金曜日, 4月 26, 2024
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【あと一勝の壁】4 サヨナラホームラン 阻まれた2度目のチャンス

【伊達康】2年夏には2度目の甲子園へのチャンスを迎えた。初戦の鉾田一に1点差で辛勝したが、その後は順当に勝ち上がり、3季連続で霞ケ浦と常総学院という決勝のカードとなった。霞ケ浦の先発は2年生の上野だ。対する常総学院の先発はエース右腕の飯田晴海となり、茎崎ファイターズのOB同士で投げ合うこととなった。 「これまでも常総と対戦していたが僕が投げている時は別のピッチャーが投げていたので直接対決はなかった。小学生時代に雲の上の存在だと思っていた晴海君と夏の決勝の舞台で投げ合えるとは、自分はなんて幸せなんだろうと。でも甲子園に行くために負けてたまるかと初回から飛ばしていった」。 上野はその言葉どおり4回二死まで3安打無失点と圧巻の投球で強打の常総学院打線を翻弄(ほんろう)し、2番手の市毛孝宗(星槎道都大―きらやか銀行)にマウンドを託した。霞ケ浦は初回に菅原直輝のタイムリーで先制し8回表にも田村祐一のタイムリーでリードを2点と広げた。 しかし、8回裏に常総学院が連続タイムリーで同点とし試合は振り出しに戻る。霞ケ浦は3番手に片野凌斗を投入した。同点の9回裏、常総学院は先頭から2者連続で凡退したが、3番の進藤逸(國學院大4年)がレフト前ヒットで出塁し4番の内田靖人(楽天イーグルス)につないだ。ファウルを打たれてカウント2ボール1ストライクから一度タイムを取って攻め方を確認する霞ケ浦バッテリー。しかし次に投じた外角高めの甘いボールを内田は見逃さず、打球は右中間スタンド上段に吸い込まれた。劇的なサヨナラ2ランホームランで幕切れとなり、甲子園への2度目のチャンスはあと1勝のところでついえた。 「1年夏の頃から2年生主体のチームで、この学年と1年半ずっと一緒に野球をやってきた。寮でも仲が良くていっぱいかわいがってもらって。大好きな先輩たちと甲子園に行くぞとこの試合にかける思いが強かった。負けてしまって申し訳ないという気持ちが強い分、2年の夏の敗戦が僕の高校野球生活の中で一番悔しかった」 =続く

【あと一勝の壁】3 高校1年夏 鮮烈デビュー

【伊達康】高校は県外の強豪校に行きたい気持ちもあったが、親の薦めもあって地元に残り父親の母校でもある私立霞ケ浦高校に進学した。中学までは常に叱られながら野球に取り組んできた上野だが高校では環境が一変した。監督は上野の全てを受け入れてくれたのだ。 「1年からすぐに試合で使っていただいたので気を遣ってもらっていたのかなという部分はありますね。好きにやらせてもらった。だからといって練習を手抜きした訳ではありません」。否定されることも叱られることもない分、自主性と自立心が要求された。 迎えた1年夏、2回戦の境戦で2番手として公式戦デビューを果たすと、3回戦の第7シード土浦湖北戦では先発を任され9回まで1失点。後を受けた片野凌斗(東京経済大―筑波銀行)が無失点でしのぎ延長15回の激闘を制した。3年生がベンチに4人しか入っていない2年生中心のチームはノーシードながら準々決勝まで勝ち進んだ。 インパクト残した1度目のチャンス 2強時代へ 甲子園への1度目のチャンスは1年秋に訪れた。霞ケ浦は県大会決勝で常総学院に0対7で敗れ茨城2位となり関東大会に進出。初戦は神奈川1位で大会優勝候補の東海大相模となった。誰もが東海大相模には勝てないだろうと予想していたカードであったが、なんと上野が完投して5対3で大金星を挙げた。あと一つ勝てば甲子園に手が届く。しかし続く準々決勝で宇都宮商に4対5と逆転負けを喫した。センバツ甲子園出場はかなわなかったが、東海大相模を倒したインパクトは大きく、1年サウスポー上野拓真の知名度は一気に上がった。 2年春には県決勝で常総学院に3対2で競り勝って念願だった夏の第1シードを獲得した。この頃から高校野球ファンの間で霞ケ浦と常総学院を称して「2強」と呼ばれるようになった。それだけ2校の力が抜きん出ていた。 =続く

【あと一勝の壁】2 心も体も成長 叱られ続けた中学時代

【伊達康】中学では学校の軟式野球部ではなく硬式クラブチームを選択。茎崎ファイターズでバッテリーを組んだ石川竜聖(竜ケ崎一)と一緒にまだ創設されたばかりの取手リトルシニアに3期生として入団した。ただ、自宅から練習場までは車で抜け道を通っても30分以上かかった。「駅まで遠くて自力で通うことができないので、毎日の送迎では親に大変な苦労をかけた。石川の親と交代で送迎してもらってお互いの負担を減らして。そうでもしなかったらとても続けられなかった」 取手リトルシニアに入ってからも叱られながら野球に取り組む日々だった。「小学生の時も毎日叱られたが、シニアではその比にならないくらい叱られた。もう何をやっても叱られる感じ。言われ続けてようやく気付いてできるようになることってありますよね」 「よく『叱られて伸びるタイプはタフなだけ。褒められればもっと伸びていた』という人がいますが、僕の場合は叱られなければ伸びなかった。叱られて自分ができないことが身に染みて分かる。だから悔しくてさらに自ら練習するから伸びるのではないか。もし褒められていたとしたら調子に乗って自分から練習していない。言い続ける指導者も大変だったと思いますよ。本当に毎日罵声ですもん(笑)。でもそのおかげで人間的にも野球に取り組む姿勢も成長できた。シニアで僕の人間としての礎を作ってもらった」 同期は30人。仲間と切磋琢磨(せっさたくま)しながら、指導者に励まされながらの取り組みは大いに結実した。のちに高校3年夏の決勝で甲子園をかけて対決することになる根本文弥(藤代―東洋大4年)が4番打者。その後高校まで同じ釜の飯を食べた菅原直輝(霞ケ浦―白鴎大4年)がショート。今や東京6大学のスター選手で今年のドラフト候補でもある柳町達(慶應義塾高―慶應義塾大3年)が1学年下ながらもレギュラーと、そうそうたるメンバーを擁して3年の全国選抜大会で初優勝を果たした。もちろんエースは上野である。「その年のジャイアンツカップ(中学硬式クラブナンバーワンを決める大会)にも出場できたんですよ。取手リトルシニアの11年の歴史において、ジャイアンツカップに出場できたのは唯一、僕らの代だけなのでちょっとした自慢です」と表情を緩ませる。 =続く

【あと一勝の壁】1 日本一の悔し涙 胸中に迫る

【伊達康】4年前、茨城の高校野球で話題を席巻した小さな大エースがいた。身長166㌢と小柄ながら、私立霞ケ浦高校で1年夏から主戦投手として活躍し、1年秋から3年夏まで6季連続で県大会決勝に進出。秋と春の関東大会では全国区の強豪・東海大相模と横浜に完投勝利を収め、2年春と2年秋の2度、県大会優勝と、投手として一時代を築いた上野拓真(22)さんだ。 投手としての実力が圧倒的に抜きん出る一方で、彼のもう一つのドラマにも注目が集まった。秋の関東大会準々決勝と夏の茨城大会決勝で合計4度甲子園に王手をかけたが全て敗退。大一番で先発を4度経験しながらもあと1勝の厚い壁が立ちはだかって甲子園への切符をつかむことなく高校野球を引退した。 その後は神宮球場での登板を夢見て東都大学野球リーグの青山学院大に進学。3年春には念願のリーグ戦デビューを果たし4年秋には7試合に登板した。大学野球を経て今春からは社会人野球「北海道ガス」に所属し都市対抗野球出場を目指すという。新たな高みを目指す上野さんの胸中に迫った。 全国大会で3位 小学生時代 野球を始めたのは小学2年。通っていたつくば市立茎崎第一小を本拠地とする茎崎ファイターズに入団した。全国大会常連の名門チームであるだけに練習が厳しく、「野球の技術も精神的にも未熟だった」という上野は、毎日叱られながらもめげることなく練習に取り組み3年からピッチャーを任された。1学年上には、のちに高校2年夏の決勝で先発として投げ合うことになる飯田晴海(常総学院―東洋大―新日鉄住金鹿島)がおり、「当時からすごくて憧れの存在」だったという。4年からは全日本学童軟式野球大会(マクドナルド・トーナメント)に3年連続で出場し逸材ぞろいの茎崎ファイターズは県内で無敵を誇った。さらに6年の時はエースとして同大会の全4試合で完投し3位になった。 =続く

