月曜日, 5月 6, 2024
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女子大生アイドルコピーダンス決定戦で日本一 筑波大学Bombs!

筑波大学のアイドルコピーダンスグループ「Bombs!(ボムズ)」が、大学対抗の女子大生アイドル日本一決定戦「UNIDOL2021 Fresh~Berry~(ユニドル2021フレッシュ・ベリー)」で1位に輝いた。12チームが出場し、6日に東京・新宿で開催された。 UNIDOLは、「ユニバーシティー(大学)アイドル」の略。今回の大会は、新チームや1年生などを中心に大会出場の経験がない大学生を出場条件とした。 Bombs!は今年加入した1年生など新メンバーをはじめ、コロナ禍で出場することができなかった昨年加入のメンバー総勢17人で挑んだ。人数が他チームよりも多かった一方、振りやフォーメーションがそろっており、一体感があった点が高得点につながった。 出場したのは、青山学院大学、早稲田大学、明治大学など、ソロで参加したチームもあった。 大会に向け、Bombs!が練習を始めたのは夏休み前の7月。パフォーマンスする曲を決めることや、各メンバーの立ち位置決め、振り付けを覚える、統一感を出すなどやることは山積みだった。 この大会でリーダーを務めた2年生のさくらさんは、練習の中で「人数がそろわなかったこと、マスクを外しての練習ができなかったこと」が大変だったと語った。「夏休み期間で免許合宿に行くメンバーや授業で忙しいメンバーがいて、17人という大人数がそろうのは大変でした。全員で練習できたのは本番前2回だけ。ダンスの大会ではなく、アイドルダンスのコピーをする大会なのでアイドルらしい表情も大切になります。そこを感染症対策のマスクのせいであまり全体では練習できなかった」 こうした状況の中でも、メンバー間で「もう少し笑顔の方がいいよ」などアドバイスをし、高めあった。時には先輩が練習に来て、「歩幅がみんな違うからそろえた方がきれいだよ」など的確なアドバイスをしてもらえた。 メンバ―のかなさんは「時には不安や焦りを感じることもあったが、楽しむことを忘れずに練習に励んだ」と話す。あおちゃんは「17人の力だけでなく、先輩方や衣装や映像を作ってくれた裏方のメンバー、そして応援してくださった方全員でつかんだ優勝だ」と振り返る。 リーダーのさくらさんは、今回の結果について「素直にうれしい。応援してくださった全ての方に感謝を伝えたい」と話す一方、「(総合点は1位だったが)審査員の点数の順位が数点の差で2位だったことが悔しい。次の大会では完全優勝を狙いたい」と語った。 Bombs!は2019年3月結成。現在のメンバーは、裏方を含め筑波大学1年生から大学院修士2年の総勢44人。様々なアイドルグループのコピーを行っている。昨年からは新型コロナの影響で活動場所や活動時間を制限された中での練習に取り組んできた。夏の大会の参加や、都内で行われるイベントなどにも積極的に参加している。2022年3月9日にはつくばカピオで単独公演を行う予定だ。(ドットジェイピー茨城エリアつくば支部インターン生、筑波大学1年 本間琴理) 【おことわり】本記事では氏名表記にステージネームを用いました。

「わんわんメモリアルパーク」新設へ つくばに県内最大のペット葬祭場

桜川水害から2年を経て着工 犬のテーマパーク「つくばわんわんランド」(つくば市沼田)敷地内に、ペットの葬祭場「わんわんメモリアルパーク」が新設される。2019年10月の桜川増水で冠水し、火葬炉が使用できなくなっていた。水害から2年経ち着工する。県内最大のペット葬祭場になるという。 20日、わんわんランド南側の予定地で筑波山神社神職による地鎮祭が執り行われ、関係者が工事の安全を祈った。完成は来年3月の予定。 わんわんランドは筑波山の麓を流れる桜川沿いに立地し2019年10月の台風19号による増水で園内のほとんどが冠水した。敷地内にあった葬祭場と霊園「ペットメモリアルパーク紫峰苑」も浸水し、火葬炉が故障して使用できなくなった。その後も新型コロナの影響が続き、葬祭場は営業を中断していた。 新設するペット葬祭場は、火葬場と納骨堂があり、敷地面積約1000平方メートル、建築面積約140平方メートル。火葬場は、大型犬も火葬できる大型の火葬炉を導入する。納骨堂は300基納骨できる個別棚を整備するなど水害前の6倍の規模となる。 水害前、敷地内の紫峰苑にあった火葬場と納骨堂を約500メートル移転して建て替える。予定地はわんわんランドに隣接する南側の駐車場だったところで、地盤を1メートルかさ上げした。 わんわんランドやつくば国際ペット専門学校を運営するサンスイグループ(東郷治久代表)が新設する。一般向けのほか、わんわんランドで活躍した犬や猫も供養するという。720区画ある墓地は移設せずそのまま。 東郷代表は「県内最大、日本でもトップクラスの葬祭場になる」とし「わんわんランドは開園25周年になり、つくば国際ペット専門学校は全国でも5本の指に入る学校になった。(桜川の冠水で)葬祭場がネックだったが、さらに高みを目指し、ペット関連日本一のペット総合企業を目指したい」と話した。

茨城6区は青山、国光両氏が届け出 衆院選公示

解散に伴う衆院選が19日公示された。小選挙区茨城6区はいずれも前職で2期目を目指す元県議の青山大人氏(42)=立憲=と、医師の国光文乃氏(42)=自民=が立候補を届け出て、12日間の選挙戦に突入した。投票は31日行われる。期日前投票は20日から30日まで実施される。 青山氏「与野党拮抗した緊張感ある政治を」 青山氏は午前11時、土浦市乙戸の街頭で第一声、下村寿郎土浦市議、皆川幸枝つくば市議、地元、乙戸地区の下村利充区長らが応援に駆け付けた。下村市議は「政党関係なしで応援している。土浦から国会議員が出た。今回は小選挙区で必ず当選させる」などと話した。 これを受けて青山氏は「昨年、新型コロナの感染が国内で広がり、一斉休校、アベノマスクなどがあった。常陸牛が余ってしまい自民党は和牛振興券を配ろうとまとまりかけた。当時、私は農林水産委員をしていて『子供たちの学校給食に提供してはどうか』と提案し、結果的に和牛振興券ではなく学校給食に提供することになった」と話し、「野党だと何もできないということはない。どういう気持ちで政治をやるかだ。地元の一人一人の意見が政治の原動力。地方に活力をもたらす政治が必要。消費税を上げようと言う声も起きているが、それは全く違う。必要なところに必要な対策を施し、無駄なものは省くのが政治の仕事」と述べた。その上で「前回は自民党に5000票差で負けた。与野党が拮抗した緊張感ある政治、信頼できる政治のために力を貸してください」などと訴えた。 この日は土浦市右籾、永国、下高津などを回り、市内6カ所で街頭演説した。 国光氏「コロナを終わらせ命と暮らし守る」 一方、国光氏は午前9時30分から、つくば市吉瀬の選挙事務所で出陣式。岡田広、上月良祐参院議員、6区の自民党県議とつくば、土浦市の市議らが勢ぞろいしたほか、公明党の田村けい子県議、地元の五十嵐立青つくば市長らが駆け付けた。岡田参院議員は「(6区は)県内で一番厳しい最重点区。選挙は声掛けしかない」、つくば市選出の鈴木将県議は「注目の激戦区。前回(得票数)の足し算、引き算に浮き足立つことなく、総力を結集して6区の議席を死守しよう」などと訴えた。 これを受けて国光氏は「政治を志した原点は医師の現場。コロナを終わらせ、皆さんの大事な命と暮らしを守る、それを私に任せていただきたい。現場主義が私のモットー。地域を回りたくさんの声をノートにずっと書いてきた。その思いが私の原点。あと少しでコロナ禍を終わらせる状況まできている。インフルエンザのタミフルのような経口薬まであと少し」と話し、「今回の選挙はひじょうに厳しい。野党連合の力を、歩いていても本当に感じる。とても厳しい選挙だが、私を皆さんのために働かせてください。必ずコロナを終わりにしてみせます」などと訴えた。 この日はほかに、つくばみらい市谷和原庁舎、土浦市民会館駐車場、かすみがうら市商工会駐車場、石岡後援会事務所の計5カ所で出発式を実施する。 青山大人 42 元県議 立憲 前①【公約】①幅広い業種への助成金や生活支援金の拡充など新型コロナ対策と経済の両立②消費税減税?原発からのエネルギー政策転換【略歴】土浦市出身、土浦一高、慶応大学経済学部卒。国会議員秘書。県議2期。2017年の衆院選は小選挙区で敗れたが比例復活当選。立憲民主党政務調査会会長補佐。 国光文乃 42 医師 自民 前①【公約】①現役医師の知見を生かしたコロナ対策②国道6号バイパスの早期完成?TX延伸④農家所得の拡大【略歴】山口県出身、長崎大学医学部卒。病院勤務を経て、厚労省保険局医療課課長補佐。2017年、丹羽雄哉元厚労相の後継者として初当選。自民党新型コロナ対策本部プロジェクトチームの事務局次長。

