土曜日, 5月 4, 2024
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《茨城鉄道物語》1 「品川開発」で常磐線の復権なるか

【コラム・塚本一也】以前、コラムを担当させていただきました塚本一也です。久しぶりの寄稿となりますが、どうぞよろしくお願いいたします。今回は鉄道建築技術者としての経験から、茨城県の鉄道全般について広く論じてみたいと思います。 新型コロナウィルス問題の最中に、東京の鉄道網において、歴史的ともいえるビッグニュースがあった。3月14日の高輪ゲートウェイ駅の開業である。山手線の駅としては西日暮里駅以来49年ぶり、30番目の駅である。 皆さんは、地下鉄ネタの漫才が得意であった春日三球・照代さんを覚えておいでだろうか。お二人の漫才で、「山手線の駅はいくつあるか数えてみよう」というネタがあった。品川から時計回りに二人で数え始めて、見事に駅名をそらんじていくのだが、照代さんは田町で止めて、29駅だと主張する。 しかし、三球さんは品川をもう一度カウントして、30駅だと言い張るのである。なぜ品川を2回数えるかというと、「じゃあ田町と品川は線路がつながっていないんですか?」というのが落ちになっている。今、お二人がご健在ならば、今回の新駅開業についてどのようなネタを披露してくれるか、非常に楽しみであったが残念である(照代さんは1987年にご逝去)。 品川―茨城直結の優位性を活かせ なぜ本コラム再登板の初回に高輪ゲートウェイ駅開業を取り上げたかというと、「いよいよ品川の時代がやってくるな」ということを申し上げたかったからである。 その品川駅に優等列車で乗り込んでいるのが、我が郷土の基幹路線ともいうべき常磐線である。本来であれば、隈研吾(くま けんご)設計の近未来型駅の提案がクローズアップされるはずであり、さらにはJR東日本による品川開発プロジェクトの幕開けが注目される予定であったが、全てが新型コロナ問題で吹き飛んでしまった。 品川開発構想に関しては、その計画があまりにも壮大すぎるため詳述を避けるが、将来的にJR東海のリニア新幹線の始発駅であったり、JR東日本が羽田アクセス線を開通させたりと、交通の結節点として益々重要度が増してくることは間違いない。 一昔前、北の玄関口と言えば上野駅であった。それが、上野東京ラインによって常磐線は悲願であった東京駅乗り入れを果たした。しかし、その延長線として品川を始発駅にしているということに関しては、沿線の関係者はあまり関心を持っていないように見受けられる。 品川~水戸間は乗り換えなしで最速80分である。一方、品川~宇都宮間、品川~高崎間は最速70分ではあるが、乗り換えが伴ってしまうという弱点がある。品川から茨城県へ直結しているという優位性を最大限に活かして、沿線の活性化につなげてもらいたいものである。(一級建築士)

《茨城鉄道物語》1 「品川開発」で常磐線の復権なるか

【コラム・塚本一也】以前、コラムを担当させていただきました塚本一也です。久しぶりの寄稿となりますが、どうぞよろしくお願いいたします。今回は鉄道建築技術者としての経験から、茨城県の鉄道全般について広く論じてみたいと思います。 新型コロナウィルス問題の最中に、東京の鉄道網において、歴史的ともいえるビッグニュースがあった。3月14日の高輪ゲートウェイ駅の開業である。山手線の駅としては西日暮里駅以来49年ぶり、30番目の駅である。 皆さんは、地下鉄ネタの漫才が得意であった春日三球・照代さんを覚えておいでだろうか。お二人の漫才で、「山手線の駅はいくつあるか数えてみよう」というネタがあった。品川から時計回りに二人で数え始めて、見事に駅名をそらんじていくのだが、照代さんは田町で止めて、29駅だと主張する。 しかし、三球さんは品川をもう一度カウントして、30駅だと言い張るのである。なぜ品川を2回数えるかというと、「じゃあ田町と品川は線路がつながっていないんですか?」というのが落ちになっている。今、お二人がご健在ならば、今回の新駅開業についてどのようなネタを披露してくれるか、非常に楽しみであったが残念である(照代さんは1987年にご逝去)。 品川―茨城直結の優位性を活かせ なぜ本コラム再登板の初回に高輪ゲートウェイ駅開業を取り上げたかというと、「いよいよ品川の時代がやってくるな」ということを申し上げたかったからである。 その品川駅に優等列車で乗り込んでいるのが、我が郷土の基幹路線ともいうべき常磐線である。本来であれば、隈研吾(くま けんご)設計の近未来型駅の提案がクローズアップされるはずであり、さらにはJR東日本による品川開発プロジェクトの幕開けが注目される予定であったが、全てが新型コロナ問題で吹き飛んでしまった。 品川開発構想に関しては、その計画があまりにも壮大すぎるため詳述を避けるが、将来的にJR東海のリニア新幹線の始発駅であったり、JR東日本が羽田アクセス線を開通させたりと、交通の結節点として益々重要度が増してくることは間違いない。 一昔前、北の玄関口と言えば上野駅であった。それが、上野東京ラインによって常磐線は悲願であった東京駅乗り入れを果たした。しかし、その延長線として品川を始発駅にしているということに関しては、沿線の関係者はあまり関心を持っていないように見受けられる。 品川~水戸間は乗り換えなしで最速80分である。一方、品川~宇都宮間、品川~高崎間は最速70分ではあるが、乗り換えが伴ってしまうという弱点がある。品川から茨城県へ直結しているという優位性を最大限に活かして、沿線の活性化につなげてもらいたいものである。(一級建築士)

