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レストラン街から飲食店すべて撤退 つくばセンタービル

【鈴木宏子】つくば駅近くのつくばセンタービル(同市吾妻)1階のレストラン街、アイアイモールから22日、飲食店がすべて撤退した。同日、最後に残ったそば店「一成(いちなる)」が閉店。閉店を惜しむ馴染み客らが最後のそばをすする姿が見られた。 同ビルでは今年5月20日、1983年の同ビル開業と同時に開店したピザチェーン店「シェーキーズ」が閉店、続いて同月末、スペイン料理店「ボンド」が閉店し、「一成」が最後に残っていた。 同ビルを運営する筑波都市整備(同市竹園)によると、現時点で新たに入居を予定している店舗や事務所などはないという。同市では、中心市街地の求心力の低下が問題になっていることから、今年度、市が同センタービルの在り方を検討する調査を実施する。同都市整備は「その中で、どうあるべきか考えたい」と話す。 かつて「どの店も行列」 閉店について、一成を運営する一成フードサービスの成山正樹社長(53)は「さびしい限り」と語る。同店は24年前の1994年にオープンした。当時センタービルに空き店舗はなく、どの店も行列ができていた。当時、成山社長は20代で、厨房に入ってそばを打ち、現在の味を完成させた原点が同店だったという。人通りが少なくなった原因については「隣接した場所にたくさんあった駐車場がマンションや商業施設、業務ビルになり、アクセスが悪くなってしまったのも一因ではないか」と話す。 近くに勤務し昼食を食べに来たという牛久市の男性会社員(57)は「月1回必ずセンタービルに来てシェーキーズに立ち寄っていた。一成も今日で閉店になると知ってびっくりした」と述べ、職場の同僚3人で来た男性は「無くなると困ります」と話していた。 新たな在り方 市が調査 同センタービルは日本を代表する建築家、磯崎新氏の設計により建築された。同都市整備の小林睦営業部長は「建てられた当初はつくばの中心の中の中心だったが2009年に常陽銀行、10年に筑波銀行が撤退したころから役割が変わってきた。つくばエクスプレスが開通し、新しい商業施設ができ、人の流れが変わってきた」とし「つくば市から、センタービルの役割を見直してはどうかと言われている。私たちもそうだろうと思うので、その中でこれから何が必要か考えていきたい」とする。 市は中心市街地の活性化を検討する一つとして、同ビルの在り方を検討する調査を7月から来年3月まで約470万円かけて実施する。センタービルの施設や設備の現状、周辺の公共施設との関連、市場性などの基礎調査を実施。同市学園地区市街地振興室は、調査結果をもとに今後の在り方を改めて検討したいとしている。

