月曜日, 5月 20, 2024
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【猫の日】㊤ 看板猫のいる花屋さん ペットロスに寄り添うミュー

【橋立多美】2月22日は「ニャン・ニャンニャン」の語呂に合わせた「猫の日」。つくば市高野台に看板猫のいる花屋さんがあると聞いて、訪ねてみた。 そこは静かな住宅街の一角にある「花*mjuk(ミューク)」。木の風合いが心地よい北欧のスウェーデン住宅で、店名のミュークはスウェーデン語で「柔らかい」の意。看板猫は黒目がちの大きな目が愛らしいキジトラの雌4歳で名前は「ミュー」。 3年前の春、同店の店主・加藤敦子さんが花を納品している市内の菜食レストランの敷地内に捨てられていたミューに出合ったのが始まり。加藤さんは無農薬農法に取り組んでいる夫との2人暮らし。夫婦そろって猫を飼ったことがなく迷ったが、ためらわず加藤さんの車に乗り込む姿に縁を感じて花店を兼ねた自宅に引き取った。今では「猫ってこんなにかわいいの」と2人で文字通り猫かわいがりするようになったという。 暮らしに、生花と観葉植物が同居する同店。靴を脱ぐ玄関に鉢花やドライフラワーなどが置かれ、広々としたリビングには切り花が並べられて低めのローテーブルがしつらえてある。客はゆったりした空間で花選びができる。その中を自由に歩き回るのがミューで、常連客にプレゼントされた襟巻きは副店長のユニフォームだ。 来客に分け隔てなくつぶらな瞳を向けてすり寄ったりする接客上手で、爪を出したりかみついたことはない。ミュー目当てに来店したり、ローテーブルを囲んで猫好き同士の交流が生まれることは珍しくないそうだ。愛犬を亡くしてペットロスから抜け出せない人が来店すると、ミューはそっと脇に寄り添う。加藤さんは「きっとミューには分かるのだと思う」と話す。 同店の切り花は日持ちが良いと定評がある。それは、加藤さんが街の生花店に勤めていた時に身に付けた切り花の特性をアドバイスしているからだ。加藤さん自ら花き市場で仕入れて水揚げなどもしていることから、リーズナブルな価格もうれしい。客の好みに応じたアレンジメントや、配達と全国発送にも対応している。 猫好きがハッピーになれる原画展開催 「ニャン・ニャンニャン」の日にちなみ、猫好きの人がハッピーになれる絵本の原画展を同店で開催する。茨城生まれのイラストレーター、小林由季さんの絵本『木の実とふねのものがたり』の原画10点を展示。22日は午後1時~5時。23日は午前10時~午後5時。両日とも作者が来店する予定だ。 ◆花*mjuk(ミューク) つくば市高野台3-10-28。営業時間は水・金曜が午後1時~6時。木曜が午前10時30分~午後6時、土曜は午前10時~午後6時。日曜は午前8時30分~完売次第閉店。月・火曜定休。駐車場完備。茶色の建物でグリーンの玄関ドアが目印。問い合わせは電話090-8680-8636(加藤さん)。 ➡猫に関するコラムはこちら

【卒業制作展’18】「おみたまのたまご」パッケージをデザイン

約30点の力作が並ぶ卒業制作展の中に、かわいらしいパッケージデザイン「おみたまのタマゴ」がある。鶏卵生産量日本一を誇る本県の中で、ナンバーワンの生産地である小美玉市の卵にスポットを当てたプロダクトデザインだ。制作者は土浦生まれの横田綺寧(あやな)さん。「小美玉が鶏卵の一大生産地であることはあまり知られていない。地域にあるものの価値を知り、地場産業の発展に貢献できたら」と話す。担当教員の高嶋啓准教授は「地域産業への目の付けどころとデザインセンスが秀逸」と評価する。 筑波学院大学経営情報学部 ビジネスデザイン学科メディアデザインコース4年 横田綺寧さん(23) ―小美玉の鶏卵の商品パッケージに取り組んだのはなぜですか。 3年次必修の発展科目の影響が大きかったと思います。卒業研究につながる実践科目で、地域の課題を発見し企業や自治体にプロジェクトを提案する科目です。いつもの授業は先生の指導に基づいて行われますが、この科目は学生が自主的に学び販売促進のためのデザインを考案します。 テーマは自由で、地域の社会資源を調べていたら小美玉市の鶏卵生産量が県内トップと知りました。土浦在住の自分も知らなかった地域の産業に目を向けてもらおうと、卵のパッケージデザインに決めました。 ―特に留意したことや完成までに時間を費やしたことはありますか。 小美玉をPRし差別化を図るためのロゴマークデザインから始めました。淡いイエローをバックに「鶏卵王国」の王様をイメージして王冠とひげを配し、新鮮さと温かみを伝えるデザインにしました。また、パッケージは贈り物に最適な木箱入りと、紙パック、プラスチックの3パターンに。木箱は卵が割れないようにわらを敷きました。 手描きの素案から仕上げまで半年以上かかりました。思いのほか時間をとられたのが宝箱に見立てた木箱探しで、大きさがピッタリでイメージ通りの木箱を探して雑貨店を歩き回り、最終的にインターネットサイトで手に入れました。 ―作品を見る人に伝えたいことはありますか。 卒業制作のための予習と復習をしたことで地域にあるものの価値を知り、地元への愛着が生まれました。小美玉の鶏卵だけでなく、茨城には全国1~3位の産出額を誇る農産物が数多くあることを知ってほしいと思います。 ―メディアデザインコースで学んだ感想を聞かせて下さい。 地元の県立高校を卒業して美大に入学するための予備校に進みましたが「自分が本当にやりたいことと違う」と悩み、翌年当大学のデザインコースに入学しました。4年間デザインの勉強に専念し、一人でロゴマークから販促まで考えてデザイン力を試される卒業制作は励みになりました。担当の先生に言われた「デザインは伝達手段で人に伝わらなければ意味がない」に少し近づけたかな、と思っています。 ―卒業後の進路は決まりましたか。 土浦駅近くのデザイン事務所に入社が決まっています。仕事はイベント告知の情報発信ですが、卒業制作のようなパッケージデザインやウェブサイトのデザインもしたい。そのために日々創造力を磨いておこうと思っています。 (聞き手・橋立多美) ➡筑波学院大学の関連記事はこちら

