月曜日, 5月 6, 2024
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橋立多美 -検索結果

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重度障害者の息子との歩みを本に 試行錯誤でコミュニケーションを磨く つくば

【橋立多美】生後6カ月の時にインフルエンザ脳症を発症し、後遺症で「一生歩くこと、しゃべること、笑うことはできないでしょう」と宣告された遥(はるか)君が笑顔を取り戻し、意思を伝えるまでの道のりをつづった「会話の軌跡―重度重複障害者の息子とのコミュニケーション」をつくば市の江藤睦さん(56)が自費出版した。 それは22年前の12月6日のことだった。長男が通う幼稚園の行事に生後半年の3男遥君をおんぶして参加した。行事が終わり、帰路について背中の遥君がけいれんしていることに気付き、筑波メディカルセンター病院に搬送された。 数時間後に対面した遥君はICU(集中治療室)で人工呼吸器とチューブにつながれていた。容態が悪化し緊急の脳外科手術を経て2ヵ月後に退院した。江藤さんは入院中のことを「体は硬直してまるで丸太のようだった。眼球は上転していて見えているかわからない。私にできることは、こわごわと荷物を抱えるような抱っこだけ」と記している。 病院や市立療育センターでリハビリを受けながら遥君の生活能力を上げるためにあらゆる福祉機器を使ってみたが、徒労に終わった。「誰かに生活を助けてもらわないと遥は生きていけない。遥が望む生活をさせてやるには意思の疎通ができなくては。意思疎通の方法を教えて体得させなければ」と思い至った。 根気強く何度も繰り返して単語を、文字は押すと音が出る50音表のおもちゃで教えた。やがて身体障害者向けの意思伝達装置の文字盤を使ってコミュニケーションがとれるようになっていった。公立幼稚園と小学校(特別支援学級所属)では文字盤で友だちと会話し、明るく毎日を送る中で言葉の幅を広げていった。 県立つくば特別支援学校(同市玉取)肢体不自由教育部門の中学部に進学すると、短文を発語して意思を伝達できるようになった。同校の高等部に学んだ遥さんは現在22歳。卒業後の支援プランづくりに本人が加わり、文字や口話で表した希望に添って障害者支援施設に通所している。 江藤さんは「人とふれあうコミュニケーションは生きる喜び。遥がその力を身につけたのは奇跡ではなく、親と子の努力の軌跡がもたらした」と記す。 同書は薬剤師の資格を持っているのに我が子の命に関わる事態に気付けなかった自分を責め、遥君の幸せを願って試行錯誤してきた一人の母親としての歩みでもある。「障害のあるなしに関わらず多くの人に読んでほしい」と江藤さんは話している。 ◆167ページ、定価1800円(消費税別)。申し込みと問い合わせは江藤さんのEメール(uraraka22.kaiwa@gmail.com)まで。 ◆自分の死後、障害がある子どもは生きていけるのか、と不安を抱く親のための「親なきあと相談室」を開設している。申し込みは上記江藤さんのEメールに。

沖縄の現在と戦後を伝える 島唄と美術がつくばでコラボ

【橋立多美】沖縄八重山民謡の第一人者と呼ばれる力強い歌声と、沖縄生まれの写真家と美術家が戦後から今のオキナワを伝える「南風の伝言2019」が、9月につくばで開かれる。島唄コンサートが14日つくばカピオホールで、写真と絵画の二人展が3日から16日まで県つくば美術館で開催される。芸術文化の振興を図り、特定非営利団体(NP)設立を目指している芸術文化振興NPO準備委員会が立ち上げた実行委員会(野口修代表)が主催する。 八重山のリズムで歌う島唄 「沖縄・島唄コンサート」に出演するのは、石垣島生まれの大工哲弘さん。八重山民謡の大家、山里勇吉に師事し、島唄や日本の唱歌を八重山のリズムで歌う。1994年にリリースした「沖縄を返せ」がヒットして注目された。八重山民謡を基本に世界の様々な音楽要素を取り入れて奥行きのある音楽世界を作り出し、海外公演歴も数多い。 大工さんは「終戦後、米軍占領下におかれた民衆が苦しみを吹き飛ばすために作った島唄は、民衆の汗と血の中から湧き出して今も歌い継がれている」と語っている。 写真と絵画が映し出すオキナワ 「鎮魂と不屈の沖縄」と題する二人展は、大戦後に糸満市で生まれた写真家、大城弘明さんとコザ市(現沖縄市)生まれの美術家、与那覇大智さんの計60点を展示する。 大城さんは戦争の爪痕を生活の中に見て育ち、少年の日の記憶をたどりながら沖縄の現状を撮り続けている。写真集「地図にない村」(2010年未来社)などを発表している。 与那覇さんは沖縄が「日本化」する時代に育ち、沖縄県立芸術大卒業後、筑波大大学院を修了してつくば市に在住している。沖縄の歴史に向き合うことがなかったが、東日本大震災の原発事故で変わった。国や東電に対するやり場のない憤りが、戦後の沖縄につながったという。以来、不条理な連鎖が続く沖縄へのメッセージをアートの領域から発信している。 会期中の9月8日午後1時30分から3時まで、大城さんと与那覇さんのアーティストトーク「写真と絵画が映し出すオキナワ」が展示会場で繰り広げられる。 【沖縄・島唄コンサート】 ▽日時 9月14日(土)午後6時30分開場、7時開演 ▽入場料 一般前売り4000円、当日4300円。学生・障害者は3000円(全席自由) ▽会場 つくばカピオホール(つくば市竹園1-10-1) ▽会場ロビーで飲み物や軽食などを販売する予定 ▽チケットのweb予約 https://artsnpo.wixsite.com/home ▽予約と問い合わせ 実行委の野口さん(090-8580-1288) 【二人展「鎮魂と不屈の沖縄」】 ▽会期 9月3日(火)~16日(月・祝日) ▽入場無料 ▽会場 県つくば美術館(つくば市吾妻2-8) ▽開館時間 午前9時30分~午後5時(最終日は午後3時まで、9日は休館) 「南風の伝言2019」の詳細は実行委員会ホームページで。企画のNPO準備委員会では、クラウドファンディングで会場費や運送費などの資金を募っている。申し込みはホームページで。