《映画探偵団 》8 市街地ヴィジョン(案)の裏を読む

【コラム・冠木新市】5月20日(日)、つくばイノベーションプラザで『つくばまちづくりシンポジウム―中心市街地のヴィジョンを考えよう―』(つくば市主催)が開催された。若い女性は少なかったが、場内は100人で満席だった。知人は、市職員が多いと言っていたが、市民活動家や市議の姿も目立った。 配布資料は「つくば中心市街地まちづくりヴィジョン(案)世界のあしたが見えるまち」というA3用紙1枚。そこには「リラックス×遊び心」「科学技術の恩恵×新たな価値の創造」「ローカル×持続可能性」の3項目の下に、<イメージ>として、それぞれ5つの願望と小イラスト5点、計15のカットがあった。選挙公約風の印象で具体的な内容はなかった。 五十嵐立青市長は「このヴィジョンは第1段階です。第2段階は目標設定と戦略、第3段階はマスタープラン発表となり、実行は秋ごろから」と語っていた。2017年7月にまちづくりアドバイザーが就任して、ほぼ1年が経過した。本当にこれだけなのか。何か裏があると思えてならなかった。 今年、開業35周年記念を迎えたオークラホテルのパンフチラシ『オークラつくば』(vol.27)には、『お祭り騒ぎスケジュール』として、来年3月までのレストランとイベントの企画が目白押しで載っている。 さらに「2019年もつづきます!」とのコピー。また、地元団体とタイアップして新たな行動計画策定中とあり、筑波大学応援イベント企画、社会貢献活動が具体的に示され、意気込みが伝わってくる。6月中にアイアイモールの最後の飲食店「一成」も閉店予定の中、応援したくなるヴィジョンとなっている。 スピルバーグ監督「未知との遭遇」 ヴィジョンで思い出すのは、スティーブン・スピルバーグ監督の作品『未知との遭遇』(1977年公開)である。UFOを目撃した市民が一様にあるイメージを受け取る。1人の女性は、そのイメージを何枚もの絵に描いていく。それは巨岩のような山のような奇妙な形である。後で、デビルズタワーという実在する岩山だと分かる。そのイメージに突き動かされて市民が岩山めざして集まってくる。ヴィジョンとは人々の行動を刺激するものである。 自分だったらヴィジョン(案)をどう表現するか考えた。人は謎を好み得体の知れないものに興味を抱く。松見公園の展望塔、エキスポセンター、ノバホール、筑波銀行前の時計台、さくら大橋、大清水公園、国際会議場などに隠されたピラミッド群をイラスト化し、説明を省略してヴィジョン(案)とするだろう。 後日、団員たちに市の配付資料を見せて感想を求めたところ、口の悪い団員が「餡(あん)のないアンパンですな」と返ってきた。 私はハッとした。今回のヴィジョン(案)は内容の無さをさり気なく隠し、発表と実行を先延ばしすることで市民の心を刺激、まちづくりへの参加へと誘導しようとしたのではなかろうか。そうだとしたら、遊び心に満ちた凄いヴィジョンと言えるかも知れない。サイコドン ハ トコヤンサノセ。(脚本家)

