火曜日, 4月 7, 2026

聖地土浦に巨大ロボット立つ! アニメ「パトレイバー」

土浦の夏祭り「土浦キララまつり」会場の土浦市中央、亀城公園前に3日、アニメ「機動警察パトレイバー」の実写版映画に登場した高さ10メートルの実物大ロボット「イングラム」が出現し(7月28日付)、詰めかけた多くのアニメファンから歓声が上がった。 土浦は同アニメの聖地の一つになっていることから、キララまつりに合わせて同市が立ち上げイベントを開催した。 3日夕方、サイレンが鳴ると共に、安藤真理子土浦市長、タレントの喜屋武ちあきさん、声優の千葉繁さん、メカニックデザイナーの出渕裕さんらが、「デッキアップ!」と声を上げると、専用のトレーラーから、「イングラム」が1分ほどかけてゆっくりと立ち上がった。 イングラムは高さ10メートル 幅4.5メートルで、夕日を浴びながら20分間静止したのち、また横たわった。午後6時、7時30分にも2回目、3回目の立ち上げが行われた。 当日はキララまつりの初日で、まつりの見物客にアニメファンも加わり、歩行者天国となった亀城公園前は人で埋め尽くされた。関係者は「1万人以上集まっているのではないか」と推測していた。 同公園向かいの亀城プラザ前では土浦警察署も協力応援の形でにブースを設け、パトレイバーがデザインされたうちわを配布した。亀城プラザ室内では立ち上げイベントに先立って、喜屋武ちあきさん、千葉繁さん、出渕裕さんのトークショーが行われたほか、パトレイバーがデザインされたマンホールカードの配布、パトレイバーの模型の展示などが開催された。 会場には県外からも多くのファンが来場した。パトレイバーがデザインされたTシャツを着て千葉県四街道市から来たという男性(55)は「NEWSつくばの記事をX読んで知った。30年以上のファンなので、動画を撮ってSNSにアップしたい。今日は最後までずっといたい」と話していた。宮崎県から来たという南九州大学の学生もいた。 「機動警察パトレイバー」は1988年、漫画家ゆうきまさみらによるアニメが発表され、漫画化された。ロボット技術によるレイバー部隊の活躍を描いている。作品の中には、土浦研究所が登場し、土浦市が聖地の一つとなっている。35年たった今も根強い人気があり、全国に2万人のファンがいると言われている。(榎田智司) https://www.youtube.com/watch?v=YIvOVtUHHFo