与野党の一騎打ちに 茨城6区 衆院選あす公示

解散に伴う衆院選が19日公示される。つくば、土浦市などが選挙区の小選挙区茨城6区はいずれも前職で2期目を目指す医師の国光文乃氏(42)=自民=と、元県議の青山大人氏(42)=立憲=が立候補し、与野党の一騎打ちになるとみられる。 6区は前回の2017年、自民の国光氏、希望の党(当時)の青山氏、共産の古沢喜幸氏が立候補し、国光氏は10万2820票、青山氏は9万6987票、古沢氏は2万4227票を得票した。今回は共産の田谷武夫氏が立候補を取り下げ、青山氏を支援する。 国光氏は1期目の実績として、現役医師の知見を生かしたコロナ対策、国道6号バイパスの予算拡充、国立病院機構霞ケ浦医療センターの黒字化達成、農業用電力の価格上昇阻止、子育て支援に向けた妊娠・出産費用の負担減などを強調し、6号バイパスの早期完成、TX延伸、農家所得の拡大などを訴える。山口県出身、長崎大学医学部卒。病院勤務を経て、厚労省保険局医療課課長補佐などを務めた。2017年、丹羽雄哉元厚労相の後継者として初当選し、自民党新型コロナ対策本部プロジェクトチームの事務局次長などを務めコロナ対策に関わる。 一方、青山氏は、1期目の実績として、コロナ禍で需要を失った和牛食材の学校給食への提供、国会での国産ワクチン生産体制の予算強化、つくばの研究施設の老朽化対策や運営費交付金確保の訴えなどを強調し、幅広い業種への助成金や生活支援金の拡充など新型コロナ対策と経済の両立、消費税減税、原発からのエネルギー政策転換などを訴える。土浦市出身、土浦一高、慶応大学経済学部卒。国会議員秘書を経て、県議を2期務めた。2017年の衆院選は小選挙区で敗れたが比例復活当選した。立憲民主党政務調査会会長補佐などを務める。

コロナ禍の農家を応援 JA直売所キャンペーン

3000円分のレシートで5000円の常陸牛当たる 新型コロナの感染拡大で生産や販売に影響を受けている農家を応援しようと、全国共済農協連合会県本部と全国農協連合会県本部の共済による初の「農家応援!JA直売所キャンペーン」が10月からスタートした。来年1月31日まで実施される。 県内農産物をPRし、採れたて野菜いっぱいのJA直売所の魅力を発信して消費拡大を図るのが狙い。 キャンペーン対象店舗は県内64カ所のJA農産物直売所。購入金額3000円分のレシートで応募すると5000円相当の常陸牛(各月200人、計800人)、1500円分のレシートの場合はトマトジュース(各月200人、計800円)または県内特産物農産加工品セット(毎月400人、計1600人)が抽選でプレゼントされる。 買い物をしたレシート(利用金額3000円分または1500円分)を専用の応募はがきか郵便はがきに貼り付け、郵便番号、住所、氏名、電話番号、年齢、性別、希望のコースなど必要事項を記入して、〒311-3199 日本郵便茨城郵便局留「農家応援!JA直売所キャンペーン」係宛て申し込む。レシートの有効期間と応募期間は▽第1回=10月1日~31日▽第2回=11月1日~30日▽第3回=12月1日~31日▽第4回2022年1月1日~31日の計4回。(山崎実) キャンペーンの対象となる土浦、つくば市の店舗は以下の通り。 【JA水郷つくば】▽サンフレッシュ土浦店 土浦市小岩田西1-1-11▽サンフレッシュ新治店 土浦市藤沢514-1▽サンフレッシュはすの里 土浦市木田余3140▽サンフレッシュつくば店 つくば市研究学園C50街区1(イーアスつくば内) 【JAつくば市】▽桜農産物直売所 つくば市古来1608-1▽筑波農産物直売所 つくば市北条5211-2▽農産物直売所「四季の郷」 つくば市上郷1213-3 【JAつくば市谷田部】▽農産物直売所「野っ食べ」 つくば市谷田部2074-1

地価が上昇 ウィズ・コロナ時代の郊外 《遊民通信》26

【コラム・田口哲郎】 前略 先日、郵便受けに不動産仲介業者のチラシが入っていました。近所の土地が売りに出されていたのですが、見て驚きました。地価がコロナ禍前の4〜5倍になっていたのです。新様式の生活でテレワークが進み、東京郊外や地方都市に移住する人が増えているとは聞きますが、まさか「ひたち野うしく」にもその波が押し寄せているとは…。 でも、よく考えてみると、確かに最寄りのひたち野うしく駅周辺は、スーパーマーケットは西友、ヨークベニマル、ドラッグストアはツルハやセイムズ、ホームセンターはホーマック、書店はワンダーグー、それに市役所の出張所を兼ねた郵便局があり、さらにスターバックスもあり、便利です。 例えば、県南の常磐線沿線を思い浮かべても、駅近で商業施設が徒歩圏内に一通りそろっていて、しかも郊外的な住宅地も駅の近くにある駅というのはひたち野うしくくらいかもしれません。土浦駅周辺は都会で住宅地はあまりないし、取手駅や藤代駅、佐貫駅を見ても、生活便利施設と住宅地のセット開発は見当たりません。牛久駅東口は便利そうですが、生活便利施設同士が少し離れています。 鉄道駅が中心の生活はもう主流ではなくなるから、駅近はパワーワードではないかもしれませんが、テレワークといっても月に何度か出社しなくてはならないから、ギリギリ東京に通えるところと考えると、ひたち野うしく駅が北限なのかなと思います。東京ほど密集していない郊外で、便利な駅近というのが不動産では今はやりなのでしょう。 世の中は想像以上に変わるもの 親戚が横浜市青葉区あざみ野に住んでいます。開発初期に住み始めたので、駅近です。地価は随分高いようです。コロナ禍前にひたち野うしくを散歩しながら、この辺りの地価があざみ野みたいに高くなることはないだろうな、大きな社会変革があれば、ここが都心になる日が来るかも…などと考えていました。 あざみ野ほどにはならなくても、地価が上がって、これから多くの人が移住してくる可能性があるだけでも、世の中は変わるものだなと思います。 新型コロナ専用病院を野戦病院と言ったり、飲食業が大打撃を受けてテナントが続々退去する歌舞伎町を焼け野原と言ったりする人がいるということは、コロナ禍は戦争に例えられるような一大事です。戦後は東京一極集中が加速しましたが、今度は分散開発をするらしい。コロナ禍前には、倦怠(けんたい)感と閉塞(へいそく)感でしか語られなかった郊外が見直されて、本来の価値を与えられるのは自然なことですし、よいことだと思います。 あるハウスメーカーの宣伝文句が気になります。「生きるための家」というフレーズです。今までは寝に帰る家が、生活の大半を過ごす空間に変わりました。人間的生活の到来を予感させるよい兆候ですね。ごきげんよう。 草々(散歩好きの文明批評家)

