火曜日, 5月 7, 2024
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中高生もクレオ再生案に意見 28日つくばでタウンミーティング

【橋立多美】つくば市主催のタウンミーティング「会える市長with中高生」が同市吾妻の商業施設Bivi2階つくば総合インフォメーションセンター交流サロンで28日に開かれ、市内の中高生と近隣の高校に通学する14人が五十嵐立青市長と意見交換を行った。 五十嵐市長は「市長と会える」をキャッチフレーズに、就任3カ月後の2017年2月から市内6地区で市民と語らう会を開催してきた。中高生を対象とした今回のミーティングは初の試み。 「最近気になる」として生徒たちが質問したのがクレオ再生問題だった。「つくば市議会(全員協議会)で市議会議員の賛同を得られないのはなぜか」の問いに市長は「周辺地区の住民はクレオ再生より他にやって欲しいことがあり、議員は地区を代表している」。また「すぐ近くに中央図書館があって図書館は必要ないのではないか」「クレオは寿命がきているのではないか」などの質問が相次いだ。市長は「中央図書館は子どもと大人の共有施設で『子どもの声がうるさい』という意見がある。子どもたちが伸び伸びと本に触れることができる図書館を設置する」「クレオは築33年。専門家に調べてもらったところ建物は頑丈であと20年から30年は使えると言われた」と答えた。そして「クレオ再生問題についてはもうちょっと待ってほしい」と話した。 学校に関する意見も挙がった。「(公立中学の)バスケットボール部に所属しているが他の部とシェアしているため体育館が使えず練習できない」という声に、会場にいた門脇厚司教育長が「学校によって体育館が使えない状況は把握している。今春開校した、みどりの学園は工事が順調に進んで年内の完成を見込んでいる」と回答。市長は「TX沿線の小中学校の児童数が増加している。決められた予算の中から教育環境を整備していく考えで、小中学校の普通教室のエアコンは今年整備を終えた」と補足した。 また「夏休みに中央図書館で自主勉強をするが席が足りない」「TX沿線に県立高校を開校してほしい」という要望が上がった。ほかに「義務教育に異文化交流を取り入れたら外国人への理解が深まるようになる」「つくばは緑が多い。落ち葉をごみにせず、回収して堆肥化し、土に戻す『落ち葉銀行』に取り組んではどうか」という提案がされた。 生徒たちからは「自分の意見を言うことが大切だと分かった」「市民の一員なので市政に関心をもっていこうと思う」といった声が聞かれた。

音の宝箱・つくば 11月17日ジャズライブ開催 筑波学院大生ポスター制作に挑戦

【橋立多美】市民有志が2013年にノバホールで、翌14年には同ホールやセンター広場の野外ライブを中心に3日間にわたる「つくば市民音楽祭」を開催した。3回目の音楽祭から「音の宝箱」と改称し「音楽で人をつなぎ、街の音楽祭へと成長させる」ことを目指して活動している。市民ボランティアを主体に文化財団や地域企業が協力している。 今年は実力派ジャズピアニスト水岡のぶゆきと、そのグループが出演するスペシャルジャズライブを11月17日、つくば市吾妻の筑波学院大学大講座室で開催する。また、プロの演奏家と吹奏楽部に属する市内の中学生3人が共に演奏する企画が予定されている。 この催しを告知するポスターとチラシを、同大のメディアデザインコースで学ぶ2年生7人が制作した。学生たちは、社会参加活動を行う必修授業「オフ・キャンパス・プログラム(OCP)」の受け入れ団体の中から、「音の宝箱・つくば企画運営会議」の運営を体験することにした。同企画運営会議がBiViつくばで月1回開催している「BiViコン」のスタッフとして活動しながら、ポスターとチラシ作りに取り組んだ。実社会にアピールするポスターとチラシ作成を任せられるとは予想していなかったという。 ポスターとチラシの原稿と写真を入手したのは8月上旬だった。手分けして参考になりそうなポスターやチラシを集めることから始め、より多くの人にライブ開催を伝えるにはどうしたらいいか、話し合いを重ねた。やり直しを命じられたこともあったがめげずに取り組み、1カ月で校了した。9月中旬、黒をベースにピアノの生演奏が聴こえてきそうなシックなイメージのポスター(A2サイズ)50枚とチラシ(A4サイズ)8500枚が刷り上がった。 キャラクターデザイナーを目指す秋間綾乃さんは「会場準備に参加し、観客とは違う目線でライブに関わることができて新鮮だった」。ウェブデザイナーを志す大塚保奈美さんは「音楽を身近に感じてわくわくした。学生の枠を超えて仕事ができた」と話す。 「Jポップ一辺倒だったがこの体験で音楽の幅が広がった」と言うのはグラフィックデザイナー志望の小松崎匠さん。「校内に(作った)ポスターが貼られているのを見た時はなぜかドキッとし、それからうれしくなった。力を蓄えてもっといいデザインをしようと思う」とも。 音の宝箱・つくば事務局長の奈良間英樹さんは「7人が協力して波及効果の高いポスターとチラシを作ってくれた」と評価する。 開催に向け、吾妻地区のポスティングや当日のプログラム制作もある。大役は果たしたが「当日まで気は抜けません」と小松崎さんは話した。 ◆「音の宝箱・つくば2018」は11月17日(土)午後3時30分開場、同4時開演、筑波学院大学。入場無料、全席自由だが事前に特設サイトから申し込みが必要。 問い合わせは音の宝箱・つくば企画運営会議電話029-895-4335(奈良間さん)まで。

