土曜日, 4月 27, 2024
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【戦後73年の記憶】1 忘れることできない東京大空襲 杉田とよさん(93)

戦後73年目の夏がめぐってきた。戦後生まれが人口の8割を超え、遠くない将来に戦争体験を語ることができる人はいなくなる。繰り返してはならない悲惨な記憶を伝えるために、戦争体験者に話を聞いた。 【橋立多美】1925(大正14)年に筑波郡菅間村(現つくば市中菅間)に生まれた杉田とよさんは93歳。忘れることのできないのが東京大空襲だという。 当時とよさんは20歳。小石川に住んでいた親戚の家で大空襲に遭った。この家の夫婦には子どもがいなかったので、とよさんをかわいがってくれ、一人で上京していた。45(昭和20)年3月9日から10日に日付けが変わり、飛行機が飛来している音が近くなった途端、ものすごい爆風で窓ガラスが割れて家が大きく揺れた。とよさんは押し入れに逃げ込んで難を逃れ夫婦も無事だった。 米軍機B29の焼夷弾攻撃だった。攻撃が止んだまちには火の手が上がり、夢中で近所の人たちと防火用水槽の水をバケツリレーで運んだ。夜が明けると親類の家の2階は吹き飛ばされ、居間の火鉢の上に大きな石が乗っていた。3軒隣で食堂を営んでいた家族4人は、敷地内に穴を掘った防空壕に逃げ込んだが、爆風で飛んできたトタンや瓦などで生き埋めになり、地表に指3本が出ていたそうだ。 とよさんは「筑波山山頂に敵機監視所、作谷には陸軍西筑波飛行場と格納庫があったが、実際に攻撃されたことはなかったから恐ろしかった」と振り返る。 戦後は一層の食糧不足 同年8月に無条件降伏して戦争が終わり、戦地に行っていた兵隊たちが帰ってきた。その一人で、とよさんより1つ年上の次郎さんと翌年同市臼井に所帯を持った。当時2人が通った小学校は男女別学か、同じ学級でも「席は同じうせず」が当たり前。一緒に遊ぶことは厳禁で好きな子がいても遠くから目を見交わすだけだった。 お互いに好きだった2人が再会してとよさんのお腹に命が宿った。「今は珍しくない『でき婚』だった」と笑い飛ばす。 次郎さんは村役場の職に就き、3女1男に恵まれた。だが、食糧不足は戦中を上回って一層苦しいものとなり、4人の子を育てるのに配給米だけでは足りず、高い闇米を買うしかなかった。それでも、大根などの野菜を入れて量を増した「大根めし」が常食だった。「食べ物では苦労した」としみじみ話す。 とよさんは「また年寄りの繰り言かと耳を貸さない人もいるが、こんな時代があったことを知って欲しい」と話を締めくくった。 次郎さんは19年前に75歳で没した。とよさんは80年代、初めて次郎さんと手をつないで訪ねた草津白根山の湯釜で撮った写真を大切にしている。信頼し合い戦後をともに生きた証しだ。 ※メモ 【焼夷弾】対象物を貫通や爆破で破壊するのではなく燃焼させることを主眼に置いた砲弾や爆弾。戦時中は木造家屋が密集する都市で使われた。

【シルバー団地の挑戦】5 あうんの呼吸で夏祭り開催 高齢化配慮し独自の安全対策

【橋立多美】つくば市の森の里団地で4日、団地最大のイベント「夏まつり」が催され、住民800人が山車巡行や盆踊りなどを楽しんだ。自治会の負担が大きく高齢化のため4月時点では開催が未定だったが、役員から中止しようという声は出ず例年通り開催。高齢化を考慮し独自の安全管理計画を策定して準備にあたった。今年はとりわけ猛暑だったが、長年培った仲間意識やあうんの呼吸で乗り切った。 森の里団地は1979年に入居が開始された1300戸の住宅団地で、高齢化率は2017年5月現在で49%。つくば市全体の19%を大きく上回っている。 自治会は会員相互の親睦を目的に、引き継がれてきた夏まつりや餅つき大会、文化祭などの行事を毎年行ってきた。中でも役員の負担が大きいのが夏まつり。とりわけ今夏は命に関わるほどの猛暑の中で準備を行った。 75歳以上は高所に従事させない 6月初めに夏まつり実行委員会が始動した。総務、会計、広報、食品調達、イベント推進、模擬店管理など11の部門に分かれて準備が始まった。団地脇を流れる東谷田川の河川敷きで花火を打ち上げるため、県竜ケ崎工事事務所への申請や団地内に乗り入れているバス路線の路線変更要請、模擬店のための保健所申請、チラシやポスター作製などだ。 各種許可申請の手続きを終えた7月22日、自治会公会堂で実行委の全体会議が行われた。まつり会場の設営など、本格的な準備作業を確認し合うための最終会議で40人が集まった。会議の終盤、倉本茂樹会長(76)が高齢化を考慮した独自の「安全管理計画書」を示して、舞台や看板などの組立解体作業への注意を促した。 同書に「原則として75歳以上には高所作業は従事させない」とあるのに気づいた70代後半の男性が「俺は(作業)できないなぁ」とジョークを飛ばした。すかさず「これからは80歳以上だよ」の声が上がって笑いが広がった。 作業前に血圧測定など徹底 この会議を境に準備作業は本格化、まつり前日まで続いた。高温注意情報が出され、熱中症に対する備えが必要になったことから、作業参加者記名表を作成して作業前に血圧と緊急連絡先を記載することを徹底した。 修理が特技で音響機器の設置や電気の配線を一手に引き受けている遠藤邦明さん(84)は「子どもたちの夏の思い出作りの大義のもと、まつりの準備で顔を会わせる仲間との一体感がいい」。 みこしの組み立てや掲示物の設置を担当した副会長の渡部友吉さん(67)は「実行委には、これまでまつり運営に関わった住民が自主的に参加してくれ、あうんの呼吸で事が運ぶ。森の里独自の仲間意識がある」と話す。 会場設営は長年ゼネコンに勤めていた工藤哲也さん(72)に負うところが大きい。屋根付きで高さ1㍍だった舞台を、3年前に屋根を外して高さ70㌢にした。また今年から団地入り口に掲げていた照明付き看板の設置を止めた。「高齢化して作業は困難になる。年々改良を加えて縮小していくことになるだろう」と工藤さんは話してくれた。 今後の在り方検討へ 4月の総会で倉本会長は、住民の意向を考慮することを前提に「負担の大きい夏まつりは中止も考えている」と述べた。森の里団地と同時期に入居が始まり、高齢化が進む近隣団地が夏まつりを中止または縮小していること。また、経費が会費収入の約3割を使うことから中止を求める意見があるという。 今年の役員会で実施反対意見が出ることはなく、従来通りに最大イベントを盛り上げようと一致した。倉本さんは「高齢化が加速していく中で、6月に発足した当自治会の高齢化検討委員会の検討課題になるだろう」と話した。