【シルバー団地の挑戦】11 小学校に地域交流室ができた!(下) 住民の奉仕活動が結実

【橋立多美】2013年4月、小池義寿校長が、つくば市立茎崎第三小学校に着任して間もなく、児童数の減少で活気を失い草木が生い茂っていたことにぼうぜんとした。30年前、39学級が各々の級の花壇を持っていたころの環境を取り戻したいと、小池校長の奮闘が始まった。 市教委に環境整備を申し出たが「順番があるので時間がかかる」と言われた。殺風景で季節感のない学校環境では児童に情緒は育たない。「これは俺の仕事」と草刈り鎌と耕運機で中庭の整地に取りかかった。 すると保護者の中にかつての教え子たちがいて「先生がやるなら俺たちも」と声を挙げ、孤軍奮闘を見た地域住民の助っ人も現れた。校舎裏手にはヤブカラシが繁茂した中に古い備品が放置されていた。助っ人たちが不要品を片付け、根気強く整地して駐車場に生まれ変わるなど、彼らの力で中庭を含めて学校はきれいになった。 同校の玄関に飾られていた「南極の石」が取り持つ縁もあった。地域に目を配ると、倉本茂樹さん(76)が12年に森の里自治会長に就き、団地横を流れる東谷田川の堤防に草花を植栽する「堤防美化プロジェクト」と、地域ぐるみの自警団「かわせみパトロール隊」を組織。同隊は同小に通学する児童の見守り活動を行っていることを知った。 「すぐに倉本会長は南極の石を寄贈した人だと分かって親近感を覚え、裏付けもないのにこの人となら協働できると思った」と小池校長は振り返る。学校周辺がきれいになり、次は花壇と思っていた小池校長は倉本さんと連絡を取り、自治会による学校の花壇づくりが始まった。 3年後、小池校長と入れ替わりに黒澤美智子校長が着任すると、今度は、毎年文化の日に開催される「三小まつり」への協力依頼が自治会に舞い込んだ。地域住民の知識と経験を児童に伝えてほしいというもの。昨年は輪投げや紙飛行機といった昔遊びの伝承や、プラネタリウムの解説、将棋指導など9種目を住民が受け持って児童たちと世代間交流を楽しんだ。 個別に同小を支援する団地住民もいる。長谷川郁夫さん(73)は職員室に困っている箇所がないかと尋ねて修理から片付けまでをこなす。「日曜大工の簡単な作業だけど、時間の許す限り続けていきたい」と話してくれた。 愛着色あせず 開校時のにぎわいはないが、我が子が巣立った学校への愛着は色あせず、住民らは今も、未来を担う子どもたちの成長を支えようと、学校と連携して登下校の見守りや花壇づくり、学校行事支援などの活動を続けている。こうした地域住民の奉仕活動が結実したのが同小の地域交流室だ。 自治会長の倉本さんは「住民たちの活動が実を結び、鮏川校長の英断で地域交流室ができた。茎崎地区のサークル活動の拠点は茎崎交流センターだが登録団体が多く、2カ月毎の予約日には2時間前からセンター入り口に行列ができる。それだけに地域交流室の開設は有り難い」。また「自治会発行の森の里だよりで周知するなど、地域として全面的に交流室の運営に協力していく」と語った。 地域交流室は小学校の開校時間(平日の午前9時~午後4時)に開放され、現在は琴のほかダンス、詩吟、カラークラフトの4団体が利用している。

【シルバー団地の挑戦】10 小学校に地域交流室ができた!(上) かつての活気取り戻したい

【橋立多美】つくば市立茎崎第三小学校(同市小茎)は、高齢化が課題のつくば市南部、森の里団地(1300世帯)に隣接する。昨年9月、同小の空き教室を活用して地域交流室が開設された。 冬休みが間近になった昨年12月13日、同交流室から早春譜を奏でる琴の音が聞こえた。同校は中庭を囲むように3階建ての校舎が建ち、1階にある同交流室には暖かな日が差し込む。 同交流室は隣接する森の里団地の住民に開放され、サークル活動に使われている。この日の琴は「琴伝流大正琴」の講師福本敬子さん(75)が開いた。福本さんは「静かで落ち着いてお稽古ができる」と話す。そして「音が授業の妨げになるのでは、と思ったが、学校は『児童たちに地域の人々の活動が聞こえるのはいいこと。窓を開けて練習してもいいですよ』と言ってくれた」。会員の海野和子さん(69)は「三小は我が子の母校。卒業して縁がなくなった学校に来ることができるのは懐かしさもあってうれしいし、子どもに今度はお母さんが通学すると話している」と交流室の開設を喜ぶ。 開設は、昨春同校に着任した鮏川誠校長が決断した。校長は「これまで県内の多くの小中学校に赴任してきたが、登下校の見守りや花壇の手入れ、学校行事などを快く引き受けてくれる地域住民の姿勢と学校への関心の高さに驚いた。「住民との良好な関係は教師にとって財産で、地域に開かれた学校にしようと地域交流室を思い立った」と話す。 取材を進めると、地域交流室の開設に先鞭(せんべん)をつけた人がいたことが分かった。鮏川校長の2代前の小池義寿校長(現・守谷市立黒内小校長)だ。 30年後の荒れた中庭にがく然 茎三小は、森の里団地の入居が始まった1979年の翌年春、開校した。学齢期の児童数が膨れ上がり、当時、児童数1500人を超える県内屈指のマンモス校となった。現在は当時の6分の1以下の227人だ。 約30年前、教員生活をスタートさせた小池校長が初めて赴任したのが開校したばかりの同小だった。当時25歳。マンモス校で教員数は約40人。同世代の教員と教育について議論を交わす熱血漢で、議論が深夜に及ぶと今では考えられないが畳の敷かれた玄関脇の用務員室で雑魚寝をすることもあった。 ある夜、校舎の玄関に置かれた「南極の石」に目が留まった。当時、海上保安庁に勤務していた保護者の倉本茂樹さん(76)=現在森の里自治会長=が、第22次南極観測隊員として南極に赴いた折りに持ち帰った石を寄贈したものだった。「地域には素晴らしい人がいるな」と思ったという。 歳月は流れ、30年経った2013年4月、校長として同小に再び着任した。同小の中庭に立ったとき、その目に飛び込んできたのは、生い茂った草木と、今にも倒れそうに壊れた時計台と百葉箱だった。新米教師だった自分を育ててくれたふるさとに、校長になって戻って来たという高揚感は消え、うれしさは打ち砕かれた。寂しさが込み上げた。 =続く