地価が上昇 ウィズ・コロナ時代の郊外 《遊民通信》26

【コラム・田口哲郎】 前略 先日、郵便受けに不動産仲介業者のチラシが入っていました。近所の土地が売りに出されていたのですが、見て驚きました。地価がコロナ禍前の4〜5倍になっていたのです。新様式の生活でテレワークが進み、東京郊外や地方都市に移住する人が増えているとは聞きますが、まさか「ひたち野うしく」にもその波が押し寄せているとは…。 でも、よく考えてみると、確かに最寄りのひたち野うしく駅周辺は、スーパーマーケットは西友、ヨークベニマル、ドラッグストアはツルハやセイムズ、ホームセンターはホーマック、書店はワンダーグー、それに市役所の出張所を兼ねた郵便局があり、さらにスターバックスもあり、便利です。 例えば、県南の常磐線沿線を思い浮かべても、駅近で商業施設が徒歩圏内に一通りそろっていて、しかも郊外的な住宅地も駅の近くにある駅というのはひたち野うしくくらいかもしれません。土浦駅周辺は都会で住宅地はあまりないし、取手駅や藤代駅、佐貫駅を見ても、生活便利施設と住宅地のセット開発は見当たりません。牛久駅東口は便利そうですが、生活便利施設同士が少し離れています。 鉄道駅が中心の生活はもう主流ではなくなるから、駅近はパワーワードではないかもしれませんが、テレワークといっても月に何度か出社しなくてはならないから、ギリギリ東京に通えるところと考えると、ひたち野うしく駅が北限なのかなと思います。東京ほど密集していない郊外で、便利な駅近というのが不動産では今はやりなのでしょう。 世の中は想像以上に変わるもの 親戚が横浜市青葉区あざみ野に住んでいます。開発初期に住み始めたので、駅近です。地価は随分高いようです。コロナ禍前にひたち野うしくを散歩しながら、この辺りの地価があざみ野みたいに高くなることはないだろうな、大きな社会変革があれば、ここが都心になる日が来るかも…などと考えていました。 あざみ野ほどにはならなくても、地価が上がって、これから多くの人が移住してくる可能性があるだけでも、世の中は変わるものだなと思います。 新型コロナ専用病院を野戦病院と言ったり、飲食業が大打撃を受けてテナントが続々退去する歌舞伎町を焼け野原と言ったりする人がいるということは、コロナ禍は戦争に例えられるような一大事です。戦後は東京一極集中が加速しましたが、今度は分散開発をするらしい。コロナ禍前には、倦怠(けんたい)感と閉塞(へいそく)感でしか語られなかった郊外が見直されて、本来の価値を与えられるのは自然なことですし、よいことだと思います。 あるハウスメーカーの宣伝文句が気になります。「生きるための家」というフレーズです。今までは寝に帰る家が、生活の大半を過ごす空間に変わりました。人間的生活の到来を予感させるよい兆候ですね。ごきげんよう。 草々(散歩好きの文明批評家)

第6波に備え 20日からつくば市独自のPCR検査

つくば市の五十嵐立青市長は5日の定例会見で、新型コロナウイルス感染拡大の第6波に備え、無症状の市民や在勤・在学者を対象にPCR検査を20日から市独自で実施すると発表した。一般に数千円から数万円の検査費用がかかるが、市民は1000円の自己負担で検査できる。 市民の自己負担は1000円 県内では、住民や職場などが自主的に行うPCR検査費用を一部または全額補助してきた自治体が9月時点で17市町村あるが、五十嵐市長は、市がPCR検査を実施するのは全国でも初めて、としている。感染者の早期発見や日常の不安解消が目的という。陽性が分かった場合は保健所に知らせ、保健所が対応する。 だ液を採取して検査する。検査費用そのものは1検体3000円。そのうち市民が1000円を自己負担し、残り2000円は市が負担する。市内在勤・在学者の場合は2000円を自己負担する。検査期間は20日から来年3月まで。対象は小学生以上。 18日からインターネットで予約受け付けを開始する。だ液の採取は平日の午前9時から11時に、市役所の敷地内に検査場所を設け採取する。現時点で場所は未定という。午前11時に検体を回収し、当日の午後3時までにインターネットで個別に検査結果を通知する。陰性証明書などは発行しない。 検査人数は1日60人を想定し、希望者が多ければ順次、増やしていく。来年3月までに延べ1万800人の検査を想定している。市が負担する今年度の検査費用は約2200万円で、10月中に臨時議会を開き補正予算の追加を提案する。 検査は、NPO法人つくば臨床検査教育・研究センター(つくば市天久保、小松京子理事長)の検査センター「つくばアイ-ラボラトリー有限責任事業組合」(同市天久保)が実施する。自動化、電子化された全自動検査機器により、複数の検体を混ぜて同時に検査する「プール検査法」という方法で検査する。陽性反応が出た全検体は、それぞれの検体から再検査する。 同検査センターは、筑波大学とLSIメディエンス(東京都千代田区、渡部晴夫社長)が共同運用する。県内のクラスター対策の検査部門で中心的役割を担った実績があり、2021年は約4万件のPCR検査に対応したという。 併せて、10月1日付で、筑波大学付属病院感染症科長で、つくば臨床検査教育・研究センター理事の鈴木広道・筑波大医学医療系教授が、市の顧問に就任したと発表した。五十嵐市長は、保健所と連携をとり、鈴木教授のアドバイスを受けながら、早めの対応をしたいとしている。

自民党新総裁誕生 この国はどこへ? 《雑記録》28

【コラム・瀧田薫】9月29日の自由民主党総裁選の結果、岸田文雄前政調会長が新総裁に選任された。岸田氏は4日の衆参両院本会議で首相に指名され、新内閣を発足させた。 岸田氏の勝因には、菅首相の総裁選不出馬宣言により自民党の支持率が回復し、それに伴って、自民党議員の次の選挙への危機感が薄れたことがあると思う。つまり、「安倍・菅氏路線」の刷新を標榜(ひょうぼう)しなくとも、衆議院選挙を勝ち抜ける見通しが立ったということだろう。 岸田氏は、総裁選出馬にあたり、安倍・菅路線の基本的な方向性は受け入れつつ、小泉政権以来の「新自由主義的な経済政策」を改め「成長と分配の好循環」を目指すと宣言した。安倍・菅路線を正面から否定はせず、部分的な修正を施しながら新味も出そうという狙いだろう。 この岸田氏の妥協姿勢が、河野氏と比較して、より「穏健」なものと受け止められた。自民党国会議員の間に、衆議院選を前にして、党内の力学を優先する余裕あるいは内向き志向が働いたという見方もできるだろう。 しかし、この総裁選の結果を受けて、この国の今後を楽観することができるだろうか。新型コロナウイルス禍もあり、この国の経済も外交も安全保障も極めて困難な状況にある。外に吹き荒(すさ)ぶ嵐を自民党の党内安定だけで乗り切れるものではないだろう。 「成長と分配の好循環」に注目 いずれにしろ、次の衆議院選挙が間近に迫っている。新政権が心すべきは、国民の思い、意志、希望を真摯(しんし)に受け止め、それを国政全般そして外交に反映させていくことだ。もし、新政権が前政権と同様に、異論を封じ込め、疑問に正面から向き合わず、説明責任を果さない独善的な政治姿勢を踏襲するなら、この国の将来はまことに暗いものとなる。 菅首相の退陣は、9年近く続いた安倍・菅路線の功罪を検証し、それを清算、克服する絶好の機会である。アベノミクスは為替を円安に誘導し、輸出企業の業績を好転させ、株高をもたらし、雇用を拡大したというが、この間、日本の経済成長は停滞し、勤労者の生活は以前より貧しくなっている。この事実をどう評価するのか。 IMF統計によれば、1990年代初頭、日本のGDPは全世界のGDP総額の約17%を占めていた。2020年現在、この数字は6%まで落ち込んでいる。つまり、世界経済における日本の存在感はこの四半世紀間に3分の1にまで縮小していることになる。経済の専門家は、30年には4%、つまり、1960年代の水準までさらに落ち込むと予想している。 岸田氏は、首相になった暁、「これまでの新自由主義的な経済政策を改め、成長と分配の好循環を目指す」と約束した。時宜にかなった政策であると思う。ただ、この約束を果すことが容易なこととは到底思えない。岸田新首相には、この困難に敢然と立ち向かい、正直で誠実な政治家がこの国にまだ存在していたことを証明してもらいたい。(茨城キリスト教大学名誉教授)

