ホーム つくば 【シルバー団地の挑戦】6 自治会がごみ出し支援 利用広がらず 心理的抵抗感課題

【シルバー団地の挑戦】6 自治会がごみ出し支援 利用広がらず 心理的抵抗感課題

【橋立多美】つくば市茎崎地区の森の里自治会(倉本茂樹会長)は、ごみ出しなどの生活支援をする「高齢者支援隊」を結成して弱者支援を行っている。相互扶助の先駆的な取り組みだが、思ったほど利用世帯が集まらない。加齢で支援隊員を辞退する例も後を絶たず、さらに高齢化が進んで利用世帯が増えたときの対応が懸念されている。

高齢などで自力でごみを出せなくなった「ごみ出し困難世帯」は、朝日新聞の調査によると全国で少なくとも5万世帯に上るといわれる。中でも独り住まいの高齢者はごみ屋敷になる可能性があり、内閣府はごみ屋敷の予備軍は1万人以上と予想する。

結成6年 利用世帯もボランティアも減少

40年前に開発された森の里団地は世帯主の多くが団塊世代で、1300世帯中2割が高齢の1人暮らし。このうちの3割超を75歳以上の後期高齢者が占める(2016年10月1日現在)。

同自治会は高齢化に伴う弱者対策として燃やせるごみと粗大ごみのごみ出し、電球など簡易な器具の交換をする「高齢者支援隊」を12年に結成した。隊員は住民からボランティアを募った。高齢者は利用券1枚100円でごみ出しを依頼できる。支援隊員には、森の里自治会有償ボランティア規則に基づいて謝金(時給700円)が支払われる。利用券収入との差額は自治会が補てんしている。

開始からの利用は6世帯と広がりに欠け、現在は歩行困難な80代の独り住まい1世帯のみだ。支援隊員の担当は斉藤一夫さん(74)。週1回、燃やせるごみを玄関から集積所まで運ぶ。毎回利用者に署名捺印してもらう決まりで「何か変わったことはないか、安否確認に役立っている」と斉藤さんは話す。

ごみ出し支援を受けている人がいる一方で、老々介護の90代の男性は重いごみ袋を持つことが大変で、台車に載せて集積所まで運んでいる。近隣住民が手伝いを申し出るが「おむつが入っているごみ袋を人に頼むのを妻が嫌がる」。ある女性は「半透明のごみ袋はスナック菓子の袋や封筒などが透けて見える。暮らし向きが分かるし遠慮もあって団地住民に頼みたくない」と打ち明けた。ごみを見られることへの抵抗感が相互扶助システムの広がりを阻んでいるようだ。

自治会長の倉本さんは児童の登下校を見守る防犯パトロール隊の団長を兼務し、児童の安全を見守りつつごみ集積所を丹念に見て回る。ごみ出しに台車を使うなど自力でのごみ出しが困難な高齢者に支援隊の利用を呼びかけてきたが、「動けるうちは自分で」と返されることが多いという。一方で、加齢による体調不良などで支援隊員4人が活動できなくなり、現在は前出の斉藤さん1人になった。

来年4月「プラ容器分別が心配」

倉本さんは「今は(ごみ出しを)頑張る人が多くて支援隊員1人で足りているが、もっと高齢化が進むとみんなが支援を受けたくなる。その時、支援する側とされる側のバランスはとれるか」と眉を曇らせる。

民生委員でごみ出し支援の窓口を担当する浅田紀子さん(64)の心配は、来年4月から同市で始まるプラスチック製容器包装の分別収集だ。「資源の有効活用という趣旨は分かるが、認知症でなくても高齢者には細かい分別収集は大変だと思う。できない人には緩やかな収集方法を考えてほしい」と話した。

つくば市におけるごみ管理の課題を調査する国立環境研究所の鈴木薫研究員

国立環境研究所(つくば市小野川)資源循環・廃棄物研究センター循環型社会システム研究室の鈴木薫研究員は、超高齢化社会におけるごみ集積所管理のサポート手法を解明することを目的に、同市内全域の自治会(区会)にごみ集積所の課題についてヒアリング調査を行っている。「地縁血縁でごみ出しを助け合う旧集落と比較すると、組織ぐるみで支援する森の里は取り残される人が少ない。利用を左右する心理的要因を考慮する必要はあるが、『ごみ出し支援はこれから考える』という区会もあり、森の里の支援システムに学ぶことは多い」という。

スポンサー

LATEST

市民の意見を反映 県内議員向け改正バリアフリー法学習会

【川端舞】2018年の改正に続き、今年5月に再改正されたバリアフリー法のオンライン学習会がこのほど、県議会と県内市町村議会の議員を対象に開催された。バリアフリーに関する促進方針(マスタープラン)や基本構想を市町村が策定することが2018年に努力義務になったが、参加した議員からはマスタープランなどを作成するよう自治体に働きかけたいなどの意見があがった。 発言できる当事者リーダーの育成 主催したのは、茨城に障害のある人の権利条例をつくる会(事務局・水戸市)。学習会には県議会と市町村議会の議員10人が参加した。 改正バリアフリー法の要点やマスタープラン、基本構想について、障害者の全国組織であるDPI日本会議の佐藤聡さんと尾上浩二さんが説明した。2人はバリアフリー法改正にも関わった。 マスタープランは、その市町村の中で優先的にバリアフリー化の促進が必要な地区を設定するなど、市町村全域のバリアフリー化の基本方針を定めるものである。一方、マスタープランで設定した特定の地区において、バリアフリー化するための具体的な事業について書かれたものが基本構想だ。 マスタープランや基本構想を策定するときは、障害者や高齢者をはじめとした市民の意見を反映することが求められる。学習会では、市民の意見を反映して作られた兵庫県明石市のマスタープランが紹介された。マスタープランをもとに、実際にバリアフリーなまちづくりを進める際も市民の意見を反映する仕組みがある。