つくばの蔵元 消毒用アルコールを発売

【鈴木宏子】日本酒「霧筑波」の蔵元、浦里酒造店(つくば市吉沼、浦里浩司代表)が、消毒用アルコールの製造販売を始めた。市内の蔵元では初めて。アルコール濃度66%で、原液のまま手指消毒やドアノブの消毒などに利用できる。 新型コロナウイルスの感染拡大で消毒用アルコールが不足する中、国税庁が手指消毒用エタノールの代用品として、高濃度アルコールを製造する免許手続きを簡素化した。これを受けて同店は4月末に税務署の許可を受け、5月1日から製造を開始した。 95%の原料用アルコールに、ろ過した仕込み水を加えて瓶詰めした。7日までに3000リットル(720ミリリットル入り約4000本)を製造した。 「消毒に使えるアルコールはないか」という問い合わせが、同店に毎日のようにたくさん寄せられたことがきっかけという。業界の一員として社会貢献したいという思いだった。 8日には、つくば市に120本を寄贈した。五十嵐立青市長は「大切に使わせていただきたい」と話し、「保育所や高齢者介護施設、障害者施設などでアルコールが足りない、切れかかっているという声があるので、ニーズを見て配布していきたい」としている。 浦里酒造店6代目の知可良さん(28)は「コロナの感染拡大でいろいろな業態が苦労していると思う。地域の酒蔵として地域貢献できれば」と語る。近く県庁にも120本を寄贈する予定という。 ◆価格は720ミリリットル1980円(消費税込)。同店などで購入できる。問い合わせは電話029-865-0032(同店)

自宅でできる健康維持運動を紹介 県立医療大生 外出自粛も介護予防に

【山崎実】新型コロナウイルス感染拡大防止の外出自粛が続く中、県立医療大学(阿見町、松村明学長)の学生有志が、自宅で簡単にできる健康維持運動(IPUHS運動)を考案した。 地元阿見町だけでなく、他地域の人も活用できるよう、大学のホームぺージにパンフレットと動画を公開している。 外出自粛要請から、高齢者がいわゆる「巣ごもり」状態にあることを知った学生たちは、活動量が減ることでフレイル(虚弱)や要介護のリスクが高まることを懸念。地域高齢者の介護予防に取り組んでいる経験を生かし、ゼミの教員に相談して理学療法、作業療法学科の協力の下、運動プログラムを考案した。 この試みはさらに、阿見町の事業として同大学で開催している介護予防教室で取り入れている運動を自宅でも出来るよう、動作を表したパンフレットと動画の作成に発展した。 町役場の協力もあり、町内回覧板の記事として添付されたほか、動画はDVDを作成し、介護予防教室の参加者に配布することにした。 IPUHS運動は、頭文字を取ると、I(いつでも)、P(ぱっと)、U(うちの中で)、H(1人で)、S(スッキリ)となる。 足踏み、膝伸ばし、かかと上げ、タオル絞り、壁を使った腕立て伏せ、ハーフスクワットなど10種類の運動を紹介。1日3回の運動を提唱している。 医療大学という専門分野の学生、教員による室内健康運動だけに、何のために、どの部分の筋力を強くする運動なのかを分かりやすく解説しているのも特徴だ。 ◆問い合わせは県立医療大学(電話029-888-4000=代表)の理学療法学科、作業療法学科。

障害当事者の全国集会が中止 つくばで国連審査課題を検討予定も

【川端舞】今月30、31日につくば国際会議場で開催予定だったDPI(障害者インターナショナル)日本会議の全国集会が、新型コロナの影響で中止になった。 DPIは、障害のある人の権利の保護と社会参加の機会平等を目的に活動をしている国際 NGO(非政府組織)で130カ国以上が加盟する。 同日本会議は日本の国内組織で、現在、全国で94の障害者団体が加盟している。毎年、各都道府県の加盟団体が持ち回りで全国集会を開催し、各地域特有の社会問題やその年に話題になっているテーマについて議論している。 2020年はターニングポイント 日本は2014年に障害者権利条約を批准し、16年に政府報告が国連に提出された。条約では、締約国は障害者の人権を保障するため、法律や規則などを修正するとされている。条約が適切に履行されているか、締約国は4年に一度、条約の監視機関である障害者権利委員会の審査を受けることになっていて、今年は日本が審査を受ける年だ。 そのため、今年の全国集会in茨城のテーマを「国連障害者権利条約初回審査へ―差別をなくし、みんなで生きていくべ」と題し、今年の審査のポイントや今後の日本の課題を検討する予定だった。 また、今年4月に県障害者権利条例「障害のある人もない人も共に歩み幸せに暮らすための茨城県づくり条例」の施行から5周年を迎えたため、条例に対する県内の取り組みの報告や、条例5周年を祝うパレードも行われる予定だった。 さらに、オリンピック・パラリンピックに向けての国内のバリアフリーの取り組みや、今年3月に被告に死刑判決が下された相模原障害者殺傷事件についても取り上げる計画もあった。様々な面からターニングポイントになるはずだった2020年に全国集会が開催できなくなったことに、県内の実行委員会のメンバーは肩を落としている。 今後の予定はまだ決まっていないが、再来年に改めて茨城県開催にできないか、DPI日本会議など関係団体で検討している。

カーネーション収穫最盛期 「母の日」前に土浦の生産農家

【大山茂】「母の日」の10日を前に、土浦市荒川沖のカーネーション栽培農家、斎藤洋一さん(53)、礼子さん(49)夫妻のハウスでは切り花用カーネーションの収穫がピークを迎えている。 夫妻が栽培しているのは、一般的な一輪咲きと一本の茎から数輪の花をつけるスプレー型。このほかに、斎藤さんが所属する常陸野カーネーション組合(8人)が開発したオリジナル種(24種)も2割近く手掛けている。 オリジナル種の「あられ」は出荷先の東京・大田花き市場が主催する「2018フラワーオブザイヤーOTA」で最優秀賞を受賞した自慢のカーネーション。品質に優れ、希少種として中央市場などで高値で取り引きされてきた。 13日間花持ちを保証 斎藤さん夫妻は現在、ハウス5棟を自宅周辺に構え、2300平方メートルに12品種、20万本を生産している。カーネーション業界では中堅農家だ。 同組合が栽培するカーネーションは、セリの日から13日間の花持ち保証を売りにしている。日本花き生産協会(JFGA)の認証を受け、出荷箱には「日持ちさん」と名付けられたキャラクターが描かれている。日持ちの技術は県経済連との共同研究で全国に先駆けて実現、他産地と差別化を図っている。 洋一さんは「低農薬で栽培し、収穫後は冷温庫で腐敗の元になるエチレンガスを特殊な装置で除去している。出荷する時は鮮度保持フィルムで包むなど、品質にはとことんこだわっている」と話している。 需要激減、ネット販売にも力 新型コロナウイルスの影響でイベントやパーティーの中止が相次ぎ、生花の需要は激減した。斎藤さん夫妻は全農を通じて大田市場に出荷しているが、価格は低迷し、例年の半分以下の収入減になると肩を落とす。 こうした状況を打開しようと、県女性農業士の肩書を持つ礼子さんは収穫したカーネーションを地元の直売所やスーパーに持ち込んで直接販売を始めたほか、例年以上にネット販売にも力を入れている。 カーネーション30本化粧箱入りの1ケースで、基本料金は4200円(送料・箱代・消費税込み)。母の日用カーネーションは今季の予定数を終了している。