「何でもできる!」 27、28日 筑波学院大で学園祭

【橋立多美】筑波学院大学(つくば市吾妻)の第28回KVA祭(学園祭)=メモ=が27、28日に同大キャンパスで開催される。学生が創りあげる学生のための同大最大のイベントで、自ら手を挙げて実行委員長を引き受けた3年の張替紀樹さんと実行委員会のメンバー34人が、準備から運営までを担っている。 張替さんは1年の時から実行委員として活動してきたが、自分にはリーダーシップの力はないと思っていた。しかし周囲から「そんなことはない。もっとプラス思考に」と背中を押され、消極的な自分に決別して委員長に名乗りを上げた。そしてルールに拘束されず、自主的に活動して楽しい学園祭にしようと今年のテーマを「Anything is Possible―何でもできる!」にした。 実行委はイベント、模擬店、広報、会場・展示と分担はさまざま。春から準備に取り掛かり、これまでのイベントを見直したり、1年生の企画を盛り込むなどしてきた。試行錯誤することで委員会のモチベーションが上がったという。 メーンイベントは28日(日)午後3時に大教室で開演するタレント最上もがのトークショー。入場料は1000円、全席指定。チケットはイープラスで「筑波学院大学」「KVA祭」と検索し、画面の手順に従って購入を。まだ席に余裕がある。 毎年県内外から多くのチームが参加して白熱した試合が展開される小学生ドッジボール大会(27日、体育館2階)やフリーマーケット(両日開催)のほか、ダンスや沖縄創作エイサー、ジャズ演奏などが野外ステージで繰り広げられる。注目は実行委企画の大声大会だ。クイズの答えを叫ぶもので測定器で順位が決まり優勝商品が用意されている(28日午後12時30分~)。 教室を会場にした展示は射的や絵画、いけばな、ゲーム、写真と盛りだくさんで親子で楽しめる。子どもに人気のお化け屋敷もお目見えする。 イベントに欠かせない模擬店は26店が出展。利用客が店を評価する「Mogi-1グランプリ」を導入したことで、さらに味に磨きがかかったという。ドリンクや豚汁、牛串、ハラル料理のケバブ、ベトナム料理と多国籍な味が楽しめる。 張替さんは「市域の皆さんにもぜひ参加して楽しんでほしい」と参加を呼びかけている。 ◆問い合わせは同大学生支援グループ(電話029-858-4813)まで。 【メモ】KVAは、筑波学院大学の母体である東京家政学院大学の創設者大江スミが提唱したリベラルアーツの精神で、Knowledge(知識)、Virtue(徳性)、Arts(技術・技能)の頭文字をとった。

保護犬・猫と触れ合って ボランティアが譲渡会 11月4日土浦

【橋立多美】犬猫の保護活動をしているボランティア団体「犬猫物語」主催の「犬と猫の譲渡会&犬猫マルシェ」が11月4日、土浦駅前のアルカス土浦広場(土浦市大和町)で開かれる。同団体は土浦やつくば、坂東市などで、迷子になったり、人間の都合で捨てられた犬猫の保護活動をしている人たちが今春立ち上げた。土浦市在住の鈴木佳代さん(51)が代表を務めている。 鈴木さんは「茨城は犬猫の殺処分数がワースト上位ということもあって、不幸な犬猫を減らそうと譲渡会の会場では里親探しに必死になりがち。私たちは力まず、犬猫と触れ合う楽しい場を提供することから始めたい」という。4日の譲渡会で里親を募集するのは成犬3、4匹と生後3カ月から成猫までの10匹前後の猫たち。 マルシェには犬猫フードやおやつ、関連グッズなどが並び、占いやバルーンアートのブースが設けられる。また、犬猫もかけがえのない命であることを知ってもらうために聴診器で心音を聴くコーナーや、犬猫が脱走したり迷子になった時に飼い主を識別できるマイクロチップについて学ぶコーナーも開設される。飼い方の相談や共生する上で大切なことを楽しみながら学ぶことができる。 鈴木さんが保護活動に取り組むようになったのは15年前、土浦市に自宅を建ててブリーダーから買った雌のコリー犬と暮らすようになってから。それまでは動物の飼育が禁止された集合住宅に住んでいたため初めてのペットとの暮らしだった。「かわいくて、ペットのいなかったこれまでの人生は大損した」と思ったそうだ。その後は県動物愛護推進員として犬猫の適正飼養の啓発や譲渡などの活動を続けている。今は保護した犬猫を家族として迎える一方、譲渡するために複数匹の犬猫の世話をしている。 活動の喜びは「行き場のない犬猫がハッピーになること」と鈴木さん。譲渡後、付き合いが生まれた里親宅を訪ねた時、「かつて世話した犬猫が自分を覚えていないと、良い里親さんに出会えて幸せに暮らしていることが分かってうれしくなる」。 犬猫の譲渡には条件がある。▽犬猫を飼育できる住宅に居住し、飼育することについて家族全員の同意が取れていること▽終生一緒に暮らすこと▽必ず不妊、去勢手術を行うこと▽県動物の愛護管理条例で飼い猫の屋内飼養が努力義務として規定されており、ネコは室内で飼うこと-などだ。 ◆「犬と猫の譲渡会&犬猫マルシェ」は11月4日(日)午前11時~午後2時30分、アルカス土浦(土浦市大和町)1階広場。問い合わせは鈴木さん(電話090-1767-3372)まで。

「人と湖沼の共生」テーマ 世界湖沼会議15日開幕 つくば

【橋立多美】「人と湖沼の共生」をテーマにした第17回世界湖沼会議が明日15日から19日まで、つくば市竹園のつくば国際会議場で開催される。 同会議は湖や沼を取り巻く環境問題について世界各国の研究者や市民などが一堂に会し、情報の交換や交流を図る場。1984年に滋賀県で始まり、概ね2年ごとに世界各国で開催されている。本県で同会議が開催されるのは95年の第6回会議に次いで2回目となる。 開催に先立ち、小中高生による学生会議が同会議場で14日に行われ、学校関係者など多くの参加者でにぎわった。小学生、中学生、高校生の3部門に分かれて水や湖沼に関する研究や取り組みの発表(各部門9校)と64校によるポスターセッション、そして「自然のめぐみ 命を育む水ー共に生きる未来ー」をテーマにディスカッションが開かれた。 中学生の部の口頭発表では、17年間地域と連携して環境保全活動に取り組んでいる、ひたちなか市立阿字ケ浦中学校の研究班が登壇。国営ひたち海浜公園内の沢田湧水地の湧水調査や池に生息する動植物の調査や水質を浄化して水量を取り戻す「かいぼり」作業を紹介した。また滋賀県のTANAKAMIこども環境クラブは、きれいな水辺を守るには、多くの人に美しい自然の情景を発進することだと考えて撮影会と展示会、スマホでアンケート調査を行った。同校とも発表の最後を「きれいな自然は大切にしたい」と締めくくった。 ポスターセッションには64校のポスターが勢ぞろいした。オヤッと思わせたのが「霞ケ浦を水上飛行場にすることは可能か」をテーマにした県立土浦第三高校のポスターで、同校科学部2年の西岡慎也さんが研究した。土浦の活性化に霞ケ浦を活用する試案で、救難飛行艇US-2を導入して離島まで飛ばす。ただし1機100億円、空港建設費220億円かかる。「持続可能か」「こんなに大金どうするの」などの質問に西岡さんが窮する場面もあったが、中高生たちが集まり自由に意見交換する姿が見られた。 世界湖沼会議のスケジュールは次の通り。 ▽15日(月)午前10時30分から開会式、午後1時30分から基調講演。 ▽16日午前9時30分から政策フォーラム、午後1時10分から湖沼セッション。 ▽17日はエクスカーション(霞ケ浦、北浦、涸沼などの視察) ▽18日午前9時30分から霞ケ浦セッション ▽19日午前10時から会議総括、午後1時から閉会式。