遠ざかる戦争とどうつながるか 若手研究者11人の最新研究まとめた本出版【戦後79年】

阿見、土浦「軍都を生きる」著書、清水亮さん企画 戦後78年、戦争を知る人が少なくなる中、戦争とどう向き合い、戦争の記憶との断絶にどう抗うか。薄れゆく戦争の記憶を拾い集めようとする若手研究者11人の研究成果をまとめた『戦争のかけらを集めて ー遠ざかる兵士たちと私たちの歴史実践』(図書出版みぎわ発行、A5判、320ページ)がこのほど刊行された。 企画したのは慶應義塾大学専任講師で、海軍航空隊や予科練があった阿見町や土浦市の人々が基地や軍人たちとどう関わりながら生活したかを記した『「軍都」を生きるー霞ケ浦の生活史1919-1968』(岩波書店)=23年3月22日付=の著書、清水亮さん(32)。清水さんは東京大学の学部生だった2013年から阿見町や土浦市の地域史に関心を持って通いつめ、社会学の立場から研究を続けている。 『戦争のかけらを集めて』の編集者の一人でもある清水さんは「この本の狙いは、およそ1980年代から90年代生まれの研究者が、体験者の高齢化やコロナ禍の中で、あの手この手でどのように元兵士に向き合ってきたか、その経験の共有」だと語る。 清水さんは東大大学院博士課程を修了後、2020年から22年には筑波大学にポスドク研究員として在籍し予科練を研究。予科練出身者や遺族などが建てた、遺書や遺品などを収集し展示する雄翔館(阿見町青宿、陸上自衛隊土浦駐屯地内)の成り立ちを論じた『「予科練」戦友会の社会学―戦争の記憶のかたち』(新曜社)を2022年に出版した。 同じく『戦争のかけらを集めて』の編者の一人で、北海道教育大学准教授の白岩伸也さんは筑波大出身。筑波大での博士論文をもとに『海軍飛行予科練習生の研究』(風間書房、2022)を出版している。清水さんは『戦争のかけらを集めて』について、『「予科練」戦友会の社会学』や白岩さんの『海軍飛行予科練習生の研究』などの「研究蓄積の最新の成果」であると話す。 丁寧で謙虚な歴史との向き合い方 清水さんは『戦争のかけらを集めて』で現役の自衛隊事務官である行方滋子さん(20年8月15日付)を取り上げる。行方さんは雄翔館の案内に携わったことから予科練に関心を持ち、戦没者の慰霊顕彰と遺書、遺品などの管理を行う「海原会」の一般会員として活動している。行方さんの遺族訪問、聞き取り、関連資料の収集などの活動に触れ、丁寧で謙虚な歴史との向き合い方について論じている。 元予科練生の語り部で、昨年亡くなった阿見町の戸張礼記さん(23年6月6日付)についても言及する。清水さんは、戸張さんと学部生のころに出会い、卒業論文は戸張さんについて書いた。清水さんは何度も話を聞きに訪れ、戸張さんの語りを記録している。 今しか書けないことがある 同書の構想は、清水さんと、戦争をテーマにした本を多く編集していた編集者、岡田林太郎さんとの出会いがきっかけでもあった。「みずき書林」の創業者である岡田さんはがんを患い、昨年7月、享年45歳でこの世を去った。同書のあとがきには、清水さんが「(研究者として)未熟な今こんなに本を書いていいのか」と逡巡(しゅんじゅん)する中、岡田さんが「今しか書けないことがあると思いますよ」と声をかけたエピソードがつづられている。岡田さんの後輩である堀郁夫さんが創業した「図書出版みぎわ」から出版に至った。 戦争体験者から生の声を聞く機会が失われつつある中、戦後世代である若手研究者らの実践は続いている。清水さんは「実は、あえて後ろから読むのがお薦め。フォト・エッセイやあとがきから、戦後世代のどんな人々がこの本をつくったか、著者たちの横顔をのぞいてみてほしい」と話す。 どのように歴史を継承していくか。「戦後90年にもなれば、元兵士の語りを聴くバトンリレー的な継承はほぼ不可能になる。その未来を見越して、それぞれの非体験者が託されたり、拾い集めたりした資料や聞き取り記録や思い出を持ち寄って、車座になって学び議論し合う可能性を探っている」という。(田中めぐみ)