クラウドファンディングで支援呼び掛け 土浦のクラブハウス存続の危機

【山口和紀】土浦市上高津のクラブハウス「club GOLD」がクラウドファンディングを開始した。新型コロナウイルス感染拡大の影響でイベントが開催できず、存続の危機に陥っているからだ。 クラブは16年前にオープンした。日本語ラッパーとして有名な舐達麻(なめだるま)がライブをしたこともある。筑波大学のストリートダンスサークル「Real jam」など、地元サークルの利用も多かった。 休日を中心に営業し、茨城のミュージック・カルチャーシーンを盛り上げていた。クラブは3月末から営業自粛を開始し、現在までイベントは開催できていない。 イベントを開催しなくても、クラブの維持には費用が掛かる。中心は家賃と電気代だ。高圧電力を通しているため、毎月の基本料金は10万円を超える。電気をいったん解約して収束を待つことも難しい。1から契約という形になるためさらに費用がかかるからだ。数名のスタッフに払う人件費ものしかかる。 クラウドファンディングの目標金額は150万円。100万円集まったら約2カ月分の休業資金になる。募集終了までおよそ1カ月の現時点で約70万円集まっている。しかし「地方の小さいクラブやライブハウスも同様のクラウドファンディングを行っているが伸びない、このままだとうちも満額は達成できないと思う」とオーナーの加藤さん(50)は苦しい状況を話す。 クラブハウスならではの事情もある。クラブのイベントは「企画してから2カ月間の準備時間が必要」だ。出演者のスケジュールや告知をしてチケットを売るためにかかる時間があるからだ。いつ営業再開できるのかわからないという状況では、イベントの企画すら難しい状況になっている。 「3密避けられない」 営業再開ができたとしても道のりは険しい。オーナーは「再開できたとしてもすぐに人が集まるとは考えにくい」と話す。クラブイベントは性質上「3密」を避けることができない。感染のリスクを考えれば客足は遠のくだろう。 しかし、クラブは地元のミュージシャンやダンサーには必要不可欠な場所だ。一度なくなってしまえば、元には戻らないかもしれない。茨城の音楽・カルチャーのともし火を消してはならない。 支援はこちらから➡クラウドファンディングサイト:https://camp-fire.jp/projects/view/263942

《吾妻カガミ》81  つくば市のコロナ対応を点検

【コラム・坂本栄】新聞もテレビも本サイトも新型コロナ禍一色です。4月の本欄は『大型コロナ病床をつくば市に』の是非」(4月20日掲載)、「善政? つくば市のコロナ対応」(4月6日掲載)でしたが、今回もつくば市のコロナ対応の話にします。 4月2回のコラムでは、コロナとの攻防を戦争状態に例え、撃退のためには二つの基本作戦が必要であると述べました。「コロナを運ぶ人の移動を抑える」「コロナを運ぶ人が群れない」です。政府の緊急事態宣言も各自治体の対コロナ策も、こういった考え方を軸に組み立てられています。 対コロナ戦の基本を踏まえ、6日のコラムでは、市が2~3月に打ち出した「小中学生の自習のための登校を容認する」善政は「人を群れさせない」という基本に合わない、「市内で宿泊・飲食する人にはおカネを補助する」善政は「人の移動を抑える」という基本を理解していない、と指摘しました。 似たような声があったのでしょうか? 市は4月3日に「自習登校容認」の取り止めを発表、20日には「宿泊飲食者補助」を「宿屋飲食店補助」に組み替えると発表しました。対コロナ戦線の拡大にともない、「群れさせない」「移動を抑える」という目標と、蔓延阻止の手段がかみ合って来たようです。 緊急対策の仕組みに心配な点も 以上は、対コロナ戦の戦略と戦術についての整理です。以下、市が4月20日に議会に説明した緊急経済対策の内容を点検します。対策の詳細は「テイクアウト飲食店に一律10万円 つくば市が1億6000万の緊急経済対策」(4月21日掲載)をご覧ください。 このセット対策は、①テイクアウト推進支援給付事業、②緊急支援給付事業、③市内事業者応援チケット事業、④市内宿泊事業者支援給付事業―から成っています。規模と効果がわかりやすい①②④(直接支援型)については、紙幅の関係もありパスします。 「?」が付いたのは、③です。その仕組みは、市町村で発行されたプレミアム商品券の業種限定・業者救済型と言ってよいでしょう。つまり、文化興業、運転代行、飲食経営など5業種に絞り、コロナ禍による売り上げ減で資金繰りが苦しくなっている事業者を助けるために、将来のサービス提供が約束されたチケットを、市内外の応援者(将来のサービス利用者)に前倒しで買ってもらう、という内容です。 市が2割の補助金を出しますので、応援者は本来価値よりも安くモノやサービスが買えます。事業者も応援者も「めでたしめでたし」ですが、事業者がコロナ禍に耐えられず店を閉めてしまうと、チケットは無価値になるのでは? 事業者が自らチケットを購入し、支払分と補助金を受け取りドロンしたら?―といった、心配な点もあります。 市の関与に安心して、応援者が先払いに応じ、市内の事業者を支援する―。洗練された仕掛けです。でも、クラウドファンディング(寄付感覚もあるリスク承知の投資)とチケット(モノやサービスが約束された商品券)の性格を併せ持つことから、混乱も予想されます。担当課によれば、無価値化に備え保険を掛け、潜在ドロン業者は排するとのこと。制度設計は複雑になりそうです。(経済ジャーナリスト、戦史研究者)