【成人式’19】はれのひ事件から1年 フォトスタジオが「いつでも無償で支援」

【橋立多美】きょう14日は平成最後の成人の日。昨年は成人の日にあたる1月8日、振り袖の販売と貸し出しを行う「はれのひ 」の3店舗(つくば店、八王子店、横浜みなとみらい店)が突如閉鎖された。あれから1年経ったが、龍ケ崎市のフォトスタジオ「スマイルカメラ」のホームページには「はれのひ被害に遭われた方へ」と題して、気持ちの整理がついたら10年後であっても撮影までを無償で支援しますという呼び掛け文が載る。 昨年ははれのひの3店舗に電話連絡ができなくなり、同店から購入またはレンタルで成人式の着付けを予約していた新成人たちが晴れ着を着られなくなった。つくば店は、同市や周辺自治体が成人式を1日早い7日に挙行したことで、「式当日に晴れ着を着ることができない」というトラブルは発生しなかったが、着付けが式典に間に合わなかった人も出た=2018年1月9日付け=。 「スマイルカメラ」を営む梶山泰央さん(49)は、ニュースでこの事態を知って「なんてことが…」と怒りが込み上げた。本人たちの泣きたい思いはもとより、仕事柄、晴れ着姿の我が子の前撮りをうれしそうに見守る父母たちの姿を見ていただけに、その気持ちが痛いほど分かったからだ。 「何とかしてあげたい」と8日夜、ツイッターとインスタグラムに「撮影だけで良ければ無償で支援します」と書き込んだ。すると「ヘアメーク、着付けできます」「振り袖あります」「応援します」など、続々と賛同と支援の声が寄せられた。ツイッターで100回以上リツイートされ、ページビュー(閲覧件数)は8万件以上に上ったという。 数日でヘアメークから撮影までの全てを無償で支援できる体制が整い、ホームページや取材を受けたメディアで利用を呼び掛けたが、問い合わせはなかった。つくば市周辺では「式当日に晴れ着を着ることができない」トラブルがなかったためと見られる。 震災経験し人生一転 「辛さ分かち合い」実感 被害者に今も無償支援を呼び掛ける梶山さんには、東日本大震災の経験を経て「最悪だった日を幸運な日に変えて笑顔にできれば」との願いが込められている。 梶山さんの人生は2011年の震災で変わった。震災から1カ月後、妻の希美さん(41)のふるさと宮城県亘理町の震災ボランティアセンターが稼働するのを待って駆け付けた。命と財産、町並みを失った痛みに黙々と耐える被災地を目の当たりにして「人の役に立つ仕事をしよう」と決意。趣味の域だった写真撮影の技術を独学で磨き、14年3月東京都下水道局を退職してフォトスタジオを龍ケ崎の幹線道路沿いにオープンした。 「被害者の新成人からの連絡はなかったが、多くの人がSNSで情報を広げてくれ、河内町の美容室を始め10人の有志が支援に名乗りをあげてくれた。辛さや困りごとを分かち合うための手が皆の心にあることを実感した。フォトの領域から世の中の役に立つ活動をしていきたい」と梶山さんは前を向く。 ◆フォトスタジオ「スマイルカメラ」のHPはこちら(https://www.smilecamera2525.com/) 龍ケ崎市藤ケ丘1-3-6 電話080-3307-3401 月曜定休

住民目線で市長にまちづくり提案 研究学園地区に市民団体発足 つくば

【橋立多美】人口が急増する一方、交通渋滞や公共施設の不足などの課題を抱える、つくば市の副都心、研究学園葛城地区に、住民目線でまちづくりを提案していこうと、市民団体「新しい街・研究学園地区を住みやすくする会」(室生勝代表)が発足した。 同地区に住む60~80代の有志6人が発起人となって10月に発足した。初会合として商業施設イーアスつくば内のイーアスホールで15日、「市長と語る会」を開催した。 同地区のまちづくりに関心のある住民65人が参加。同会事務局を務める山本進二さんは「研究学園駅周辺の当地区には公立保育園や幼稚園、図書館、保健センターは皆無で公共施設は市役所以外何もない。公共サービスの地域間格差をなくし、全世代が住みやすい街にするために住民たちで議論して市に提案していく」と狙いを説明した。 「市長と語る」で課題になったのは、来春の学園の森義務教育学校の教室不足への懸念、公立幼稚園への送迎バスの運行、TXのガード下に地域コミュニティセンターの設置、谷田部地区区会連合会からの分離、イーアスの横を南北に結ぶ幹線道路の立体交差化など。課題は発起人らが幅広い世代から要望を聞き取ったもので、活発に意見交換が行われた。 五十嵐市長は学園の森義務教育学校の教室不足について「新1年生の増加でプレハブ校舎を増築しないと無理な状況にある。都市計画の失敗。学校を分散すべきだった」と述べた。本庁舎北側に建設中の市庁舎コミュニティ棟(仮称)内の地域交流センターとは別に、TXガード下(現在は駐輪場)にサンダル履きで行けるコミュニティセンターについては「考えていきたい」。 また、週末や休日はイーアスの買い物客でスーパーとりせん前の交差点が終日渋滞し、緊急車両が走行できない幹線道路の立体交差化について市長は「県は渋滞対策はしない方向で高架、地下化を問わず造れないと思う。イーアスに集中している状況を変えていくほうが早い」と話した。 発起人の石井勇治さんは「9年前にマンション購入を契約した際に『将来道路が渋滞した時の改善策として立体交差の用地を確保している』と言われた。今も片側2車線の道路の中央にリザーブ用地があり、立体交差を望む住民は多い」とする。 19日には同地区のマンションで、会のメンバーたちが市長と語る会の総括と今後の取り組みについて意見を出し合った。「市長と語る会」で配ったアンケートは参加者の86㌫にあたる56人が回答。回答者の半数を70代以上の高齢者が占めたためか、TXガード下のコミュニティセンター設置への関心度が最も高く、次いで幹線道路の立体交差化、図書館の順だった。また「市長のざっくばらんな話が聞けてよかった」「シルバー層と若者が共存し、暮らしやすい街に」などの意見があった。 今後は文字が薄くなった道路標示の明示や通学路の安全対策など、市が時間とお金をかけずに取り組めることから要望していく計画。山本さんは「半年ごとに会を開いて住民の意見を聞き、建設的な提言につなげたい」としている。