CD「日本の名城」に土浦音頭が収録

【鈴木宏子】5月23日発売されたCD「日本の名城を唄う」(日本コロムビア発売、税込2500円)に、土浦城跡(現在の亀城公園)などを歌った「土浦音頭」=メモ=が収められた。霞ケ浦や桜川などの名所や風物を歌った新民謡で、昭和初期に下妻市出身の詩人、横瀬夜雨が作詞した。戦後活躍した歌手、照菊が歌う。1960年代後半に発売されたレコードが音源で、半世紀ぶりにCDでよみがえった。 土浦の歴史や文化を掘り起こしまちおこしに取り組むつくば市の脚本家、冠木新市さん(66)らが2016年9月、亀城公園前の古民家カフェ、城藤茶店(同市中央)で土浦音頭をテーマにした演劇公演「桜川芸者学校」を開催し、新たな踊りで復活させるなど注目された曲だ。 CDは日本の城と、城にまつわる武勇伝や悲喜劇などを歌った全17曲の歌謡曲集で、美空ひばりの「千姫」、村田英雄の「白鷺の城」などと並んで、17番目に収められている。小唄調で、照菊が格調高く歌い上げている。 16年の公演に出演し新たな踊りを復活させた国際美学院(つくば市)の恩田鳳昇学院長(86)が、日本コロムビアの振付専任講師を務めていることから、公演後、同社幹部らに土浦音頭をPRした。今年1月には静岡県熱海で開かれた同社の新年会で、当時公演した桜川芸者学校のメンバーが、全国から集まった振付専任講師らを前に同曲の踊りを披露するなど印象付けた。 同CDを企画した同社伝統邦楽ビジネスユニット特別顧問の吉田輝之さんは「歴史やお城に興味を持つ若い女性が増え『お城ブーム』と言われる中、名城を集めて一枚のCDを作りたいと企画した」と語り「全国のいろいろなお城を探り、関東で名城がないか探していた中、今は建造物がほとんど残されてないが、城にまつわる歌が残っている土浦音頭を取り上げてみようということになった」と選定の理由を話す。 恩田学院長は「まさかCDに入るとは思わなかった。うれしい。土浦のお役に立たせていただければ」と話し、土浦音頭を掘り起こした冠木さんは「土浦音頭がようやく知られるようになり、公演して良かった。踊りたいという若い人が出てくれれば」と述べ「土浦は新しいものと古いものが融合するまちなので、中心市街地で土浦音頭の踊りを披露したい」と話している。 7月7日と16日に披露 CD収録を祝って7月7日、16年に公演した桜川芸者学校の出演者らが「粋な七夕まつり―土浦音頭で愛の夜明けを」と題し、土浦市中心市街地の7カ所で、演劇を織り交ぜた土浦音頭の踊りを披露する。街頭で前触れなく踊るフラッシュモブ風になるという。さらに同16日、筑波銀行つくば営業部(つくば市竹園)で開催される舞踊イベント「チャリティー真夏の饗宴」(国際美学院、つくば舞踊研究会主催)でも披露する予定という。 メモ 【土浦音頭】昭和初期に制作された。当時の土浦芸者組合見番(けんばん)頭取、桜井留吉や、三業組合長、堀越正雄らが制作し、当時、土浦で一番人気の名妓だった君香(きみか)らが歌い踊ったとされる。完成直後は7人の芸者が東京に出向き、三越や松坂屋ホールで開かれたイベントに出演し好評を博したといわれる。作曲は「鯉のぼり」や「靴が鳴る」などを作曲した弘田竜太郎。歌詞は1~4番まであるが、CDは1、3、4番が収録されている。 土浦音頭  横瀬雨作詞/弘田竜太郎作曲 1、船が見えそろ 霞ケ浦の 千艘萬艘(せんぞばんぞ)の帆曳船 船がみえそろ 土浦入りに 風をはらんだ 帆曳の船が 恋知り初めし 十六七の 娘心は 白魚か海老か 人は知らじな 公魚(わかさぎ)は 恋のやまいに よしとかや さて 2、十六七は 砂山のつゝじ 寝いろとすれば 起さるゝ 逢いたさ見たさ 夢見てばかり ねざめすぐれぬ 暁かけて 手枕近き プロペラの音 れんじあくれば 燕がえし 伸ばすは翔けるは 飛行機の 道をさえぎる 雲とてもなし 3、松になりたや 有馬の松に 藤にまかれて ねとござる 藤にまかれて 巻かれて藤に 藤にまかれて ねたというた 有馬の松は こちや 知らねども お城の址に 大きな大きな 榎の木 宿して ぬっと立つ 松を見しゃんせ あれ男松 4、男山(おやま) 女山(めやま)の しづくを受けて 淵となりたる 桜川 月よし雪よし さをさしゃとどく 屋形屋形の あのさんざめき 船はヤハでも 炭薪ゃつまぬ 春はうれしや 霞とともに 花がはらりと 咲くならば さぞや弥生の なあ人心

シェーキーズ20日閉店 つくばセンタービル 35年の歴史惜しみ行列

【橋立多美】つくばセンタービル(つくば市吾妻)1階のレストラン街、アイアイモールにあるピザチェーン店「シェーキーズ筑波学園店」が20日に閉店する。同センタービルがオープンした1983年に開店し、35年間市民に親しまれてきた。西武筑波店、イオンつくば駅前店に続いて中心地区のにぎわいがまた一つ消える。同店前では、閉店を惜しむ人たちが連日行列をつくっている。 シェーキーズは関東を中心に23店舗を展開するピザチェーン。運営本部のアールアンドケーフードサービス(東京都世田谷区)によると、2014年頃から売り上げが下降傾向となり、近隣の商業施設の撤退もあり、やむなく撤退を決めたという。 閉店まで残り3日となった17日の正午過ぎ、40人以上が店の前で行列をつくり順番を待った。市内在住の40代の母親と娘2人は「寂しいし名残り惜しい」。60代の男女5人は「みんなピザ好きで土浦から誘い合って来ていた。これからどうしよう」と話した。牛久在住の49歳の男性は「当時通っていた牛久高校の期末試験が終わると、友人と50ccのバイクで来るのが決まりだった。青春時代の1ページが終わる」。精算を済ませた40代の男性は「今日も変わらずおいしかった」と話した。 4割が空き店舗に 同店はアイアイモールの核店舗の一つ。同モールがあるセンタービルは、建築家、磯崎新の代表作として知られ、コンサートホールや交流センター、ホテルなどの都心機能を併せもつ施設として建設された。 つくばセンタービルを運営している筑波都市整備(同市竹園)によれば、同モールは12区画あるが、同店が閉店することで4割の5区画が空くことになるという。 センタービルオープンに次いで、科学万博が開かれた85年に大型商業施設クレオが誕生した当時は、同モールとクレオを結ぶ平坦な歩道があった。市内外から集まった多くの買い物客は回遊してショッピングを楽しむことができた。 その後94年に歩道がなくなり、クレオと分断された格好になった。さらに2009年に常陽銀行、翌年関東銀行(現筑波銀行)が撤退し、モールの活気が徐々に失われていったという。総務部長の糸賀徹さんは、2銀行が撤退した頃にはオープン当初の来館者数の半分以下になっていたと振り返る。 小林睦営業部長は「シェーキーズは固定客が多くモールの核だっただけに、撤退は痛手」と話す。つくばエクスプレス(TX)開業や周辺に大型商業施設ができたこと、市庁舎が研究学園地区にできたなど社会的背景が変わってセンター機能が失われたとした上で、「人気店の撤退を機に、文化と科学が集積するセンター地区で求められる機能は何かを追求していきたい」とした。 「中心地が疲弊し厳しい状況だと分かっている」と語ったのは、つくばセンター地区活性化協議会事務局長の稲葉祐樹さんだ。中央広場を囲むセンタービル1階のモールは階段で2階のペデストリアンデッキに通じるが、ベビーカーを押す人や高齢者などはビル内のエレベーターに乗るという動線上の問題がある。稲葉さんは「磯崎新の設計を変えず、どう使いやすい施設にするかが課題」と話した。