自民党新総裁誕生 この国はどこへ? 《雑記録》28

【コラム・瀧田薫】9月29日の自由民主党総裁選の結果、岸田文雄前政調会長が新総裁に選任された。岸田氏は4日の衆参両院本会議で首相に指名され、新内閣を発足させた。 岸田氏の勝因には、菅首相の総裁選不出馬宣言により自民党の支持率が回復し、それに伴って、自民党議員の次の選挙への危機感が薄れたことがあると思う。つまり、「安倍・菅氏路線」の刷新を標榜(ひょうぼう)しなくとも、衆議院選挙を勝ち抜ける見通しが立ったということだろう。 岸田氏は、総裁選出馬にあたり、安倍・菅路線の基本的な方向性は受け入れつつ、小泉政権以来の「新自由主義的な経済政策」を改め「成長と分配の好循環」を目指すと宣言した。安倍・菅路線を正面から否定はせず、部分的な修正を施しながら新味も出そうという狙いだろう。 この岸田氏の妥協姿勢が、河野氏と比較して、より「穏健」なものと受け止められた。自民党国会議員の間に、衆議院選を前にして、党内の力学を優先する余裕あるいは内向き志向が働いたという見方もできるだろう。 しかし、この総裁選の結果を受けて、この国の今後を楽観することができるだろうか。新型コロナウイルス禍もあり、この国の経済も外交も安全保障も極めて困難な状況にある。外に吹き荒(すさ)ぶ嵐を自民党の党内安定だけで乗り切れるものではないだろう。 「成長と分配の好循環」に注目 いずれにしろ、次の衆議院選挙が間近に迫っている。新政権が心すべきは、国民の思い、意志、希望を真摯(しんし)に受け止め、それを国政全般そして外交に反映させていくことだ。もし、新政権が前政権と同様に、異論を封じ込め、疑問に正面から向き合わず、説明責任を果さない独善的な政治姿勢を踏襲するなら、この国の将来はまことに暗いものとなる。 菅首相の退陣は、9年近く続いた安倍・菅路線の功罪を検証し、それを清算、克服する絶好の機会である。アベノミクスは為替を円安に誘導し、輸出企業の業績を好転させ、株高をもたらし、雇用を拡大したというが、この間、日本の経済成長は停滞し、勤労者の生活は以前より貧しくなっている。この事実をどう評価するのか。 IMF統計によれば、1990年代初頭、日本のGDPは全世界のGDP総額の約17%を占めていた。2020年現在、この数字は6%まで落ち込んでいる。つまり、世界経済における日本の存在感はこの四半世紀間に3分の1にまで縮小していることになる。経済の専門家は、30年には4%、つまり、1960年代の水準までさらに落ち込むと予想している。 岸田氏は、首相になった暁、「これまでの新自由主義的な経済政策を改め、成長と分配の好循環を目指す」と約束した。時宜にかなった政策であると思う。ただ、この約束を果すことが容易なこととは到底思えない。岸田新首相には、この困難に敢然と立ち向かい、正直で誠実な政治家がこの国にまだ存在していたことを証明してもらいたい。(茨城キリスト教大学名誉教授)

介助者という社会資源の少なさ【かなわなかった自立生活】㊦ 

自立生活がかなわず今年1月に亡くなった蛯原千佳子さん(60)は、つくば自立生活センターほにゃらで2017年8月から宿泊体験を14回繰り返した。19年11月には、ほにゃらの介助者も蛯原さんの介助に自信が出てきて、人数さえ増えれば、一人暮らしを始められる状況になった。しかし、一人暮らしを支える介助体制をつくれないまま、蛯原さんは亡くなった。 ほにゃら事務局長の斉藤新吾さん(46)は、「地域で生活したい障害者の希望をかなえるためには、障害者が入所施設ではなく、地域で暮らすことは人間としての当たり前の権利であることを、ほにゃらの職員だけでなく、社会全体が認識していく必要がある」と話す。 街中で求人チラシ配る 蛯原さんに関わる介助者を増やすためには、当初から蛯原さんに関わっていた介助者が蛯原さんの介助に十分に慣れ、新しい介助者に障害の特性や体調に合わせた介助方法を伝えられるまでになる必要がある。宿泊体験を始めてから1年8カ月後の19年春、蛯原さんの介助に慣れてきたころ、ほにゃらでは蛯原さんの一人暮らしを支える介助者を募集した。 求人チラシを作成し、駅前で配ったり、全国の福祉系大学に求人票を郵送した。介助という仕事が持つ負のイメージを変えるために、仕事内容の紹介動画を作り、ホームページに載せたりもした。蛯原さん自身も宿泊体験中に介助者と一緒に街中に出かけ、直接チラシを配った。 ほにゃらの介助者だけでは足りず、他の訪問介護事業所と連携することも考え、20年1月には相談支援専門員を探し始めた。相談支援専門員とは、訪問介護や訪問入浴など複数の事業所が1人の障害者の生活に関わる際、事業所間の連絡調整をおこなったり、必要なサービスを受けるための行政的な手続きをおこなう機関である。 本来なら蛯原さん自身が自分に合った相談支援専門員を探すはずだったが、新型コロナが蔓延し、ほにゃらの介助者が施設で面会することもできなくなったため、ほにゃら側で蛯原さんの地域生活を支える相談支援専門員を探した。 20年7月に一度だけ短時間の面会が許可され、蛯原さんと相談支援専門員が初めて顔を合わせることができた。が、それ以降はまた面会が制限された。 一人暮らしに向けて、他の介護事業所とも連携したかったが、具体的にいつから介助派遣を依頼するか定まらないと、相談支援専門員から他の介護事業所に協力を求めるのも難しい。蛯原さんとほにゃら介助者、相談支援専門員が面会し、一人暮らしを始める具体的な日程を決められないまま、蛯原さんは体調を崩し、今年1月亡くなった。 「重度障害者の地域生活を支える社会資源の少なさと、新しい社会資源をつくり出せなかったことが、蛯原さんの一人暮らしが実現できなかった一番の原因なのでは」と、斉藤さんは話す。 権利知ってもらうことから 2014年に日本も批准した国連の障害者権利条約第19条では、障害者に、他の者と平等に、どこで誰と住むかを自分で選択し、特定の生活様式で生活することを義務づけられることなく、地域社会で生活する権利を保障し、そのために必要なサービスを提供するなど、適切な措置をとることを国に求めている。 しかし、障害者が入所施設ではなく地域で生活することは権利だという認識が、行政機関を含めて社会全体に浸透してないことが、障害者が地域で生活したくてもなかなかできない理由の1つだろうと、斉藤さんは話す。 「日本の学校では、人に優しくするというような道徳教育が重視され、自分がどのような権利を持っているかを学ぶ機会は、障害のない人でも少ない。自分の権利についても意識が低いのだから、障害者の権利と言われてもピンとこない人も多いだろう」と、ほにゃら代表の川島映利奈さん(39)は付け加える。 さらに川島さんは「相談支援専門員や行政機関の人の中でも、重度障害者が介助者を使いながら地域で生活できることを知らない人も多い。重度障害者でも地域で生活できることを社会に発信することもほにゃらの役割だと思う。まずは、障害者が堂々と社会に出ていき、障害者の存在を身近に感じてもらうことから始める必要がある」と話す。(川端舞) 終わり