初日の出イメージし赤いイノシシに 筑波学院大で年賀状コンペ

【橋立多美】筑波学院大学(つくば市吾妻)の来年の年賀状デザインを決める2019年賀状コンペの表彰式が17日同大で行われた。グランプリに輝いた経営情報学部2年の小松崎匠さんと、準グランプリの菅野萌々子さん(同学部2年)に大島愼子学長から賞状が授与された。 同コンペは同大の師走行事で、今年で6回目。グランプリ作品は同大の年賀状に用いられるという。学長、学部長らが審査にあたり、親しみやすく新年の明るさがあり、大学の年賀状にふさわしい作品が選ばれる。今回は11人の15作品の中から選ばれた。 グランプリを獲得した小松崎匠さんは「初日の出をイメージして丸っこいイノシシを赤にした。グラフィックデザイナーを志望しているが受賞したことで公共に関する作品づくりに自信がついた。大学の年賀状に使われることは光栄で、襟を正していきたい」と話した。 準グランプリの菅野萌々子さんの作品は、画像データに変換した和紙を背景に12頭のウリ坊が輪を描く。「紙の暖かさが好きでバックに和紙を用いた。ウリ坊は1頭ずつ歩き方に違いを持たせ、輪で『和』を表現して新年への思いを込めた」と話してくれた。 経営情報学部ビジネスデザイン学科の高嶋啓准教授は「来年の干支のイノシシをモチーフに、親しみやすい大学のイメージを伝えるデザイン性の高さが買われた」と受賞作を評価した。

中庭に今年もイルミネーションともす 筑波学院大学生

【橋立多美】筑波学院大学(つくば市吾妻)中庭に今年も学友会によるイルミネーションがともった。中庭に面するペデストリアンデッキを行き交う人たちが足を止めて見入る姿が見られる。 学友会は同大の学生組織で、学生生活を有意義なものにするために学園祭やサークルなどの運営や支援などの活動を行っている。今年の会員数は41人で、情報デザインコース3年の寺門達輝さんが会長を務めている。 9月にイルミネーション企画を立ち上げて電飾の配置を検討。11月26日に飾りつけを始めた。作業は授業を終えてから夜のとばりが下りるまでの時間に限られ、会員たちが協力しあって30日に飾りつけを終えた。 目を引くのがクリスマスの鐘が点灯するイルミネーションで、2007年度卒業生の記念樹ドイツトウヒに飾りつけられている。この樹はモミの木の仲間でツリーに適した円すい形をしており、クリスマスツリーに使われる定番の木だ。 渉外担当の岩田涼さん(情報ビジネス、2年)は「ドイツトウヒは5㍍ほど高さがあって脚立に登っても手が届かない所は棒を使って飾った。チクチクした葉が手に当たるのが辛かった。配線がうまくいって全体の点灯を見届けた時は安心した」。副会長の森亜美さん(同)は「学友会2年目の今年は指示する側になったが、全体に気を配ることができた。澄んだ空気の中で揺らめく灯りを多くの人に楽しんでもらえたら」と話している。 同大学のイルミネーション点灯は1月6日(日)まで。

日中交流ペーパーカーレース 同時中継で競う 筑波学院大と長春大

【橋立多美】つくば市の筑波学院大学と中国吉林省の長春大学とをテレビ会議システムで結び、同時中継による国際教育交流「ペーパーカーレース2018」が8日、同学院大で開催された。 コンピュータを使って設計製図するソフト、CADの具体的な操作法と設計センスを体得する授業の一環。両大学の国際交流は今年で17回を数えた。 CADで図面を描いてケント紙にプリントし、切り抜いて組み立てた紙の車に模型用のモーターと電池ボックスを載せ、輪ゴムを掛けて動力伝達させタイヤを回す仕組み。同学院大からは10台、長春大からは16台がエントリーし、15㍍の直線コースを走らせてスピードやデザインを競った。 日中の学生が中継で自己紹介し製作した車のセールスポイントをPR。タイムレースは各車3回走行して、最も速いタイムで順位が決まった。レースは中継され、学生たちは映像を見ながら相互に応援しあった。走行後、日本から中国のデザイン賞、中国からも日本のデザイン賞が選ばれた。 15.31秒でタイムレース2位になった郡司勇真さん(3年)は「車体の前をすぼめて真っ直ぐ進むように工夫した。モーターをどこに置くか悩んだがいい結果になった」。15.52秒で3位の宇留野渉さん(2年)は「斜め走行になりがちで、それを修正して直進することに努めた」と話した。 学院大のデザイン賞に決まったのは押野健人さん(3年)が製作した車名「フォートナイト」。F1カーをイメージしたデザインで空気抵抗を減らしスピードアップを図ったという。中国長春大が選んだデザイン賞を受賞したのは塚原太一さん(2年)の「チシャ号」。車体の上部や側面のカーブラインなど、リアルな車にこだわったそうだ。 授業を受け持っているのは筑波技術大学名誉教授で非常勤講師の荒木勉さんと、同学院大の堀越眞理子助教。荒木さんは「学生たちは若い感性を生かして製作に励んでいた。初期から担当しているが、中国の学生たちの車体は10年程前まで強さを前面に出すものが多かった。今はF1レースやアニメなど柔らかくなった。時代の変化や文化の違いが見てとれる」と話してくれた。

女性が輝く「3つ星」企業に認定 一誠商事

【橋立多美】不動産会社、一誠商事(つくば市竹園)が、2018年度女性が輝く優良企業認定制度で、最も評価の高い「3つ星」に認定され、11月22日、特に優良な企業として県から表彰された。 同制度は、働く女性を応援する県内企業の取り組みを支援し、女性の活躍を推進しようと県が16年度に創設した。「女性活躍推進」「ワーク・ライフ・バランス推進」「子育て支援」の3分野でバランスよく取り組んでいる企業を優良企業として認定する。県が定めた評価や加点項目の合計が各分野で8点以上が「3つ星」、7点以上が「2つ星」、5点以上が「1つ星」に認定される。今年度の「3つ星」は一誠商事1社のみ。 同社は社員264人中、女性社員は129人。このうち女性役職者は41人に上り、女性社員の3割が職場のリーダーとして働いている。産休・育児休業制度が整い、現在、育児休業中の社員は男性1人を含む8人。これまで延べ25人が制度を活用して育児休業を取得しているという。 五十嵐徹社長は「05年に開業したつくばエクスプレス(TX)を機に県内11店舗に広げ、社員の増員が必須になった。人手不足が懸念され既婚の女性社員が子育てしながら働き、キャリアアップできる企業へとかじを切った結果」と話す。 同社は、国が定めた出産後1年間の育児休業期間をもう1年延長する独自の制度を設け、さらに復帰後子どもが小学3年までは育児時短勤務が可能という。時短勤務は五十嵐社長が自らの子育てを通じて、就学後学童保育に入所できるとは限らないこと、小3までは病気になりがちなことからの取り組みだという。 同社に勤務して14年、第2子を出産して職場復帰したばかりの吉澤静さん(36)は「新人だった頃は寿退社する人がいたが、今は育児休業を取るのが当たり前になり、復帰後は元の部署に戻り同僚たちの助けもある。何より男女対等の職場で、家事と育児が両立できる」という。 社訓に「会社の成長発展によって、社員と家族の将来の生活向上と安定を目指す」を掲げる同社。五十嵐社長は「これまで以上に『女性の活躍推進』と『仕事と家庭の両立支援』に努めていく。今回の認定によって、女子学生が安心して就職できる企業と把握してもらえると幸い」と話した。