中国向け発送拠点で水を得る つくばで就職の筑波学院大留学生

【橋立多美】県内物流大手、沼尻産業㈱のECささげ物流越境センター(つくば市榎戸)で働くキンカイ(金海)さん(32)は、中国内モンゴル自治区出身。昨年春、筑波学院大学経営情報学部(同市吾妻)を卒業して同社の正社員となった。就職を機に就労ビザを取得した。 キンカイさんは2012年に来日して千葉県柏市の日本語学校で2年間日本語を学んだ後、同大に進んだ。学業とアルバイトを両立しながら言葉の壁を克服し、日本語能力試験で最もレベルの高い「N1」に認定された。 職場はEC(中国向けのインターネット通販)物流の発送拠点。約2300平方メートルの倉庫内のスチールラックに保管された化粧品や健康用品、日常品など、数万点に及ぶ日本製品の中から注文に応じて取り出し、検品と計量してから丁寧に梱包して箱詰めする。受注から48時間内に出荷して航空便で中国に輸送される。 今は笑顔で出荷作業をこなすキンカイさんだが、配属されて3カ月は言葉遣いやマナーを考えるあまり、緊張の連続だったという。もう1人の社員と共に、パート4人に作業指示を行う立場だが、謙虚な姿勢が好感を持たれ女性パートさんたちから「キンちゃん」と親しまれている。 時間までに梱包出荷を終えることが重要で、保管された商品の9割は保管場所が頭に入っているという。また広大な中国の省や自治区の名称と位置、そして現地の消費者動向を熟知しているキンカイさんにとって、中国市場への物流は手応え十分のようだ。 正月やイベントなど、中国人が通販サイトで爆買いする繁忙期は、一日で5000件以上を出荷したと話すキンカイさん。「日本製品に対する信頼は厚い」とも。定番人気の美容化粧品に加え、最近はコンタクトレンズの注文が多いそうだ。 プライベートも充実 直属の上司で、ECささげ物流国内センター長兼課長の糸賀陽子さんは「ミスなく仕事ができ、今の時期はパートさんに熱中症に注意を呼びかけるなど、気遣いができる」と評価する。同大学での入社説明会で「聞く姿勢がしっかりしている」と感じた人事課の谷口拓也主任は、前向きに仕事に取組み、人柄が良いと信頼をおく。 経験を積み、会社に貢献したいというキンカイさん。将来は会社が中国に支店を開設し支店長として業績を伸ばすこと。叶わぬなら貿易会社を設立したいと志を熱く語った。 「仕事が安定して幸せ」と話すキンカイさんはプライベートでも充実している。今年6月に長男が誕生。顔を見れば疲れは吹き飛び、父親としての責任感が生まれたという。 留学ビザで来日して7年。これまでを振り返りつつ、外国人留学生たちに「周囲には心優しい人がいる。僕には学院大の先生たちがいた。理解者に相談しながら、目標に向けて諦めずに前進を」とメッセージを送る。 ➡キンカイさんのインタビュー記事はこちら

地域の楽しみ方広げる つくばACCS人気番組「月刊チラシズム」8月号は夏休み催事中心

【橋立多美】ケーブルテレビが発信するコミュニティチャンネル(自主放送)の番組は、地域の観光資源や行政情報が王道で、ある種のマンネリ感が否めないなか、研究学園都市コミュニティケーブルサービス(ACCS)が制作している「月刊チラシズム」は話が別だ。つくばと土浦の公共施設などで集めた100枚以上のチラシを世相と照らし合わせて斬り込むことに軸足を置く。地域の楽しみ方を広げたと番組ファンの1人は語る。 https://youtu.be/BdODZdynPlI 怪しげな笑い声をバックに「冬木周一がつくばに迫る」と題したオープニング映像が流れる。続いて、つくば市在住の脚本家、冠木新市さんが「語り手」として収録室の壁一面に貼られたチラシを紹介する。色遣いや文章など時代を背景に変化するチラシを独断と偏見で斬り込みつつ、イベントやコンサートなど、お薦めのスポットに焦点を当てる。 そこにもう一工夫加えたのが、冠木さんとタッグを組んで同番組を制作している飯泉彩プロデューサー。ギョロ目のイラストを用い、あえてチラシを指すのに指し棒を使わず、毛深い冠木さんの指にこだわった。 番組放送開始から2年を経た今では「語り手の声が良くて(毛深い)手が気にならなくなった」の声が寄せられる。飯泉さんは「怪しい雰囲気の番組作りを目指した。作戦通り」と満足気だ。 飯泉さんにとって同番組は格別の思い入れがある。チラシ収集家でもある冠木さんにチラシを使った番組制作を持ちかけられていたが、踏み出せぬまま1年間の産休に入った。ところが産休中たびたび「復帰はまだか」と冠木さんから連絡がくる。「早く復帰せねば…」の思いが増幅し、子どもの寝顔を見ながら番組の企画を練ったという。 つくば市在住の櫻井豊さん(55)は番組を楽しみにしている1人。「語り手の価値観でチラシが紹介されているが、鋭い視点で面白い。イベント情報は興味のある分野をチェックするだけになりがちだが、スポットが当てられることで関心を持ち、地域の楽しみ方の次元を上げてくれる」と話す。冬木さんに会いたいと、つくば三井ビル内のACCSを訪ねてくる人もいるそうだ。 「月刊チラシズム」8月号は、夏休みの子ども向けイベントを中心に収録され、8月5日から放送される。番組放送はACCS11チャンネルで午前8時5分~、同11時5分~、午後3時5分~、同6時35分~の1日4回(1回10分)。問い合わせはACCS(電話029-852-6111)まで。

《留学生インタビュー》3 犬猫と共生する知識を吸収 人のやさしさに触れた

学生が学外で活動して経験値を高める筑波学院大学(つくば市吾妻)の社会参加型教育プログラム(OCP/オフ・キャンパス・プログラム)で、中国・内モンゴル出身のレイギョウさんは「NPO法人動物愛護を考える茨城県民ネットワーク」に運営スタッフとして参加した。同大入学前、つくば国際ペット専門学校(同市沼田)で学び、入学後は動物愛護団体のシェルターでの実践を通して飼い主の責任に目覚めた。「OCP活動で成長できた」と話す。 経営情報学部 ビジネスデザイン学科 3年  レイ ギョウ(冷凝)さん ―動物愛護活動に参加を決めたのはなぜ? 動物が好きで学院大に入学する前の2年間、つくば国際ペット専門学校のペット総合コースで勉強しました。この経験もあって、OCP活動を受け入れてくれる自治体や企業など多くの団体の中から、迷わず「動物愛護を考える茨城県民ネットワ-ク」に決めました。 ―具体的な活動は? 里親募集をする犬猫の飼育と、里親探しに不適な犬や猫を保護して殺処分を避けるためのシェルター(土浦市)で、スタッフの皆さんと犬と猫の世話をしました。犬20頭と猫20匹がいて、餌やりと犬の散歩、室内の清掃を任されました。シニアの犬が多く、病気治療のために薬を飲ませるのも活動の一つでした。 ―活動の中で印象に残っていることはありますか? どの子も私を覚えてくれて、2日目には「遊ぼうよ」と近づいてきました。すっごくかわいかった。それと、雨の日も風の日もお正月も世話は休めません。活動中の8月に大型台風がきて、誰もシェルターに来られなかったら大変とこわごわ運転して行ったら、スタッフ全員がいました。動物たちへのやさしさと責任感に感激しました。 ―活動を通じて学んだことは? ペット専門学校で捕獲された犬や猫が殺処分されていることなど、ペットたちの状況を勉強しました。でも実感できなかった。シェルターで一緒に過ごすことで動物たちの命に対する認識が深まり、不妊手術をした猫の耳先をV字にカットすることを知りました。 今はペットを飼う人には「不妊手術をして一生面倒を見てあげて」と話します。活動で学んだことを活かすことで動物愛護に貢献できていると思います。ペット可の部屋で犬と猫と暮らしていますが、不妊手術をして猫にマイクロチップを埋め込んでいます。 ―将来像はどう描いていますか? グローバルコミュニケーションコースで学んでいて、日本語教師を目指しています。卒業後、都心でもっと日本語力をつけてから中国に帰り、日本語を学び人の役に立ちたい。 ―大学生活はどうですか? 筑波学院大学は私のような外国籍の学生がいて、文化の違いを気にせず交流できて楽しく過ごしています。華道部で生け花を習得中ですが、長時間正座しても足はしびれず平気。静かな空間で日本の文化に浸っています。 (聞き手・橋立多美)