【かなわなかった自立生活】㊤ 準備進めた5年間

蛯原千佳子さんの死 約20年間、県内の障害者施設に入所していた蛯原千佳子さん(60)が、今年1月に亡くなった。蛯原さんは生まれつき重度の運動障害と言語障害があり、首から下は自分で動かせなかった。しかし、いつか施設を出て、地域で暮らしたいと強く願い、5年前から障害者団体「つくば自立生活センターほにゃら」(つくば市天久保、川島映利奈代表)の支援を受けながら、一人暮らしに向けて準備を続けていた。 しかし、蛯原さんの体力面や介助者不足などで、ほにゃらの介助者と一緒に一人暮らしの練習をするのは月1回が限度で、介助者が蛯原さんの介助やコミュニケーションに慣れるのに時間がかかった。介助者さえ増やせれば一人暮らしを始められる状況までいったものの、その間に、新型コロナの蔓延により、施設でほにゃら職員との面会も制限されてしまった。会えない期間が続く中、蛯原さんは体調を崩し、亡くなった。 「もう一度、地域で生活したい」 生前、蛯原さんはほにゃらの機関誌の中で、それまでの人生を振り返り、なぜ地域で一人暮らしをしたいのか、文章につづっている。 蛯原さんは小学校から高校まで養護学校に通うため施設に入所していた。高校時代は学校で生徒会活動をしていたが、施設の中で生活していたため、親から「社会性が弱い」と言われた。その頃から、「障害者はもっと外に出ないと、健常者に理解してもらえない」と感じていたという。 高校在学中に施設を退所し、家族と暮らし始めた。地元の大学生が運営する、障害児と健常児の交流会に関わりはじめ、会長になった。「学生と話すことで、障害に対する考え方を変えたかった」と、機関誌の中で蛯原さんは振り返る。 当時は地域で暮らしたい障害者は東京に引っ越すことが多く、蛯原さんも友人から「東京に来ないか」と誘われたこともある。しかし「茨城で生まれたから、茨城から社会を変えなくてはならない」という使命感から、茨城で生きていくことを決めた。仲間と一緒に障害者団体をつくり、「親が高齢になるなど、家族が介助できなくなったあとも、障害者が地域で暮らせる場所をつくってほしい」と、行政に働き掛けたこともあった。 40歳の頃、母親が体調を崩し、蛯原さんの介助ができなくなったため、施設に入所した。施設の中では限られた人にしか会えず、外出の機会も制限される生活だった。 それまで活動的だった蛯原さんは、おとなしくしていることができず、「もう一度、地域で生活したい」と思った。障害の進行により、以前より体は動かなくなっていたが、なんとか頬の筋肉でパソコンを操作できるようになり、2015年12月、「施設から出て、一人暮らしをしたい」というメールをつくば自立生活センターほにゃらに送った。 「一人暮らしを始めたら、今までの経験を生かして、障害のある仲間を支援したり、地域の人たちに障害について伝える活動がしたい」と蛯原さんは機関誌に綴っている。 車いすで散歩する練習から 重度障害者が介助者の介助を受けながら、一人暮らしをする場合、障害者自身が「今、何をするか」「夕食は何を食べるか」を考え、介助者に何をしてほしいか伝える必要がある。毎日、決められた生活リズムや食事の献立がある入所施設とは異なる。多くの障害者の一人暮らしを支援してきた自立生活センターには、障害者が一人暮らしを始めるための支援方法が蓄積されている。 一人暮らしを始める準備として、まず、介助者とのコミュニケーション方法や、介助者に指示を出して料理をする方法など、一人暮らしを始めるために必要な知識や技術を、すでに一人暮らしをしている先輩障害者から学んでいくのが一般的だ。蛯原さんから相談を受けた、ほにゃら事務局長で自身にも重度運動障害がある斉藤新吾さん(46)は、施設に通い、半年かけて一人暮らしに必要な知識などを伝えた。 一通りの知識を伝え終わると、ほにゃらが借りているアパートで、介助者のサポートを受けながら数日過ごす「宿泊体験」を始めるのが一般的だ。しかし、蛯原さんの場合、施設ではほとんどベッドの上にいて、自分の車いすも持っていなかった。そのため、まずは車いすを借り、介助者と一緒に施設周辺を散歩したり、近所に買い物に行くことから始め、車いすに何時間乗っていられるかを試した。施設からほにゃら事務所まで車で移動しても、蛯原さんが体力的に耐えられると判断できたことから、2017年8月から宿泊体験を始めた。 平均3~5年 宿泊体験を何泊から始めるか、最初から何人の介助者が関わるかも、本人の障害の状態や必要な介助内容によって異なる。ほにゃら代表の川島さん(39)は、「蛯原さんの場合、自分では体をほとんど動かせず、介助者が蛯原さんの体を動かす場合も、注意しないと関節に痛みが生じるなど、介助で注意すべき点も多かった。蛯原さん自身の体力がどのくらいあるのかも分からなかったため、1泊2日の宿泊体験から始め、少しずつ宿泊体験の日数や関わる介助者を増やしていった」と振り返る。 蛯原さんは24時間、介助を必要としていた。宿泊体験中、介助者が慣れるまでは、事故防止のためもあり、日中は介助者2人で対応した。夜間は介助者1人で対応したが、介助者は他の利用者の介助にも行く必要がある。また、それまで外出の機会が制限されていた蛯原さんは、施設からほにゃらまで片道1時間かけて車で移動するだけでも体力を使った。ほにゃらの介助者の勤務調整の面でも、蛯原さんの体力の面でも、宿泊体験は多くても月1回が限度だった。 インフルエンザが流行する冬は、感染予防のため施設から外出することが難しく、また蛯原さん自身が体調不良で入院し、宿泊体験を中止せざるを得ないこともあった。それでも2年2か月かけて、14回の宿泊体験をおこなった。その間に、どうしたら介助者1人でも安全に介助できるか、様々な方法を試し、その都度、蛯原さんの感想を確認しながら考え、蛯原さんに合った介助方法を確立していった。 川島さんによると、施設に入所している障害者が地域で一人暮らしを始めるまで平均3~5年かかる。蛯原さんが入所していた施設はほにゃらから離れていて、宿泊体験以外では月に1回ほどしか施設に面会に行けず、一人暮らしに向けての具体的な話をなかなか進められなかったことも、一人暮らしを始めるのに時間がかかった理由だと、川島さんは話す。(川端舞) 続く

芸術の秋始まる 《令和楽学ラボ》15

【コラム・川上美智子】茨城県芸術祭美術展覧会(県展)が10月2日(土)~17日(日)、茨城近代美術館で始まります。新型コロナウイルスの感染下にあって開催が危ぶまれていましたが、デルタ株も沈静化の方向で、無事開催の運びとなります。昨日、自分の作品の搬入を終え、発表の場があること、ありがたく思っています。 振り返ると、第23回国民文化祭茨城大会(いばらき2008)の実行委員会で、陶芸家の荒田耕治先生とご一緒したことがご縁で、先生の教室の生徒になり、それから毎年、県展と水戸市展には欠かさず出展し続け、今日に至っています。かれこれ、陶歴も13年。家の中には所狭しと、10キロの大型作品が30点余り鎮座しています。 県展で2回、水戸市展で1回、賞も頂戴し、いつか個展をやりたい、が夢ですが、60歳からのスタート、夢がかなうかどうかわかりません。荒田先生とは、実行委員としての出会いが初めてでしたが、私が結婚し茨城に移った1970年の笠間佐白山の陶器市で目に止まった、黒釉(こくゆう)彩のコーヒーカップセットを購入した時にお名前をインプットしていました。 今も、陶芸に興味をもたせてくれたそのカップは、マイセンやロイヤルコペンハーゲンのカップと並べて大切に飾ってあります。 陶芸の良さは、作品作りそのものが集中力と持続力をもたらしてくれる時間になることです。日頃のストレスフルな生活を忘れて、ひたすら土をこね、器の表面をきれいに仕上げる手仕事に傾注できることにあります。手指を動かすと、脳の感覚中枢や運動中枢の血流が10%くらい上がり、脳の広範囲の神経細胞が活性化すると言われています。 さらに、手順や段取りを考える、形を創造するなどの高次機能も発達させ、日頃と違う脳の使い方をさせてくれます。高齢者の認知症予防に効果があるため、介護領域ではリハビリのための陶芸療法という言葉も生まれ、高齢社会にピッタリの活動と言えます。 脳の発達や創造性を育てる粘土遊び また、幼児の粘土遊びも、手指の発達を促し、脳の発達や想像性と創造性を育てるのに効果があり、保育園などの教材としてお道具箱に納められています。男の子は恐竜を、女の子は食べ物と、性差を感じますが、集中して好きなものを作っています。 勤務する保育園ではアート活動に力を入れており、年長さんのクラスには、筑波大学の直江俊雄教授の研究室による絵画活動を導入しています。当方も幼稚園の頃から絵の教室に通い、小学校で大型の油絵を描いていた経験から、幼少期のアート活動が生涯のアートへの関わりにつながることを実感しています。 環境を整え、いろいろな技法を提供するのは園側の仕事ですが、子どもたちが自由な発想で描くこと、創ることを大事にして、多くの機会をつくりたいと考えています。 県内では、芸術の秋に向け、県展のほか、笠間陶芸大賞展、県近代美術館企画展、天心記念五浦美術館企画展など、展覧会が繰り広げられます。新型コロナ禍での巣ごもり生活を少し開放して、アートで癒やされませんか。(みらいのもり保育園園長、茨城キリスト教大学名誉教授)