《猫と暮らせば》7 「子ども食堂」急増 オープンしたら止めないで

【コラム・橋立多美】2012年、大田区の八百屋の店主は、知り合いの小学校教諭から「給食のない日はバナナ1本で過ごしている児童がいる」と聞いて涙が止まらなくなった。親が食事を用意できない貧困家庭の子どもたちに食事を提供する子ども食堂を始めた。今や無料または低料金で食事を提供する子ども食堂は全国150カ所に広がり、地域住民や自治体が主体となって取り組んでいる。 その背景には共働きやひとり親世帯の増加による子どもの孤食などの実態や、14年に子どもの貧困対策法が施行し、「日本の子どもの6人に1人が貧困状態にある」との厚労省の調査が追い風となり、増加の流れはさらに加速している。 つくば市は今年度、生育環境によって教育の機会が得られない、または健やかな成長に必要な衣食住が確保されていない子どもの格差を解消するための「こども未来室」を設置。子どもたちの居場所づくりとして、11月1日から子ども食堂補助金の交付団体を募集している。同市は経済的理由で就学が困難な児童・生徒は市内に約1300人いるとしている。 子どもの食事難や孤食に対する問題は、親の就職や離婚状況が深く関連しているため、根本的解決方法を見つけるのが難しい。しかし難しいことは脇に置いて、とにかく目の前の子どもたちにおいしくて温かいご飯を食べてもらおう」と一石を投じているのが子ども食堂なのだ。 ただし、単にお腹を満たすだけでなく、食育に気配りした献立が提供されている。それは経済的にゆとりの無い家庭の子どもは、ゆとりのある家庭の子どもに比べて「野菜」「魚」「果実」を食べる頻度が低く、特に「野菜」は有意差が見られ、菓子パンやカップ麺などのインスタント食品の摂取頻度が高い傾向にあるからだ。 どんな活動も「人・モノ・金」が必要 「広がれ、こども食堂の輪!全国ツアーin茨城」実行委が昨年1~2月に県内16団体を対象に実施した実態調査によると、開催頻度は月に1、2回で時間帯は平日夜が多い。子どもの利用は無料と100円が半々。献立は野菜を使った和洋中とバラエティに富む。資金に余裕がない団体が大半で食材は農協や生協、フードバンク、地域住民からの寄付が頼みの綱のようだ。ちなみにフードバンクは常温で保管できる食材に限られ、基本的に生鮮食料品は取り扱わない。 最近、子ども食堂を運営する某団体が野菜の寄付を呼びかけるチラシを茎崎地区の農家一軒ずつに投げ込んだ。農家の主婦は「人助けは分っているがうちも生活がかかっているし…」と困惑した様子。善意の押し売りはいただけない。家庭菜園で採れた食べきれない野菜を寄付したり、農協が規格外品を提供している例がある。同市でも農協と連携することは可能だろう。 ここからはお叱り覚悟で書く。どんな活動も「人・モノ・金」が必要で、まして子ども食堂は食品衛生やアレルギーなど課題は山積みだ。始めることはできても、持続するのはスタート時よりも困難が伴うだろう。現に場所の問題で閉鎖した子ども食堂がある。大人の都合でオープンしたり止めたりするのは、手に入れた居場所を失い大人への不信感を植え付ける。支える対象が子どもの場合、責務が重いと自覚してほしい。子ども食堂を一過性のブームに終わらせないためにも、関係機関と連携して継続してくれることを願う。(ライター)

【シルバー団地の挑戦】9 老朽化課題も再生困難 スーパー・商店街撤退(下)

【橋立多美】住宅団地の中心からスーパー・商店街が撤退した後のつくば市茎崎地区、森の里では、空き家になった長屋式集合タイプの商店街の老朽化問題が浮上している。 1階を商店、2階を住居とする「げた履き住宅」の商店街がシャッター街となっておよそ15年。シャッターやひさしが壊れたり、軒先が腐食するなど老朽化が著しい。店を畳んだオーナーたちは空き家にしたまま新天地で開店したり、2階の住居部分を貸したりしている。 空き店舗のままなのには訳がある。壁一枚で隣り合う長屋式の店舗兼住宅の一部を売却するのが難しく、所有者全ての合意が必要になるからだという。また、高齢化で地域が衰退し新たな店舗が出店することは期待できず、居抜き譲渡されたケースは皆無だ。 森の里自治会の倉本茂樹会長は「以前、生協や市シルバー人材センターが注文品配送センターや弁当配送の拠点として利用できないかと検討され、私も相談に乗ったりしたが、2階部分に入居者が居ること等が障壁となって実現しなかった」と振り返る。 「腐食した建物の一部が強風で吹き飛ばされて災害になる可能性があり、市の空き家対策室に対応を要請しているが、所有者に連絡がつかないのか、ついても所有者が対応しないのか、未だに解決していない」とも。 今年7月に異例の進路をたどった台風12号接近に備え、危険防止のために朽ち果てて強風で吹き飛ばされそうなシャッターの一部を撤去したり、土のうを積んだりしたそうだ。「他人の所有物を破壊するのは違法行為で、責任をとる覚悟だった」と、その時の心情を語った。 店舗の所有者と粘り強く交渉して空き店舗の解消を図る必要に迫られているが、所有者も高齢化し所有権が他の人に渡るとさらに交渉が難しくなるのは必至だ。「所有者の行方が分からないと聞く元店舗もあるし、自治会としては現に2階に人が住み、その人達が会員であることを考えると対応は極めて難しいのが現実」と倉本さんは苦渋の表情を浮かべる。 シャッター通り商店街は閑散として猫1匹通らない。スーパーは取り壊され、100台を収容する駐車場に変わった。(おわり)