常総は桐蔭、藤代は春日部共栄と対戦 秋季関東大会の組み合わせ決まる

【伊達康】来春のセンバツ甲子園出場権をかけた2018年度第71回秋季関東地区高等学校野球大会の組み合わせ抽選が11日行われ、茨城代表は県1位の常総学院(土浦市)が神奈川2位の桐蔭学園と、2位の藤代が埼玉1位の春日部共栄と対戦することが決まった。大会は20日から6日間かけて山梨県甲府市の小瀬スポーツ公園山日YBS球場で開催される。2勝して準決勝まで残ると来春のセンバツ甲子園への選出がほぼ確実となる。優勝チームは11月9日から行われる明治神宮大会に出場する。トーナメント表は山梨県高野連のウェブサイトへ。 強力打線の常総 3年ぶりの甲子園目指す 常総学院は秋季県大会で尻上がりに打線の調子を上げ決勝では15得点の大勝を果たした。強力打線を牽引したのが菊地壮太(2年)と菊田拡和(2年)だ。菊地は負担の大きな捕手を担いながらも上位打線に座って日替わりで異なる打順を経験。決勝では5打数5安打5打点と大暴れするなど、チームトップの大会通算打率.579をマークした。 菊田は打率.556、打点9、長打率は1.0を記録した。夏の決勝ではサードの守備で失点につながる失策をし、試合後は自責の念から号泣していた菊田。秋は地区予選から県大会3回戦にかけて3番レフトとして起用されていたが、ベンチの信頼と自信を取り戻して準々決勝からは4番サードに復帰した。 そのほかにセンター兼投手の中妻翔(2年)が広角に打ち分けることができるセンスの高い打者として上位打線で存在感を示す。クリーンヒットを打ったかと思えば俊足を生かしてセーフティーバントもでき、投手で出場していても疲労をいとわず出塁すれば果敢に盗塁を狙う。そのユーティリティープレイヤーぶりに首脳陣の信頼は極めて厚い。中山琉位(1年)は準々決勝の常磐大高戦で貴重な走者一掃スリーベースを放ち、打数は11と少ないながらも6安打、打率.546と結果を残して猛アピール。桐蔭学園戦では県大会での活躍さながらにチームに勢いを与えるプレーが期待される。 投手陣は岡田幹太(2年)と菊地竜雅(1年)の140㌔を超える右腕2枚に加え、左腕の中妻翔の3人が柱となる。エース番号を背負う岡田は最速143㌔をマークする速球が武器だが、大会を通してコントロールに不安が残る内容であった。3回戦の波崎柳川戦では8対1で迎えた7回に登板するも、連打を浴びて3点を返され調整登板に失敗。準決勝の水城戦では3イニングを無安打無失点で切り抜けたが3個の四球を出しコントロール面の不安を払拭できなかった。関東大会では圧倒的な球威を存分に生かして相手をねじ伏せてもらいたい。 菊地竜は2回戦の日立一戦で144㌔を記録し自己最速を更新した。準決勝では水城の4番・櫻井隼斗(2年)に2ランホームランを浴びたが、その後はスライダーとチェンジアップを織り交ぜ水城打線を危なげなく交わした。菊地竜の登板能力を考慮すれば、関東大会1回戦の先発起用は十分に考えられる。 チームトップの投球イニングを誇る中妻は15イニングを投げて失点はわずかに2と抜群の安定感を誇った。最速130㌔前半ながら巧みにコーナーを突いて打者を凡打に仕留める投球術に優れる。 藤代 16年ぶり4度目の関東大会出場 藤代は準決勝で最速147㌔の剛腕・岩本大地を擁する石岡一に延長13回タイブレークの末にサヨナラ勝ちで16年ぶりの秋季関東大会出場を決めた。決勝は連戦の疲れから投打がかみ合わずに大敗を喫したが、準決勝までの4試合でチーム防御率は0.90であったことを考慮するとエース中山航(2年)と小島拓也(2年)を中心とした守りのチームと言えよう。 中山は県大会準々決勝の霞ケ浦戦で3安打、1失点完投勝利した。スライダーを武器とし、低めを丁寧に突いた投球が持ち味だ。今大会は最速138㌔だがスピンの利いたボールに各打者は球速以上に差し込まれる。また夏の下妻一戦では143㌔の剛球でノーアウト満塁のピンチを救い話題となった。連投の疲労がない関東大会初戦ならば強打の春日部共栄といえどロースコアの展開に持ち込めるだろう。 2番手格の小島は準決勝の石岡一戦で5回途中から救援登板し、12奪三振の力投で逆転勝利を呼び込んだ。181㌢の長身から投げ下ろすボールには力があり、130㌔中盤のストレートと縦のスライダーを組み合わせた強気の投球が光る。 打線は1番を打つ田島涼馬(2年)が俊足で出塁率が高くチームトップの打率.546をマークした。常総学院との決勝で2度の内野安打をもぎ取った足に注目だ。3番を打つ青木倫太郎(2年)はセンター方向中心にはじき返して打率.333。二塁打を3本放っている。4番の藤井皓大(2年)は霞ケ浦戦でプロ注目右腕の福浦太陽から貴重な2点適時三塁打を放った。140㌔超えの好投手である福浦や岩本(石岡一)を打って勝ってきた藤代打線だが、決勝では関東大会を決めて安心したのか、その勢いはなりを潜め無得点に終わった。春日部共栄戦では霞ケ浦戦で見せた速球に振り負けないしぶとい打撃を発揮して欲しい。

ホンモノ!土浦日大㊦原動力は秋の大敗

【伊達康】春の準々決勝での敗戦後、土浦日大は夏に向けてどのように準備し、衝撃の3強撃破に至ったのだろうか。 エースの富田卓は昨秋、明秀学園日立に大敗してから体づくりに目覚め、自主的に身体的トレーニングと食事トレーニングに取り組むようになった。その結果は見事半年で結実し、体重が10キロほど増加して球速もいきなり10キロ近くアップした。 ところが、急激な体格の変化に投球感覚が追いついてこず、思うようにボールが指にかからない状態になった。そして練習試合解禁直後の3月には風邪を引いてしまい、しばらく練習ができなくなった。遅れを取り戻そうと焦った富田は春の大会前にいきなり過度の投げ込みを行い、それが原因で肩を故障した。4月はほとんど投げずに回復を待つことになる。春季県大会は準々決勝で霞ケ浦に3対5で敗退。試合後のミーティングで小菅勲監督は「エースが投げずに勝てるほど甘くはない」と富田に発憤を促した。 その後も黙々と下半身強化のトレーニングに精を出し回復を待った。肩の痛みが完全に癒えた6月3日、横浜高校との土浦市長杯招待試合で先発登板。5イニングを投げて無失点に抑える快投を披露し、夏への手応えを感じた。小菅監督のもとで下妻二高時代も含め20年もの間、総合コーチを務めてきた丸林直樹コーチは、「秋の屈辱、冬の鍛錬、春のけが。ターニングポイントを経験する度に富田は心身両面で目覚ましい成長を遂げた」と振り返る。 打線に関しては春の大会以降、5月から6月にかけて相当バットを振り込んだ。平日練習は守備練習を度外視してひたすらバットを振ってばかり。最速144キロの剛球を誇る明秀学園日立の細川拓也対策としてピッチングマシンの速度を145キロに設定して打ち込んだ。さらに打撃投手を通常よりも5㍍手前の13㍍の距離から投げさせ、打者がトップを早くとって準備をし、速球に振り負けない意識を持って取り組んだ。6月下旬になってようやくこの練習の成果が練習試合で形になって現われ、「これはもしかしたらいけるかもしれない」という雰囲気が生まれたそうだ。 やってみないと分からないを体現 8月5日に開幕した夏の甲子園。土浦日大は8月9日の第4試合に興南(沖縄)との初戦を迎える。相手は第92回大会で優勝を収めた超強豪校であり楽に勝てるはずがない。しかも藤木琉悠と宮城大弥の左腕の二枚看板は、右打者のインコースにクロスに入る140キロを超えるストレートと切れ味抜群のスライダーを放る全国でもトップクラスの能力を誇る。こんなピッチャーは茨城にはいない。 興南との対戦が決まってから土浦日大は、藤木・宮城のクロスに入ってくる角度のボールを想定し、ピッチングマシンをマウンドから一塁寄りに3㍍ずらしてバッティング練習を行っている。丸林コーチは「興南の映像を見て正直言って面食らった。ですがやってみないと分からない。勝つための準備をして臨むだけ」と期待感をにじませる。 「常総学院じゃないと夏の甲子園で勝てない」ーちまたではよくこんな言葉を耳にする。茨城の常総学院以外の夏の代表校は、2005年の藤代が柳川(福岡)に勝利して以来、13年間も勝利していないのだからそう言いたくなるのも納得だ。だが、今年の土浦日大はひと味違う。茨城の3強を撃破した非の打ち所がないホンモノだ。実力を出し切って勝利を収め、「茨城は常総学院じゃなくても甲子園で勝てる」ことをきっと証明してくれる。