【クレオ再生問題】市財政の影響懸念の声も 茎崎で説明会

【橋立多美】つくば市茎崎地区を対象にしたクレオに関する市民説明会が11日、同市小茎の茎崎交流センターで開催され、約40人が参加した。自治会役員や民生委員などの姿が見られた。 市は財政調整基金から20億円、地元のサイバーダイン社など民間企業から30億円の計50億円の出資金と、金融機関からの借入金21億円で「まちづくり会社」を設立。施設を購入し、食品スーパーや子ども向けの体験施設や図書館などを入れ、つくばならではの施設にする構想を打ち出している。 五十嵐立青市長が再生案の説明を行い、「クレオは市の心臓部。中心部から周辺地区への人の流れをつくり、雇用につなげたい」と熱弁をふるった。会場からは再生案に「基本的には賛成」の声も聞かれた一方、「保育所の入居を考えては」「(2年目から黒字を想定している)まちづくり会社の事業収支は市民を誘導している」という意見が挙がった。市財政への影響を懸念する声も相次いだ。 茎崎交流センターでの主なやり取りは以下の通り。 参加者 (市と共に出資する民間会社が)仮に倒産したら市が払うのか。過信しないほうがいい。君子危うきに近寄らずだ。 市長 サイバーダイン社は再生案に共感してくれた。お金も持っていて大丈夫。 参加者 (まちづくり会社の)主導権を得るために51%出資してはどうか。 市長 市の規模とバランスを考えて20億円にした。市長が社長になることはない。メンバーは経験値の高い人を考えている。 参加者 子ども向けの科学体験施設は地元の研究機関と連携するのか。 市長 研究機関と連携してつくばらしい内容にしていきたい。 参加者 子ども向けのフロアが出来ると自転車で行く人が増えると思う。駐輪場はどうなるか。 市長 今ある駐輪場の整備を考えている。 参加者 まちづくり会社の事業収支案は、これしかないと市民を誘導しているように思えなくもない。情報公開で開示してほしいのと、総合運動公園の反省をしていただきたい。 市長 情報公開は行政の記録を全て出すことを基本にしている。 参加者 フロア構成案が示されているが、駅との連動性から保育所や防災や介護などのサービス機能があっていい。余裕をもって決めてはどうか。 市長 市民の声を聞きながら進めていく。2階の自転車拠点は土浦駅前にできた拠点と連携しながら運営することもできる。 参加者 つくばは地域で温度差がある。茎崎地区の商圏は牛久で中心地に関心がないし、行かない。それは駐車料金が高いからだ。 市長 (中心地区は)料金の問題と、立体駐車場で止めにくいという意見が多く、幅を広げる工事をしており利用しやすくなる。無料時間を延長する交渉をしていく。 参加者 予算オーバーのツケは市民にまわる。それだけはやってほしくない。 市長 予算の追加投入はしない立場に立ち、お金のたれ流しはしない。 説明会は今後▽14日午前10時~、市役所▽14日午後3時30分~、筑波交流センターで開かれる。

入院中の小児 科学を楽しむ エキスポセンターが出前教室

【橋立多美】科学を体感できる、つくばエキスポセンター(つくば市吾妻)の科学出前教室が同市天久保の筑波大学附属病院エントランスホールで6日行われ、同病院に入院している9人の子どもたちが星空体験と科学工作を楽しんだ。 同センターのプラネタリウムドームの大きさは直径25.6㍍あるが、その5分の1にあたる5㍍のドームスクリーンが設営され、秋の星座が映し出された。ドームは遮光性フィルムを用いたもので、職員らが手作りで完成させた。またペットボトルの中の魚が浮いたり沈んだりする不思議な浮沈子(ふちんし)の工作が行われ、科学の面白さに触れた。 保護者や看護師に付き添われ、点滴を受けながら参加した子どももいたが、解説付きで約20分、秋の星空を鑑賞した。かすみがうら市の5歳の男児は「きらきら光って面白かった」と、付き添った父親を見上げて顔を紅潮させた。筑西市の小3年男児の父親(40)は「プラネタリウムを見せたことはなかったし、入院生活に楽しさを届けてくれて有り難い」と笑顔だった。 同センターは、青少年への科学技術の普及啓発のための科学出前教室(アウトリーチ活動)を続けており、昨年度は128団体に出向いている。広報担当の小堀安奈さんは「これまでは幼稚園や小中学校への出前が主流を占め、病院での教室は今回が初めて。保護者や医療者の皆さんにも喜んでいただけた。つくば市吾妻のセンターから日帰りで往復できるエリアなら出前します」と話す。