《吾妻カガミ》81  つくば市のコロナ対応を点検

【コラム・坂本栄】新聞もテレビも本サイトも新型コロナ禍一色です。4月の本欄は『大型コロナ病床をつくば市に』の是非」(4月20日掲載)、「善政? つくば市のコロナ対応」(4月6日掲載)でしたが、今回もつくば市のコロナ対応の話にします。 4月2回のコラムでは、コロナとの攻防を戦争状態に例え、撃退のためには二つの基本作戦が必要であると述べました。「コロナを運ぶ人の移動を抑える」「コロナを運ぶ人が群れない」です。政府の緊急事態宣言も各自治体の対コロナ策も、こういった考え方を軸に組み立てられています。 対コロナ戦の基本を踏まえ、6日のコラムでは、市が2~3月に打ち出した「小中学生の自習のための登校を容認する」善政は「人を群れさせない」という基本に合わない、「市内で宿泊・飲食する人にはおカネを補助する」善政は「人の移動を抑える」という基本を理解していない、と指摘しました。 似たような声があったのでしょうか? 市は4月3日に「自習登校容認」の取り止めを発表、20日には「宿泊飲食者補助」を「宿屋飲食店補助」に組み替えると発表しました。対コロナ戦線の拡大にともない、「群れさせない」「移動を抑える」という目標と、蔓延阻止の手段がかみ合って来たようです。 緊急対策の仕組みに心配な点も 以上は、対コロナ戦の戦略と戦術についての整理です。以下、市が4月20日に議会に説明した緊急経済対策の内容を点検します。対策の詳細は「テイクアウト飲食店に一律10万円 つくば市が1億6000万の緊急経済対策」(4月21日掲載)をご覧ください。 このセット対策は、①テイクアウト推進支援給付事業、②緊急支援給付事業、③市内事業者応援チケット事業、④市内宿泊事業者支援給付事業―から成っています。規模と効果がわかりやすい①②④(直接支援型)については、紙幅の関係もありパスします。 「?」が付いたのは、③です。その仕組みは、市町村で発行されたプレミアム商品券の業種限定・業者救済型と言ってよいでしょう。つまり、文化興業、運転代行、飲食経営など5業種に絞り、コロナ禍による売り上げ減で資金繰りが苦しくなっている事業者を助けるために、将来のサービス提供が約束されたチケットを、市内外の応援者(将来のサービス利用者)に前倒しで買ってもらう、という内容です。 市が2割の補助金を出しますので、応援者は本来価値よりも安くモノやサービスが買えます。事業者も応援者も「めでたしめでたし」ですが、事業者がコロナ禍に耐えられず店を閉めてしまうと、チケットは無価値になるのでは? 事業者が自らチケットを購入し、支払分と補助金を受け取りドロンしたら?―といった、心配な点もあります。 市の関与に安心して、応援者が先払いに応じ、市内の事業者を支援する―。洗練された仕掛けです。でも、クラウドファンディング(寄付感覚もあるリスク承知の投資)とチケット(モノやサービスが約束された商品券)の性格を併せ持つことから、混乱も予想されます。担当課によれば、無価値化に備え保険を掛け、潜在ドロン業者は排するとのこと。制度設計は複雑になりそうです。(経済ジャーナリスト、戦史研究者)

インド出身の実業家 つくばの病院回りマスク寄贈

【鈴木宏子】自動車販売店やレストランなどを経営するヤングガンズグループ(つくば市大貫)社長で、インド出身の倉留ラジェシュさん(47)が、市内の病院を回り、マスクを寄贈する活動を行っている。 新型コロナウイルスの感染拡大に伴うマスク不足のなか、計1万枚のマスクを中国から輸入した。これまでに市内の市原病院(同市大曽根)、筑波記念病院(要)、筑波学園病院(上横場)にそれぞれ1000枚の医療用マスクを直接手渡したほか、マスクがなかなか手に入らない小規模な民間企業に100~200枚ずつ寄贈している。 倉留さんは19歳で来日、29歳のとき、つくば市で自動車販売会社を立ち上げ、同市や栃木県真岡市に自動車販売店を5店、つくば市内にレストランを6店経営するまでに事業を拡大させた。 「会社が大きくなり、今(自身が)ここにあるのは日本のおかげ。困っている人のために何かしたい」と、知人を通して中国から医療用マスク6000枚と一般のマスク4000枚を輸入した。これまでも、2011年の東日本大震災や12年の北条の竜巻、15年の常総水害などで、被災者に食事を届けるなどボランティア活動に取り組んできた。 2日は同市上横場の筑波学園病院を訪れ、病院関係者に1000枚の医療用マスクを直接手渡した。同病院は「大変ありがたい。マスクは今は何とか確保できているが、値段が何倍にもなっている」としている。 倉留さんは「マスクが手に入らず困っているところがあれば、これからも届けたい」と話している。

受け付け始まる テイクアウト協力金など つくば

【鈴木宏子】新型コロナウイルスの感染拡大で影響を受けているつくば市の事業者に総額1億6400万円を給付する緊急経済対策の補正予算(4月21日付)について審議するつくば市議会臨時議会が1日開かれ、全会一致で可決した。可決を受けて同市ではs即日、食事のテイクアウト(持ち帰り)を実施している飲食店に一律10万円を給付するテイクアウト協力金などの申請受け付けが始まった。 ほかに、クラウドファンディングで民間資金を集め、将来使用できるチケットを先払いで購入してもらい、チケットの売り上げを事業者に渡す補正予算の事業について、飲食店を対象とした応援チケット事業の参加店の募集もスタートした。 市産業振興課経済対策支援室によると、テイクアウト協力金やクラウドファンディングによる応援チケットについて、1日までにそれぞれ100件を超える問い合わせがあったという。 テイクアウト協力金について市は1日付けで、計約1000店の市内飲食店に制度の案内と申請書を郵送した。市役所に来なくても、郵送された申請書に必要事項を記入して申し込めば、早くて20日過ぎから10万円の給付を受けることができるという。 補正予算が可決されたクラウドファンディングによる芸術文化、旅客運送など残り4分野の応援チケットと、従業員が新型コロナウイルスに感染した場合の緊急支援資金、売り上げが減少しているホテルや旅館に最大300万円を給付する経済支援などについては、詳しい手続き方法などが決まり次第、順次受け付けを開始するという。