芸術の秋始まる 《令和楽学ラボ》15

【コラム・川上美智子】茨城県芸術祭美術展覧会(県展)が10月2日(土)~17日(日)、茨城近代美術館で始まります。新型コロナウイルスの感染下にあって開催が危ぶまれていましたが、デルタ株も沈静化の方向で、無事開催の運びとなります。昨日、自分の作品の搬入を終え、発表の場があること、ありがたく思っています。 振り返ると、第23回国民文化祭茨城大会(いばらき2008)の実行委員会で、陶芸家の荒田耕治先生とご一緒したことがご縁で、先生の教室の生徒になり、それから毎年、県展と水戸市展には欠かさず出展し続け、今日に至っています。かれこれ、陶歴も13年。家の中には所狭しと、10キロの大型作品が30点余り鎮座しています。 県展で2回、水戸市展で1回、賞も頂戴し、いつか個展をやりたい、が夢ですが、60歳からのスタート、夢がかなうかどうかわかりません。荒田先生とは、実行委員としての出会いが初めてでしたが、私が結婚し茨城に移った1970年の笠間佐白山の陶器市で目に止まった、黒釉(こくゆう)彩のコーヒーカップセットを購入した時にお名前をインプットしていました。 今も、陶芸に興味をもたせてくれたそのカップは、マイセンやロイヤルコペンハーゲンのカップと並べて大切に飾ってあります。 陶芸の良さは、作品作りそのものが集中力と持続力をもたらしてくれる時間になることです。日頃のストレスフルな生活を忘れて、ひたすら土をこね、器の表面をきれいに仕上げる手仕事に傾注できることにあります。手指を動かすと、脳の感覚中枢や運動中枢の血流が10%くらい上がり、脳の広範囲の神経細胞が活性化すると言われています。 さらに、手順や段取りを考える、形を創造するなどの高次機能も発達させ、日頃と違う脳の使い方をさせてくれます。高齢者の認知症予防に効果があるため、介護領域ではリハビリのための陶芸療法という言葉も生まれ、高齢社会にピッタリの活動と言えます。 脳の発達や創造性を育てる粘土遊び また、幼児の粘土遊びも、手指の発達を促し、脳の発達や想像性と創造性を育てるのに効果があり、保育園などの教材としてお道具箱に納められています。男の子は恐竜を、女の子は食べ物と、性差を感じますが、集中して好きなものを作っています。 勤務する保育園ではアート活動に力を入れており、年長さんのクラスには、筑波大学の直江俊雄教授の研究室による絵画活動を導入しています。当方も幼稚園の頃から絵の教室に通い、小学校で大型の油絵を描いていた経験から、幼少期のアート活動が生涯のアートへの関わりにつながることを実感しています。 環境を整え、いろいろな技法を提供するのは園側の仕事ですが、子どもたちが自由な発想で描くこと、創ることを大事にして、多くの機会をつくりたいと考えています。 県内では、芸術の秋に向け、県展のほか、笠間陶芸大賞展、県近代美術館企画展、天心記念五浦美術館企画展など、展覧会が繰り広げられます。新型コロナ禍での巣ごもり生活を少し開放して、アートで癒やされませんか。(みらいのもり保育園園長、茨城キリスト教大学名誉教授)

支援団体、感染対策を徹底 つくばの食材無料配布に感謝の列

つくば市の食料支援団体「学生応援プロジェクト@つくばPEACE(ピース)」が25日、筑波大学近くの松見公園(同市天久保)で食材の無料配布を行った。用意した200人分は徹底した感染対策の下、3時間以上をかけ同大の学生らに受け取られた。 今回は当初、配布場所として公園の使用許可がつくば市から出ず、開催が危ぶまれた(9月15日付)。市と打ち合わせを行い、新型コロナ感染症対策を講じた結果、公園の使用が認められた。その際には、前回の実施形態や写真などを市と確認したうえで、今回の松見公園での実施が決定した(16日付)。 今回、配布は30分ごと30人ずつの利用となった。利用者の滞在時間を短くするために配布の列を通常よりも短くし、レトルトや缶詰などをひとまとめにした基本セットで配布した。また、スタッフの人数も12人に制限した。加えて、「いばらきアアマビエちゃん」登録や手指の消毒と検温、利用者に手袋を使用してもらうなど、徹底した感染対策を行った。 列には筑波大などの学生をはじめ、一般の利用者が並ぶ姿も見られた。新米200キロも提供された。 持ち込んだのはモトキバイオファーム(つくば市小沢)の本木茂さん(66)。「もとから食料配布活動に興味を持っていた。今回はNEWSつくばを見て活動に参加しようと思った。娘が筑波大の卒業生で、いろいろなところに支援してもらっていたため、今度は私が支援してあげたい。皆が少しずつ支援をすれば、より大きなものになっていくだろう」と語った。 つくばPEACEの利用者の一人である湯川楓祐さん(筑波大情報学群情報科学類1年)は、「TwitterでつくばPEACEの活動を知った。松見公園で広々と開催できてよかった。屋外の方が感染リスクを抑えられることができるため、次も松見公園で開催してもらえたらうれしい。配布はとても助かっているので、これからも続けてほしい」と話した。 つくばPEACEの冨山香織代表は、「公共施設が使えてよかった。今回、松見公園使用のきっかけとなったNEWSつくばと、使用を許可してくれた市役所に感謝している。これからは、新規利用者を増やすためにもチラシなどを配布して周知活動を積極的にしていきたい。予約の壁と感染対策を講じながら、来月も松見公園で開催していきたい」という。(武田唯希)