《猫と暮らせば》5 若い女性が時代を引っ張る

【コラム・橋立多美】過日取材で、世界の主要な新興国の中で経済成長が際立つインドネシアから研修にやってきた女子中学生8人に会った。彼女たちがつくばで着付けと茶道を体験するというイベントだった。 8人のうち4人がスカーフのような布を頭にかぶっていた。これはイスラム教の女性が頭を覆う布で「ヒジャブ」と言う。同国の90%がイスラム教徒だと聞くが、黒髪を見せている中学生が半数を占めていてヒジャブの着用は強制的ではないらしい。 しつこく着物と帯の購入を勧められる着付け教室に通ったかいあって、なんとか自力で着られることから当日着付けを手伝った。片言の日本語しか通じないが身振り手振りで彼女たちと意思の疎通ができた。 かつてヒジャブは黒い無地の布だったが、今は上記の写真のようにカラフルな色に取って変わり、数枚持っていてその日の洋服に合わせて使うのだという。おしゃれなヒジャブを扱う店や、斬新なヒジャブのコーディネートを指南する雑誌が若者たちに人気で、最近は「ヒジャブ女子」と言われているそうだ。 ファッショナブルなヒジャブ ヒジャブを付ける手順を見せてもらった。三角に折ったヒジャブをかぶり、額の上の角の長さを指でつまんで確認すると、あごの下で留める。留めるのは待ち針状の細いピン1本。針の先が首に刺さることはないかと聞くと、取巻く女生徒たちははじけるように笑って「ない」と答えた。鏡も見ずに着用に要したのはわずか数秒。5歳になると誰でも自分で付けるという話にうなずけた。 襟足と重ねた襟元が強調される着物。ヒジャブはそこを隠してしまうが、褐色の肌にマッチした鮮やかなヒジャブと彼女たちの若い肢体で日本人では表せない個性的な装いに仕上がった。「これもありだな」と思わせた。 ヒジャブは、イスラム教の聖典コーランの「美しい部分は人に見せぬように」という趣旨の教えに基づく。だが毎日着用するならファッショナブルに楽しくと変わりつつある。そこには宗教上の教えを守りつつ、明るい出口を見つけた女性たちの息吹を感じる。いつの世もどこの国でも若い女性が時代を引っ張るのだ。(ライター)

釣り針からみ衰弱 谷田川のコブハクチョウ

【橋立多美】つくば市森の里団地の脇を流れる谷田川にすみつくコブハクチョウが、釣り人が放置した仕掛けが足にからまって傷を負ったが、団地住民と市環境保全課の連携プレーで事なきを得た。 コブハクチョウの写真を撮り続けている同団地の富樫次夫さん(67)が26日夕方いつものように撮影に行くと、生息している7羽のうちの1羽が左足にからんだ針と糸を取ろうと必死にもがいていた。 すぐに倉本茂樹自治会長を通じて市環境保全課に連絡し、同課の職員2人が捕獲用の網を持って駆け付けた。ところがビックリしたコブハクチョウに逃げられて捕獲に失敗した。 翌27日午前9時半、住民が見守る中で2度目の捕獲が成功した。ペンチで足に絡まった糸と足の付け根に刺さった針を除去し無事救出作戦が終わった。同課職員は「針を取ろうとくちばしで引っ張ったせいで、くちばしの一部が引きちぎられて血が出ていた。疲れ果てたのかヨタヨタした状態だった」と話した。 その後コブハクチョウは同団地の住民から餌をもらい、安心した様子で仲間のところに泳いでいった。富樫さんは「ここはブラックバスやコイを釣りに来る人が絶えない。これまでも釣り人が持ち帰らない釣り針や糸がからんで死んだコブハクチョウがいる。放置せずに持ち帰ってほしい」と力を込める。 同課は、今回のような人為的な出来事に対処しており、「釣り人のマナー向上」を呼びかける。

【多文化共生を支える】3 コミュニケーション力磨き助産師が奮闘

【橋立多美】9月中旬、妊娠後期の中国とインド出身の妊婦4人が夫と一緒に、分娩(ぶんべん)の仕組みや入院中のスケジュールについて助産師から説明を受けた。つくば市上横場の筑波学園病院産科病棟で年4回行われている外国人対象のマタニティクラスのひとコマだ。やりとりは全て英語。終始フレンドリーな雰囲気で時折笑い声が混じる。 指導する助産師は玉置利香さん(46)。座学を終えると分娩室や病室を案内した。日本人向けの母親学級で分娩室を見学することはない。「マタニティクラスはお産の知識を得ながら友だちができる場。妊娠の段階で良い出会いがあると安心して出産できる。分娩室の見学はお産をイメージしてもらうため」と玉置さんはいう。 サービスより親身なケア 玉置さんは同病院の産科病棟に勤務する。3年ほど前、外国人の妊産婦が、安全性が疑われる母国のミルクを持ち込んだり、タイやインド出身の母親が冷たい水で赤ちゃんを沐浴(もくよく)させようとする場面を目の当たりにした。日本人でも母親学級を通して妊娠や分娩への理解を深めて安心して出産を迎える。言葉の壁がある外国人が母親学級に参加することはなく、母国と異なる病院環境に戸惑いと不安を覚えていると感じた。 病院に、外国人対象のマタニティクラスの開設を提案。一方で、出産後の育児を支援する訪問型の助産院を自身で開院しようと決意した。病院が願いを聞き入れ、マタニティクラスを受け持たせてくれた。英語が話せる後輩の助産師、岩瀬和恵さん(38)と共に同クラスの運営に取り組んでいる。 現在は妊婦外来や助産師外来、産後2週間検診に携わり、主に玉置さんが外国人を担当している。お産は夫婦の共同作業という意識の表れから、ほぼ100%の夫が分娩時に立ち会うという。一方、外国人は産後の祝い膳やマッサージといったサービスより、安全な医療と親身なケアを求めていることも分かった。 同病院産科病棟の飯田ひろ美看護師長は「国籍に関係なく、患者の要望に添える看護を目指している。マタニティクラスは後継者が育ちつつあり見守っていきたい」と話す。 助産院開院し出産後の育児支援 週2日、同病院での勤務を続けながら、玉置さんは昨年4月、外国人をメーンにした「Aina(アイナ)助産院」を土浦市宍塚に開院した。 英語が通じる助産院の開院を知った外国人ママたちがSNSで発信し、利用する外国人が増えてきた。授乳指導や育児支援をするほか、赤ちゃんの予防接種に付き添い、問診票に記載するなどの支援もしている。料金は県助産師会の規定に基づき1時間4000円以上。玉置さんは「コミュニケーション力を磨いて彼女たちを応援したいが、私を雇えない人もいると思う。かゆい所に手が届いていない」と話す。Aina助産院の問い合わせは玉置さん(電話080-4007-4245)。 (終わり)