ホンモノ!土浦日大㊤衝撃的だった3強撃破

【伊達康】一体、誰が土浦日大の2年連続優勝を予想できただろうか。春季大会を終えた時点で今年はシードの上位3校の力が抜きん出ており、秋と春の関東大会でいずれも1勝以上を挙げた。優勝した土浦日大には失礼だが、私は春までの結果を受けて夏はこの3校のどれかが優勝するだろうと予想していた。 土浦日大は初戦である2回戦の牛久に対しエース富田卓が完投して4対2で辛くも逃げ切ると、3回戦の勝田と4回戦の鉾田一には2番手格以降の投手が無失点に抑えて7回コールドで大勝。公立校を相手にここまでは順当な勝ち上がりといえよう。しかし、ここからはとてつもなくハードルの高い相手が待ち受けていた。 準々決勝の相手は、昨秋県大会2回戦で0対16の大敗を喫した第2シードの明秀学園日立だ。春のセンバツ甲子園では2勝を挙げ、プロ注目選手の増田陸や最速144キロの剛球を誇る細川拓也など圧倒的な力を持ち、土浦日大にとって因縁の相手である。 試合は土浦日大が3回に鈴木健太と木原琉位の連続ツーベースなどで3点を先制すると、7回に3点、8回に2点を追加し8点差をつけた。その裏に増田に3ランホームランを浴びたが、昨秋完膚なきまでにやられた相手をあわやコールドにまで追い詰めて、歯が立たなかった相手エースの細川から16安打を放って8対3で勝利を収めた。秋の大敗以降、「打倒・明秀学園日立」を合言葉に臥薪嘗胆(がしんしょうたん)の日々を経て勝利の瞬間を迎えたエースの富田は、まるで優勝したかのようにマウンド上で顔を紅潮させ絶叫していた。 非の打ち所のない破壊力を発揮 続く準決勝の相手は、春季県大会準々決勝で3対5と敗れた第3シードの霞ケ浦だ。土浦日大は前の試合で完投して疲労が残る富田を温存し、左腕の荒井を先発起用した。ところが荒井が霞ケ浦打線に早々に攻略され2点を献上し、予定より早く富田を出さざるを得なくなった。霞ケ浦の先発投手は最速142キロの本格派右腕・福浦太陽だ。春は井上莞嗣の3ランホームランでしか得点できなかった相手であり攻略は容易ではない。 ところが土浦日大はすぐに反撃した。4回表、5番・小澤礼嗣、6番・大賀、7番・鶴見恵大の3連打で同点とすると、9番・石渡のタイムリーで逆転に成功した。さらに7回表は鈴木健太のソロホームランなどで3点を奪い福浦をノックアウト。8回には最速144キロをマークする本格派右腕・鈴木寛人から、鈴木健太の2ランホームランで2点を追加し8点目を挙げた。 最後は霞ケ浦の怒濤(どとう)の猛追に3点差まで詰め寄られるが辛くも逃げ切って勝利。明秀学園日立・細川拓也を粉砕した土浦日大の攻撃陣は、茨城を代表する霞ケ浦の好投手に16安打を浴びせる非の打ち所のない破壊力を発揮して「猛打の土浦日大」を強烈に印象づけた。 「猛打の土浦日大」は決勝でも健在 決勝の相手は春の関東8強入りを果たした第1シードの常総学院だ。今年の常総学院は特に強力打線を武器としている近年まれに見る破壊力のあるチームに仕上がっている。土浦日大は3連投となるエースの富田を先発に据えた。一方の常総学院も、準決勝で1失点完投と結果を残した塙雄裕を連投させる勝負に出た。試合は2回裏に動く。常総学院は先頭の二瓶那弥がセンターのミスで三塁まで到達し、タイムリーで1点を先制する。1点を献上した土浦日大は4回表、相手のエラーに乗じて打者一巡の猛攻で同点、さらに逆転と一気に畳みかけ6点を挙げる。 5点のリードをもらったエース富田はその後、テンポよくストライク先行の投球を続ける。打ち気に焦る常総学院打線を切れ味抜群のスライダーで翻弄する渾身の投球で無失点に抑え1失点完投勝利を収めた。「猛打の土浦日大」は決勝でもやはり健在で、強打を標ぼうする常総学院のお株を奪う11本の二桁安打を放った。 準々決勝からの3試合で、茨城を代表する私学3強を撃破して2年連続の甲子園出場をたぐり寄せたのだった。先述したがあえてもう一度言わせてもらう。この衝撃的な結末を一体誰が予想できただろうか。予想の斜め上を行く土浦日大は茨城大会で実力を十分に証明できた。

【土浦つくばエリア深堀り高校野球展望’18】6 異なるタイプの投手そろう秀英 エースで4番、下級生が鍵握る土浦三

打線は2人が核 つくば秀英 【伊達康】つくば秀英は秋季県大会の初戦で水城に敗退。春季県大会では初戦の那珂湊には7対3で勝利したが、明秀学園日立には2番手格の上野雄大を打てず4安打に抑えられ、先発の阿部田壮(3年)が2回に大量7失点を喫して0対7の7回コールドで完敗。県トップクラスのチームとの力の差を表すゲームとなった。2季連続の県大会出場と春の県大会1勝により、この夏はDシードとして迎える。初戦は13日に磯原郷英と下館一の勝者と笠間市民球場で行われる。 打線は3番の大橋亮(3年)と不動の4番・青木亮磨(3年)が核となる。大橋は身長162㎝と小柄ながら秋の水海道二戦でライトにホームランを放つなどパンチ力がある。青木は分厚く重量感あふれる体でパワーをみなぎらせる。ストレートに強いプルヒッターだ。明秀学園日立・上野からも強い打球のレフト前ヒットを放った。 投手陣は高橋由伸(2年)が右サイドから最速128㎞のストレートを投じ、スライダーとフォークのキレ味も鋭い。左サイドの阿部田壮は癖のある投球フォームから緩いストレートとスクリューボールで打者のミスショットを誘う。右腕の吉田青矢(2年)は最速140㎞の快速球を投じる力投型だ。ボールが高めに浮いて甘く入り痛打されるケースに気をつけたい。春はベンチ入りしていなかったが昨年は1年生ながら夏の大会デビュー登板を果たしており経験は豊富だ。 シード校倒す可能性高い 土浦三 土浦三は2季連続で竜ケ崎一に地区代表決定戦で敗れて県大会出場を逃しノーシードとなった。初戦は9日にJ:COMスタジアム土浦で水戸農と対戦する。ノーシードではあるがエースで4番の濱崎鉄平(2年)を中心としたチーム力は高く、土浦三がシード校を倒す可能性が極めて高い。 エース右腕の濱崎は2年生ながら180㎝83㎏の恵まれた体格から最速138㎞の力強いストレートを投じる。股関節の硬さからか余力を残した立ち投げのようなフォームで、まだ下半身の力を指先に伝え切れていない分、今後の伸びしろを感じさせる楽しみな投手だ。 打撃陣は3番の松浦直哉(2年)と4番の濱崎を中心として上位打線に好打者が並ぶ。松浦は春の藤代紫水戦で2安打2打点の活躍。初球から強振してくる特徴がある。 濱崎は1年夏から打者として抜てきされた逸材だ。外野の間を抜く速い打球で長打を量産して打撃センスの高さを示す。チャンスに強いが選球眼もよく、自分のバットで決めにかからないつなぎの意識も感じられる。 1番の池田渉生と2番の額賀竜輔は俊足で小技が利く。序盤にこの2人がスコアリングポジションに進んで濱崎が返す得点パターンに持ち込み、試合を優位に進めたい。(終わり)  