筑波山に魅入られ 元校長 沼尻正芳さんが個展 つくば

【鈴木萬里子】教員を退職後、本格的に筑波山を描き始めたつくばみらい市在住の画家、沼尻正芳さんによる個展「霊峰筑波・人・自然を描く」が24日から筑波銀行つくば本部ビル(つくば市竹園)2階ギャラリーで開かれている。 沼尻さんは武蔵野美術大学卒業後、千葉県松戸市の中学校を始め茨城県南の小・中学校で美術担当教諭を長く務め、つくばみらい市立伊奈東中学校長を最後に退職した。その間卒業生の似顔絵を描き、累計1050枚を卒業生に贈った。現在、美術団体「新極美術協会」常任理事を務める。 今回の個展では縦97㎝、横145㎝の霊峰筑波の大作を含め、四季折々に表情を変化させる雄姿が多数展示され、筑波山への憧憬(しょうけい)が見る側にも伝わってくる。 描き始めたころは遠くから筑波山を描き、最近は間近で雄大さを感じながら描くなど、試行錯誤しながら取り組んできたという。アクリル絵の具で描いた筑波山を何度も加筆修正して、油彩で描き直した作品も多く、沼尻さんは「最初は四苦八苦していたが、今は筑波山が教えてくれるようになった」と話す。 昨年の第23回極美展で東京都知事賞を得た、不動院を描いた「塔に雪降る」など見応えのある作品も多い。沼尻さんの優しい視線が感じられる幼子やペットを描いた作品などもある。 熱心に見ていたつくばみらい市の30代女性2人は「筑波山の自然豊かなところを切り取って描いていて感動する」「身近な自然を題材に描いているので親近感が湧く」などと話していた。 ◆会期は30日(月)まで。入場無料。開館時間は午前10時~午後4時30分(最終日は午後3時まで)。問い合わせは℡090・7277・2328(沼尻さん)