赤ちゃんの股関節脱臼心配 ツイッターで無料相談 つくば市の医師

【伊藤悦子】新型コロナウイルスの感染拡大から、乳幼児健診や育児相談事業が中止や延期になっている。1歳未満の赤ちゃんは乳児一般健康診査受診票を使用し、医療機関で健康診査を受けられるが、今の時期、乳幼児を連れて病院へは行きづらい。特に赤ちゃんの股関節脱臼が見逃されやすい懸念があるため、つくば市在住の医師が10日から、自身のツイッターアカウントで無料相談を開始した。 「乳児股関節パトロール」と名付けた活動を強化しているのは小児整形外科医、中川将吾さん。4月、5月に健診を受ける冬生まれの赤ちゃんは、原因は分かっていないが股関節脱臼になりやすい傾向にあるためだ。中川さんによると、股関節脱臼は乳児健診で見つかるのがだいたい8割程度で、15%は1歳ごろになって、歩きだしてから初めて分かることがほとんどだそうだ。生後半年を過ぎてわかった場合、治療は手術になることが多いという。 「股関節脱臼は1カ月発見が遅れただけで治療法が変わってしまう可能性がある。小児整形外科医としてできることはないか」と考え、Twitterを利用しオンライン上で無料相談に乗ることにしたという。オンラインなのでつくば市や土浦市だけでなく、全国どこに住んでいても相談を受け付ける。 ハッシュタグ「#股関節心配」で 最近は、乳児の股関節脱臼を診ることができる医師も減っているという。特に生後1カ月程度だと、股関節が外れても簡単に戻ったりするため、一般の整形外科や小児科に行っても見つからないこともあるそうだ。 チェックポイントは、足の開き方の左右差、足にできるしわの数の左右差、逆子、女の子、冬生まれ、股関節脱臼の家族歴がある赤ちゃん。いくつかあてはまるなど不安がある場合は、相談してほしいと話す。 相談方法は、赤ちゃんの足のしわの状態や動きを撮影し、ツイッターで「#股関節心配」というハッシュタグをつけて動画をアップするか、DM(ダイレクトメール)を中川さんのアカウントに直接送る。 ◆動画撮影のポイントは次の通り。 ズボンやロンパースは脱いでオムツにする→脚のシワを見やすくする動画の撮影はおへそまで→動いている部分が見やすくなる正面からの撮影→傾いていると判定が難しい靴下ははかない→脚の向きがわかりやすくなる (中川将吾さんのツイッターより) 両市の乳幼児健診再開は未定 乳児・母子健診の延期・中止について、土浦市・つくば市の担当者に話を聞いた。 土浦市では、4、5月の4カ月児の健康診査のほか、赤ちゃん身体計測、10カ月児育児相談、つちまる育児相談は当面の間中止だ。また1歳6カ月児健康診査、3歳児健康診査は延期。おやこの歯科検診は当面の間中止で振替の予定はない。市健康増進課母子保健係によると、中止の連絡は個別に案内を送付、「心配なことや不安なことがあれば個別に電話で問い合わせを」と記載した文書を同封したという。 1歳未満の赤ちゃんは「乳児一般健康診査受診票」を使用して医療機関で健診を受診することになっているが、体重の増え方などに不安がある場合など、保健師が面接して相談に乗っている。また1歳の子どもの保護者や妊娠後期の母親には、電話をして様子を聞いているという。健診の再開時期は未定だが、「再開が決まったら市のホームページに掲載するほか、個別に連絡する」そうだ。 つくば市では、生後3カ月から7カ月未満、9カ月から12カ月の赤ちゃんは「乳児一般健康診査受診表」を使用して県内の医療機関で健康診査を無料で受診することになっている。 同市母子健診担当によると、今の時期に個別で病院に健診に行くのが不安な保護者には、平日午前8時半から午後5時15分まで電話相談を受け付けて対応しているという。 また毎月予約制で行っている「すこやか健康相談」も現在は見合わせているが。予約なしで体重を測りに来た場合は、保護者が自分で測定することができる。さらに「母乳が足りているか」「体重の増え方が心配」など不安がある場合、随時対応で、短時間だが相談に乗っているという。赤ちゃん訪問も見合わせているが、ケースによっては同意を得て訪問も行っている。 4、5月の1歳半・3歳健診は延期となった。ともに法律で定められている健診なので、時期を過ぎても1歳半健診は2歳の誕生日前日まで、3歳健診は4歳の誕生日前日まで受けられるようになっている。今回は延期がいつまで続くのか分からないため、誕生日を過ぎても受けられるように体制を整えている。「6月に実施するかどうか、方針はまだ出ていない」として、「もし実施する場合は人数を減らしたり、車で待機してもらったりなど工夫する。しっかり対応しながら行うので、心配しないでほしい」ということだ。

障害者の居場所を守るために 就労支援事業所の今

【川端舞】新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、外出自粛を呼び掛けた「ステイホーム週間」が始まった。日中の障害者の居場所はどうなっているのか。県内3カ所の「ひまわり学園」で就労支援を行っている特定非営利法人「艫(とも)づな会」の理事長、大久保安雄さんに話を聞いた。 日常を守っていく ひまわり学園つくば(つくば市上横場)は、一般企業等への就労を希望する障害者に、就労に必要な知識及び能力向上のための訓練をする就労移行支援と、一般企業等での就労が困難な障害者に、働く場を提供する就労継続支援B型を提供している。普段は40人の利用者が平日午前9時から午後4時まで通い、金属部品のバリ取りやサッシ部品の組立、調理作業などを行っている。 就労支援事業所が閉じてしまうと、障害者はほとんど自宅にいることになり、介助する家族の負担が増えるとともに、本人の身体機能の低下も危惧される。こうした不安も考慮し、学園では、利用者や家族に対する情報提供や、利用者・職員の健康管理を徹底しながら、通常通り開所している。それでも新型コロナ感染拡大の影響で、普段企業などから受注している仕事は減っているそうだ。 通所できない利用者への継続支援 特につくば市内の感染者が増え始めた3月からは、事業所がどんなに感染対策を行っても、持病のある利用者などは通所に大きな不安を持ち始めた。現在、6~7人の利用者は通所を中止し、日中も自宅にいるようになった。そうした利用者に対し、学園では毎日電話などで連絡を取り、困りごとの相談や、本人の機能低下を防止するために自宅でできる支援プログラムの提供を、家族とも連携しながら行っている。 身体障害のある男性利用者(25)は普段、つくば市のアパートで一人暮らしをしながら、平日ひまわり学園に通っているが、現在は感染予防のため下妻市の実家で生活している。いつもは介助者に自宅に来てもらってサポートを受けているが、実家にいる今は両親に介助をしてもらっている。 つくばのアパートでは車いすで自由に動け、トイレにも一人で行けるが、実家はバリアフリーではなく、ベッドで過ごすことが多くなった。ストレッチなどを可能な範囲でしているが、運動不足が心配だと男性本人は語る。学園にも通えなくなったが、学園職員が週に一度実家を訪問し、リース作りや折り紙など実家でできる課題を持ってきて、作業を一緒にやったりしている。 障害者の日常生活が変化すると、それだけで身体機能が低下する可能性もある。普段の生活が早く戻ってくることを就労支援事業所の利用者も職員も願っている。