「老いる」が尊ばれた時代《看取り医者は見た!》24

【コラム・平野国美】「老いる」という言葉は、本当にネガティブな意味しか持たないのでしょうか? その日、静岡の街はお祭りでした。夕方、駅へ向かっていたとき、法被姿の2人(写真)が私の前をさっそうと歩いていたのです。背中には「老中」と書かれています。江戸時代の劇で老中という要職を目にしますが、21世紀、市中で生きる老中を目にでき、心が少し躍りました。 町衆にも、こういった役職が存在するのでしょうか? 調べてもわかりませんでした。しかし「老」という漢字には単に年齢だけでなく、経験や地位、社会的な役割などに対する尊敬の意味合いもあります。相撲の世界でも「年寄り」という役職があります。江戸幕府には老中や大老という要職が存在しました。 「おばあちゃん」の役割と効果 前回コラム(7月20日掲載)では、「老後」という時間を持つ動物として、人間、シャチ、ゴンドウクジラを挙げました。これらの動物が生殖不可能になった後(老後)も生きる意味は、集団生活によるものとされています。閉経後のシャチは、狩りの仕方を集団内に伝えてリーダーシップを発揮しているというのです。 シャチの閉経は40~50歳と考えられており、その後は繁殖能力が低下します。しかし、閉経したシャチは経験と知識を生かして群れのリーダーシップを取り、狩りの成功率を高める役割を担っているのです。孫の面倒も見ているとされ、この「おばあちゃん」的役割をするシャチがいなくなると、子供シャチの生存率が低くなるのだそうです。 これらは「おばあさん効果」と言われています。祖母は高齢状態で出産をする危険を回避して自分自身の寿命を延ばし、孫の食事や面倒を見ることで、子孫の生存率を高める役割を担う。女性が老いてからの時期、つまり老後において、家族の生存に貢献していると考えられているのです。老いたシャチは負であるどころか尊いものなのです。 老後という時間を持つとされる人間、シャチ、ゴンドウクジラの3種は、老後においてその経験や知恵を活かし、集団の生存の安定化を図る重要な存在なのです。 「老」の存在感と生かす仕組み 人間社会で言う「おばあちゃんの知恵袋」的な言葉も、このような意味を持っているのかもしれません。町の祭事や争い事では、その解決を高齢者に委ねていました。高齢者も、その役目を果たすという生きがいがあったのかもしれません。昭和のある時期に、我々は、集団の中で「老」を生かす仕組みを放棄してしまったのではないでしょうか? 少子高齢化と言われる時代、「老」が何らかの存在感を示す―そういった高齢者の役割が意外と近くにあるようにも思えるのです。(訪問診療医師)

国保税33人分 口座引き落としできず つくば市 職員の操作ミスで

つくば市は2日、7月31日が納付期限の国民健康保険税第1期分(全納含む)について、市職員がシステム操作を誤り、33人分が銀行口座から引き落としできていなかったと発表した。計384万6700円分になる。 市国民健康保険課によると。口座引き落としで納付している加入者(被保険者)が利用する金融機関17行のうち、1行の金融機関に引き落としのデータが送信されず、引き落としできなかった。残り16行分は7月31日に引き落としが完了した。 2日、複数の加入者から市に連絡があり分かった。同課は2日、33人に電話でお詫びの上、代わりの納付方法について確認している。希望により再度、引き落としをすることもできる。加入者が市の口座に振り込むなどを希望する場合は、加入者に納付書を再送付するという。 再発防止策として同課は、複数の職員で作業手順の確認を行う等、チェック体制をさらに強化するとしている。

一服の清涼感感じて つくば駅前商業施設に大型タペストリー展示

日本国際学園大の学生がデザイン 涼しさを演出しようと、日本国際学園大学(つくば市吾妻)の学生がデザインした幅6メートル、高さ2.7メートルの大型タペストリーの展示が2日から、つくば駅前のトナリエMOG(モグ)1階プラザ・パフォーマンス・ギャラリーで始まった。 つくば都市交通センターと同大が10年前の2015年から連携して実施している取り組みで、両者による「タペストリーアートコンペティション」で優秀賞を受賞した2作品を9月13日まで交互に展示する。 2日から23日まで展示されるのは同大経営情報学部ビジネスデザイン学科1年、関口千奈さん(18)の「夏の風物詩」。夏を彩るアジサイ、スイカ、アサガオ、星空、かき氷の五つが、風鈴の鐘と短冊の形にそれぞれデザインされ、淡い青、水色、緑、オレンジ、ピンクの配色で描かれている。関口さんは「タペストリーの揺れから風鈴の揺れを連想して描いた」と話す。絵を描くのが好きで小さい頃からよく描いていた。今回初めてデザインの制作に挑戦し優秀賞に輝いた。 23日から9月13日まで展示されるのは同大同学科4年、矢治竜乃介さん(21)の「夢の蒼幻舞(そうげんぶ)。澄んだ青い海と空を舞台に、少女が夢の中で、空を泳ぐクジラやイルカ、カメ、マンタ、クラゲなどと一緒に踊る様子が描かれている。矢治さんは「見てくれる方が涼しさを感じてくれれば」と話す。卒業後は映像クリエーターとしてゲーム会社に就職することが決まっている。 同大の学生6人から応募があり、関口さんと矢治さんの2作品が優秀賞、同大2年の柴田心歩さん(19)と4年の菊地祥真さん(22)の2作品が奨励賞に選ばれた。 コンペの審査委員長を務めた都市交通センターの関俊介理事長は「コンペは10回目となり、力作がそろった。買い物をする方、駐車場を利用する方、駅を利用する方が通る通路沿いに展示するので、ご覧になった方が一服の清涼感を感じると確信している」と述べ、「出来栄えがいいので他の駐車場にも展示できないかと考えている」などと話した。 同大の高嶋啓教授は「発想力や色のバランス、カラフルさなど、展示する場所に合う作品が選ばれている。クオリティーが高く、夏にふさわしい迫力ある作品になっている」と今年の受賞作品に対する評価を語る。 つくば市に住む娘の家族と駅前の商業施設に買い物に訪れた埼玉県に住む会社員、畠野智美さん(57)は、展示が始まった大型タペストリーについて「清涼感があってすてきだと思う」と話していた。