野の花や失われゆく植物描く 三浦ひろ子さん個展 つくば

【鈴木萬里子】見慣れた野の花や絶滅危惧種、日本固有種などを精密に描いた「植物画の世界 三浦ひろ子個展」がつくば市竹園の筑波銀行つくば本部ビル2階ギャラリーで開かれている。初日の3日には100人近い来場者が訪れ、精密に描かれた作品の数々に感嘆の声が上がっていた。 植物画は花びら、がく片、葉の形、花や葉の色合いなどの特徴を細かく、正確に、実寸で描く。写真技術が発達する以前には植物標本として描かれていたため、精密さが要求されている。 三浦さんが描いたきっかけは、バブル期に大規模開発に伴う動植物の環境調査に関わったこと。「失われゆく動植物、特に野草に心を動かされ、確かに存在した事実を残したかった」との強い思いからだ。環境省の2017年レッドリストには、植物だけでも絶滅危惧種は2267種あるという。 個展は今回で4回目。初めて開催した時、三浦さんは「華やかな花ではなく野の花ばかりで来場者が落胆するのではないか」と心配していた。ところが「地味でも克明に描かれた野草が魅力」との声が上がり安堵したという。 会場には作品42点が展示され、そのうち14点は絶滅危惧種、準絶滅危惧種、日本固有種などだ。 熱心に作品を見ていた土浦市の70代の夫婦は「作品が素晴らしいのはもちろんだが、絶滅危惧種への取り組みに三浦さんの人間性が垣間見えて素晴らしい」と話していた。「普段見逃してしまいそうな所まで正確に描かれていて感動した」「心が穏やかになった」などの感想が寄せられているという。 ◆会期は9日(月)まで、時間は午前10時~午後5時(最終日は午後3時)、土日も開催。入場無料。問い合わせは090・8873・0590(鮎澤さん)

《くずかごの唄》9 家族の分断 38度線の北と南

【コラム・奥井登美子】ピョンチャンオリンピックが無事に終わって、本当によかったと思う。姑が元気な頃。明治生まれのくせに英会話が出来て、その時代は誰もやらなかったハグまでして、おしゃべりするので、いろいろな外国人が我が家にやってきた。姑の父・祖父たちが設立したキリスト教会が、今の筑波銀行本店の近くにあり、城跡の公園を抜けると我が家にぶつかる。地理的な便宜もあったのかも知れない。 新渡戸稲造さんが我が家にいらした時。6歳だった兄の奥井誠一が、新渡戸さんにしがみついて離れない。子供好きの氏は、彼を膝に抱いたまま写真に写っている。誠一は、東北大学教授(薬学)のとき、45歳で亡くなってしまったが、新渡戸さんから頂いた暖かさを世界中に振りまいたような生き方をした人だった。 今の天皇陛下の英会話の先生をしていらしたミス・ローズさんがいらしたこともある。姑はローズさんの来訪が嬉しくて、息子に知らせたかったにちがいない。亡くなった誠一の写真を抱えて写っている。 残念ながら写真が残っていないが、敬虔というにふさわしい韓国人の牧師さんが来宅、一緒に私の手料理で食事をしたことがある。まだ幼い子供が2人、おじいちゃんとおばあちゃんにじゃれつくので、客の前で怒るわけにもいかず、私がとまどっていた時だった。 子供がふざけるのをじっとみていた牧師さんが、どうしたわけか、大きな涙を流している。威厳のある男の人が人前で泣く。その涙の意味の大きさに圧倒されてしまって、姑も私も、何も言えない。不思議な光景に子供たちもしゅんと、おとなしくなってしまった。 「38度線の北に息子の家族がいます」。北朝鮮という国名がまだ普及していなかったので、みな、38度線の北と言っていた。「会いたいのですが、会えません」「……」。それ以上聞いてはいけない雰囲気で、どうしてもうかがえなかったが、祖父、祖母の膝にたわむれ、遊びながら食事をしている幼い子どもたちを見て、思わず涙が出てしまったらしい。 定規で引いたように38度線で北と南に分けてしまったので、別れ別れになってしまった家族も、多かったに違いない。オリンピックで少し歩みよったかのようにみえる韓国の報道の中に、分断された家族の報道がないのはなぜなのか。50年前のこの時から私は気になっている。(随筆家)