苦境に打つ手も限られ 大型連休前の土浦・ラクスマリーナ

【崎山勝功】新型コロナウイルスの影響が厳しさを増している観光業界。遊覧船やキャンプ場などを運営するラクスマリーナ(土浦市川口)も例外ではなく、感染防止のため各施設を運休・閉鎖して、本来ならば書き入れ時の大型連休を迎えようとしている。苦境を乗りこえるための手立てを模索しているが、打てる手は限られている。 癒しにテイクアウトの温泉水 同社は霞ケ浦を遊覧する遊覧船「ホワイトアイリス号」を運航しているが、ウイルス感染が拡大して以降「利用者はほとんどいない」(坪田哲也船長)と厳しい状況だ。所有する船舶計13隻の維持費は、保険料も含めて年間数百万円以上に上るという。 遊覧船では「三密(密集、密閉、密接)」を避けるために、客席の間隔を空けたり、随時アルコール消毒を実施したりなどの対策を講じてきた。 しかし連休期間中のイベントは相次いて中止が決まり、観光需要は激減。毎年5月下旬に開かれる「潮来あやめ祭り」も中止となり、土浦ー潮来間を結ぶ「あやめ祭りクルーズ」も欠航した。「お客は欲しいけど感染拡大が怖い」(担当者)と、苦悩を垣間見せる。 事業として唯一動いているのは、自宅で温泉を楽しめるよう温泉水を汲みだして持ち帰れる「温泉スタンド」だけ。地下700メートルの岩盤層から湧き出る天然温泉がテイクアウトできる。「ステイホーム週間」の巣ごもり生活からの利用拡大に期待をかけている。 弱アルカリ、ナトリウム・カルシウ塩化物泉で、神経痛や筋肉痛、慢性婦人病、疲労回復などに効能あるそうだ。利用は20リットル100円(税込み)、持ち帰り容器の用意が必要だが、同社事務所でも温泉専用ポリ容器(税込み900円)を販売している。 「コロナに勝つ!」缶バッジ そんな同社では、「コロナに勝つ!頑張ろう!」と呼び掛ける缶バッジを製作し、約200個を土浦市観光課などを通じ関係各団体に配布した。マスコットキャラクター「まりりんちゃん」が両手を上げてコロナ対策を呼び掛ける直径約6センチの缶バッジ。 市販はしておらず、同社では病院職員など現場で働くエッセンシャルワーカーを念頭に「缶バッジを通じて感謝の気持ちを表すきっかけになれば」としている。 問い合わせ先はラクスマリーナ(電話029-822-2437)

小中学校も5月31日まで休校延長 つくば、土浦

【鈴木宏子】新型コロナウイルスの感染拡大による学校の臨時休校について、つくば、土浦両市は27日までに、小中学校の休校期間を5月31日まで延長することを決めた。 県が24日、県立高校の休校期間を5月31日まで延長することを決め、小中学校についても同様の対応をとるよう各市町村に要請したことを受けて延長した(25日付)。4月初め時点では小中学校の休校期間は5月6日までだった。 つくば市教委は「この期間の子供たちへの生活支援については、メールや電話、ポスティング等を行い、家庭とやりとりできるようにし、子供たちへの支援に向け可能な限りの対応に努める」としている。 休校期間中、保護者が仕事を休めない子供については、引き続き放課後児童クラブなどで受け入れる。 小学校が休校になり、子供の世話をするため保護者に有給休暇を取得させた企業に対しては、正規、非正規を問わず、国が小学校休業対応助成金で賃金相当額(上限8330円)を助成する。個人事業主の保護者に対しては、国が小学校休業対応支援金で1日4100円を支援する。 公共施設も休館延長 学校の休校期間の延長に併せて、土浦市は市立図書館や博物館、地区公民館などの休館期間を6月1日まで延長することを決めた。