《猫と暮らせば》3 「ラン活」を支えるものづくり

【コラム・橋立多美】来春の新入学に向けてランドセル商戦が熱を帯びている。夏休みに帰郷する孫のために財布のひもを緩める祖父母は多い。 最近は4、5月ごろから翌年の新入学に向け、好みのランドセルを探す「ラン活」がスタートする。小学校低学年の児童を持つ保護者を対象にした調査によると、半数以上が検討のためにランドセル売場に4回程度出向き、夏までに購入を決めている。 かつては七五三商戦が終わった後の11月に売場が開設され、そこからがランドセル販売の舞台だった。市場を一変させた原因は少子化だ。少ない子や孫の一大イベントに親と祖父母が出費を惜しまず、高級素材を用いた軽くて丈夫な商品が登場した。カラフルな色で細部に工夫を凝らした「新入学モデル」が毎年生まれている。 ランドセルへの思い入れは金額に表れている。日本鞄工業会によると、2014年の平均価格は42400円。子どもに人気のファッションブランドが販売するランドセルだと8万円台の商品もざらだ。 廃業する中小企業も しかし、好調に見える工業会に迫りくるのが超少子化と、生産を担っている中小零細業者の廃業だ。 総務省の統計を見ると、17年4月時点の子どもの数は前年より17万人少ない1571万人。1982年から36年連続の減少で過去最低。減少は今後も続いていくと予想される。 一方で、後継者不足などで年に5万件の中小企業が廃業している(経済産業省まとめ)。ランドセル業界には大手メーカーもあるが、高齢化や後継者不在に加え、個性を競う市場に対応し切れずに廃業に追い込まれる中小企業があるという。 団塊世代の私は下校時に道草を食い、置き忘れたランドセルを慌てて取りに戻ったことがある。卒業時には型くずれして傷みも相当あった。 片や、今年6年になった孫のランドセルは入学した当時の形を維持している。孫はモノを大事にする性格ではないし、玄関に放りだしておくタイプ。確かな技術に裏打ちされた日本の「ものづくり」の優秀性が見てとれる。(ライター)

筑波学院大とサンスイグループが協定 連携して教育・人材育成へ

【橋立多美】筑波学院大学(つくば市吾妻、大島愼子学長)と、ホテルや日本語学校を経営するサンスイグループ(同市小野崎、東郷治久代表)が3日、連携して教育や人材育成に取り組む包括連携協定を締結した。同大で調印式が催され、大島学長と東郷代表が協定書に調印した。 サンスイグループが今春、市内に日本語学校「日本つくば国際語学院」を開校し、留学生に日本語教育を開始したことがきっかけ。 大島学長は「国際語学院と本学国際別科の留学生同士の交流や交流イベント、カリキュラムについて共同開発も検討している」と述べた。同大には、進学や就職を目指す留学生が学ぶ国際別科がある。また、文科省の方針に沿ったプログラムで日本語教員を養成している。 東郷代表は「10カ国から来日した国際語学院第1期生たちの多くは自国で4年制大学を卒業した成績優秀な生徒たちで、多くが2年後は大学進学を希望している。連携協定は彼らが新しい道を模索する一歩になる」とした上で「留学生は今後も増加すると予想され、学院大で養成された日本語教員を紹介してもらうことも視野に入れている」と語った。 同大は、つくば市をキャンパスにした社会力育成プログラム(OCP)を実践している。ホテルや料亭、レジャー施設「つくばわんわんランド」など、多角的に事業を展開している同グループと連携したことで、OCP活動を拡大し、長期のインターンシップの可能性を検討したいとしている。 また、同グループの料亭「つくば山水亭」が、同大で後期に開講する講座「ホスピタリティ実務」に協力する。料亭のおもてなしを教えるという。

夏休みは高校生に開放 集中できる!筑波学院大図書館

【橋立多美】つくば駅から徒歩7分の筑波学院大学(つくば市吾妻)が、夏休み期間中の8月末まで、高校生に附属図書館を開放している。地域に根差した大学として、自主学習や受験勉強に役立ててほしいとの配慮からだ。 1、2階に238席ある閲覧席で勉強できる。予約不要で、入館時に入館票に必要事項を記載する。館内には約7万5000冊の図書やDVDなどの視聴覚資料がある。高校生に貸し出しは行わないが館内で閲覧できる。昼食は学食を利用でき、図書館受付でサービス券をもらうと同大生と同じ価格(ランチ各種450円など)で食事できる。お弁当持参の場合、本館1階学生ラウンジで食事をとることが可能だ。 市内中心部から自転車で来た土浦一高3年の男子生徒は「静かで勉強に集中できる。夏休み中は利用したい」と話した。 同館を利用できる日時は次の通り。▽1~3日=午前9時~午後6時▽4日=午前9時~午後3時▽6~9日=午前9時~午後6時▽10日=午前9時~午後5時▽20日~24日、27日~31日=午前9時~午後5時。日曜とお盆など(11~19日)は休館。問い合わせは同大附属図書館(電話029・858・4820) つくば、土浦市の公共図書館でも学習スペースが用意されている。 【つくば市立中央図書館】書庫の並ぶ1階窓側に32席の閲覧席があり、混雑緩和のため午前と午後、入れ替え制で利用できる。利用日当日、中央カウンターで申し込む。また図書館2階の集会室を学習室(30席)として開放している。自由に入退室でき、申込不要▽学習室の利用は休館日を除く午前9時~午後5時、8月31日まで▽同図書館の開館時間は午前9時半~午後7時、月曜休館。つくば市吾妻2丁目。問い合わせは電話029・856・4311。 【土浦市立図書館】4階まなびのフロアに学習室(95席)がある。同室入り口の座席利用受付システム端末で利用申請が必要。学習室の他にも各階に多くの閲覧席が設置され、目的に応じて利用できる▽開館時間は平日は午前10時~午後8時、土日祝日は午前10時~午後6時、月曜休館。土浦市大和町1丁目。問い合わせは電話029・823・4646。