セミの羽化見られた! 筑波ふれあいの里で夜の昆虫観察会 

昼間の暑さを逃れ、夜しか見られない生き物を子供たちに見て触れてもらおうと、筑波山麓の体験施設、筑波ふれあいの里(つくば市臼井)でこのほど、筑波山麓自然学校「夕方から夜の昆虫観察会」が開かれた。 市内に住む11家族32人の親子連れが参加し、夕方、昆虫やカエルを虫取り網で捕獲したり、暗闇の中、テーブルに白い布を敷いて照明に集まる昆虫を観察するなどした。夏の夜にしか見られない、セミが羽化する様子が見られたほか、豊かな森にすむオオゴキブリ、沢の中でしか見られないタボガエルなど珍しい生き物も観察できた。 ふれあいの里が主催し、NPOつくば環境フォーラム(永谷真一代表)が委託を受けて子供たちを案内した。夜の観察会は、コロナ禍の影響や、夜間の安全性確保などから7年ぶりの開催となる。市内の35家族から申し込みがあり、抽選で選ばれた7歳から13歳の子供と保護者11家族が参加した。 当日は、開始と同時に雷雨に見舞われたが、野外での観察を屋内での座学に切り替えたり、夕食時間を前倒したり、研究発表の場所を野外に変更するなどして対応した。 ふれあいの里の高野徹也館長は「筑波山麓自然学校は2011年から開催しており、1年に7回のプログラムがある。久しぶりに夜の観察会の企画ができた。楽しみながら自然を満喫してほしい」とあいさつした。環境フォーラムの永谷代表は子供たちに「今日は調査員として活動してほしい。五感を使って探し、どんな生き物がすんでいるのかを学んでほしい」と話した。 雷雨のため野外の観察会は1時間ほど遅く始まったが、雨上がりの山麓で子供たちは歓声を上げながら、バッタ、カエル、カミキリムシ、ガ、セミ、カメムシなどを虫網で捕獲、スタッフに虫の名前を聞いていた。エサキモンキツノカメムシなど、普段聞かれない長い名前の昆虫を捕った参加者もいた。途中、山の向こう側に虹が見え、参加者は気象の変化も体感した。 続いて敷地内を移動し、スタッフがあらかじめ設営したライトトラップ(飛来昆虫捕獲器)の場所に移動。大きなテーブルに白い布を敷いて、虫が好む波長を出す強い照明を照らし虫を集める装置で、参加者はテーブルを囲んで光に呼び寄せられたカメムシ、コガネムシ、セミなどを観察した。 この日観察できた生き物は62種類、そのうちライトトラップによるものが21種類。夜の観察会だからこそ見られた昆虫はコフキコガネ、クルマスズメのほか、10種類以上のカメムシとガの仲間が観察できた。講師を務めた環境アドバイザーの秋山昌範さんは「本来ならこの10倍ぐらい集まるはずだったが(直前に雷雨があり)気象条件が悪く虫の数が少なかった」と話した。 同市自由が丘から参加した茎崎第二小4年の谷藤雫さんは「夜の山の中を歩き、虫を捕まえるが楽しかった。いろいろな虫の名前を覚えて勉強になった」と感想を述べた。(榎田智司)