華やかに早春の書展 「華の会」つくば教室10周年

【鈴木萬里子】書道「華の会」(和泉竹華さん主宰)つくば教室10周年記念となる書展が、19日からつくば市竹園、筑波銀行つくば本部ビル2階ギャラリーで開かれている。 主宰する和泉さんは取手市在住の書道家。和泉さんの作品と、和泉さんが指導するつくば教室で学ぶ生徒5人のほか取手市の教室の生徒も加え、22歳から90歳までの計15人による20点の力作が展示されている。 和泉さんの「春逐鳥聲開(はるは ちょうせいを おって ひらく)」は中国秦の時代に用いられた隷書(れいしょ)体で書かれた作品。早春の書展開催に合わせた華やかさが感じられる。 会場入口には甲骨文字の「戌」のポスターが展示されている。和泉さんが1年かけて広告ちらしを集め、色彩を選んで作った年賀状用の作品だ。干支の作品は毎年好評だという。 生徒の作品は行書体で書かれたものが多く見られた。つくば市吾妻から来場した60代の女性は「漢字の行書を万葉仮名風に書いてあって、苦心のあとが見えます。白と黒だけの世界なのに、とても華やかさを感じさせます」と感心した面持ちで、1点1点丁寧に見て回っていた。 和泉さんは、書道を通して長年、ハンガリーとの交流を続けている。滞在していたハンガリーの書店でオリガミクスの本を見つけ、作者がつくば市在住だったことから、折り紙に手紙を記した「オリガミックスと手紙展」をつくばで開催した。これが縁で10年前につくば教室を開いた。和泉さんは「人と人との出会いが不思議な縁を生みますが、出会いを受け止める力、エネルギーが必要。書を書いているとエネルギーが自分にぶつかってくるのが感じられる」と語った。 ◆書展は26日(月)まで、入場無料。つくば教室は第1・3土曜日午後2時30分~4時30分。問い合わせは090・8643・2037(和泉さん)

《映画探偵団》2 つくばセンター地区の形

つくばセンター地区活性化のヒントとなる映画を探そうと提案したが、団員たちは見つけられなかった。決して怠けたのではない。「まちを守る」「まちの魅力」を描いた作品は多いが、「まちづくり」となると意外にないのである。私もセンター地区内のレンタルビデオ店でチェックしたが見つからなかった。誰か知っているのなら教えて欲しい。そして団員になってもらいたい。 私は改めてセンター地区内に立つ黒い長方形の地図盤を観察してみた。センター地区内には北から南にかけて様々な建物がある。筑波学院大学。プラネタリウムのあるエキスポセンター。つくば市民ギャラリー。江戸の古民家を移築したさくら民家園。中央図書館とアルスホールとつくば美術館。つくばセンタービルのオークラホテル、吾妻地域交流センター、ラジオつくば、ノバホール、イノベーションプラザ。BiVi。常陽銀行。筑波銀行。カピオホール。国際会議場などなど。 歩いて30分以内の空間に劇場やホールが幾つもあり、いつもイベントが開催されている。私はケーブルテレビACCSの『月刊チラシズム』なる番組を担当し、月2度チラシを紹介している。つくばでは月に約100のイベントがあり、その半数強がセンター地区内で行われている。実に活発な所なのだが、なぜかパッとしない長方形の空間である。 しかしセンター地区の地図盤を眺めていて気がついた。「あ、これはモノリスではないか!」と。50年前の1968年に、スタンリー・キューブリック監督は、33年先の未来を背景にした映画『2001年宇宙の旅』を制作した。33年先の未来をどれだけ想像できるだろうか。現在で言えば、2051年を描くようなものである。今では映画史に燦然と輝く名画も、公開当時は「理由がよく分からない」という声が多数を占めた。高校生だった私の周囲でも見て来た人は皆首をかしげていた。無理もないのだ。物語の説明が一切省略されていたからである。 映画は、古代アフリカの類人猿から始まる。突然、類人猿がわめくと目の前に長方形の黒石板がある。黒石板を見た猿が手にした骨を放り上げると宇宙船にカットは変わる。次に宇宙ステーション、月面基地にある黒石板。さらに木星付近に浮かぶ巨大な黒石板に宇宙飛行士が吸い込まれ、光の洪水を浴びた果ては奇妙に光る室内になる。老いた宇宙飛行士がベッドで死にかけているとその前に黒石板がそそり立っている。飛躍する時空間をつなぐ黒石板モノリスだが、この謎めいた物体の説明も一切ない。 長方形のモノリスとセンター地区が私には重なって見える。活性化を考えるよりも先に、センター地区の長方形の構造を理解すべきではないだろうか。そこに問題解決の鍵が眠っている。改めて思う。長方形のセンター地区の空間は、謎のモノリスなのだ。けれども、この話を団員に語った時、皆首をかしげていた。サイコドン ハ トコヤンサノセ。(冠木新市)

《光の図書館だより》1 Our story starts here. 