【ひと】日本語教師目指す70歳の大学3年生 目標は留学生支援

【橋立多美】「留学生は自分の鏡」と話す人がいる。筑波学院大学経営情報学部3年の井手尾司さん(70)だ。食品などの表示機器メーカー(本社東京都板橋区)に40年勤務し、営業成績が認められて常務取締役に上り詰めた。3年前の2016年5月に退社したが、会社の了解を得て同年春に同大に入学を果たし、会社に在籍したまま大学生となった。 退職して一休みすることなく大学生になったのは、「大学に入り直して日本語を勉強し、日本語教師になって社会に恩返しをしよう」の一念だった。住まいは職住近接の板橋から大学のあるつくばに移した。ゴルフが趣味で茨城を度々訪れ、つくばはTX開業で都心にも近い。第二の人生のステージをつくばにしたことに迷いはなかった。 意欲的に生き方を選びとり、順風満帆だった井出尾さんは入学間もなく気力を失いかけた。大学との連絡はメールでスマホ使用が当たり前だったからだ。仕事で全国を飛び回ったが、取引先とのアポ取りや切符の手配まで全て部下がやり、井出尾さんはスマホのメール機能を使えなかった。「役職気分をぬぐえず、使いこなせないスマホに戸惑って孤立感を味わい、サクサクとスマホを使う孫世代とのキャップに悩んだ」という。 ある時、学友が「簡単だよ」とメールを設定して使い方を指南してくれた。この日を境に悩みは解消され、「KVA祭」(学園祭)に協力しようと地元商店に広告費のお願いに出かけた。学生は一度断られたら諦めるが、長年培った営業力を発揮して快諾を得た。その実績が評価され、実行委イベント係になって学生たちに溶け込んだ。 同大学の日本語教員養成プログラムは文化庁の方針に沿った428時間の必修授業。3年生の現在は、国際別科の金久保紀子教授が担当するコミュニティカレッジ講座で実践的な指導を学んでいる。今春はインドネシアのジョグジャカルタ第一高等学校で日本語の授業を行い、経験を積んだ。同校で会った生徒たちは自国をなんとかしたいという熱意にあふれ、授業中にスマホをいじる姿は皆無だった。「インドネシアでの研修で心を洗われた」と井出尾さんは回想する。 金久保紀子教授は「日本語を母語としない家族が日本で健やかに過ごすためには日本語の力が必要で、海外から職を求めてやってくる人は今後も増える見通し。そのため、日本語の学習を支援する人材の確保はどこでも重要な課題。日本語を長く使っているから教えられる訳ではなく、意欲的に日本語教育に取り組む井出尾さんのようなシニアにどんどん挑戦していただきたい」。 同大国際別科では約200人の留学生が日本語を学んでいる。井出尾さんは彼らとの付き合いが多くなった。そして多くの留学生が日本に在住して「母国との橋渡し役になりたい」と考えていることが分かった。 「晴れて日本語教師になったら、日本で働く彼らを応援するビジネス日本語の教室を持ちたい。孤立感を味わった僕にとって留学生は自分を写す鏡で、苦しさが分かると思っている。だから力になりたい」。営業畑一筋だった井出尾さんが導きだした進むべき道だ。

早起きをしてラジオ体操ですっきり つくば市松代

【橋立多美】つくば市松代の手代木児童公園で夏休み恒例のラジオ体操が始まった。 早朝6時30分「あたらしい朝がきた」で始まる歌がラジカセから流れ、子どもとその父兄たちが第1、第2の体操で体をほぐした。 同公園に隣接する、手代木南小学校の北地区4丁目子ども会の地区委員と有志が「子どもは夏休みになると暑さも手伝ってダラダラと過ごしがち。早起きして規則正しく過ごしてほしい」と始めた。土日祝と雨天日を除き、8月28日まで続けたいという。 かつて学童の夏季休暇中には、全国で早朝に町内会や自治会が主催するラジオ体操の会が催された。今は子ども会が運営するケースが多い。少子化や他のスポーツ活動の早朝練習などの影響からラジオ体操は夏休みを通して行われることはなくなり、平日の2週間ほどに期間を留めたり、実施しない子ども会もある。 ラジオ体操の世話役を買って出た地区委員は「小学生対象ですが、どなたでも気軽においで下さい」と参加を呼び掛けている。