【土浦つくばエリア深堀り高校野球展望’18】5 継投でしのぐ湖北 小技絡め得点する土浦一

今年も鍛え上げられた守備 土浦湖北 【伊達康】土浦湖北は秋季県大会1回戦で科技学園日立に敗戦。春季県大会は準決勝まで進んだ水戸商に2対3と惜敗してDシードとなった。シード権を獲得したものの、常磐大高や東風、下妻二、水戸癸陵など、今大会で最も有力校がひしめく激戦必至の第2シード明秀学園日立ゾーンに入った。初戦は13日午前10時から、ひたちなか市民球場で日立商と科技学園日立の勝者と対戦する。 春季大会で主戦登板した左腕の坪井優翔(2年)は最速120㎞と速度はないが、コントロール良く低めに集めて打たせて取るタイプだ。春の江戸崎総合戦では5回2/3を無失点に、茨城キリスト戦では6回を投げて被安打7で2失点に抑えた。しかし直前になって調子を落としているのが気になるところだ。 背番号1の右腕・川下颯真(3年)は最速125㎞のストレートとスライダーで組み立てる。夏は川下が主戦登板することになりそうだが、そのほかに左腕の富田昂紀(3年)や右腕の野口亮太(3年)、郡司翔琉(3年)などのマウンド経験者が控えており、目先を変えながら多数の投手の継投でしのぐことができるのが強みだ。 3番ショートで主将の大﨑凌輔(3年)がチームの精神的支柱だ。打線は5番の吉野哲平(3年)がけん引する。吉野は茨城キリスト戦で3安打2打点と躍動した。右打ちながらライト方向に力強く打ち返せる長打力が魅力だ。下位打線を打つ小野佳祐(3年)は打力を買われて1年夏にスタメンに抜てきされた実力派。好不調の波が激しいので下位打線に据えられているが、182㎝84㎏の恵まれた体格でツボにはまると一発がある怖い打者だ。 土浦湖北は今年も守備がよく鍛え上げられている。打たせて取るタイプの投手陣が低めにしっかりと集めて守りからリズムを作り、ロースコアの接戦に持ち込めば上位進出の可能性は十分にある。 投手は2枚看板誇る 土浦一 土浦一は秋季地区予選代表決定戦で取手一に1対2で敗退、春季地区予選代表決定戦はつくば国際・福島に4安打に抑えられて1対3で敗退した。県大会出場ができなかったためノーシードで夏の大会を迎える。 初戦は9日午前10時からJ:COMスタジアム土浦で神栖と対戦。これに勝てば2回戦でいきなり山場を迎える。待ち受けるのはBシードの日立一だ。難敵である上に会場が日立一の地元・日立市民球場であるため日立一ファンで埋め尽くされることは間違いない。まずはホームで行われる神栖戦に全力で勝利し、アウェイの戦いに備えることが肝要だ。 打線は小柄な選手が並ぶが小技を絡めて得点に結びつける。下級生のときから出場経験豊富で確実な打撃が持ち味の3番・矢追駿介主将(3年)はセンター方向中心に弾き返す。4番の阿由葉光(3年)は170㎝81㎏でチーム一の長打力がある。5番の佐野翔(2年)は春のつくば国際戦で高めのストレートを強振してセンターに特大のホームランを放った。 投手は左腕の大松崎智也(3年)と右の本格派・古宮学樹(2年)の2枚看板を誇る。大松崎は最速130㎞の球威でぐいぐい押していく。気持ちの強さを全面に出す熱い投球スタイルだ。古宮は曲がりの大きな緩いカーブを武器とする。角度を生かしたストレートと組み合わせて凡打を打たせる。  

【土浦つくばエリア深堀り高校野球展望’18】4 ナンバーワン左腕を擁するつくば国際

【伊達康】つくば国際は昨秋の地区大会代表決定戦で夏の4強バッテリーが残る藤代に勝利し、一躍注目の存在となった。しかし秋季県大会では初戦で水城に5対8であえなく敗戦。快進撃とはいかなかった。春季県大会では1回戦で県西の雄・下妻二を5対1で退けると、2回戦は霞ケ浦に2本のホームランを浴びるなど、じりじりと得点を重ねられ1対6で敗退した。 秋と春の県大会出場と春の県大会1勝でシードポイントを獲得したことで、この夏をDシードとして迎える。初戦は13日に県営球場(水戸市)で、岩瀬真壁筑波と結城一の勝者との対戦だ。 躍進の原動力となっているのは、下級生の時から主戦級として起用されていた左腕の福島脩馬(3年)だ。福島は173㎝85㎏の重量感のある体から繰り出す最速142㎞のストレートとキレ味鋭いスライダーを武器とする。力の抜きどころを使い分ける投球スタイルが特徴だ。下位打線には緩いストレートで簡単に追い込み、ピンチで高速スライダーを多投する上手さを持ち合わせており、公式戦のほとんどを一人で投げ切っている。現時点で県内ナンバーワン左腕と評して間違いない。 また、打っては4番を任され、確実性は正直言ってないが、右足を高く上げて踏み込み、豪快なスイングでスタンドを沸かせる。秋の藤代戦では福島が完投し、福島が勝ち越しソロホームランを放って勝利した。福島が投打で存在感を発揮すれば、夏はジャイアントキリング(番狂わせ)も現実味を帯びてくる。 そのほかに、2番の佐藤彰眞(3年)は春の下妻二戦でスリーランホームランを放っており甘く入れば一発の怖さがある。 つくば国際の春の戦いぶりからは走塁面と守備面でミスが多い印象が拭えなかった。守備のミスをなくし、取りこぼしのない攻撃ができるように進化してくれたなら夏は上位進出の期待が持てる。

【土浦つくばエリア深堀り高校野球展望’18】3 エースが球威増した土浦日大 2年連続出場なるか

【伊達康】昨夏の覇者・土浦日大は昨秋2回戦で明秀学園日立に0対16の5回コールドで大敗を喫した。投手陣は4イニングで16本の安打とことごとく打ち込まれ、自慢の打線がエース細川拓也の前に散発3安打となす術なく、力の差を残酷なまでに見せつけられた。 「0対16」—。土浦日大はこの屈辱の大敗を示すスコアを練習場のスコアボードに常に掲げて冬練習に取り組んだ。その結果、春は準々決勝に進出。霞ケ浦に5対3で惜しくも敗れたが、一時は中盤に同点とし粘りを見せる底力を見せた。この夏はBシードとして2回戦から登場。13日にJ:COMスタジアム土浦で水海道一と牛久の勝者を迎え撃つ。 秋の時点でテコ入れの必要を感じたのが投手陣だった。しかし、一冬越して順調に成長しているように思う。春の準々決勝・霞ケ浦戦で登板を回避したエース右腕の富田卓(3年)は、6月3日に行われた横浜高との招待試合で最速138㎞を記録。立ち上がりこそ四球を連発したが失点はなく、馬力のある投球で5回を3安打無失点に抑えた。1年春から緩いボールをひょうひょうと投げている印象だった富田だが、冬を越えてチェンジアップとストレートのコンビネーションがズバズバ決まるパワー型投手に見事にシフトチェンジできた。もともと打力に力がある分、エース富田の成長によって土浦日大は優勝争いに絡む戦力を有したといえよう。 2番手格の荒井勇人(2年)は左サイドからクロスファイアーで攻め込む癖のある投球をする。荒井は秋の明秀学園日立戦で先発を任されたが、一死しか取れず3失点でマウンドを富田に譲った。しかし、春には好投を続けて霞ケ浦や横浜高に対して好投を見せている。 打線は下級生の頃から主軸を担ってきた鈴木健太(3年)と井上莞嗣(3年)が鍵を握る。 鈴木健太はスイングスピードがずば抜けて速く広角に打ち分けることができる強打者だ。また俊足で内野安打も多い。強打で俊足の外野手として活躍した5つ歳上の兄・諒氏を彷彿させるキャプテンシーも見逃せない。 井上は高校通算ホームラン20本の長距離砲だ。春の準々決勝・霞ケ浦戦では3点ビハインドの6回に同点スリーランを放ち存在感を示した。秋の明秀学園日立戦ではライトで手痛いエラーを記録。今春からはサードに固定され、猛練習でそつのない身のこなしができるようになった。3番手としてマウンドに上がることもあり、角度を生かした最速135㎞のストレートとチェンジアップで打者を打者を打ち取る。ただ、コントロールには若干の不安が残る。