区長たちに好評 地区相談センター開設2年 つくば市

【橋立多美】つくば市が地域の意見や要望を一括して受け付け、課題解決に取り組んで市政に反映させる「地区相談センター」を市内6カ所に設置して2年が過ぎた。南部の茎崎地区に設置された「茎崎相談センター」は、足繁く相談に訪れる区長たちに好評だ。 相談センターは2017年4月に筑波、大穂、豊里、桜、谷田部、茎崎のそれぞれの地区に設置された。地区の人口の伸びや相談件数に応じて市職員が配置されている。茎崎相談センターは今春着任した秋葉義美センター所長(59)と茂木翼さん(35)が相談に応じている。 今年4月から6月末日までの3カ月間に受け付けた相談件数は75件。道路や防犯灯、空き家などの「建設系」が47件と全体の6割強を占める。次いで上下水道、不法投棄のごみなどの「生活環境系」が7件で1割弱。相談に訪れたのは延べ35人。区長(自治会長)や市議会議員、民生委員、市民などだが、区長は全体の6割強(20人)と圧倒的に多い。(1人で複数件の相談があり、件数と人数は一致しない) 区長の仕事は、防犯灯やごみ集積所の維持管理、道路、路面標示、側溝の補修の要望を行政に伝えるなど多岐にわたる。また行政への要望の申請は区長が届け出ることになっている。これらが区長たちを相談センターに頻繁に足を運ばせている。 茎崎地区最大の住宅団地、森の里自治会の倉本茂樹会長(77)は「入居から40年を過ぎ、道路などの公共的な設備や施設が老朽化して市に要望する件数が多くなった。相談センターができる前は無しのつぶてのケースがあったが、今は間違いなく回答を受け取ることができるようになった」と話す。 同地区区会連合会会長の小原正彦さん(80)は「高齢の区長たちにとって地区内で相談できるのは良いことだと思う」と評価する。 茂木さんによると、地区相談センター設置に併せて業務を管理するための「相談システム」が整備され、相談センターと案件に対応する各部署が情報を共有し、連携して問題解決に当たっている。市民がたらい回しにされるなど縦割り行政の弊害を払拭しようとする仕組みで、案件がデータ管理されることで進捗(しんちょく)状況の確認ができるという。 同センターは、相談を受けた翌日に現場確認を行って担当する部署に案件を伝える。おおむね1、2週間、長くて1カ月以内に相談者に回答して解決に至っているという。 新たな仕組みで相談業務が円滑になったが、滞るのが管理されていない空き家や山林の相談だ。 昨年度の同センターの相談受付件数は計約160件。インフラや生活環境に関する130件は解決したが、残り30件は老朽化が進む空き家や隣接する山林から樹木が越境してくるという困りごと相談。担当部署が所有者に適正な管理をお願いする文書を出しても改善されず、未解決となっている。 民事に関する相談は行政書士や法テラスにつなげる。まれに生活苦や将来への不安を訴える相談者もいる。 茂木さんは「傾聴することで落ち着かれる方もおられる」と話す。秋葉センター所長は「思い立ったら気楽に来てほしい」と来所を呼び掛ける。 ◆茎崎相談センターの相談受付時間は午前8時30分~午後5時15分、土日祝は休み。つくば市小茎320(茎崎保健センター内)。電話029-883-1384。 【2018年度の地区相談センター実績】▽大穂=131件▽豊里=142件▽谷田部=249件▽桜=330件▽茎崎=162件▽筑波=84件。谷田部と桜の相談件数が突出して多いのは、つくばエクスプレス(TX)沿線開発により新たなまちが形成され、通学路の整備や防犯灯設置などの要望が急増したため。

夏休みは高校生に開放 静かで能率アップ 筑波学院大図書館

【橋立多美】つくば駅から徒歩7分の筑波学院大学(つくば市吾妻)が昨夏に続き、夏休み期間中の8月30日まで高校生に附属図書館を開放する。同大は、公開講座やイベントなどを通じて積極的に大学を地域に開放している。課題への取り組みや自主学習に役立ててほしいと、高校生に利用を呼び掛けている。 閲覧席が計238席あり、1、2階の閲覧室とAV資料用座席で勉強できる。閲覧室配置のパソコンも利用できる。約7万5000冊の図書やDVDなどの視聴覚資料は館内で自由に閲覧できるが、高校生に資料の館外貸出は行わない。予約不要で、入館時に入館票に必要事項を記載する。 夏休みに落ち着いて勉強できる場所はないかと思っている高校生には最適。大学図書館の環境を体験しながら勉強でき、静かで能率アップが図れる。ペットボトルや水筒などふた付きの飲み物は館内に持ち込み可。持参した昼食は、ペデストリアンデッキを隔てた本館玄関脇の学生ラウンジで食べることができる。 ▷利用時間は午前9時~午後5時。土曜は午前9時~正午まで。日曜とお盆(8月10~17日)は休館。問い合わせは同大附属図書館(電話029・858・4820)。開館日時は変更になる場合がある。同大学のホームページで確認を。 公共図書館も学習スペース用意 つくば、土浦市の公共図書館にも学習スペースが用意されている。 【つくば市立中央図書館】書庫の並ぶ1階窓側に34席の閲覧席がある。混雑緩和のため午前と午後、入れ替え制で利用できる。利用日当日、中央カウンターで申し込む。また図書館2階の集会室を学習室(30席)として開放している。自由に入退室でき、申込不要▽学習室の利用は休館日を除く午前9時~午後5時、8月31日まで▽同図書館の開館時間は午前9時半~午後7時、月曜休館。つくば市吾妻2丁目。問い合わせは電話029・856・4311。 【土浦市立図書館】4階まなびのフロアに学習室(95席)がある。同室入り口の座席利用受付システム端末で利用申請が必要。学習室の他にも各階に多くの閲覧席が設置され、目的に応じて利用できる▽開館時間は平日は午前10時~午後8時、土日祝日は午前10時~午後6時、月曜休館。土浦市大和町1丁目。問い合わせは電話029・823・4646。

水遊び場2施設で開放 つくば市 チビっ子ら大はしゃぎ

【橋立多美】梅雨寒から解放されて蒸し暑くなった18日、つくば駅に近い中央公園(つくば市吾妻)の一角に設けられた水遊び場に子どもたちの元気な声が響いた。 つくばエキスポセンター前の水遊び場は広さ約680平方メートルで深さ約10センチ。周囲がコンクリートのため、けが防止策として人工芝が敷かれて噴水を備えている。 水と戯れる5歳と2歳の兄弟を見守っていた学園の森在住の母親(32)は、「水はきれいだし、こうした場所があってうれしい。梅雨が明けたら毎日のように通ってくるかも。今夜は疲れて良く寝てくれると思う」と笑顔だった。 中心市街地の魅力向上や、にぎわい創出を進める市の「プレイスメーキング事業」の一環として昨年、整備して市民に開放した。約2200人が利用して好評だったことから、今夏は松代公園のくまさん池も開放されている。 ショッピングセンターのララガーデンに近い松代公園は、1000本近い自然のアカマツ林を生かした住宅地の中の静かな公園。園内には水とふれ合うくまさん池を始め、遊具や芝生広場がある。くまが小型の噴水を抱える池は、広さ約400平方メートルで深さ20センチほど。 市は、わずか数10センチの水深でも子どもが溺れる危険性があるとして、保護者に子どもから目を離さないよう呼びかけている。 水遊び場開放日時 ▽中央公園は9月16日までの午前9時30分から午後4時まで。休みは7月25日、8月8日、23日~26日、9月9日。 ▽松代公園は8月31日までの午前10時から午後4時まで。休みは7月23日、8月6日、20日、27日。 いずれの水遊び場も天候等によって中止になる場合がある。