半日もかかるような心臓手術《医療通訳のつぶやき》9

【コラム・松永悠】医療通訳の仕事をしていると、たくさんの疾患に悩む患者と出会うのはもちろんのこと、様々な治療法、その治療を担当する医師にも出会います。 少し前、心臓疾患の患者を担当しました。重度の狭心症だけでなく、大動脈弁の働きも悪くなっているため、一度の開胸手術でバイパス手術と大動脈弁置換をすることになりました。心臓を停止させて人工心肺につなげ、12時間以上かかるような大掛かりな手術です。 循環器の病気に関しては今までも何度も経験していて、私にとって決して初めて聞くものではないのですが、やはりご本人やご家族にとって大変驚く話だと、表情からもその緊張が伝わってきます。 しかし、命に関わる状況なので他の選択肢もありません。最短の日程で手術が決まり、いよいよ当日の朝。私は手術室への入室が許可され、患者さんと一緒に心臓オペが行われる手術室へ移動。これまでに経験したどの手術室よりもスペースが広く、機材の種類も豊富で、心臓オペはいかに大変なものなのかがわかります。 きっと、手術中に多くの方が人命を救うためにこの部屋に集まることでしょうね。 最高のご褒美 至福の瞬間 朝9時から夜9時までかかりましたが、手術が無事終了して予定通りICUに移り、ここで2泊して一般病棟に戻る流れです。翌日の午後、ご家族と一緒にお見舞いに行ったら、既に意識がはっきりしていて、手を握ったりもできました。思った以上にパワーがあってびっくり! しかし、ここからは「奇跡と驚きの連続」です。なんと、手術の翌日からリハビリ開始です。心肺機能の回復に大事なのは、どんどん使ってあげることです。完全に横になっている患者が最初にするのは、体を起こすことです。胸に20センチほどの大きい傷を負った方にとって、決して簡単なことではありません。 上体起こし→立つ→歩くと、リハビリを重ねた結果、一般病棟に移った日、つまり大手術を終えた4日目に、患者は200歩ほど歩くことができたのです。 1カ月くらいの入院もあっという間に終わり、めでたくご退院。入院期間中、患者は毎日笑顔とジェスチャー、そして携帯の翻訳アプリを使ってコミュニケーションを取ったそうです。そして退院の日、ご自身の足でナースステーションまで行って、翻訳アプリを使って1人1人と「会話」。 携帯で見せたのは、「今までありがとうございます」とか「大変お世話になりました」とか、簡単な言葉ですが、この患者が心を込めて笑顔とともに看護師さんに送りました。そしてみんなからも大きな拍手をもらったそうです。 高度な技術を持つ日本の医師。きめ細かい看護技法を駆使する日本の看護師。常に感謝の気持ちを忘れず迷惑にならないように気を配る中国の患者。この光景を見るのは、医療通訳にとってまさに最高のご褒美で至福の瞬間です。(医療通訳)