【土浦つくばエリア深堀り高校野球展望’18】2 本格派2年右腕が復帰 春4強の霞ケ浦

【伊達康】霞ケ浦は昨秋県準優勝で関東大会1勝、今春は県準決勝で常総学院に敗れ第3シードとなった。12日に行われる2回戦から、奇しくも場所はJ:COMスタジアム土浦でライバル常総学院の試合終了後に鬼怒商と玉造工の勝者と初戦を迎える。 霞ケ浦の屋台骨を支えるのは、1年春からスタメン出場を果たしチームを牽引し続けるセカンドの小儀純也(3年)とキャッチャーの鈴木和樹(3年)だ。 小儀はセカンドの名手として県トップの実力を持つ。ゴロへの入り方が秀逸で型にはまらない独特の捕球ポイントを持っている。大学生レベルの守備は必見だ。さらに打っては身長170㎝に満たない小柄ながらミート力が抜群で高打率をマークしている。特筆すべきは試合中盤に発揮する勝負強さだ。秋の準決勝・日立一戦では0対1でリードされた6回裏・二死一塁から同点に追いつくタイムリーツーベースを、春の水城戦では1対1で迎えた5回裏・二死二、三塁から、勝ち越し2点タイムリースリーベースを放つなど、もつれる場面で頼りになる活躍を見せている。 鈴木和樹は下級生ながら根本薫(オリックス)や遠藤敦志(広島)などプロ入りを果たした先輩投手の女房役を務め実戦経験が豊富。卓越したキャッチングとインサイドワークに優れた好捕手だ。巧みなワンバウンド処理でフォークやチェンジアップなどの縦系変化球を決め球とする霞ケ浦投手陣の力を存分に引き出し、主将としてもチームを牽引する。 また、横田祥平(3年)を打撃陣のキーマンとして挙げたい。昨秋は背番号2桁で下位打線を打っていたが要所で見事な活躍を見せ、今春は背番号5を獲得して打線の中軸を担うようになった。春の準々決勝・土浦日大戦では6回に貴重な勝ち越しタイムリーを放ち勝利に貢献した。 投手陣は右腕の福浦太陽(2年)と春季大会以降に怪我から復帰した鈴木寛人(2年)、さらに海野京士郎(3年)など、いずれも右腕で最速140㎞を超える力のある投手がそろう。 福浦は春季大会で背番号1を付けて4強入りの原動力となった。最速139㎞のストレートとフォークで打者を手玉に取る。 昨秋の関東大会で鮮烈な公式戦デビュー登板を果たした鈴木寛人は長身で手足が長く高卒即プロ向きの潜在能力の高い好投手だ。怪我の影響で春は登板を回避したが、6月17日に行われた明豊(大分)との強化試合では先発を任され最速141㎞を記録。まだスタミナ面で不安を残すもののエース級投手の復活は夏に向けて弾みとなる。来年のドラフト候補としても注目の逸材だ。 反対に海野はずんぐりな筋肉質の体型だ。投手陣の中で唯一の3年生として捕手の鈴木和樹との相性もよく器用にストライクを出し入れできる。最速142㎞の剛球投手でありながら打撃力も高いので、打力を生かした野手起用もある。 そのほかに技巧派左腕の中田勇輝(2年)も控えている。

【土浦つくばエリア深堀り高校野球展望’18】1 強力打線で3年ぶり甲子園目指す 常総学院

【伊達康】7日に第100回全国高校野球選手権茨城大会が開幕する。土浦・つくばエリアは有力校が多数ひしめく。注目校8校を6回にわたって紹介する。 春の県王者・常総学院は12日の2回戦から登場。J:COMスタジアム土浦で佐竹と海洋の勝者を迎え撃つ。史上最強ともいわれる強力打線を武器に第1シードとして3年ぶりの甲子園出場を目指す。 昨秋県準決勝で明秀学園日立に1点差で敗れた悔しさをバネに、冬場のトレーニングで徹底的に打撃を強化して多くの選手の打撃が開眼。レギュラーメンバーの全員が高校通算2桁ホームランを記録している。6月の練習試合では仙台育英や聖光学院など全国レベルの強豪校に競り勝ち好調を維持していたが、6月30日の作新学院戦では5安打完封負けと自慢の打線が振るわず不安を残す結果となった。 打線は力のある選手が並ぶ。上位を打つ主将の二瓶那弥(3年)は春季県大会で4本のホームランを記録した強打者だ。明秀学園日立との決勝では途中出場したエース細川拓也(3年)からダメ押しのホームランを放ち、春の県内チームで唯一、細川から得点を奪った。 同じく上位打者の水野勢十郎(3年)は関東大会で関東学園大附と東海大相模からホームランを放ち15打数9安打と4強入りに大きく貢献した。 3番の斉藤勇人(2年)、4番の藤川寿真(3年)、5番の菊田拡和(2年)の中軸はいずれも180㎝80㎏を超える迫力ある体格の打者が並ぶ。 斉藤は準決勝の日大三戦で特大ホームランを放つなど2戦連発のアーチをかけて躍動した。藤川は変化球への対応力が高い好打者。チャンスに強く追い込まれてからのしぶとい打撃が持ち味だ。菊田はとてつもない飛距離を誇る長距離打者だ。県準々決勝の取手一戦と関東大会準決勝の日大三戦でバックスクリーン弾を放った。その後の練習試合でもホームランを量産している。その他に調子に応じてスタメン起用される大久保龍成(3年)や、代打の切り札・野澤翔(3年)も恵まれた体格から逆方向にホームランを打てる力を持っている。 投手陣はスライダーが武器の谷田部健太(3年)と、剛球とチェンジアップのコンビネーションでねじ伏せる岡田幹太(2年)のいずれも最速140㎞を超える右腕2枚看板を軸に春の大会を勝ち上がった。春の勝ち頭・谷田部は完投するスタミナが十分に備わっており、大会を通じてエースの風格が漂う頼れる存在となった。ただ、最近の練習試合では調子を落としており、谷田部の復調が常総学院優勝の絶対条件だ。下級生の岡田は関東大会準決勝・日大三戦で救援登板も打ち込まれて敗退した経験を糧にさらなる成長が期待される。さらに春はベンチ入りをしていなかったが、最速142㎞を誇る塙雄裕(2年)や試合をつくる能力が高い菊地竜雅(1年)といった下級生投手が練習試合で台頭しており、夏の戦力としてベンチ入りが濃厚だ。

常総 逆転で初戦突破も課題残す 春季関東高校野球

【伊達康】第70回春季関東地区高校野球大会が19日開幕した。茨城1位の常総学院は20日、千葉県袖ケ浦市営球場で群馬2位の関東学園大附属と対戦し、7対2で逆転勝ちを収め初戦を突破した。終わってみれば5点差がついたものの、終盤まで追加点が取れず一時はミスが続いて逆転を許す苦しい試合展開となった。 常総学院は1回裏に2番・水野勢十郎の左中間に飛び込むホームランで1点を先制するが、4回表に二塁打とタイムリーエラーで同点とされる。さらに7回表に、二つの四球とバント処理のミスで無死満塁のピンチを迎えると、セカンドゴロの本塁転送がこぼれてノーヒットで勝ち越し点を奪われ、逆転を許した。 1点リードされた常総学院は終盤にようやく自慢の打線が目を覚ます。7回裏、一死二塁から1番・二瓶那弥の左中間ツーベースで同点とし、内野安打などで2点を追加する。さらに8回裏にも1番・二瓶の2点タイムリーなどで突き放し7点目を挙げ、そのまま逃げ切った。 投げてはエース谷田部健太と岡田幹太(2年)の右腕二枚看板で6安打2失点と踏ん張った。ただし、谷田部は与四球6個と課題の残る内容だった。 緻密さや小技をお家芸とする常総学院らしからぬバントミスや守備のミスが続出したゲームだったが、まずは初戦を勝利で飾ることができた。次戦(準々決勝)は今春センバツ4強の東海大相模が相手だ。今日の反省を踏まえて横綱級を相手にのびのびとプレーして欲しい。 春季関東地区高等学校野球大会2回戦 関学大附 0 0 0 1 0 0 1 0 0 2 常総学院 1 0 0 0 0 0 3 3 × 7 関:高橋、福田、柴田―中里 常:谷田部、岡田―菊地 本塁打:水野[常] 二塁打:柴田[関]水野、二瓶[常]