また、光が降ってきた。足元を照らす光の帯に視線を移し、たどった先は天井近くの窓。雲が早く流れている。青空が広がっていく。思い悩んでいたことが吹っ切れた。光輝燦然(こうきさんぜん)。この光とともに前へ進んでいこう。この場所から、新しい物語が始まろうとしています。 土浦市立図書館は、1927年生まれの今年93歳の図書館。土浦の長い歴史を刻んできた図書館が、今年11月27日に土浦駅前に移転開館しました。 初めは、今の筑波銀行本店の場所にあった土浦町役場内に開館。開館翌年の1928年には、第1回の土浦花火大会が実施されました。ツェッペリン号が飛来した翌昭和5年には、現在の常陽銀行土浦支店の場所にあった元霞ケ浦航空隊下士官集会所に移転。1969年に現在の土浦博物館の場所に、73年には文京町に移転しました。 新図書館の必要性は21年前の1996年から審議され、2006年に建設が決定。リーマンショックと東日本大震災の影響による2度の事業中断を経て、ついに完成したものです。 新図書館への引越しと開館準備には3カ月を要しました。段ボール約9000箱分の本の搬入と書架への配架。約35万冊の書籍や資料へのICタグ貼り付け。修理が必要な書籍や約1000冊の紙芝居の修理。蔵書を管理するパソコンシステムの導入と動作や利用法の確認。書棚や家具備品類の納入。 さらに、新しい設備とこれまでの4倍の面積のフロアに対応するための職員の配置や訓練。駅前に立地することからの危機管理対策―などなど。休日返上で夜遅くまで作業する職員と、約50名の市民の配架ボランティアのおかげで、ついに開館日を迎えることができました。 11月27日午前10時、入口前に並んだ約100名の方が次々に入館。「うわ~、明るい!」感嘆の声をあげながら、エントランスの吹き抜けから差し込む外光を見上げる来館者の方々。ここは、光の図書館。これから、この新しい場所でたくさんの物語が生まれていきます。(入沢弘子) 【いりさわ・ひろこ】1962年、福島県喜多方市生まれ。1969~76年、新聞記者だった父の転勤で土浦市に住まう。約30年の博報堂勤務のあと、つくば市任期付職員として広報・プロモーションを統括。2017年4月、土浦市立図書館長(公募)に着任。

≪吾妻カガミ≫17 地方と首都を繋ぐ産学銀

10月下旬、大学時代のゼミ同窓の懇親会があった。1970年卒だから皆70歳を超えている。でもメンバー14人のうち死んだのは弁護士をやっていた1人だけ。中学や高校の同窓会をやると、クラスの10%程度は死去と記されているから、平均よりも生存率が高いのではないか。近況報告では病気や旅行の話が多いが、現役で活躍している奴もいる。 学生を地方に派遣 大手電機会社を退職した後、世田谷区にある私立大の学長をやっているU君。在京大学生の80~90%は首都圏出身という話をしていた。われわれの時代は地方出身が多かった。80~90%が地方出であったような気がする。このシェア逆転は何を意味するのか。首都圏に富が集まり高学歴の再生産が進んでいるということではないか。地方を元気にしないと首都と地方の格差がますます拡がる。 U君の大学は面白い取り組みをしている。学生を地方に派遣し、地域の「いいもの」を探させ、大学に近い自由が丘商店街(目黒区)で販売している。派遣先は函館から石垣島まで全国10数カ所。茨城のかすみがうら市もその一つという。この「産」と「学」の結びつきを応援しているのが筑波銀行。彼は「地方創生には産・学・銀(行)連携が大事」と言う。 この試みは学生にとっても好ましい。首都圏生まれの学生が地方に「いいもの」探しにいくことで田舎のよさを知るきっかけになるからだ。もちろんビジネスセンスを磨くこともできる。 大学がモールも経営 国立大を定年退職したあとも近代史研究を続けているY君。最近、米カリフォルニア州にあるスタンフォード大学に資料探しに行った。「大学の経済学部がショッピングモールを経営しているのには驚いた。日本では大学の店舗経営などありえない。私立大ということもあるのだろうが…」。国立一筋の彼にはショックだったようだ。 歴史資料探しでも、米国の大学の取り組みには驚いたという。彼が訪れたのはスタンフォード大の中にある「フーバー・インスティチュート」。この組織は終戦直後東京にオフィスを置き、戦前戦中のナマ文書を精力的に収集した。その集積が同大の「売り」になっている。 そこで彼が探したのは、満鉄上海事務所が集めた中国共産党情報。結局発見できなかったそうだが、好奇心はまだ旺盛だ。彼の話で感心したのは、大学運営の一環として大型ショッピングセンターも経営しながら、戦争相手国に乗り込んで戦時情報を徹底的に収集する米大学のスタンスだ。 大手商社OBが幹事をした飲み会は、仏料理コース、出席11人でシャンパン、白ワイン、赤ワイン各2本、会費1万3,000円。首都と地方ではこの辺の感覚にも格差があるようだ。(坂本 栄)