【シルバー団地の挑戦】8 運営は主婦から出店者に スーパー・商店街が撤退(中)

【橋立多美】つくば市茎崎地区の住宅団地、森の里では、スーパー・商店撤退後、主婦が始めた定期市がスタートから6年目に存続の危機を迎えた。 発起人の主婦3人のうち2人が引退。また魚屋の店主が高齢のために出店を取りやめた。発起人で1人残った田辺くるみさん(69)が踏ん張り、定期市を続けた。 引退した1人は夫婦で定期市運営に取り組み、夫君がフリーマーケットの商品を移動したり、コーヒーショップの中心的役割を担っていた。この夫君が病にかかって介護のために引退。もう1人は元々足が悪く、毎週の活動で足への負担が大きくなったことが原因で引退した。 田辺さんは「軌道に乗っていたしボランティアもいて続けることにしましたが、二本の柱を失い、フリマとコーヒーショップをやめるなど、規模を縮小せざるを得ませんでした」と淡々と話してくれた。 2013年3月には同市から委託を受けた食品スーパーカスミの移動販売が始まり、不便な生活解消という役目を終えたと解散することになった。 しかし、出店者側から「利用客から続けてほしいという要望があってやめられない」の声が挙がり、「里の市」オープンから12年経った14年春、出店者の希望で定期市は継続されることになった。 名称を「土曜朝市」と改め、運営は主婦たちから出店者に移った。開催日時は里の市と変わらず毎週土曜の午前10時から。里の市の発起人だった田辺くるみさんと松浦悦子さん(70)、松元栄子さん(同)がボランティアで世話係を務めている。 待ってくれている客がいる間は続ける 朝市に並ぶのは肉と和菓子、野菜の3品目。1320平方㍍の畑を借りて野菜と落花生を育てている団地住民の土屋達夫さん(66)は「にぎわいの一つになればと思って出店している。売上500円の日もあるが種と肥料代の足しになればいい」。 定期市のスタート時点から出店している土浦市の精肉店店主の村山勉さん(73)は「客は少なくなって今は多くて15人ほど。もうけを考えたらやっていけない。待っていている人とのつながりは切れないし、客が一人でもいるうちは続ける」と話す。暮れには和菓子店が正月用の餅を、精肉店がハムやすき焼き用牛肉などを販売するという。(つづく)

【シルバー団地の挑戦】7 シャッター通りで続く定期市 スーパー・商店街が撤退(上)

【橋立多美】つくば市茎崎地区の大型住宅団地、森の里(1300世帯)では、団地内のスーパーや商店街が近隣にできた商業施設に客を奪われて撤退・廃業した後も、主婦3人が始めた定期市が規模を縮小しながらも続けられ、「買い物難民」化に歯止めをかけている。 同団地は筑波学園都市建設に伴って建設された。1979年に入居が始まり、入居者がそろって高齢化している。入居当初、活気があった団地内のスーパーは駐車場になり、商店街は現在1店舗だけが営業している。 秋晴れの11月17日午前10時、元商店街で「土曜朝市」が始まった。60代の主婦が、ざるに並べられた一皿100円の朝採り野菜の中からジャガイモに目をとめた。「おいしそう。どれにしようかな」。店主の土屋達夫さんが「どの皿も同じ数だけど、こっちがいいかな」。 ジャガイモと葉物を入れたビニール袋を下げて、隣のテーブルの和菓子をのぞきながら肉販売のコーナーへ。ラッピングして値付けされた豚や鶏肉などが保冷車から下ろされると待ちかねたように次々に売れていく。一人で数パック買う人もいて、ボランティアの田辺くるみさんらが電卓で合計金額を出したり袋詰めをする。 両手にビニール袋を下げて帰っていく人もいれば、日なたにしつらえたテーブルと椅子で茶飲み話に花を咲かせる人もいる。70代の主婦は「買い物してからここでおしゃべりするのが楽しみ」と笑顔で話した。 3人の主婦が定期市を発足させた かつて団地の中心には大型スーパーと電器、肉、薬局、玩具、美容室、飲食店など15の店舗があった。同地区の住民も訪れ、暮れには正月用品を買い求める人の車で商店街周辺の道路が渋滞した。ところが牛久駅前に商業施設が開業したころから陰りが見え始め、2002年春に商店街の核だったスーパーが撤退。店舗も次々にシャッターを下ろした。 こうした状況では、高齢者が食料品等の日常の買い物が困難な状況に置かれる「買い物難民」になりかねない。同年9月、不便な生活を解消し活気を取り戻そうと、3人の主婦が発起人となって毎土曜開催の「里の市」をスタートさせた。 場所は現在と同じ元商店街の一角。市には3人が奔走して出店をとりつけた乾物、魚、肉、パン、野菜の5業種がそろった。ボランティアがフリーマーケットやコーヒーショップを運営し、毎週数十人の団地住民でにぎわった。露店のため天候に振り回されつつも豪雨以外は休みなく続けられた。 しかし6年目の08年、3人の発起人のうち2人が健康上の理由で引退。開催規模の縮小を余儀なくされた。(つづく)

地元中学生3人がプロと競演 音の宝箱ジャズライブ 筑波学院大

【橋立多美】実力派ジャズピアニスト水岡のぶゆきをリーダーとする、水岡のぶゆきグループ出演の「音の宝箱・つくば2018~スペシャルジャズライブ」が17日、つくば市吾妻の筑波学院大で開催された。ライブ中盤、女子中学生3人がプロのミュージシャンとともにスタンダート曲などを演奏して拍手を浴びた。 音の宝箱は「音楽で人をつなぐ」という構想の下に毎秋、コンサートを開くなど、市民ボランティアが主体となって活動している=10月28日付け。今回のライブは演奏者とつながり、地域のコミュニケーションを広げることを目的に吹奏楽部に属する市内の中学生とのコラボステージが実施された。 聴きなじみのある曲などからスタンダード曲までを網羅した華やかなステージに約200人の入場者が酔いしれた。中学生とのコラボを含めた16曲の演奏がすべて終了した後は拍手が鳴りやまず、2曲が追加されて観客総立ちで盛り上がって幕を閉じた。 プロの演奏者とセッションしたトランペット担当の並木中2年の奥田杏奈さん(14)は「不安でいっぱいでステージでは体がこわばった。今回の経験でメンタルが強くなったと思う」。トロンボーンの桜中2年の増山日菜さん(同)は「出来栄えは50%。将来は音楽とは違う道に進みたいが、趣味として続けていきたい」。アルトサックスの大穂中2年の木本英那さん(同)は「今朝から緊張で胃が痛くなった。これからも音楽を続け地域の演奏団体に関わっていきたい」と話し、3人は「また会おうね」と笑顔を交わしていた。