《邑から日本を見る》62 東海第2再稼働の是非は住民投票で

【コラム・先﨑千尋】「いばらき原発県民投票の会」は22日、日本原子力発電東海第2原発の再稼働の是非を問う県民投票条例制定を求める直接請求署名簿を、県内全44市町村の選挙管理委員会に提出した。署名簿は90,899筆で、法定必要数の1.87倍にあたる。地域別では、県南地域が法定必要数の2倍近く、東海第2原発の再稼働にあたり事前同意が必要な周辺6市村では、東海村が1.95倍、水戸市が1.69倍、那珂市が1.47倍など。 各選管は署名が有効かどうかを審査し、その後署名簿は会に返付される。会では5月25日に大井川知事に条例案と署名を提出する予定だ。条例案は6月の県議会に上程される見通しだが、可決されるかどうかはわからない。 わが国では、国、都道府県、市町村いずれも間接民主制なので、国民、住民が事案に対して直接意思を表明できない。しかし、東京電力福島第1原発の事故でわかるように、原発の存廃は私たちのくらしに大きな影響を及ぼす。そのために、東海第2の再稼働には直接住民の意思を反映させよう、と投票の会が準備を進めてきた。 東海第2の再稼働に関しては、これまで報道機関の世論調査では県民のおおむね3分の2が反対という結果が出ている。また、茨城大学人文社会科学部の渋谷敦史教授らの調査では、住民・県民が直接意思表示する方法を望む人が7割を超えている。もし東海第2が再稼働され、事故が起きたときは、周辺住民の生命、財産は危険にさらされる。これだけは首長や議会に任せられない、自分たちの意思で決めよう、ということだ。 沖縄「辺野古」同様、軟弱地盤 東海第2原発については、昨年秋から今年にかけて動きが活発化してきている。日本原電は一昨年秋に、20年延長などの原子力規制委員会許認可を受け、再稼働の意向を表明し、なし崩しに安全対策工事を進めている。工事の内容は、電源の多重化や防潮堤の建設などだが、東海村など6市村の同意を得ていない。 日本原電と6市村で構成される原子力所在地域首長懇談会(首長懇)の会合が2月18日に開かれた。その席で原電側は、規制委に提出する書類に「原子力施設の使用開始予定時期は2022年12月」と記載し、安全対策工事の終了時期と再稼働時期を同時にしていた。これに首長側は反発。同月26日に、再稼働前に実施される使用前検査は再稼働に直結しないと確約せよと原電に申し入れた。 また、東海第2の再稼働に反対する市民グループの「とめよう!東海第2原発首都圏連絡会」は今月1日に、同意なき工事の中止を求める署名簿を原電に提出した。首長懇の申し入れを受け、日本原電は今月14日に「使用前の検査は再稼働に直結しない」という回答書を6市村に出した。 東海第2の所在地は沖縄辺野古と同様、軟弱地盤であり、津波に耐えられる防潮堤を造るのは無理、と専門家はみている。新型コロナウイルスの影響もあり、原電の思惑通り工事が進められるかはわからない。市町村が策定する避難計画策定も課題が多すぎて、進んでいない。東海第2が再稼働するかどうか、双方にとってこれからが真剣勝負になる。(元瓜連町長)00

《邑から日本を見る》62 東海第2再稼働の是非は住民投票で

【コラム・先﨑千尋】「いばらき原発県民投票の会」は22日、日本原子力発電東海第2原発の再稼働の是非を問う県民投票条例制定を求める直接請求署名簿を、県内全44市町村の選挙管理委員会に提出した。署名簿は90,899筆で、法定必要数の1.87倍にあたる。地域別では、県南地域が法定必要数の2倍近く、東海第2原発の再稼働にあたり事前同意が必要な周辺6市村では、東海村が1.95倍、水戸市が1.69倍、那珂市が1.47倍など。 各選管は署名が有効かどうかを審査し、その後署名簿は会に返付される。会では5月25日に大井川知事に条例案と署名を提出する予定だ。条例案は6月の県議会に上程される見通しだが、可決されるかどうかはわからない。 わが国では、国、都道府県、市町村いずれも間接民主制なので、国民、住民が事案に対して直接意思を表明できない。しかし、東京電力福島第1原発の事故でわかるように、原発の存廃は私たちのくらしに大きな影響を及ぼす。そのために、東海第2の再稼働には直接住民の意思を反映させよう、と投票の会が準備を進めてきた。 東海第2の再稼働に関しては、これまで報道機関の世論調査では県民のおおむね3分の2が反対という結果が出ている。また、茨城大学人文社会科学部の渋谷敦史教授らの調査では、住民・県民が直接意思表示する方法を望む人が7割を超えている。もし東海第2が再稼働され、事故が起きたときは、周辺住民の生命、財産は危険にさらされる。これだけは首長や議会に任せられない、自分たちの意思で決めよう、ということだ。 沖縄「辺野古」同様、軟弱地盤 東海第2原発については、昨年秋から今年にかけて動きが活発化してきている。日本原電は一昨年秋に、20年延長などの原子力規制委員会許認可を受け、再稼働の意向を表明し、なし崩しに安全対策工事を進めている。工事の内容は、電源の多重化や防潮堤の建設などだが、東海村など6市村の同意を得ていない。 日本原電と6市村で構成される原子力所在地域首長懇談会(首長懇)の会合が2月18日に開かれた。その席で原電側は、規制委に提出する書類に「原子力施設の使用開始予定時期は2022年12月」と記載し、安全対策工事の終了時期と再稼働時期を同時にしていた。これに首長側は反発。同月26日に、再稼働前に実施される使用前検査は再稼働に直結しないと確約せよと原電に申し入れた。 また、東海第2の再稼働に反対する市民グループの「とめよう!東海第2原発首都圏連絡会」は今月1日に、同意なき工事の中止を求める署名簿を原電に提出した。首長懇の申し入れを受け、日本原電は今月14日に「使用前の検査は再稼働に直結しない」という回答書を6市村に出した。 東海第2の所在地は沖縄辺野古と同様、軟弱地盤であり、津波に耐えられる防潮堤を造るのは無理、と専門家はみている。新型コロナウイルスの影響もあり、原電の思惑通り工事が進められるかはわからない。市町村が策定する避難計画策定も課題が多すぎて、進んでいない。東海第2が再稼働するかどうか、双方にとってこれからが真剣勝負になる。(元瓜連町長)

