンジニア協会」)を発足した経緯も書かれている。当時エンジニアの名前はレコードに記載されていなかった。エンジニアの地位向上を目指し、行方さんら「音屋会」が名前の記載を求めて働きかけた結果、名前が記載されるようになった。

記録媒体がレコードからCDに移り変わるなか、録音の仕方も変化したという行方さん。レコード録音の場合は音が圧縮されるため自然と丸みのある柔らかい音になるが、CDだと音圧レベルを下げる調整が必要だと話す。

「死ぬまで現役エンジニアでいたい」という言葉通り、現在でも毎日何かを作っている。野外録音にも取り組む。対象は、鳥の声や陸上自衛隊の実弾射撃の音、台湾を走る日本製の古い蒸気機関車の音、飛行機の離着陸の音など幅広い。霞ケ浦に船で乗り出し、土浦全国花火競技大会の花火の音を取ったこともある。

大量のレコードに囲まれ録音機材が並ぶ行方さんの自宅作業場

「次の世代に引き継ぎたい」

後進の育成にも心を寄せる。都内で活躍するエンジニアの「弟子」が15人ほどおり、今でも月1回は集まりを開いて話をしたり、相談に乗ったりするという。また台湾にも4人の後継者が育ち活躍している。「音楽業界も昔より厳しくなった。1万枚か100万枚か、どのくらい売れるか予測ができないので、結局制作費を削られてしまう」と話す行方さん。音楽業界でエンジニアとして働く夢を持つ人に向け、「よい音楽に興味を持ってたくさん聞くことが大切。やりたいと思ったら年齢は関係なく、手を動かして作ってみるといい」とエールを送る。

録音技術を次の世代にも引き継ぎたいと、地域でも講演会やセミナー活動を行っており、3月23日にコーヒー& ジャズ「ノーチラスカフェ」(阿見町・土浦三高下)で開催の「『音屋』セミナー2 音職人・行方洋一の世界」に登場する。1月に開催したセミナーの2回目で、初心者から上級者まで楽しめる内容を予定している。

◆『音屋』セミナー2 音職人・行方洋一の世界 3月23日(土)午後7時から、阿見町阿見79コーヒー & ジャズ「ノーチラスカフェ」。参加費2000円(ソフトドリンク付き、税込み)。予約・問い合わせは同店(電話029-887-0375)。

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プライベート花火 土浦市が打ち上げを応援

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新品種導入も推奨 イネ縞葉枯病対策で県

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筑波山・霞ケ浦を稼げる観光地へ 遊べる旅行企画など募集

【山崎実】茨城県は、筑波山・霞ケ浦広域エリア観光連携促進事業を2018年度から3カ年計画で進めている。現在、両地域の観光資源を生かした「土産品・グルメ」「アクティビティーコンテンツ」の新商品開発プランを募集している。 観光連携の新たな魅力創出と、稼げる観光地域づくり促進が狙いで、選定されたプランには補助金の交付、販売支援などが行われる。 募集は▽新たな定番商品の開発▽アクティビティー(遊べる)ツアープログラム企画の開発ーの2部門。定番商品の開発では、観光目的の大きな要因である「食(グルメ)」、地域を代表する新たな「土産品」を募集する。既存商品の味やデザイン、パッケージなどに工夫・改良を加えたものも応募可能とする。採択は4件程度を予定し最大補助額は75万円。 アクティビティー・ツアープログラム企画開発部門は、アウトドア層を対象に、地域の観光資源を活用した新たな「ツアープログラム」を募集する。採択は2件程度で最大補助額は50万円。 応募資格は新商品の企画・開発をめざす個人、法人、グループなど。「土産品・グルメ」提案部門は県内に事業所をもっていることが条件だが、アウトドア層向けの企画開発の提案は、事業所の所在地は問わない。 応募締め切りは8月21日。同月下旬に書類審査、9月にプレゼンテーション審査を行い、商品開発を実施。来年2月に成果報告会を予定している。

個別テントなど備蓄へ 土浦市がコロナ対応避難所指針

【鈴木宏子】新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、災害発生時に避難所での集団感染を防ごうと、土浦市は新たに「新型コロナウイルス等感染症対応避難所運営指針」を策定した。6日開かれた定例記者会見で安藤真理子市長が発表した。避難所となる体育館で使用する個別テントなどを新たに備蓄する方針で、7月に開く臨時議会に諮るという。 運営指針は、避難所での「密」を防ぐため①車中泊や親せき、友人宅などに避難する分散避難を推奨する②小中学校の体育館以外に校舎の教室や公共施設、民間施設を有効活用して避難スペースを確保する③避難所では消毒や換気など感染防止対策を実施するーの3つが柱。 分散避難の推奨では、車中泊が増えることが予想されるため、避難所となっていてトイレや水が確保できる学校校庭や公園などに車中泊に適した場所を確保する。 避難スペースの確保は、小中学校の教室や公民館、保健センターなど公共施設の活用のほか、災害協定を締結している民間企業や、個室のある民間宿泊施設などとも調整する。 避難所の感染防止対策は、一般避難者向けのスペースのほかに、熱があるなど体調不良者向けの部屋と、高齢者や障害者など要配慮者向けの部屋などを別々に用意する。個別テントや間仕切り用のパーテーションなどを備蓄し、不足した場合は段ボールで代用する。すでに備蓄しているマスクや消毒液、ビニール手袋、非接触型体温計の備蓄量をさらに増やす。 運営面の感染防止対策は、避難者の体温や健康状態を確認する、消毒液などを設置する、避難者同士は2メートルの間隔を確保する、換気のため1時間に1回程度、2方向の窓を10分間開ける、手すりなどは1時間に1回程度を目安に消毒するーなどを定めている。
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