「悩み抱える人たちの救いに」 男性専用の電話相談10年 つくば市

【橋立多美】つくば市男女共同参画室が、誰もが自分らしく生きていけるように様々な悩みを抱える男性の電話相談に応じている。男性専用の相談窓口で、奇数月の第2木曜の受付時間中に電話がかかってくる。男性の専門相談員が応じる。 男女共同参画社会の実現に向けて、これまで女性に対する雇用や暴力などへの支援が推進されてきた。が、非正規雇用の拡大など男性を取り巻く環境が大きく変動し、男性の生きづらさにも注目が集まる。しかし、悩みがあっても「男は弱音を吐くべきではない」と一人で抱え込んでしまいがちだ。 同市では男女共同参画を推進する上で、精神的に孤立しやすいと言われる男性が気軽に悩み等が相談できる体制の整備が必要と、2009年度に男性を対象にした電話相談の窓口を開いた。10年に策定された、第3次男女共同参画基本計画に男性が相談できる体制の確立が盛り込まれたことを機に、男性専用相談窓口を設ける地方自治体は増えてきたが、茨城での取り組みは同市のみ。 夫婦関係の相談が最多 当初は年2回の開設だったが今年度から年6回と充実を図った。スタート時から約10年間の相談件数は85件。内容は夫婦関係が27件と最多。次いで対人関係、暮らし、法律問題、家族関係、労働と続く。2時間30分の受付時間内に毎回3~5人からの相談が寄せられ、10分ほどで通話が終わる場合もあれば、1時間を超えるケースもあるそうだ。 氏名を名乗る必要はないので不確かだが、相談内容こそ違うが同一人物と思われる男性から何度も電話がかかってくるという。岡田健一室長は「誰かと話すことで心の安定を保っているのかも知れない」と話す。また「悩みの深い夫婦や人間関係など、傾聴することで相談者の心を和らげことを基本にしている」とした上で「電話相談は一種のセーフティーネット。悩みを抱える人たちの救いになっていると信じたい」とも。相談内容によっては専門窓口につなげる。岡田室長は「気軽に相談してほしい」と呼び掛ける。 ◆男性のための電話相談 ▽相談日時は奇数月の第2木曜日午後6時~同8時30分▽相談料無料(通信料は相談者負担)▽対象は同市在住、在勤、在学の男性▽相談内容は守秘義務によって守られる▽相談員は男性 【相談電話】029(883)1188

紅葉始まる 幹線道路沿い街路樹 つくば

【橋立多美】日中は10月中旬並みの暖かさだが朝晩は冷え込み、つくば市でも紅葉が見られるようになった。ことに主要幹線道路沿いの街路樹が虹色に染まる自然の営みは、季節を実感させてくれる。 同市の街路樹は、土地に合った10種類の樹木から東・西大通りは主としてケヤキ、シラカシ、トウカエデ、ユリノキを、土浦学園線にはイチョウ、北・南大通にはトチノキ、牛久学園線はアメリカフウが選ばれている。 また、樹木は植え方に工夫を凝らして美しい景観づくりがされている。樹木を等間隔に並べず、2本の樹木を3㍍の間隔で植樹する方式を採用したことで幹の緑の量が多く見え、樹根が交錯して強くなった。 牛久学園線(国道408号線)の背の高い街路樹・アメリカフウはモミジバフウとも言われ、紅葉が美しい樹木。都市の動脈として同線が開通してから40年。根をどっしりと大地に張り、日当たりの良い東側の樹木から紅葉が進んでいる。季節は少しずつ初冬へと移りつつある。 また同市にはイチョウの黄葉を楽しめるスポットも多く、二の宮の洞峰公園内のイチョウ並木は人気がある。8日現在、葉は緑濃く、鮮やかな黄色のじゅうたんを堪能するにはまだ時間がかかりそうだ。同市春日在住の初老の夫妻は「まだ色づいていなくてがっかり。また来ます」と話した。

早くもお歳暮商戦 京成百貨店つくばショップ ピークは12月上旬

【橋立多美】京成百貨店つくばショップ(つくば市吾妻)が今月1日に「お歳暮ギフトセンター」を開設した。京成百貨店(本社水戸)創業110年の感謝を込めた『「ありがとう」がいっぱい』がテーマ。近年はスーパーがお歳暮に力を入れたり、通販を活用して老舗がお歳暮商戦に参入する中で、こだわりのギフトを揃えた。 伝統が息づく和菓子や西京漬けなどを選りすぐった食品ギフト、鍋の食材をセットにした団らんギフトなど美味しさを追求した。また納豆や干し芋、涸沼のしじみ、常陸秋ソバなど地元特産品のうち、2、3品を選んで風呂敷に包んで送る「選べる県産品ギフト」と工夫を凝らしている。 若い世代が古い慣習にとらわれず、形だけの礼儀をしなくなったことがお歳暮離れの一因となり、お歳暮商戦は厳しい状況が続いているという。同店の斉藤智店長は客1人当たりの平均単価は前年並みの3000円~5000円と予想する。さらに店長は「宅配便大手のヤマト運輸が宅配便料金の値上げをしたことが追い打ちをかけなければいいが」とも。長引く不況で財布のひもは固くなりがち。同店では全国送料均一ギフト、送料込ギフトを打ち出している。 同店に立ち寄った市内に住む主婦(57)は「京成のお中元を贈ったら喜ばれたのでお歳暮の下見にきました。懐は厳しいが年末の贈り物はちゃんとしたい。お金は多くかけられないけど見栄えの良い品を選びたい」と話していた。 ギフトセンターが込み合うのは、公務員にボーナスが支給された後の今月末から12月9日と見込まれる。斉藤店長は「早めのご来店がおすすめです」と呼びかけている。 京成百貨店つくばショップは、つくばクレオスクエアキュート2階。電話029-897-3321