旅を通し、自分を成長させたい人を後押ししたい 「旅キャリ」武田直樹代表

【池田充雄】交通手段や情報技術の発達によって世界はますます狭くなりつつある。地域活動でさえ、 グローバル世界との関係の中でとらえ直す必要があるとSDGs(持続可能な開発目標)の理念は示す。だれもが一度は外へ出て、大きな枠組みの中で自らの使命を考えるべきだ-と筑波学院大をこの春退職した武田直樹さん(50)は、自主運営組織「旅キャリ」を立ち上げアピールする。 自分の人生をデザインする力を 「旅キャリ」は、さまざまな人に体験学習、フィールドワーク、社会貢献活動、国内外スタディツアーといった「旅」の機会を提供する活動。観光地を訪ねるだけの旅行とは違い、年齢や社会的立場を問わず、旅を通して学びや成長を得ることに力点を置く。 「旅の中でキャリアを積み、社会力を磨く文化を創りたい」と武田さんは訴える。「社会力」はさまざまな人が協力し、より良い社会を作り上げる力のこと。筑波学院大学初代学長の門脇厚司さんが著書『子どもの社会力』(岩波新書)などで提唱した造語だ。 「心の殻を破り、領域外へ出て挑戦するということ。旅先で人々の中に飛び込み、新しいものごとに触れ、そこで自分に何ができるかや何をするべきかなどを見つめ直し、自分の力で人生を作り上げられるようになる。それが今後、ますます重要なテーマになると思う」 さまざまな人の「旅」を応援 武田さん自身も、多くの仕事を通して社会と協働する経験を積み、専門性を磨いてきた。日本国際ボランティアセンターのタイ事務所スタッフや日本テレビの「24時間テレビ」のカンボジア事務所代表なども務めた。 2006年からは筑波学院大学で、社会力コーディネーターとしてオフ・キャンパス・プログラムを推進。これは学生が地域へ出て社会貢献活動を行い、社会力を育む取り組みで、20年までの14年間で約4800人の学生と約260の団体をコーディネートした。その間にも国際協力や災害支援で毎年のように海外を回り、訪れた国は79カ国に及んだ。 退職後のリスタートに当たっても、身をもって「旅キャリ」のコンセプト実現を目指すことにした。まずは自らが世界中を旅するプロジェクトに、クラウドファンディングでの支援を呼び掛けている。 「今回の主な目的は、世界中に新たな人脈を築くこと。旅先でさまざまな生き方をしている人になるべく多く出会い、そこから次の時代に通用するアイデアを得て、限定コミュニティーSNS『旅キャリ』を通して情報発信する。このSNSでは相談や意見交換なども行い、皆さんと一緒に新たな価値を作り上げる場にしたい」 新しい生き方や価値観に期待 旅の開始は今年夏以降の予定だが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響から、先行きはまだ不透明だ。 「コロナの重圧はあまりにも大きいが、これを契機に世界中で新しい生き方や価値観が生み出されると思う。そこに注目していく。行き詰まると人はどうしても萎縮しがちだが、そんなときこそ『旅キャリ』的な生き方が力になると証明したい。そして世界中のみんなが夢と希望を持ち、未来へ向かって懸命に走るような生き方を応援したい」 →「旅キャリ」のクラウドファンディングページはこちら

臨時休校を5月31日まで延長 県立高校

【鈴木宏子】新型コロナウイルスの感染拡大による学校の臨時休校について、大井川和彦知事は24日、県立高校と特別支援学校の休校期間を5月31日まで延長すると発表した。小中学校についても同様の対応をとるよう各市町村に要請している。 4月初旬時点では5月6日までを休校期間としていたが、現在の感染状況から、ゴールデンウイーク明けに解除するのは現実的ではないと判断した。 休校中の生徒のケアについては、1~2週間に1回程度、学校が心身の健康状態を定期的に確認するほか、スクールカウンセラーや養護教諭による電話やウェブ会議システムを活用したカウンセリングなどを実施する。 学びの保障については、分散登校や家庭訪問時に、課題の提示と回収、確認とテストのほか個別の質問に対応する。さらにオンライン学習を促進し、授業動画を配信したり、ウェブ会議システムによる授業を推進するとしている。 県教育委員会は、県内の小中高校の先生たちが制作した授業の動画「いばらきオンラインスタディ」をYouTubeで配信している。 小学生向けは、https://sites.google.com/view/ibastudye/ 中学生向けは、https://sites.google.com/view/ibarakionlinestudy-j/ 高校生向けは、https://www.edu.pref.ibaraki.jp/board/gakkou/koukou/gakuryoku/dougasakusei/index.html

感染拡大の中で生活を続けていく 障害者介助の今

【川端舞】新型コロナウイルスの感染拡大により世の中全体が混乱している今、障害者支援にはどのような影響が出ているのか。介助者のサポートを受けながら一人暮らしをしている障害者の中には、介助者の派遣が止まってしまったら、食事をすることも、医療機関に電話で体調の相談をすることもできない人も多い。 変わってしまった日常 地域で生活している障害者を支援する「つくば自立生活センターほにゃら」(つくば市天久保)代表の川島映利奈さんは、自身も脊髄性筋萎縮症という障害を持っていて、24時間、介助者のサポートを受けながらつくば市内のアパートで生活している。 今までは、センターの活動で週に4日、私用で1~2日外出していたが、感染拡大が身近に迫ってきた4月初めからは、週に1~2回、買い物など本当に必要な数時間の外出しかしていない。食事やトイレ、痰の吸引など、日常生活すべてに介助が必要な川島さんは、自分が新型コロナに感染するよりも介助者にうつしてしまうことの方が怖いと話す。部屋のドアノブを一日一回は消毒したり、介助者に手洗いやマスク着用を徹底してもらったりなど、できる限りの感染予防をしている。 最悪を想定、一人一人の対応を検討 「ほにゃら」は、地域で生活している障害者に介助者派遣もしている。「障害者のことは障害者が一番よく知っている」という理念のもと、介助者の採用面接や研修、シフト作りに川島さんも関わっている。 通常、週に1度、利用者や介助者の近況報告・問題共有をするための会議を開いている。そこでは個別具体的な話もされるため、ビデオ通話では難しい。現在週に1度だけ、十分な感染対策をしながら、川島さんも同センター事務所に行っている。 同センターでは最悪の事態を想定した対応策を考えている。利用者一人が感染した場合、その利用者のところに入っていた介助者は濃厚接触者となり、他の利用者の介助にも入れなくなる。濃厚接触者を少なくするために、どの介助者がどの利用者の介助に入るか固定する方法も考えたが、複数の利用者の介助に入っている介助者も多いため、現実的ではなかった。 現状は、利用者と介助者の両方に、手洗いや検温の徹底、利用者の部屋の換気などをお願いするとともに、事務所内の仕事もなるべくそれぞれの家でできるように工夫している。そして、利用者が感染した場合に備えて、使い捨ての防御服や雨合羽、フェイスガードなどを少しずつ備え、どうやって介助するべきかというシミュレーションを利用者一人一人について考えているそうだ。 つくば自立生活センターほにゃらも加盟している全国自立生活センター協議会(東京都八王子市)でも、新型コロナウイルス対策についてのホームページを立ち上げ、感染した障害者を介助する際の注意点などを掲載している。 障害者にとって、介助派遣事業所が感染予防だけでなく、もし利用者が感染した場合の介助方法も事前に考えてくれていることは、何より心強く、不安な中でできる限りの感染予防をやりながら、自分らしい生活を続けていこうと思える力になるだろう。

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