30匹に不妊去勢手術 つくば 増える空き家に住みつく野良猫

【橋立多美】つくば市森の里の自治会公会堂駐車場で16日、野良猫の集団不妊去勢手術が行われた。入居開始から40年を経た森の里は高齢化によって空き家が増加し、管理されていない空き家に住みついた野良猫への苦情が自治会に多く寄せられている。 住民間のトラブルの原因にも 庭の芝生が糞尿や嘔吐(おうと)物で汚されて臭く、衛生上問題がある。花壇が荒らされる、発情期の鳴き声がうるさいといった苦情が続出。さらに、野良猫にとって空き家は繁殖の場所としても最適で、子育て中の母猫の姿にほだされ、餌を与える人に非難の目が向けられるなど、住民感情が二分される状況を生んだ。 増え続ける野良猫に困った住民たちに応えたのが、県南を中心にTNR活動を推進している動物愛護団体「Team.ホーリーキャット」(重松聖子代表)。命の尊さを未来に繋げようと2年前に発足した団体で、県地域猫活動推進事業=※メモ=として不妊去勢手術を実施した。 TNRとはTrap(捕獲)、Neuter(不妊去勢手術)、Return(元の所へ戻す)の頭文字。不妊去勢手術を施す時には手術済みの目印として猫の耳先をV字にカットする。繁殖防止と殺処分の減少に寄与する一方、餌やりをしても増える心配がないので住民同士の対立は和らぐ。 手術前日、団体スタッフが森の里各所に餌を入れた捕獲器をセットして野良猫30匹(雄14匹、雌16匹)を捕獲した。施術したのは移動手術室トレーラーでやってきた、埼玉県越谷市のいながき動物病院の獣医師4人。 不妊去勢手術の普及によって子猫の殺処分を減らそうと、稲垣将治院長をはじめ獣医師たちは土浦分院などで定期的に手術を行っている。手術と3種混合ワクチンを接種された野良猫たちは翌日元いた場所に戻された。 猫を飼っている女性(72)は、強い雨の日に子猫をくわえた母猫を哀れに思って家に入れた。それ以来、餌をもらいに現れるようになったが周囲の目が気になっているという。「これで猫好きな人と苦手な人がぶつかることがなくなるとうれしい」 自治会長の倉本茂樹さんは「1980年代に約5000人が住んでいた森の里だが、今では子どもたちが独立し約2900人にまで人口が減り、2人に1人が高齢者。子どもの元に身を寄せたり施設入所などで空き家は100戸に上る。空き家に住みついた猫に1人暮らしの高齢者が寂しいからと餌をやって近所とトラブルになる。今回の取り組みで好転してくれると助かる」と話す。 Team.ホーリーキャットは活動の一環として毎月牛久市で里親会を開催している。問い合わせは代表の重松さん(電話090-8058-3129)まで。 ※メモ 県地域猫活動推進事業 不妊去勢手術の徹底、周辺美化などのルールに基づき、野良猫を地域で飼育する地域猫活動を支援し、手術費用の補助を行う。2018年度は605匹分の手術費用補助を行い、野良猫の減少や糞尿被害に関する苦情の減少などの効果が報告されている。  

梅雨寒の影響は?「農産物の栽培管理を徹底、例年と変わりない」JAつくば市谷田部

【橋立多美】6月末から梅雨寒が続いている。長雨と日照不足が野菜の生育と価格に影響しないか、JAつくば市谷田部の農産物直売所「野っ食べ」(やったべ)を訪ねた。 国道354号線沿いの同直売所には、生産者から運び込まれた朝採り野菜や食べ頃で糖度の高いスイカなどが並べられ、消費者が思い思いの品を手に取る姿が見られた。入荷量、品質、価格とも例年と変わりはないという。 横田伊佐夫組合長は「多湿だと病害が発生して作物の育成に影響するが、栽培管理を徹底することで防いでいる」と話す。また「コメは穂出時期に天候が不順だと受粉が進まず、収獲量に影響が出る。例年穂出するのは8月1日ごろで、今月20日以降は晴れる日が増える予想で心配はないと思う」と余裕を見せた。 JAつくば市谷田部の農産物は、化学肥料や農薬の使用を極力抑えて栽培し、安全な食にこだわる生活協同組合パルシステムと提携している。直売所では、野菜のおいしさを熟知している生産者が作った漬け物や、低温管理のショーケースで品質が保たれた玄米も販売されている。 核家族化が進展する時代を反映してカット野菜に注目が集まる。横田組合長は、スーパーではスイカ1個を食べきれない消費者のニーズに合わせてカットされたスイカが販売されている。当直売所も消費者の世帯構成に配慮していきたいと話してくれた。 JAつくば市谷田部 農産物直売所「野っ食べ」 住所▷つくば市谷田部2074-1 電話▷029-836-4101 営業時間▷午前9時30分~午後6時(4月~9月) 午前9時30分~午後5時半(10月~3月) 定休日▷なし(1月1~3日のみ休み) ➡農産物直売所「野っ食べ」の過去記事はこちら

「感謝して手放したい」 1000体の人形を供養 JAつくば市谷田部

【橋立多美】JAつくば市谷田部(横田伊佐夫組合長)主催の人形供養祭が29日、同市榎戸のJA谷田部つくばホール(建物面積1248平方メートル、220人収容)で行われ、持ち込まれた約1000体の人形の供養が行われた。 祭壇に並んだのは、子どもの健やかな成長を願ったひな人形や五月人形、遊び相手として親しまれてきた大小のぬいぐるみ、日本人形、羽子板など。受付は1家族につき20体までとされ、数体持ち込む人がいる一方、箱に入ったままの段飾りのひな人形を運び込む参列者もあった。僧侶による人形供養が執り行われ、読経に合わせて約100人の参列者が焼香して人形に別れを告げた。 フランス人形など7体を持ち込んだ谷田部在住の55歳の女性は「人形に感謝してきちんと手放したいと申し込みました」。70代の女性は「10年前に他界したしゅうとめが大事にしていたフランス人形で、ケースが壊れたので思い切って供養することにしました」。5歳の女児と一緒に参加した30代の女性は「姉と私がかわいがったぬいぐるみを持ってきました。押し入れの奥から出したら娘が喜んで、子ども時代を思い出しました」と話した。 供養祭は「押し入れに入ったままだが、ごみのように処分するのは忍びない」人たちに感謝されているという。今年で3回目。地元谷田部地区のJA組合員だけでなく、近隣住民の参加もある。供養祭を終えた参列者たちは一様に晴れやかな表情でホールを後にした。