《猫と暮らせば》6 新聞はいらない 新聞紙はほしい

【コラム・橋立多美】当サイトの前身は地域紙「常陽新聞」。多くの地方紙同様、インターネットの普及で購読者と広告料が見込めず、昨年春に休刊した。新聞社の片隅にいた者として、最近ショックを受けたのは通販サイトで「印刷されていない新聞紙」が売られていることだ。そこには「引越しや荷造りの包装材、緩衝材、すき間埋め材として最適」のうたい文句が添えられている。 購入した人のレビュー(評価)を読むと、鳥かごや小動物のゲージの敷物や幼児の落書き用に便利、新聞をとっていない我が家の必需品、かばんや靴などの型くずれ防止に使っているなど好評だ。極め付きは「字だと(印刷されていると)うるさくて生活感がでる」だ。 価格は新聞1カ月分に相当する10㌔で2000円、5㌔は1500円。東京新聞統合版なら1カ月2623円で、600円上乗せすれば情報が入手できる。が、英字新聞ならおしゃれだが日本語の新聞はダサいということだろう。 そこには新聞は生活に必要な情報源という意識は欠落している。また読み終えた古新聞は弁当箱を包む、湿らせてちぎって床にまいて掃く、水を含ませて窓や鏡の掃除に使うといった先人たちの知恵も消え去ったと思われる。 「NEWSつくば」が卒論のテーマ! これほどまでに市井の人々から見放された新聞の購読部数を調べた。日本新聞協会によると、2000年の1世帯当たりの新聞購読部数は1.13部だったが、17年には0.75部と大きく落ち込んでいる。しかし、1世帯当たり0.75部の新聞を購読しているとする同協会のデータは信用できない。 40世帯の集合住宅に住んでいるが、朝刊は10軒に配達されるだけで、郵便受けに投函された夕刊を見たことはない。多分、新聞社が販売店に実際の宅配部数以上の新聞を押しつけて買い取らせる「押し紙」を含んでいると予想でき、実配部数は新聞協会が公表している部数より低いと考えられる。 常陽新聞が倒れ「地域情報の灯を消したくない」と、わずかな資金で多くの人に情報が届く道を探してたどり着いた「NEWSつくば」。相次ぐ地方紙の廃刊と私たちの取り組みが卒論の格好の題材になったようで、このところ武蔵大や茨城大の学生たちが取材に訪れる。彼らこそ紙媒体よりスマホで情報を得ているのでは、と逆取材したくなる気持ちを抑えて対応している。いずれにしろ、彼らのデジタルな感性で現状をどう捉えるか楽しみだ。 情報をめぐる地殻変動の時代の中で、当サイトはスタートから1年を迎えた。これからが正念場なのだろう。(ライター)

【シルバー団地の挑戦】6 自治会がごみ出し支援 利用広がらず 心理的抵抗感課題

【橋立多美】つくば市茎崎地区の森の里自治会(倉本茂樹会長)は、ごみ出しなどの生活支援をする「高齢者支援隊」を結成して弱者支援を行っている。相互扶助の先駆的な取り組みだが、思ったほど利用世帯が集まらない。加齢で支援隊員を辞退する例も後を絶たず、さらに高齢化が進んで利用世帯が増えたときの対応が懸念されている。 高齢などで自力でごみを出せなくなった「ごみ出し困難世帯」は、朝日新聞の調査によると全国で少なくとも5万世帯に上るといわれる。中でも独り住まいの高齢者はごみ屋敷になる可能性があり、内閣府はごみ屋敷の予備軍は1万人以上と予想する。 結成6年 利用世帯もボランティアも減少 40年前に開発された森の里団地は世帯主の多くが団塊世代で、1300世帯中2割が高齢の1人暮らし。このうちの3割超を75歳以上の後期高齢者が占める(2016年10月1日現在)。 同自治会は高齢化に伴う弱者対策として燃やせるごみと粗大ごみのごみ出し、電球など簡易な器具の交換をする「高齢者支援隊」を12年に結成した。隊員は住民からボランティアを募った。高齢者は利用券1枚100円でごみ出しを依頼できる。支援隊員には、森の里自治会有償ボランティア規則に基づいて謝金(時給700円)が支払われる。利用券収入との差額は自治会が補てんしている。 開始からの利用は6世帯と広がりに欠け、現在は歩行困難な80代の独り住まい1世帯のみだ。支援隊員の担当は斉藤一夫さん(74)。週1回、燃やせるごみを玄関から集積所まで運ぶ。毎回利用者に署名捺印してもらう決まりで「何か変わったことはないか、安否確認に役立っている」と斉藤さんは話す。 ごみ出し支援を受けている人がいる一方で、老々介護の90代の男性は重いごみ袋を持つことが大変で、台車に載せて集積所まで運んでいる。近隣住民が手伝いを申し出るが「おむつが入っているごみ袋を人に頼むのを妻が嫌がる」。ある女性は「半透明のごみ袋はスナック菓子の袋や封筒などが透けて見える。暮らし向きが分かるし遠慮もあって団地住民に頼みたくない」と打ち明けた。ごみを見られることへの抵抗感が相互扶助システムの広がりを阻んでいるようだ。 自治会長の倉本さんは児童の登下校を見守る防犯パトロール隊の団長を兼務し、児童の安全を見守りつつごみ集積所を丹念に見て回る。ごみ出しに台車を使うなど自力でのごみ出しが困難な高齢者に支援隊の利用を呼びかけてきたが、「動けるうちは自分で」と返されることが多いという。一方で、加齢による体調不良などで支援隊員4人が活動できなくなり、現在は前出の斉藤さん1人になった。 来年4月「プラ容器分別が心配」 倉本さんは「今は(ごみ出しを)頑張る人が多くて支援隊員1人で足りているが、もっと高齢化が進むとみんなが支援を受けたくなる。その時、支援する側とされる側のバランスはとれるか」と眉を曇らせる。 民生委員でごみ出し支援の窓口を担当する浅田紀子さん(64)の心配は、来年4月から同市で始まるプラスチック製容器包装の分別収集だ。「資源の有効活用という趣旨は分かるが、認知症でなくても高齢者には細かい分別収集は大変だと思う。できない人には緩やかな収集方法を考えてほしい」と話した。 国立環境研究所(つくば市小野川)資源循環・廃棄物研究センター循環型社会システム研究室の鈴木薫研究員は、超高齢化社会におけるごみ集積所管理のサポート手法を解明することを目的に、同市内全域の自治会(区会)にごみ集積所の課題についてヒアリング調査を行っている。「地縁血縁でごみ出しを助け合う旧集落と比較すると、組織ぐるみで支援する森の里は取り残される人が少ない。利用を左右する心理的要因を考慮する必要はあるが、『ごみ出し支援はこれから考える』という区会もあり、森の里の支援システムに学ぶことは多い」という。

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