明秀日立が快挙 県南勢どう立ち向かうか注目

【コラム・伊達康】第90回センバツ甲子園は大阪桐蔭が史上3校目となるセンバツ連覇を達成して閉幕した。茨城の明秀学園日立は、1回戦の瀬戸内戦で9回に劇的な逆転勝利を収めると、2回戦の高知戦では10対1と大勝。初出場ながら2勝を挙げる躍進を見せた。 3回戦では優勝した大阪桐蔭を相手に8回まで2安打に抑えられ三塁すら踏めない苦しい展開だったが9回にエース細川拓哉の左中間ホームランで1点を返し4点差とすると、二死満塁でこの日2安打と当たっている4番・芳賀大成までつないだ。結果は空振り三振で5対1と3回戦敗退となったものの、王者を相手に最後まで目が離せない粘りを見せてくれた。この大舞台での敗戦を機に夏にはさらにとてつもないチームに仕上げて来るに違いない。 「大阪出身」強調に違和感 明秀学園日立の試合がテレビで中継される際、チーム紹介や選手紹介で実況が頻繁に発したのが「大阪出身」という言葉だ。チームは監督の金沢成奉氏(大阪・桜宮―東北福祉大)をはじめ、関西圏出身の選手が多数を占める。ベンチ入りメンバー18人のうち、茨城出身選手はエース細川(北茨城市出身)と代打の切り札である佐伯尚吾(桜川市出身)の2人だけで後の16人は関西圏を筆頭に福島、宮城、東京など県外出身だ。確かに特徴のあるメンバー構成ではあるのだが、果たして「大阪出身」や「県外出身」と繰り返し紹介する必要があっただろうか。 1980年夏、江戸川学園取手が東京、千葉、愛知、静岡のリトルシニアやポニーリーグの有名選手を片っ端から100人スカウトして部員120人の大所帯を築き、そこから選び抜かれたベンチ入りメンバー17人のうち16人が県外出身者という構成で、学校創設からわずか3年目で甲子園出場を果たした。当時のいはらき新聞(現在の茨城新聞)『白球の詩』のコーナーに「”外人部隊”で構成される江戸川学園はその在り方をめぐって本県高校野球界に一石を投じている」という記述があった。当時はまだメンバーを県外出身者で固めることが珍しく、県外出身者が茨城の看板を背負って甲子園に出場することに高校野球関係者のみならずファンからも反発や疑問が噴出したようだ。 しかし、それから38年が経過した今日、私立高校で県外出身者がスタメンに名を連ねること自体は取り立てて珍しいことではない。現に県内において、昨秋の茨城準決勝で対戦した常総学院はスタメン9人中3人が県外出身者であるし、決勝で戦った霞ケ浦に至ってはスタメン9人中7人が県外出身者だ。さらに土浦日大は東京や千葉から、つくば秀英は栃木や東京から、鹿島学園に至っては神奈川や台湾から選手を集めている。関西出身であっても隣県であっても県外であることには変わりない。 金沢監督が大阪出身ということもあり、関西圏の中学年代にスカウティングネットワークがあるからこそ関西圏から選手を集めているのであって、東京や神奈川、千葉などの関東圏から選手を集めていている私学とはエリアを異にしているだけではないか。取り立てて大阪(関西)を強調する必要はない。むしろ、過去に甲子園出場の実績がない明秀学園日立に、まだ15歳の少年が「一旗上げてやろう」とはるばる大阪(関西)からやって来ているのだからその決意たるや一通りではない。親としても、練習試合や公式戦を観戦することができない地に相当な覚悟を持って我が子を送り出したはずだ。 小中学生球児に衝撃 茨城県勢として常総学院を除いた春と夏の甲子園での勝利は、2005年夏の藤代(対福岡・柳川)の勝利以来、実に13年ぶりのことであった。初出場にして初勝利、さらに2勝の快挙を成し遂げた明秀学園日立の甲子園での躍動ぶりは、今の小学生や中学生の球児に衝撃を与えたに違いない。今後はより多くの中学生から希望進路として名前を挙げられるようになるだろう。東海大相模や浦和学院や明徳義塾のように、全国的に知名度の高い強豪校となった時、「大阪出身」「県外出身」という線引きがちっぽけなものとしてあえて紹介されなくなるのかもしれない。その次元にまで明秀学園日立は躍進できるのだろうか。常総学院をはじめ県南の有力校がそのプロセスに対してどう立ち向かうのか注目だ。茨城の高校野球はますます面白い。

明秀日立が快挙 県南勢どう立ち向かうか注目

【コラム・伊達康】第90回センバツ甲子園は大阪桐蔭が史上3校目となるセンバツ連覇を達成して閉幕した。茨城の明秀学園日立は、1回戦の瀬戸内戦で9回に劇的な逆転勝利を収めると、2回戦の高知戦では10対1と大勝。初出場ながら2勝を挙げる躍進を見せた。 3回戦では優勝した大阪桐蔭を相手に8回まで2安打に抑えられ三塁すら踏めない苦しい展開だったが9回にエース細川拓哉の左中間ホームランで1点を返し4点差とすると、二死満塁でこの日2安打と当たっている4番・芳賀大成までつないだ。結果は空振り三振で5対1と3回戦敗退となったものの、王者を相手に最後まで目が離せない粘りを見せてくれた。この大舞台での敗戦を機に夏にはさらにとてつもないチームに仕上げて来るに違いない。 「大阪出身」強調に違和感 明秀学園日立の試合がテレビで中継される際、チーム紹介や選手紹介で実況が頻繁に発したのが「大阪出身」という言葉だ。チームは監督の金沢成奉氏(大阪・桜宮―東北福祉大)をはじめ、関西圏出身の選手が多数を占める。ベンチ入りメンバー18人のうち、茨城出身選手はエース細川(北茨城市出身)と代打の切り札である佐伯尚吾(桜川市出身)の2人だけで後の16人は関西圏を筆頭に福島、宮城、東京など県外出身だ。確かに特徴のあるメンバー構成ではあるのだが、果たして「大阪出身」や「県外出身」と繰り返し紹介する必要があっただろうか。 1980年夏、江戸川学園取手が東京、千葉、愛知、静岡のリトルシニアやポニーリーグの有名選手を片っ端から100人スカウトして部員120人の大所帯を築き、そこから選び抜かれたベンチ入りメンバー17人のうち16人が県外出身者という構成で、学校創設からわずか3年目で甲子園出場を果たした。当時のいはらき新聞(現在の茨城新聞)『白球の詩』のコーナーに「”外人部隊”で構成される江戸川学園はその在り方をめぐって本県高校野球界に一石を投じている」という記述があった。当時はまだメンバーを県外出身者で固めることが珍しく、県外出身者が茨城の看板を背負って甲子園に出場することに高校野球関係者のみならずファンからも反発や疑問が噴出したようだ。 しかし、それから38年が経過した今日、私立高校で県外出身者がスタメンに名を連ねること自体は取り立てて珍しいことではない。現に県内において、昨秋の茨城準決勝で対戦した常総学院はスタメン9人中3人が県外出身者であるし、決勝で戦った霞ケ浦に至ってはスタメン9人中7人が県外出身者だ。さらに土浦日大は東京や千葉から、つくば秀英は栃木や東京から、鹿島学園に至っては神奈川や台湾から選手を集めている。関西出身であっても隣県であっても県外であることには変わりない。 金沢監督が大阪出身ということもあり、関西圏の中学年代にスカウティングネットワークがあるからこそ関西圏から選手を集めているのであって、東京や神奈川、千葉などの関東圏から選手を集めていている私学とはエリアを異にしているだけではないか。取り立てて大阪(関西)を強調する必要はない。むしろ、過去に甲子園出場の実績がない明秀学園日立に、まだ15歳の少年が「一旗上げてやろう」とはるばる大阪(関西)からやって来ているのだからその決意たるや一通りではない。親としても、練習試合や公式戦を観戦することができない地に相当な覚悟を持って我が子を送り出したはずだ。 小中学生球児に衝撃 茨城県勢として常総学院を除いた春と夏の甲子園での勝利は、2005年夏の藤代(対福岡・柳川)の勝利以来、実に13年ぶりのことであった。初出場にして初勝利、さらに2勝の快挙を成し遂げた明秀学園日立の甲子園での躍動ぶりは、今の小学生や中学生の球児に衝撃を与えたに違いない。今後はより多くの中学生から希望進路として名前を挙げられるようになるだろう。東海大相模や浦和学院や明徳義塾のように、全国的に知名度の高い強豪校となった時、「大阪出身」「県外出身」という線引きがちっぽけなものとしてあえて紹介されなくなるのかもしれない。その次元にまで明秀学園日立は躍進できるのだろうか。常総学院をはじめ県南の有力校がそのプロセスに対してどう立ち向かうのか注目だ。茨城の高校野球はますます面白い。