【多文化共生を支える】2 通訳ボランティアが患者に寄り添う

【橋立多美】つくばで暮らす外国人は昨年10月1日現在9106人。増加に伴って医療機関を受診する外国人は増えているが、日本で医療を受ける最大の障壁は言葉の壁だ。病院が医療通訳を配置するのは極めてまれで、医療従事者も英語以外の言語に対応できることは非常に少ない。 病状重く派遣回数が倍増 日本人と外国人の交流や、外国人の生活支援を目的とするつくば市国際交流協会が、09年から医療通訳ボランティアの無料派遣を行っている。派遣回数は年平均40回で推移してきたが、昨年は88回と倍増した。病状が重い患者が多く通院が長期化する傾向にあるという。 医療通訳の国家資格はない。同協会が開催する養成講座を受講し選考試験に合格後、ボランティア登録をする。個人情報の保護や患者の権利擁護などの倫理規定を学び、言語能力だけでなく、患者に寄り添う人間らしさなどが問われて選考試験は狭き門。合格したが患者の命を支える重圧から登録しない人もいるという。 在日外国人の母語としてニーズが高い中国語、英語、ポルトガル語、スペイン語に対応する30人の医療通訳者が登録されている。その中から通訳歴4年以上の4人に話を聞いた。 中国北京出身で中国語通訳の松永悠さんは「医者の説明を通訳するが、患者が本当に理解しているか確認を怠らない」という。通訳者が勝手に補足するのはタブーで、理解していない時は別の言い方を医者に頼むことがある。 松永さんとパラグアイ出身でスペイン語通訳の岩﨑克司さんは、患者のルーツや宗教に応じた対応を次のように話す。「日本なら薬を処方される程度の小児の病気でも中国では点滴するケースがあり、同じように保護者に求められた時は医療者の説明を通訳して理解してもらう。薬も大量に処方されるのが当たり前で、日本での数日分の薬に『これだけ?』と。それだけに薬の飲み方や回数は丁寧に通訳する」と松永さん。 岩崎さんは「宗教によっては重篤な状況をそのまま伝えず、フィルターをかけたほうがよい場合もある」と話す。また「患者の不安感を和らげるために予約の30分前に病院内で落ち合い、生活環境や困っていることを聞くことにしている。リピーターから、病院は嫌だがあなたがいるから来ると言われ、やりがいになっている」と話してくれた。 英語通訳の清原朗子さんは「日頃から医療用語や病気についての勉強を怠らないようにしているが、通訳当日は持ち込みが許される辞書を持参する。でも見る時間がなくて辞書はお守りです」と笑みを浮かべた。 9年前は認知されず 当初から中国語通訳として活動している伊藤春華さんは中国広西省出身。「医療通訳がスタートした9年前は活動が認知されていなかった。今は患者との関係づくりに役立つと医者や看護師から感謝される。円滑な診療と外国人への有効な治療が進められるよう続けていきたい」と語った。 同協会の中村貴之係長は「病気が重い患者が多いため、通訳者が感情移入し過ぎると気分が落ち込むようになる。医療通訳者をどうケアして守るかが課題」と話す。 医療通訳ボランティア派遣は市内や近隣地域の病院からの申し込み制。医療通訳に関する問い合わせは、つくば市国際交流協会(電話029-869-7675)。

【多文化共生を支える】1 言葉の壁越えるには 

【橋立多美】大学や研究機関、工業団地が集積するつくば市は、県内最多の外国人が住む多文化のまちだ。10年前と比べて約2000人増加し、留学生や研究者、就労者など143カ国の約9300人(市人口の4%)が暮らす。国が外国人労働者の受け入れ拡大に乗り出したことで一層の増加が見込まれている。 外国人のいる日常は今や当たり前になった。だが言葉の壁や文化、習慣の違いで彼らが戸惑ったり途方に暮れることは想像に難くない。彼らにどんな支援がされているのか。在日外国人の生活に密着した支援を3回シリーズで報告する。初回は、学齢期の子どもを中心とした言葉のサポートを紹介する。 半数が日本語指導必要 同市には日本語指導を必要とする小中学生が多く暮らす。市教委によると、市内の外国籍児童生徒は約350人で半数の約170人に日本語指導が必要という。主に市中心部の公立小中学校に在籍することから、小中9校に日本語指導の研修を受けた教員12人を配置している。学級を持たずに日本語指導に専念し、別教室で個別の指導も行われている。日本語が読めず、学校からの書類などが理解できない保護者とはスマホの翻訳機能を使ってコミュニケーションをとっているそうだ。 7月中旬、同市吾妻の筑波学院大学で来春の高校進学を目指す外国籍の中学生と家族が、通訳付きで日本の高等学校の仕組みを学んでいた。内容は小中学校との違い、高校の種類やカリキュラム、入試、偏差値、学費と多岐にわたる。台湾出身で龍ケ崎済生会病院の産婦人科医・陳央仁さんが高校進学体験談を語った後は個別相談に応じた。ブラジル出身の父親は「高校のことがよく分かり、娘の学力レベルと通学時間や経済面を考えて受験する高校を決めることができた」とほっとした表情を見せた。 国際交流協会が担い手に この「高校進学相談会」はつくば市国際交流協会(小玉喜三郎理事長)が主催。講師を務めた同大の金久保紀子教授は「子どもたちは日本に永住する可能性が高く、高校入試は避けて通れない。しかし日本の教育システムが分からず、公立の小中のように高校に入学できると思っている」と話してくれた。 夏休み期間中は小中学生対象の「こども日本語勉強会」が行われた。市内4地区の学校と公共施設で全12回開かれ、同協会のボランティアが指導にあたっている。つくばイノベーションプラザでの今夏最後の勉強会では、中国とインドネシア出身の児童5人が日本語を学んでいた。小2の男子児童の机の上には「けさはパンをたべましたか」など、日常会話を学ぶドリルが置かれていた。この勉強会は冬・春休みにも実施されている。 外国人とその家族を対象にした「日本語講座」も開講されている。初心者から上級者までの5段階で昼コースと午後6時30分からの夜のコースがある。同協会の中村貴之係長は「日本で生活するために日本語の習得は欠かせず、子どもは学習言語、大人は生活言語を学ぶ必要がある」と話す。 毎週水曜日には無料の「外国人のための相談室」も開かれている。家庭内のいざこざや給料未払い、DV(配偶者、恋人などからの暴力)などの相談が寄せられる。未払いやDVなど弁護士や専門家が介在すべき問題は、たらい回しされないよう確かな相談先に橋渡しをしているという。