夏休みは親子で科学! 研究所一般公開

【橋立多美】今日から楽しい夏休み。科学都市つくばは街全体が科学の博物館と言われ、夏休み期間中に研究所を一般公開して研究活動を紹介している。講座や子どもが参加できる体験型イベントなどの催しが企画され、親子で楽しく科学に親しむことができる。一般公開は入場無料。 【筑波宇宙センター】夏休み特別展示「宇宙(ひこうしの)服」が9月2日まで、プラネットキューブで開催されている。実際に宇宙飛行士が国際宇宙ステーションやカザフスタンの基地で着用した、船内服と船外活動服などが展示されている。また常設展示館「スペースドリーム」は同センターの歩みと取り組みが紹介されて人気が高い。▽開館時間午前10時~午後5時。つくば市千現2-1-1。電話029-868-5000。 【農業・食品産業技術総合研究機構】「実感!食と農のサイエンス」をテーマに、農業の研究に関するクイズやゲームなど小・中学生向けの企画や自由研究のヒントを提供する。また明治150年にちなんで蚕(カイコ)の解剖図など近代農業の歴史の特別展示も開催される。▽公開は7月28日(土)午前9時30分~午後4時(午後3時30分受付終了)。同市観音台3-1-1。電話029-838-8980。 【森林総合研究所】野生種クマノザクラ発見の講演会や森林浴の効果、木を発酵したアルコールなど最新の研究成果の紹介と、昆虫や鳥獣の標本庫見学など。木製バッジ作りなどのウッドクラフトとつみき遊びのコーナーもあり、自然と触れ合うイベントが盛りだくさん。▽公開は7月28日(土)午前9時30分~午後4時(午後3時30分受付終了)。同市松の里1。電話029-829-8372。 【国土地理院 地図と測量の科学館】地図や測量の新しい技術などを総合的に展示している。同館の夏休みイベントは次の通り。▽講演「山の高さはどう決まる?」+測量体験教室「分度器を使って高さを測る」。7月27日(金)午前10時~、午後1時10分~。定員各20人。▽「伊能忠敬になって日本を測ろう!」。8月8日(水)午前10時~、午後2時~。定員各18人。▽「GPSで地上絵を描こう」。午前10時~、午後2時~。定員各20人。同市北郷1。電話029-864-1872。 【高エネルギー加速器研究機構(KEK)】普段は公開されていない世界最強の加速器「スーパーKEKB」や大型測定器などを体感できる。研究者による解説やサイエンスカフェ、子ども対象のイベントもある。▽公開は9月2日(日)午前9~午後4時30分。同市大穂1-1。電話029-864-5113。 【国立公文書館つくば分館】今夏の企画展のテーマは「和歌の世界-親子で楽しむ百人一首のなぞ」。現代ではお正月のかるた大会でお馴染みの小倉百人一首だが、新春の風物詩になった理由は判明していない。成立事情や選歌の不思議に迫る。▽企画展は7月23日~8月31日まで。期間中、和綴じのメモ帳作りが無料で体験できる。開館は午前9時15分~午後5時、土日祝日は休館。同市上沢6-6。電話029-867-1910 ※つくばサイエンスツアーバス 夏休み期間(7月21日~8月31日)の月曜を除く毎日、6つの研究機関を回る巡回バスが運行される。大人500円、小学生250円で乗車券を提示すれば1日乗り放題。詳しくはつくばサイエンスツアーオフィスまで。電話029-863-6868。

科学・文化スポット紹介 つくば駅周辺まち歩きマップ

【橋立多美】つくばセンター地区活性化協議会(つくば市竹園)が、TXつくば駅を中心とするセンター地区の科学や文化施設が一目で分かる「つくば駅周辺まち歩きMAP」を5000部製作した。 センター地区は、東西の大通り線と南北の大通り線の中の南北2.4kmの細長い区域で、面積は約80ha。これまでのマップは細長い区域に沿ったタテ型だったが、見やすく横に配置したA3版で、手書きのイラストを交えた親しみやすいデザインになっている。 マップは、つくばエキスポセンターや江戸時代の古民家を移設した、さくら民家園、筑波研究学園都市のランドマーク・つくばセンタービルなどのスポットを紹介。フォトスポットや飲食店も盛り込まれている。 同協議会は、同地区のにぎわい創出を目的に、筑波都市整備(株)を中心に同地区に立地する企業など52団体が2009年に設立した。 協議会事務局長の稲葉祐樹さんは「つくば駅周辺は市外から学会や仕事で来訪する人が多いが、つくばらしい建築物を見ることなく帰ってしまう。駅周辺の魅力を知ってほしい」。事務局の神村典子さんは「マップを活用してセンター地区を回遊してもらえるとうれしい」と話している。 ◆「まち歩きマップ」は、つくば市総合インフォメーションセンター(BiViつくば内)、つくば駅自由通路の物産館前などで手に入る。

インターンシップの実例 つくばの筑波学院大で研究会

【橋立多美】「地方都市の産業活性化とインターンシップ」をテーマにした、日本インターンシップ学会東日本支部の2018年度第1回研究会が8日、つくば市吾妻の筑波学院大学で開催された。 同支部は関東・中部・東北地区に在住する会員有志を中心に研究活動を展開している。同大の大島愼子学長が副支部長を努めている。参加者約30人の多くがインターンシップを実践している教育現場の教員で、活発な質疑応答が行われた。 古閑博美支部長のあいさつに続き、「留学生のインターンシップへの取り組み」と題して同大国際別科長の金久保紀子教授が基調講演を行った。 金久保教授は、留学生数は増える一方で近年は東南アジアからの留学生が多く、中でもベトナム出身者が突出しているとした上で、留学生は自国には戻らず、日本での将来を楽観的に考えている。しかし大半が18歳で出国しているため社会的経験と日本語力が不足しているなどと報告した。 一方、同大の社会参加型教育プログラム「オフ・キャンパス・プログラム(OCP)」で生活者としての力をつけた留学生の例を挙げた。OCP活動を通して地域社会に出る意識を醸成し、インターンシップにつなげたいと述べた。 受け入れ事例と採用 続いてインターンシップの受け入れ事例として、生活協同組合「いばらきコープ」とスーパー「カスミ」の取り組みが報告された。いばらきコープは店舗や移動店舗、宅配業務を体験。カスミはマーケット調査や売り場の組み立て、実際に販売するなど流通業を体験するインターンシップを展開している。 休憩後はパネルセッション「地域活性化におけるインターンシップの役割」が開かれた。パネラーとして登場した関彰商事の岡本俊一人事部長は「昨年1週間、当社でインターンシップを経験したベトナム留学生を2人採用した。公的な日本語能力試験に合格しても、イコール会話力ではないことが分かった」と話した。 参加者からインターンシップ体験と採用について質問があった。いばらきコープ採用教育担当の黒岩賀津子さんは「年間60人ほどを受け入れ、数人が入社している。入社してもらえなくても働く社員を見てもらい、将来の組合員候補」と話した。カスミ労務・採用担当の川村昴弘さんは「毎年200人を受け入れ、入社は1割の20人。会社は社会的責任を果たし、学生にはカスミに関心を持ってもらえる」と語った。 研究会の司会を務めた大島学長が「インターンシップは受入れ企業の認知度の向上につながることが分かった。地域企業への理解は産業活性化の一助になる」と総括した。