100人の筑波ジュニアオーケストラ 団員募集から1年 29日、ノバホールで第1回定期演奏会

オーディションで選ばれた、小学1年生から大学生まで約100人が参加する「筑波ジュニアオーケストラ」(団長・藤川雅海筑波銀行頭取)の第1回定期演奏会が10月29日、つくば市吾妻のノバホールで開催される。昨年秋から団員を募集し1年で第1回定期演奏会にこぎつけた。 昨年12月から今年にかけ4回のオーディションを行い、現在小学1年生から高校生まで80人と大学生20人の約100人が所属する。つくば市を中心とした県南地域には個人向けの音楽教室が多く、個々の発表会は多いが横のつながりは少ない。そこで運営委員長で飲食チェーン店を経営する飯泉智弥さん(43)を中心に10人の実行委員が、子どもたちが成長できる場にと設立した。地域で育った子どもたちが将来、ふるさとと感じられる場所にしたいという。 活動の柱は「地域の人々と親への感謝の気持ちを大切にする」「友達をたくさん作り友情を育む」「合奏を通じて成長する」の三つ。プロの音楽家を育てるのではないが音楽好きの人口を増やしたいという。飯泉さんは「音楽人口が多い県南の子どもたちに、スポーツと同様に光を当てたい」と話す。 今年3月26日の入団式を経て4月9日から練習が始まった。毎週日曜日の午前中に2時間30分みっちり練習する。夏休みには3日間の合宿も行った。合宿を機に団員同士の連帯感も生まれ、成長が見られたという。事務局長で地方公務員の大野初美さんは「始めはバラバラだった音も調和するようになり、講師の言うことをすぐ理解できるなど、子どもたちの吸収力は早い」と話した。 つくば市周辺だけではなく、東京や千葉などから参加する子どもたちもいる。埼玉県八潮市からバイオリンで参加している小学4年の安斉涼治さん(9)は「皆と合奏するといろんな音が混じって音色がきれいになる。ゲームをするより合奏する方が楽しい」と笑顔に。母親のアリーシャさんは「送迎は大変だが子どもが楽しいと思うことをやらせたい。このオケに入って鳥肌が立つほど上手になった」とうれしそうだ。 29日は午後2時開演。演奏曲はシベリウスの交響曲「フィンランディア」、バッハ「二つのヴァイオリンのための協奏曲」、パッヘルベル「カノン」、ビゼー「アルルの女第1組曲、第2組曲」。指揮者はNHK交響楽団チェロ奏者で筑波ジュニアオケの音楽アドバイザー、桑田歩さん。入場無料。 問い合わせは同運営委員会(メールアドレスinfo@tjo.jp)。 【記者のひとこと】大学生が入っているとはいえ小中高生が主体なので、そこそこかと高をくくっていた。練習を取材するため会場に入った途端、迫力ある音に驚いた。当日は大学生全員が都合により不参加と聞いて2度驚いた。個人レッスンを受けている子が多いとはいえ、小さい子もいるオケで、この迫力は高評価されて良いと心底思った。(鈴木萬里子)  

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