子ども食堂を継続するためには? つくばで聞く ジレンマと台所事情

【橋立多美】「子ども食堂」が全国各地に生まれ、つくば市内では6団体が取り組んでいる。調理と食事ができるスペースを確保できれば始められる一方、担い手や資金の問題から継続することが難しいとされる。「継続するために知恵を絞り努力する」を活動方針に掲げて子ども食堂を運営している同市の市民グループ「竹園土曜ひろば」(毛利正英代表)の活動と台所事情を取材した。 子ども食堂は、無料または低額で食事を提供し、子どもたちの居場所となる。2014年に子どもの貧困対策法が施行され、表面上は見えない貧困層の存在が社会に認知されるようになった。一方、同年に厚労省が発表した子どもの貧困率は16.3%で過去最悪を更新し、6人に1人の子どもが貧困状態にある。 第4土曜日の22日午前9時過ぎ、同市竹園の竹園交流センター調理室に包丁で野菜を刻むリズミカルな音が響く。6つの調理台で計量や調理、食器などを洗う作業が進む。三角巾とエプロン姿のメンバーたちが家庭科の調理実習のように楽しそうに口と手を動かす。11時を回るとハッシュドビーフ、トウモロコシご飯、ヨーグルトマヨサラダが完成。デザート用のスイカもカットされた。 同ひろばは、昨年6月に開催された竹園交流センターの講座「貧困の連鎖を断ちきろう―私たちにできることってなんだろう」を受講した市民たちが始めた。講師は龍ケ崎市で子ども食堂を実施している団体代表で「自分もできることを…」と集った。地域住民が交流し、子どもの成長を支援する食堂を11月にスタートさせた。中高年の男女9人が運営を担っている。 活動は月1回で同センターの和室で午前10時30分から午後2時30分まで。昼食は正午からの1時間で、前後に遊びや手作り体験などを取り入れている。料金は乳児無料、中学生まで100円 、高校生以上300円。提供する食事は30食ほどでホームページでの事前申し込みを優先している。活動が周知され、春から、開催1週間前にはいっぱいになるという。 近隣農家から寄付される野菜をベースに、調理師も加わってメンバーがメニューを考える。また調理のプロの安全対策を共有し、調理ボランティアには手洗いを呼び掛けるなど、徹底した衛生管理を行っている。 補助金や助成金が頼みの綱 子ども食堂が子どもの貧困対策としてすぐに効果を表すことは難しい。それは「貧困状態にある家庭向け」にすると参加しづらくなるためだ。多くの子ども食堂は誰もが参加しやすい食堂づくりを心掛けている。そのため支援を必要としている家庭に届いているか分からない、というジレンマが存在する。 代表の毛利さんは「つくば市には貧困で居場所のない子どもが約1200人いて、竹園周辺地区には100人弱いると想定できる。貧困層を見分ける術はなく、孤立しない(させない)ための食を通じた交流を継続して続けていく」と話す。貧困対策に絞った活動ではないことで、困っている施設や人に食べ物を届ける活動をしているフードバンクの支援を受けられない悩みもある。 毛利さんによると、毎月の活動にかかる費用は約1万5000円。コメや生鮮食品と調味料、参加見込み人数で加入するボランティア行事用保険などが占める。野菜を寄付してもらうことで肉や魚を購入できるという。 利用者が増えて毎回の食事代収入は8000円以上になったが、資金が足りず補助金や助成金が頼みの綱だ。昨年は市の子ども食堂支援事業補助金(年5万円で申請は3回まで)の交付を受け、今年はキューピーみらいたまご財団の助成金を受けた。 つくば市は今年度から、生活困窮世帯の子どもの支援事業を充実させるため「つくばこどもの青い羽根基金」を創設した。基金は市が実施する学習支援事業や子ども食堂などに充当する予定だが、現時点で、いつ、どう振り分けるかは不明だ。「活動の拠り所であるだけに基金の運用が気になる」と毛利さんは気をもむ。 ◆次回は7月13日(土)に開催予定。竹園土曜ひろばのホームページはこちら

【香害】㊦ 洗濯に注意促すチラシ配布 つくば市教委

【橋立多美】つくば・市民ネットワークは、子育て中の疑問や悩みを話し合う「子ども部会カフェ」を開いている。この場で、クラスで使いまわす給食当番の白衣の強烈なにおいが話題に上り、2人の母親が子どもの化学物質過敏症の深刻さが周囲に伝わらない苦しい胸の内を明かした。 白衣の匂いで食べられない 白衣の強い匂いで給食が食べられない児童がいる。子どもが持ち帰った白衣は洗濯しても匂いは残り、アイロンをかけたら匂いが立ち上って気分が悪くなったという話もあった。 子どもたちへの影響が懸念され、昨年6月の定例議会で同ネットワークの小森谷佐弥香議員が市の対策を質問した。市は「学校及び幼稚園、保育所の統一した取り組みは行っていないが、強い香りの製品の使用について保護者に配慮をお願いしていく」と回答した。 今年3月、市教育局健康教育課が幼稚園と小・中学校の保護者全員に「強い香りに困っているお子さんがいます」とタイトルを付けたチラシを配付。5月には新入園児と新1年生の保護者を対象にチラシを配った。小中学校向けのチラシには、白衣と貸し出し用ジャージの洗濯に注意を促す一文が書き加えられている。 同課は今後もチラシを配布し保護者への周知を図っていくとする。チラシ配布後、同課に「(香害で)困っていたので助かりました」と電話がかかってきたそうだ。 元凶は揮発性有機化学物質 「香り製品で健康を損ねる香害の元凶は揮発性有機化学物質」と話すのは、NPO「化学物質による大気汚染から健康を守る会」理事の津谷裕子さん(89)。土浦市在住の津谷さんは元産業技術総合研究所の研究者。米国製の測定器を輸入し、科学的視点で環境調査と市民への啓発活動に取り組んでいる。 揮発性有機化合物の一種、イソシアネートは毒性の指摘もある。欧米では製品に含まれるイソシアネートの規制が厳しいが、日本では野放しになっていると津谷さんはいう。多種類のイソシアネートが塗料や接着剤、道路舗装、家具や衣服の防水加工など身近なところで使用されている。 津谷さんによると、柔軟剤や洗濯洗剤などの香りを持続させるためにイソシアネートで出来たマイクロカプセルが使われ、光と熱、摩擦でカプセルが破れ、香りが徐々に出る仕組みだという。ところが破れたカプセルからは中身の香りだけでなく、有害物質のイソシアネートが飛散して空気を汚染するという。 津谷さんは1996年、東京・杉並の自宅近くに建設された不燃ごみを圧縮・積み替えする中継施設からの空気汚染で、ある日突然、化学物質過敏症を発症した。化学物質が付着した家財全てを捨てて土浦に転居した。67歳だった。 「化学物質過敏症は誰もに起こり得る可能性がある。人ごとと思わず、使っている香り製品などが、自分や子どもの体に悪影響を及ぼすかもしれないとの認識に立って買い物をすべき」と警鐘を鳴らす。 これからの季節は制汗スプレーを使う児童生徒が増える。津谷さんは「クーラーで教室の窓を締め切ることが多くなる。制汗剤のにおいで、化学物質に敏感な子どもは苦しいのでは」と心配する。 ◆同会がこのほどイソシアネートの調査結果をまとめた冊子「絵でとく 日本におけるイソシアネートのすべて-健康被害、どこにある?どんなふうに?」を発刊。希望者に無料で配布している。先着順。問い合わせはメールvoc@kxe.biglobe.ne.jp(同NPO)。