《猫と暮らせば》2 働く女性のメニューは手軽さが条件

【コラム・橋立多美】電子レンジなどで手軽に調理できるレトルトカレーの人気が高まり、民間調査会社によると、2017年の売上高が固形のルーを上回ったことが分かった。 その背景は、単身世帯が増えてルーを使って複数人分のカレーを作る機会が減っていること、火を使わないのでシニア世代が安心して使えることが挙げられる。最大の要因は、働きながら育児や家事を日々こなしている女性の時短ニーズだろうと思う。 私の次女は共働き世帯で、2人の小学生を育てながら働いている。夕方仕事を終えると学童保育に迎えに行き、帰宅すると洗濯物の片付けと夕食と入浴の準備に追われて息つく暇もない。子どもたちと食卓を囲んだ後は、台所の片付けや学校への連絡帳と宿題のチェックと、これまた忙しい。 働きながら、育児や家事を日々こなしている女性たちの家事にかかる時間を短縮する「時短商品」の先駆けは、1990年代に発売された食洗器だ。注目を集めてヒット商品となった。その後も時短商品は家電以外の領域に広がり、短時間料理のニーズが高まっている。 主婦向け雑誌では今や、冷凍食品や電子レンジなどを活用した時短調理法の特集が定番企画になっている。働く女性たちの時短ニーズへの要望に応えたものだろう。専業主婦も料理にかける時間を減らしているという調査結果がある。 写真のレトルトカレーは大手食品メーカーから発売されているもので、1食分(150g)が3袋入って税別348円。170gが4袋入った商品は税別398円。いずれのメーカーも食材やスパイスに趣向を凝らし、多彩なレトルトカレーをラインアップしている。 時代の変化とともに暮らしぶりや商品は変わるもの。今の女性たちは、子育て中の母親は自分の身を飾ることより育児に勤しむという、ひと昔前のステレオタイプから脱皮し、ファッションやSNSを楽しみ、自分流の生活を満喫しているように見受けられる。団塊世代の私にはうらやましい限りだ。 母親がハッピーでなければ子どももハッピーにはなれない。母親が手軽な調理で生き生き暮らすことに異論はないが、成長期の子らには新鮮な野菜を添えてやってと願う。(ライター)

《シルバー団地の挑戦》4 自治会と学校の新たな共助㊦ ウサギの餌やり

【橋立多美】高齢化が課題のつくば市の森の里団地は市立茎崎第三小学校と隣り合っている。同小で飼育されているウサギの日曜日の餌やりを、同団地自治会スポーツ部の部員たちが受け持っている。学校は地元住民の貢献に報いたいと、空き教室を地域で活用してもらう準備を進めている。 同校はプール脇の飼育舎でウサギ3匹を飼っている。週末の餌やりを教職員が交代でやってきたが、休日を授業の調べものや準備に充てる教職員にとって負担になっていた。 今春着任した鮏川誠校長は、学校運営に協力的な自治会長の倉本茂樹さん(75)に相談を持ちかけた。自治会は2代前の校長時代から、花壇やプランターの花植えや水やりをしてきた。 相談を受けた倉本さんは、日曜にバットの快音を響かせて同校校庭で練習をしている、自治会文化部所属のソフトボール部と軟式野球部の部長に打診した。両部とも「責任もってお世話します」と快く引き受けてくれた。 両部が1カ月交代で餌やりをし、市体育協会主催の大会出場と重なった場合はもう一方の部が担当するなど、協力し合って小さな命を守っている。練習できない雨の日は担当月の部員が順番で餌やりをし、晴れた日は花壇とプランターの水やりも忘れずに行っている。 6月の餌やり担当は軟式野球部だった。与えるのは市販のウサギ用餌だが、5、6年生による美化飼育委員会が全校生徒に呼びかけて集めたニンジンやキャベツが餌箱に添えられていることもある。部長の森山志郎さん(70)は「世話していると、かわいいよなぁ」と相好を崩す。 団地住民と同校との連携について倉本会長は、「学齢期の子どもがいる若年層が一斉に入居した翌年(1980年)春に第三小が開校した。住民には、自分の子どもを育ててくれた学校という共通の思いがある。私の意識の中では森の里団地立茎三小という気持ちがある」と語る。 一方、県内のさまざまな公立学校を赴任してきた鮏川校長は「団地住民の学校への関心の高さと代償を求めない姿勢に驚いた」と感慨深げに話した。学校も地域のために貢献できることをしようと、準備が進められているのが空き教室を開放し、住民が気軽に語らったり学習できる場の提供だ。校長は「世代間交流が生まれ、児童たちが思いやりの心を育むことにつながる」と話している。(終わり)  