アッセの核店舗カスミ30日撤退 テナント順次移転後、閉鎖へ

【橋立多美】つくば市上横場、つくばショッピングセンターASSE(アッセ)の核テナントで食品スーパー、カスミつくばアッセ店が今月30日午後6時をもって閉店する。同店の撤退に伴って現在営業しているテナント数店も順次移転する予定で、その後、建物は閉鎖されることになるという。 アッセはかつて谷田部地区のにぎわいの中心で、市内はもとより牛久や水海道(現常総市)などからも客を集めた。つくば駅前の西武筑波店やイオンつくば駅前店が撤退し、現在、中心地区のにぎわい創出が市の課題となっているが、谷田部地区のにぎわい創出も大きな課題だ。 アッセはつくば商業開発が運営管理している。カスミを核とするA棟、ホームセンター「ケーヨーデイツー」が入るB棟、国道354号に面したラーメン店などの別棟で構成されている。敷地面積約5万平方㍍、商業施設面積約9600平方㍍で約150台の駐車場を有する。 食品からファッション、旅行会社、飲食店と幅広い店舗が入居する複合商業施設として1995年11月1日にオープンした。常磐道谷田部インターチェンジ近くの国道とサイエンス大通りが交点する上横場交差点に位置し、県南や県西、千葉県などからも来店し、にぎわった。 その後、つくばエクスプレス(TX)沿線開発地区の研究学園駅前に2008年、商業施設イーアスつくばが開業したころから陰りが見え始め、2011年の東日本大震災でA棟は外壁や天井などに損傷を受け、テナントの長期休業や移転が相次いで衰退に拍車がかかった。 ここ数年は空きテナントが多くなり、存続を危ぶむ声が聞かれていた。茎崎地区から市内の職場に車通勤する女性(38)は「帰宅途中でアッセに立ち寄って買い物するのが日課で、生活に直結するだけにショック。これからどうしよう」と途方に暮れる。 同社は「まだ移転先が決まっていないテナントがあって当面は営業する。建物を解体してリニューアルオープンする予定だが、具体的な計画までには至ってない」と話した。B棟のホームセンターと別棟のラーメン店などは営業を続ける。

日本への関心高まる インドネシア中学生 着付けや茶道体験 筑波学院大

【橋立多美】研修で来日しているインドネシアのジョグジャカルタ第5中学校の中学生20人(男子12人、女子8人)が18日、つくば市吾妻の筑波学院大学で着付けと茶道を体験した。 男女に分かれて着付け体験が行われ、男子生徒は紺色や茶色の着物に角帯、兵児帯を締めた 。女子生徒のための教室は色とりどりの着物と帯が並べられ、好きな色と柄を選んで初体験を楽しんだ。着付けが終わると鏡に映る姿に喜び、お互いにスマホで撮影する様子が見られた。着付けは、つくば市在住で着物に詳しい佐々木悠紀子さんらが担当した。 着物姿の生徒たちは和室「さくらの間」に移動し、土浦在住の宮本昌子さんと同大卒業生たちのお点前による抹茶の接待を受けた。表千家に精通した宮本さんの「お茶碗の正面に口をつけて汚さないよう、左へ2回まわして飲み干します」など、作法の説明に神妙な面持ちで聞き入った。 男子生徒たちは「緊張したけど日本の文化が分かってハッピー」。女子生徒たちは「着物はきれい。お茶はおいしかったけど、足がしびれて困った」と口をそろえた。 研修は、同大国際別科と交流協定を結んでいるインドネシアの日本語機関が企画し、同大が支援している。来日した一行は、日本に興味のある人を対象にした同中学のジャパンコースを選択した生徒たち。日本人と交流し、多様な経験をしてもらうと共に、日本語学習に対する意欲を高めてもらい、将来日本へ留学を希望する若者を増やすことが目的だ。 同大の金久保紀子教授は「インドネシアからの研修を受け入れるのは今回で10回目。インドネシアの生徒さんたちの日本への関心の広がりに驚いている。本校学生や日本語教員養成プログラムの方たち、卒業生の方たちの研修と集いの場にもなっていることがうれしい」と語った。 13日に来日後、八千代町立東中学校での生徒との交流や、同大でパソコンを使ったアニメーション作成を体験するなど見聞を広めた。同大の研修は着付けと茶道体験で修了したが22日まで滞在し、BiViつくばの交流サロンで開催される筑波大学の「インドネシアウィーク」 に出演してパフォーマンスを披露する予定だ。

【葬儀の形】つくばの老健施設長が生前葬 「元気なうちに区切り」

【橋立多美】葬儀の形式が多様化している。最近は家族だけで送る「家族葬」や宗教にこだわらない無宗教の葬儀などがある。生きている間に自分の葬儀を執り行う「生前葬」も話題を集めており、都心では、葬儀社が請け負ってホテルの宴会場を利用する場合が多い。 つくば市高崎のつくば双愛病院内にある介護老人保健施設「ひまわり」の長廻(ながさこ)紘施設長(77)は7日、土浦のホテルで、お世話になった人や親しい人に感謝の気持ちを伝える「生前葬」を執り行い、友人や同施設の職員など約50人が列席した。 支えてくれた人に感謝 宗教色はなく、服装は自由。香典も不要で、会場入り口には1歳頃の長廻さんが祖母におんぶされた写真が置かれた。 長廻さん本人が喪主を務めた。まず喪主自らが舞台に上がり「元気で意識のはっきりしているうちに区切りを付け、新たな生に向かう起爆剤にしようと生前葬を企画した」と語りかけた。そして、人生の岐路に立ったときに支えてくれた友人や知人、家族の話を織り交ぜながらこれまでを振り返り、感謝の気持ちを述べた。 続いて長廻さんの新たな人生の門出に向け、同病院の高田喜哉薬局長の音頭で乾杯が交わされると、会場は和やかな雰囲気に包まれた。ユーモアに満ちた友人たちによるスピーチ、会食や歓談、余興として津軽三味線の演奏が行われた。 「初めは冗談かと」 島根県出雲市で育った長廻さんの幼なじみで、同市から駆け付けた税理士の山内英明さんは「葬儀について深く考えたことはないし生前葬に興味はない」。東大医学部当時の友人片山栄さんは「(生前葬の知らせに)初めは冗談かと思ったが斬新奇抜な彼ならやるなと思い直した。遺書を書いたり終活を始めたが生前葬をする気はない」と話した。 長廻さんの長女は「父が本当に亡くなった時の葬儀はどうしたらいいかという心配はあるが、今は父の好きなようにさせてやりたいと生前葬に賛成した」と話してくれた。 「やったことない」葬儀社尻込み 長廻さんは「生前葬に施設職員を招いて慰労するのも企画の目的」と語った。生前葬にかかった費用は会食代や遠方からの列席者の旅費、宿泊費などを含めて約50万円。喪主の長廻さんが全額支払った。 生前葬の準備と当日の進行を任された、ひまわりの事務長代行・村松弘二さんは「つくば市内のホテルは断られ、土浦のホテルマロウド筑波に決めた。葬儀社5社は『これまでやったことがない』と尻込みされた。初めての経験で戸惑うことが多かったが、施設長の『かたちにこだわらず、楽しく集えればいい』に助けられた」という。