【香害】㊤ 一緒に遊べない、お昼寝できない つくばの保育園児

【橋立多美】近年、柔軟剤や洗濯洗剤、制汗スプレーなど、強い香りの製品による健康被害が社会問題になってきた。空気中に漂う有害な化学物質の香り成分にさらされることから、「公害」をもじって「香害」(※メモ)と呼ばれる。中でも化学物質過敏症の子どもにとって、一日の大半を大勢と一緒に過ごす学校や保育園の香害は新たな脅威となっている。 「匂って嫌」 つくば市在住のA子さん(36)が娘のB子ちゃんの異変に気付いたのは2年前、市立保育園に入園したときだった。いつも1人遊びをするため「変わっている子」と言われた。それは幼くて言葉で伝えられなかっただけで、年中クラスになると「ママ、着替えを入れるタンスや、お昼寝ホール、タオルを吊り下げている所が匂って嫌」と理由を説明してくれた。A子さんは「友だちと遊びたくても衣服の匂いがきつくて近寄れなかったんだと思う」と話す。 家ではなんともなく、何が原因か情報を集めて化学物質過敏症だと分かった。半年かけて保育園と話し合った。「香りは好みの問題で慣れれば…」という方針だった園も次第に理解をしてくれ、B子ちゃんの着替えはタンスからかごに、タオル掛けはみんなのタオルと離れた場所に移動してくれた。また、園便りで「香りの強い柔軟剤などの使用の自粛」を呼びかけてくれた。 園の理解は進んだが行事で保護者が保育園に集まると目や鼻をかゆがる、気分が悪くなるなどの症状がでる。帰宅して熱を出したこともある。運動会は園庭に出られず、1人保育室で過ごした。体調不良で登園できない日が多くなり、仕事を辞める覚悟で今年2月に退所届けを出そうとしたが「もう少し様子をみましょう」と園に説得された。 月曜日は香りが強い 4月に年長になったB子ちゃん。A子さんに「保育園に行きたい」とせがむようになった。登園しているが、園児たちの布団が敷かれるホールは洗剤などの香りが充満し、B子ちゃんには耐えられないことから、昼寝時間は家に連れ帰る。仕事をやりくりして保育園と家とを2往復する生活を送っている。週末に布団を持ち帰ってシーツなどを洗濯するため、とりわけ月曜は香りが強くなるという。 A子さんの不安にさらに追い打ちをかけるのが来春の就学だ。小学校内の病弱・身体虚弱特別支援学級を希望するが、市から化学物質過敏症の診断書を求められている。しかし専門の外来は近くにない上、B子ちゃんは診療所や病院の待合室にいると具合が悪くなり、虫歯の治療もできないという。 こうした香害への切実な声を看過できないと、つくば・市民ネットワークの小森谷佐弥香議員が昨年6月、市議会で市の対応について質問した。(つづく) ※メモ「香害」 衣類の柔軟剤などの香りが「不快」を超え、吐き気や頭痛、ぜんそくなどの症状をもたらす。国民生活センターによると、約10年前に香りの強い海外製の柔軟剤がブームになったことをきっかけに、芳香性を強調した製品が増加。その頃から、柔軟剤の香りによる体の不調を訴える相談が増加傾向にあるという。

キャッシュレス決済に踏み切る 7月からつくば市のカフェ

【橋立多美】スーパーTAIRAYAを核とする松代ショッピングセンター(つくば市松代)に5月オープンした「SAKURA Café」(サクラカフェ)が、7月から支払いに現金を使用しないキャッシュレス決済に踏み切る。同SC内の常陽銀行松代出張所が7月19日に営業を終えることから導入を決めたもので、これまで来店した客の反応は良いという。 店主の岡﨑和男さん(60)は、今春まで同市立桜南小学校の校長だった。店名の「SAKURA」は日本人が最も親近感を抱き、学校を囲む桜が自慢の桜南小にちなむ。「子どもたちにより良い教育」を心掛けてきた思いを「松代地域にオアシスを」に切り替えた。夫婦共働きで料理をこなしていたため、厨房に立つことには慣れている。 約33平方メートルの広さの店内に客席は19席。採光を十分にとり、清潔感に満ちた快適な空間だ。これまでの来店客数は1日平均30人弱。オープン時などに広告は出さなかったが上々の滑り出しだった。 ところが今回、出張所の閉鎖に伴いATMも撤去されることになる。消費増税にあわせたポイント還元施策など、キャッシュレス化を後押しする環境が出来上がりつつありことも手伝って7月からの導入を決めたという。 入り口のドアにキャッシュレス決済を明記し、7月からの導入を客に告げると「逆に便利かも」と反応は良いという。日本の消費者はキャッシュレス化に後ろ向きと言われるが、必ずしも現金払いにこだわっているわけではなさそうと見る。岡崎さんは、各国を旅してキャッシュレス化が進んでいることを感じていた。「日本が現金社会なのは治安が良いからでしょう」と話す。 支払いはクレジットカードのほか、交通系の電子マネー、スマートフォン決済サービスで出来る。キャッシュレスに馴染めない高齢者などには配慮するそうだ。 看板メニューはブラジル産コーヒーとスリランカの紅茶。在職中、文科省が主導するブラジルとスリランカの日本人学校に赴任し、本場の味に心酔した。コーヒーは日本人好みにブレンドしている。 カレーやピザなどのメニューもあり、週替わりのランチが始まる。テイクアウトに応じ、高齢者向けのメニューを検討中。また貸し切りのパーティーにも対応する。営業時間:午前11時~午後2時・午後3時~同7時 定休日:水・日曜 電話:029-828-4573