《シルバー団地の挑戦》3 自治会と学校の新たな共助㊤ 登下校の見守り

【橋立多美】つくば市南部の森の里団地(約1300戸)は高齢化が顕著だが、体力と気力、そして現役を引退したことで時間のあるシルバーたちが、安心して子育てできる環境を守り、学校を支援する活動を続けている。その活動ぶりを上下2回で紹介する。 団地に隣接する、市立茎崎第三小学校に通学する119人の児童を見守る森の里防災・防犯自警団「かわせみパトロール隊」。不審者情報に注意を払いながら、子どもたちを危険から遠ざけている。 「おはよう」「行ってらっしゃい」。午前7時半すぎ、同校正門に近いバス通りの横断歩道や住宅の角で、緑色の帽子とベスト姿の十数人が、登校する児童に笑顔で声をかける。同小2年の女児の母親は「いつも子どもたちを見守ってくれる心強い存在。ありがたい」と話す。 同自警団は、地域ぐるみの活動で団地内の安全力を高めようと2010年12月に発足した。団員はシルバー世代の男女66人。全員に「防犯パトロール」の文字が入ったベストが貸与、帽子は配布され、パトロールには必ず着用する。倉本茂樹団長(75)は「団地の中をパトロールの服装をした人がいつも歩いていることが、犯罪の抑止力になる」。 活動は定時パトロール(午前8時、午後2時30分、午後5時)と犬の散歩などを兼ねた任意時刻のパトロールに分かれる。同小児童の登下校の見守りに重点が置かれ、午前8時のパトロール前に登校する児童を見守り、低学年の下校時間に当たる午後2時半からのパトロールは、往来が少ない通学路に目を光らせる。 登校時の見守りを担当する副団長の藤田広次さん(71)は「子どもたちと顔見知りになって元気をもらう。眼鏡を忘れたら『おじさん、きょう眼鏡は?』って。見守りは社会への恩返しで、雨風が強い日でも通学路に立つよ」。山田秀子さんは「森の里は安心して子育てできると言われたい」。 愛犬の散歩を兼ねて日に3回パトロールする工藤哲也さん(72)は「住民と顔なじみになったから見慣れない人はすぐ分かる。空き家や雑草が生い茂る区画には注意を払うようにしている」と話す。 110番の家 3分の1に 倉本団長の気がかりは、子どもが不審者に遭遇した際に助けを求める「110番の家」だ。かつて団地内には個人商店など善意の家が20カ所あったが、閉店や転居などで6カ所になった。児童委員などの職を離れた家に今も看板が掲げられており「早急に整理したい」と話す。また18日朝、大阪府北部を襲った地震で見守りの80歳の男性が亡くなったことに「身につまされる。団員の安全も大切な事」と気を引き締める。 県内で見守り活動が強化されたのは、2005年に栃木県今市市(現日光市)で下校途中の小1女児が殺害された事件だった。つくば市の自警団は4月1日現在、中央警察署管内に104団体、北警察署管内には11団体ある。ただメンバーの高齢化が課題となっており、主力メンバーを失って継続が危ぶまれている自警団もあるという。

若い感性キラリ 筑波学院大でフォトコンテスト

【橋立多美】筑波学院大学(つくば市吾妻)附属図書館と学生食堂グルマンで、同大写真部主催の「なんかいい」フォトコンテストが開催されている。 同写真部は昨年5月に発足したクラブで部員は11人。初めてのコンテスト兼写真展だ。デジタルカメラやスマートフォンで撮影した。作品は四季の風景と人物写真の2部門で、風景写真22点を同図書館1階のラウンジに展示。人物を写した作品18点が学食内に展示されている。 寅さんゆかりの寺、柴又帝釈天の参道に軒を連ねる店頭に寝転ぶネコを撮った「¥500」や、夜空を彩る花火を捉えた「夏恋花(カレンカ)」、野原に放置された自転車を被写体にした「屍体(したい)」など何気ない日常が切り取られ、タイトルが若い感性を物語る。人物写真は赤ちゃんや親子、子どもの成長を捉えてほほ笑ましい。 部長の鏡田八汐さん(3年、20歳)は「大学が開講しているコミュニティカレッジの写真実技講座で学んで部員一人ひとりの技量を上げ、定期的に撮影会を行って作品の質や幅を広げるようにしている」と話す。 会期は29日まで。コンテストの投票(各部門3点まで)も28日まで行われており、一般市民も参加できる。投票数によって風景写真は図書館長賞、人物写真にはグルマン賞、また学長賞も設定され、29日に行われる表彰式で趣向を凝らした賞品が贈呈される。部員の津久井茜さん(同)は「なんかいいなと思った作品に投票してほしい」と話した。 ◆附属図書館、グルマンはだれでも入館・入店できる。開館時間は午前9時~午後6時、土曜は午後3時まで。日祝休館。同図書館には歴史的価値のあるフィルムカメラも展示されている。サックス奏者で昭和期にレコードカートリッジとして流行したスペックスの創業者・朝倉収さんが所蔵していた。朝倉さん他界後、妻の愛子さんが、卒業した東京家政学院大系列の同大に220台を寄贈した。選りすぐった30台が展示され、フォトの世界の歩みが見て取れる。 29日に表彰式が行われ、図書館長賞が「夏恋花」(川嶋美琴さん、2年)、グルマン賞は「今日も1日」(板倉広人さん、同)、筑波学院大学学長賞には「Tsukuba Mountain Sunrise」(留学生のパク・イット・ダリオさん、同)に決まり、表彰状と賞品が贈られた。

総文祭の県内代表3校 筑波学院大で合同取材

【橋立多美】今夏、第42回全国高等学校総合文化祭(総文祭)に出場する、つくば秀英高校(つくば市島名)、岩瀬日大高校(桜川市友部)、県立古河中等教育学校(古河市磯部)の新聞部員34人が13日、合同で筑波学院大学(つくば市吾妻)の電動立ち乗り二輪車セグウェイの体験取材と、地元フランス料理店が運営する学生食堂を取材した。 遊歩道に面した広場でセグウェイに試乗した後、操作を指導した同大学教員を囲み、乗るための免許や充電、価格などを熱心に取材する姿が見られた。自立安定性能が高く、搭乗者の体重移動で速度調節から前後進を行えることから、「高齢者向けに活用できないか」の質問もあった。 学食を味わった後、昨年4月、同大学近くにあった老舗フランス料理店「カフェ・ド・グルマン」をたたんでキャンパスに移転した内田十九二オーナーシェフに取材した。 「学生を飽きさせないメニューは」「一番人気のメニューは何ですか」などの質問の最後に、「隠し味はありますか」という声が挙がった。内田さんは「隠さないんだよね。40年間フランス料理の基本の仕込みは手を抜かない。だから食材のおいしさが味に出る」。その答えに生徒たちは納得した様子でうなずいていた。 3校は、昨年12月に開催された県高校新聞コンクール(県高校文化連盟新聞部会主催)の審査会で、県内7校の応募の中から総文祭新聞部門への出場を勝ち取った。つくば秀英高校新聞同好会が発行する「秀花新聞」は最優秀賞。岩瀬日大高校新聞部の「岩日タイムズ」と、古河中等学校文藝部の「古河中等瓦版」は優秀賞を受賞した。 総文祭は「文化部のインターハイ」とも呼ばれる高校生による芸術文化活動の祭典で、各都道府県を代表する高校生が日頃の成果を披露する。今年の開催県は長野で8月7~11日まで5日間の日程で開かれる。合同取材は、茨城を代表するチームの交流と新聞作りの研修を目的に行われた。生徒が興味を持ち、楽しく取材できる同大学のセグウェイとフランス料理を提供する学生食堂を取材先に選んだ。 つくば秀英高校3年の押田吏希さん(18)は「新聞記者に話を聞くなど新聞作りのルールを学んできた。良い成績を出したい」。岩瀬日大高校3年の相澤優花さん(同)は「総文祭は他校の生徒とグループになって活動する。今日はコミュニケーション能力を身に付ける機会になった」。古河中等学校4年の北山卓弥さんと田中柚希さん(16)は「簡潔にインタビューできるよう特訓中で、レベルを上げて臨みます」と話してくれた。