つくば駅周辺 商業地、住宅地とも7年連続県内1位 21年地価調査

茨城県は21日、2021年の地価調査結果を発表した。県内で最も地価が高かったのは商業地、住宅地いずれもつくば市吾妻のつくば駅周辺で、7年連続1位となった。商業地は上位5位のうち2地点をつくば市内、住宅地は4地点をつくば市内が占めた。 つくば市(調査地点46地点)全体では、全用途平均変動率は前年より0.8%上昇し、0.1%下落となった前年から上昇に転じた。0.8%上昇は、守谷市と並んで県内で最も高い上昇率となる。 市全体の平均価格は1平方メートル当たり8万900円で、前年同様、守谷市に次いで県内で2番目に高い価格となった。 用途別では商業地(7地点)の平均価格は16万9400円で、2.9%上昇(前年は1.2%上昇)、住宅地(36地点)の平均価格は6万8900円で、平均変動率は0.3%上昇(20年は0.3%下落)した。工業地(2地点)は2万2600円で2.8%上昇(同0.7%上昇)した。 商業地は調査地点7地点のうち6地点で地価が上昇した。上昇地点について県は、TX研究学園駅及びつくば駅から徒歩圏内の商業地域に位置しており、研究学園駅から徒歩圏内は、宅地分譲が進展し、背後住宅地の人口が増加していることに加え、新規店舗の立地が見られ、繁華性、集客力が向上していることから土地需要が高まっているとしている。つくば駅から徒歩圏内については、クレオに商業施設がオープンしたほか、駅近隣エリアにマンションが建設中で、背後住宅地人口の増加、繁華性や集客力の向上が見込めることから土地需要の高まりが続いていると分析している。 住宅地は調査地点36地点のうち12地点で地価が上昇した。上昇地点について県は、つくばエクスプレス(TX)沿線の住宅地域で、大規模商業施設や各種店舗、小学校に近く、住環境に優れていることから、従来から土地需要が高いことに加え、新型コロナの感染拡大に伴うテレワークの普及などもあり、都心方面からの需要者層も見られ、新型コロナ感染拡大前の状況よりも土地需要が高まっているとしている。 工業地は調査地点2地点いずれも上昇した。県は、圏央道ICに近接し、研究施設や工場が集積する工業団地に位置しており、圏央道の県内全線開通による交通利便性の向上に伴い、IC周辺で、特定のテナントの要望に応じてオーダーメードで建設され賃貸されるBTS型物流施設の竣工が続くなど、土地需要の高い傾向が続いているとしている。 土浦市は下落幅縮小 土浦市(同34地点)の全用途平均変動率は前年と比べ0.1%下落し、コロナ禍で0.2%下落した20年と比べ下落幅が縮小した。平均価格は1平方メートル当たり3万8400円。 用途別では商業地(8地点)の平均価格は6万1900円で、前年と比べ0.4%下落(前年も0.4%下落)した。住宅地(24地点)の平均価格は3万2200円で、平均変動率は0%と昨年と同じとなった。20年は0.2%下落だったことから今年は横ばいに転じた。工業地(2地点)は1万9000円で0.6%上昇(同0.6%上昇)した。 商業地で上昇した地点はなかった。住宅地は調査地点23地点のうち2地点で上昇した。県は上昇地点について、JR常磐線の土浦駅から概ね徒歩圏内の市街地中心部は上昇しており、旧来からの市街地として根強い人気を誇ると共に、同一需給圏として競合するつくば市、牛久市、取手市などに対する割安感と相まって、土地需要が高まっているとしていると分析している。 工業地は調査地点2地点いずれも上昇した。県は上昇した工業地について、常磐道土浦北ICに近接し、向上や倉庫が集積する工業団地に位置し、より都心に近い千葉県に対する割安感から土地需要が高い状況が続いているとしている。 新型コロナの直接影響大きくない 県全体の全用途平均変動率は0.4%下落となり、前年の0.7%下落と比べ下落幅が縮小した。用途別では住宅地は0.5%下落、商業地は0.2%下落となり、住宅地と商業地の平均変動率は1992年から30年連続で下落となった。一方、コロナ禍で下落幅が拡大した昨年と比べると下落幅は減少した。工業地の平均変動率は0.3%上昇となり、16年から6年連続で上昇しており、昨年と同率の上昇となった。 県は下落幅が縮小した要因について、商業地は、昨年は新型コロナの感染拡大により一時は先行きの不透明感から取引停滞や減退も見られたが、飲食店やホテルなど収益性が大きく低下した業種を除き収益性の悪化は限られ、オフィス街では回復傾向となったと分析している。 住宅地は、昨年は感染拡大で、買い主が内覧等を控えたことで一時的に土地需要が減退したが、オンライン内覧の普及も相まって、土地需要の回復傾向が続いているとしている。 工業地は、昨年は感染拡大による景気の悪化や先行きの不透明感により企業が新たな用地取得や設備投資に慎重になり、地価の上昇傾向が鈍化したが、首都圏に近い県南や県西地区のインターンチェンジに近い工業地域では流通業務用地の需要が依然として高く、地価の上昇が続いているとしている。 県は、リーマンショックによる資金調達環境の急激な悪化や東日本大震災による災害リスクの高い土地の急激な需要減退と比べると、新型コロナが地価に直接的に与える影響は大きくないとしながら、引き続き注視が必要だとしている。 地価調査制度は、適正な地価の形成を図ることを目的に、国土利用計画法に基づき都道府県が7月1日を基準日として県内540点の標準価格を判定している。

「体験を語り継ぐ」被災者団体が記録誌 常総水害から6年

常総水害から10日で6年。被災した住民は何に直面し、どう乗り越えようとしてきたのか。被災者団体が同日、生活再建に向けた住民の6年間の苦闘を記録した冊子を発行した。「常総市大水害・6年の軌跡」編集委員会による「常総市大水害の体験を語り継ぐ 被害者主人公の活動~6年の軌跡」(A4判、87ページ)は、鬼怒川水害はなぜ起こったのか、被災者の声を元に支援制度をどう改善していったのか、なぜ国の責任を追及する裁判に立ち上がったのかなど、5つの章で構成された。 当初、床上浸水1メートル以上でないと支援金が出ないとされた被災者生活再建支援制度、利子3%、連帯保証人を付けよとされた災害救護資金の貸し付け、ペット同伴では入居できないとされた公営住宅、基準がなかった災害関連死の認定など、生活再建に向けて踏み出した住民が直面した問題と、市、県、国と粘り強い交渉を続け、制度を一つずつ改善していった過程と成果、改善できなかった課題などが記されている。 被災者でもある住民12人が編集委員となり、住民から聞き取ったり、住民自身が執筆した体験をまとめ、計1000部作成した。当初5周年を期に発行する予定だったが、新型コロナで集まることができなくなり発行が1年延びた。 発行責任者を務める同市豊岡町の染谷修司さん(77)は、「6年になっても水害は終わったことにはできない。店を再開したけど借金を抱えている人など、今現在も困っていることが続いている。被害者が泣き寝入りするのではなく、声を挙げて粘り強く交渉することで、一歩前進した部分となかなかそうはいかない部分があった」と話し「自然災害はどこで起こってもおかしくない。常総市で6年間体験したことが語りつがれて引き継がれていけばいい」と話した。 震災関連死で妻を亡くし体験談を寄せた赤羽武義さんは「妻は持病があったが半年やそこらで亡くなる病気ではなかった。今も帰ってくるんじゃないかと毎日過ごしている。周りの人からは時間が経つと和らぐよと言われるが、時間が経てばたつほど(河川行政を担う)国に対する怒りが大きくなる。妻の死の原因がどこにあったか、国が何をやったか、何をやらなくてはならなかったか。なぜ妻は死に至ったのか、国に説明を求めたい」などと話した。 ◆記録誌の問い合わせは染谷さん(メール:kinusoshu@outlook.jp)まで。

窓の内側から見たセンター広場 《映画探偵団》47

【コラム・冠木新市】昔見た映画を今見ると印象が変わる場合がある。アルフレッド・ヒッチコック監督の『裏窓』(1954)がそれだった。 J・スチュアート主演の『裏窓』 報道カメラマンの主人公ジェフ(ジェームズ・スチュアート)がケガをし、ギプスで身動きが取れずにいて、窓から正面アパートの住人たちの暮らしを観察する。そのうちジェフは、セールスマンが寝たきりがちな口うるさい妻を殺害したことに気付く。 眼下の小さな庭を囲むビル。アパートには「独身で売れない作曲家」「肌の露出を気にしない若いダンサー」「子犬を子どものように熱愛する中年夫婦」「夫も恋人もなく寂しさを感じている上品な婦人」「現代アート風な彫刻を作る老婦人」ら、窓の内側で暮らす人たちの人間模様がそれぞれ1本の映画のように描かれている。 今見ると、セールスマンの殺人よりもこちらの方にインパクトがあった。新型コロナ感染拡大の状況下で、巣ごもりを強いられた現代と似た景色に見えたからだ。さらに、建物に囲まれた庭がどことなくセンター広場と重なったからかもしれない。 秘かに「妻の遺体を切り刻み」処理 センター広場も、外で眺めるのと窓の内側から見るのとでは印象が変わる。ホテルの眼の形をした11Fから見下すと、小さく見える広場は地球ではなく、どこか遠い惑星かのように錯覚させられる。 だが、吾妻地域交流センター5Fの和室から見ると、意外に庶民的な空間に映る。また、ノバホール3Fの三角窓から眺めると、エキスポセンターから一直線の秩序的な道が階段を降りると混沌(こんとん)とした広場となり、対比をなしていてとても面白い。私のお気に入りは、市民活動センター1Fの印刷室から見た広場の噴水だ。窓枠が額縁となり静謐(せいひつ)な絵となっている。 半年前、「広報つくば」3月1日号に、センタービルのリニューアル計画が初めて発表された。しかしそこには、ノバホール脇の階段が削られ急なスロープになることも、正面玄関の白壁が無くなることも、市民活動センターの窓ガラスが壊され取り替えられることも、何一つ説明は出ていなかった。 これでは、秘かに妻の遺体をバラバラに切り刻み少しずつ処理していく、『裏窓』の犯人と同じ方法といっても過言ではないのではなかろうか。 だから、何か発見あるのではと思って、久しぶりに『裏窓』を見てみたのだが、今回はそんな「犯人」よりも、窓の内側で暮らす「作曲家」「ダンサー」「彫刻家」たちの方が気になった。 改造計画発表後、これまでセンタービルや広場を利用してきたアーチストの声が、賛否を含めてほとんど聞こえてこない。「つくばセンター研究会」のメンバーから、アーチストは市や関係者とのしがらみがあり弱い立場なので、何も言えないのではないかとの声も聞かれた。すでに自由な空気は失われ、匿名の世界でしか発言できない状況なのだろうか。 『つくばセンタービル謎解きツアー』 『つくばセンタービル謎解きツアー』という企画を、メンバーから提案があり「アイラブつくばまちづくり補助金募集」に応募することとなった。センタービルの状況を内側から知るよい機会だと思った。 8月11日、ヒアリング審査がつくば市役所で開かれた。企画内容を説明しようとしたら、すぐ止められ、いきなり質疑応答になった。ところが、議長が促しても質問が出ず、議長から「予算が出なくてもやりますか?」と聞かれ、「やります」と答えた。(その後2名から短い質問があった) 8月12日付で10万円の交付が決定した。センタービルでの活動なので、市の担当部署は中心市街地振興課と思っていたら市民活動課だった。 アイアイモール(これも半分の狭さになる)によって囲まれた、一見何もないように見えるセンター広場には、あるエネルギーが流れているように思える。その正体は何なのか? 『つくばセンタービル謎解きツアー』で解答を示すつもりである。サイコドン ハ トコヤンサノセ。(脚本家)