つくば市バースセンター全面運用開始へ 筑波大附属病院に専用フロア

助産師が中心となる院内助産システム「つくば市バースセンター」の専用フロアが1日、県内唯一の特定機能病院である筑波大学附属病院(つくば市天久保)内B棟6階に開設された。妊婦が陣痛から産後までを同じ部屋で過ごせる機能を持つ個室が12床整備され、19日から運用が開始される。出産に関するリスクが低い健康な妊産婦が対象で、家族の立ち会い出産が可能。 同センターは、同市北条の市立病院が2011年に休止し、産科医療の充実を求める市民の声が高まったことを受け、つくば市が協力して、同附属病院の周産期病棟内に2013年9月から部分的に6床で運用が開始されていた。当初の計画では全面運用開始は昨年12月の予定だった。 陣痛から分娩、出産後まで同じ部屋で 一般的に出産を控えた妊婦は、陣痛の間を陣痛室で過ごし、分娩を行う際には、分娩室まで移動する。同センターでは、陣痛が始まってから、LDR室=メモ=と呼ばれる個室に入院し、出産を経て、その後5日間を新生児と共に過ごす。陣痛から分娩、出産後の期間を同じ部屋で過ごすことができるため、妊婦は自力で移動することなく、負担や疲労を抑えることができる。 同センターに整備される12床全てが、LDR室仕様の完全個室で、専属の助産師15人が妊婦健診からお産まで主体となって関わり、出産までのプランを妊婦と共につくる。 同センターに入院を予定する妊婦は、少なくとも医師による健診が2回行われ、出産の際には必ず産科医師が立ち会う。 妊娠中や出産時に妊婦に異常が発生した場合は、同大産科・婦人科の医師、助産師による産科体制に移る。階下には、24時間体制で治療を行う新生児集中治療室(NICU)や新生児回復治療室(GCU)が設けられており、同じ建物内で速やかに同線が確保できる仕組みになっている。 1室当たりの広さは30平方メートルほどで、正方形型と長方形型の2つのタイプがある。分娩台としての機能も併せ持つ妊婦用のベッドや、新生児用のベッドのほか、授乳するための専用の椅子、シャワーやトイレなどを完備し、医療機器はクローゼットの中に収納され、目立たないようになっている。分娩室に患者個人が自由に過ごせるスペースが加わった形で、暖色系の照明や木目調の床とインテリアで内装を揃え、落ち着きのある空間を提供する。 同室の内装に構想段階から中心として携わった、同附属病院看護師長の本多裕子さんは「内装をアースカラーで整え、リラックスできる環境をつくり出すことにこだわった。妊婦の方が持つ産む力を助産師全員で引き出し、元気に退院してもらえるように丁寧にケアをしていく」と話す。 同センター部長で、同大医学医療系産科婦人科学の濱田洋実教授は「日本は妊婦や赤ちゃんの死亡率が世界レベルで見ても低い。これまで積み上げてきた安全性を維持しながら、より安心して快適に過ごせる環境作りを目指す」と述べる。 同大の永田恭介学長は「つくば市は人口が増加している地方都市であり、出産するための場所を確保することが喫緊の課題。高齢出産やハイリスク出産などの問題も踏まえて、誰もが安全に安心して子どもを産み、育てられる環境を実現すべく、努力していく」と話している。(上田侑子) 【メモ】LDRは、陣痛、分娩、出産後の回復を意味する英単語の頭文字をとった略語。

夏の夜の道 《ことばのおはなし》72

【コラム・山口絹記】つくばで暮らすようになって10年が経つけれど、最近のように暑さの続く夜道を歩いていると、ふと遠くに来てしまったような感覚に襲われることがある。 最初の数年は、単に自分がこの街に慣れていないからだと思っていた。たまに地元に帰ると感じる懐かしさは、単純に慣れ親しんだ風景によるものだと疑うこともなかった。しかし、違ったのだ。この街には、潮の香りがない。違和感の原因は、何かがあることではなく、何かがないことだったのだ。 私は東京のいわゆる下町で育った。家から少し歩いても海が見えるわけではないが、比較的東京湾は近く、隅田川をはじめとしたたくさんの川が流れている。地図を眺めれば、「深」や「洲」、「潮」など、水に由来のありそうな地名ばかりで、特に夏の夜になると、決まって海から流れてくる風に乗って潮の香りがする。住んでいたころは全く気が付かなかったが、それはいつのまにか、自分にとってあって当然のものになっていたのだろう。 つくばの香り? さて、この半年ほど、なんのご縁か、再び育った街の近くで仕事をすることになった。近くとはいえども、少し内陸寄りのせいか、夜になっても潮の香りはしない。しかし、つくばとも何か違った香りがするのだ。 「何の香りなんだろうなぁ」と夜道をスンスンしながら歩くのだが、いまだによくわからないでいる。はたから見たら完全に不審者なのだが、気になるので仕方ない。スンスンしながら夜道を歩く。そして、つくばエクスプレスでつくばまで戻り、駅を出ると「ああ、つくばに帰ってきたな」と感じるのだ。これはもしかすると、つくばの香りなのだろうか。わからない。 まぁ、私がその要因に気づくのは、いつか遠くに引っ越した時かもしれないし、一生わからないのかもしれない。それでも、いつかその何かが、自分にとって当然のものになってくれたらうれしいような気がしているのだ。(言語研究者)