【シルバー団地の挑戦】2 文化部が医療講話

【橋立多美】つくば市茎崎地区の大規模住宅団地、森の里自治会公会堂で15日、文化部主催の講話「自分と家族を守るための地域医療の知識」が開催された。60代や70代の前期高齢者を中心に約70人の団地住民が梅雨寒の中を集まった。 同団地の世帯数は約1300戸で高齢化率は5月1日現在49%(市市民活動課調べ)。これまで自治会文化部は、住民の融和を目的にしたコンサートや文化祭などの行事を継続してきたが、今年度から超高齢社会に対応した行事を盛り込むことになった。講話はその一環で初の試み。 講師は同市倉掛で内科医院を開業し、長年高齢者への訪問医療を実践していた室生勝さん(82)。医院を閉じた後も、高齢者のための講演や相談などの活動を続けている。NEWSつくばのコラムニストでもある。 室生さんは自己健康管理法や病院の種類と役割、かかりつけ医の見つけ方などを分かりやすく説いた。また、疾患を持ち医療を受ける側も、病気の治療や生活の質を向上させるための知識を得ることが必要だと話した。患者の心得として勧めたのが「健康手帳」。血圧の数値と体調の変化を記載し、受診時に持参すれば診断に役立つと述べた。 講話を聞いた古谷とよ子さん(70)は「相性の良い医師をかかりつけ医にという話があったが、私よりパソコンの画面を見ている医者が多くて決められず、切実な問題。暮らしに直結した医療や介護の話をまた聞きたい」と話していた。 文化部部長の中村栄子さん(69)は「医療は聞きなれない専門用語が付きものですが、1人も退席することなく最後まで真剣に聞いてくれた。関心が高いことが分かったので医療や介護に関する行事を続けていきたい」と語った。  

ヤゴ救出大作戦展開 つくば市の小学校プール

【橋立多美】つくば市内の小学校プールで「ヤゴ救出大作戦」が進められている。同市小茎の市立茎崎第三小学校(鮏川誠校長、児童数226人)で5日に行われた水泳学習前のプール清掃で、数百匹のトンボの幼虫ヤゴを救出した。教室で飼育して羽化させ大空に飛び立たせる。 救出は、市独自の教育カリキュラム「つくばスタイル科」の学習に取り組む5年生が行った。少し水が残ったプールで網を使ってヤゴを採取した。女子児童は「虫が苦手で最初は嫌だったけど、やっているうちに平気になった」。男子児童らは「水が気持ち良かったし楽しかった」「トンボになるのが楽しみ」と元気に話してくれた。 5年生が採取したのはアカトンボやシオカラトンボなど数百匹。ヤゴは2年生が教室で飼育して羽化させる。餌は飼育用のアカムシとミミズだという。 鮏川校長は「ヤゴに触れ育てることで水や自然環境について考える機会になる。また、子どもたちにとって生き物の命の尊さを実感することのできる貴重な学習と体験の場」と話す。 学校のプールは消火栓や防火水槽に次ぐ消防用水の一つで、夏のプール学習が終わっても満水の状態が保たれる。塩素の投入がなくなり、生物がすめる環境になる晩夏から秋にかけてトンボがプールに卵を産み付ける。 卵は春になるとヤゴになり、6月から7月にかけて羽化して成虫のトンボになる。ところが、ちょうどこの時期はプール開きに備えてプールの清掃が行われるためすみ家をなくしたヤゴは死んでしまう。そこでプールからヤゴを救い出し、その種類や環境の変化を学ぼうという環境教育の一環で、同市では2002年から市内の小学校で実施されている。

《猫と暮らせば》1 増加する空き家 地縁と孤独を映す

【コラム・橋立多美】愛媛県今治市の松山刑務所から逃走した受刑者が広島市で逮捕された事件で、同受刑者が一時潜伏していた広島県尾道市向島には1000軒以上の空き家が点在すると報じられたのは記憶に新しい。 核家族化と高齢者の独居世帯の増加により、一戸建て住宅を中心として空き家は毎年20万戸ずつ増えると予想されている。建物の取り壊しに数十万円以上の費用がかかる上、更地にすると固定資産税の軽減措置を受けることができなくなるのが空き家を増加させている要因だ。 放置された家は、老朽化による倒壊や放火による火災などを引き起こす恐れがあると、全国の自治体で空き家バンクの取り組みが始まっている。つくば市は2016年2月に空き家バンク制度が施行され、同年に全市域の実態調査が行われた。同市の空き家率は3.2%で空き家数は1439件だった。 同市の空き家バンクに登録された物件を公開するインターネットのページを見ると、5月31日現在、登録番号は14番までで成立した物件は5件。空き家数を考えると焼け石に水の状態だ。 草刈りと餌やり 空き家の分布は高齢化が進む茎崎と筑波地区が突出して多い。 筆者はこれまで「交通の便が悪くても筑波山を間近で見られる麓で暮らしたい」という話を少なからず聞いた。実際に山麓の空き家を借りている人は「何度も通い、大家さんから地域の決め事について聞かされた」という。 離農の傾向はあるが、主たる産業が農業の筑波地区は地域の結びつきが強く、高齢になって生活に便利な市中心部に引越しても地域の組合から脱会せずに草刈りや葬儀にやって来るそうだ。大家にとって移住者が地域に溶け込むかどうかは見過ごせない課題なのだろう。 一方、「地縁」は強くない茎崎地区の住宅団地で持ち上がっているのが、高齢者が空き家で野良猫に餌をやっていることだ。猫が集まることで庭が糞尿で荒らされ近所迷惑になると自治会が申し入れても、受け入れられない。餌やりの理由は「寂しいから」だという。 高齢期の寂しさを埋めるために餌を与えて猫とのふれあいを楽しんでいる。今後、こうした例は増えていくのかも知れない。(ライター) 【はしだて・たみ】1949年、長野県天龍村生まれ。84~96年、常陽リビング社勤務。退社後フリーライターとして活動しつつ、『茨城のホームヘルパー最前線』『ルポ消防団』など4冊を出版。2013年から常陽新聞記者。17年の休刊後はNPO法人NEWSつくばのデスク兼ライター。つくば市在住。69歳。