「あっぱれ伊賀七」初公演前に公開稽古 舞台はつくば市谷田部の旧呉服店

【橋立多美】つくば市谷田部が生んだ発明家・飯塚伊賀七(※メモ)を題材にした芝居「あっぱれ伊賀七」の公演に先立って、谷田部内町の旧呉服店、アラキヤで1日、劇団「伊賀七座」の公開稽古と制作発表が行われた。集まった住民らが拍手を送り、店頭の駐車場では町内商店による露店販売でにぎわった。 かつての商業中心地ながらシャッター通りと化した谷田部内町に活気を取り戻そう、と伊賀七をシンボルにした町おこしが動き出すなかで、地元在住の劇作家・沼尻渡さん(70)が芝居公演を提案。今春、アラキヤを会場に地域住民の交流拠点となる「よりあいや伊賀七庵」と「伊賀七座劇場」を柱にする活性化プロジェクト「わわわやたべや」(長塚俊宏代表)が始動した。 座長の沼尻渡さん(ペンネーム北野茨)は、高校教師のかたわら脚本を書き、生徒に演劇を指導していた。50歳で退職し東京で演劇活動に打ち込んだが、東日本大震災で活動を支えていた地方巡業が次々にキャンセルになり、失意を胸に故郷に腰を落ち着けた。しかし今年、内町区長会の副会長になったことから「町おこしに協力を申し出た。焼けぽっくりに火がついた」と話す。 「あっぱれ伊賀七」は、浅間山の大噴火や飢きんが続く江戸期に、農民の暮らしを楽にする大時計を発明した伊賀七が、自らの命を賭けて百姓一揆に打ってでる物語。沼尻さんは「自然災害や社会不安のある現在にからめて1週間で書き上げた」という。 座長以外は初舞台 22日、23日に初公演 劇団員は黒子(くろこ)を含めて地域住民7人で、座長を除く4人は今回が初舞台となる。演出家でもある沼尻さんから指導を受けてきた。伊賀七の奉公人・加助を演じる中村壮志さん(22)は大学時代に演劇サークルに属していた経験を生かした活躍ぶり。「客席への目線や発音などの指導を受けた。同年代の出演者を増やして町おこしを若い世代に広げたい」 こけら落とし公演は22日、23日。会場の収容人数は60人で両日とも半分が埋まり、追加公演を検討している。年4回の公演を予定しており、1公演4枚の入場券で年間16枚の入場券が利用できる1万円の特別協力券の購入を呼び掛けている。劇団員、裏方への参加は随時募集しており、問い合わせは電話090-3341-7351(沼尻さん)。 8日(土)の午後1時からは同所で「よりあいや伊賀七庵」を開催。町内外の住民が自由に集まれる場を目指し、趣味の作品展示やおかずのレシピ紹介などを企画している。 ◆「あっぱれ伊賀七」 6月22日(土)、23日(日)午後3時から。大人1000円、中高生500円、小学生300円。チケットの問い合わせは電話090-5535-2845(八木下さん) ※メモ 飯塚伊賀七 江戸時代後期の発明家(1762-1836)。谷田部藩領の常陸国筑波郡新町村に生まれ、生涯を谷田部で過ごした。名主を務めるかたわら、建築や和算、蘭学などを学び、からくりや和時計の製作や五角堂を設計して村人を驚かせた。高さ2メートルの和時計の復元模型が谷田部郷土資料館に展示されている。

健康体操で認知症を予防 つくば市高齢者ふれあいサロン

【橋立多美】つくば市茎崎地区の特別養護老人ホーム「いちょうの木」で30日、「中高年の健康管理について」と題した講話と健康体操の指導が行われた。講師は健康管理士一般指導員でシルバーリハビリ体操指導士の橋本明さん。60~70歳代の地区住民10人が熱心に講話に聴き入り、椅子に腰かけたままできる健康体操に取り組んだ。 主催したのは「通学路の安全を守る会」(稲川誠代表)。同地区の中で牛久沼に突き出た台地にある富士見台や泊崎、あしび野などの住宅地の子どもは自転車で通学する。その子どもたちの安全を守ろうと2010年に発足した。今春、同市がスタートさせた「ふれあいサロン運営補助事業」=メモ=の実践団体として認可され、その第1回の集まり。 講話は認知症をテーマに進められた。15年の認知症患者520万人が25年には700万人と推定され、その65パーセントをアルツハイマー型が占めるなど、認知症の概要が説明された。また認知症を完治する薬はないが、早期に受診することで薬で進行を遅らせることができると説いた。 橋本さんは「認知症の予防に役立つのが適度な運動で、毎日10分の軽い運動で脳の機能は向上する」と語りかけた。そして室内の椅子に座った姿勢で気軽にできるシルバーリハビリ体操を指導した。腹式呼吸を取り入れた肩こりや失禁、誤嚥(えん)などに効果のある体操で、参加した宝陽台在住の片岡三郎さんは「毎日欠かさず続けていこうと思う」と話した。 近年、歯周病が認知症に関与しているという研究報告について触れ、橋本さんは「メカニズムが解明されたわけではないが新しい治療法への第一歩として期待できる」とし、丁寧なブラッシングが重要と結んだ。 講演会の最後に参加者が「施設に入所すると認知症が進行するのはなぜか」と質問した。橋本さんは「入所したことで、それまでやっていた身の回りのことを施設職員がやってしまう。忙しい職員を責められないが、残っていた機能が失われていくことが原因」と答え、施設の現状を浮き彫りにした。 ※メモ 【ふれあいサロン運営補助事業】高齢者の介護予防及び孤立化の防止のための地域憩いの場を確保し、高齢者の福祉の増進に資することが目的。参加者を特定の者に限定せず、定期的に介護予防活動を実施することなどが条件。

不登校生徒のフリースクール「ライズ学園」岐路に つくばで19年

【橋立多美】不登校の子どもたちが学ぶフリースクール「ライズ学園」(つくば市谷田部)が岐路に立っている。経営が苦しく、3月末で一旦閉園して運営を検討しようとしたが、保護者の声に押されて教室を移転し、週に1日開級している。同園の礎を築いた小野村哲さん(59)は「これで終わりではない」と奮起する。 公立中学の英語教師だった小野村さんは、小さなつまずきから勉強に追い付けなくなり、「どうせ自分なんか…」と思ってしまっている生徒を見ていた。その一方で、落ちこぼれていく子どもに対応できない学校の限界を感じていた。保護者の「勉強が分からない子どもを見てくれる場所がない」に背中を押され、1999年に教職を離れた。 登園者延べ2万2585人 2000年7月にリヴォルヴ学校教育研究所(01年にNPO法人化)を設立し、不登校の児童・生徒が学力を身に付けることのできる「ライズ学園」の運営に乗り出す。定員15人の少人数制。週4日の時間割で、教員免許を持つ教科担当者が指導するほか、スポーツや絵画造形、農作業など体験型の学習を取り入れた。教室は谷田部内町の洋品店の2階(約132平方メートル)を借りた。 同園のモットーは「みんなちがって、みんないい」。不登校の背景にはいじめや学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)などが潜むケースがある。また勉強のつまずきは千差万別。子ども一人ひとりがどこに困難を感じているか理解した上で学習支援を行っている。 「ダメな子」とレッテルを貼られていた子どもが丁寧な指導で分かるようになると、意欲を出して変わっていくという。高校、大学への進学や、社会に適応できないと思われていた子どもが数年して独立していく。開園から今年3月末までの延べ登園者数は2万2585人に上る。 個に応じた学習支援を行うことで得た発達障害などへの対処法や成果を教材としてまとめ、その販売収益と月謝=メモ参照=、助成金、寄付金を活動経費に充ててきた。しかし、次第に負債が膨らみ始める。 4月に学園を巣立つ生徒が数人いても、それに代わる人数の入園生を迎えることはしない。春を待たずに「学校に戻る」ことを選択した子どもが「やっぱりライズに…」となった経験から、卒園生の居場所を確保しておこうという配慮だ。 こうした配慮が月謝収入を不安定にさせ、指導にあたるスタッフが転勤などで退いても経営難から新たなスタッフを採用できなくなった。スタッフ不足は定員に満たない運営につながり、数年前から新たな入園希望に応じられない状況に陥った。 「せめて週に1日でも」 リヴォルヴ学校教育研究所の理事やスタッフが話し合いを重ね、19年度は難局を乗り切り発展するために一時休園という結論に傾いた。ところが保護者から「活動をゼロにしないで欲しい」「せめて週に1日でも」の要望が相次いだ。 教室を近くの公共施設、市民ホールやたべの一室に移し、4月から毎週水曜日に開級している。現在、市内外の中学生2人と高校生4人(通信制2人)が通う。スタッフは数学担当で学園長の本山裕子さん、英語担当の小野村さんら計8人。 書類などを保管する棚がないためスタッフは毎回、教科書や辞書、実験器具、画材を運び込んでの活動だ。教室が変わったことで動揺する通園生はいなかった。授業時間外はスタッフとフレンドリーに言葉を交わし、学校でも家庭でもないライズ学園を子どもたちは心地よく思っていることが伝わってきた。 小野村さんは「今はライズが果たすべき役割を考えて基盤強化を図りたい。ライズ学園はこれで終わりではない」と言い切った。学ぶ意欲を育み、不登校の心に寄り添う挑戦が続く。 ※メモ 【フリースクールの月謝】義務教育の教育費は無償だがフリースクールには公的な支援がなく、親が学費を負担する。文科省の調査によれば月会費の平均は3.3万円で親の金銭的な負担は大きい。その一方でフリースクールは月謝だけでは立ち行かず、職員が待遇面で我慢したり寄付金を集めるなど経営に苦しんでいる。 ➡NPO法人リヴォルヴ学校教育研究所のホームページはこちら