春のリーグ戦に向け意気込み 土浦一高出身、宮本直輝投手 東大野球部15年ぶり勝ち点1に貢献

【伊達康】東京大学教養学部文科三類2年に在籍する宮本直輝は土浦一高出身の右腕投手だ。その宮本が昨秋、東京六大学野球で歴史的な勝利を挙げた。4月に開幕する六大学春のリーグ戦に向けて「一つでも上の順位に入れるよう、ピッチングで貢献したい」と意欲をみなぎらせる。 昨年10月8日、エース左腕・宮台康平(日本ハムから7位指名)の完投により東大の先勝で迎えた法政大2回戦。宮本は2点差と迫られた2回表一死一、三塁のピンチからリリーフ登板すると、最速139㎞のストレートと落差の大きいカーブを武器に3回2/3を1失点でしのいだ。さらに4回裏には9番打者として、法政大の同郷左腕・鈴木昭汰(1年、土浦四中-常総学院)からレフトスタンドへ本塁打を放ちチームを勢いづけた。6回からはエース・宮台にマウンドを託し1点差に詰め寄られながらも逃げ切った。 宮本が殊勲の勝利投手となり東大が2002年秋以来15年ぶりに悲願の「勝ち点1」を得た。この時の心境を「勝ち点がかかった試合でなかなか勝つことができなかったので嬉しかったです」と笑顔で振り返る。 ■夏のベスト16入りに貢献 中学時代は谷田部東中で軟式野球部に所属し県選抜チーム「オール茨城」に選出されるなど、軟式球界では好投手として「知られた存在」だった。 高校は私立校からの誘いもあったが土浦一高を選択。1年秋からエースを任されると2年夏には全4試合35イニングを完投してベスト16進出に貢献した。 新チームになってからは山口裕和との右腕2枚看板を武器に、その年の秋季県大会で優勝することになる霞ケ浦を2対0で撃破して県南選抜大会(県南地区新人戦)優勝を果たした。投打の主軸が残り前年以上の結果を期待されて迎えた3年夏は第8シードの水戸桜ノ牧に2回戦で敗れて高校野球を終えた。 ■先輩の話に憧れ 「もともと中学時代から東京六大学野球に憧れがありました」。高校入学時に漠然と考えていた希望進路はある出会いをきっかけに東大一本に絞られる。転機は高校1年の時だ。当時、東大野球部に在籍していた山越徹氏が母校である土浦一高に教育実習で赴任し野球部にも顔を出した。後輩達を前に東大野球部の魅力や歴史、伝統を熱く語る先輩・山越。宮本は次第に話に引き込まれ東大野球部に憧れを抱くようになる。山越がかけてくれた「お前も東大でやらないか」という言葉が背中を押した。「絶対に東大で野球をやる」そう決心した宮本は、高校野球引退後に1年の浪人生活を経て晴れて東大に合格する。 ■ダイナミックなフォームに 東大野球部では1年秋の法政大1回戦でリーグ戦デビューを果たしたが、「高校野球とは次元が違う大学野球のスピードとパワーに面食らった」と言う。この経験が宮本の向上心に火を付けた。それまではオーソドックスなフォームだったが「体の使い方を試行錯誤する中で、足を高く上げることで下半身をしっかり使える感覚があったので試してみた」と語るとおり、「ライアン小川(ヤクルト)」のように左足を大きく上げるダイナミックな投球フォームにたどり着いた。 新フォームで臨んだ2年秋のリーグ戦では主にセットアッパーとして7試合14イニングに登板し前述の1勝を挙げた。ちなみに東大の3勝のうち残り2勝はプロ入りした宮台がマークしたものだ。 ■「エース宮台」後の期待背負う エース・宮台が抜け今後は主戦投手の一角として活躍が期待される。教育学部3年として迎える春のリーグ戦に向けて、現状の課題を「ボールのキレや制球などのレベルアップ」と分析。履修を工夫して野球にかける時間を捻出しながら、この冬は体づくりに重点を置いたトレーニングに励んでいる。 野球と学業に精一杯で「就職や教育実習など、将来のことはまだ具体的に決まってはいない」という。 大きな1勝を挙げた宮本が、残る4シーズンでさらなる勝ち星を挙げられるか、今後の飛躍に期待したい。