痴漢・盗撮被害防止ポスターを作り直そう 筑波大生有志がイベント

つくばエクスプレス(TX)の駅構内などで目にする、痴漢や盗撮の注意を呼び掛けるポスターの問題点、改善点について話し合い、新たにオリジナルのポスターを制作するイベント「ちかん、盗撮 誰のせい?」を、筑波大学の学生有志が8月10日、つくば駅前のつくばセンタービル1階 co-en(コーエン)で開催する。県内在住の高校生、大学生、社会人などと、痴漢・盗撮被害について考える。 主催者代表を務めるのは、筑波大学社会・国際学群、社会学類3年の上田咲希乃さん(21)。同大生、院生、卒業生9人が集まり、今年6月、「ちかん、盗撮 誰のせい?」プロジェクトを立ち上げた。 上田さんは、TX駅構内に掲示されている痴漢・盗撮被害防止ポスターを見て「被害者がスカートを履いている、夜道に1人で歩いているなどの状況で被害に遭いやすいと書かれており、被害者の側が特定の服装を控えるよう受け取れることや、被害者に自衛を求める姿勢に違和感がある」と感じ、同じ問題意識を持った仲間に呼び掛けた。 今回のイベントは、痴漢・盗撮被害防止ポスターの提供元であるつくば警察署の協力や、市ダイバーシティ推進室と連携し実現することができた。 参加者はA4の紙を用いて、1人一枚ずつポスターを制作する。参加者のアイデアや意見を参考に、同団体が新たにポスターを作成する予定で、TXの駅構内や、同警察署が管轄するショッピングモールに掲示してもらう予定だ。 ほかに、臨床心理学や犯罪心理学が専門の同大の原田隆之教授、社会学やジェンダー問題が専門の鈴木彩加准教授によるトークセッションを開いたり、性暴力や性差別をなくすために活動する慶應義塾大学の学生団体などが出展する痴漢・盗撮被害に関するブースを通して、参加者は必要な知識や情報を集め、ポスター作成に取り組む。 会場の全員が安心して参加するためのルールを定め、参加者のプライバシーを守り、過去にトラウマを抱えた参加者なども心理的に安心して参加できるよう環境づくりをする。 上田さんは「現状のポスターに違和感を感じない人がいるのも事実。被害者の責任、過失とも受け取れるような現在のポスターや、社会でこれまで形成されてきた痴漢・盗撮被害を軽視する風潮などの問題点を、参加者が認識し見つめ直す機会になれば」と話し、「この問題に本気で取り組み、最終的には注意を呼び掛けるポスターなしでも、痴漢・盗撮犯罪やその予兆が起こらない社会を目指したい」とした。(上田侑子) ◆イベント「ちかん、盗撮 誰のせい?」は、つくばセンタービル1階 co-enのcoイベントスペースで、8月10日(土)午後2時〜4時半まで開催。参加費無料。参加者は先着20人。申し込みは、同団体申込フォームへ。詳しくは同団体公式インスタグラムへ。

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