全盲学生とNPOが企画 15日つくばで落語会 高齢者と障害者に笑いを

【橋立多美】つくば市のNPO法人友の会たすけあい理事長・佐藤文信さん(68)と、全盲で筑波技術大(同市天久保)1年の加藤健太郎さん(18)が企画した「落語会inつくば」が15日、同市ふれあいプラザで開かれる。若きアマチュア落語家たちが出演し、外出機会の少ない高齢者や障害者が家族と一緒に笑って楽しめるイベントを目指している。 加藤さんは新潟県燕市出身。生まれつき目が見えない。6歳の時にテレビの古典落語「お菊の皿」を聞いた。言葉だけで情景が浮かんだ落語に興味が湧き、独学で学んだ後、11歳から地元で活躍する師匠の下で技術を磨いた。 「たら福亭美豚」の芸名で高齢者施設や公民館などで落語を披露し、高校生以下が出場するこども落語全国大会で優秀賞や審査員特別賞を受賞した。情報を音声で読み上げる専用ソフトを使って演目を習得する。持ちネタは181に上る。 「笑ってもらう楽しさを体が覚えたからやめられない」と加藤さん。新潟では同世代の仲間と「見える見えないは関係ない」付き合いを築いて落語研究会を発足させ、明るく過ごしたという。 今春から加藤さんは、筑波技術大に入学してはり・きゅうを学ぶ。一人暮らしを始めて、外出時は付き添ってくれるガイドヘルプを市社協に依頼。ガイドヘルパーとして派遣されたのが、外出するのに困っている高齢者や障害者をボランティアのマイカーで送迎する「友の会たすけあい」理事長の佐藤さんだった。 明るく前向きな加藤さんと、ハンディを持つ人への理解の深い佐藤さんが親しくなるのに時間はかからなかった。そして敬老の日にちなんで元気に笑うイベントを模索していた佐藤さんと、つくばでも落語の仲間づくりを望んでいた加藤さんは意気投合。企画を練り上げ、実現に向けて準備を進めてきた。 出演は筑波大学と茨城大学の落語研究会、加藤さんが属していた新潟の落語研究会のメンバーらで6席を予定。新天地での初出演となる加藤さんこと「たら福亭美豚」はトリを務める。 高齢者や障害者とその家族を優先に受け付けるが、一般市民も入場できる。加藤さんは「単純にお笑い感覚で落語を楽しんでほしい」と若い世代に入場を呼びかける。 ▼15日(土)午後1時30分開演(午後1時開場)。つくば市下岩崎の市ふれあいプラザ。入場無料。定員300人で事前申込制。予約は「友の会たすけあい」事務局(電話029-840-1125、または080-3451-5470)。NPO法人友の会たすけあいhttps://npo-tomonokai.jimdo.com/

《猫と暮らせば》4 猫との共生に求められること

【コラム・橋立多美】タイトルの「猫と暮らせば」は私の暮らしそのもの。旅行に行くときは猫の健康と面倒を見る者の確保を第一に考える。外出は用事が終われば一目散に帰り、ひたすら猫に仕える日々を喜々として送っている。 昔は猫を飼うきっかけと言えば、「捨て猫を拾ってきた」「近所の家で生まれた子猫をもらってきた」というのが定番だった。最近は猫の飼育数は犬の飼育数を上回る952万6000匹。猫ブームに便乗して、ペットショップで販売される猫の数も増えている。 猫ブログや猫専門のテレビ番組、雑誌も多い。「かわいい」「癒やされる」ともてはやし、手軽に飼えるイメージがある。その主たるものが、散歩がいらない、マンションでも飼育できる、世話はいらない、鳴き声がうるさくないというものだ。 確かに散歩は不要だが、住み家を分かち合い、生活を共にするための心配りが必要で、高い場所が好きな猫のためのキャットタワーなる商品も販売されている。また皮膚病予防のブラッシングの度にモフモフの毛が舞い上がり、特に夏毛に変わる初夏からは抜け毛が多くなる。猫飼いには掃除機は必須アイテムなのだ。 子猫のミャーミャーという鳴き声はかわいいが、我が家の18歳の雄猫は人間同様に認知症状が現れはじめ、早朝や深夜に甲高い鳴き声を響かせる。動物医療の発達と飼育環境が良くなったことで長生きをするようになったためで、これからは介護まで請け負う覚悟が求められよう。 ブームに乗り、猫を手に入れたが結局は飼いきれずに飼育を放棄したり、ノラ猫が産んだ子猫が持ち込まれる笠間の動物指導センターでは昨年375匹の猫が殺処分されている(犬は338頭)。殺処分とは虐待の最たるものだ。幼子が親に虐待されると非難の声が沸き起こる。大量の猫への虐待にはなぜ無関心なのか。 小学生の頃から猫好きだった私はこれまで6匹の猫を見送った。それぞれに個性があり、わがままで優美な肢体に見とれる時期から、視野が狭まってヨロヨロしながら歩き回る末期を含めての共存生活だった。 よく、あの世に逝くと亡くなった親や友人に会えるという。私はあの世とやらで再会できるのなら、かつて見送った猫たちが並んで待っていてくれることを望んでいる。(ライター)