公共施設併設のスーパー誘致 つくば市茎崎庁舎跡地

【鈴木宏子】2016年に庁舎が解体されたつくば市小茎、旧茎崎庁舎跡地(約1.15ヘクタール)の利活用に関する地元説明会が7日、茎崎交流センターで開かれた。市公有地利活用推進課は、敷地の一部に立地している市茎崎保健センターを解体・撤去し、跡地に公共施設併設のスーパーやドラッグストアなど商業施設を誘致する案などを説明した。 参加した市民からは、現在の茎崎保健センターが担っている公共機能を維持するよう求める意見が相次いだ。スーパーの誘致については、懐疑的な意見と、一刻も早く誘致を進めるよう求める意見の両方が出され白熱した。 3案を提示 説明会で市が提示したのは、①約1500平方メートルの平屋建て商業施設に、約540平方メートルの平屋建て公共施設を併設し、約200台の駐車場を整備する②約1900平方メートルの平屋建て商業施設に、約530平方メートルの2階建て公共施設を併設し、約200台の駐車場を整備する③約2300平方メートルの平屋建て商業施設と約640平方メートルの公共施設を別々に整備し、約170台の駐車場を整備するーの3案。 整備手法は、築40年ほど経つ保健センターを市が解体し、庁舎跡地を民間事業者に賃貸する。民間事業者は公共施設併設の商業施設と駐車場を整備し、民間が整備した公共施設を、市が民間から賃借する。商業施設と公共施設を別棟で整備する場合、公共施設は市が建設する。 整備する公共施設には、市役所窓口と相談センター、運動スペース、調理室をつくり、現在、茎崎保健センターにある機能を概ね維持できるようにする。ただし公共施設を別棟で建てる場合は、埋蔵文化財の調査が必要になるという。

京都発、世界を巡って茨城着 古民家ゲストハウスの若女将

【相澤冬樹】かつては夏の遊泳場としてにぎわったかすみがうら市の歩崎、今では自転車道「つくば霞ケ浦りんりんロード」をやってくるサイクリストが脚を休める。そんな行楽スポットに先月お目見えした古民家改装のゲストハウスが、いきなり8月末まで満杯の宿泊予約という盛況ぶりだ。訪ねると、宿を切り盛りする若女将(おかみ)、森田千亜紀さんが京都弁で迎えてくれた。 森田さんは京都・伏見の出身、2カ月前に東京から土浦市内に居を移し、かすみがうら市の第3セクター、かすみがうら未来づくりカンパニー(今野浩紹代表)に入社した。同市どころか茨城にも縁がなかったが、東京で「ゲストハウスをやれるところがないか」と人づてに探しあてたのが、同社が指定管理者となり開設するゲストハウス「江口屋」だった。 同市坂の歩崎公園近くにある江口屋は、明治後期に建てられた築110年の古民家を改築した宿泊施設。元の造り酒屋の屋号を受け継ぐ形で、7月下旬オープンした。敷地面積約3000平方メートル、建物は約190平方メートル、外観は合板葺(ふ)きだが、内部には茅葺きがまだ残っており、平屋建てらしからぬ屋根の風格がある。東に開けた和障子越しに、霞ケ浦から昇る朝日が望めるロケーションだ。 元は造り酒屋だった「江口屋」、内外装とも装いを新たにした=かすみがうら市坂 和室と洋室の全3室のほか食堂や広間を備える。部屋は通常1室2人で、新型コロナ対策から週末のみ2家族限定の宿泊を受け入れる形で予約をとったところ、早々に8月中の予約が埋まった。いばらき応援割(茨城県宿泊促進事業)を利用した県内からのお客たちだった。 1泊朝食付きの宿泊料金は大人(中学生以上)1人7000円(税別)、毎朝かまど(羽釜)で炊き上げるご飯をはじめ、地場産の野菜などで朝食が提供される。平日は日中、バーベキューや石窯ピザづくりなどが楽しめる体験プログラムを用意している。

事務処理ロボットRPA 県が20業種で導入、業務時間6割削減 

【山崎実】2019年度からRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション、ソフトウエアロボットによる業務自動化)を本格導入した茨城県が、その実証効果を明らかにした。 県行政経営課によると、昨年度は20業種でRPAを導入した。ICT(情報通信技術)を活用した業務の生産性向上が目的で、働き方改革の一環だった。 結果、職員の業務時間を、導入前の年5万8593時間から2万2810時間と、3万5783時間(見込み)の削減効果が得られたという。特に県立学校教職員の出張旅費入力業務では、年1万6354時間の削減ができたとしている。 財務会計システムを利用するRPAは新型コロナウイルス感染拡大防止協力金の支給にも活用し、支払い処理に要する時間を1件当たり12分から2分へと約80%短縮した。 同課は、今年度も介護支援専門員の登録業務、不動産取得税の税務情報入力業務、小中学校非常勤講師の給与支払業務や児童福祉施設への委託費集計事務、源泉徴収一覧表の作成ーなど20業務にRPAの導入を予定している。 これまでの実証効果を踏まえ同課は「引き続き現場の政策立案、対外的な調整業務や、県民サービスの向上に職員が傾注できるよう。業務改革を推進していきたい」としている。
おすすめ