窓の内側から見たセンター広場 《映画探偵団》47

【コラム・冠木新市】昔見た映画を今見ると印象が変わる場合がある。アルフレッド・ヒッチコック監督の『裏窓』(1954)がそれだった。 J・スチュアート主演の『裏窓』 報道カメラマンの主人公ジェフ(ジェームズ・スチュアート)がケガをし、ギプスで身動きが取れずにいて、窓から正面アパートの住人たちの暮らしを観察する。そのうちジェフは、セールスマンが寝たきりがちな口うるさい妻を殺害したことに気付く。 眼下の小さな庭を囲むビル。アパートには「独身で売れない作曲家」「肌の露出を気にしない若いダンサー」「子犬を子どものように熱愛する中年夫婦」「夫も恋人もなく寂しさを感じている上品な婦人」「現代アート風な彫刻を作る老婦人」ら、窓の内側で暮らす人たちの人間模様がそれぞれ1本の映画のように描かれている。 今見ると、セールスマンの殺人よりもこちらの方にインパクトがあった。新型コロナ感染拡大の状況下で、巣ごもりを強いられた現代と似た景色に見えたからだ。さらに、建物に囲まれた庭がどことなくセンター広場と重なったからかもしれない。 秘かに「妻の遺体を切り刻み」処理 センター広場も、外で眺めるのと窓の内側から見るのとでは印象が変わる。ホテルの眼の形をした11Fから見下すと、小さく見える広場は地球ではなく、どこか遠い惑星かのように錯覚させられる。 だが、吾妻地域交流センター5Fの和室から見ると、意外に庶民的な空間に映る。また、ノバホール3Fの三角窓から眺めると、エキスポセンターから一直線の秩序的な道が階段を降りると混沌(こんとん)とした広場となり、対比をなしていてとても面白い。私のお気に入りは、市民活動センター1Fの印刷室から見た広場の噴水だ。窓枠が額縁となり静謐(せいひつ)な絵となっている。 半年前、「広報つくば」3月1日号に、センタービルのリニューアル計画が初めて発表された。しかしそこには、ノバホール脇の階段が削られ急なスロープになることも、正面玄関の白壁が無くなることも、市民活動センターの窓ガラスが壊され取り替えられることも、何一つ説明は出ていなかった。 これでは、秘かに妻の遺体をバラバラに切り刻み少しずつ処理していく、『裏窓』の犯人と同じ方法といっても過言ではないのではなかろうか。 だから、何か発見あるのではと思って、久しぶりに『裏窓』を見てみたのだが、今回はそんな「犯人」よりも、窓の内側で暮らす「作曲家」「ダンサー」「彫刻家」たちの方が気になった。 改造計画発表後、これまでセンタービルや広場を利用してきたアーチストの声が、賛否を含めてほとんど聞こえてこない。「つくばセンター研究会」のメンバーから、アーチストは市や関係者とのしがらみがあり弱い立場なので、何も言えないのではないかとの声も聞かれた。すでに自由な空気は失われ、匿名の世界でしか発言できない状況なのだろうか。 『つくばセンタービル謎解きツアー』 『つくばセンタービル謎解きツアー』という企画を、メンバーから提案があり「アイラブつくばまちづくり補助金募集」に応募することとなった。センタービルの状況を内側から知るよい機会だと思った。 8月11日、ヒアリング審査がつくば市役所で開かれた。企画内容を説明しようとしたら、すぐ止められ、いきなり質疑応答になった。ところが、議長が促しても質問が出ず、議長から「予算が出なくてもやりますか?」と聞かれ、「やります」と答えた。(その後2名から短い質問があった) 8月12日付で10万円の交付が決定した。センタービルでの活動なので、市の担当部署は中心市街地振興課と思っていたら市民活動課だった。 アイアイモール(これも半分の狭さになる)によって囲まれた、一見何もないように見えるセンター広場には、あるエネルギーが流れているように思える。その正体は何なのか? 『つくばセンタービル謎解きツアー』で解答を示すつもりである。サイコドン ハ トコヤンサノセ。(脚本家)

「はやぶさ2」帰還カプセル展示 10日からつくばエキスポセンター

小惑星探査機「はやぶさ2」帰還カプセル展示が10日から、つくばエキスポセンター(つくば市吾妻)で始まる。14日まで。展示されるのは、2020年12月に「はやぶさ2」が地球に持ち帰った、小惑星リュウグウで採取した砂や石などの調査サンプルを収容していたカプセル。 「はさぶさ2」は、地球の水や有機物の起源、生命誕生の秘密に迫ることを主な目的に、2014年12月に種子島宇宙センターから打ち上げられた小惑星探査機。近地球型とよばれる小惑星「イトカワ」を探査し2010年に地球に帰還した「はやぶさ」の後継機にあたる。「はやぶさ2」が目指したのは、直径900mメートル小惑星リュウグウ。接近時、地球から約3億キロの距離にあった。 そこには太陽系が誕生したとされる約46億年前の水や有機物の痕跡が残るとされる。総飛行距離約52億4千万キロの末に持ち帰ったサンプルは、日本を中心とした14 カ国、109の大学と研究機関、269人が参加する国際チームで進められている。 展示会場には、金色の耐熱材が部分的に残る大気圏突入時の高温にも耐えたパーツや、大気圏を通過後に着地時の衝撃を和らげるためのパラシュートなどの実物が並ぶ。他に、一連のプロジェクトの詳細を解説したパネル展示、映像コーナーも設けられている。 企画を担当する、エキスポセンター展示・催事主任の佐々木貴史さんは「焼け残った金色の耐熱材が残るなど、宇宙を旅した実物が持つ迫力を感じてもらえるはず。宇宙とのつながりを実感してもらうことで、将来、宇宙に関わる分野に進んでくれるお子さんが増えたらうれしい」と話す。 展示と並行し、エキスポセンター内のプラネタリウムでは関連企画として、「HAYABUSA 2〜REBORN 帰還バージョン」(上坂浩光監督)が上映される。 新型コロナ感染対策から、展示、映像作品上映ともに完全事前予約制。ウェブサイトから手続きができる。また上映スケジュールも、同サイト内で確認できる。期間はともに14日までの5日間。(柴田大輔)

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