筑波高校生 筑波学院大で本格授業を受講へ 県内初、両校が協定

【橋立多美】筑波学院大学(つくば市吾妻、大島愼子学長)と、県立筑波高校(同市北条、國府田稔校長)が29日、地域に根差した教育の発展を目指し連携協定を締結した。同大で調印式が催され、大島学長と國府田校長が協定書に調印した。 同大は社会力豊かな人材育成を目的に、2005年度から「つくば市をキャンパスに」を掲げた「OCP」(オフ・キャンパス・プログラム)プログラムを開始。地域の約100団体と協働で活動を続けている。 一方、同高校は地域を知り社会性を身に付けた高校生の育成を目標に、16年度から2、3年生が教室を出て、周辺の公共施設や民間事業所など18施設で体験実習する独自授業「つくばね学」を実践している。 地域社会に貢献する人材育成に尽力する両校の連携により、同高の「つくばね学」の講座の一つとして同大で1年間、同大教員が教える講座を受講できるようになる。これまで、大学教員が高校に出向いて単発的に講義を行うことはあったが、継続的な受講は県内初の画期的な取り組みという。 大島学長は「この取り組みで大学は高校生が何に興味があり、何が課題なのかを知ることができる」とした上で、「生徒は大学での学びを体験することで、進学したら広い視野に立って学べることを知り、将来への気づきにつながる」とした。國府田校長は「筑波学院大との連携により、筑波山麓の地域社会だけでなく市中心部とのつながりを深め、多様な教育の場を広げて学校を発展させていきたい」と話した。 同高の生徒が同大学で講義を受ける取り組みは20年度の入学生からで、大型バスで送迎される。同大は、実施に向けて高校生向けにアレンジしたカリキュラムを編成するそうだ。

思い出の宝来館を再現 創業100年、無声映画上映会 9月8日つくば山水亭

【橋立多美】サンスイグループ(つくば市小野崎)が創業100年の記念事業として、常総水害復興支援チャリティーイベント「無声映画上映会」を9月8日、つくば山水亭(同)で開催する。 上映作品は、数々の傑作コメディ映画を作り「喜劇王」の異名を持つチャールズ・チャップリン主演の「チャップリンの消防夫」、大河内傅次郎主演の「血煙高田の馬場」、嵐寛寿郎主演の「鞍馬天狗」の3本。活動弁士の第一人者・澤登翠(さわと・みどり)さんによる台本と解説、ギター、三味線、フルートの生演奏が映画に息を吹き込む。 同グループは1919年(大正8年)、現常総市水海道に創業した穀物を扱う「東郷商店」が始まり。娯楽のなかった戦後の46年に映画館を営み始め、水海道の宝来館のほか県内16の映画館を運営した。現在は、3代目社長の東郷治久さんが、つくば市を事業の中心としてホテルやレストラン、教育事業など経営の多角化に取り組んでいる。 この催しを創業100年記念事業と位置づけた東郷さんは「思い出の宝来館を再現したい」と話し、またチャリティーイベントについては「常総市はサンスイグループの出発点だから」と語った。収益を2015年の鬼怒川水害で甚大な浸水被害を受けた常総市に寄付する。 水海道に生まれ、15歳で宝来館で映画看板の修業を始めた、つくば市在住の元映画看板師井桁豊さん(83)は東郷さんと親交が深い。チャリティーイベントに共感して描いた無声映画上映会の看板が、つくば山水亭に華を添えている。 井桁さんは「日本で初めて映画が上映されたのは明治30年頃のことで、無声映画は映画の原点。実際に澤登さんの活弁を聞いたが語り口の見事さに驚いた。黒白写真的な画像と澤登さんの話術が相まった無声映画の世界を楽しんでほしい」と話す。 ▼上映は9月8日(土)午後1時~、12時30分受付。入場料は一人1500円。つくば市小野崎251。問い合わせは電話029-855-8181(山水亭)。 ※メモ 【活動弁士】無声映画の内容を語りで表現して解説する。老若男女に関わらず、登場人物ごとに声のトーンやせりふ回しを演じわける。略して活弁(かつべん)ともいう。

まだ間に合う!夏休み自由研究 つくば市文化財課が相談室開設 22日も

【橋立多美】夏休みもあと12日。つくば市文化財課が同市役所4階会議室で、21、22日の2日間、職員による夏休み自由研究(歴史・文化財)相談室を開いている。 毎年夏休みになると歴史や文化財についての問い合わせがあることから、その声に応えて今夏初の試みという。同課の石川太郎さんは「つくば市はかすみがうら市に次いで古墳や遺跡、出土した石器などが多く、子どもたちに郷土の歴史を知ってほしい」と話してくれた。 相談に訪れた桜南小5年の女子児童は、自由研究のテーマを同小付近の歴史に決めたが、どうまとめたらいいか分からなくなってやって来た。相談に乗ってもらいながら仕上がると緊張がほぐれ、「うまくできた。来て良かった」と笑顔を見せた。同伴した母親は「今年つくばに引越して来たばかりで土地勘もないし、ほんとに助かりました」と安堵の表情を見せた。 同相談室は22日も開かれる。「つくば市の歴史や文化財」を自由研究のテーマにしている、もしくはこれからしようという児童生徒の相談や、「調べてみたけれどわからない」「調べ方がわからない」「なにをテーマにしたらいいか迷っている」などの困りごとにも応じてくれる。 ▼時間は午前9時~午後4時30分。事前申込不要、無料。 研究機関も相談に対応 夏休みが終盤に入り、後回しにしてきた自由研究に悩んでいる児童生徒や保護者は多いのでは。次の研究機関でも夏休みの宿題や自由研究の相談に無料で応じている。 【地図と測量の科学館】夏休み測量相談コーナーを開設。地図と測量に関する質問に応じる。日時は31日までの火曜と金曜の午前9時30分~午後4時30分。つくば市北郷。問い合わせは(029-864-1872) 【地質標本館】岩石や鉱物、化石、地質全般に関する相談の他、夏休み中に野外で採集した石で分からないことや詳しいことを知りたいなどにも専門の研究者が応じる。日時は25日(土)午前9時30分~午後4時。つくば市東。問い合わせは(029-861-3750) 【つくばエキスポセンター】楽しい科学の相談コーナーで、科学や技術に関する展示物の質問や自由研究に役立つテーマなどの質問を受け付ける。開館時間は午前9時50分~午後5時、夏休み期間中は無休。入館料が必要(こども210円、大人410円)。つくば市吾妻。問い合わせは(029-858-1100)

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