筑波山仰ぐ地を俳人目線で描写 扇子売りの柴原保佳さん

【橋立多美】家業の扇子屋を継ぎ、筑波山を仰ぐ県内を売り歩いた体験や見聞きした人々の日常を細やかに描写した写生文集『筑波の見える風景』(ウエップ、2700円)がこのほど発刊された。 著者は東京都足立区千住在住の柴原保佳さん(85)。俳誌「ホトトギス」会員だった父親の影響を受けて34歳でホトトギス同人になった。写生の技術を散文にした正岡子規の教えを引き継ぎ、子規没後も門人たちによって継続している文章会「山会」にも参加している。1963年から、扇子を並べた商品ケースを机にして書いた写生文は約800編に及び、古希以後につづった54編が収録されている。 「梨の頃に」と題した文がある。「石岡の郊外に土田というところがあって、一面に梨畑が並んでいた」で始まる。千住の家の近くに住んでいた蒔絵(まきえ)描きの職人に漆器などで使う梨子地(なしじ)について聞いたくだりが書かれ、「梨の皮の地模様から考え出された漆芸の伝統の妙を感じたのである。梨の皮をくるくると剥く時にいつも作務衣(さむえ)姿の職人さんを思い浮かべる」と結んでいる。作者の日常へのまなざしが伝わってくる。 大学を卒業したばかりの作者が団扇(うちわ)の代金集めに歩いた真壁町を、長い時を経て再訪した際の文章もある。つくばエクスプレスの開業など時代の変化と、作者自身に流れた時代経過がもたらす機微も読みどころだ。 本書には、小学6年の時に長野県の善光寺宿坊に学童疎開をした折の寂しさと恒常的な空腹をつづった小説「雪吊(ゆきつり)」が載っている。長野で過ごした少年期のことが昨日のことのように描かれ、平和への思いが読み取れる。 同書の問い合わせはウエップ(電話03-5368-1870)まで。

ひとり出版社立ち上げ1年 つくばの高松夕佳さん

【橋立多美】新刊市場が縮小し、本が売れない時代につくばに出版社「夕(せき)書房」を立ち上げた女性がいる。東京の出版社で経験を積んだ編集者の高松夕佳さん(42)。1人で何でもこなすひとり出版社だ。立ち上げから1年経った先月、3冊目の『宮澤賢治 愛のうた』(澤口たまみ著、税別1800円)を刊行した。 1冊目は、美術家の村上慧さんの『家をせおって歩いた』(同2000円)。東日本大震災後の2014年、発泡スチロール製の家を担いで東北から九州まで移住生活をした369日の日記を収録した。震災を機に「僕たちは(仕事と生活のために)閉じ込められている」と思った著者が、各地の日常を切り取りながら思索した旅の記録だ。 2014年4月、高松さんは当時勤めていた出版社の窓から「家」を背負って歩く村上さんを目撃し、SNSで連絡を取った。仕事の合間に、震災の被災地大船渡や陸前高田を歩く村上さんに会いに行き、地元の人に話を聞いたり絵を描く村上さんの姿を間近で見て「洪水のように押し寄せる情報の波に流されず、自分の目で見てつかみ取る人の言葉は信頼できる」と感じたという。 その年の暮れ、違う環境で生きてみたいと考えた高松さんは出版社を辞めた。ところが本に渇望し、自分の居場所は出版業界しかないと身をもって知った。同じ頃、村上さんから移住中につづった日記を本にしたいという話を聞き、出版社を紹介したが実現しなかった。 「それなら私がやろう」。業界に戻り、生まれ育ったつくばで出版社を興すことを決めた。村上さんの姿勢に共感できたことも後押しした。 出版社に勤務していた頃、仕事で知り合った2人から出版依頼を受けて2冊目と3冊目を世に送り出した。 2冊目は、土門拳賞受賞写真家の亀山亮さんの写真集『山熊田』(同2800円)。新潟県村上市山熊田は、その名の通り山とクマと田んぼだけ。マタギと呼ばれる男衆がブナ林の奥深くに入り込み、仕留めたクマを解体する様子など、山とともに生きる集落の暮らしをモノクロフィルムに収めた本書は、人間ドラマの魅力に満ちている。 新作の『宮澤賢治 愛のうた』は、独身のまま生涯を終えた賢治は恋愛とは縁がなかったとされるが、エッセイストの著者は賢治の作品から恋心を読み取り、恋人がいたと確信。そこに至るまでの謎解きを作品を引用して展開する。 高松さんは「亀山さんは山懐で生きる人々を自らの目で撮り続け、澤口さんは賢治の作品を丹念に読み込んで賢治像に迫る。体験した事実を大事にする生き方は村上さんとも共通するもので、出版の決め手になった」と話す。 3冊とも丁寧で個性的な装丁にこだわっている。表紙やカバー、帯はいずれも手触りの良い紙質で、恋をテーマにした3作目の表紙は、嫉妬心を描いた童話に出てくるヤマナシの花弁のイラストが目を引く。斜陽産業と言われる出版業界だが、紙媒体の可能性を感じさせる。 「流行に便乗した売れる本ではなく、多角的に思考するための材料になる本を作っていきたい」と高松さんは話した。 問い合わせや注文は夕書房(https://www.sekishobo.com/)へ。

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