【まちづくりはラジオ体操から】㊦ 令和初日に竹園SCで始まった

【橋立多美】昨年夏、つくば市千現のラジオ体操会場に現れたのは、同市竹園在住の三橋俊雄さん(70)。住民同士のつながりが希薄な竹園に、ラジオ体操で地域コミュニティーをつくれたらと考えたのが始まりだった。 三橋さんは介護者の負担軽減のための用具の設計など、ソーシャルデザイン専門の研究者だった。単身で赴いていた京都府立大学教授を最後に65歳で竹園3丁目の戸建て住宅に落ち着いた。 竹園3丁目は筑波研究学園都市計画の初期に整備されたまち。多くの公務員宿舎の廃止と保育所や学校など公共施設の老朽化が進み、2014年から「竹園3丁目再構築事業」の検討が始まった。16年に同地域の住民を対象にアンケートやワークショップが開かれて意見募集が行われると、竹園3丁目の住民15人が集まって2週間ほど議論を重ねた。 ところが約42億円の負担が発生することが分かり、17年に市から「再開発の白紙撤回」が言い渡された。以来住民の集まりは一度もなく、隣人と挨拶を交わすだけになってしまったという。 竹園地区にコミュニティーを形成するには「誰かが汗を流さないと…」と、千現のラジオ体操会場に徒歩で通い始めた。今井さんを中心とした活動を人づてに聞いて、学ぼうとした。香川県坂出市など、ラジオ体操を起点にまちづくりを進める自治体やNPO法人が実在することも背中を押した。 千現のラジオ体操に溶け込んだ三橋さんは「毎日少しの時間ですが顔を合わせることで心が通い、お互いの価値観を尊重しながら、季節の花をいただいたり、関連イベント情報をもらったりと理想的な人間関係が築けた」。何より「笑顔を絶やさず秩序を守る今井さんの姿勢に学ぶことが多い」という。 初日は2人、中旬に2人増え ラジオ体操はまちづくりのためのシンプルな仕掛けで、言葉を交わす中から共通の話題や課題がでてきてくる。「じゃあ、みんなで取り組んでみようか」と小さなまちづくりにつながっていくのだと三橋さんは位置付ける。 今年4月までの10カ月間の千現での経験を生かし、まちづくりに共感した竹園在住の毛利正英さん(69)と今月1日、竹園ショッピングセンター広場で「竹園SCラジオ体操」をスタートさせた。無理なく続けるために実施日を水曜と日曜の週2回に決めたところ、初回の1日が改元の日と重なった。「記念に残る初日になった」と三橋さん。 初日は毛利さんと2人だったが、中旬から2人が加わった。三橋さんは「ラジオ体操から新たなネットワークが生まれて欲しい」と語る。 竹園でのラジオ体操をスタートさせた三橋さんは今も千現に足を運んで交流を楽しんでいる。今井さんは「ラジオ体操はいつでもやっていることが大切で、僕は指導員(※メモ参照)だが三橋さんには指導士になって続けてほしい」と期待する。千現、竹園とも誰でも参加できる。 ※メモ「指導員」 NPO法人全国ラジオ体操連盟による民間資格。ラジオ体操指導員の上に、2級ラジオ体操指導士と1級ラジオ体操指導士がある。2級以上は、対面での指導の時は右と指示しながら、自身は左を動かす決まりになっている。

【まちづくりはラジオ体操から】㊤ 住民の絆を守りたい つくば市千現

【橋立多美】つくば市千現で11年続く取り組みをモデルにして、令和最初の朝に同市竹園でもラジオ体操が始まった。そこには「住民たちがつながる住み良いまちに」というシニア男性2人の思いがある。 朝6時20分頃から、千現1丁目のけやき公園に地域住民たちが集まってくる。30分に「新しい朝が来た」の音楽が流れラジオ体操が始まる。荒天を除き、ほぼ毎日行われているラジオ体操は今年で11年になる。指導にあたるのは同地内に住む今井健之さん(75)だ。 千現1丁目はつくばセンターに近い閑静な住宅地で、1980年代から戸建ての家ができ始めた。今井さんは83年に入居した。55歳で銀行を退職して乗馬やハンググライダーなどの趣味に没頭していた2006年9月、自宅の斜め前に突如14階建てのマンション建設の計画が持ちあがった。 市が建築物の高さ規制をする前の「駆け込み工事」で、日陰時間の延長や機械式駐車場による騒音などを理由に周辺住民が「千現1丁目の住環境を守る会」(阿久沢忍会長)を結成。反対住民らは法律を駆使して計画の縮小を求める運動を粘り強く展開し、翌07年3月の研究学園高度地区指定の施行に工事着工が間に合わなかったため、業者が建設計画を断念した。 同会の副会長だった今井さんは、反対運動を通じて生まれた住民の絆を守り、住みよい千現にしようと決めた。 ラジオ3台を置き忘れ 市から委託された広報紙の配布や回覧が主だった自治会を活発化させようと、08年度の千現1丁目自治会長に立候補すると、自ら防災士の資格を取得して防災・防犯訓練や公園の清掃、高齢者のふれあいの場「千現カフェ」開設などに尽力。延べ6年間の自治会長職を辞した今も自治会と連携して活動を続けている。 ラジオ体操も自治会長時代に始めた活動の一つ。子供会がけやき公園(約2500平方メートル)で夏休み期間の最初と最後の1週間しか実施しないことを知り、誰でも知っているラジオ体操は住民が緩くふれ合えることから「もったいない、続けよう」と思ったという。 以来、朝5時起きでウオーキングに励んでからラジオ持参で公園に向かう。ラジオ体操が終わると公園のごみを拾ったり参加者と話が弾み、ラジオを置き忘れて帰ることがあるそうだ。妻の操子さんは「3台紛失して買い替えましたよ」と笑う。 今井さんは「ラジオ体操は『お早う』で始まる。それまで道ですれ違って会釈だけだった人と心が通じる会話ができるようになる」と話す。また「たとえ10分でも全身の筋肉を使い、毎日続けることで健康を維持できる」とも。毎日10人ほどの住民が参加し、夏休み中は約50人の児童たちが仲間入りして公園はいっぱいになるという。 昨年7月から、それまで参加したことのない男性が毎朝顔を出すようになった。(つづく)

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