ライター紹介

編集部・ライター NEWSつくばのライターは以下の通りです。 鈴木宏子 元常陽新聞記者 3年半で2回、勤めていた常陽新聞の休刊を経験しました。理不尽としか言いようがない体験でした。不運にもめげす、元同僚たちと新しい地域メディアを立ち上げました。常陽新聞は大切な地域資源の一つなのに、経営上の判断だけでなくなってしまうのは悔しい、他のやり方はなかったのかを探りたかったからです。 折しも米国では、IT技術の進展や格差拡大を背景に地方紙が次々と廃刊に見舞われる中、元記者らが調査報道機関を立ち上げるなど新しい時代を切り開いていました。日本国内でも各地で新しいウェブメディアが次々と誕生しています。 スタートとして私たちは、わずかな資金ででき、たくさんの人に読んでもらえるウェブメディアを立ち上げました。ボランティアで取材し、地域で何が起きているのかを拾い上げ、発信していきます。高齢化、人口減少、格差拡大など地域はさまざまな問題にあふれています。地域の課題について皆で議論し解決方法を考える場となり、人と人が結びつき力を合わせて新しい何かを生み出す場となって、地域メディアに何ができるか、可能性を探りたいと思います。 将来は市民記者を育成し、たくさんの市民が自ら発信する場となることを願っています。日刊紙の発行は無理でも、月1回や週1回、地区ごとに地域の課題と向き合う新聞を発行したり、政治家や市民が顔を合わせて議論し新しい政策を生み出す政治カフェをつくったり、70年の歴史がある常陽新聞のアーカイブをつくろうという構想もあります。焦らず一歩一歩積み上げていきます。 NEWSつくばの創設にあたって、元同僚たちとは、休刊直後の今年4月から毎週1回、勉強会や準備を重ねてきました。筑波学院大学の支援ほか、多くの元読者の方々の励ましがありました。支援を約束してくださった実業家の方もおりました。感謝に堪えません。 【すずき・ひろこ】1963年生まれ。水戸市出身。常陽新聞記者としてごみ焼却場のダイオキシン問題、東海村JCO臨界事故の周辺住民の中性子被ばく問題、つくば市の回らない風車問題などを取材。2013年8月と17年3月の常陽新聞休刊を経験した。 ➡鈴木宏子記者の過去記事はこちら 橋立多美 元常陽新聞記者  美しく凛とした言葉を紡いだ詩人・茨木のり子(1926-2006)が好きだ。中でも「自分の感受性くらい 自分で守れ ばかものよ」と綴った『自分の感受性くらい』に背中をどやされた気がした。縁あって元常陽新聞を経てNEWSつくばに在籍しているが、メディアの片隅にいる者として地域住民が共感してくれる社会の壁を提示できるか、に思い悩む。壁を明らかにするのは自分の感性のみで教科書もノウハウもない。ただ『自分の感受性くらい』が元気づけてくれる。また地域住民の生活を潤し、「心の杖」となる記事を発信していきたいと思う。 ➡橋立多美記者の過去記事はこちら 田中めぐみ あてどない散歩が心地よく野菜の直売所めぐりも楽しい、そんな茨城が大好きです。好きなことは料理、ヨガ、古典を読むこと、デジタルイラストを描くこと。スキューバダイビングのライセンスを持っていて時々潜りに行きます。地方行政、教育、医療、労働問題などに興味があります。 ➡田中めぐみ記者の過去記事はこちら       榎田智司 1956年生まれ。東京都立北野高校、駒澤大学経営学部経営学科卒。筑波山麓(つくば市臼井)に生まれ、3歳で上京。杉並区を経て、足立区、北区と移り、小学校から大学にかけては北区王子で育ちました。同級生は北区と板橋区です。東京育ちといいながら、田舎の家もありましたので、行ったり来たりしています。同時代の東京と田舎を見てきたハイブリッドなのです。24歳で生家(つくば)に戻り、筑波アイ・シーを経て、新治村商工会(現土浦市新治商工会)へ37年間、つくば市商工会で2年間。地域に埋没してきました。仕事外は、フォーク、ロックを中心にバンド歴も53年。たくさんの楽器をこなし、オリジナル作品も作ります。1982年には、つくばを中心としたSFファンの集まり「SFステーションつくば」を結成、今も続いています。活字は、社内報、同人誌、メルマガ、SNSとあらゆる時代に関わりました。特に、筑波山麓情報誌「すそみろく」に10年近く参加しています。質はともかく書いて書いて書きまくります。 ➡榎田智司記者の過去記事はこちら 戸田さつき 元常陽新聞記者 茨城県土浦市生まれ。東洋大学経営学部卒業。民間研究所、製薬会社などで品質試験に従事。常陽新聞記者、広告代理店広告サイト管理を経て犬用具製造販売で起業。プライベートではペット地域サイト「てくてくつくば」を運営(今は活動停止中)。39歳、夫と犬2匹と暮らす。2017年第3回全国創業スクール選手権ベスト8。第1回とりでビジネスプランコンテスト最優秀賞。 ➡戸田さつき記者の過去記事はこちら 崎山勝功 元常陽新聞記者 18歳の頃に流通経済大学進学のため単身で茨城県龍ケ崎市に来て以来、20年以上に渡って同市在住。30歳で常陽新聞記者職に就いて以来、「市民の声、市民の目線」を大切に県南地域を中心に記事を書いてきた。 常陽新聞新社時代は連載企画「おれたち働きたいんだ ルポ・年越し派遣村」や布川事件再審をはじめ、選挙や市政などを担当。 常陽新聞(株)では「ご当地メシ決定戦2014」に出場した龍ケ崎コロッケの全国優勝や、土浦市の心臓病男児への心臓移植募金活動を取材したほか、警察、裁判所、スポーツなど幅広く担当。 【さきやま・かつのり】1976年岩手県宮古市生まれ。岩手県立宮古高校、流通経済大学卒業後、広告代理店社員、無料情報誌編集部員などを経て、2007年常陽新聞新社(当時)に契約社員として入社。08年報道部記者として正社員登用。13年常陽新聞株式会社の創立に参加し、17年3月まで編集制作局記者として活躍。現在は「週刊金曜日」「よみうりMOVEダイジェスト」などに寄稿。 ➡崎山勝功記者の過去記事はこちら 伊達康 中学軟式野球部出身で学生野球は大学まで経験。社会人軟式野球を引退後はプレーする側から見る側へ転身し、精力的に球場へ足を運んでいる。好きなカテゴリーは高校野球と中学野球。雑誌「野球太郎」や高校野球ドットコムなどに寄稿している。 ➡伊達康記者の過去記事はこちら 伊藤悦子 神戸市生まれ、東京育ち。麻布大学獣医学部環境畜産学科(現:動物応用科学科)卒。縁あって都内から茨城県土浦市に茶トラ猫と共に引っ越してきました。たくさんの人に出会い、そして「読んでよかった」と心に残る記事を書いていきたいと思っています。 音楽が大好きで土浦・つくば・守谷周辺と都内でバンド活動をしています。担当はキーボード。普段はペットのことを中心に執筆するライターです。俳人「水田悦子」としても活動中。食べることと飲むことと散歩が趣味。 ➡伊藤悦子記者の過去記事はこちら 鈴木萬里子 元常陽新聞記者 常陽新聞では主に文化面を担当していました。各ギャラリーでの展覧会や音楽会は私にとって趣味の範ちゅうである上に、重圧はあるものの取材する特典まで与えられた至福の時間でもありました。新聞が休刊した後に訪れたそれらの催事は、取材から解放されこそすれ物足りなさも感じていました。今回NEWSつくばの発足に加わり、私の興味ある分野を再び取材できる!と今は少々興奮気味でいます。 私は子どもの頃からの活字オタクで目の病気をするまで年間300冊は本を読んでいましたし、今でも活字を読まないと落ち着きません。なのに息子は活字を読んだのは受験の時だけ、二児の父親となった今でも本は読まず新聞購読もしていません。情報は全てネットから得ているようです。これが息子を含め今の若い人の平均的な姿なのだと思います。情報発信の媒体は紙からネットに変わるのも時代のすう勢なのだと感じています。ページをめくる楽しさは手軽に読める電子媒体に替わったけれど、情報を発信する側の熱意は変わりません。これからも熱く、でも冷静に取材し発信していきたいと思います。 ➡鈴木萬里子記者の過去記事はこちら 米内隆 元常陽新聞編集委員 元朝日新聞記者 全国紙、地方紙、地域紙で通算35年間、記者や編集者をしてきました。紙の世界しか知りませんが、媒体は違っても、記者としてニュースを掘り起こし、記事にして発信する作業自体は変わらないと思います。初めからうまくいくとは毛頭、考えていません。大事なのは、ニュースを発信したいと思う人たちがいて、実際に発信する環境を整え、発信していくこと。拙速であっても、まず始めていきたい、という他の記者たちと意を同じくしました。 岩手県盛岡市出身。これまで、岩手県北上市→青森県八戸市→福島県福島市→岩手県東磐井郡大東町→宮城県仙台市→岩手県一関市→茨城県水戸市→静岡県浜松市→秋田県能代市→東京都府中市→千葉県浦安市→富山県富山市→茨城県水戸市(2回目)→千葉県浦安市(2回目)→北海道札幌市→東京都江東区→茨城県つくば市で暮らしてきました。茨城県には深い愛着があります。八戸市では十勝沖地震(震度5)、仙台市では宮城県沖地震(同)を体験しました。 子どものころからの憧れだったバスを運転したい、という思いから最上級の大型自動車第二種運転免許を取得すべく、土浦自動車学校をこのほど卒業しました。 いつか運転の仕事をしたいとひそかに夢見る57歳です。(よない・たかし) ➡米内隆記者の過去記事はこちら 梅山鉄平 あちこちで新聞記者を続けて10年以上。かつて新人だった僕を温かく迎えてくれたのが茨城県。不思議な縁で再び携わることができ、うれしいです。普段は都内で仕事をしているので、取材は土日が中心。都民の目線から、魅力を再発見してもらえるような記事を書きたいなあと模索中。ふらっとアポなしで出没することが多いですが、温かく対応いただけるとうれしいです。読者の皆様の反応も踏まえながら、一緒に面白い地域メディアを作れたらなあと思っています。 大阪出身でユーモアを交えた会話が大好き。得意ジャンルは酒、旅行、温泉、自転車、野球、教育など。好奇心旺盛で世の中のあらゆる事象に興味があり、あれこれ考えるのが好きです。 山口和紀 筑波大学人間学群障害科学類4年。新潟生まれ、新潟育ち、筑波大入学からつくば市。介助者のアルバイトをしています。趣味はギターと洋裁(ボトムスにしか興味ないです)、読書(人類学、障害学、運動史分野が好きです)。 ➡山口和紀記者の過去記事はこちら <!-- 谷島英里子 スタッフライター 常陽新聞記者を経て、NEWSつくばスタッフライターとして活動中。インターネット放送Vチャンネルいばらき「NEWSつくばチャンネル」キャスター、ラヂオつくば「つくばYou've got 84.2(発信chu)!」NEWSつくばのコーナーを担当しています。土浦市にある神立商工振興会に所属し、常任理事として神立の活性化に務めています。 フリーでは、不動産会社の広報のほか、フリーペーパーや企業パンフレットでの人物紹介記事。また、飲食商品説明の文章作成などを行っています。好きなことは音楽、詞を書くこと、ハローキティグッズ集め。20代、茨城県出身。 ➡谷島英里子記者の過去記事はこちら --> 川澄萌野 茨城町生まれのオーボエ奏者。趣味は料理、アコーディオンの演奏。2021年、結婚を機につくばに移ったばかり。昔から作文が好きな子どもだった。音楽活動休業中に、「ねとらぼ」「ダ・ヴィンチニュース」など、主にwebを中心にライターとして生活しながら、現代詩や短歌を書きためては発表していた。活動再開してからは、自らが主催するコンサートでポエトリーリーディングも行っている。特に愛してやまない作曲家はバッハで、バロックオーボエの演奏も大好き。気のいい音楽家がたくさん暮らしているつくばの街が気に入っていて、もっと市民の身近に音楽を届けたいと、いつも考えている。 ➡川澄萌野記者の過去記事はこちら 鹿野幹男 茨城県日立市出身。大学卒業後、朝日新聞社に入社して四半世紀近く、記者を続けてきました。昨年4月に転勤となり、本社内の子会社で内勤の庶務業務をしております。会社に在職しながらNEWSつくばのライターとして、ときどき発信いたします。小学生と幼稚園に通う2人の息子の父親です。これといって専門分野はありませんが、最近は教育や子育て、福祉に関心があります。 ➡鹿野幹男記者の過去記事はこちら

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